第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 最近5連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移
(注) 1 国際会計基準(以下、「IFRS」という。)により連結財務諸表を作成しております。
2 百万円未満を四捨五入して記載しております。
3 売上収益及び税引前利益は、継続事業の金額を表示しております。
(2) 提出会社の最近5事業年度に係る主要な経営指標等の推移
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第186期の株価収益率、配当性向については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
3 提出会社の従業員数については、関係会社等から提出会社への出向者を含む就業人員を記載しております。
4 百万円未満を四捨五入して記載しております。
5 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所第一部、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
6 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第184期の期首から適用しており、第184期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 【沿革】
当社創立以後のキリングループ(当社及び関係会社)に係る主要事項は次のとおりであります。
3 【事業の内容】
当社グループは、純粋持株会社制を導入しており、当社及び連結子会社164社、持分法適用会社26社によって構成されております。当社は、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っております。当社グループの主な事業の内容と主な会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。
以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
また、当社は特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
<酒類事業>
麒麟麦酒㈱(連結子会社)、LION PTY LTD(連結子会社)を中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。
<飲料事業>
キリンビバレッジ㈱(連結子会社)、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.(連結子会社)を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。
<医薬事業>
協和キリン㈱(連結子会社、東京証券取引所プライム市場上場)を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。
<ヘルスサイエンス事業>
㈱ファンケル(連結子会社)、Blackmores Limited(連結子会社)を中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。
事業の系統図及び主要な会社名は次のとおりであります。

4 【関係会社の状況】
(1) 連結子会社 164社
(2) 持分法適用会社 26社
(※) 1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 議決権の所有割合の( )内は間接所有割合で内数を記載しております。
3 *1:特定子会社に該当します。
4 *2:有価証券報告書を提出しております。
5 *3:麒麟麦酒㈱は、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。
6 *4:Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。
7 *5:協和キリン㈱は、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えておりますが、同社は有価証券報告書提出会社であるため、主要な損益情報等の記載を省略しております。
8 *6:2025年7月11日に解散及び清算を決定し、2026年1月20日に清算結了しました。
9 *7:2024年8月1日開催の協和キリン㈱の取締役会の決議において、解散及び清算を決定しています。
10 *8:協和発酵バイオ㈱は、債務超過の状況にある会社であり、債務超過の額は56,215百万円です。
11 上記はIFRSで要求される開示の一部であり、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 33.子会社一覧」で上記を参照しております。
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3 臨時従業員数には、派遣社員を除いております。
(2) 提出会社の状況
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均勤続年数は、雇用形態等により積算方法が異なるため概算となります。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、経営職とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、監督若しくは管理の地位にある者をいいます。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 子の出生年度とその子に対する育児休業等及び育児目的休暇の取得開始年度のずれにより、育児休暇取得率が100%を超える場合があります。
4 中途入社・退職者及び休職者、復職者は人員数から除いております。
5 当社では、同一労働における男女の賃金体系に差は設けておりません。この差の主たる要因は等級別人員構成の差によるものであります。具体的には、女性において、相対的に賃金の高い経営職、また、総合職の上位等級に該当する人員数が少ないことによるものです。女性の活躍とネットワークづくりを積極的に支援するとともに、多様な視点や価値観を発揮できる組織づくりによって女性の活躍促進策を推進し、会社として女性活躍の機会、環境を整備していきます。
6 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異の集計対象はキリンホールディングス原籍者としております。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、経営職とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、監督若しくは管理の地位にある者をいいます。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 子の出生年度とその子に対する育児休業等及び育児目的休暇の取得開始年度のずれにより、育児休暇取得率が100%を超える場合があります。
4 中途入社・退職者及び休職者、復職者は人員数から除いております。
5 女性経営職比率、男性育児休暇取得率、男女賃金差異の集計対象は各社の原籍者としております。
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営の基本方針
キリングループは、2019年に策定した長期ビジョン「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」のもと、サステナビリティや健康意識の高まり、酒類への規制リスクや若年層のアルコール離れ、デジタルの進化等、変化する経営環境に対応しながら、ヘルスサイエンス事業の立ち上げと育成をはじめとした事業構造の変革に取り組んできました。
KV2027の最終年度が近づく中、10年後の2035年を見据えた新たな長期ビジョンを策定し、酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬から成る事業ポートフォリオにより、さらなる企業価値向上を目指します。
近年はAIの進化や人財不足、消費意識の多様化等、環境変化が加速しています。こうした変化に柔軟に対応しながら、グループ全体で、世界の生活者の行動変容を促し、新たな生活習慣を生み出すことで、心と身体の健康の未来を創造していきます。こうしたイノベーションを次々と生み出す組織能力を更に高め、挑戦する人財と組織文化を持つグローバル企業グループとしてCSV(Creating Shared Value)を実践し、「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の3領域で価値を創出し、「こころ豊かな社会」の実現に貢献します。

キリングループでは、グループ共通の行動指針「KIRIN WAY」をグローバルに浸透させていきます。当社グループが大切にしてきた共通の価値観を継承するとともに、全従業員が行動指針に基づいて日々の業務に取り組み、変革を推進する組織文化の更なる進化を図ります。また、挑戦を後押しする評価制度を国内に導入し人財育成を強化するとともに、将来の成長に向けて部署や国を超えた配置を進め、共創と挑戦を促す風土を育んでいきます。

持続的成長のための経営諸課題「グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM」
キリングループは、社会とともに、持続的に存続・発展していく上での重要テーマを事業へのインパクトとステークホルダーへのインパクトの2つの観点から評価し、「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」に整理しています。GMMは時間の経過とともに変化していくものであり、グループ計画策定プロセスの起点となることから、毎年更新の必要性を判断しています。本年度も、社内外環境変化を踏まえ、10年先を見据えてキリングループが社会とともに持続的に存続・発展していくうえでの重要課題を再整理しました。2026年以降に向けて、ステークホルダーへのアンケートや、キリングループの役員による意見交換などを通じてグループの事業へのインパクトを再評価し、GMMを更新しました。これにより、社会的要請への適合度をより高めています。

※各象限内の重要性に差異はありません。
「キリングループCSVパーパス」
GMMに基づき、当社は「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たすことを前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の4つの領域の課題解決を目指しており、これを「CSVパーパス」と定めるとともに企業経営の土台として「企業としての普遍的な責務」を明記しています。加えて、4つの領域の課題解決に向けた具体的なアクションプランをCSVコミットメントとして、成果指標を会社別により具体化して目標値を設定し、グループ各社の取り組みに繋げています。
また、長期経営構想を踏まえ、全ての事業領域で「健康」価値創出を特に志向することから「健康」をCSVパーパスの中心に据えるとともに、こころ豊かな社会の実現のためには、体の健康だけでなく、心の健康も重要になるため、「健康」のステートメントを「生活者のこころとからだの健康に貢献する。」に変更いたしました。

価値創造モデル/CSV経営の概念
CSV経営のベースの考え方である「社会課題の解決を通じて、社会的価値と経済的価値を創出すること」を持続的に推進していく仕組みとして、当社は価値創造モデルを策定しています。イノベーションを次々と生み出すための組織能力(INPUT)を基盤として、社会課題の解決に事業活動(BUSINESS)を通じて取り組むことで、価値(OUTPUT/OUTCOME)を創出しCSVパーパスを実現しています。特に人的資本や自然資本などの非財務資本の強化は、社会と共に自然の恵みを利用しながら事業を行う当社にとって、継続的な価値の創造につながります。
事業を通じて、当社は社会的価値と経済的価値を同時に生み出し、それらを組織能力などの経営基盤に再投資することで、持続的に資本と価値を成長させることを目指しています。

このCSV経営を推進していくことがどのように企業価値の向上に繋がっているかを図示すると以下のようになります。

社会課題の解決を通じた事業活動(Business)は経済的価値を生み、フリー・キャッシュフローを増加させると共に、事業リスクを低減することにつながるため、資本コストを下げ、企業価値の向上に寄与します。
他方、これらの活動から社会的価値を創出し、その価値がお客様のニーズを充足することで、弊社の製品・サービスに対するWillingness to Payが高まり、長期的にはフリー・キャッシュフローの増加にも影響すると考えられます。さらに、社会的価値が創出され高い水準になることで、従業員エンゲージメントの上昇や採用での優位性などにも影響することが考えられ、価値創造モデルにおけるINPUTの基盤である人的資本の強化に繋がります。その結果、企業の成長率にもポジティブな影響を及ぼすと当社は認識しています。
(参考)
・持続的な成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス)
URL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/materiality/
・キリングループ CSVパーパス
URL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/csv_purpose/
・キリングループ CSVコミットメント
URL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/csv_management/commitment/
・価値創造モデル
URL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/model/
(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
2028年に向けた計画
キリングループは、長期の持続的成長を目指して将来の環境変化や地政学リスクなどを踏まえた事業ポートフォリオ変革に取り組んできました。これからも成長し、キャッシュサイクルを回すことで企業価値を上げていきます。具体的には、既存事業の効率性を高めて安定したキャッシュを創出し、それを成長事業への投資に回すことで、グループ全体で成長を続ける好循環を回していきます。酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬の各事業でキャッシュ創出力を高め、1桁台後半%のEPS成長を継続します。同時に、業界平均として相対的にマルチプルの高いヘルスサイエンス事業のキリングループ内での構成比を高めることでPER向上を目指します。このEPSとPERの掛け算によって企業価値を持続的に成長させていきます。
2028年に向けた各セグメントのEPS成長を牽引するのはヘルスサイエンス・飲料事業です。ヘルスサイエンス・飲料事業の利益成長により、2028年のEPS構成比を全体の約25%まで高めるとともに、酒類事業・医薬事業についても着実なEPS成長を図ります。展開エリア別のEPS構成比についても、ヘルスサイエンス事業のEPSを成長させることで、アジア・パシフィックの構成比を2028年には約30%まで高めていきます。
(基本方針)
不確実性や地政学リスクも考慮しながら事業ポートフォリオを展開し、2035年に目指す姿の実現に向けて、酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬の各事業で成長を実現していきます。
(優先課題)
① 各事業の注力分野での価値創造
② 人財、R&D、デジタル及びマーケティングへの投資強化
(重要成果指標)
2028年に向けた財務指標については、EPSの成長による株主価値向上を目指すとともに、引き続きROICを採用し、継続的に資本コストを超える水準を目指していきます。
また、重要成果指標(財務目標・非財務目標)及び単年度連結事業利益目標の達成度を役員報酬に連動させることにより、株主・投資家との中長期的な価値共有を促進しています。(なお、役員報酬に関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。)
[財務目標※1]
※1 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除く。
※2 ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)
[非財務目標]

(財務方針)
キャッシュ・フロー最大化に向けてオーガニック成長による利益創出を目指します。2028年に向けて創出する営業キャッシュ・フローの総額は約8,400億円を想定しています。配当金については、DOE(連結株主資本配当率)5%を目安とし、原則として1株あたり配当単価は累進配当を実施いたします。配当金額はグループ総額で約2,400億円を予定しています。設備投資に関しては、総額で約4,400億円を予定しており、長期視点で優先順位を決定し、安全・品質や環境のために必要な設備投資を適切に実施した上で総額のコントロールをします。また、価値創造の源泉となる人財、R&D、ICT及びマーケティングへの投資も強化して企業価値向上につなげます。
安定配当を維持しながら、財務健全性を確保するために、有利子負債の返済を実施していきます。今後、M&A投資を実行する際の資金は事業売却などによって賄いますが、不足する場合には2~3年以内に財務健全性を戻せることが見込める限りにおいては、一時的にグロスDEレシオが1倍を超えることを許容します。最適な事業ポートフォリオのための事業の見直しについては継続して議論をしていきます。
株主還元については、基本的には配当で行うものの、投資機会や事業売却等で創出されるキャッシュバランスを考慮しながら、自己株式取得の実施を機動的に判断します。
なお、保有アセットからの営業キャッシュ・フローの積み上がりによって自己資本が過大になる場合や事業売却によるキャッシュ・インがある場合で、次の成長投資のタイミングと時間のずれがある場合には、自己株式取得を検討します。この方針のもと、2026年2月5日付で発表したFour Roses Distillery, LLCの売却に伴うキャッシュ・インを活用して、追加の株主還元として800億円を上限とした自己株式取得を実施します。
(非財務方針)
長期の持続的成長を目指して、非財務への取り組みも引き続き強化します。「イノベーションを次々と生み出す組織能力」の強化を目指し、グループ全体でAIとの共創を推進していくことに加え、キリングループの強みであるマーケティング力・技術力をさらに強固なものとします。基盤となる人財強化も継続し、KIRIN WAYを体現する人財によって戦略の実行度を高めていきます。また、ステークホルダーからの期待を踏まえ、経済的価値につながる非財務目標を設定し、価値創造モデルのInput~Business~Outputを強化することでより大きなOutcomeの創出を目指しています。非財務の戦略的な取り組みを通じて、当社はCSV経営を推進し、社会のサステナビリティ課題の解決にも貢献していきます。
(3) 会社の対処すべき課題
キリングループを取り巻く経営環境は、健康志向の高まり、酒類規制やアルコール離れ、AI等デジタル技術の進化、労働力不足等、急速に変化しています。更に、気候変動や地政学リスクの高まりにより経済の先行きは不透明です。当社グループは、迅速かつ柔軟に変化に対応する経営体制を継続しながら、CSV先進企業として、事業を通じた社会課題の解決により企業価値向上を目指します。新たに策定した2035年の長期ビジョン「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」姿を実現するため、2026年は「変革の起点」として、イノベーションを次々と生み出す組織づくりを加速します。人財への投資を強化するとともに、グループ共通の価値観・行動指針である「KIRIN WAY」をグローバルに浸透させることで、組織の一体感と変革力を高めていきます。
組織能力の強化により、酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医薬の各事業が自律的に成長し、かつ事業の掛け合わせによるシナジーを最大化することを目指します。特に、ヘルスサイエンス事業のアジア・パシフィックを中心とした成長を加速し、グループの第3の柱として収益性を高めます。
事業の稼ぐ力を高めるとともに、株主利益の更なる向上のため引き続き当期利益を重視した経営を進め、「EPS」及び「ROIC」の財務目標達成を目指します。非財務目標については、新たに「R&D(研究開発)」「デジタル」を加え、各項目の達成を通じて持続的成長を実現します。
① 酒類事業
お酒に対するお客様の価値観が多様化する中、キリンビール㈱は、CSVパーパスの「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を基盤に、お酒の未来を創造し、人と社会につながるよろこびを創出することに注力していきます。
2026年は、ビール類酒税一本化が予定されており、ビールやRTDを中心とした成長カテゴリーへの集中的な投資を推進することにより、市場を上回る成長を目指します。ビールでは、主力となる「一番搾り」「キリンビール 晴れ風」ブランドの強化に加え、好調の「キリングッドエール」を育成し、エコノミー領域では「本麒麟」を中心に投資し、基盤強化と高収益化を実現します。RTD分野では「キリン 氷結Ⓡ」のブランド力向上に加え、新たな価値創造にも取り組みます。
健康志向や多様なライフスタイルに応える商品群では、ノンアルコールカテゴリーの商品ラインアップ拡充や、既存の機能系ブランドの強化を中心に、技術力を活かした価値創造により新たな事業の柱の確立を目指します。クラフトビールでは、「スプリングバレーブルワリー」ブランドから少量限定商品「ブリュワーズライン」を2025年11月に発売し、今後も新たな限定商品の展開を計画しています。また、地域ブルワリーや行政と連携し、クラフトビールを軸としたまちづくりや文化醸成を横浜市を皮切りに展開していく予定です。デジタルやリアルでのファン化施策も拡大することで、クラフト市場全体の成長にも貢献していきます。
LION PTY LTDは、2025年10月より豪州とニュージーランドの事業を統合し、オセアニアに注力した新たな経営体制のもと、市場を上回る成長と収益性向上を一体的に推進します。両国市場を横断したナレッジの共有やコスト効率化を図りつつ、価格マネジメントと好調な「Hahn(ハーン)」や「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」ブランド強化により、競争優位性を高めます。また、オーストラリアとニュージーランドで展開する「Hyoketsu(ヒョウケツ)」等の販売拡大にも取り組みます。
北米のNew Belgium Brewing Company, Inc.は、「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」の拡大に加え、現地製造販売を開始した「一番搾り」の北米での販売も拡大します。
② 飲料事業
国内飲料市場の厳しい競争環境が続く中、キリンビバレッジ㈱では、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」をパーパスに掲げ、ヘルスサイエンス飲料拡大に注力します。子供向けプラズマ乳酸菌入り飲料「キリンつよいぞ!ムテキッズ」の全国発売をはじめ、プラズマ乳酸菌を中心とした「免疫ケア」飲料のラインアップ拡充により幅広い世代への健康価値提案を推進します。
また、需要が高まる無糖茶に対応して「午後の紅茶」の無糖シリーズを一層強化していきます。4月には特定保健用食品「キリンヘルシアうまみ緑茶」の全面リニューアルも予定し、市場拡大を目指します。
北米のCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.では、好調な炭酸飲料を主軸に、引き続き、市場環境にあわせた価格戦略と売り場づくりによる売上増加を目指します。輸入関税影響による原材料費増加も想定されますが、オペレーション効率化と費用管理を一層推進し高い収益性を維持します。
③ 医薬事業
協和キリン㈱は日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす“Life-changing(ライフチェンジング)”な価値創出に向けた取り組みを加速していきます。
引き続き、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)※1」や「Poteligeo(ポテリジオ)※2」の成長による利益拡大を目指します。「ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)※3」の開発推進及び販売開始に向けた取り組みを着実に進めるとともに、パイプラインを更に強化していきます。
※1 主に遺伝的な原因で骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患の治療薬です。
※2 特定の血液がんの治療薬です。
※3 急性白血病の治療を目的とする開発品です。
④ ヘルスサイエンス事業
キリングループは、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指し、グループ各社の強みを結集して持続的な成長と社会課題の解決に取り組んでいきます。㈱ファンケル、Blackmores Limited等グループ各社が、それぞれの強みを活かしながら成長を加速させ、シナジーを創出します。また、各国・地域の市場環境や健康課題を的確に捉え、自社の経営資源を最適に活用し、現地に根差した柔軟な戦略を展開していきます。
㈱ファンケルは国内のスキンケアをはじめとした化粧品事業、サプリメント事業において、中長期的視点に基づいたブランド力強化を進めます。全チャネルで統合したお客様データとデジタル技術の強みを活用し、一人ひとりに合わせたご提案やサービスを通じて、顧客体験価値の向上を目指します。海外では、2026年中に、東南アジア・中国においてサプリメント・スキンケアを当社グループで全ての販売・マーケティングができる体制を整備し、Blackmores Limitedとの協業によるブランド育成と事業拡大に取り組みます。
Blackmores Limitedは、豪州・ニュージーランドでの「Blackmores(ブラックモアズ)」及び薬剤師等により販売される「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の成長加速に取り組みます。市場成長率とブランド認知率の高い東南アジアでのマーケティング投資を継続するほか、中国では、ECを含む販売チャネルの強化と更なるブランド浸透を通じて収益拡大を目指します。
プラズマ乳酸菌事業では、高付加価値商品の拡充に加え、国内外での展開エリアやチャネルの拡大、新商品の上市を加速しています。Blackmores Limitedの販路を活用し、2025年の台湾に続き、豪州や東南アジア各国へのプラズマ乳酸菌サプリメントの展開を目指します。また、㈱ファンケルとの販売基盤の一体化により、事業の効率化と収益性向上を目指します。
キリングループは、今後もユニークな事業ポートフォリオ経営と確かな戦略実行力で、持続的な成長と企業価値向上に取り組みます。従業員一人ひとりがイノベーションに挑戦し続けることで、世界のCSV先進企業として更なる飛躍を目指します。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティ関連財務開示の作成方法について
① 全般的情報
当社グループのサステナビリティ関連財務開示は、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2026年2月20日内閣府令第5号)附則第2条第1項により「企業内容等の開示に関する内閣府令」(1973年大蔵省令第5号)第19条の9第1項に基づき、当年度よりサステナビリティ開示基準※を早期適用し、サステナビリティ開示基準に準拠して作成しております。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
本サステナビリティ関連財務開示は、当年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)を報告期間として作成しております。本サステナビリティ関連財務開示は、サステナビリティ開示ユニバーサル基準「サステナビリティ開示基準の適用」第93項、サステナビリティ開示テーマ別基準第1号「一般開示基準」第42項及びサステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」第102項に基づき、比較情報を開示しておりません。また、本サステナビリティ関連財務開示は、サステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」第103項(2)に基づき、Scope3排出量を開示しておりません。なお、Scope3排出量については開示の準備が出来次第、開示予定です。
本サステナビリティ関連財務開示は、2026年3月27日(公表承認日)に、情報開示委員会の審議を踏まえて委員長である取締役常務執行役員CFO 秋枝眞二郎が承認し、代表取締役社長COO 南方健志に報告しております。
本サステナビリティ関連財務開示のうち、ガバナンス、リスク管理、及びScope1・2排出量、並びに一部の指標についてKPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証(限定的保証)を受けております。詳細については下記ウェブサイトに掲載の「SSBJ基準に準拠したサステナビリティ関連財務開示-第187期」(2025年)をご参照ください。
URL https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/financial_results/
※:国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発したIFRSサステナビリティ開示基準の内容と整合性があるものとして、我が国のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が開発したサステナビリティ開示基準(日本基準)。
② ガイダンスの情報源に関する情報
当社グループは、サステナビリティ関連財務開示にあたっての重要テーマ並びにリスク及び機会を識別するにあたり、サステナビリティ開示基準を適用しております。また、後述する当社の事業・ビジネスモデルを踏まえ、酒類産業、清涼飲料産業、及び加工食品産業に関する国際サステナビリティ基準審議会が公表したIFRS S2号の適用に関する産業別ガイダンス(2023年6月公表。以下、「産業別ガイダンス」という。)、並びに、酒類産業、清涼飲料産業、加工食品産業、及びバイオテクノロジー・医薬品に関するSASBスタンダード(2023年12月最終改訂。以下、「SASB」という。)を参照しております。また、GRI並びにIS026000等を参照して策定したグループ・マテリアリティ・マトリックス(以下、「GMM」という。)で抽出した経営諸課題から、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別する対象として、次の7つの重要テーマを設定しました。また、各テーマについて当社グループの担当役員を配置し、責任をもって対応します。
・アルコールの負の影響
・健康長寿社会
・アンメットメディカルニーズ
・人的資本
・人権
・消費者課題
・環境(気候変動・自然資本)
③ 判断に関する開示
本サステナビリティ関連財務開示を作成する過程で行った判断のうち、サステナビリティ関連財務開示に含まれる情報に最も重大な影響を与える判断は次のとおりです。
・サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別
詳細については「(3) リスク管理 ① サステナビリティにかかるリスク管理 (ア)サステナビリティに関する重要なリスク(機会)の選定」をご参照ください。
④ 測定の不確実性に関する開示
本サステナビリティ関連財務開示で報告される数値に影響を与える最も重大な不確実性は、次のとおりです。
・気候関連シナリオ分析により評価された財務的影響
詳細については「(5) 重要テーマ別 ⑦ 環境(気候変動・自然資本) (イ)リスク管理 (ⅱ)リスクと機会の識別 (a) 気候変動に関するシナリオ分析 (c) 分析結果における財務影響と対応」をご参照ください。
(2) ガバナンス
純粋持株会社である当社は、当社グループ全体戦略の策定と推進、各事業のモニタリング、グループ連携によるシナジー創出の推進、サステナビリティを巡る課題の検討及びサステナビリティにかかる基本的な方針の策定等の役割を担います。
当社グループは、ステークホルダーとともに、持続的に存続・発展していくための重要テーマを経営諸課題と捉え、積極的に対応することでCSV経営を推進します。サステナビリティを巡る課題に対して全社的に推進するための体制を整え、リスクマネジメントの推進のみならず、ステークホルダーとの共創による収益機会につなげます。
取締役会及びグループ経営戦略会議で意思決定する際には、決裁手続規程並びに関連する内規に基づき、考え得る戦略の選択肢を挙げ、それぞれの期待効果・リスクの両面を明確化し、戦略選択に伴って想定されるリスク・機会、影響度及び発生確率、並びにリスクへの対策(ゼロリスク・低減・テイク)を議論しております。
① 監督体制(ガバナンス機関又は個人)
サステナビリティ関連のリスク及び機会の監督の責任は、取締役会が負っております。サステナビリティ関連のリスク及び機会は、重要な経営課題であると認識しており、中長期的な企業価値向上の観点から、職務権限規程に基づき、GMMを含むグループCSV方針を決議した上で、これらの課題への取り組みについて議論を行います。
また、取締役会は、年次で、情報開示委員会の委員長である取締役常務執行役員CFOから、GMMを基に設定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標の情報共有を受けます。
取締役会は、経営企画部からの各事業/機能の四半期報告に基づき、サステナビリティ関連業務の執行を四半期ごとに監督します。
取締役会は、これらの審議や以下に記載する執行からの報告を通じてサステナビリティ管理の有効性を監督します。
なお、重要なリスク及び機会の選定からサステナビリティ関連財務開示に至るまでのプロセスについては、「SSBJ基準に基づくサステナビリティ関連財務開示方針」及び「SSBJ基準に基づくサステナビリティ関連財務開示実務指針」を制定し社内体制を整備・運用しており、この社内体制は当社の経営監査部による内部監査の対象になっております。
② 執行体制(経営者の役割)
社長の諮問機関として、以下4つを設置しております。グループCSV委員会、グループリスク・コンプライアンス委員会、情報開示委員会で協議/決定された事項は、原則として事前にグループ経営戦略会議で議論された後、取締役会に報告されております。
(ア)グループ経営戦略会議
社長の意思決定を補佐支援する諮問機関として、グループ経営に関する意思決定のうち、影響の大きい戦略及び投資に関し、社長を含む執行役員、社内監査役、プロフェッショナル・アドバイザー等で構成されるグループ経営戦略会議を設置し、原則として週次で開催しております。
グループ経営戦略会議では、長期の方針や戦略を踏まえた、短中期の非財務目標やその実現に必要な投資計画を審議・決議します。また、事業会社や部門から目標の達成状況及びリスクについての報告を受け、事業会社・部門の監督を行います。
(イ)グループCSV委員会
グループ横断的なCSVについて議論するためにグループCSV委員会を設置し、原則として年3回開催しております。
グループCSV委員会規程の定めにより、本委員会は、社長の諮問機関であり、当社の会長・社長を委員長、主要グループ会社の社長と当社の常務執行役員以上を委員とします。必要に応じてマルチステークホルダーの観点から社外有識者の参加・助言を受け、GMMなどのサステナビリティに関する長期の方針や戦略を意見交換し、その結果を取締役会に付議・報告します。
(ウ)グループリスク・コンプライアンス委員会
当社のリスク担当執行役員を委員長、当社の常務執行役員以上を常任委員とするグループリスク・コンプライアンス委員会を設置し、原則として年2回開催しております。グループリスクマネジメント規程により、リスクを「キリングループの経営目標達成や企業の継続性に影響を及ぼす不確実性(機会と脅威の両方を含む)」と定義したうえで、同委員会においてサステナビリティ課題に関するリスクを含めた、リスクマネジメント活動の全般を統括しており、リスクマネジメント方針を決定するとともに、グループ重要リスクを選定し、取締役会に報告します。
(エ)情報開示委員会
取締役常務執行役員CFOを委員長、当社の関係役員・部門長を委員とする情報開示委員会を設置し、原則として四半期毎に開催しております。情報開示委員会規程により、有価証券報告書を含む適時開示情報を決定します。また、有価証券報告書で開示する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標は、情報開示委員会で決定し、社長に報告します。
なお、有価証券報告書で開示する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会や、そのモニタリング指標は、重要テーマ毎に原則として会議体を設置し、その中で議論しておりますが、グループリスク・コンプライアンス委員会が選定するグループ重要リスクも踏まえて最終化しており、その結果を踏まえて、情報開示委員会にて決定しております。
<ガバナンス体制図>

③ 取締役会に求められるスキル及びコンピテンシー
当社が監督・執行体制を適切に機能させ、当社グループの持続的成長と企業価値向上を実現するには、ジェンダーや国際性等の多様性を確保しながら、取締役会・監査役会がそれぞれ全体として必要なスキルを有していることが求められます。この要請は、執行側についても同様です。
このたび、当社はKV2027の先を見据えた新たな長期経営構想「Innovate2035!」を公表しました。これを契機として、当社は取締役会及び監査役会に求められるスキルの見直しを実施しました。
まず、当社グループが掲げる「CSV経営」の理念に対する深い理解と共感は、当社の取締役及び監査役に全員に共通して求められる基本的かつ不可欠な要件であると整理しております。
そのうえで、経営・事業トップの経験を通じた「企業経営」の総合的な能力を前提としつつ、「サステナビリティ」「グローバル」「財務/IR」「法務/リスク管理」の各分野に関する知見を、当社の経営推進及びコーポレートガバナンスの実効性確保に不可欠な基本スキルと位置付けております。
さらに、「Innovate2035!」では、CSV経営を通じて持続的な成長を実現し、社会課題である「健康」への貢献を目指しております。当社グループは、『人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている』をビジョンに掲げております。イノベーションを創出するための源泉は、「R&D」「マーケティング」「人財・組織」「ICT・DX」「生産・品質保証」といった組織能力であり、取締役会及び監査役会において、実効性の高い意思決定と監督を行うために不可欠なスキルと考えております。
「サステナビリティ」に関するスキルについては、当社の新任役員及び部門長向けに毎年実施しているコーポレートガバナンス研修の一部として、サステナビリティ(CSV経営)のインプットを実施しております。インプット後には、その内容に関する質疑も含め、重要テーマに関する役員間での意見交換も実施しております。
④ スキル及びコンピテンシー定義
当社の取締役・監査役・執行役員に求められるスキル及びコンピテンシーの定義は以下のとおりです。
*1:上場企業あるいはそれに類する企業
*2:官公庁、弁護士事務所、監査法人、アカデミア、NPO等
⑤ スキル及びコンピテンシーの充足状況等
各役員のスキル及びコンピテンシーの充足状況等は以下のとおりです。
(ア) 取締役 (注1)
(注) 1 社内取締役については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎とし、社外取締役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(◎と●は最大3つ以内とする)
(イ) 執行役員 (注2)
(注) 2 執行役員については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎としています。(◎は最大3つ以内とする)
(ウ) 監査役 (注3)
(注) 3 監査役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(●は最大3つ以内とする)
⑥ 取締役・監査役・執行役員スキルセットの判断過程
毎年行う取締役会実効性評価の中にスキル充足度も含めており、指名・報酬諮問委員会が評価結果を踏まえた候補者選定を行っております。
実効性評価結果から必要と考えられるスキルを持つ新たな候補者を指名する必要がある場合、経歴、面談等により、スキルの評価を行います。その際、企業経営や一般的なビジネス管理の経験、ステークホルダーとの直接対話を行った経験を持っていることを重視します。
再任候補の役員については、既に経験した年度での経験や議論内容、当社グループ事業に関する情報提供、トレーニング等を踏まえて、スキルを定期的に評価し見直します。
⑦ 役員報酬への反映
当社は、執行役員の報酬がCSV経営の実現と中長期的な企業価値向上に向けたインセンティブとして機能するよう設計しております。
取締役の報酬はあらかじめ株主総会で決議された総額の範囲内で、職務権限規程に基づき取締役会の決議により決定されており、決議の際は指名・報酬諮問委員会でその妥当性を審議し、透明性及び客観性を高めて公正なプロセスで決定しております。
社内役員の報酬は、固定報酬である「基本報酬」並びに業績連動報酬である短期インセンティブとしての「賞与」及び中長期インセンティブとしての「株式報酬」の3つで構成されております。「株式報酬」の決定においては、経営計画で定めるキリングループ連結の財務・非財務指標から、中長期の株主価値向上と社会的価値創出の両立を促す評価指標を選定しております。
「株式報酬」については、信託型株式報酬制度を採用し、業績達成条件が付されていないリストリクテッド・シェア・ユニット(RSU)及びローリング方式の3年経営計画の目標達成度に連動するパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)で構成され、PSUの業績評価指標は、経営計画に掲げる主要な経営指標であるROICとEPS成長率及び非財務指標としております。非財務指標は、「環境」「コミュニティ」「健康」「人的資本」の4つの項目について、項目ごとに定められた具体的な指標の達成度を定量的に判定し、これに各指標及び項目全体の定性面を加えて項目別評価を行ったうえで、それらの評価結果及び定性面の考慮を踏まえた総合評価で決定します。PSUの支給率は、目標達成時を100%として、0%~200%の範囲で変動します。
<役員の報酬構成>

<信託型株式報酬のPSU業績連動係数の算定式>

代表取締役会長CEOの場合、基本報酬が27%、賞与が31%、株式報酬が42%であり、株式報酬のうちRSUが3割、PSUが7割、PSUのうち非財務評価の評価割合が2割であることから、それぞれの支給率を100%と仮定した場合、代表取締役会長CEOの役員報酬のうち非財務評価の評価項目と結びついている部分の割合は約6%です。
当年度に認識された役員報酬(固定報酬のみの社外取締役及び監査役の報酬を含む)のうち、非財務評価の評価項目と結びついている部分の割合は約5%です。上記の通り、非財務評価は4つの項目の総合評価で決定することから、気候関連の評価項目に係る部分を区分して識別することができません。
客観性及び透明性を担保する観点から、グループ経営戦略会議にて評価した内容をもとに、評価結果及び支給リストを指名・報酬諮問委員会において審議し、取締役会において決定します。非財務指標については、下表のとおりです。
なお、社外取締役は客観的立場から当社及び当社グループ全体の経営に対して監督及び助言を行うという役割を担い、監査役は客観的立場から取締役及び執行役員の職務の執行を監査するという役割を担うことから、社外取締役及び監査役には、それぞれ基本報酬(固定報酬)のみを支給します。
⑧ リスク及び機会に関連するトレードオフの考慮
当社グループにおける取引に関する意思決定のうち、当社の決裁を要する場合には、「環境(気候変動・自然資本)」や「人権」を中心に、起案会社/部門が、重要テーマが影響を及ぼすリスクについて、影響度と発生確率、リスク及び機会への対策(ゼロリスク・低減・テイク)を検討しております。その検討結果は、当社の関係部門のコンサルテーションを受けた上で、決裁が申請されております。
(3) リスク管理
① サステナビリティにかかるリスク管理
サステナビリティに関する重要なリスク(機会)は、グループ重要リスクの管理プロセスの中でモニタリングされております。重要テーマのリスク管理については、重要テーマごとのリスク管理のセクションに記載しております。グループ重要リスクは、グループ全体の目標や戦略・事業遂行に関するリスクだけでなく、それぞれの事業固有のリスクの両面からリスクを集約して作成しております。各リスクについては、定量・定性の両面からグループに与える影響度を評価すると共に、発生確率を考慮し、影響度と発生確率の両軸でリスクの重要度を設定します。さらに重要リスクはリスクマップ上で一元化して管理を行っております。グループリスク・コンプライアンス委員会では、作成したグループ重要リスクについて議論し、それぞれのリスクへの対応、許容度などについて議論を行います。またこれらのグループ重要リスクは取締役会で審議され、状況変化の確認や対策の見直しを行っております。
当社およびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めております。
なお、過去の報告期間と比較して、当社グループのサステナビリティに関する重要なリスク(機会)の管理プロセスに変更は生じておりません。
(ア)サステナビリティに関する重要なリスク(機会)の選定
GRI並びにIS026000等を参照して策定したGMMで抽出した経営諸課題を土台(ロングリスト)として、SASBの開示トピックを加味し、重要テーマに集約しております。重要テーマに関するリスク(及び機会)は、毎年、重要テーマ所管部門と事前に協議したうえで、情報開示委員会で見直し要否を確認しており、見直しが必要と判断された場合には、重要テーマ毎に設定している会議体にて、具体的な見直しを実施しております。また、そのリスク(及び機会)は、リスク(及び機会)が顕在化したときに発生する財務上の影響度(50億円未満、50~100億円、100億円以上)、発生可能性(10年に1回程度、10~30年に1回程度、30年以上に1回程度)の二軸でその重要性を評価しております。具体的には、財務上の影響度が大きい(100億円以上)場合には発生確率を問わず重要性が高いと評価するとともに、財務上の影響度が中程度(50~100億円)の場合には発生可能性が高い(10年に1回程度)もののみを重要性が高いと評価し、開示すべきリスク・機会に選定しております。
(イ)グループ重要リスクの管理プロセスへの組み込み
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の選定結果は、グループ重要リスクを選定する際に留意すべき方針・環境変化・事業等の確認の一部として、経営企画部にインプットしております。
その後、経営企画部は、幅広いソースから当社グループの事業・戦略に影響を与えうる外部的リスク(地政学、法制度、気候変動、自然災害、技術革新など)に関する情報収集、シナリオ分析(環境テーマについては、シナリオ分析を実施しております)を含む各種分析を行ったうえで、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を含めたグループ重要リスクを選定し、その結果はグループリスク・コンプライアンス委員会での協議を経て、取締役会で決定されております。
なお、当社においては、サステナビリティに関する課題を各種リスクの検討要素、リスクドライバーと捉え、統合リスク管理の枠内で管理をすることとし、他の種類のリスクに比してサステナビリティ関連のリスクを優先順位付けはしておりませんが、当社はCSVを経営の根幹に捉え、社会との価値共創を第一にした経営を行っており、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は常に経営戦略やリスク管理の中で考慮されております。
(ウ)当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の決定・報告
グループ重要リスクの選定結果も踏まえて最終化した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は、情報開示委員会で決定され、社長に報告されております。
② 当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクに関する従業員教育とリスク顕在化時の対応
当社グループでは、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的な責任を果たすこと。それにより、ステークホルダーからの期待に応え、キリングループに対する信頼・企業価値を維持向上させること」を目的に、サステナビリティに関する重要なリスクの一つとして認識している個人情報の漏洩により、お客様の信頼失墜や損害賠償が発生するリスクへの対応の必要性などを含むコンプライアンス研修及び情報セキュリティ研修を毎年、国内の契約社員・派遣社員も含むすべての役員・従業員を対象に実施しております。
また、そうした従業員教育を実施したにもかかわらず、リスクが顕在化した場合には、「グループクライシス管理マニュアル」に基づき対応しております。
(4) 戦略
① ビジネスモデル
当社グループは、祖業のビール事業を通じ、1世紀以上にわたって磨き続けてきた「発酵・バイオテクノロジー」を起点に食・医・ヘルスサイエンスの3領域で事業を展開しております。
(ア)食領域(酒類・飲料)
祖業であるビール事業を中心に、現在も基盤となる事業領域です。1990年代以降にはアジア・オセアニアを中心にグローバル展開を加速させ、高い付加価値を有するブランドを数多く製造・販売しております。
(イ)医領域
ビール製造で培った微生物・細胞の研究から発展した技術にバイオテクノロジーを掛け合わせ、1980年代に医薬品の研究開発を開始しました。今ではグループの主要事業にまで発展し、バイオ医薬品を中心としてグローバルに事業を展開しております。
(ウ)ヘルスサイエンス領域
食領域における自然由来の原料や、発酵・培養の研究を進める中で、プラズマ乳酸菌をはじめとした身体に有用な物質を数多く発見してきました。これらの資産を活用し、今後のグループの成長の柱として育成していく事業領域です。
上記の当社グループが行う事業及びビジネスモデルを踏まえ、当社グループに関連する産業として、酒類産業、清涼飲料産業、加工食品産業、バイオテクノロジー・医薬品産業を特定しております。
② 計画期間
当社グループは、2026年を開始年とする10年間のグループ長期経営構想「Innovate2035!」における「2035年Vision」を実現することが当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながるとの認識のもと、計画を策定し実行しております。
「2035年Vision」として明確化している「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」を実現するため、当社グループは、社会とともに持続的に存続・発展していくうえで今後10年間の重要課題をGMMに整理しております。
GMMで特定した長期的な重要課題を見据えるとともに、直近年度の実績を踏まえて、今後3年間の中期的な計画値を決定し、更に単年度計画に落とし込んでおります。3年間の計画値は、毎年度の実績を反映させ、毎年ローリングしております。
そのため、当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しております。
③ バリューチェーン
当社グループにおける食、医、ヘルスサイエンスの3領域の代表的なバリューチェーンは以下のとおりです。当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会がバリューチェーンのどの部分に集中しているか、またビジネスモデル・バリューチェーンに現在及び将来どのような影響を与えるかについては、重要テーマ別の戦略における、当社グループ※の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の表の中で記載しております。
なお、バリューチェーンのうち当社グループ※への影響、リスク及び機会の集中状況は同表の「リスク及び機会が顕在化したときに発生するビジネスモデル・バリューチェーンへの影響と財務的影響」「発生可能性」「金額的重要性」「リスク及び機会の影響が及ぶセグメント」に記載していることから、同表におけるバリューチェーンの欄には当社グループ※を除いた、当社グループ※のステークホルダーを記載しております。
※:アンメットメディカルニーズテーマにおいては「キリングループ」と表記しております。
<食領域>

<医領域>

<ヘルスサイエンス領域>

④ トレードオフ事例
当年度に実施した買収案件においては、ESGデューデリジェンスを実施し、環境及び人権を必須としたサステナビリティ関連リスクへの影響を考慮した上で、意思決定しております。
(5) 重要テーマ別
① アルコールの負の影響
当社グループは、連結売上収益及び連結事業利益の約50%を酒類事業が占めております。中期的に、事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化された場合、当社グループの酒類事業展開国において酒類販売の減少や規制対応費用の増加などが発生する可能性があります。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、アルコールの負の影響への対応を促進するため、毎年、CSV戦略担当役員も参加するグループCSV委員会又は当社取締役会にてアルコール関連問題をアジェンダの一つに設定しグループとしての取り組みを報告又は議論し、グループ全体戦略へ反映させます。グループCSV委員会で報告・議論された場合は、当社の取締役会に報告されております。当期は取締役会で議論されました。
また、アルコールの負の影響への理解を深め経営に反映するため、CEOをはじめとする当社グループの酒類事業に関わる役員がアルコール依存症の専門治療を行っている独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターを訪問し、アルコール関連問題の最新の研究と課題について講義を受けております。直近では2023年に訪問しました。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループCSV委員会又は当社取締役会において、アルコールの負の影響への社内外の環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、グループCSV委員会又は当社取締役会では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。当期の取締役会では、アルコール関連問題に対する外部動向について取り上げられ、適正飲酒啓発活動の重要性が改めて認識されました。
(ウ)戦略
当社グループは、社会とともに持続的に存続・発展していくための重点課題として「健康」「コミュニティ」「環境」を設定しておりますが、その前提として「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たすことをCSVパーパスとしております。事業を通じて、潜在的にアルコールの負の影響を受ける可能性のあるステークホルダー、及びステークホルダーから受ける事業への影響について把握に努めます。負の影響の予防・低減に取り組み、酒類事業を営むキリングループとしての責任を果たし、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを着実に進展させます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク」への対応戦略
当社グループでは、CSVパーパスに掲げた「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たし、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進展させるため、「酒類事業を営むキリングループとしての責任に関する方針」を定めております。当社グループ全体でアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進めるとともに、節度ある飲酒文化の醸成と、こころ豊かな社会の実現に貢献していきます。酒類マーケティングに関しては「責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針」を制定しております。これは、国や地域の基準に沿った社会規範を遵守し、適正飲酒を促進しながら、一貫して高い基準で事業を推進していくことを約束するものであり、当社グループが行う責任ある飲酒に向けたマーケティング活動に係る全従業員やパートナーを対象としております。また、当社グループの従業員には、酒類を扱う企業グループの従業員として知っておくべき適正飲酒に関する知識を習得するために、国内グループ従業員を対象に適正飲酒啓発研修を行っております。また、飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)を実施し、自身の飲酒習慣を振り返る機会を設けております。そのうえで、酒類事業の展開国・地域においては、お客様への適正飲酒啓発活動を実施し、自身のアルコール体質を確認しつつ、お酒の特性と効用、また誤用によるマイナス面を正しく理解していただき、適正な飲酒に向けたアドバイスなどを伝えております。当年度においては、具体的な適正飲酒啓発活動として、動画配信やワイナリーツアー内での適正飲酒啓発活動の実施、また大学や企業に訪問して適正飲酒セミナーも開催しております。また、グローバル酒類メーカーが加盟する「責任ある飲酒国際連盟(IARD)」に加盟し、適正飲酒の啓発、アルコールの有害摂取の低減に向けた取り組みを推進しております。国内ではキリンビールがビール酒造組合に加盟しており、ビール業界と連携した適正飲酒啓発に取り組んでおります。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、中期的には、事業展開国・地域で酒類の販売(酒税を含む)、広告・宣伝に対する規制が強化された場合、当社グループの酒類事業展開国において酒類販売の減少や規制対応費用の増加などが発生する可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
アルコールの負の影響に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、事業展開国で、お客様へ適正飲酒を啓発し、業界の一員として市場の有害摂取の根絶に貢献しておりますが、それにもかかわらず、規制が更に強化された場合でも、これまでに培ってきた商品開発力や既存の物流・販売網を活かした、低/ノンアルコール商品の更なる需要取込みや新たな商品カテゴリーの創出が可能と考えております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CSV戦略担当役員は、中期的にアルコールの負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、酒類事業に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
酒類事業の展開国・地域によって対応策が異なることから、グループ共通ではなく、酒類事業会社毎に指標を設定しております。
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
本指標における目標値は、2025-2027年で毎年前期比向上となるよう進捗管理をしております。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
アルコールの負の影響の低減に向けた目標達成に向けて、各酒類事業会社における取り組みが順調に実施されております。
② 健康長寿社会
当社グループは、日本をはじめとした事業展開国及びその他地域における少子高齢化の進展や健康ニーズの高まりを当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると捉えております。祖業である酒類事業で培った発酵・バイオテクノロジー、長年にわたる免疫研究やグループに飲料事業及び医薬事業を保有することの強みを生かし、市場を拡大・創造します。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、健康課題への対応を促進するため、ヘルスサイエンス経営戦略会議を月に2回以上開催しております。ヘルスサイエンス戦略担当役員主催の下、当社の関係役員・部門長・グループ事業会社社長・副社長又は経営企画部長が参加しております。ヘルスサイエンス経営戦略会議で議論された内容は、必要に応じてグループ経営戦略会議又は取締役会に報告されるとともに、グループ経営戦略会議に報告されたものは当該会議の審議を経たうえで、改めて必要に応じて取締役会に報告され、グループ全体戦略に反映されます。同時に、取締役会では、当社グループのヘルスサイエンス事業計画の進捗について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、ヘルスサイエンス経営戦略会議において、社内外の環境変化を踏まえたリスク及び機会の見直しを議論しております。当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略については、グループ経営戦略会議又はヘルスサイエンス経営戦略会議において、その進捗状況を四半期ごとに確認しております。取締役会ではグループ経営戦略会議又はヘルスサイエンス経営戦略会議より挙げられた重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しております。
(ウ)戦略
当社グループは、CSVパーパスの一つに「健康」を掲げ、「健康な人を増やし、疾病に至る人を減らし、治療に関わる人に貢献する」ことを目指しております。昨今の社会情勢の影響を受け、社会の健康に関する関心は高まっている一方で、個々人のライフステージや特性などで抱えている課題の内容は異なります。当社グループでは、リサーチマーケティングによるお客様のニーズ探索を起点にコンセプトを設計し、グループ内外の素材・技術を組み合わせ、幅広い商品を展開して、この課題の解決に貢献します。以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、基礎研究による高付加価値素材を探索、機能開発し、潜在的なお客様の健康ニーズを開拓し、新たなビジネスモデルを構築することの重要性を認識し、取り進めております。
飲料事業のキリンビバレッジはヘルスサイエンス領域をドライバーと位置付けた成長戦略を実行しております。2023年にはBlackmoresを買収、2024年には、ファンケルを連結子会社化し、協和発酵バイオの事業構造改革を進め、戦略をグローバルに推進するガバナンスと経営基盤を整えました。また、協和キリンとの人財交流や、協和キリンとの共同出資で2024年設立されたCowellnex社により、医領域の疾患理解や研究ノウハウ、アカデミアネットワーク等が既に活かされております。
これらを通じて、当社グループは「土台の健康づくり」と「個別の健康課題」にフォーカスしたキリン独自のアプローチ方法で取り組みを進め、世界的に高まりを見せる健康課題を解決し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指します。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1) 海外免疫市場に参入するための顧客メリットの拡充を検討します。
具体的には、高付加価値素材の探索や機能開発を検討することで、解決できる健康課題を拡大し、顧客のメリットに繋げます。また、免疫ケアの啓発活動も強化していきます。啓発活動を通して免疫ケアが体調管理に与えるメリットの認知を高め、弊社商品と潜在顧客とのタッチポイントを創出します。実際に、ベトナムへの販売エリア拡大で同国における免疫に対するリテラシーが向上したことで、プラズマ乳酸菌※製品の販売数量が増加しました。今後もベトナムにおけるプラズマ乳酸菌の認知拡大と健康意識向上へ向けて、政府の取り組みなどへ積極的に参画していく方針です。加えて、微生物発酵素材の世界大手企業と戦略的なパートナーシップを結び、海外市場におけるプラズマ乳酸菌のBtoBビジネスを加速させております。当社は、こうした海外市場への参入で海外消費者の健康課題の認知を得ながら、それに対する解決へ向けた商品やサービスの研究開発を続けていきます。プラズマ乳酸菌は毎年1か国以上の海外展開を予定しております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
※:プラズマ乳酸菌は、健康な人の免疫の維持をサポートする乳酸菌です。ヒトの免疫の司令塔pDCに働きかけることが論文で報告されております。キリン、小岩井乳業、協和発酵バイオが共同で研究を進め、国内外の大学・研究機関の協力のもと、多数の論文発表及び学会発表を行っております。当社グループでは、飲料、サプリメント、ヨーグルトなどさまざまなカテゴリーでプラズマ乳酸菌配合商品を展開しております。
2) 国内外での化粧品事業の成長に向けた取り組みを強化します。
肌の健康は多くの消費者の関心が集まる健康課題であり、肌ケア用品をはじめとする化粧品事業を保有する当社グループはその解決に向けて取り組みます。当社グループは各社の知見を繋ぎ合わせ、消費者の多様な関心に即して機会を取得していきます。その一例として「がん患者のアピアランス(外見)ケア」の課題解決に取り組む当社グループの横断プロジェクトが2022年から開始されております。がんやその治療によって外見が変化しても、その人らしく社会生活が送れるための環境づくりを目的とし、医療従事者や患者さんに向けた情報提供に関する知見を持つ協和キリンのサポートを受けております。今後は、ファンケル、Blackmoresなど、企業間のシナジーを発揮して、美容と肌の健康に対する内外アプローチを実現する新製品の開発に注力します。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
3) 事業会社各社での、社会的インパクト拡大の取り組みを強化します。
環境の目まぐるしい変化や昨今の社会情勢に伴い、より長く健康でいたいと考える人が増えております。当社グループは日常的な健康習慣としての「免疫ケア」、栄養、運動、休息が、土台の健康を作ると考えております。展開しているサプリメント、健康に関連する飲料や食品、高機能素材の社会的インパクト拡大の取り組みを強化します。例えば、免疫ケアの大切さを伝える官民連携プロジェクト「げんきな免疫プロジェクト」では様々な企業、団体、自治体にご賛同いただき、啓発に取り組んでおります。また、免疫について学ぶ授業も継続的に実施しており、保護者も含めた家庭内の意識向上にも取り組んできました。さらに協和キリンと共同出資で設立したCowellnex社により、研究開発、ベンチャー投資、事業開発といった分野で、医領域との連携を強化し、健康を取り巻く社会課題の解決につながるイノベーションの創出にも取り組んでおります。
ヘルスサイエンス製品のさらなる機能拡大を目指し、製品の出荷や啓発活動を通してお客様との接点を増やし、顧客のニーズを理解する機会を増やします。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
免疫ケア、栄養、運動、休息からなる土台の健康、体調管理及び肌不調への関心の高まりは、長年の免疫研究やスキンケア領域の強みを持つ当社グループにとって財務的影響が大きな機会であり、中長期に及ぶ関連商品・サービスの売上増加と収益性向上の影響が見込まれます。また、気候変動や都市化・近代化に起因するストレス増等の健康課題を解決する機会は各社で展開するサプリメントや高機能性食品の販売増加と収益性の改善につながるとともに、新商品・サービスの開発費用の増加が短期、中期及び長期で発生することが見込まれます。当年度においては、ヘルスサイエンス事業の売上が前年度と比較して76,111百万円増加しました(ファンケルの完全子会社化に伴う売上増加を含む)。その要因の一つには、機会の顕在化もあると考えておりますが、機会が顕在化したことによる影響を区分して識別することができないため、定量的情報を記載しておりません。中長期の機会が顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
新商品・サービス開発のための投資を検討しており、そのための投資計画を策定中です。自己資金で対応可能なため、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記の機会が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
上記機会の創出に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
③ アンメットメディカルニーズ
健康をサステナビリティを巡る課題として位置付けているキリングループにおいて、医薬事業を担う協和キリンは患者さんを中心においた医療ニーズを重視しております。特にアンメットメディカルニーズの高い疾患(希少疾患を含む)と向き合う人々にLife-changingな価値を提供し健康課題解決に貢献することが、キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると、キリングループは捉えております。
(ア)ガバナンス
協和キリンは、マテリアリティを“ビジョン実現のための重要経営課題”と位置づけております。マテリアリティ(重要経営課題)については、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)、Access to Medicine Index、PSCI等を参照し、社会の持続性へのインパクトと協和キリングループの事業へのインパクトの観点から特定しております。
マテリアリティは、2021-2025年中期経営計画及び連動する年度経営計画に組み込まれて推進されてきました。2026年以降は、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”と整合させ、年度経営計画に組み込んで推進していきます。また、計画の進捗は四半期ごとにモニタリングされ、グローバル経営戦略会議及び取締役会に報告されております。なお、中長期的な経営課題の解決を推進するために、2024年からの業績指標には年度経営計画で定めた非財務目標(マテリアリティに関連する目標を含む)の達成度を加えることとしております。
マテリアリティの見直しは、社内外の環境変化を踏まえ、毎年実施し、グローバル経営戦略会議で承認後、取締役会で決定されております。
協和キリンでの議論を経た後、キリンホールディングスのグループ経営戦略会議に四半期ごとに報告され、フラットな議論を交わしております。また、協和キリンを含むグループ全体の内容として取りまとめたものがキリンホールディングスの取締役会に報告されております。キリンホールディングスの取締役会では、課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
リスクマネジメント(RM)体制と重要リスク特定のプロセス
協和キリングループにおけるリスクとは、経営目標及び戦略目標の達成に影響を与える不確実性を指し、事業活動の遂行において企業価値の毀損につながる脅威(ネガティブな影響)に加え、適切に対応することで企業価値の創出や成長につながる機会(ポジティブな影響)の双方を含むものと定義しております。協和キリングループは、Enterprise Risk Management(ERM)の枠組みのもと、リスクを単なる回避対象としてではなく、機会の最大化及び企業価値の創出・保全につなげるべき経営上の重要事項として位置づけております。
協和キリングループは、日本を含むJAPAC、北米、EMEAを中心とした地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しております。3つの地域にそれぞれリージョナルリスクマネジメント委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しております。また、CxOが中心として参加するグローバルな位置づけのグループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針を審議していきます。
重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が実務担当者会議において社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。グループリスクマネジメント委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。グループリスクマネジメント委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策について全社的な観点で議論しております。重要リスクの低減に向けた進捗確認は、アクションプランのモニタリングと合わせて行い、グローバル経営戦略会議にて進捗確認と環境変化を踏まえたリスクの重要度の変化をモニタリングしていきます。グループリスクマネジメント委員会では、その評価結果を基にリスクマップを策定しており、これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。
キリングループでは、キリンホールディングスの経営企画部が協和キリンにおいて特定された重要リスクを集約し、キリングループ全体に共通するリスクも含めた精査を行います。同部がキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会を含めたグループ重要リスクを選定し、その結果はグループリスク・コンプライアンス委員会での協議を経て、キリンホールディングスの取締役会で決定されております。
(ウ)戦略
協和キリングループは、マテリアリティを“ビジョン実現のための重要経営課題”と位置づけております。
特定した協和キリングループのマテリアリティは「価値創造トピック」と「価値向上トピック」とに分類され、Vision 2030実現のための戦略の幹「アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供」「患者さんを中心においた医療ニーズへの対応」「社会からの信頼獲得」「Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化」とも対応しております。その上で、マテリアリティについて目標を定め、戦略的に取り組んでいくことがビジョンの実現、ひいては、協和キリングループと社会のサステナビリティの両立につながると考えております。
また、協和キリングループのマテリアリティは、協和キリングループが所属するキリングループのマテリアリティとも関連性があり、特にキリングループの事業へのインパクトが高いマテリアリティである「Life-changingな医薬品の創出と提供」及び「医薬品の品質保証と安定供給」は、それぞれ、協和キリングループの「革新的な医薬品の創出」、「製品の価値最大化」、「パイプラインの充実」、「医薬へのアクセス向上」、「病気と向き合う人々のニーズを基点にした新たな価値の共創」及び「製品の品質保証と安定供給」と紐づけられております。
キリングループでは上記を踏まえ、本テーマにおいて以下のとおり「Life-changingな医薬品の創出と提供」「医薬品の品質保証と安定供給」をキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会として選定しております。
なお、協和キリングループにおいては、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会とのトレードオフを考慮し、取り組みを進めております。
*1:協和キリングループは、社会的価値(病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値を提供し、社会課題を解決すること)と、経済的価値(協和キリングループがさらにLife-changingな価値を生み出していくために人的資本と知的資本に投じる原資となりうる利益)という2つの価値創造の両立を実現していきます。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略
2021年より、Vision 2030の実現に向けて活動を推進してきましたが、世界中での医療費抑制圧力の強まり、新薬開発難度の高まりといった製薬業界にとって厳しい大きな環境変化がある中、Vision 2030の実現をより確かにするための戦略として打ち出したのが“Story for Vision 2030”です。これは、協和キリングループがVision 2030に掲げているLife-changingな価値を継続して創出・提供するための戦略です。自社で注力する疾患領域とモダリティ※1をより明確に設定しました。これに加え、オープンイノベーションやパートナー連携、ベンチャーキャピタル/コーポレートベンチャーキャピタルファンド活動などの強化も推し進めます。
これらの活動により生み出される“Life-changingな価値”の最大化、という観点では、ビジネスモデルを適切に選択する必要があります。自社で注力する疾患領域のアセットでは協和キリングループが開発から販売までをグローバルで行い、生み出された価値を患者さんに届けつつ、患者さんの声を研究開発に反映することでその領域での自分たちの強みを増幅していくことも重要となります。戦略的パートナリングアセットでは、価値最大化に社外の力を活用します。適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化が実現できると期待しております。
このように、適切なビジネスモデルを選択することで、協和キリングループは、創出した価値を一日でも早く多くの病気と向き合う人々に届けていくことに注力しております。
※1:モダリティ:構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類

〔自社で注力する疾患領域のアセット〕
協和キリングループは、下記に定めた3つの疾患領域を自社で注力する疾患領域として価値の創出と提供に取組んでおります。各疾患領域では、上市国・地域の拡大、疾患啓発活動や患者支援プログラムの実施などを通し市場浸透に継続して取組んでいきます。
骨・ミネラル
Crysvita(日本製品名:クリースビータ)では、在宅自己注射をより簡便で安全に行うことができる剤型として、患者さん及び医療関係者から期待されていた皮下注シリンジの日本・欧州での販売を開始しました。イタリアではCrysvitaが腫瘍性骨軟化症に対して保険償還の対象となりました。KK8123※2、KK8398※2の開発も着実に進行中です。
血液がん・難治性血液疾患
Ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、NPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)に対する1日1回経口投与可能なメニン阻害薬として世界で初めて米国で承認されました。今後もKura Oncology社との連携を推進し、急性白血病に対する新たな治療選択肢(併用療法や早期の治療ライン)の提供を目指していきます。
Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、機械学習・AI技術を活用し、患者さんの治療アクセス向上を推進しております。
加えて自社初の抗体薬物複合体(ADC)であるKK2845等※2の開発も着実に進めていきます。
希少疾患(造血幹細胞遺伝子治療)
OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)は、米国・欧州における異染性白質ジストロフィーを対象とした新生児スクリーニングの拡大を患者団体等のコミュニティーと共同し推進しております。この活動の結果、スペインでは保険償還の対象となりました。米国保健福祉省長官から米国連邦政府として新生児スクリーニングの対象とすることが推奨されたため、今後各州に展開されるように活動を続けます。日本では早期発症型異染性白質ジストロフィーに対して希少疾病用再生医療等製品指定を取得、サウジアラビアにおいても希少疾病用医薬品指定と優先審査指定を受けました。さらにOTL-203※2及びOTL-201※2についても着実に開発を進めていきます。
〔戦略的パートナリングアセット〕
協和キリングループは、適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化の実現を目指しております。
低分子であるKHK4951※2(一般名:tivozanib)、協和キリン独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260※2及びKK2269※2、並びにPOTELLIGENT抗体であるKK4277※2、本態性高血圧症を対象疾患として2025年第Ⅰ相試験を開始したKK3910※2については、今後パートナーとの連携も含め、価値の最大化を図っていきます。なお、Amgen社と連携し、複数の臨床試験を継続して推進してきましたKHK4083※2(一般名:ロカチンリマブ)は、2026年1月30日にAmgen社の戦略的ポートフォリオ見直しを背景として、同社との開発・商業化に関する提携契約を終了し、協和キリンは規制当局対応及び将来の商業化を含む、ロカチンリマブのグローバルプログラムの全権利を再取得しました。その後、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。
また、自己免疫疾患に対する、ファースト・イン・クラス低分子治療薬候補の開発を目的とした、前臨床開発プログラムに関するライセンスをBoehringer Ingelheim社に提供しました。
なお、「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応について、一部国の政情等の影響を受けたものの、概ね順調に進捗しました。その後、ロカチンリマブに関する臨床試験中止を決定しました。決定前に策定した"Vision 2030 and beyond:中長期構想"で掲げた中長期財務目標の変更は行わないこととしており、引き続き当該取組を推進していきます。
※2:開発パイプラインの詳細は「開発パイプライン一覧」及び「主な申請承認情報」に記載のとおりです。
2)「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応戦略
協和キリングループの創出したLife-changingな価値を確実に患者さんへお届けできるよう、安定供給体制を維持・強化し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。災害、国際情勢の変化といった外部要因、GMP違反、製造トラブル、といった内部要因を含む、医薬品の品質や安定供給を脅かす多様なリスクに備え、堅牢な生産・供給基盤の構築、生産・品質技術の強化、人材育成を一体的に推進し、確かな品質の医薬品を安定的に供給します。
現在、群馬県高崎市と山口県宇部市に基幹生産拠点を有し、さらに米国ノースカロライナ州においてバイオ医薬品原薬製造工場(サンフォード工場)を建設中です。こうした自社生産体制の整備・強化により、リスク発生時にも柔軟な生産対応が可能になります。高崎地区はバイオ医薬品の中核拠点として、バイオ生産技術研究所と高崎工場が隣接し、研究から製造、承認申請までを一貫して進められる環境が整っております。この近接性を活かし、スムーズな技術移管や製造トラブルへの迅速な対応を実現しております。また、品質管理・品質保証機能をQ-TOWERへ集約し、相互の連携を強化することで、品質部門全体として確かな品質の維持に取り組んでおります。宇部工場は経口固形製剤の大量生産型自動化工場として、最新技術と堅牢な品質管理体制を備え、高効率な供給を支えております。重要な製品については、自社工場に加え外部CDMOとのデュアルソーシング体制を構築し、供給安定性をさらに向上させております。委託先管理を含むサプライチェーンマネジメントは複雑化しておりますが、社内外との連携強化やKPIモニタリングにより管理能力とレジリエンスの向上を図っております。また、予期せぬ製造停止や出荷遅延に備え、一定期間の需要を賄える在庫を確保し、供給継続を可能としております。米国拠点の立ち上げにあたっては、自社生産能力の拡充だけでなく、技術と人材の国際的な循環を通じた生産技術全体の底上げを目指しております。高崎地区では2025年にHB7棟が竣工し、製造トレーニング設備を設置しました。高崎工場の従業員に加え、サンフォード工場のスタッフも訪問し、両拠点が協力して技術習熟度の向上に取り組んでまいります。
「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応については、おおむね順調に進捗しております。
当年度において顕在化した機会については、「<リスク/機会への対応戦略> 1)「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略」に記載のとおりです。なお、機会が顕在化したことによる財務的影響を区分して識別することができないため、当年度及び次年度以降における、財務的影響について記載しておりません。一方、当年度において、リスクは顕在化しておりません。また、次年度以降においてリスクが顕在化した場合に、どの程度の財務的影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、財務的影響について定量的情報を記載しておりません。
キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応戦略を実現するために必要な投資としては、革新的な医薬品の創出・その適応拡大を含む価値最大化を目指した研究開発投資とともに、社外アセットへの戦略投資(ライセンス導入、VC・CVC投資など含む)があり、その当年度実績と将来予測は下表に示しております。これらの財務投資には、その後の販売を見据えた適切な地域における開発投資も含まれております。また、これらの財務投資の将来予測は、それぞれ売上収益の規模や戦略に応じて、変更される可能性があります。
「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応戦略を実現するために必要な財務投資としては、自社の製造・品質保証・サプライチェーンマネジメントにかかる費用及び投資があり、その当年度実績と将来予測は下表に示しております。これらの財務投資の将来予測は、社内外の状況変化を受けて、変更される可能性があります。
*1:キリングループでは、キリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:リスク対応に要する費用のみを算定することが困難であるため、関係部門の費用総額(ただし、製造にかかる費用のうち変動費を除く)を記載しております。
*3:リスク対応のための直接投資額を算定することが困難であるため、関係部門の投資総額を記載しております。
*4:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
上記の機会への対応戦略としてのパイプライン拡充や創薬技術獲得のための戦略投資については、戦略に基づき機動的に実施します。当該投資資金については、ネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保します。なお、上記の機会への対応戦略が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要な修正を生じさせることはないと考えております。
また、上記のリスクへの対応戦略としての自社の製造・品質保証・サプライチェーンマネジメントにかかる投資として、米国ノースカロライナ州にバイオ医薬品原薬製造工場(サンフォード工場)を建設中です。当該投資資金については、自己資金により賄う予定です。なお、上記のリスクへの対応戦略が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要な修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
アンメットメディカルニーズに関するキリングループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関するキリングループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。以下に「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」に関する協和キリングループのレジリエンスについて記載します。
製品の供給計画を策定する際には、予期せぬ事態により自社工場や外部CDMOでの製造が停止した場合でも供給を継続できるよう、一定期間の需要を満たす十分な在庫を確保しております。さらに、工場からの製品出荷が停止した場合にも、一定期間対応可能な在庫をストックポイントに備え、供給を継続できる体制を整えております。自社工場では、自然災害などによる電力停止に備えて非常用電源を確保し、製造を維持できるようにしております。加えて、重要な製品についてはデュアルソーシング体制を構築し、リスク発生時の安定供給を一層強化しております。
品質リスクへの対応として、自社工場・CDMOともに、最新のGMP動向及びリスクに基づいた定期的なGMP監査を行い、特定された課題は是正措置・予防措置が確実に実行されるよう管理しております。また、特定された全てのリスクは品質リスクレジスターへ登録し、必要な対応策についてはその進捗をモニターしております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、協和キリンは、中期的にアンメットメディカルニーズの負の影響が協和キリンの想定を超えて発生した場合でも、協和キリンは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、医薬事業に関する協和キリンの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。なお、本指標は「SASB:HC-BP-000.B」を参考に設定しております。各品目の状況をより明確化するために、「開発パイプライン一覧及び主な申請承認」に関する表を掲載することとしております。
*2:詳細は、「開発パイプライン一覧」及び「主な申請承認情報」に記載のとおりです。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。なお、本指標は「SASB:HC-BP-250a.5」を参考に設定しております。当社への財務的影響を考慮し、データの集計範囲を調整したうえで、開示しております。
*5:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
「Life-changingな価値の創出・提供による企業価値の向上」への対応について、一部国の政情等の影響を受けたものの、概ね順調に進捗しました。その後、ロカチンリマブに関する臨床試験中止を決定しました。決定前に策定した"Vision 2030 and beyond:中長期構想"で掲げた中長期財務目標の変更は行わないこととしており、引き続き当該取組を推進していきます。また、「重要な品目について、製品や治験薬の必要量を安定して供給できず、出荷制限や欠品が発生するリスク」への対応については、概ね順調に進捗しております。
開発パイプライン一覧


※ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)の開発状況詳細については、Kura Oncology社のホームページ(https://kuraoncology.com/)をご参照ください。
主な申請承認情報
④ 人的資本
ユニークな事業ポートフォリオを持つ当社グループにおいて、グループ理念・価値観・CSVへの共感を高めることは重要です。その共通基盤のもと、国内外の食(酒類・飲料)・医・ヘルスサイエンスの人財交流を進め、事業経験や属性の多様性及び多様性への受容性を高めることはイノベーションの源泉であり、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の機会であると捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、人的資本に関する戦略について、当社のグループ経営戦略会議で審議・意見交換し、人財戦略部門の計画に反映した後、グループ計画の一部として、再度、当社のグループ経営戦略会議での討議を経て当社の取締役会に報告されます。取締役会はグループモニタリングの一部として人的資本に関する戦略の進捗について監督を行います。
また、当社グループでは、労働安全衛生を含む健康経営を積極的・自主的に推進していくため、グループCSV委員会の傘下にグループ横断の会議体「グループ健康経営推進会議」を設置し、年に2回開催しております。CPO(グループ人財統括担当役員)を本会議の議長として、国内主要事業会社の人事部長等が参加しております。グループ健康経営推進会議で議論された内容は、グループCSV委員会への報告後、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映させます。同時に、取締役会では、当社グループの健康経営への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループ経営戦略会議において、社内外の環境変化を踏まえた人的資本戦略に関するリスク及び機会の見直しを議論します。また、グループ経営戦略会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
当社グループでは、人間の無限の可能性を信じる「人間性の尊重」という考え方を基本理念とし、従業員一人ひとり、新たな価値創造に向かって挑戦し、活き活きと働くことで、仕事を通じて成長し続ける環境を提供していきます。人財をイノベーションによる価値創造、競争優位の源泉と位置付け、人財に投資していくことで、「人財が育ち、人財で勝つ会社」を目指します。人財戦略は、足元の経営戦略の実行性を高めていくことと同時に、人財のケイパビリティは将来にわたる企業価値を高める重要な要素となり、経営戦略の可能性を広げます。そのキーとなるのは「専門性」と「多様性」です。従業員それぞれが、専門性を高めるとともに、食(酒類・飲料)から医・ヘルスサイエンス領域にわたる多様で盤石な事業ポートフォリオの中で多様な経験と多様な視点を養う環境を提供し、「専門性」と「多様性」を兼ね備えた人財を育成します。
また、多様な価値観を受容する組織文化を形成し、組織やチームを超えた共創を通じて、CSV経営を推進し、グループの持続的成長と企業価値向上を実現していきます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「従業員のグループ理念・価値観・CSVへの共感を高め、CSV経営の実践を加速する機会」への対応戦略
当社グループでは、活き活きとやりがいを持ち仕事に向き合う従業員の創出に向けて、CSV経営理念の浸透に向けたグローバルインターナルブランディングを行っております。
各グループ事業会社での浸透度の違いや状況に合わせた新たな施策の展開を検討し、従業員一人ひとりがキリングループの目指すビジョンや方向性に対する理解・共感を深め、キリングループの一員であることに誇りを持って働ける環境整備を進めております。具体的には、タイムリーなグループ情報の発信と、従業員の理解浸透を目的に、経営情報を発信するグループ従業員共通の社内WEBサイト”KIRIN Now”を展開しているほか、当社グループの理念・価値観・CSVを体現した取り組みを表彰する「キリングループ・アワード」や、当社グループ従業員のCSVに対する理解を促進するための「CSV体験」プログラムなどを実施しております。
これらの取り組みを通して、当社グループが経営の中心に据えているCSVの実践を加速させていきます。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
2)「従業員の安全衛生上の問題が発生し、生産性が低下するリスク」への対応戦略
従業員の労働安全衛生の確保は価値創造の根幹であり、CSV経営を実践する上で重要です。安全・衛生の確保を最優先とし、安全で衛生的な職場環境の整備に努めるほか、業務上の安全衛生に関する法令等を理解し、これを遵守します。また、労働関係法を遵守し、働きやすい健康な職場環境の維持に努めます。
当社グループでは、「キリングループ労働安全衛生方針」を策定しております。キリングループ各社の組織・事業場において役割と責任を明確にした体制を整備し、適切な経営資源を投入し、労働安全衛生活動を継続的に改善していくことで、ともに働く※一人ひとりが、心身ともに健康で、安全に、活き活きと、働きがいを高めている状態を目指します。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
※:同じ職場で働くすべての人(パートナー会社、業務委託会社、協力会社従業員含む)
3)「意思決定・組織マネジメントに関与する人財の多様性を高めることにより、新たなアイデアや戦略の発想を促進し、顧客や市場を創造又は拡大する機会」への対応戦略
当社グループでは、世界のCSV先進企業となるために必要な組織能力として、「多様な人財と挑戦する風土」を掲げております。近年、外部環境変化の激しい不確実性が高い時代に突入しており、グループを取り巻く事業環境も厳しさを増す中で、キリングループが持続的に成長するためには、「人的資本経営」を実践し、CSV経営に共感する多様な人財が、個々の可能性を最大限に発揮してイノベーションを加速させる必要があります。
当社グループでは、女性が自主性・創造性を発揮し活き活きと活躍する組織風土の実現に早くから取り組んできました。2022年には、当社のリーダー女性比率を2030年に30%にすることを掲げた「女性活躍推進長期計画2030」を策定しております。男女ともに早期にリーダーシップを発揮できる組織風土に向けて、出産・育児を迎える前に、早めに仕事経験や成功体験を積ませ、得意領域をつくる「早回しのキャリア形成」を推進しております。また、多様な従業員が尊重しながら働くことを阻害する要因の特定と排除を行うことで、多様性を受容する組織への変革を推進しております。
なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、従業員の安全衛生上の問題発生による生産性の低下などにより、操業への影響による売上減少や人財離れによる採用・育成コスト増加などが生じ、その影響が中期に及ぶ可能性があります。また、次年度以降、中期的に機会が顕在化し新たな価値創造やイノベーション実現に伴う商品・サービス販売機会の増加に伴う売上増加の可能性がありますが、リスク及び機会が顕在化した場合、どの程度影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスク及び機会が、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
人的資本に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、事業展開国で、労働安全衛生を含む健康経営を積極的・自主的に推進しております。それにもかかわらず、重大労働災害が発生した場合でも、事案の概要・原因の共有をグループ会社間で速やかに行い、類似の業務の洗い出しと、再発防止として安全装置設置など設備改善、作業手順の見直し、教育等について速やかに着手しております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CPO(グループ人財統括担当役員)は、中期的に人的資本の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:当社グループの従業員へ回答を依頼し、回答を取得した範囲でスコアリングを行っております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:当社グループの従業員へ回答を依頼し、回答を取得した範囲でスコアリングを行っております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:海外連結子会社は国内連結子会社に比して女性経営職比率が相対的に高く、戦略上の優先度が低いことから、国内の女性経営職比率を開示対象としております。また、絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
「専門性」と「多様性」を兼ね備えた人財によるイノベーションの創出に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
⑤ 人権
グローバルに事業及びサプライチェーンを展開し、従業員及びビジネスパートナーとともに事業を展開する当社グループにとって人権はすべての土台であり、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクと捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、人権課題への対応を促進するため、グループCSV委員会の傘下に人権課題に特化したグループ横断の会議体「グループ ビジネスと人権会議」を設置し、年に2回開催しております。CPO(グループ人財統括担当役員)を本会議の議長として、当社の関係役員・部門長が参加しております。グループ ビジネスと人権会議で議論された内容は、グループCSV委員会への報告後、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映されます。
また、持続可能な事業の展開に向けて、経営の基盤に人権尊重の考えを据えることの重要性について理解を深め経営に反映するため、グループ ビジネスと人権会議の参加者に限らず、国内グループの社長・役員・部門長を対象に、トップ層人権啓発研修を毎年開催しております。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、グループ ビジネスと人権会議において、人権課題への社内外の環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、グループ ビジネスと人権会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
事業活動を通じて社会課題の解決を図り、社会とともに持続的な成長を果たしていくためには、人権の尊重は大前提であり、すべての事業活動の土台と位置づけて、CSVパーパスの土台である「普遍的な責務」の一つとしております。当社グループはすべてのステークホルダーの人権を尊重することを重要な経営課題と捉え、継続的に取り組んでいくとともに、そのための体制も整備していきます。人権への負の影響の特定、予防、低減に努めるとともに、是正のための適切な処置を実施します。事業を通じて、潜在的に人権への負の影響を受ける可能性のあるステークホルダー、及び関連する人権への影響について把握に努め、負の影響を予防、低減し、負の影響があった場合には是正のための適切な処置を行い、当社グループに関わるすべての人々の人権の尊重に継続して取り組みます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「当社グループのサプライチェーンで人権侵害が発生するリスク」への対応戦略
当社グループは、「キリングループ人権方針」を策定し、バリューチェーンにおける人権課題の特定から、是正取り組みの計画と実行、モニタリング及び情報開示を経て、外部ステークホルダーとのコミュニケーションに至る継続的なプロセスである人権デューデリジェンスを実施しております。当社グループでは、バリューチェーン全体の人権リスクを評価した上で、バリューチェーン上流の人権リスクに対し優先的に取り組みを行っております。外部の専門機関であるBSR (Business for Social Responsibility™)の助言も受けながら、人権リスクの高い農産物及び農産物加工品を特定し、Sedexの評価ツールを用いて、調達国の人権リスクと事業への影響度という二軸で優先順位付けを行い、サプライチェーンの人権デューデリジェンスを実施しております。また、定期的にサプライヤーに対するリスクアセスメントを実施し、不適合事項の是正に取り組むことで、サプライヤーにおける児童労働や強制労働の撲滅に取り組んでおります。当年度においては、国別の人権リスク評価の結果をもとに、相対的に高リスクと評価された国を対象とした、人権デューデリジェンスを計画通りに実施しております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
2)「当社グループの役員・従業員又はサプライヤーが人権侵害を起こし、それに対する是正のための措置が不十分となるリスク」への対応戦略
当社グループの役員・従業員が人権侵害を起こすリスクに備え、国内では役員向け研修・階層別研修及び全従業員向けの人権啓発研修等を毎年継続して実施しております。また、ステークホルダーが、当社グループのビジネスに関して、人権侵害の懸念を感じられた際の報告先として、サプライヤーホットラインと苦情処理窓口を設置しております。当年度においても、サプライヤーホットラインと苦情処理窓口への通報を受けており、それらに対して、必要な是正措置を講じております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、人権方針やサプライヤー規範への重大な、あるいは疑わしい違反が発生した場合、既存顧客との関係悪化に伴う販売機会の喪失により売上が減少し、その影響が中期に及ぶ可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積ることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
人権課題に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループは、人権デューデリジェンスを実施し、サプライヤーホットラインや苦情処理窓口を運用したにもかかわらず、人権課題の負の影響が顕在化し、特定の原料産地からの調達が困難になったとしても、調達先を分散しており、特定の原料産地への依存度合が低いため、影響は限定的と考えております。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、CPO(グループ人財統括担当役員)は、中期的に人権の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、人権課題に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*2:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*3:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*4:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*5:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*6:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*7:絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
人権リスクの高いサプライヤーに対する人権デューデリジェンスは計画通りに進捗しており、引き続き人権リスク低減に向けて活動を行っていきます。
⑥ 消費者課題
当社グループで展開する酒類・飲料・ヘルスサイエンス事業においては、お客様に安全・安心な商品・サービスを提供することがすべての基盤であり、お客様に安全・安心な商品・サービスを提供できなくなることが、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクと捉えております。
(ア)ガバナンス
当社グループでは、グループ全体の品質保証レベル向上のため、毎年、品質保証機能の主管部門である品質保証部にて部門年度計画を策定しております。年度計画に対し、環境の変化に迅速に対応しながら確実に計画を実行するため、品質保証統括担当役員も参加する四半期モニタリング会議を実施しております。モニタリング会議で議論された内容は、必要に応じ当社のグループ経営戦略会議による討議を経て、当社の取締役会に報告され、グループ全体戦略へ反映させます。同時に、取締役会では、当社グループの品質保証課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。
(イ)リスク管理
情報開示委員会において、リスク及び機会の見直しが必要と判断された場合には、年度計画の四半期モニタリング会議において、品質保証に関する環境変化を踏まえたリスクの見直しを議論します。また、年度計画の四半期モニタリング会議では、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクへの対応戦略について、その進捗状況を確認します。
(ウ)戦略
事業活動を通じて社会課題の解決を図り、社会とともに持続的な成長を果たしていくためには、「食の安全・安心の確保」は、GMMにおいて重要テーマの一つとして位置づけられております。キリングループでは、国際標準(ISO9001、FSSC22000など)の考え方を参考にした品質マネジメントシステムを構築し、継続的な改善を実施しております。
この国際的な品質保証システムの構成要素として、まず「キリングループ品質方針」があり、キリングループの価値観である「先駆」「お客様本位/患者さん本位」「品質本位」に基づき、お客様/患者さんの満足と安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先する姿勢を明示しております。次に「行動宣言」では、品質方針を実現するための具体的な行動や考え方を宣言しており、グループ各社の全ての指針となっております。
これらを体系的に具現化したのが「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則(KGQMP)」です。KGQMPは、グループ各社の品質マネジメントシステムに反映され、バリューチェーン全体で品質目標を設定・達成することで、高品質で安全・安心な商品・サービスの提供を実現するキリングループ共通のルールです。また、KGQMPの遵守状況は隔年で確認されております。
さらに、品質保証部では、グループ主要会社との個別対話を通じて品質保証活動の状況把握を行い、各社の自律的な品質保証活動を支援しております。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
1)「当社グループの製品に予期し得ない品質問題が発生するリスク」への対応戦略
当社グループでは、当該リスクに対応するため国際的な品質保証システムに沿った品質マネジメントシステムの構築と継続的な改善を実施しております。
グループ内の製造工場では、GFSI(Global Food Safety Initiative)承認国際認証である食品安全マネジメントシステムやISO22000などの取得・運用を進めており、国際標準の品質マネジメントシステムを構築しております。また、グループ内における重大な製品回収事故は内容・発生件数ともに適切にモニタリングされており、再発防止策の立案・実行に役立てられております。なお、当年度において、サステナビリティ関連の他のリスク及び機会との間のトレードオフを考慮した事例はありません。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、主に品質不良に起因する製品廃棄損が574百万円発生しております。次年度以降新たにリスクが顕在化し、当社グループの製品に予期し得ない品質問題が発生した場合、中期的には顧客の喪失による売上減少や損害賠償などを含む対応コストが増加する可能性があります。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達は予定しておりません。なお、上記のリスクが、次の年次報告期間中に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略-レジリエンス
消費者課題に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループは、KGQMPへの各社の順守状況の確認及びグループ主要会社の個別モニタリングを実施しております。それにもかかわらず、消費者課題の負の影響が顕在化したとしても、「グループクライシス管理マニュアル」に従って迅速かつ適切に対応し、被害及び影響の最小化を図ります。クライシスの内容及びレベルに応じて対策本部を設置し、社長、担当役員等を含めた社内の報告・共有を速やかに行うと同時に、被害の拡大防止のため必要な情報を社外にも報告・公開します。また、対策本部を中心に、グループリスク・コンプライアンス委員会、関係部署と連携し、状況把握、分析、最悪シナリオに基づく対応方針を検討し、対策を実施します。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、品質保証統括担当役員は、中期的に消費者課題の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、消費者課題に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
(オ)指標及び目標
*1:FB-PF-250a.1
*2:FB-PF-250a.4
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
食品安全の国際認証(GFSI認証及びISO22000)取得率は最終目標である100%に向かって改善傾向にあり、計画通り進捗しております。製品回収事故件数は、グループ各社が「キリングループ品質方針・行動宣言」、それを具現化する「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則(KGQMP)」に基づき、自律的な品質保証活動を実行しており、発生件数は減少傾向にあります。
⑦ 環境(気候変動・自然資本)
(ア)ガバナンス
(ⅰ)監督体制
環境を含むサステナビリティ課題全般に関するガバナンスについては、前述の全般事項にかかるガバナンスセクションで説明しております。
環境4課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に対しては、グループCSV委員会の下にサステナビリティ課題別グループ会議の1つとして、グループ環境会議(年2回)を設置しております。CSV戦略担当役員を議長、関係役員及び部門長を委員として、「サステナビリティ関連リスク・機会の認識共有、戦略に関する議論」「キリングループ環境ビジョン2050の実現に向けた各種ロードマップの進捗状況モニタリングと方針・戦略・計画・意見交換」を主な議題としております。本会議での議論は、グループCSV委員会及び当社の取締役会に対して報告されます。同時に、取締役会は、当社グループの環境課題への対応方針及び実行計画について監督を行います。本会議の設置・運営により、2021年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードが求めているサステナビリティを巡る課題への取り組みを強化しております。気候変動対応を含む環境経営は、CSV経営体制に組み込まれる形で運営されております。
(ⅱ)役員報酬への反映
環境を含むサステナビリティ課題全般に関する役員報酬の考え方については、前述の全般事項にかかるガバナンスセクションで説明しております。
なお、気候変動の「Science Based Targets(SBT)1.5℃」目標を達成するための指標である「GHG削減率(2019年比)」や、「国内におけるリサイクルPET樹脂使用比率」、「水ストレスが高い製造拠点における用水使用原単位」については、役員報酬連動のKPIに設定しております。なお、環境関連の評価項目は役員報酬に他の評価項目と合わせて非財務評価として組み込まれているため、区分して識別できません。評価項目の全体については、「(2) ガバナンス ⑦ 役員報酬への反映」をご参照ください。
その他の各種環境指標についても、当社グループのローリング方式の3年経営計画における経営目標に落とし込み、当社の担当役員や各グループ会社の業績指標に設定し経営計画に反映しております。
(イ)リスク管理
(ⅰ)リスク管理体制
グループ環境会議では、情報開示委員会におけるリスクと機会の見直し要否の判断結果も踏まえ、気候変動や自然資本、法規制などの環境関連リスクと機会を認識共有、戦略に関し議論します。また、当社グループの見通しに影響を与え得る環境リスクへの対応戦略について、進捗状況を確認します。
グループリスク・コンプライアンス委員会は年度におけるグループのリスクマネジメント方針や当社を含むグループ各社が評価・特定したリスクから重要リスクを決議し、適宜必要に応じて取締役会に報告するなど、環境関連も含めたリスクマネジメント活動の全般を統括しております。なお、過去の報告期間と比較して、当社グループのサステナビリティに関する重要なリスク(機会)の管理プロセスに変更は生じておりません。
(ⅱ)リスクと機会の識別
環境関連のリスクと機会は、短期、中期、長期の各期間に亘って当社グループの見通しに影響を与える可能性があります。客観的な科学的根拠に基づいた評価・分析によりリスクと機会を理解し、戦略のオプションを検討するため、「気候変動に関するシナリオ分析」「自然資本関連のLEAPアプローチに沿ったリスクと機会の評価」を活用しております。
これらのプロセスで把握できたリスクと機会に関しても、グループ環境会議・グループCSV委員会で共有・議論し、取締役会に対して付議・報告されるとともに、グループリスク・コンプライアンス委員会事務局にも共有され、その他のリスクとともに管理されます。
(a) 気候変動に関するシナリオ分析
気候関連シナリオ分析は、予想される複数のシナリオのもと、気候変動が当社グループ全体の運営に与える潜在的な影響を理解し評価するために、当社グループ全体を対象として実施されます。シナリオは、地域及び国際的な気候予測を含む公的に利用可能なデータに基づいて設定されております。
当社グループでは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年に開示した最終報告書「気候変動関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に従い、2018年にシナリオ分析へいち早く対応しました。分析には、物理的リスクのベースシナリオとして、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の代表的濃度経路(Representation Concentration Pathways: RCP)を用い、さらに、共通社会経済経路(Shared Socioeconomic Pathways:SSP)を補助的に利用しました。その後、シナリオ分析は少なくとも年に一度見直され、気候関連の不確実性の影響を更新する必要があるかどうかを特定し、必要に応じて詳細な分析を行っております。
直近の分析は、IPCC及び国際エネルギー機関(IEA)のシナリオを参考として、以下の2つのキリングループ気候シナリオを設定しております。
シナリオ1:パリ協定目標として産業革命前の水準に対する1.5℃及び2℃の気温上昇シナリオ
シナリオ3:脱炭素化努力が十分に行われない社会の影響を反映した4℃の気温上昇シナリオ
2つのシナリオに基づく、当社グループのエクスポージャー及び財務リスクを評価するにあたり、2030年及び2050年のタイムフレームを適用しました。各シナリオが想定する社会・経済の状況をもとに、当社グループの戦略・事業活動への影響の大小を定性的に評価し、シナリオごとのリスクを想定しております。
現在の当社グループの経営戦略は、気候関連リスクが一定に抑えられている前提のもと設定されておりますが(以下のシナリオ1を参照)、より深刻なシナリオ(以下のシナリオ3を参照)に対応するために、必要に応じて緩和及び適応のための措置も検討しております。また、後述の「戦略とビジネスモデルの調整にかかるケイパビリティ」セクションに記載されているように、必要に応じて対応を強化する能力があると考えております。
これらのシナリオは、一連の気候に関する合理的な予測の下でリスクと機会の識別及び戦略のレジリエンスを評価するためのものであり、多様な範囲で情報を提供するとともに当社グループの事業における重要なリスクを反映しております。
≪シナリオ分析の前提≫
これらのシナリオは、下表の科学的研究に裏付けられております。
<気候変動のシナリオ>
(b) 自然資本関連のLEAPアプローチに沿ったリスクと機会の分析・評価
自然資本に関する直接及び上流・下流のバリューチェーンでの依存性、インパクト、リスクと機会の特定は、TNFD提言に示されるLEAPアプローチに沿って評価しております。
これまでに、当社グループ全体の事業領域・バリューチェーンを俯瞰したうえで、原料農産物の調達段階において自然への依存度・影響度が高いという作業仮説を設定し、「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」の対象品目を含む調達量の多い原料農産物21品目について、「事業が自然に与える影響度」と「自然関連への事業の依存度」の2つの軸で分析・評価し、LEAPアプローチによる詳細な分析対象とすべき農産物を特定しました。現在、これら優先農産物の分析をLEAPアプローチに沿って順次進めております。
優先農産物の1つであるスリランカの紅茶葉は「キリン 午後の紅茶」のおいしさを支えており、持続可能な調達は事業にとってインパクトが大きく、また自然や社会環境の観点からも重要な「場所」であることから、当社グループはその紅茶農園を優先地域として特定し、その生態系の状態や懸念点、必要な取り組みについてLEAPアプローチに沿った調査を先行して取組んでまいりました。その結果、スリランカの紅茶農園は気候変動のみならず自然の劣化や労働力減少、経済発展や法規制強化によるコスト増など、さまざまな自然関連リスクにさらされていることが分かりました。一方、リジェネラティブ農業、農園における人権デューデリジェンスの徹底、適正な取引価格での調達によりリスクを低減できれば、安定的な製品の生産やエシカル消費市場における機会獲得に繋がります。リスク低減・機会獲得の観点からも、当社グループが2013年から農園に対して行っているレインフォレスト・アライアンス(RA)認証取得支援や、2024年から運用開始したリジェネラティブ農業を実践するための「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の普及が有効であると考えられます。取り組みの進捗を管理するため、自然に関する科学的、国際的な目標と整合する目標設定に向けた準備も進めております。
≪分析・評価の前提≫
今後LEAPアプローチに沿ってより詳細なリスク・機会及びそれらのトレードオフの評価を行うべき優先農産物を特定するため、グループ全体の事業領域・バリューチェーンを俯瞰したうえで、原料農産物の調達段階において自然への依存度・影響度が高いという作業仮説を設定し、「自然関連への事業の依存度」と「事業が自然に与える影響度」の2つの軸で分析・評価しました。
「自然関連への事業の依存度」は、TNFD提言で依存の類型として示されている原料農産物の「供給サービス」への依存度合いを評価することとし、独自の評価指標として「調達量」「グループ売上収益に与える影響」「原料生産地の代替可能性」及び「輸入先の偏り」の指標を用いて評価しました。
「事業が自然に与える影響度」は、TNFD提言が考慮するべきとしているIPBES(生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策の繋がりを強化する政府間組織)による5つの影響要因のうち、農作物別のデータが利用可能な「栽培段階のカーボンフットプリント」「土地利用フットプリント」「農産物別ウォーターフットプリント」「肥料使用量」の指標を評価しております。また、リスクインシデントの外部データベースを用いて、対象農産物がグローバルで「評判リスク」のあるコモディティかどうかも確認しました。
この分析・評価は、下表の科学的研究に裏付けられております。
<自然資本のシナリオ>
(c) 分析結果における財務影響と対応
当社グループにおける重要リスクは、財務影響度と発生確率をふまえてインパクトを測定しております。リスクマップ上で一元管理し、インパクトが高いリスクについては、取締役会にてモニタリングすることで対策を講じております。
以下の表にて、シナリオ分析及びその他試算の結果識別された財務影響と、それらへの対応(戦略)をまとめました。グループの主要事業において、リスクの影響を受ける調達品目や資産の数量と前提条件となる学術データを用いて、リスクに応じた財務影響を推算しております。事業活動の内容や前提条件に大きな変化があった場合に財務影響をアップデートしております。
*1:Xieらの経済モデルを用いた研究成果に示される国別のビールの基準価格、およびIPCCの「土地関係特別報告書(SRCCL)」で取り上げられたHasegawaらの研究成果による試算。
*2:風水害モデル洪水シミュレーションを使い、国内20か所について200年災害で試算した結果の合計。
*3:一定期間製造に渇水で影響が出たと仮定した試算。
*4:IEA「World Energy Outlook 2019」Annex Aの現政策シナリオ・SDシナリオ、および IPCC1.5℃特別報告書などから試算。
*5:IPCCの「土地関係特別報告書(SRCCL)」で取り上げられた Hasegawaらの研究成果による試算。
*6:紅茶・コーヒーを、現時点で可能な範囲で持続可能な農園認証の農園からの調達に切り替えた場合の費用の試算。
*7:使用済みペットボトルが適切に処理されず海洋に流出し自然資本にマイナスの影響を与えた場合の財務インパクトを、利用可能な統計から自社の製造量比率で試算しました。
(ウ)戦略
他テーマと同様に、各種ガイダンスと当社グループのビジネスモデルを踏まえ、本テーマにおいて選定した当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりです。
(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク
気候変動によって引き起こされる原料農産物の収量減、洪水又は渇水による操業停止や輸送への影響などのリスク
(ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク
カーボンプライシングが導入された場合に、エネルギー調達費や物流費、農作物価格が高騰するリスク
(ⅲ)自然資本リスク― 原料
当社グループのサプライチェーンにおいて、農産物生産地・森林の環境が守られていない事案が発生するリスク
(ⅳ)自然資本リスク― 容器包装
バージンプラスチックに対する規制、及び、リサイクル材料の使用義務の拡大、使用済みペットボトル容器の不適切な廃棄による環境汚染リスク
気候危機、生物多様性の喪失の進行、プラスチックによる海洋汚染など地球規模の環境問題の深刻化を背景に、社会は大きな転換点を迎えております。当社グループの食領域の事業のように水や農産物など自然の恵みに依存する産業は環境問題の影響を受けやすく、この課題の克服に向けていち早く着手する必要があります。
当社グループが2017年から行っているTCFD提言に基づくシナリオ分析において、気候変動がもたらす農産物や水資源への影響の甚大さを把握しました(前述)。自然資本への影響を抑えて持続可能な地球を次世代に渡すには、ネガティブインパクトを最小化し、ニュートラル化するだけでは足りないことが判明しました。また企業の環境施策も、自社で完結するものから、社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと進化することが期待されてきております。
このような社会の要請に応えるために、複合的に発生し相互に関連する環境4課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組むアプローチの考え方をさらに発展させたものが、2020年に取締役会で審議・決議し、刷新した「キリングループ環境ビジョン2050」と、新たに加えた「ポジティブインパクト」アプローチです。また、当社グループはリスクに対する単独の解決策ではトレードオフのリスクがあることを認知しており、ランドスケープアプローチを採用するなど、課題を多面的にとらえながら取り組みを推進しております。
私たちはこの環境ビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげていきます。
なお、当年度においては、前年度末時点で想定していた計画通りに取り組みを推進しております。
(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク
当社グループの食領域においては、バリューチェーンの上流であるサプライヤー、並びに製造拠点で活用する水資源に対して、気候変動によるリスクが大きいと捉えており、重要な物理リスクとして農産物の収量減、洪水による操業停止、渇水による操業停止を認識しております。
当社の主要製品であるビールの製造に欠かせない大麦の生産農家は、特に洪水等の気候変動に伴う環境変化に大きく影響を受けることが想定され、直接的な大麦収量の減少の他、洪水発生時の代替調達の実行、設備の復旧等で、調達コストの増加と売上原価へのマイナス影響が予想されます。
過去にグループ内に実際に影響が及んだ物理リスクとして、異常気象(洪水・渇水などに代表される水リスク・水ストレス)による製造停止が挙げられます。この事例を踏まえ、(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)、(b) 水リスク・水ストレス、の2つが最も大きな物理リスクであると認識しております。この2つに晒されている事業活動のグループに占める各比率から、グループにおける物理リスクに対する脆弱性を試算しております。
(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対する脆弱性
調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対し、当社グループ売上の77%を占める事業会社(7社)にて、最大137億円/年の調達コストが発生するものと試算しております。物理リスク(調達コスト)に対し脆弱な事業活動は下表の事業会社7社(当社グループ売上の77%)が該当します。
(b) 水リスク・水ストレスによる物理リスクに対する脆弱性
水リスク・水ストレスによる物理リスクに対する脆弱性は、当社グループにおけるそれらの度合いの高い国に所在する製造拠点数が各国に所在するすべての製造拠点に占める割合により試算しております。試算には、2023年の拠点データを用いました。試算は適宜更新し、都度、その時点の拠点数に対する脆弱性を評価してまいります。最新のAqueduct4.0(WRI)を用い、水ストレスはBaseline Water stress、水リスクはPhysical Risks Quantityの項目を参照しております。影響を受ける製造拠点について、それぞれのリスク・ストレスが5段階で分類されるため、リスク・ストレスが低い場合を「1」、高い場合を「5」として点数付けを行いました。リスク点数、ストレス点数の合計が6点以上である拠点は下表のとおりであることから、物理リスク(水)に対し脆弱な事業活動は下表の所在国の拠点(合計57%)が相当するものと判断しております。
<リスク/機会への対応戦略>
戦略1 調達先の分散
代替原料の開発と新たな生産技術の開発を行っております。例えば、ビールの原料農産物の大麦は気候変動による収量減のリスクがあることから、大麦に依存せずビールのような風味を実現する技術的知見は、適応策の1つであると考えております。また、ビール風味飲料の製造に必要な異性化糖の原料となる農産物については地域別に気候変動による中長期的な収量インパクトを調査・分析し、生産地や作物、醸造技術を組み合わせることで、気候変動影響下における中長期的な収量の変動に対応可能であり、安定供給が予想される原料でビール風味を再現する醸造技術を保有することは物理的リスクに対応する適応策として有効と考えております。成果として、キリンビールが日本で販売するビール風味のアルコール飲料である「のどごし生」は、大豆を原料として醸造されております。
この他、温暖化に対応する品種の改良技術と併せて、主要農産物の安定調達や農業の持続可能性への貢献が期待される植物大量増殖技術の開発なども行っております。キリン中央研究所は、ビールの原料「ホップ」の腋芽形成を促進する世界初アプローチで、ホップの大量増殖技術の開発にも成功しております。
戦略2 持続可能な農園認証取得支援
気候変動にレジリエントな農産物生産地確保、気候変動や自然環境の変化リスク緩和に向けて、持続可能な農園認証としてレインフォレスト・アライアンス(RA)認証取得支援を継続しております。自然災害への対策や、農薬・肥料の使用量を抑えながらも収量を維持できる技術のトレーニングを実施することで、環境変化が原料農産物に与える影響を軽減し、農業が環境へ及ぼす負荷の低減にも貢献していきます。当社グループは、「キリン 午後の紅茶」の原料農産物生産地であるスリランカ紅茶農園とコーヒー豆の3割を調達しているベトナムコーヒー農園に対して、RA認証取得を支援してまいりました。今後は、リジェネラティブ農業を推進することで、自然の状態の変化を最小限に抑えるとともに、自然の状態の回復にも努めます。キリンホールディングスとキリンビバレッジは、レインフォレスト・アライアンスと共同で、リジェネラティブ農業への移行を支援する「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」を開発し、2024年12月より運用を開始しました。2025年末までにスリランカの1つの大農園と30の小農園での運用を開始しております。本ツールは、スリランカの紅茶農園での活用を目的とし、農園の農法や環境負荷を評価し、改善すべき点を可視化するチェックリスト型のガイドラインです。リジェネラティブ・ティー・スコアカードは、土壌の健全性、生物多様性の保全、生態系の回復、労働環境の向上などの指標を基に、農園の現状を評価し、持続可能な農業への移行に向けた具体的な改善策を提示します。農園はこれを活用することで、リジェネラティブ農業への移行を段階的に進めることが可能になります。
戦略3 水ストレス、水リスクの評価と対策
1)グループ全体の水問題の評価・分析
当社グループは、水ストレスの大きく異なる日本とオーストラリアで事業を行ってきた経験から、水問題が国や地域で異なり、流域や場所に大きく依存していることを理解し、2014年から定期的に科学的な調査を実施しております。
2024年に製造拠点の水リスクをAqueduct4.0及び自治体が作成しているハザードマップなどを使用して調査・分析した結果、事業所の多くで水ストレスや水リスクが以前と比べて悪化していることがわかりました。
2)高度な用水削減技術の導入、渇水対応の知見共有
水ストレス・水リスクの調査による科学的な根拠を把握したうえで、国や地域で異なる水ストレスのレベルに合わせた適切な用水削減対策の導入を実施していきます。また、グループ内の世界各拠点が渇水経験を通して構築した対応知見を共有し、各事業のレジリエンスを向上させております。例えば、オーストラリアは慢性的な水不足の課題を抱え、当社グループでもクイーンズランド州のCastlemaine Perkins Breweryが深刻な長期的渇水を経験しました。同社では、2011年に州政府と提携し、製造工程で使用した水を回収利用するための逆浸透(RO)プラントを設置することで世界トップクラスに迫る用水原単位を維持しております。2024年には、この技術をTooheys Breweryへ導入展開しました。
3)風水害シミュレーション等及び現地調査を活用した付保の必要性評価
洪水を含む水関連の自然災害リスクについて、外部モデル等を用いたシミュレーションによる定期的な評価と、必要に応じた現地調査を組み合わせ、拠点ごとのリスクの状況と財務的影響を踏まえて対応方針を検討しております。これらの評価結果を踏まえ、水リスクが相対的に高いと判断される拠点については、事業継続の観点から保険カバレッジの維持を志向し、リスクの状況に応じた保険手配・見直しを行っております。
なお、付保の要否や水災補償の範囲は、評価結果や事業特性等により個別に判断されるため、付保そのものに関する一律の定量的な指標・目標は設定しておりません。
戦略4 原料農産物生産地の水ストレス対応
生産地などにおける水リスクを分析したうえで優先サイトを絞り込みます。優先サイトの中から活動場所を特定し、水資源の保全活動やそのためのトレーニングを実施するとともに、適切な減災対策や持続可能な水利用管理を推進していきます。これにより、異常気象による収量減少リスク低減や安定した農産物供給の確保に貢献することを目指します。
スリランカ紅茶農園では、2018年から農園内の水源地保全活動を開始し、2025年末には27カ所の水源地を保全しました。知見を蓄積し、2020年からはベトナムのコーヒー農園で同様の支援を開始しております。
<財務的影響>
気候変動の物理リスクについて、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、気候変動によって引き起こされる原料農産物の収量減、洪水又は渇水による操業停止や輸送の影響が発生した場合、原材料の安定調達を阻害されることなどにより売上が減少し、その影響が短期、中期、長期に及ぶ可能性があります。なお、物理リスクが顕在化したことによる調達・輸送への影響を区分して識別することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
投資や処分は予定しておらず、戦略を遂行するための資金調達を予定しておりません。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク
移行リスクとしては、炭素税や排出量取引制度、国境炭素税措置などのカーボンプライシングが導入された場合、エネルギー調達費や物流費、農作物価格が高騰する可能性があります。日本国内ではGXリーグによる排出量取引制度の導入拡大、将来的には発電事業者に排出枠の購入を義務づける制度の導入等が想定され、これによる追加コストが発生する可能性もあります。
(a) 移行リスクに対する脆弱性
移行リスクについては、カーボンプライシングによる財務影響が当社グループにとって最も大きいとの前提のもと、製造現場(工場)を有する事業活動が「移行リスクに脆弱な事業活動」に該当すると判断しております。当社グループの売上の内、91%が製造拠点を有する事業会社による売上であり、これらの事業活動が移行リスクに対して脆弱であると判断しております。
<リスク/機会への対応戦略>
当社グループの移行計画を示す、2030年に向けた「SBT1.5℃」目標と、2050年の「SBTネットゼロ」目標に整合したロードマップに基づき、GHG排出量の着実な削減達成を進めております。本ロードマップは、SBTイニシアチブ(SBTi)のガイダンスに則っており、Scope1,2,3における自社努力による排出削減を優先して取り組む移行計画となっており、パリ協定での合意事項が今後大きく後退しないという仮定の下で策定されております。当ロードマップにおいて、当社グループは科学的根拠に基づくGHG排出量削減目標を設定しております。具体的には、2019年を基準年として、2030年までにScope1およびScope2のGHG排出量を50%、ならびにScope3のGHG排出量を30%削減する中間目標を掲げており、これらはいずれもSBT1.5℃水準に整合しております。なお、当社グループの移行計画は、既存の技術および現在利用可能なインフラのみで完結するものではありません。2050年の「SBTネットゼロ」目標の達成に向けては、2030年以降に想定されるエネルギーインフラの整備や脱炭素関連技術の進展を、重要な前提条件の一つとしております。また、当社グループの温室効果ガス排出量の相当部分を占めるScope3排出量の削減については、上流サプライヤーにおけるGHG排出削減の進展が不可欠であることから、サプライチェーン全体での取り組みを前提とした移行計画としております。活用するリソースについては「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。また、当社グループでは、GHG排出量削減に加え、気候変動の緩和と適応のための戦略も検討し、組み合わせて対応していきます。
戦略1 Scope1+2の排出量削減
Scope1とScope2の削減は、ネットゼロに向けたロードマップを設定し、「省エネルギー推進」「再生可能エネルギー拡大」「エネルギー転換」の3つのアプローチを組み合わせ、生産・物流の最適化等にも工夫し着実な対応を進めております。アクションの具体例は下表のとおりです。
戦略2 Scope3の排出量削減
当社グループのGHG Scope3排出量の削減において、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「『GHGプロトコル(2004年)』」という)「Scope3基準」のカテゴリーのうち約71%を占めるカテゴリー1(原料・資材の製造)の「容器包装」と「農産物原料」、約12%を占めるカテゴリー4(輸送)の「輸送」を主なターゲットとしております。これらターゲットに対し、「自社主体の削減」と「サプライヤーの削減促進」の二側面にてアプローチしScope3排出量の削減を進めております。
「自社主体の削減」では、輸送及び容器包装がターゲットとなります。当社が保有するパッケージイノベーション研究所は消費財メーカーが保有する研究所としては世界で類を見ない規模です。この当社特徴である同研究所の技術を活用したGHG Scope3排出量の削減に取り組んでおります。
「サプライヤーの削減促進」のターゲットは、容器包装やその材料の製造時のGHG排出量や、原料農産物の生産時のGHG排出量です。農産物からのGHG排出量削減には、リジェネラティブ農業が有効であると判断し調査を進めております。
自社が主体となり他社と共同で削減効果を創出するScope3排出量削減アクションの具体例は下表のとおりです。
GHG排出量(Scope1,2,3)削減目標達成に向けたカーボン・クレジット(温室効果ガスの削減量や大気中からの除去量などを企業間で売買できる仕組み)の購入計画は、現時点では未定です。ただし、2050年の「SBTネットゼロ」目標の内訳として、2050年に基準年比△90%のグロス目標を掲げており、残余排出量として想定する10%について、残余中和の考え方に基づいてカーボン・クレジットの活用を検討してまいります。その準備として、当社グループでは「キリングループカーボン・クレジット方針」を2025年3月に策定し、カーボン・クレジットの利活用の際に、生物多様性への影響や地域社会へのコベネフィットを重視する価値観や質を当社グループの各事業会社で自律的に確認・実行できるように方針とチェックリストを作成しました。近年、カーボン・クレジット市場では、削減効果を示すデータの信頼性や持続可能性等のクレジットが訴求する価値の質がさまざまであることが問題視されております。低品質のカーボン・クレジットは、実際のGHG削減に寄与しない可能性があり、期待する環境への貢献が実現されないばかりか、カーボン・クレジットを利用する企業の信頼性が損なわれる可能性があります。キリングループカーボン・クレジット方針は、高品質で信頼性のあるカーボン・クレジットを購入するための対応策です。また、SBTネットゼロ目標への貢献には算入しておりませんが、商品戦略としてカーボン・クレジットを購入しオフセットする事例もあります。調達の際の対応策としても本チェックリストは有効と考えます。
さらに、当社グループでは内部炭素価格7,000円/t-CO2を設定し、将来発生し得る財務インパクトの試算に活用することで、コスト増のリスクを最小化する投資判断に用いております。
<財務的影響>
気候変動の移行リスクについて、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、カーボンプライシングが導入された場合、エネルギー調達費や原材料調達費が増える可能性があり、その影響が短期、中期、長期に及ぶ可能性があります。GHG排出量削減の戦略を進めることで2025年にて回避できたカーボンプライシングの費用はScope1+2で1,867百万円(基準年とする2019年に対し2025年にて削減できたScope1+2排出量266,668t-CO2×当社内部炭素価格7,000円/t-CO2)と見積もっております。なお、移行リスクが顕在化したことによる調達費への影響は区分して識別することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画については、以下の投資計画及び処分計画をご参照ください。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
投資計画及び処分計画
当社はトランジション・リンク・ローンによる資金調達を実行しました(2023年1月実行:金額500億円、借入期間2023年~2033年、返済期限2033年。2023年7月実行:金額300億円及び370億円、借入期間それぞれ2023年~2028年及び2023年~2030年、返済期限それぞれ2028年及び2030年)。GHG排出量削減を主目的とした環境投資の指標としてNPV(Net Present Value)を使用し、投資判断枠組みには内部炭素価格を導入しております。そのKPIはScope1とScope2におけるGHG排出量の削減(基準年度2019年)であり、省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの拡大施策に活用します。2030年以降については、インフラの整備や技術革新を前提として今後検討予定でおります。また、今後「Scope3の移行計画」を検討していく中で「ネイチャーポジティブ」「サーキュラーエコノミー」に関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資や費用を計画します。なお、当期の投資金額は1,996百万円でした。
(ⅲ)自然資本リスク― 原料
農産物原料の調達先における環境対策やGHG Scope3排出量の削減対策の実施は、持続可能なサプライチェーンの強化に繋がると期待しております。
サプライヤーや生産地とのエンゲージメントを深めてさまざまな課題を把握し、共同で解決していくことで、サプライヤーや生産地、当社グループのレジリエンス向上を目指します。
当社グループが2017年から行っているTCFD提言に基づくシナリオ分析により、気候変動がもたらす農産物や水資源への影響の甚大さを把握しました。そして、自然資本への影響を抑え、持続可能な地球を次世代に渡すためには、ネガティブインパクトを最小化し、ニュートラル化するだけでは足りないことが判明しました。このことから、当社グループの環境施策を、自社で完結するものから社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと進化する必要性を認識し、取組みを進めております。
(a) ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンへの影響
自然資本リスク―原料については、サプライヤーの農産地に集中しており、物理リスクの脆弱性評価において、リスクがあると認識された原料には大麦やトウモロコシ、紅茶葉やコーヒー豆があります(「(ウ)戦略(ⅰ)気候変動リスク― 物理リスク(a) 調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスクに対する脆弱性」をご参照ください)。加えて、LEAPアプローチによる分析ではトウモロコシ、大麦、紅茶葉などの原料が当社の事業の依存度が高い原料として認識されております。リスクが顕在化した場合、これらの原材料の調達が不安定になるなどの影響が予想されます。
以上のことから、自然資本リスク(原料)として選定した、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクは以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
戦略1 持続可能な農園認証取得支援
前述「物理リスク」戦略2
戦略2 持続可能な森林認証
持続可能な林業や農業を拡大するための取り組みを継続し、認証紙や認証農園由来原料の使用割合を拡大していきます。
当社グループでは持続可能な紙の利用を「持続可能な生物資源利用行動計画」に定め、2020年に紙製容器包装における認証紙または古紙100%を日本国内の飲料事業で達成しました。同行動計画においては、2021年の改訂にて、対象の事業会社を拡大し、紙製容器包装において2030年までに持続可能性に配慮した紙を100%利用する目標に更新し、取り組みを進めております。
戦略3 持続可能なパーム油の調達
当社グループでは、「持続可能な生物資源利用行動計画」にパーム油使用の方針を定め、1次原料及び2次原料のパーム油使用において、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)認証油への切り替えを進めております。RSPOの認証クレジット(Book & Claim方式)を利用、および、物理的なRSPO認証パーム油の調達を併用し対応しております。RSPO、サプライヤー、NGOおよびさまざまなステークホルダーと連携し、調達先がRSPO認証パーム油を原料として使用できるように取り組みを行ってまいります。当社はRSPOに正会員として加盟し、「持続可能なパーム油ネットワーク(JaSPON)」に参加しております。
<財務的影響>
自然資本リスク(原料)について、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、農産物生産地・森林の環境が守られていない事案が発生した場合、既存顧客との関係悪化に伴う販売機会の喪失により売上が減少し、その影響が短期、中期に及ぶ可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積もることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。また、農園認証取得支援にかかる財務的影響は、物理的影響への対応戦略でもあり、その金額をリスク毎に区分することはできないため、定量的情報は物理的影響の財務的影響に記載しております。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:森林認証の調達費はキリングループ生物資源利用行動計画における対象会社8社を対象に収集しています。対象会社は(オ)指標及び目標(iii)自然資本(原料)*1(定義)をご参照ください。
*3:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画に加え、今後、ネイチャーポジティブに関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資を計画します。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(ⅳ)自然資本リスク― 容器包装
商品の品質を維持しつつお客様に商品をお届けするためには、容器包装が必要ですが、その製造や運搬におけるGHGの排出は避けられないほか、容器包装の材料の過剰使用や使用済み容器包装の不適切な廃棄は自然資本の毀損につながりかねません。このような容器包装がもたらすさまざまな課題に対処するため、3Rを推進し、容器包装の軽量化やリターナブル容器の活用、リサイクル材の使用を進めてまいります。
(a) ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンへの影響
自然資本リスク―容器包装において、プラスチック容器、特に当社グループのプラスチック容器使用量の大半を占めるペットボトルに関し不適切な廃棄による地球環境への影響について社会的に課題が認識されています。これに対し、バリューチェーン全体でのサーキュラーエコノミーへの移行に向けた社会システム構築が必要とされております。リスクが顕在化した場合、ビジネスパートナーからのリサイクルプラスチックの供給不足や使用済み容器の不適切な廃棄への対応費用増加の影響が予想されます。
自然資本リスク(容器包装)として選定した、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクは以下のとおりです。
<リスク/機会への対応戦略>
プラスチック容器を持続可能に循環する社会を目指し、リサイクルPET樹脂使用比率の向上のため、以下の戦略を取っております。グループ事業のポートフォリオ変化を踏まえ、今後はこれら国内取り組みに加え、海外での戦略を拡げていきます。
戦略1 R100ペットボトル
当社グループでは、2019年に制定した「プラスチックポリシー」に従ってリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の採用を順次拡大しております。
このリサイクルPET樹脂は石油由来樹脂使用量を90%、GHG排出量を50~60%削減することができます。
2014年に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」のパッケージの一部にリサイクルPET樹脂を使用しはじめ、その後、2019年にリサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を「キリン 生茶デカフェ」に初めて採用し、R100ペットボトル採用製品を拡大しております。
戦略2 ケミカルリサイクルの拡大
2025年4月から、業界を超えた9社で連携し、飲料用ペットボトルと非食品用途PETを原料とするケミカルリサイクルにより、化粧品や飲料などの各種ペットボトルへリサイクルする取り組みを開始しました。本取り組みは、飲料用ペットボトルのケミカルリサイクル原料の一部を非食品用途PETへ拡大していくことで、これまでのリサイクルでは十分なプラスチックの資源循環には至らないという課題に対応することを目的としております。なお、非食品用途PETを原料に、飲料用ペットボトルとして再生する取り組みは国内初です。
2023年から、キリンビールが飲食店で展開する「Tap Marché(タップ・マルシェ)」及び「TAPPY(タッピー)」のビールサーバー用容器として使用している3Lのペットボトルにおいて、ケミカルリサイクル樹脂を導入しました。酒類のペットボトルにおいてケミカルリサイクル樹脂を導入するのは、日本初です。さらに、2025年12月から、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」で使用する1Lペットボトルにもケミカルリサイクル樹脂の導入を拡大しました。
戦略3 使用済みペットボトル回収の社会システム構築
当社グループは、PETボトルリサイクル推進協議会の一員として、ペットボトルのリサイクルを推進しております。PETボトルリサイクル推進協議会の第4次自主行動計画(2021~2025年度)では、リサイクル率85%以上の目標に向けて取り組んでおります。2024年のリサイクル率は85.1%で、目標を達成しました。
キリンビバレッジでは、自動販売機横に清涼飲料業界統一仕様の異物混入を削減する新機能リサイクルボックスを2022年10月より導入開始し、2024年末には累計2万個以上を設置しました。今後も業界とともにボトルtoボトル水平リサイクルの取り組みを推進していきます。
<財務的影響>
自然資本リスク(容器包装)について、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会への対応戦略、並びにリスク及び機会対応のために発生する財務的影響は以下のとおりです。
当年度においては、リスクは顕在化しておりませんが、バージンプラスチック使用に対する規制への対応コスト増加の影響が中期に及ぶ可能性があります。また、プラスチックの取扱い及び廃棄などに関連した指摘によるレピュテーションリスクが生じ、売上が減少する可能性があります。なお、リスクが顕在化した場合、どの程度の既存顧客に影響を及ぼすかを見積もることが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。
*1:当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると見込む短期・中期・長期の時間軸について、短期を当年度末後1年、中期を2年から3年、長期を4年から10年と定義しておりますが、リスク及び機会対応のために発生する財務的影響の記載に当たっては、短期・中期・長期の数値の傾向を把握できるよう、短期は1年後、中期は3年後、長期は10年後の単年度に発生する数値を記載しております。
*2:CF影響を正確に算出することが困難であるため、PL影響とBS影響の合計額を記載しております。
<短期、中期及び長期にわたる財政状態の変化見込み>
移行リスクの投資計画に加え、今後、サーキュラーエコノミーに関する移行計画も合わせて検討し、統合的な計画として投資を計画します。なお、上記のリスクが、翌年度に関連する財務諸表で報告される資産及び負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じさせることはないと考えております。
(エ)戦略―レジリエンス
レジリエンス評価に用いた気候変動に関するシナリオ分析、自然資本に関連する分析評価の詳細については、「(イ)リスク管理」をご参照ください。
(ⅰ)気候変動(物理リスク、移行リスク)
(a) 気候変動レジリエンス
認識したリスクに対し、戦略を策定し実行することで、グループの持つ強みを活かした対応により不確実性を減らし、経営のレジリエンスを高めます。
(b) 経営戦略、ビジネスモデルへの影響
1)物理リスク
製造拠点(工場)における水リスク・水ストレスなどを、最新のデータ(Aqueduct4.0)で検証した結果、全体的にリスクレベルが上がっていることがわかりました。農産物に関しても、気候変動の対策を十分行わない場合(シナリオ3に該当)では、2050年(一部は2100年)の段階で、主要な原料農産物の収量や水リスク・水ストレスによる大きな影響は避けられないと判断しております。しかしながら、従来から行っている戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
2)移行リスク
カーボンプライシングによるエネルギー費用へのインパクトについて、早期に「SBT1.5℃」目標を達成することで46億円(2030年、2℃シナリオ)のエネルギー費用削減効果があると試算されました。2050年までにネットゼロを達成できない場合は、カーボンプライシングのエネルギー費用への影響は無視できないレベルになる可能性があります。農産物価格へのカーボンプライシングによる財務インパクトの試算結果は、気候変動の物理的な影響による農産物価格の財務インパクトと同程度となっております。これらリスクに対し、当社グループでは2050年の「SBTネットゼロ」目標に整合したロードマップを作成し、これに基づいたGHG排出量削減戦略の着実な実行を進めております。戦略実行における投資では、内部炭素価格を用いた試算による投資判断、トランジション・リンク・ローンなどによる資金調達、高品質なカーボン・クレジット採用に向けた環境整備により、コスト増のリスクを最小化した上での「SBT1.5℃」目標達成に向けた取り進めを行っております。これら従来の戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
(c) 重大な不確実性のある領域
さまざまなシナリオとそれに伴う気候関連の影響をモデル化する際には、多くの不確実性や判断が必要となります。当社グループの気候レジリエンス評価において考慮された重要な不確実性の領域は以下のとおりです。
1)異なるシナリオにおける利益への潜在的な影響
TCFDガイダンスで求められたシナリオ分析へいち早く対応すると共に、複数のシナリオ下にて潜在的な財務影響を推定してきました。例えば、水リスクにおいて、過去の洪水災害による財務インパクト実績(10~50億円相当)に対し、製造拠点の水リスクをAqueduct4.0および自治体が作成しているハザードマップなどを使用した調査・分析や、風水害シミュレーションシステムを利用した洪水リスクの損害予想把握を進めています。ただし、シナリオ分析で想定した気候変動による影響と、算定した財務影響の推定が、将来の気候変動による実際の影響と異なる場合があります。
2)将来の洪水の頻度と強度
気候変動、特に温室効果ガス排出量の増減がグループの主要供給地域における渇水や大雨洪水の頻度と強度にどのように影響するかについては大きな不確実性があります。これらの不確実性は、気候予測の変動性や、気象パターンの変化や気候条件の進化による降雨量の予期しない変化から生じます。
(d) 戦略とビジネスモデルの調整にかかるケイパビリティ
グループの戦略とビジネスモデルは、最も可能性の高い基準シナリオ(前述のシナリオ1)に基づいており、これには適応計画や行動が含まれます。これらの適応計画と行動には、代替材料や生産プロセスの探索、サプライヤーの多様化、これらの取り組みを支援するためのリソースの再配分が含まれます。グループのアプローチは機敏さを保つことであり、気候変動に対応するための戦略とビジネスモデルの調整・適応能力を以下のように評価しております。
1)資金の利用可能性と柔軟性
当社グループには有事の際(気候変動に起因する災害発生も含む)、必要な資金を調達するための仕組みと、そのガバナンスが存在します。
長期短期の様々な資金調達手法を行っており、必要に応じた短期資金としての流動的調達も含め、柔軟な対応が可能です。
2)既存資産の再配置、再利用、性能向上(アップグレード)
資源の再配置、再利用などの判断をするメカニズムがグループ内には存在しており、シナリオ分析においても十分な資産を備えていると評価しております。そのため、短期的には資産を大規模に再配置、再利用、又はアップグレードする必要はないものと見込んでおります。
当該メカニズムが機能した事例としては、例えば、浸水被害を受けた製造拠点に替わって近隣の製造拠点で製造量をカバーし財務への影響を最小限にとどめたケースがあります。また、当該メカニズムを可能とする具体的な施策としては、複数製造拠点の保有、BCP観点を踏まえた調達システムの整備、などが挙げられます。
3)気候関連の緩和、適応、及び機会への投資
気候変動の緩和を目的として、Scope1+2、3の排出削減率目標達成に向けた施策の実行に伴い、必要な投資の整理と財務への影響を試算したうえで、投資を実行して施策の推進を図ります。詳しくは「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。この際、トランジション・リンク・ローンによる資金調達を実施し、設備投資などの資本投下によってScope1+2,3の排出量は確実に削減されております。Scope1+2の排出削減率目標達成のために「省エネ」「再エネ拡大」「エネルギー転換」に取り組んでおり、例えば「省エネ」はヒートポンプの導入にてエネルギー効率向上+電化(再エネ使用)の推進に投資をしております。削減は計画通りに進んでおりますが、2030年以降は水素エネルギー転換に向けた投資計画があり、さらに当社グループのケイパビリティを高めます。Scope3の排出削減率目標達成のために、資材の軽量化の取組みや、研究開発要素としてGHG低減を見込んだ原料の探索・開発・製品への展開にも、継続した投資を実行しております。今後の投資予定としては、自社敷地内の再エネ導入の拡大、EV・燃料電池トラックへの切り替えなどを検討しております。
4)リスク及び機会の間のトレードオフの考慮
当社グループはリスクに対する単独の解決策ではトレードオフのリスクがあることを認知しており、ランドスケープアプローチを採用するなど、課題を多面的にとらえながら取組を推進しております。例えば、新たな再生可能エネルギー電源を世の中に創出する「追加性」と、環境負荷や人権に配慮したエネルギーを利用する「倫理性」はトレードオフとなる可能性があることを認識し、再エネ採用及び調達時にはこれらを重視したチェックポイントを含むキリングループ環境価値導入方針に則って事前調査を行っております。これまでの事前調査ではトレードオフとなる事象は顕在化していません。
(ⅱ)自然資本(原料・容器包装)
(a) 自然資本(原料)レジリエンス
気候変動のシナリオ分析(詳細は(イ)リスク管理(ⅱ)リスクの識別をご参照ください)の結果において、農産物の収量減がリスクとして挙がっていますが、(b)経営戦略、ビジネスモデルへの影響 1)で示す通り、従来から行っている戦略により、現時点においてビジネスモデルを変更する必要はないと考えております。
また、「自然関連への事業の依存度」「事業が自然に与える影響度」の評価結果に加え、EUDR(European Union Deforestation Regulation)やSBTN(Science Based Targets Network)リストの集載の有無、調達量、戦略上の優先順位、を総合的に判断し、今後より詳細なリスク・機会の評価を行うべき優先農産物を特定しました。現在、 LEAPアプローチに沿って優先農作物の詳細な分析を進めております。LEAPアプローチに沿った分析の先行事例であるスリランカの紅茶農園のケースからはリスク低減・機会獲得の観点からも、レインフォレスト・アライアンス認証取得支援や、リジェネラティブ・ティー・スコアカードの普及が有効であると考え、目標を達成するための指標の1つとしております。
これから更にLEAPアプローチに沿った分析を進める中で、対応戦略やビジネスモデルの見直し要否を検討してまいります。
(b) 自然資本(容器包装)レジリエンス
自然資本(容器包装)の負の影響に関する当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクが発生すると見込む時間軸から、同課題に関する当社グループのレジリエンスは中期の時間軸で評価を行っております。当社グループでは、「容器包装」に関する大きな社会課題の1つである「プラスチック廃棄物課題」の解決に向けた取り組み方針「キリングループ プラスチックポリシー」を2019年に策定し、プラスチックが抱える本質的な課題を把握し、グループ各社が提供するプラスチック容器包装等に対する適切な取り組みを迅速に進めることで、プラスチックの持続可能な使用及び資源の循環を推進しております。バージンプラスチック使用に関する規制の導入による使用制限や、リサイクル材料の使用義務化が生じた場合でも、これまでに培ってきたリサイクルプラスチックの採用技術や、その他素材も対象とした容器包装開発力を活かし、バージンプラスチックの使用量を減らすことでその影響を小さく止める方針です。当社グループは、自社内で容器包装の開発や改良、その課題解決を行うパッケージイノベーション研究所を保有しております。その強みを生かし、容器包装の変革を通じて、サーキュラーエコノミーの実現に貢献することを目指しています。容器包装の軽量化などでScope3排出量の約12%を占める輸送のGHG排出量を削減するとともに、ケミカルリサイクルの拡大や社会全体でプラスチックが循環する社会の構築にも取り組み、サーキュラーエコノミーに貢献します。
以上のビジネスモデルへの影響度分析を実施した結果、中期的に自然資本(容器包装)の負の影響が当社グループの想定を超えて発生した場合でも、当社グループは当該不確実性の顕在化に対応する能力を有しており、自然資本(容器包装)に関する当社グループの現在のビジネスモデルを変更する必要はないと評価しております。
なお、自然資本(原料)および自然資本(容器包装)のレジリエンスへの対応にあたっては、短期的なコストの増加や選択肢間の優先順位といった制約(トレードオフ)が生じる可能性があることを前提としております。当社グループではこうした前提条件を踏まえつつ、中長期的なリスクの低減及び事業レジリエンスの向上を重視した選択、意思決定を行っております。
(オ)指標及び目標
当社グループは、社会的価値と経済的価値を創出するCSV経営の実現に向け、非財務目標を事業会社及び主管部門と連携して設定しております。目標は、グループとしての「目指す姿」および重点テーマに基づき年度計画プロセスで整合性を確認し、翌年度に注力すべき項目は役員報酬と連動する重点非財務指標として取締役会の監督のもと決定しております。進捗は四半期ごとに集約し、CSV戦略部で統合した上で全社的にレビューし、評価結果は役員報酬の非財務評価にも反映されます。
(ⅰ)物理リスク
当社グループは、以下のとおり、物理リスクに関連する目標を設定しております。
これらの目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:特段の記載が無い場合、目標の対象は当社グループ全体を指しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
指標は絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
目標は相対指標(%)であり、第三者によって認証されておりません。
*3:指標及び実績と目標値の単位が異なるため直接の比較ができないことを認識しております。今後、単位を揃えた管理に移行予定です。本年実績は目標に対し計画に沿って順調に推移していることを確認しております。
*4:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
*5:FB-AB-140a.1, FB-NB-140a.1, FB-PF-140a.1
*6:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
水ストレスが高い製造拠点における用水使用原単位は、当社グループの中期経営計画における経営目標と一致しております。
調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)による物理リスク(脆弱な事業活動)において、脆弱な比率はビール大麦やホップ、トウモロコシが高い結果となりました。しかしながら、生産地への依存性が高く代替品調達の困難な紅茶葉の調達リスク(気候変動による農産物の収穫減のリスク)に対する戦略を設けており、指標及び目標においては紅茶葉を中心として設定しました。なお、“調達先の分散”も物理リスクに対する戦略の1つですが、調達戦略からも影響を受け非財務情報の観点だけでは管理できないため、指標設定はしておりません。
<目標設定についての補足説明>
目標、指標、及びその方法論は第三者によって検証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
物理的リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
(ⅱ)移行リスク
当社グループは、移行リスクに関連する目標を設定しております。これらの目標のうち、脱炭素社会への移行リスクに対する目標は、パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組みに沿って、2030年度の中間目標として設定したものです。当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:特段の記載が無い場合、目標の対象は当社グループ全体を指しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
相対指標であり、第三者によって認証されておりません。
SBTiのコーポレートネットゼロ基準に沿った温室効果ガス排出削減目標を設定しています。ただし、SBTiにおけるセクター別アプローチに当グループが該当する設定がないことから、セクター別脱炭素アプローチを用いた算定はしておりません。
*3:「ネットゼロ(2050年)」目標の内訳として、基準年比△90%のグロス目標を掲げております。
*4:FB-AB-130a.1, FB-NB-130a.1, FB-PF-130a.1
*5:FB-AB-000.B, FB-NB-000.B, FB-PF-000.B
当社のGHG排出量削減は、SBTi基準に沿ったScope1+2及びScope3の目標を設定しており、2020年に「SBT1.5℃」目標、2022年には「SBTネットゼロ」目標の認定を取得しております。このため、Scope1+2削減率及びその目標は、管理している範囲がSBT認証取得における事業活動の範囲となり、SSBJ基準が開示を求める集計範囲とは異なります。SSBJ基準が開示を求める集計範囲でのGHG排出量については以下の≪産業横断的指標― GHG排出量≫をご参照ください。また、Scope1+2の削減率及び目標は当社グループの非財務指標と一致しております。再生可能エネルギー比率は当社グループのローリング方式の3年経営計画における経営目標と一致しております。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
移行リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
≪産業横断的指標― GHG排出量≫
(a) GHG排出量算定にかかる前提
1) 目標数値の時間軸について
GHG排出量にかかる目標数値については、その影響がその他のリスク及び機会よりも長期間にわたると考えられること、及び、ネットゼロに関してはSBTとしての認定を取得し、その時間軸に合わせた移行計画「キリングループ環境ビジョン2050」を設定していることから、時間軸を以下のように設定しました。
短期(2025年から2027年まで)
中期(2028年から2030年まで)
長期(2031年から2050年まで)
このため、ネットゼロおよびグロス目標の目標年はそれぞれ2050年、2030年に設定しております。
2) 報告バウンダリ(データ収集範囲)
当社グループの集計範囲は、GHGプロトコルにおける経営支配力アプローチに基づいております。当社グループは、当該アプローチを使用することが、グループの温室効果ガス排出量を測定するための最も適切な方法であると考えております。これは、所有権の有無にかかわらず、オペレーションの管理を行っている事業体や資産が複数存在し、これらを含めて測定することが当社グループの温室効果ガス排出量の実態を適切に表すと考えられるとともに、指標及び目標に関する開示目的と関連しているためです。
グループがオペレーションの管理を行っている事業体、資産、オペレーション活動自体からのGHG排出量は、保有割合にかかわらず、グループが報告する温室効果ガス排出量に100%の数値で含まれます。これらはScope1又はScope2の温室効果ガス排出量として報告されます。また、これらの事業体、資産、及びオペレーションのバリューチェーンで発生する追加の排出量は、Scope3の排出量として報告されます。グループがオペレーション管理を行っていないバリューチェーン内の事業体、資産、及び運用からの温室効果ガス排出量の関連部分は、グループのScope3排出量の一部として報告されます。
3) 測定アプローチ、インプット及び仮定
Scope1
「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「『GHGプロトコル(2004年)』」という)に従い、活動量×排出係数×地球温暖化係数、又は活動量×CO2相当量に変換されている排出係数、で算定しております。なお、当社グループはSBTにおける特定の事業セクターに該当しないため、Sectoral Decarbonization Approach(SDA)による算定は実施しておりません。
当社グループでは、すべての排ガスの濃度・流量を測定して排出量を算出するなど、温室効果ガス排出を直接測定していないため、以下の見積りの方法に基づきScope1温室効果ガス排出を測定しております。
<算定ガス・活動量>
当社グループにおけるScope1排出の発生要因は、主として①化石燃料の燃焼(工場設備、製品輸送(自社輸送)、営業車両)に伴うCO2、CH4及びN2O排出、②化石燃料由来の購入CO2の大気放出、③冷媒使用機器からのHFC及びPFC漏洩、④排水処理に伴うCH4及びN2O排出です。
上記の排出に対し、活動量は当該年度の①燃料使用量、②化石燃料由来の購入CO2の大気放出量、③冷媒使用機器からのHFC及びPFC漏洩量、④処理前排水に含まれる汚濁負荷量及び窒素量です。
<排出係数>
原則として当年度末時点で入手可能な最新の排出係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
オーストラリア:Australian National Greenhouse Accounts Factors
ニュージーランド:NZ Ministry for the Environment. Measuring Emissions guide
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
Scope2
「GHGプロトコル(2004年)」に従い、活動量×排出係数×地球温暖化係数、又は活動量×CO2相当量に変換されている排出係数、で算定しております。なお、当社グループはSBTにおける特定の事業セクターに該当しないため、SDAによる算定は実施しておりません。
開示はロケーション基準により行っており、主要な利用者の理解に情報をもたらすために必要な契約証書があるため、マーケット基準による排出量についても開示しております。なお、当社グループでは、すべての排ガスの濃度・流量を測定して排出量を算出するなど、温室効果ガス排出を直接測定していないため、以下の見積りの方法に基づきScope2温室効果ガス排出を測定しております。
<算定ガス・活動量>
当社グループにおけるScope2排出の発生要因は、他社から供給された電力・蒸気・温水・冷水の使用に伴うCO2、CH4及びN2O排出です。活動量は当該年度に他社から供給された電力・蒸気・温水・冷水の使用量です。
<排出係数(ロケーション基準)>
ロケーション基準では、各国の供給系統の平均係数を用いております。ロケーション基準は系統全体の排出強度を反映するため、地域の電源構成に伴うリスクや機会を示す指標として活用しております。なお、他社から供給された電力の排出係数について、環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数を用いる場合は、送配電ロス率を加味して送電端ベースの係数にし、発電時のCH4・N2O排出量も加味した上で使用しております。
原則として当年度末時点で入手可能な最新係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
<電力>
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数
上記以外の国:国際エネルギー機関(IEA)「Emission Factors」
<蒸気>
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
<温水・冷水>
全ての国:環境省・経済産業省「熱供給事業者別排出係数」の代替値
<排出係数(マーケット基準)>
マーケット基準では、各供給事業者が公表する排出係数を用い、無い場合は各国の供給系統の平均係数を用いております。なお、他社から供給された電力の排出係数について、環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」を用いる場合は、送配電ロス率を加味して送電端ベースの係数にし、発電時のCH4・N2O排出量も加味した上で使用しております。
再生可能エネルギー電力または蒸気(証書活用のみなしを含む)は、排出係数をゼロとして算定します。当社グループは、非化石証書やREC/I-REC等を活用して再生可能エネルギーを調達しております。証書は、①事業所と同一電力市場で発行されていること、②発電期間が対象年度の6か月前から3か月後の範囲内であることを確認したうえで採用しております。
原則として当年度末時点で入手可能な最新係数を使用します。地球温暖化係数は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書における係数を使用しております。ただし、使用する排出係数が、既に構成する温室効果ガスをCO2相当量に変換したものである場合、当該係数を使用しております。
<電力>
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」における、利用する電力会社の該当するメニューの基礎排出係数
上記以外の国:各供給事業者が公表する排出係数
上記が無い場合:
日本:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の全国平均係数
上記以外の国:国際エネルギー機関(IEA)「Emission Factors」
<蒸気>
アメリカ:U.S. EPA Emission Factors Hub
上記以外の国:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」係数
<温水・冷水>
全ての国:環境省・経済産業省「熱供給事業者別排出係数」の代替値
温室効果ガス排出量の定量化は、活動量データの測定、及び排出係数の決定に関する不確実性並びに地球温暖化係数の決定に関する科学的不確実性にさらされております。
≪産業横断的指標― 資本投下及び内部炭素価格≫
「(ウ)戦略 (ⅱ)気候変動リスク― 移行リスク 投資計画及び処分計画」をご参照ください。
(ⅲ)自然資本(原料)
当社グループは、持続可能なサプライチェーン強化に関連する目標を設定しております。
これらの目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
絶対指標であり、第三者によって認証されておりません。
目標の対象となるグループ全社の社数は2025年末時点の社数を記載しております。
*2:本指標はSSBJ基準以外の情報源から得た指標を調整したものではありません。
相対指標であり、第三者によって認証されておりません。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
自然資本(原料)リスクの低減に向けて、いずれも計画通り進捗しております。
(ⅳ)自然資本(容器包装)
当社グループは、リサイクルPET樹脂利用に関連する目標を国内対象に設定しており、今後海外含めた設定を予定しております。
本目標は当社独自の目標として開発されたものです。また当社グループは、以下に示すように設定された目標に対するパフォーマンスを測定するためのパフォーマンス指標を設定しております。
*1:FB-AB-410a.1, FB-NB-410a.1
集計範囲はキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの3社。
*2:FB-AB-410a.1, FB-NB-410a.1
集計範囲はキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、Lion、New Belgium Brewing Company, Inc.、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.、Interfood Shareholding Company、Vietnam Kirin Beverageの8社。
<パフォーマンスの傾向又は変化についての分析>
国内におけるリサイクルPET樹脂の目標達成に向けて、計画通り進捗しております。
3 【事業等のリスク】
(1) リスクマネジメントの考え方
キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える機会・脅威それぞれの不確実性を「リスク」、ある時点を境に脅威のリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、お客様、従業員、株主および社会から長期的な信頼を獲得できるよう、以下の考え方のもとリスクマネジメントシステムを構築・運用することで、事業活動上で発生するさまざまなリスクを特定し、適切にコントロールしていくことを基本方針としています。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。
(基本方針)
① 経営理念および価値観のもと、経営目標の達成や企業の継続性を確保し、企業の社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上を目的として、リスクマネジメントを実行する。
② 戦略とリスクを一体で検討を行い、適切なリスクテイクを実現する。
③ リスクマネジメントの推進のため、組織や仕組みを整え、環境変化に柔軟に対応できる組織能力の向上を図る。
④ 平時からリスクの洗い出しを行い、企業活動に伴うさまざまなリスクを把握の上、リスクの特定・分析・評価・対策+モニタリングを行い、リスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行っていく。
⑤ リスクマネジメントは全社員が参画して取り組む活動であるとの認識を持ち、教育や訓練等の啓発活動を通じて、リスクへの感度の醸成を図る。
⑥ クライシスに対しては、未然防止を徹底するとともに、早期発見、迅速な報告・情報共有・対応を通じ、影響を最小化する。クライシスの対応後には、その発生要因・対処法などを分析し、再発防止に努める。
⑦ 会社におけるリスクの内容や対策等のリスク情報について、適時、ステークホルダーに対し適切な情報開示を行う。
また上記方針に加え、リスクに対する基本姿勢を作成し「リスクコントロールしつつ取りに行くリスク」と「取らないリスク」を明確にすると共に、リスクの許容度を設定することで、リスクマネジメントを通じた事業の継続的な成長を後押ししています。(図1)
(図1)

(2) リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリング
キリングループでは、当社の常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やグループリスクマネジメント方針・重点課題の立案、リスク低減だけでなくリスクテイクも含めた戦略とリスク一体検討の推進、クライシス発生時の情報共有や対策の検討など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図2)
グループ重要リスクは、グループ全体の目標や戦略・事業遂行に関するリスクだけでなく、それぞれの事業固有のリスクの両面からリスクを集約して作成しています。各リスクについては、定量・定性の両面からグループに与える影響度を評価すると共に、発生確率を考慮し、影響度と発生確率の両軸でリスクの重要度を設定します。さらに重要リスクはリスクマップ上で一元化して管理を行っています。グループリスク・コンプライアンス委員会では、作成したグループ重要リスクについて議論し、それぞれのリスクへの対応、許容度などについて議論を行います。またこれらのグループ重要リスクは取締役会で審議され、状況変化の確認や対策の見直しを行っています。(図3)
当社およびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。(図4)
(図2)

(図3)

(図4)

(3) キリングループの主要なリスク
キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要な事項について、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類して記載しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。
① 各事業領域におけるリスク
② 各事業領域共通のリスク
上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクを認識した上で、発生の未然防止・速やかな対応に努めてまいります。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体の状況
2025年、世界は引き続きめまぐるしく変化し、当社グループを取り巻く経営環境にも大きな影響を及ぼしました。世界各地の消費マインド低迷に加え、健康意識の高まりによりアルコールや砂糖等の消費に対する規制や抑制の動きが強まり、事業環境は一段と厳しさを増しました。AIの進歩により人々の価値観や生活様式は急速に変化し、気候変動や各地での紛争、米国をはじめとする政権交代による経済の不安定化等、変化を的確に捉えた経営が必要とされてきています。
こうした状況下で、当社グループは、一貫してCSVを経営の根幹に据えることにより長期的かつ持続的な成長を目指すとともに、環境変化に迅速かつ柔軟に対応するため、2025年度より、3年計画を毎年見直す新たな経営サイクルに移行しました。
また、酒類・飲料・医薬の各事業に加え、健康課題の解決を事業機会とするヘルスサイエンス事業をグループの成長ドライバーとすることを目指してきました。2025年は、㈱ファンケルの100%化完了と、協和発酵バイオ㈱のアミノ酸事業等の売却を行ったことで収益性が改善し、ヘルスサイエンスの成長への事業基盤が整いました。既存の酒類・飲料・医薬事業も堅調に推移し、計画を上回る成果を創出した結果、連結事業利益は3年連続で過去最高を更新しました。
ESGの取り組みにおいても、外部機関から高い評価を獲得しました。ESG指標のMSCI ESGレーティング※では、世界的なCSV経営先進企業と並ぶ「AA」評価を5年連続で獲得しました。
また、当社は、第7回「日経SDGs経営調査」における「SDGs経営」総合ランキングでは、7年連続最高位を獲得し、その中でも1社のみに与えられる最上位の「大賞」を受賞しました。
※ 米国モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が、環境、社会、ガバナンスのリスクに対する回復力を測定し、AAA-CCCで評価する格付けです。
LION PTY LTDは、社会・環境パフォーマンス、説明責任、透明性等において高い基準を満たした企業の一員として「B Corp」認証を受けました。北米のNew Belgium Brewing Company, Inc.及び豪州のBlackmores Limitedも認証されており、グループの海外主要事業会社の取り組みも高く評価されています。
(重要成果指標)
当年度の連結売上収益は、各事業の順調な進捗及び㈱ファンケルの通年寄与等により増加し、過去最高となりました。連結事業利益は、日豪の酒類事業をはじめとした各事業の順調な進捗及び㈱ファンケルの通年寄与、協和発酵バイオ㈱構造改革の早期実現等ヘルスサイエンス事業の収益性向上により大幅な増益となり、過去最高益を更新しました。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の増加等により、前期比2.5倍以上の大幅な増益となりました。
重要成果指標について、ROICは、当期利益の増益により年初目標を達成し7.6%となりました。EPSは、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加に伴い大幅に増加し、前年より110円増加の182円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりです。
<酒類事業>
キリンビール㈱は、2026年のビール類酒税一本化をはじめとする酒税改正を見据え、主力ブランドを中心に投資を強化し、魅力あるブランドポートフォリオの構築に取り組みました。人口減少・高齢化のトレンドは継続し販売数量は減少しましたが、ブランド構成の見直しと価格改定効果、費用管理の徹底により、売上収益・事業利益ともに前年を上回りました。
ビールカテゴリーでは「一番搾り」ブランドが堅調に推移しました。4月発売の「一番搾りホワイトビール」と、「一番搾り糖質ゼロ」を加えた3つの異なる個性をもった商品群で店頭のプレゼンスを高めることで、基盤の「一番搾り」も好調を維持し、ブランド全体で前年を上回りました。
また、10月発売の「キリングッドエール」は発売から8日で当初目標の60万ケースを超え、年間販売数量が130万ケースを突破する大ヒットとなり、ビールカテゴリーの活性化と、高付加価値商品の拡充につながりました。
クラフトビールでは、3月に「スプリングバレー」のロゴ・パッケージ・商品名を刷新し、「スプリングバレーブルワリー」として大規模にリブランディングを実施しました。
ノンアルコールでは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール史上最もビールに近い味を実現し、未充足だった「本格的なおいしさ」への需要に応えることで、ノンアルコール市場の更なる活性化に寄与し、売上及び利益率の改善に貢献しました。
RTDカテゴリーは、「キリン 氷結®無糖」シリーズが金額ベースで対前年2桁%増と好調に推移し、「キリン 氷結®」ブランド全体を牽引しました。
また、ビールの鮮度を維持し、フードロス削減にも貢献する次世代ビールサーバー「TAPPY(タッピー)」の導入が進み、導入店舗数は3万店を突破しました。「キリンビール 晴れ風」をラインアップに加えるなど、業務用需要の喚起とビール市場の活性化にも貢献しました。
LION PTY LTDは、豪州ビール市場が微減で推移する中、販売数量が前年を上回り、売上収益は現地通貨ベースで前年並み、事業利益は現地通貨ベースでも、円ベースでも増益となりました。クラフトビールの高価格ブランド「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」や健康志向を捉えた「Hahn(ハーン)」ブランドが好調に推移しました。適切な価格戦略に加えて、構造改革による固定費削減が奏功し、収益性の向上を実現しました。拡大するRTD市場では、2024年に販売開始した「Hyoketsu(ヒョウケツ)」が、複数フレーバーの展開により好調に推移し、新たな成長機会の創出につながっています。
北米では、クラフトビール市場の縮小や原材料費の高騰という厳しい環境の中、New Belgium Brewing Company, Inc.の「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」ブランドは堅調に推移し、市場平均を上回りました。また、「一番搾り」は北米でのブランド強化と物流効率化をグループ内で行うことを目的に、New Belgium Brewing Company, Inc.での製造・販売体制への移管を完了しました。
なお、LION PTY LTDは、2025年9月まで豪州・ニュージーランド・北米を統括してきましたが、10月以降はオセアニアに集中するマネジメント体制に変更しました。
これらの結果、売上収益は0.6%減少し1兆753億円となりました。また、事業利益は、価格改定やコストコントロールにより9.1%増加し1,354億円となりました。
<飲料事業>
国内飲料市場が縮小する中、キリンビバレッジ㈱は、主力ブランド「午後の紅茶」の強化に加え、免疫ケアを中心としたヘルスサイエンス飲料の拡大に注力することで、収益性の改善に取り組み、増収増益となりました。
「午後の紅茶」ブランドは、「キリン 午後の紅茶おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン/おいしい無糖 ミルクティー」をリニューアルするとともに、「夏のアイスティー/冬のホットミルクティー」といった季節を捉えたコミュニケーションで、年間を通じた紅茶需要の維持・拡大に取り組みました。また、9月に新商品「キリン 午後の紅茶FRUITS & ICE TEA」を発売し、紅茶トップブランドとして紅茶の新価値を提案することで、紅茶市場の活性化を図りました。
ヘルスサイエンス飲料では、「プラズマ乳酸菌」入りの飲料の拡売に注力しました。「iMUSE(イミューズ)」ブランドからは3月に「キリン イミューズ オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」を新たに発売、「キリン おいしい免疫ケア」シリーズからは11月に「キリン おいしい免疫ケア +ダブルビタミン」を新たに発売し、「プラズマ乳酸菌」入り飲料の選択肢を広げることで、日常的な健康意識の高まりに応える取り組みを進めました。また、6月には子ども向けプラズマ乳酸菌飲料「キリン つよいぞ!ムテキッズ」を一部で発売し、ユーザー層の拡大にも取り組みました。販売店拡大や商品ラインアップ拡充によりお客様接点が広がり、「免疫ケア」という生活習慣の定着に貢献しました。
北米で事業を展開するCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.では、炭酸飲料を中心に販売が堅調に推移し、原材料費が上昇する中でも、高い収益性を維持しました。価格マネジメントに加え、営業活動により販売数量を安定的に確保し、売上収益は前年を上回りました。更に、これまで進めてきた物流拠点への設備投資の効果で、オペレーションの効率化が更に進んだこと等により、現地通貨ベースでも円ベースでも増益となりました。
これらの結果、売上収益は2.4%増加し5,782億円となりました。また、事業利益は、価格改定や販売費等のコストコントロールにより5.8%増加し677億円となりました。
<医薬事業>
協和キリン㈱は、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)」及び「Poteligeo(ポテリジオ)」の上市国・地域の拡大や市場浸透に取り組み、着実に成長しました。為替の影響や日本国内の薬価改定、更に前年に実施したアジア・パシフィック地域の事業再編に伴う売上減少の影響があったものの、全体としては増収増益となりました。
開発パイプラインでは、急性白血病の治療を目的とする「ziftomenib( 米国製品名:KOMZIFTI)」は米国において承認されました。また、バイオ医薬開発の更なる加速化に向け建設中であった高崎工場HB7棟の竣工や北米でのバイオ医薬品原薬製造工場の建設等、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして持続的な成長を実現するための取り組みを着実に進めました。
これらの結果、売上収益は0.2%増加し4,965億円となりました。また、事業利益は11.4%増加し1,023億円となりました。
<ヘルスサイエンス事業>
世界的に健康意識が高まる中、2025年も栄養補助食品市場は拡大が続きました。ヘルスサイエンス事業ではアジア・パシフィック地域を中心としたお客様の健康課題の解決に向けて、サプリメントや健康食品、スキンケアの各分野で事業基盤の強化を推進しました。協和発酵バイオ㈱のアミノ酸事業等の売却完了や㈱ファンケルの通年での連結取り込みが寄与し、ヘルスサイエンス事業は黒字化を達成し、将来成長に向けた基盤が整いました。
㈱ファンケルでは、スキンケアを中心とした化粧品事業において、主力の「マイルドクレンジング オイル」の販売が堅調に推移したほか、「アテニア」ブランドが国内外で売上収益を伸ばしました。「アテニア」ブランドの「スキンクリア クレンズ オイル※」は、日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosmeの「ベストコスメアワード」において、スキンケア部門では史上初となる、2年連続の総合大賞を受賞しました。サプリメント事業では、海外における年代別サプリメントの販路拡大やマーケティング手法の見直しが奏功し、全体の成長を牽引しました。
Blackmores Limitedでは、主力ブランドである「Blackmores(ブラックモアズ)」や、薬剤師等により販売されるブランド「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の販売が好調に推移しました。オセアニア、東南アジア・韓国及び中国の全ての展開エリアで売上収益が前年を上回り、事業利益も増加しました。また、将来の収益性向上を目的として、豪州において分散している製造・物流拠点を集約することによりサプライチェーンを効率化する取り組みを開始しました。
プラズマ乳酸菌事業では、売上収益が前年比で約2割増と堅調に推移しました。サプリメントについては、国内の好調に加え、Blackmores Limitedの販路を活用した台湾での新商品展開等、グローバルでの「プラズマ乳酸菌」配合商品の展開を進めました。特に海外向けの菌体出荷は、販売金額ベースで前年比約5割増と大きく伸長しました。
これらの結果、売上収益は43.4%増加し2,514億円となりました。また、事業利益は、協和発酵バイオ㈱構造改革の早期実現等、ヘルスサイエンス事業の収益性向上により大幅な増益となり、111億円(前年度は事業損失109億円)となりました。
※ 「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ リフレシングシトラスの香り」が@cosme ベストコスメアワード2025 総合大賞を受賞しました。
③ 生産、受注及び販売の状況
(ⅰ)生産実績
当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 当年度より算出方法を変更したことに伴い、前年同期比は前年度の実績を再算出して計算しております。
(ⅱ)受注状況
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
(ⅲ)販売実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当年度については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
① 事業全体の状況
当年度末の資産合計は、前年度末に比べ1,399億円増加して3兆4,940億円となりました。有形固定資産、のれん及び無形資産については、協和キリン㈱における開発品導入等に伴う無形資産及び工場建設の進行に伴う有形固定資産の増加等により、前年度末に比べ1,319億円の増加となりました。
資本は、利益剰余金が702億円増加、その他の資本の構成要素が444億円増加、非支配持分が440億円減少し、前年度末に比べ614億円増加して1兆5,951億円となりました。その他の資本の構成要素の増加要因は、主に円安の影響によって在外営業活動体の換算差額が415億円増加した影響です。また、非支配持分の減少要因は、㈱ファンケルの追加取得の影響です。
負債は、前年度末に比べ785億円増加して1兆8,989億円となりました。社債の新規発行等により社債及び借入金が659億円増加しました。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は36.8%、グロスDEレシオは0.72倍となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
<酒類事業>
当年度末のセグメント資産は、設備投資による有形固定資産が増加したこと等により、前年度末に比べ660億円増加して1兆4,335億円となりました。
<飲料事業>
当年度末のセグメント資産は、設備投資による有形固定資産が増加したこと等により、前年度末に比べ384億円増加して3,647億円となりました。
<医薬事業>
当年度末のセグメント資産は、販売権及び営業債権が増加したこと等により、前年度末に比べ439億円増加して1兆566億円となりました。
<ヘルスサイエンス事業>
当年度末のセグメント資産は、棚卸資産が減少した一方で短期貸付金が増加したこと等により、前年度末並みの7,641億円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フロー及び流動性の状況
当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ174億円増加(会計方針の変更による減少107億円を除く)の1,253億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は前年同期に比べ526億円増加の2,954億円となりました。非資金損益項目である、前年度に計上した段階取得に係る差損の反動減183億円及び持分法による投資の減損損失の反動減193億円があり、運転資金の流出も123億円増加したものの、税引前利益が前年同期に比べ981億円増加の2,379億円となったこと等により、小計では384億円の増加となりました。小計以下でも法人所得税の支払額が178億円減少したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比で増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は前年同期に比べ1,444億円減少の1,850億円となりました。減少の主な要因は子会社株式の取得による支出であり、前年度に行ったOrchard Therapeutics Limitedや㈱ファンケルの連結子会社化の反動減のため、前年同期に比べ1,449億円減少の149億円となりました。また、当年度の資金の収入には、有形固定資産及び無形資産の売却による収入が81億円、政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことによる投資の売却による収入が6億円ありました。なお、有形固定資産及び無形資産の取得について、前年同期に比べ50億円減少の1,756億円を支出した他、持分法で会計処理されている投資の売却による収入は前年同期に比べ29億円減少の6億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の収支は1,105億円の支出(前年同期は581億円の収入)となりました。社債の発行による収入が1,000億円、長期借入による収入が前年同期に比べ2,689億円減少の280億円となり、社債の償還による支出が前年同期に比べ50億円増加の350億円、長期借入金の返済による支出が前年同期に比べ484億円減少の300億円となりました。なお、当年度において連結子会社である㈱ファンケルの株式を追加取得したことにより、非支配持分からの子会社持分取得による支出が818億円となりました。また、当社では当年度よりDOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とする配当を実施しており、非支配持分を含めた配当金の支払額は735億円となりました。
当社グループは資本コストを意識し、より安定的かつ持続的な配当を実現するため、DOE5%以上を目安とし、原則として累進配当を実施する配当方針を継続します。安定配当を最優先に、有利子負債返済と将来成長のための無形資産投資を実施しながら、キャッシュバランスに応じて投資や株主還元を検討していきます。
② 資本政策の基本的な方針
当社は事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。
事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。
株主還元についても経営における最重要課題の一つと考えており、1949年の上場以来、毎期欠かさず配当を継続しております。2024年度まで「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を実施し、2025年度以降は、より安定的かつ持続的な配当を実現するため、DOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とし、原則として累進配当を実施する配当方針へ変更いたしました。企業価値向上を目指す資本コストを意識した経営の一環として、株主の皆さまへの利益還元の一層の充実と資本効率の向上を図ることといたします。自己株式の取得については引き続き、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。
資金調達については、CSV経営を推進するためサステナブル・ファイナンスを活用します。調達した資金はCSVパーパスに基づいて社会課題の解決に向けた取り組みに繋げます。経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。中長期的な目標達成に必要とされる投資において、株式発行による資金調達を行う場合は、ステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。
5 【重要な契約等】
(ローン契約と社債に付される財務上の特約)
当社が締結している財務制限条項が付された主なローン契約は以下のとおりです。
6 【研究開発活動】
当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げてきました。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングの技術力をより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、酒類事業、飲料事業、ヘルスサイエンス事業においては、キリンホールディングス㈱の5研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所、微生物科学技術研究所(旧バイオプロセス技術研究所))及び各事業会社の研究所で行っています。また、医薬事業においては、協和キリン㈱が中心となりLife-changingな価値の創出を目指して研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱と協働しています。今後も、新たな長期経営構想Innovate2035!のもとで、イノベーションの源泉としての研究開発活動を、より一層推進していきます。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は1,181億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。
<全社(共通)>
キリンホールディングス㈱は、中長期的な企業価値向上を見据え、当社グループ全体に共通する研究開発活動を推進しています。環境・デジタルをはじめとする基盤技術の強化を通じ、将来の事業成長と社会課題の解決の両立を目指しています。
環境領域では、資源循環の高度化という社会課題に対応するため、PET※1のケミカルリサイクル※2の原料を非食品用途のPET※3へと拡大する際の食品安全性に関する研究※4を進め、業界を超えた連携により工場での製造試験※5を実現しました。製造したケミカルリサイクル樹脂は、キリンビバレッジ㈱にて飲料用ペットボトルの一部に採用しました。本取り組みでは、従来十分に活用されてこなかったプラスチック資源の有効活用を検討しており、プラスチック資源循環の裾野拡大と環境負荷低減に貢献する新たな価値創出が期待されます。
また、気候変動下における持続可能な原料供給を目指し、ホップ苗に高温・乾燥耐性を後天的に付与する技術を開発しました。香味品質を損なわずホップに耐性を付与できる本技術は、安定的な原料調達や農業分野の気候変動適応への貢献が期待されます。
デジタル領域では、嗜好データとAIを活用し、消費者が感じる「おいしさ」に寄与する香味成分を科学的に特定する嗜好AI「FJWLA※6」を独自に開発しました。本技術により、官能評価データや成分分析データなどを統合的に解析することが可能となり、研究開発プロセスの高度化や価値創出の加速が期待されます。さらに、嗜好データとAIを活用した株式会社日立製作所との共同研究を開始し、飲料選択や飲酒行動の要因解明に取り組んでいます。本研究を通じて、酒類にとどまらず飲料事業全般や健康増進など社会課題解決に資する知見の創出と、CSV実現への貢献が期待されます。
研究開発活動を企業価値および競争力の向上につなげる当社の知的財産活動は、事業×R&D×知的財産が三位一体となり、バリューチェーン全体を通じて経営と連携して推進する体制が評価され、令和7年度知財功労賞「特許庁長官表彰 知財活用企業(特許)」を受賞しました。知的財産活動との連動により、研究開発活動を社会的価値に繋げ、持続的な企業価値向上を目指しています。
全社(共通)に係る研究開発費は99億円です。
※1 ポリエチレンテレフタラート
※2 PETを化学的に分子レベルまで分解、精製したものを再びPETに合成する方法
※3 具体的には、電子部品を製造する際に使用された工業用PETフィルムの端材、化粧品向けのPETボトルおよび自動販売機用商品サンプルを指す。
※4 非食品用途PETを原料として食品容器へリサイクルする際の食品安全性の考え方や分析手法を整備したことで、従来は飲料用ペットボトルに限られていた食品容器向けリサイクル原料を、非食品用途PETまで拡大した。
※5 ペットリファインテクノロジー株式会社のケミカルリサイクル工場にて実施
※6 Flavor Judgment for Whole Liking Analysis
<酒類事業>
酒類事業は、キリンビール㈱、メルシャン㈱、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
ビールカテゴリーからは、6月に「キリン一番搾り 糖質ゼロ」をリニューアルしました。「ダブルデコクション製法」※1により原料のコクを引き出し、新たなホップで華やかな香りを向上させました。飲みごたえと飲みやすさを両立した、飽きのこない味わいです。10月に「キリングッドエール」を発売しました。ホップの香り成分のみを抽出した希少Cryo Hop®をキリンビール㈱の工場で初めて採用し、独自の「ブライトアロマ製法」により雑味を抑え、フルーティな香味と後味の良さを両立した満足感のある味わいのビールです。12月には、株式会社日清製粉ウェルナと共同開発した「イタリアンレッド ~トマト&パスタ~」をスプリングバレーブルワリー東京にて数量限定で提供しました。ビールの主原料である大麦の一部を食品ロスとなるパスタに置き換えたアップサイクル※2ビールです。
RTDカテゴリーにおいては、「麒麟特製」ブランドから「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」を10月に発売しました。本商品には、当社にて開発した、コーヒー生産過程で未利用となっていたコーヒーチェリー由来の発酵素材を採用しています。当素材は、飲みごたえや香味の向上に加え、コーヒー農園の持続性向上や環境負荷軽減、アルコール関連の社会課題解決への貢献が期待されます。
ノンアルコールカテゴリーからは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール初※3の脱アルコールによって、麦の旨みとホップの香り・苦味をバランスさせ、飲みごたえがありながら後キレの良い、ビールに近いおいしさを実現しました。
国産洋酒カテゴリーにおいては、5月に「キリン ジャパニーズウイスキー 富士」の通年3品(「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」)が「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2025」のジャパニーズウイスキー部門で3年連続のGOLD(金賞)を受賞しました。
ワインカテゴリーでは、11月に開催された「日本ブドウ・ワイン学会2025年大会」において、「無菌培養植物によるブドウべと病菌の継代培養技術確立」で「技術賞」を受賞しました。薬剤耐性菌が課題の果樹栽培において、無菌ブドウを用いたべと病菌の生物検定法およびべと病菌の凍結保管・継代技術を開発し、圃場特性に応じた精密な農薬選定を可能にしました。
オセアニアについては、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の技術を活用し、オーストラリアおよびニュージーランド市場の嗜好に合わせた商品開発を推進しています。キリンブランド「氷結®」について、2025年にさらなるブランド強化を目的として、フレーバーラインアップを拡充しました。具体的には、定番フレーバーとして「KIRIN HYOKETSU GREEN APPLE」を新たに投入するとともに、従来の「LEMON 6%」の味わいを維持しつつアルコール度数を抑えた「KIRIN HYOKETSU LEMON 4%」を開発しました。今後も共同して、現地市場に適合した商品開発を通じてブランド価値の向上を目指します。
7月に、キリンビールと国立大学法人筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センターは、健康に配慮した科学的根拠のある飲み方に関する総合的な共同研究を開始しました。健康志向が高まる中で「健康に配慮した飲み方」についての科学的根拠を明らかにし、節度ある飲酒文化の醸成と心豊かな社会の実現を目指します。
当事業に係る研究開発費は9億円です。
※1 麦汁の一部を煮沸させる工程を2回繰り返す製法
※2 廃材や規格外の食材等、これまでは捨てざるを得なかった物や不用品に手を加え、より付加価値のある製品へと生まれ変わらせること
※3 キリンビールが発売したノンアルコール商品で初めて
<飲料事業>
飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した飲料の開発を進めました。3月に「おいしい免疫ケア」「おいしい免疫ケア カロリーオフ」「おいしい免疫ケア 睡眠」をリニューアルし、「満足感」と「後味の良さ」を両立した味わいに加え、お客様の利便性向上と店頭での効率的な在庫管理のために、賞味期限を9カ月から12カ月に延長しました。
午後の紅茶については、3月に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズをリニューアルしました。「無糖のアイスティー」として日常的に飲用しやすくなるように、「紅茶のシャンパン」と称されるダージリン茶葉※1を一部使用し、香りのバランスを整えることで、全体のボリューム感は維持しつつ、よりすっきりとした味覚に変更しました。9月には、丸ごと搾った果汁の甘酸っぱさを爽やかな紅茶で仕立てた「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズを発売しました。
また、キリンビバレッジ㈱商品開発研究所が開発した「緑茶飲料の光劣化抑制技術」(特許出願中)を含む「緑茶飲料の光劣化機構の解明」に関する研究成果が、第34回日本清涼飲料研究会(事務局 一般社団法人 全国清涼飲料連合会)において、「全国清涼飲料連合会賞」を受賞しました。緑茶飲料における光劣化臭の生成機構を明らかにするだけでなく、PET緑茶飲料における光劣化臭の発生を抑える光劣化抑制技術も開発しました。
当事業に係る研究開発費は10億円です。
※1 「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン」は全茶葉のうち20%、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」は10%使用
<医薬事業>
協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。
(注)ロカチンリマブに関する臨床試験の中止について
協和キリン㈱は、2026年1月30日、アトピー性皮膚炎等を対象として開発中のKHK4083(一般名:ロカチンリマブ、以下「ロカチンリマブ」という。)に関するAMGEN INC.(以下「Amgen社」という。)との既存の共同開発・販売契約について、Amgen社の戦略的ポートフォリオの見直しに伴い、当該契約を終了し、協和キリン㈱はロカチンリマブの開発・商業化に関する権利を再取得しました。その後、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。
なお、「<主要開発品の開発状況>」は、2025年12月31日時点の記載であることにご留意ください。
<主要開発品の開発状況>
2025年12月31日時点
・KHK4083/AMG 451(一般名:ロカチンリマブ)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40(受容体型分子)へ選択的に作用する、T細胞リバランスを実現し得るモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの慢性炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導されることが挙げられます。選択的にOX40へ作用するロカチンリマブは、病原性T細胞の機能を抑制すること、さらにその数を減少させることにより、T細胞リバランスを促進します。特にメモリーT細胞に直接作用することにより、疾患の慢性化と再燃の抑制を期待する新規作用機序を有するプロダクトです。これにより、従来のサイトカインブロッカーやJAK阻害薬にはない、少ない投与頻度での症状コントロールを実現できる可能性があります。初期の抗体は協和キリン㈱の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、協和キリン㈱とAmgen社はロカチンリマブの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、Amgen社は本剤の開発、製造、及び協和キリン㈱が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリン㈱は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等症から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、全ての試験で被験者登録を終了しました。2025年6月までにROCKETプログラムのうち、ROCKET-Horizon、ROCKET-Ignite、ROCKET-Shuttle、ROCKET-Voyagerの結果が得られ、全てにおいて主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成しました。また、ROCKET-Ascendの中間結果のトップラインデータを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等症から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。
・ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療薬としてKura Oncology社により開発が進められてきました。2024年11月、協和キリン㈱とKura Oncology社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura Oncology社が、米国以外では協和キリン㈱が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在AMLを対象に複数の臨床試験を実施中です。2025年3月にKura Oncology社が米国食品医薬品局(FDA)にNPM1変異を有する再発・難治性の成人AMLに対する治療薬としてziftomenibの新薬承認申請を提出し、5月に受理され、11月に正式承認を取得しました。初発AMLに関しては、9月に、NPM1変異又はKMT2A再構成を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅲ相試験(KOMET-017試験)を開始しました。さらに10月には、NPM1及びFLT3変異を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅰ相試験(KOMET-007試験の1コホート)を開始しました。2025年12月に米国血液学会(ASH)年次総会にて、初発及び再発・難治性のAMLにおけるziftomenibとベネトクラクス及びアザシチジンの併用レジメンの中間データを報告しました。
・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。
・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象としてBridgeBio Pharma社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に協和キリン㈱とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。2025年11月に、日本で軟骨無形成症を対象に第Ⅲ相試験を開始しました。また、日本での軟骨低形成症の第Ⅲ相試験を準備中です。
・KHK4951(一般名:tivozanib)は、協和キリン㈱が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。
・OTL-201は、ムコ多糖症ⅢA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。
・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、協和キリン㈱のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2260は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2269は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2845は、協和キリン㈱として初の抗体薬物複合体(ADC)です。標的分子はTIM-3で、現在急性骨髄性白血病(AML)を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体です。現在XLHを対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK3910は、協和キリン㈱が創製した抗体であり、健康成人及び本態性高血圧を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel, 米国製品名:Lenmeldy, 欧州製品名:Libmeldy)は異染性白質ジストロフィー(MLD)の根本的な遺伝的原因を修正することを目的とした造血幹細胞遺伝子治療法です。2025年10月に早期発症型MLDに対する希少疾病用再生医療等製品指定を日本で取得しました。現在日本における臨床試験準備中です。
<主な提携・ライセンス情報>
・2025年10月に自己免疫疾患に対する新規治療法の開発を目的とする新規化合物をドイツBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。
主な申請承認情報
当事業に係る研究開発費は1,008億円です。
<ヘルスサイエンス事業>
キリンホールディングス㈱は、独自素材「プラズマ乳酸菌」を中核に、科学的根拠に基づく研究開発と事業化を一体で推進し、国内外で健康価値の創出を加速しています。
プラズマ乳酸菌を使用した製品シリーズの売上は、2024年通期では230億円を突破※1、2025年通期では280億円を超え※2、堅調に拡大しました。これにより、免疫ケア分野における当社の市場プレゼンスは一段と強化されました。研究面では、プラズマ乳酸菌の経鼻接種によって、自然免疫の中核であるpDC※3の誘引・活性化および抗ウイルス遺伝子の発現上昇を介する、新型コロナウイルスならびにインフルエンザウイルスの増殖抑制に関わる作用機序の一部を解明しました。また、アデノウイルスに対する抗ウイルス応答の迅速な誘導を示唆する成果を得ており、幅広い呼吸器ウイルスに対する応用可能性を探索しています。さらに、医療従事者を対象とした臨床試験において、発熱および倦怠感を感じた日数の減少傾向を確認し、免疫ケア習慣の有用性を裏付けました。加えて、pDCの活性を尿検査で非侵襲的に可視化できる因子を世界で初めて発見し、個別の免疫状態評価に資する新規検査サービスの開発へ着手しました。血液等による免疫指標の定量化と合わせて臨床研究を推進し、2026年以降の実用化を視野に入れています。
協和発酵バイオ㈱が製造・販売を行う脳機能サポート素材「シチコリン」について、富士通㈱との共同研究における創薬DX技術※4(QSPモデル※5)と細胞試験の併用によって、世界で初めて腸脳相関※6に関する新規作用メカニズムを示唆する知見を得ました。
電気刺激により減塩食品の塩味・うま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト」は、2025年度グッドデザイン賞 において金賞を受賞したほか、Well‑being & Age‑Tech 2025 Awardで農林水産大臣賞を受賞するなど、高い社会的評価をいただいています。加えて、「エレキソルトスプーン」は第17回日本マーケティング大賞において奨励賞を受賞しました。今後、食器形態の拡充や自治体・医療・栄養指導の現場との連携を通じ、減塩実践の普及と生活者の健康増進に寄与します。
キリンホールディングス㈱と東京大学大学院農学生命科学研究科との共同研究により、ヒトiPS細胞由来小腸オルガノイド※7を用いて、細胞老化が小腸上皮細胞の糖・アミノ酸吸収を低下させることを世界で初めて確認しました。上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition)進行と吸収機能の消失メカニズムの理解を深めるとともに、老化抑制素材としてヒトミルクオリゴ糖(Human milk oligosaccharide)の有効性検証にも成功し、アンチエイジング領域における食品素材の研究開発を加速しています。
㈱ファンケルグループは、総合研究所において、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁に係る基盤技術研究ならびに製品開発研究活動を通じて、「安心・安全」を軸とした安全性・機能性研究を推進し、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。特に老化研究に注力し、独自の研究から「キンミズヒキ」及び「キンミズヒキ由来のアグリモール類」に老化した細胞を除去する作用を見出し、機能性表示食品「ウェルエイジプレミアム」を発売しました。また、「ヤギミルク由来エクソソーム」が皮膚細胞の老化を抑制し、コラーゲン及びエラスチンの産生促進作用があることを見出し、これを配合したエイジングケア美容液「アドバンスト ビューティ コンセントレート」を発売 しました。これらの独自素材を配合した製品は、計画を上回る販売数量で推移しており、売上拡大に寄与しています。
グループ横断の商品開発力を活かした連携として、キリンホールディングス㈱とファンケルに加えアクシージアと三社での協業によってプラズマ乳酸菌を配合したサプリメントを共同開発して中国越境ECにおける販売を開始し、海外市場での免疫ケア事業の拡大を推進しました。また、海外グループのBlackmoresとは、アジア地域におけるプラズマ乳酸菌配合製品の販売を展開し、各国の消費者ニーズに沿った商品訴求とブランド浸透を進めています。協和発酵バイオ㈱については、一部事業の譲渡完了に伴い、研究開発・投資資源の重点化を図り、シチコリン等のスペシャリティ素材事業を中核とする体制へ再編しました。研究開発基盤の強化に向けては、Cowellnex㈱がSiolta Therapeuticsと乳児の壊死性腸炎の発症抑制を目的とする生菌製剤の共同研究に着手し、腸内細菌叢を活用した次世代の健康価値創出に取り組んでいます。これらの連携によってシナジーを最大化し、国内外の市場開拓、研究知の融合、供給・販売チャネルの拡張を通じて、ヘルスサイエンス事業全体の持続的成長を下支えしています。
当事業に係る研究開発費は39億円です。
※1 2024年1月~12月 当社販売金額に基づく
※2 2025年1月~12月 当社販売金額に基づく
※3 プラズマサイトイド樹状細胞の略。自然免疫系に属し、ウイルス感染時に大量のⅠ型インターフェロンを産生して抗ウイルス防御を担う免疫細胞。樹状細胞として抗原提示機能も有する。
※4 AIなどのデジタル技術を活用し、疾患に関連する生体システムと創薬シーズの相互作用や体内動態、副作用等を、数理モデルやコンピュータ解析を用いて網羅的に明らかにする手法。膨大な分子データを分析し、効率的に新薬候補物質を絞り込むことができる。
※5 定量的システム薬理学(Quantitative Systems Pharmacology)の略。生理学的・病態学的ネットワークを計算モデルで統合し、薬物の生理活性や治療効果、及び栄養素の全身影響を予測する情報科学的アプローチ。
※6 腸と脳がお互いに影響を及ぼし合う双方向のネットワーク。腸と脳は神経・内分泌・免疫・代謝などを通じて密接に連携している。
※7 オルガノイドとは臓器・組織を模倣した3次元構造体であり「人工臓器」とも呼ばれている。
第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当社グループは、効率的な生産体制の構築を図りながら、お客様のニーズにお応えする製品を提供するため、設備投資を行いました。当年度の設備投資の総額は135,922百万円であります。
酒類事業では、主として麒麟麦酒㈱において、生産基盤の維持、生産性の向上に向けて、工場の製造設備の新設・増設等を行いました。また、LION PTY LTDにおいて、生産設備の拡充・合理化などのため、製造設備等への投資を行いました。その結果、酒類事業の設備投資額は48,628百万円となりました。
飲料事業では、主としてキリンビバレッジ㈱において、自動販売機の更新等を行いました。その結果、飲料事業の設備投資額は18,178百万円となりました。
医薬事業では、協和キリン㈱において、生産設備の拡充・合理化及び研究開発力強化などのため、製造設備及び研究設備への投資を行いました。その結果、医薬事業の設備投資額は45,540百万円となりました。
ヘルスサイエンス事業では、主として㈱ファンケルやBlackmores Limitedにおいて、生産基盤の維持、生産性の向上に向けて、工場の製造設備の新設・増設等を行いました。その結果、設備投資額は10,878百万円、その他の各事業の設備投資額は12,698百万円となりました。
また、当年度において、減損損失4,324百万円を計上しております。減損損失の内容については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 9.非金融資産の減損」に記載のとおりであります。
2 【主要な設備の状況】
当年度末における状況は、次のとおりであります。
なお、IFRSに基づく帳簿価額にて記載しております。
(1) セグメント別内訳
2025年12月31日現在
(2) 提出会社の状況
2025年12月31日現在
(3) 国内子会社の状況
2025年12月31日現在
(4) 在外子会社の状況
2025年12月31日現在
(注) 1 LION PTY LTD及びLion Global Craft Beverages Pty Ltdの数値は同社の連結決算数値、Coca-Cola Beverages Northeast,Inc.の数値は同社の決算数値であります。
2 金額及び面積には使用権資産を含んでおります。消費税等は含んでおりません。
3 帳簿価額「その他」は、「工具器具及び備品」、「建設仮勘定」であります。
4 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
5 現在休止中の主要な設備はありません。
3 【設備の新設、除却等の計画】
当年度末における重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
なお、重要な設備の除却等の計画はありません。
(注) 上記計画の所要資金は、自己資金により賄う予定であります。
第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
② 【発行済株式】
(注) 1 完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式(単元株式数は100株)であります。
2 米国では、ADR(米国預託証券)により未公開株式流通市場で取引されております。
3 2026年2月13日開催の取締役会決議に基づき、2026年3月3日付で自己株式の消却を行ったことにより、発行済株式総数が98,000,000株減少し、816,000,000株となっております。
(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
該当事項はありません。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
(注) 1 自己株式の消却によるものであります。
2 2026年2月13日開催の取締役会決議に基づき、2026年3月3日付で自己株式の消却を行ったことにより、発行済株式総数が98,000千株減少し、816,000千株となっております。
(5) 【所有者別状況】
2025年12月31日現在
(注) 1 自己株式は102,252,874株であり、このうち1,022,528単元については「個人その他」に、74株については「単元未満株式の状況」にそれぞれ含めて記載しております。
2 「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が70単元含まれております。
(6) 【大株主の状況】
2025年12月31日現在
(注) 1 所有株式数は、千株未満を切り捨てて表示しております。
2 発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を切り捨てて表示しております。
3 当社は、自己株式102,252千株(11.18%)を保有しておりますが、上記大株主から除いております。
4 三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社から、2025年9月19日付で、同社及びアモーヴァ・アセットマネジメント株式会社を共同保有者とする大量保有報告書が提出されておりますが、当社として2025年12月31日現在における当該法人の実質所有株式数を完全に把握できませんので、上記「大株主の状況」では考慮しておりません。
当該大量保有報告書による2025年9月15日現在の株式所有状況は、以下のとおりであります。
5 ブラックロック・ジャパン株式会社から、2021年8月19日付で、同社及び他9社を共同保有者とする大量保有報告書(変更報告書)が提出されておりますが、当社として2025年12月31日現在における当該法人の実質所有株式数を完全に把握できませんので、上記「大株主の状況」では考慮しておりません。
当該大量保有報告書(変更報告書)による2021年8月13日現在の株式所有状況は、以下のとおりであります。
(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2025年12月31日現在
(注) 1 「完全議決権株式(その他)」の欄の普通株式には、証券保管振替機構名義の株式 7,000株(議決権70個)が含まれております。
2 「完全議決権株式(その他)」の欄の普通株式には、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託が保有する株式1,599,000株(議決権の数15,990個)が含まれております。なお、当議決権の数15,990個は、議決権不行使となっております。
3 「単元未満株式」欄の普通株式には、自己株式が74株含まれております。
② 【自己株式等】
2025年12月31日現在
(注)役員報酬BIP信託が保有する株式1,599,000株は、上記自己保有株式に含まれておりません。
(8) 【役員・従業員株式所有制度の内容】
① 役員に対する株式報酬制度
当社は、当社の取締役(社外取締役を除く。)及び執行役員(取締役である者及び当社との間で雇用関係にある者を除く。)(以下、本項において「取締役等」という。)のうち国内居住者を対象とする信託型株式報酬制度(以下、本項において「本信託制度」という。)を導入しております。
(ⅰ)本信託制度の概要
本信託制度は、複数事業年度を対象とする中長期インセンティブ制度であり、当社が金員を拠出して設定する信託(以下、本項において「本信託」という。)が、当該金員を原資として当社株式を取得し、原則として、当社の株式交付規程に従ってポイントの付与を受けた取締役等(以下、「ポイント取得者」という。)に対して、当社株式及び換価処分対象となる当社株式に係る換価処分金相当額の金銭(以下、本項において「当社株式等」という。)の交付及び給付(以下、本項において「交付等」という。)を行う制度であります。
1) 本信託の仕組み

2) 本信託制度の内容
本信託制度の内容は、以下のとおりであります。
3) 信託契約の概要
信託契約の概要は、以下のとおりであります。
(ⅱ)本信託制度が当社株式を取得させる予定の株式の総数
1,000,000株(上限)
(ⅲ)本信託制度による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
当社の株式交付規程に従ってポイントの付与を受けた取締役等であって、受益権を取得した者
② 従業員に対する株式報酬制度
当社は、当社及び当社の子会社(以下、本項において「対象会社」という。)の上級経営職及びこれに相当する対象会社従業員(以下、本項において「対象従業員」という。)を対象とする信託型株式交付制度(以下、本項において「本信託制度」という。)を導入しております。
(ⅰ)本信託制度の概要
本信託制度は、株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託と称される仕組みを採用しております(以下、本項において「本信託」という。)。ESOP信託とは、米国のESOP制度を参考にした従業員インセンティブ・プランであり、ESOP信託が取得した当社株式及び当社株式の換価処分金額相当額の金銭(以下、本項において「当社株式等」という。)を、予め定める株式交付規程に基づき、一定の要件を充足する対象従業員に交付又は給付するものであります。
なお、対象従業員のうち国内非居住者に対しては、本信託制度の対象者に対する制度との均衡を図るために、金銭を支給する業績連動型株価連動インセンティブ制度が適用されます。
1) 本信託の仕組み

2) 信託契約の概要
信託契約の概要は、以下のとおりであります。
(ⅱ)本信託制度が当社株式を取得させる予定の株式の総数
未定
(ⅲ)本信託制度による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
当社の株式交付規程に従ってポイントの付与を受けた対象従業員であって、受益権を取得した者
2 【自己株式の取得等の状況】
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づく取得
(注) 当期間における取得自己株式には、2026年3月1日からこの有価証券報告書提出日までに取得した株式数は含めておりません。
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
会社法第155条第7号による取得
(注) 当期間における取得自己株式には、2026年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取請求による株式数は含めておりません。
(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注) 1 当期間における「その他(単元未満株式の買増請求)」には、2026年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買増請求による株式数は含めておりません。
2 当期間における「保有自己株式数」には、2026年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取請求及び単元未満株式の買増請求による株式数は含めておりません。
3 【配当政策】
当社は事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。
事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。株主還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、当期の剰余金の配当につきましては、DOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安に基づき、1株につき中間配当37.0円、期末配当37.0円とし、前期に比べ3.0円増配の74.0円とすることを取締役会で決議しました。自己株式の取得については引き続き、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。
次期の剰余金の配当につきましては、DOE(連結株主資本配当率)5%以上を目安とし、年間76.0円の配当を予定しております。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、毎事業年度における配当は期末と中間の2回行うこととしております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。
(注) 基準日が当期に属する剰余金の配当に関する取締役会又は株主総会の決議年月日並びに各決議ごとの配当金の総額及び1株当たりの配当額は以下のとおりであります。
4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループは、グループ経営理念及び当社グループ共通の価値観・行動指針“KIRIN WAY”のもと、当社グループ長期経営構想「Innovate2035!」における「2035年Vision」を実現することが当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながるものと認識し、その実現を効果的、効率的に図ることができるガバナンス体制を構築します。
当社グループは、グループ経営理念及び経営理念に基づく「2035年Vision」を実現するためには各ステークホルダーとの協働が不可欠であることを認識し、それぞれの立場を尊重します。
当社グループは、株主・投資家に対し、透明性、公平性、継続性を基本に迅速な情報開示を行うとともに、株主・投資家との建設的な対話を積極的に行い、誠意をもって説明責任を果たします。
<グループ経営理念>
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
<2035年Vision>
人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている
※CSV:Creating Shared Valueの略で、社会課題への取り組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現すること
<KIRIN WAY>
価値観(Values):
先駆 Pioneer with Innovation
お客様本位/患者さん本位 Consumer/Patient at Heart
品質本位 Quality in Mind
行動指針(Principles):
志を高く持つ Be Aspirational
Go to “ゲンバ” Go to “Gemba”
まず動き、失敗も学びに変える Act First, Learn Fast
枠を超える Leap Beyond
違いを力に変える Unite as One Team
勝ちにこだわる Commit to Winning
② 企業統治の体制の概要
当社の企業統治体制は、以下のとおりです。

・当社は、酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医薬の3領域を中核とした多様かつグローバルな事業展開を統括する体制として純粋持株会社制を採用しています。純粋持株会社である当社は、グループ全体戦略の策定と推進、各事業のモニタリング、グループ連携によるシナジー創出の推進、加えてサステナビリティを巡る課題への対応等の役割を担っています。
・当社グループ各社は、生活者をはじめとしたステークホルダーにより近い場所で自律的かつスピーディな経営を行います。当社は、グループ各社の戦略ステージに合わせて適切な権限付与を行うとともに、グループ各社へ取締役を派遣することで各社の取締役または取締役会を通したガバナンスの向上を図っています。主要グループ会社については、当社の取締役、執行役員またはこれらに準ずる者が各社の取締役を兼務しています。
・当社は、監査役会設置会社を採用し、ステークホルダーにとって透明性の高いガバナンス体制を維持、向上するため、複数の社外取締役を含む取締役会が、複数の社外監査役を含む監査役会と緊密に連携し、監査役の機能を有効に活用しながら重要案件の最終意思決定を行うとともに、経営に対する監督機能の強化を図っています。また、機動的に各事業・各機能戦略を実行し、執行責任を明確にするため、執行役員制度を導入しています。取締役会は、それぞれの分野に関する経験、実績、専門性等を踏まえ、執行役員への委任範囲を定めています。
・また、グループ全体の内部統制システムの有効性を評価するための体制として経営監査部を設置し、当社及びグループ会社の内部監査を実施・統括しています。内部監査の状況や計画については取締役会で定期的に報告を行っています。
1) 取締役会
・取締役会は、当社グループ全体及び主要グループ会社の長期経営構想及び年度事業計画等の当社グループの重要な業務執行並びに法定事項について決定するとともに、取締役及び執行役員の職務執行を監督する責務、グループ全体の適切な内部統制システムを構築する責務等を担っています。
・取締役会は、2035年Visionの実現のための知識、経験、能力、見識等を考慮し、多様性を確保しながら全体としてバランスよく、適正な人数で構成しています。また、透明性の高いガバナンス体制を構築して客観的な経営の監督の実効性を確保するため、現在選任されている取締役の過半数は独立社外取締役で構成されています。
・社外取締役は、企業経営者としての豊富な経験に基づく実践的、客観的かつ専門的な視点から、有益な指摘・意見提起を行っています。なお、社社内取締役と併せて人財戦略部秘書室が適切にサポートを行っています。
2) 監査役
・監査役会は、常勤監査役による当社グループ内における情報収集力及び社外監査役による独立性を活かしながら、各監査役による監査の実効性を確保するための体制を整備しています。
・監査役会は、社外取締役への情報提供を強化するため、社外取締役との意見交換を行い、監査活動を通じて得られた情報の提供を行っています。
・また、監査機能強化を図るため、監査役の業務を組織的かつ効果的にサポートするための体制として専任の従業員で構成する監査役室を設置しています。
3) 指名・報酬諮問委員会
・取締役、執行役員及び監査役の指名及び報酬に関する委員会として、指名・報酬諮問委員会を設置しています。
・取締役会の諮問機関として客観的かつ公正な視点から、取締役、執行役員及び監査役の選解任方針、各候補者案、報酬制度・水準、報酬額、最高経営責任者(CEO)及び最高執行責任者(COO)の後継者の計画等について審議し、取締役会へ答申を行います。また、取締役会の委任に基づき、賞与における個人業績評価等を行います。
4) 社長の諮問機関
社長の諮問機関として、以下4つを設置しています。
i) グループ経営戦略会議
・当社は、社長の意思決定を補佐・支援する諮問機関として、グループ経営戦略会議を設置しています。グループ経営に関する意思決定のうち、影響の大きい戦略及び投資に関し、社長執行役員を含む執行役員、常勤監査役、プロフェッショナル・アドバイザー等で構成される同会議を機動的に開催することにより、意思決定の質の向上を図っています。
ⅱ) グループCSV委員会
・グループCSV方針・戦略および計画策定のための討議を行うとともに、CSV計画の実行状況のモニタリングを行っています。決定した内容は取締役会に報告し、グループ全体戦略へ反映させています。
URL https://www.kirinholdings.com/jp/company/strategy/csv/promotion_impact/
ⅲ) グループリスク・コンプライアンス委員会
・リスクマネジメントを推進・統括しています。コンプライアンスもその一環として位置づけて確実な実行を図るとともに、クライシスが発生した場合には、国内外のグループ各社と情報を共有し対応を支援するなど、適切に対応するための体制を整備しています。同委員会は当社の社内取締役と執行役員で構成され、リスク管理統括執行役員が委員長を務めています。
URL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/governance/risk_management/
ⅳ) 情報開示委員会
・株主・投資家への有益な情報提供の観点から、適時開示情報をはじめとする情報の重要性と開示の必要性を審議・決定することで、適時・公正・公平なディスクロージャーの推進による経営の透明性向上に取り組んでいます。同委員会は担当部門長および委員長である財務戦略執行役員から構成され、常勤監査役および経営監査部長がオブザーバーを務めています。
③ 当該企業統治の体制を採用する理由
当社はコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、会社法上の機関設計として監査役会設置会社を採用しており、取締役会は多様な知識、経験、能力、見識等を持ち合わせた取締役・監査役でバランスよく構成されています。取締役会及び監査役会は、社外取締役が過半数を占めており、透明性の高いガバナンス体制を実現しています。また、取締役会と監査役会が緊密に連携することで、実効性の高い監督機能の確保と、重要性の高い業務執行及び法定事項に対する質の高い意思決定を図ることができています。なお、当社では取締役、執行役員および監査役の指名と報酬について社外取締役が過半数を占める指名・報酬諮問委員会の審議を経ることで、客観性および透明性を確保しています。以上の理由で、現体制の採用により経営の透明性ならびに業務の適正性を確保することができており、有効な企業統治体制が機能しているものと判断しています。
④ 企業統治に関するその他の事項
1) 内部統制システムの整備の状況
当社は、取締役会にて、グループ業務の適正を確保するための体制として、内部統制システムに関する基本方針を定め、グループのコンプライアンス、リスクマネジメント、財務報告の適正性確保等について適切な体制の整備と運用に努めています。また、毎年内部統制の整備・運用状況の点検を行い、内部統制の運用実施部署における活動が自律的に実施され、有効に機能していることを確認するとともに、その内容を取締役会で確認しています。具体的には以下をご参照下さい。
(参考)内部統制システムに関する基本方針
URL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/files/pdf/policy_internalcontrolsystem.pdf
2) リスク管理体制の整備の状況
取締役は、キリングループにおけるリスクマネジメントの基本方針を決定するとともに、これを実効化する組織及び規程を整備し、各組織の活動に組み込むことにより推進します。併せて、リスクマネジメントに関する教育を実施するとともに、リスクの開示及びクライシス発生時の対応に関する手順を明確化しこれを周知します。これらの体制の構築・運用状況については、経営監査部が内部監査を実施します。
3) 取締役の定数
当社の取締役は12名以内とする旨定款に定めています。
4) 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨、またその決議は累積投票によらない旨定款に定めています。
5) 取締役及び監査役の責任免除
当社は、取締役及び監査役が期待される役割を十分に発揮できるよう、会社法第426条第1項の規定により、取締役会の決議によって、同法第423条第1項の取締役(取締役であった者を含む。)及び監査役(監査役であった者を含む。)の責任を、法令の限度において免除することができる旨定款に定めています。
6) 責任限定契約の内容の概要
当社は、各社外取締役及び各監査役との間で、会社法第427条第1項に基づき、同法第423条第1項に定める賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、同法第425条第1項に定める最低責任限度額です。
7) 補償契約の内容の概要
当社は、各取締役及び各監査役との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結しており、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償することとしています。ただし、被補償者の職務の執行の適正性が損なわれないための措置として、補償実行が客観的に不適切であることが明らかであると当社が判断した場合等の一定の免責事由を定めるなどしています。
8) 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社及び当社の子会社の取締役、監査役、執行役員等を被保険者として、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、保険料については当社及び当社の子会社が全額負担をしています。
当該保険契約は、被保険者が業務について行った行為に起因して損害賠償責任を負った場合における損害賠償金及び訴訟費用等を填補するものです。ただし、被保険者による犯罪行為又は詐欺行為等に起因する損害を除くなどの一定の免責事由を定めているほか、免責金額の定めも設けており、当該免責金額に至らない損害については填補の対象外としています。
9) 自己の株式の取得
当社は、財務政策等の経営諸施策を機動的に遂行することを可能にするため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款に定めています。
10) 中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨定款に定めています。
11) 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を可能にするため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。
⑤ 当事業年度における取締役会及び指名・報酬諮問委員会の活動状況
1) 開催頻度
ⅰ) 取締役会
当社は定例の取締役会を原則毎月1回開催しており、2025年度は15回(うち、1回は書面開催)の定例取締役会を開催いたしました。
ⅱ) 指名・報酬諮問委員会
当社は定例の指名・報酬諮問委員会を原則毎月1回開催しており、2025年度は12回の指名・報酬諮問委員会を開催いたしました。
2) 主な検討内容
ⅰ) 取締役会
当事業年度は、取締役会において、以下の点について重点的な審議がなされました。
ⅱ) 指名・報酬諮問委員会
当事業年度は、指名・報酬諮問委員会において、以下の点について重点的な審議がなされました。
3) 取締役、監査役の出席状況
(注) 1 役職は当事業年度のものであり、本報告書提出時点のものとは異なります。
2 書面開催での取締役会については回数から除きます。
3 取締役の森正勝氏、ジョージ・オルコット氏は2025年3月28日開催の定時株主総会をもって任期満了により退任しておりますので、退任前の役職ならびに出席状況を記載しております。
4 就任後に開催された取締役会への出席状況を記載しております。
4) 取締役会実効性評価について
当社は、取締役会の果たすべき機能を「重要な意思決定」機能及び「監督」機能と定義しています。毎年、取締役会の運営や議論内容などに対する評価を実施し、その機能の担保に努めるとともに、次年度に強化すべき議論のポイントを明確化することにより、継続的な実効性の向上につなげています。
・2025年度における実効性評価の取り組み
2025年10~11月に全取締役・監査役を対象としたアンケート形式の調査に加え、取締役会議長や社外取締役会を対象にインタビューを行いました。分析・評価を行った結果、実効性に問題ないことが確認されました。評価結果及び現状の課題を踏まえた今後の改善方針については、2026年1月に開催した取締役会に報告し議論しています。なお、当社では評価の客観性・透明性をさらに高めるため、3年に1回程度、第三者であるアドバイザーの協力を得て実効性評価を実施しており、直近では2024年度に実施した結果から高い実効性を確認しております。
評価の視点は以下のとおりです。
1. 取締役会の構成及び運営
2. 戦略の策定とその実行及びモニタリング
3. リスクマネジメントの監督
4. 事業買収・撤退等の意思決定の監督
5. 役員報酬及び後継者育成計画等の監督
6. 健全な企業倫理の周知徹底とその監督
7. ステークホルダーに対する開示全般の監督
8. 実効性向上に向けての強化ポイント
・評価の結果
アンケートならびにインタビューの結果を踏まえ、当社の取締役会は十分に機能し、経営上重要な事項の意思決定と業務執行の監督を適切に行うための実効性が確保されていると評価しました。
・2025年度の強化ポイントに対する取り組みの状況
・2026年度の強化ポイント
2025年度における評価の視点ごとに提起された意見および改善点、そして将来の経営環境変化に対する見立てに基づき、2026年度の強化ポイントを以下の3点に集約しました。引き続き、取締役会議長のもとでのアジェンダ設定や、運営の更なる改善を通じ、実効性維持・向上に努めていきます。
1.財務・ステークホルダー戦略
2.事業ポートフォリオ
3.人財戦略
⑥ 取締役・監査役・執行役員のスキル・マトリックス
1) 取締役会・監査役会に求められるスキルについて
このたび、当社は新たな長期経営構想「Innovate2035!」を公表いたしました。これを契機として、当社は取締役会および監査役会に求められるスキルの見直しを実施いたしました。
まず、当社グループが掲げる「CSV経営」の理念に対する深い理解と共感は、当社の取締役および監査役に全員に共通して求められる基本的かつ不可欠な要件であると整理しています。
そのうえで、経営・事業トップの経験を通じた「企業経営」の総合的な能力を前提としつつ、「サステナビリティ」「グローバル」「財務・IR」「法務・リスク管理」の各分野に関する知見を、当社の経営推進およびコーポレートガバナンスの実効性確保に不可欠な基本スキルと位置付けております。
さらに、「Innovate2035!」では、CSV経営を通じて持続的な成長を実現し、社会課題である「健康」への貢献を目指しています。当社グループは、『人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として、世界をより元気にする』ことを掲げています。この目標の達成に向け、当社は「R&D」「マーケティング」「ICT・DX」「人財・組織」「生産・品質保証」といった組織能力をイノベーションの源泉と位置付けています。これらの能力は、取締役会および監査役会が、実効性の高い意思決定と監督を行うために不可欠なスキルでもあります。
なお、従来から重視してきた「ヘルスサイエンス」および「医薬」に関するスキルについては、取締役会・監査役会において一定程度の強化が進んでいると評価しており、今回のスキルマトリックスでは既に備わっている基盤的スキルとして扱うため一覧から除外しています。
2) 取締役及び監査役に対するトレーニングについて
取締役及び監査役が、その役割・責務を適切に果たすために必要なトレーニング及び情報提供を適宜実施します。
取締役及び監査役が就任する際には、会社法、コーポレート・ガバナンス、コーポレートファイナンス等に関して、専門家や社内関係部門による講義や研修を実施し、就任後も必要に応じて法令改正や経営課題などに関する研修や主要拠点の視察等を継続的に実施します。
社外取締役及び社外監査役が就任する際には、当社グループの経営理念、共通の価値観・行動指針“KIRIN WAY”、事業内容などの説明を実施します。
3) スキルの定義・充足の目安について
※1:上場企業あるいはそれに類する企業
※2:官公庁、弁護士事務所、監査法人、アカデミア、NPO等
4) 本報告書提出時点の取締役・執行役員・監査役のスキル・マトリックスについて
ⅰ) 取締役 (注1)
(注) 1 社内取締役については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎とし、社外取締役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(◎と●は最大3つ以内とする)
ⅱ) 執行役員 (注2)
(注) 2 執行役員については、知見・経験を有する分野を○、そのうち特に貢献が期待される分野を◎としています。(◎は最大3つ以内とする)
ⅲ) 監査役 (注3)
(注) 3 監査役については、特に貢献することが期待される分野を●としています。(●は最大3つ以内とする)
(2) 【役員の状況】
① 役員一覧
男性11名(うち外国人1名) 女性6名 (役員のうち女性の比率35.3%、外国人の比率5.9%)
(注) 1 取締役柳弘之、塩野紀子、片野坂真哉、安藤よし子、此本臣吾、三上直子及び藤縄憲一の各氏は、社外取締役であります。
2 監査役鹿島かおる、土地陽子及びティム・レスターの各氏は、社外監査役であります。
3 取締役及び監査役の任期は、次のとおりであります。
※1 2026年3月27日開催の定時株主総会の終結の時から、2026年12月期に係る定時株主総会の終結の時まで。
※2 2023年3月30日開催の定時株主総会の終結の時から、2026年12月期に係る定時株主総会の終結の時まで。
※3 2024年3月28日開催の定時株主総会の終結の時から、2027年12月期に係る定時株主総会の終結の時まで。
※4 2026年3月27日開催の定時株主総会の終結の時から、2029年12月期に係る定時株主総会の終結の時まで。
4 上記取締役、監査役のほかに、10名の執行役員がおります。
② 社外取締役及び社外監査役
1) 員数
当社の社外取締役は7名、社外監査役は3名です。
2) 企業統治において果たす機能・役割及び選任状況についての考え方
社外取締役は、取締役会において、より客観的な立場から、企業経営の豊富な経験と高い見識に裏付けられた発言を行うことにより、重要な業務執行及び法定事項についての意思決定並びに職務執行の監督という取締役会の企業統治における機能・役割を、健全かつより高いレベルで維持することに貢献しています。社外取締役は現在7名を選任しており、全取締役の過半数を占めていることから、取締役会のほか、当社のコーポレート・ガバナンス体制における重要な機関である指名・報酬諮問委員会を有効に機能させるのに十分な員数であると考えています。
社外監査役は、複数の企業における社外取締役・社外監査役の経験や、財務・会計・法律等に関する専門性等により、企業統治の仕組みとして当社が採用している監査役の機能の充実に貢献しています。社外監査役は現在3名を選任していますが、常勤監査役2名と合わせて5名の体制となっており、取締役の職務執行状況を監査するのに十分な員数であると考えています。
3) 社外役員の独立性に関する基準及び会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他利害関係
当社は、社外取締役及び社外監査役(以下、併せて「社外役員」という。)の独立性を客観的に判断するために、株式会社東京証券取引所が定める独立役員の独立性に関する判断基準を参考に、以下のとおり独自の基準を定めています。ただし、社外役員の選任には、独立性だけでなく、それぞれの知識、能力、見識及び人格等を考慮して選定していますので、会社法に定める社外役員の要件を満たし、かつ社外役員として当社の意思決定に対し指摘、意見することができる人材については、以下の基準に該当する場合であっても社外役員として招聘することがあります。
(社外役員の独立性に関する基準)
当社の社外取締役又は社外監査役が独立性を有していると判断される場合には、当該社外取締役又は社外監査役が以下のいずれの基準にも該当してはならないこととしております。
(注) 1 ①及び②において、「当社を主要な取引先とする者(又は会社)」とは、「直近事業年度におけるその者(又は会社)の年間連結売上高(年間連結売上収益)の2%以上又は1億円のいずれか高い方の支払いを当社から受けた者(又は会社)」をいう。なお、その者(又は会社)が連結決算を実施していない場合は、年間連結売上高(年間連結売上収益)に代え、年間総収入又は年間単体売上高を基準とする。
2 ③及び④において、「当社の主要な取引先である者(又は会社)」とは、「直近事業年度における当社の年間連結売上収益の2%以上の支払いを当社に行っている者(又は会社)、直近事業年度末における当社の連結資産合計の2%以上の額を当社に融資している者(又は会社)」をいう。
3 ⑤、⑨及び⑩において、「一定額」とは、「年間1,000万円」であることをいう。
4 ⑥において、「一定額」とは、「直近事業年度における法人、組合等の団体の年間総収入の2%以上又は1億円のいずれか高い方」であることをいう。
5 ⑦及び⑧において、「主要株主」とは、「総株主の議決権の10%以上を直接又は間接的に保有している株主」をいう。
(会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他利害関係)
上記基準に照らし、当社は社外取締役の柳弘之氏、塩野紀子氏、片野坂真哉氏、安藤よし子氏、此本臣吾氏、三上直子氏及び藤縄憲一氏、社外監査役の鹿島かおる氏、土地陽子氏及びティム・レスター氏を株式会社東京証券取引所等の定めに基づく独立役員として指定しています。各社外役員と当社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他利害関係については、以下のとおりです。
・社外取締役の柳弘之氏、塩野紀子氏、片野坂真哉氏、安藤よし子氏、此本臣吾氏、三上直子氏及び藤縄憲一氏については、当社との間に人的関係、資本的関係及び取引関係その他の利害関係はなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立性を十分に有しているものと判断しています。
・社外監査役の鹿島かおる氏、土地陽子氏及びティム・レスター氏については、当社との間に人的関係、資本的関係及び取引関係その他の利害関係はなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立性を十分に有しているものと判断しています。
4) 社外役員による監督・監査と監査役監査・内部監査・会計監査との相互連携及び内部統制部門との関係
社外取締役は、取締役会への出席等を通じ会計監査及び内部監査の報告を受け、監査役会との情報交換及び連携を踏まえ必要に応じて意見を述べることにより、これらの監査と連携のとれた取締役の職務執行に対する監督機能を果たしています。また、取締役会の一員としての意見又は助言により内部統制部門を有効に機能させることを通じて、適正な業務執行の確保を図っています。
社外監査役は、監査役会や取締役会への出席及び会計監査人からの報告等を通じ、直接又は間接に、会計監査及び内部監査の報告を受け、必要に応じて意見を述べることにより、監査の実効性を高めています。そのうえで、高い専門性により監査役監査を実施し、監査役会の監査報告につなげています。また、取締役会において内部統制部門の報告に対して意見を述べ、適正な業務執行の確保を図っています。
(3) 【監査の状況】
① 監査役監査の状況
1) 監査役監査の組織、人員及び手続
監査役会の組織、人員及び手続については、前述の「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び②企業統治の体制の概要」及び、「(2) 役員の状況 ①役員一覧及び②社外取締役及び社外監査役」をそれぞれご参照ください。
各監査役の経験及び能力は以下の通りです。当社監査役は、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任され、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるよう努めることとしております。
2) 監査役及び監査役会の活動状況
当年度において当社は監査役会を合計15回開催しており、個々の監査役の出席状況は以下のとおりです。尚、監査役会以外にも監査役間の情報共有や意見交換の機会を設けております。
監査役会における具体的な検討内容は、監査方針、事業報告及び附属明細書の適法性、取締役の職務執行の妥当性、内部統制システムの整備・運用状況の妥当性、会計監査人の監査の方法及び結果の相当性、会計監査人の評価、監査報酬の妥当性、監査上の主要な検討事項(KAM:Key Audit Matters)等です。期末には、監査活動の振り返りを行い、会社の課題ならびに会社に対する提言事項と翌期の重点監査項目を討議した上で、取締役会に報告しております。なお、重点監査項目として(ⅰ)重要な事業及び事業領域における戦略の実行状況の確認、(ⅱ)人事領域の重点課題への取り組み状況の確認、(ⅲ)3ラインモデルにおける第2線及び第3線の機能の発揮状況の確認について取り組みました。また、監査役会の実効性評価として、各監査役による事前の自己評価アンケートの結果や取締役会実効性評価の監査役会に係る事項を基に検討した結果、監査役会全体として十分に実効性は担保されていると確認された一方、更なる改善のために議論を行い、以下のテーマを挙げて鋭意取り組みました。
監査役の主な活動内容は以下の通りです。これらの活動を通じて、取締役の職務執行状況を十分に監査できる体制となっております。
※議題に応じて出席
② 内部監査の状況
1) 内部監査の目的
当社では、内部監査の目的を「キリングループの経営活動について、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、ガバナンス、リスクマネジメントおよびコントロールに関連する経営諸活動の遂行状況を評価し、アシュアランス業務およびコンサルティング業務を行うことにより、グループ経営戦略目標の達成に貢献すること」とし、「経営に資する監査」の理念のもと、グループの重要リスクおよび内部統制に関する監査を実施しております。
2) 内部監査の組織、人員及び手続き
当社では、最高経営責任者(CEO)管轄の独立した組織として経営監査部を設置し、2025年12月現在の人員は22名で構成されております。公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)、公認不正検査士(CFE)などの資格保有者を含め、内部監査に関する専門的な知見を有する従業員を相当数配置しております。
監査方針・重点監査項目を含む年度監査計画については、経営環境を認識した上で、毎年リスク評価を実施し、監査対象・テーマを決定して、取締役会で承認を受けております。
3) 監査役、会計監査人及びグループ各社内部監査部門との関係
経営監査部は、当社監査役、主要グループ会社監査役及び会計監査人と情報・意見交換や協議を適宜行う等、相互連携を図っています。当社監査役とは月次で、社外監査役・取締役とは年2回の意見交換の場を設け、重点監査項目などについて議論しております。また会計監査人とも定期的に情報・意見交換を行っております。
主要グループ会社の常勤監査役や内部監査部門とも定期的に情報・意見交換を行い、その他のグループ会社には非常勤監査役の派遣等も行うことで、グループ全体に対して実効的かつ効率的な監査を行っております。
4) 内部監査の実効性を確保するための取り組み
3ラインモデルにおいて、第3線である経営監査部が、リスクベースアプローチによる事業軸・機能軸のマトリックス型監査やJ-SOX評価を行うことで、第1線・第2線での統制状況を確認し、内部統制の強化、3ラインの整備を促しております。
さらに、経営の要請に基づき、グループ横断的な経営課題についてもテーマ監査を実施し、改善提言を行っております。改善提言については、提言先の各社各部門から措置回答を受領し、改善取り組みが完了するまで定期的にフォローアップしております。なお、これらの監査活動の結果については、取締役会等にて報告しております。
また、監査品質については、GIAS(Global Internal Audit Standards)に基づく品質保証・向上プログラム(QA&IP)を運用しており、毎年内部評価を実施することで、監査品質の維持向上に努めております。外部評価は5年に1度を予定しており、直近では2023年度に実施し、内部監査協会(IIA)の国際基準に「一般的に適合している(Generally Conforms)」との評価を受けております。
③ 会計監査の状況
1) 監査法人の名称
有限責任あずさ監査法人
2) 継続監査期間
51年間
上記は、調査が著しく困難であったため、現任の監査人である有限責任あずさ監査法人の前身(の1つ)である新和監査法人が監査法人組織になって以降の期間について記載したものです。実際の継続監査期間は、この期間を超える可能性があります。
3) 業務を執行した公認会計士
神塚勲氏、佐々木雅広氏、藤岡義博氏
4) 監査業務に係る補助者の構成
会計監査業務に係る補助者は、公認会計士44名、その他102名です。
5) 監査公認会計士を選定した理由
監査役会は、「会計監査人の選解任等の決定に関する方針」を定めております。監査役及び監査役会は、この方針に基づき、監査の実施体制、品質管理体制等を総合的に検討した結果、適任と判断しました。
6) 監査役及び監査役会による会計監査人の評価
監査役及び監査役会は、会計監査人との定期的な会合その他の連携を通じ、継続的に会計監査人の評価を行っております。また、監査役会では、会計監査人から期末の会計監査報告を受けた後に、「会計監査人の選解任等の決定に関する方針」に基づき検討を行い、十分な評価結果を得られたため、再任を決議しました。
④ 監査報酬の内容等
1) 監査公認会計士等に対する報酬
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
連結子会社における非監査業務の内容は、非財務情報の開示に係るアドバイザリー業務等であります。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、非財務情報の開示に係るアドバイザリー業務等であります。
2) 監査公認会計士と同一のネットワークファームに対する報酬
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当社及び連結子会社における非監査報酬の内容は、非財務情報の開示に係るアドバイザリー業務及び内部統制報告制度(J-SOX)に関する支援等であります。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
当社及び連結子会社における非監査報酬の内容は、非財務情報に対する保証関連業務等であります。
3) 監査報酬の決定方針
監査報酬の額は、当社の規模や業務の特殊性等を勘案して監査日数等を検討した上で、監査役会の同意を得て適切に決定しております。
4) 監査役会による監査報酬の同意理由
監査役会は、会計監査人の監査計画の内容、会計監査の職務執行状況及び報酬見積もりの算定根拠などを確認し、検討した結果、会計監査人の報酬等の額につき、会社法第399条第1項の同意を行っております。
(4) 【役員の報酬等】
① 役員報酬等の決定方針
当社の役員報酬等の決定方針は、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬諮問委員会において、その妥当性を審議したうえで、取締役会にて決定しております。個人別の役員報酬等の内容については、指名・報酬諮問委員会において審議し取締役会に答申したうえで、取締役報酬については取締役会で、監査役報酬については監査役の協議により、それぞれ決定することとしております。指名・報酬諮問委員会における審議においては、毎期の経営環境の変化や株主・投資家の要請を踏まえるとともに、必要に応じて外部の報酬コンサルティング会社の客観的・専門的意見を参考にしております。当社の役員報酬等の決定方針の概要は以下のとおりです。
1) 役員報酬等の基本方針
ⅰ) 業績及び中長期的な企業価値との連動を重視した報酬とし、株主と価値を共有するものとする
ⅱ) 当社グループ役員の役割及び職責に相応しい水準とする
ⅲ) 独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬諮問委員会の審議を経ることで、客観性及び透明性を確保する
2) 報酬構成と支給対象等
当社の役員報酬は、固定報酬である「基本報酬」並びに業績連動報酬である短期インセンティブとしての「賞与」及び中長期インセンティブとしての「株式報酬」の3つで構成されております。なお、社外取締役は客観的立場から当社及び当社グループ全体の経営に対して監督及び助言を行う役割を担うこと、監査役は客観的立場から取締役の職務の執行を監査する役割を担うことから、それぞれ基本報酬のみを支給します。
(注) 国内非居住者に対しては、信託型株式報酬制度に代えて、業績連動型株価連動報酬(ファントムストック)制度が適用されます。本制度では、当社の株式交付規定に従い、信託型株式報酬制度と同一の計算式によって算定された当社株式(信託型株式報酬制度において換価処分対象となる当社株式を含む)の額に相当する金銭が給付されます。
イメージ図1:信託型株式報酬における業績評価期間、ポイント数の確定時期及び株式等の交付時期

イメージ図2:信託型株式報酬の業績連動の仕組み(全体像)

※RSU基準額及びPSU基準額の合計を100%とした場合。PSUのみで見た場合の支給率は0%~200%で変動。
3) 報酬水準と業績連動報酬の比率
当社の役員報酬水準及び業績連動報酬(賞与及び信託型株式報酬)の比率は、外部調査機関の役員報酬調査データの利用による客観的な比較検証を行ったうえで、個人別の役位及び職責等を基礎として設計します。
● 報酬水準
日本を代表するグローバル製造業企業との比較で、基本報酬につき中位、業績目標達成時の総報酬につき中位以上を目安とし、競争力のある報酬水準を確保します。社外取締役の報酬水準についても、当社のガバナンス強化において期待される役割の大きさを考慮し、中位以上となる水準を確保します。
● 業績連動報酬比率
国内大手企業の水準を参考に固定報酬よりも業績連動報酬の割合を高く設定することとし、特に株式報酬の比率を高めることで、業績達成に向けたインセンティブ及び株主価値との連動を強化します。具体的には、代表取締役CEOの報酬構成割合を以下のとおり、基本報酬:業績連動報酬の基準額を概ね30:70(うち、賞与30、株式報酬40)の比率とし、他の取締役(社外取締役を除く)及び執行役員の報酬構成割合は、これに準じて役位及び職責を考慮して決定いたします。また、信託型株式報酬の基準額におけるRSU:PSUの構成比は、すべての支給対象者に共通(概ね30:70)といたします。
イメージ図3:役員の報酬構成

4) 業績連動報酬の評価指標及び目標値
● 賞与の会社業績評価指標及び事業業績評価指標、信託型株式報酬の評価指標
経営計画の内容や期初における業績見通し等を踏まえて評価指標及び目標値を決定します。そのうち財務指標については、過年度実績及び目標値等を踏まえて変動幅(上限値・下限値)を決定します。信託型株式報酬の評価指標については、3年ローリング計画の管理方針に沿った目標と評価を設定します。
● 賞与の個人業績評価指標
代表取締役CEOについては指名・報酬諮問委員会の社外役員(委員長を含む)との面談、代表取締役COOについては、これに加え代表取締役CEOとの面談を経て、それ以外の取締役(社外取締役を除く)及び執行役員については代表取締役CEOの承認を経た代表取締役COOの原案を審議のうえ、指名・報酬諮問委員会が具体的な評価指標及び目標を決定します。なお、CEOでない代表取締役会長についても、代表取締役CEOに準じて取り扱うものとします。
5) 役員報酬等の決定方法
役員報酬等の内容は、公正かつ合理的な制度運用が担保されるよう、上記1)から4)に定める方針に従って、独立社外取締役が過半数を占め、かつ独立社外取締役が委員長である指名・報酬諮問委員会において審議し、取締役会に答申したうえで、あらかじめ株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、取締役の報酬については取締役会で、監査役の報酬については監査役の協議により、それぞれ決定します。
ただし、賞与における各役員の個人業績評価及びこれに係る個人別支給率の決定は、客観性及び透明性を担保するため、指名・報酬諮問委員会に委任しております。上記決定にあたっては、a) 代表取締役CEO及び代表取締役COOについては、指名・報酬諮問委員会の委員のうち利害関係人を除いた委員長又は委員である社外取締役が面談を実施し、合議により原案を作成します。その際、代表取締役COOについては代表取締役CEOによる評価を参考にします。なお、CEOでない代表取締役会長についても、代表取締役CEOに準じて取り扱うものとします。b) それ以外の取締役(社外取締役を除く)及び執行役員については、代表取締役COOが各役員との面談を実施し、代表取締役CEO承認のもとで個人業績評価及びこれに係る個人別支給率の原案を作成します。
指名・報酬諮問委員会は、これらの個人業績評価結果及び個人業績評価に係る個人別支給率の決定に係る権限が適切に行使されるようにするための措置として、同委員会を上記のとおりの構成とし、利害関係人を除いて決定することとするほか、適時・適切に取締役会に報告することとしております。
指名・報酬諮問委員会の構成・権限等は以下のとおりです。
ⅰ) 指名・報酬諮問委員会の委員構成
指名・報酬諮問委員会は5名の委員で構成されます。(社外取締役3名、社内取締役2名)
● 委員長: 塩野 紀子(社外取締役)
● 委員: 片野坂 真哉(社外取締役)
● 委員: 安藤 よし子(社外取締役)
● 委員: 磯崎 功典(代表取締役会長CEO、グループ経営統括担当)
● 委員: 南方 健志(代表取締役社長COO、グループ事業執行統括担当)
ⅱ) 指名・報酬諮問委員会における審議事項及び決定事項
役員報酬等に関する指名・報酬諮問委員会における審議事項及び決定事項は以下のとおりです。
(審議事項)
〈1〉取締役の報酬制度、報酬水準並びに個人別の報酬に関する決定方針及び個人別の報酬等の額又は数
〈2〉監査役の報酬制度及び報酬水準
〈3〉執行役員の報酬制度、報酬水準並びに個人別の報酬に関する決定方針及び個人別の報酬等の額又は数
〈4〉国内外の主要グループ会社の社長の報酬制度及び報酬水準
(決定事項)
〈5〉取締役(社外取締役を除く)及び執行役員の賞与の個人業績評価並びに個人業績評価に係る個人別支給率の決定
指名・報酬諮問委員会は、主に上記の事項の審議を目的として定期的に開催される他、役員報酬に関する法規制等の環境変化に応じて開催されます。また、必要に応じて外部のアドバイザーが陪席する場合があります。
6) 株式報酬の没収・返還条件(マルス・クローバック条項)
取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に非違行為や自己都合による辞任、その他受益権・受給権の全部又は一部を取得させないことが相当である事由があったと取締役会が認めた場合など当社の株式交付規程に定める一定の事由に該当する場合には、当該取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対し、株式報酬制度に基づく報酬の受給権の没収又は交付した当社株式等相当の金銭の返還を求めることができることとしています。
7) その他重要な事項
上記1)から5)の内容にかかわらず、取締役(社外取締役を除く)及び執行役員の報酬等の決定に際して、事前に予期せぬ特殊要因(天変地異、急激な為替の変動、不祥事、組織再編等。ただし、必ずしもこれらに限定されない)が発生した場合には、必要に応じて臨時に指名・報酬諮問委員会の審議を経て、取締役会の決議において裁量的な判断を加える場合があります。
② 2026年度の報酬等
上記①を踏まえて決定した2026年度に係る業績連動報酬の業績評価指標及び算定方法等は以下のとおりです。
1) 賞与
評価指標については、上記①2)に記載のとおり、グループ全体及び主要事業の確実な収益成長と戦略遂行を促すことを目的として、会社業績評価指標(連結事業利益)及び個人業績評価指標を選定し、職責に応じて評価割合を決定しております。取締役及び執行役員が事業会社社長又はヘルスサイエンス戦略担当を兼任する場合には、別途担当における事業業績評価指標(各事業の事業利益)を加味します。それぞれにおける2026年度の評価割合、支給率の変動幅及び目標業績については以下のとおりです。
イメージ図4:賞与の業績連動の仕組み

2) 信託型株式報酬(PSU)
評価指標については、上記①2)に記載のとおり、中長期の株主価値向上と社会的価値創出の両立を促す目的で、経営計画で定める指標からROIC、EPS及び非財務評価指標の3つを選定し、目標達成度合いに応じた業績連動係数を算出します。なお、ROIC及び非財務評価指標については3年ローリング方式の経営計画における各年度の着実な取組みと業績を評価するために、経営計画の目標達成度に加えて当該各年度の目標達成度も踏まえて支給率を決定いたします(1-2年目の単年評価は各30%、最終年度評価40%)。EPSについては最終年度の達成度のみで評価をします。
非財務評価指標は、中長期的なCSV経営にコミットするうえで定めた重要項目である「環境」「健康」等の複数の項目ごとに定められた具体的な指標の達成度を定量的に判定、これに各指標及び項目全体の定性面を加えて項目別評価を行ったうえで、それらの評価結果及び定性面での考慮を踏まえた総合評価で決定します。客観性及び透明性を担保する観点から、グループ経営戦略会議にて評価した内容をもとに、評価結果及び支給率を指名・報酬諮問委員会において審議し、取締役会において決定するものとします。
※1 ROIC及び非財務評価指標については毎期の着実な目標・進捗達成も動機付けるために、上記の目標達成度に加えて経営計画1年目・2年目の目標・進捗達成度も考慮のうえ評価いたします。ROICの目標業績は2026年及び2028年目標を記載しております。
※2 EPSの3年CAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)とは、経営計画の3年度におけるEPSの年平均成長率を指します。
イメージ図5:信託型株式報酬のPSU業績連動係数の算定式

※上記表の非財務評価の支給率は目安であり、指名・報酬諮問委員会の審議を経たうえで、上記に示された支給率とは異なる支給率(ただし、0%~200%の間とする)の決定もできるものとします。
③ 当年度(2025年度)の報酬等
1) 指名・報酬諮問委員会及び取締役会の活動実績
当年度において、指名・報酬諮問委員会は計12回開催されました。当年度は、経営計画に即した形での役員報酬制度の運用(非財務評価の評価方法等)に関する審議のほか、制度の妥当性(報酬水準や業績連動比率の検証等)に関する審議を行いました。なお、このうち1回は外部の報酬コンサルタントが同席し、客観的かつ独立的な立場からの助言及び情報提供を受けており、審議内容は定期的に取締役会に報告及び答申しております。当年度開催の指名・報酬諮問委員会及び取締役会における役員報酬に係る主な議題は以下のとおりです。
ⅰ) 2024年度に係る役員報酬
1 2024年度業績を踏まえた賞与の支給額、及び信託型株式報酬に係る付与ポイントの決定
ⅱ) 当年度(2025年度)に係る役員報酬
1 当年度業績連動報酬の業績評価指標の基準値、下限値及び上限値の設定
2 非財務評価の評価プロセスの検討
ⅲ) 2026年度に係る役員報酬
1 グローバル及び日本国内における最新の役員報酬環境の確認
2 経営計画の達成に向けたあるべき報酬水準・業績連動報酬の比率の検討及び妥当性の確認(外部の報酬コンサルタントによる客観的な役員報酬調査データを参照)
3 新たな経営計画の運用に沿った評価指標・評価方法の検討
当年度に係る役員区分ごとの報酬等の総額等及び役員ごとの連結報酬等の総額等、並びに業績連動報酬の目標及び実績等は以下2)~4)に記載のとおりです。
なお、取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、指名・報酬諮問委員会が役員報酬等の決定方針に則って、取締役の報酬等の算定方法及びこれに基づく支給額の算出等について多角的に審議・検討を行ったうえで原案を取締役会に答申し、取締役会もかかる審議経過及び答申を尊重しているため、取締役の個人別の報酬等の内容は、役員報酬等の決定方針に沿うものであると判断しております。
2) 役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別総額及び対象となる役員の員数
(注) 1 当年度末日時点における在籍人員は、取締役12名、監査役5名でありますが、上記報酬額には、2025年3月28日付をもって退任した取締役2名分を含んでおります。
2 上記の賞与の総額は、支給予定の額であります。業績評価指標の実績等は、以下4)をご参照ください。
3 上記の業績連動型株価連動報酬(ファントム・ストック)について、対象となった役員はおりません。
4 非金銭報酬として、取締役(社外取締役を除く)に対し信託型株式報酬を交付しております。上記の信託型株式報酬の総額は、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託に関して、当年度中に費用計上した金額です。
5 百万円未満を四捨五入して記載しています。
3) 役員ごとの連結報酬等の総額等
(注) 1 報酬等の総額が1億円以上である者を記載しています。
2 上記の信託型株式報酬の報酬額は、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託に関して、当年度中に費用計上した金額です。
3 百万円未満を四捨五入して記載しております。
4) 業績連動報酬の評価指標に係る目標等及び実績
指名・報酬諮問委員会での審議を経て、取締役会の決議によって決定した当年度の業績連動報酬の評価指標に係る目標等及び実績は以下のとおりです。
ⅰ) 賞与
(注) 1 個人業績評価については、上記①5)に記載の方法により決定いたしました。
2 事業業績評価については、ヘルスサイエンス戦略担当の取締役に適用した評価指標です。
ⅱ) 信託型株式報酬(2025-2027年ローリング1年目実績)
(注) 1 2025-2027年度株式報酬は、3事業年度を評価期間としており、1年目終了時点としての業績連動係数はありません。ROICの目標業績は2025年及び2027年目標を記載しております。
2 ROIC及び非財務評価は、1年目業績(2025-2027年度の30%相当)を記載しております。
3 EPSの3年CAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)とは、経営計画の3年度におけるEPSの年平均成長率を指します。
[非財務評価]
※ 当年度の非財務評価に際して、実績の確定していない指標については、評価時点での見通しをもとに評価しております。
④ 株主総会決議による定め
取締役及び監査役の1事業年度あたりの報酬限度額等は以下のとおりです。
※ 1 国内非居住者の取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対する業績連動報酬の給付に関して費用計上される額を含みます。
※ 2 取締役(社外取締役を除く)及び執行役員のうち国内居住者を対象とする信託型株式報酬制度に関し、当社が拠出する金員及び交付される当社株式数の1事業年度あたりの上限です。
※ 3 取締役のほか、執行役員も当該株主総会決議に係る株式報酬制度の対象であり、その決議日時点の員数は9名です。
(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社グループは、専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的に保有する投資株式を純投資目的の投資株式、その他の投資株式を純投資目的以外の目的である投資株式と区分しております。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
当社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)である麒麟麦酒㈱については以下のとおりであります。
1) 保有方針
当社グループのコーポレートガバナンス・ポリシーに次のとおり規定しております。
・当社グループは、政策保有株式を原則保有しない。但し、中長期的な企業価値向上に資すると認められる銘柄のみ必要最小限保有することができる。
・当社グループが保有する個別の政策保有株式の保有の合理性については、取引先等との対話・交渉を実施しながら毎年取締役会にて検証を行い、その結果、株主共同利益の観点から保有の合理性が認められないと判断した銘柄は売却を進める。
2) 保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
政策保有株式は、個別の銘柄毎に保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを精査し、ブランドの価値向上に資するか否かの総合的な判断も加えた上で、継続保有の可否について取締役会で検証しております。
3) 銘柄数及び貸借対照表計上額
ⅰ) 当社
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
該当事項はありません。
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
該当事項はありません。
(注) 株式数が増加及び減少した銘柄には、株式の併合、株式の分割、株式移転、株式交換、合併等による変動を含んでおりません。
ⅱ) 麒麟麦酒㈱
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
(注) 株式数が増加及び減少した銘柄には、株式の併合、株式の分割、株式移転、株式交換、合併等による変動を含んでおりません。
4) 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
ⅰ) 当社
特定投資株式
(注) 1 「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。
2 保有の合理性は、当事業年度末で保有する全ての政策保有株式について、2026年1月26日開催の取締役会で継続保有の適否の検証を行いました。
みなし保有株式は保有しておりません。
ⅱ) 麒麟麦酒㈱
特定投資株式
(注) 1 「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。
2 保有の合理性は、当事業年度末で保有する全ての政策保有株式について、2026年1月26日開催の取締役会で継続保有の適否の検証を行いました。
みなし保有株式は保有しておりません。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式
1) 当社
純投資目的である投資株式は保有しておりません。
2) 麒麟麦酒㈱
純投資目的である投資株式は保有しておりません。
第5 【経理の状況】
1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定により、国際会計基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成しております。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)に基づいて作成しております。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しております。
(3) 連結財務諸表及び財務諸表は、百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)の財務諸表について、有限責任 あずさ監査法人による監査を受けております。
3.連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備について
当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組を行っております。具体的には、会計基準等の内容を適正に把握し、会計基準等の変更等について的確に対応することができる体制を整備するため、公益財団法人財務会計基準機構へ加入し、監査法人等が主催する研修への参加や会計専門誌の定期購読等を行っております。
また当社は、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準を把握するとともに、IFRSに基づく適正な連結財務諸表等を作成するため、IFRSに準拠したグループ会計方針等を作成し、それに基づいて会計処理を行っております。
1 【連結財務諸表等】
(1) 【連結財務諸表】
① 【連結財政状態計算書】
② 【連結損益計算書】
③ 【連結包括利益計算書】
④ 【連結持分変動計算書】
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
⑤ 【連結キャッシュ・フロー計算書】
【連結財務諸表注記】
1.報告企業
キリンホールディングス㈱(以下、当社)は、日本に所在する株式会社であります。当社の登録されている住所は、ウェブサイト(https://www.kirinholdings.com/)で開示しております。
当社及び子会社(以下、当社グループ)は、酒類、清涼飲料、医薬品、健康食品の製造・販売等を行っております。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 連結財務諸表の承認
当社グループの連結財務諸表は、2026年3月27日において当社代表取締役社長COO 南方健志及び取締役常務執行役員 秋枝眞二郎により公表の承認がなされております。
(3) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は注記「3.重要性がある会計方針」に記載している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(4) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満の端数は四捨五入して表示しております。
(5) 会計上の判断、見積り及び仮定
当社グループの連結財務諸表は、収益及び費用、資産及び負債の測定並びに報告日現在の偶発事象の開示等に関する経営者による会計上の判断、経営者の見積り及び仮定を含んでおります。見積り及び仮定については、実際の結果は、その性質上、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及び仮定は、経営者により継続して見直しております。これらの見積り及び仮定の見直しによる影響は、その見積り及び仮定を見直した期間及びそれ以降の期間において認識しております。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える会計上の判断については、以下のとおりであります。
・ 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損テストにおける資金生成単位又は資金生成単位グループの決定(注記「9.非金融資産の減損」参照)
また当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。
・ 有形固定資産、のれん及び無形資産の評価(注記「9.非金融資産の減損」参照)
・ 繰延税金資産の回収可能性(注記「11.法人所得税」参照)
(6) 会計方針の変更
(IAS第21号「外国為替レート変動の影響」の改訂)
当社グループは、当年度よりIAS第21号「外国為替レート変動の影響」(2023年8月改訂)を適用しております。
この改訂の概要は、通貨が他の通貨と交換できるかどうかの評価、並びに交換できない場合に使用すべき為替レート及び提供すべき開示の決定における一貫したアプローチを明確化したものになります。この明確化されたアプローチに従って、以下の取引に係る現金及び現金同等物の換算に用いる外国為替レートについて変更しております。
① 対象となる通貨及び当該通貨が交換可能ではなくなった原因
当社の連結子会社であるKirin Holdings Singapore Pte, Ltd.は、日本国内の銀行の在ミャンマー支店においてミャンマーチャット預金残高を保有しております。2022年4月にミャンマー中央銀行から外貨兌換規制が発令され、ミャンマーチャット(MMK)から外貨への両替及び海外送金には当局の承認が必要となり、同社が保有する一部の現金及び現金同等物の利用に一定の制限を受けております。
② 影響する資産及び負債の帳簿価額
(単位:千チャット)
③ 使用した直物為替レート
従来、ミャンマー中央銀行が定める公定レートを当該現金及び現金同等物の換算に用いておりましたが、ミャンマー中央銀行が通貨交換の際に提示するMarket Trading Rateを用いる方法に変更しております。
なお、当期首に適用した為替レートは、3,588MMK/USDです。
当社グループでは、経過措置に従って、適用開始時の影響額を当年度の利益剰余金期首残高の修正として認識しております。これにより、当年度の連結持分変動計算書における利益剰余金の2025年1月1日残高及び連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の期首残高が、「会計方針の変更による影響額」としてそれぞれ10,731百万円減少しております。
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業を言います。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合を言います。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。
報告日が異なる子会社の財務諸表は、連結報告日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。子会社に対する支配を喪失した場合には、当該子会社の資産及び負債、当該子会社に係る非支配持分の認識を中止し、支配喪失後も継続して保持する残余持分について支配喪失日の公正価値で再測定し、生じた利得又は損失は、純損益として処理しております。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業を言います。
関連会社への投資は、重要な影響力を有することとなった日から、重要な影響力を喪失する日まで、持分法を用いて会計処理しており、取得時に取得原価で認識しております。
SAN MIGUEL BREWERY INC.等の一部の持分法適用会社は、当該持分法適用会社(その親会社を含む。)の所在地もしくは株式を上場する現地の法制度上、又は他の株主との関係等により、当社が当該持分法適用会社の財務情報を入手可能となる時期に制約があるため、報告期間の末日を統一することが実務上不可能な状況にあります。そのため、当該持分法適用会社については、報告日が3ヶ月相違した財務情報に対して、当社の報告日との間に生じた重要な取引及び事象の影響については調整を行った上で、持分法を適用しております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社グループ持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない限り、未実現利益と同様の方法で投資から控除しております。
関連会社に対する重要な影響力を喪失し、持分法の適用を中止する場合は、売却持分に係る売却損益を純損益として認識するとともに、残存している持分について公正価値で再測定し、当該評価差額をその期の純損益として認識しております。
③ 共同支配の取決め
共同支配の取決めとは、複数の当事者が共同支配を有する契約上の取決めを言います。当社グループはその共同支配の取決めへの関与を、当該取決めの当事者の権利及び義務に応じて、共同支配事業(取決めに関連して当社グループが資産への権利を有し、負債への義務を負う場合)と共同支配企業(当社グループが取決めの純資産に対する権利のみを有する場合)に分類しております。当社グループが有する共同支配事業については、共同支配が開始した日から終了する日までの持分に係る資産、負債、収益及び費用を認識し、共同支配企業については、共同支配が開始した日から終了する日までの財務情報に対して持分法によって会計処理しております。
共同支配企業に対する共同支配を喪失した場合には、関連会社と同様に会計処理しております。
④ 企業結合
企業結合は、取得法を適用して会計処理しております。
被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日(被取得企業に対する支配開始日)の公正価値で測定しております。
のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の取得日公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。企業結合で移転された対価は、当社グループが移転した資産、引き受けた負債及び発行した資本持分の公正価値の合計で計算しております。
当社グループは非支配持分を公正価値もしくは被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分相当額で測定するかについて、企業結合ごとに選択しております。
企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行っております。取得日から1年以内の測定期間において、取得日時点で存在した事実及び状況について新しい情報を入手した場合は、暫定的な金額を遡及修正しております。
なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
また、共通支配下の企業又は事業が関わる企業結合(すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。
報告日における外貨建貨幣性項目は、報告日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の測定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に再換算しております。
当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の財政状態計算書の資産及び負債は、その財政状態計算書の日現在の為替レートで、純損益及びその他の包括利益を表示する各計算書の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、平均為替レートで換算しております。
当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分した期の純損益に振り替えております。
(3) 金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
金融資産は償却原価で測定される金融資産、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。当社グループは当初認識においてその分類を決定しております。通常の方法による金融資産の売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っております。
(a) 償却原価で測定される金融資産
次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) 公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定される金融資産に分類しております。
公正価値で測定される金融資産のうち売買目的保有でない資本性金融商品については、個々の資本性金融商品ごとに、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する取消不能の指定を行う場合があります。当該指定を行っていない資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類されます。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、公正価値に、当該金融資産に直接起因する取引コストを加算した金額で測定しております。ただし、重大な金融要素を含まない営業債権は、取引価格で測定しております。
なお、デリバティブについては「④デリバティブ及びヘッジ会計」に記載しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産については実効金利法による償却原価により測定しております。
(b) 公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定しており、公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定された資本性金融商品から生じる配当金については純損益で認識し、公正価値が著しく下落した場合又は認識を中止した場合は、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を利益剰余金に振り替えております。
(ⅲ)認識の中止
金融資産は、キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は譲渡され、かつ実質的に所有に伴うほとんどすべてのリスクと経済価値が移転した場合に認識を中止しております。
② 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。予想信用損失は、契約に基づいて当社グループが受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の現在価値です。貸倒引当金の変動は純損益に計上しております。
当初認識後は、報告日において、金融資産を次の3つのステージに分類し、それぞれ以下のとおり、予想信用損失を測定しております。
当社グループでは、原則として契約で定められた支払期限を30日超過した場合に、金融資産の信用リスクが当初認識時より著しく増大していると判断しており、支払期限を90日超過した場合に債務不履行が生じていると判断しております。債務不履行に該当した場合、又は発行者又は債務者の著しい財政的困難などの減損の証拠が存在する場合、信用減損しているものと判断しております。
なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権等は、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております(単純化したアプローチ)。
予想信用損失の測定に当たっては、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において利用可能な合理的で裏付け可能な情報を用いております。
また、金融資産の全部又は一部分を回収できないと合理的に判断した場合は、金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
③ 金融負債(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
金融負債は、償却原価で測定される金融負債、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債、金融保証契約負債とに分類しております。当社グループは、金融負債の当初認識時に当該分類を決定しております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定される金融負債については、直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
なお、デリバティブについては「④デリバティブ及びヘッジ会計」に記載しております。
(ⅱ)事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定される金融負債
償却原価で測定される金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による利息費用及び認識が中止された場合の利得及び損失は、純損益として認識しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定される金融負債
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は、当初認識後、公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しております。
(c) 金融保証契約
金融保証契約は、当初認識後、以下のいずれか高い方の金額で測定しております。
・上記②「金融資産の減損」に従って算定した貸倒引当金の金額
・当初測定額からIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の原則に従って認識した収益の累計額を控除した額
(ⅲ)認識の中止
金融負債は、義務が履行されたか、免除されたか、又は失効した場合に認識を中止しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替リスク、金利リスクや商品価格をそれぞれヘッジするために、為替予約、通貨スワップ、金利スワップ、商品スワップ契約等のデリバティブを利用しております。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初測定され、その後も公正価値で再測定しております。
デリバティブの公正価値変動額は純損益として認識しております。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジ及び在外営業活動体の純投資ヘッジの有効部分はその他の包括利益として認識しております。
当社グループは、ヘッジ開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ関係並びにヘッジを実施するに当たってのリスク管理目的及び戦略について、公式に指定及び文書化を行っております。当該文書は、具体的なヘッジ手段、ヘッジ対象となる項目又は取引並びにヘッジされるリスクの性質及びヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺するに際してのヘッジ手段の公正価値変動の有効性の評価方法などを含んでおります。これらのヘッジは、キャッシュ・フローの変動を相殺する上で有効であることが見込まれますが、ヘッジ指定を受けたすべての財務報告期間にわたって実際に有効であったか否かを判断するために、継続的に評価しております。
ヘッジ会計に関する厳格な要件を満たすヘッジは、IFRS第9号に基づき以下のように分類し、会計処理しております。
(ⅰ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効部分はその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせる予定取引である場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。ヘッジ手段が失効、売却、又は他のヘッジ手段への入替えや更新が行われずに終了又は行使された場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識されていた金額は、予定取引が発生するまで引き続き資本に計上しております。
(ⅱ)在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資から発生する換算差額については、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様の方法で会計処理しております。ヘッジ手段に係る利得及び損失のうち、有効部分はその他の包括利益で認識し、非有効部分は純損益として認識しております。在外営業活動体の処分時には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。
⑤ 金融商品の公正価値
各報告日現在で活発な金融市場において取引されている金融商品の公正価値は、市場における公表価格を参照しております。活発な市場が存在しない金融商品の公正価値は、適切な評価技法を使用して算定しております。
(4) 有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定として、原価モデルを採用しております。有形固定資産は取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体、除去及び原状回復コストの当初見積額等が含まれております。
土地及び建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主な資産の種類別の見積耐用年数は以下のとおりであります。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、各期末日に見直し、変更が必要な場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(5) のれん
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、年次及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識され、その後の戻入れは行っておりません。
のれんの内部モニタリング単位が変更された場合には、変更後の内部モニタリング単位に従い資金生成単位又は資金生成単位グループにのれんを再配分しております。
なお、のれんの当初認識時点における測定は、「(1) 連結の基礎 ④ 企業結合」に記載しております。
(6) 無形資産
無形資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しております。無形資産は取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、自己創設の過程で生じる従業員給付費用及び消費したサービスに関する費用等が含まれております。
① 個別取得した無形資産
個別取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
② 企業結合により取得した無形資産
企業結合により取得した無形資産は、取得日の公正価値で測定しております。
③ 自己創設無形資産(開発費)
当社グループで発生した研究開発費は、次の資産計上の要件のすべてを満たす開発活動に対する支出を除き、発生時に費用として認識しております。
・使用又は売却に利用できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させて、使用するか又は売却するという意図
・無形資産を使用又は売却できる能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益をどのように創出するのか
・開発を完成させて、無形資産を使用するか又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を信頼性をもって測定できる能力
耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、償却を行わず、年次及び減損の兆候が存在する場合にその都度、減損テストを実施しております。耐用年数を確定できる無形資産は、当該資産が使用可能となった時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却しており、減損の兆候が存在する場合にその都度、減損テストを実施しております。主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
償却方法、耐用年数及び残存価額は、各期末日に見直し、変更が必要な場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(7) リース
リースは、リース開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しております。
① 使用権資産
使用権資産は取得原価で当初測定しており、取得原価は、リース負債の当初測定の金額、当初直接コスト、原資産の解体並びに除去及び原状回復コストの当初見積額等で構成されております。
使用権資産の認識後の測定として、原価モデルを採用しております。使用権資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で、対応する原資産が自社所有であった場合に表示される連結財政状態計算書上の表示項目に含めて表示しております。
当初認識後は、原資産の所有権がリース期間の終了時までに移転される場合、又は使用権資産の取得原価が購入オプションを行使することが合理的に確実である場合には、原資産の見積耐用年数で、合理的に確実でない場合にはリース期間と使用権資産の見積耐用年数のいずれか短い期間にわたって定額法により減価償却を行っております。
② リース負債
リース負債は、リース開始日現在で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初認識しております。
リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いており、一般的に当社グループは追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額することにより事後測定しており、連結財政状態計算書上、その他の金融負債に含めて表示しております。
なお、当社グループは短期リース及び少額資産のリースについては、リース料が他の規則的な方法により利用者の便益のパターンがより適切に表される場合を除いて、リース期間にわたり定額法によって費用として計上しております。
(8) 法人所得税
法人所得税は当期税金と繰延税金との合計額であります。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、報告日までに制定又は実質的に制定されたものであります。純損益として認識される当期税金には、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を含んでおりません。
繰延税金は、報告日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び税務上の繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しておりますが、それぞれ以下の場合には繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から一時差異が生じる場合
・企業結合でない取引で、取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産又は負債の当初認識から一時差異が生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、当社グループが一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
また、当社グループは、2023年5月23日に改訂されたIAS第12号「法人所得税」の一時的な例外規定を適用し、経済開発協力機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び負債に関して、認識及び開示を行っておりません。
繰延税金資産及び負債は、報告日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいて一時差異が解消されるときに適用されると予想される税率で算定しております。純損益として認識される繰延税金には、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を含んでおりません。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上の強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
なお、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しております。
当社及び一部の子会社は、グループ通算制度を適用しております。
(9) 非金融資産の減損
当社グループは、のれん(「(5) のれん」参照)並びに耐用年数が確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産(「(6) 無形資産」参照)について、少なくとも年1回減損テストを行っており、さらに減損の兆候がある場合には、その都度減損テストを行っております。
当社グループでは、報告日現在で、棚卸資産(「(10) 棚卸資産」参照)、繰延税金資産(「(8) 法人所得税」参照)、退職給付に係る資産(「(14) 従業員給付」参照)及び売却目的で保有する資産(「(12) 売却目的で保有する資産及び非継続事業」参照)を除く非金融資産の減損の兆候の有無を判断しております。なお、持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは別個に認識されておらず、個別に減損テストを実施しておりませんが、持分法適用会社に対する投資の総額を単一の資産として減損の兆候を判定し、減損テストを行っております。
減損の兆候がある場合又は年次で減損テストが要求されている場合には、各資産の回収可能価額の算定を行っております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積った将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値、及び当該資産に固有のリスクを反映した利率を用いております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額より低い場合にのみ、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、純損益として認識しております。
過年度に減損損失を認識した、のれん以外の資産又は資金生成単位については、報告日において過年度に認識した減損損失の減少又は消滅している可能性を示す兆候の有無を判断しております。そのような兆候が存在する場合には、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却累計額又は償却累計額控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れは、直ちに純損益として認識しております。
(10) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上しております。取得原価は主として総平均法に基づいて算定されており、購入原価、加工費及び棚卸資産を現在の場所及び状態とするまでに発生したその他のコストが含まれております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要するコストの見積額を控除した額であります。
(11) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資であります。
(12) 売却目的で保有する資産及び非継続事業
① 売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産又は資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する資産又は処分グループとして分類し、資産は減価償却又は償却は行わず、又、持分法で会計処理されている投資は、持分法の適用を中止し、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定することとしております。
② 非継続事業
当社グループでは、既に処分されたか又は売却目的保有に分類された企業の構成単位で、次のいずれかに該当するものは非継続事業として認識することとしております。
・独立の主要な事業分野又は営業地域を表す。
・独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部である。
・転売のみを目的に取得した子会社である。
非継続事業の税引後損益及び非継続事業を構成する処分グループを処分したことにより認識した税引後の利得又は損失は、連結損益計算書において、継続事業とは区分して非継続事業からの当期利益として表示し、過去の期間に係る開示もこれに従って再表示することとしております。
(13) 資本
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上しております。普通株式の発行に係る付随費用は、税効果控除後の金額にて資本金及び資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、その支払対価及び付随費用(税効果控除後)を資本の控除項目として認識しております。
自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
③ 配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により承認された日、中間配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(14) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、確定給付型及び確定拠出型の年金制度を設けており、確定給付型の制度として、退職一時金制度、確定給付企業年金制度及び厚生年金基金制度を設けております。
確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定しております。割引率は、期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付制度負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値(必要な場合には、最低積立要件への調整を含む)を控除して算定しております。確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としております。確定給付制度資産又は負債の純額の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、利益剰余金へ振り替えております。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として計上しております。
② 解雇給付
当社グループは、当社グループが通常の退職日前に従業員の雇用を終了する場合、又は従業員が給付と引き換えに自発的に退職する場合に解雇給付を支給します。当社グループが、従業員を解雇することに関する詳細な公式の計画を有しており、その撤回可能性がない場合には、雇用の終了が確約された時点で解雇給付を費用として計上しております。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。賞与については、当社が従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる金額を負債として計上しております。
(15) 引当金
過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。
(16) 株式に基づく報酬
役員等に対し、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託、譲渡制限付株式報酬制度、業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット)及びファントム・ストック制度を採用しております。
役員報酬BIP信託及び譲渡制限付株式報酬制度においては、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、受領したサービスの対価を付与日における株式の公正価値で測定した上で、付与日から権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
パフォーマンス・シェア・ユニットのうち、持分決済型の株式に基づく報酬については、将来的に付与する株式の公正価値を参照して測定しており、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。現金決済型の株式に基づく報酬については、受領した役務及び発生した負債の公正価値を測定しており、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。当該負債の公正価値は期末日及び決済日において再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
ファントム・ストック制度においては、現金決済型の株式に基づく報酬制度として、要支払額の公正価値を負債として認識し、負債が決済されるまで、当該負債の公正価値の変動を純損益に認識しております。
なお、役員等に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度を採用しておりましたが、既に付与されている新株予約権を除いて廃止しております。当該制度のもとで、付与されたストック・オプションについては、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・モデル等を用いて算定しております。
(17) 顧客との契約から生じる収益
以下の5つのステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業の履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
消費税や付加価値税、酒税等については各国の法令や取引実態を総合的に勘案し、税務当局の代理人として取引を行っていると考えられるものについては、取引金額に含んでおりません。
① 酒類事業、飲料事業及びヘルスサイエンス事業
酒類事業、飲料事業及びヘルスサイエンス事業においては、酒類、清涼飲料、健康食品等の販売を行っております。
このような販売については、顧客へ製商品を引き渡した時点で、製商品への支配が顧客に移転し、履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。
製商品の販売から生じる収益は、販売契約における対価から販売数量や販売金額に基づくリベートや値引きなどを控除した金額で算定しており、顧客に返金すると見込んでいる対価を返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績などに基づく最頻値法を用いております。
製商品の販売契約における対価は、顧客へ製商品を引き渡した時点から主として1~2カ月以内に回収しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
② 医薬事業
医薬事業においては、顧客に対して医薬に関係する製商品の販売及び技術の導出を行っております。
顧客との契約における対価に変動対価が含まれている場合には、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。
(ⅰ)製商品の販売から生じる収益
顧客に対する製商品の販売契約並びに製商品に係る販売権の譲渡契約及びライセンス契約については、顧客へ製商品、販売権又はライセンス(以下「製商品」という。)を引き渡した時点で、製商品への支配が顧客に移転し、履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。
製商品の販売から生じる収益は、主に卸売業者、医療機関、医療保険会社、政府機関に対する割戻や値引等の項目を控除した金額で算定しております。控除調整のうち最も重要なものは、顧客に対する割戻、卸売業者に対するチャージバック、米国公的医療保険制度に係る割戻、期限切れ返品に係る引当になります。これらの調整額は、契約内容や過去の実績値等を考慮して算出されますが、見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、購入機関の種類、最終消費者及び製品の売上構成等により変動する可能性があります。
顧客に返金すると見込んでいる対価は、返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績などに基づく最頻値法を用いております。
製商品の販売契約における対価は、顧客へ製商品を引き渡した時点から主として1年以内に受領しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
(ⅱ)技術収入
当社グループは、第三者に当社グループの開発品の開発、製造及び販売に係る権利の許諾等を認めたライセンス契約に基づき、技術収入として契約一時金、マイルストン収入及びランニング・ロイヤルティ収入を得ております。ライセンス契約には、ライセンスの許諾以外に当社グループによる財又はサービスの提供がない場合と、製造技術や薬剤の提供等の開発協力、規制当局承認対応、共同販売促進等に関して当社グループによる財又はサービスの提供がある場合があります。
ライセンスの許諾以外の重要な財又はサービスの提供がない場合には、通常、契約一時金はライセンス許諾時点において履行義務のすべてが充足されることから、ライセンスを許諾した時点で収益を認識しており、開発活動が成功し規制当局の承認が得られたこと等で受領するマイルストン収入は、事後に収益の重大な戻入が生じる可能性を考慮し、規制当局への承認申請等の当事者間で合意したマイルストンが達成される可能性が非常に高くなった時点で収益を認識しております。
また、ライセンスの許諾を含む複数の重要な財又はサービスの提供がある場合には、契約一時金及びマイルストン収入からなる取引価格を、認識した単一又は複数の履行義務に対してその内容に応じて配分し、契約負債として計上した上で、当該履行義務の充足に従い一定期間にわたって収益として認識しております。ライセンス契約に関連する開発協力等の履行義務は、個々のライセンス契約に応じた適切な進捗度をインプット法により測定しております。
ランニング・ロイヤルティ収入及び製剤の売上高合計が一定額を超えたこと等で受領する販売達成マイルストン収入は、売上高ベース又は使用量ベースのロイヤルティに該当し、契約相手先の売上等を算定基礎として測定し、実際に販売又は使用された時点か、売上高ベース又は使用量ベースのロイヤルティに配分された履行義務が充足された時点のいずれか遅い時点で収益を認識しております。
ライセンス契約における対価は、ライセンスの許諾時点並びにマイルストン達成等の契約に基づく合意時点から主として1年以内に受領しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
(18) 金融収益及び金融費用
金融収益は、主として受取利息、受取配当金、為替差益及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定したときに認識しております。
金融費用は、主として支払利息、為替差損、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等から構成されております。支払利息は、実効金利法により発生時に認識しております。
なお、為替差損益は、純額で「金融収益」又は「金融費用」に計上しております。
(19) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しております。
政府補助金が費用項目に関する場合は、当該補助金で補填することが意図されている関連費用を認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しております。資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しております。
(20) 借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化(「(4) 有形固定資産」及び「(6) 無形資産」参照)しております。その他の借入コストはすべて、発生した期間に費用として認識しております。
(21) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
4.未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、当年度において当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。新しいIFRS適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
5.事業セグメント
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定しており、「酒類事業」「飲料事業」「医薬事業」「ヘルスサイエンス事業」の4つを報告セグメントとしております。
「酒類事業」は、麒麟麦酒㈱、LION PTY LTDを中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。
「飲料事業」は、キリンビバレッジ㈱、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。
「医薬事業」は、協和キリン㈱を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。
「ヘルスサイエンス事業」は、㈱ファンケル、Blackmores Limitedを中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。なお、当社は、前第3四半期連結会計期間に㈱ファンケルを連結子会社化し、「ヘルスサイエンス事業」に区分し開示しております。
また、セグメント情報における会計方針は、当社の連結財務諸表における会計方針と概ね同一であります。
セグメント間売上収益は、市場実勢価格に基づいております。
(2) 報告セグメントに関する情報
各報告セグメントに関連する情報を以下に記載しております。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。
3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
2 調整額は以下のとおりであります。
(1) セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない費用が含まれております。当該費用は、主に純粋持株会社である当社のグループ管理費用及び機能分担子会社において発生する複数の報告セグメントに関わる管理費用であります。
(2) セグメント資産の調整額は、セグメント間債権債務消去及び各報告セグメントに配分していない資産が含まれております。当該資産は、主に純粋持株会社である当社及び機能分担子会社の余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資金(資本性金融商品)及び管理部門に係る資産等であります。
3 セグメント利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した金額である事業利益を使用しております。
(3) 地域別に関する情報
① 売上収益
(単位:百万円)
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
② 非流動資産
(単位:百万円)
(注) 非流動資産は、金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産は含んでおりません。
(4) 主要な顧客に関する情報
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は、次のとおりです。
(単位:百万円)
なお、当年度については、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
6.有形固定資産
(1) 帳簿価額の調整表
「有形固定資産」の帳簿価額の増減、取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額は、以下のとおりであります。
① 帳簿価額
(注) 1 企業結合による取得には、重要性が乏しいため遡及修正をしていない測定期間内の修正を含めております。
2 減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」として、処分から生じる利得又は損失は、連結損益計算書の「その他の営業収益」、「その他の営業費用」として表示しております。
3 減損損失については、注記「9.非金融資産の減損」に記載しております。
4 上記には使用権資産の帳簿価額を含んでおります。使用権資産の帳簿価額の増減については注記「17.リース」に記載しております。
② 取得原価
③ 減価償却累計額及び減損損失累計額
7.のれん
(1) 帳簿価額の調整表
「のれん」の帳簿価額の増減、取得原価及び減損損失累計額は、以下のとおりであります。
① 帳簿価額
(注) 企業結合による取得には、重要性が乏しいため遡及修正をしていない測定期間内の修正を含めております。
② 取得原価及び減損損失累計額
8.無形資産
(1) 帳簿価額の調整表
「無形資産」の帳簿価額の増減、取得原価、償却累計額及び減損損失累計額は、以下のとおりであります。
① 帳簿価額
(注) 1 ブランドは、一部を除き、正味のキャッシュ・インフローが継続すると期待される期間を予見することができないため、耐用年数の確定できない無形資産と判断しております。
2 仕掛研究開発費は、主に製品、開発品及び技術などの導入契約に伴い取得した無形資産のうち、研究開発等の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないものであり、未だ使用可能ではない無形資産に該当します。規制当局の販売承認が得られたものは、使用可能な無形資産として販売権へ振替えております。なお、仕掛研究開発費の「取得」には、内部開発による増加が前年度9,664百万円、当年度5,527百万円それぞれ含まれております。
3 企業結合による取得には、重要性が乏しいため遡及修正をしていない測定期間内の修正を含めております。
4 償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」として、処分から生じる利得又は損失は、連結損益計算書の「その他の営業収益」、「その他の営業費用」として表示しております。
5 減損損失については、注記「9.非金融資産の減損」に記載しております。
② 取得原価
③ 償却累計額及び減損損失累計額
(2) 研究開発費
期中に費用認識した研究開発費は、前年度及び当年度においてそれぞれ116,073百万円及び118,080百万円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上しております。
9.非金融資産の減損
(1) 資金生成単位
当社グループは投資の意思決定単位である各社の事業を資金生成単位としております。なお、のれんについては、内部管理目的でモニタリングする単位をもって資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。また、遊休資産については個別の物件を資金生成単位とし、本社・厚生施設等については独立したキャッシュ・フローは生み出しませんが、他の資金生成単位から生じるキャッシュ・フローに寄与していることから全社資産としております。
(2) 減損損失
減損損失のセグメント別内訳は、以下のとおりであります。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
ヘルスサイエンス事業におけるバイオケミカル事業について、前年度においてアミノ酸及びヒトミルクオリゴ糖事業の事業譲渡契約を締結しました。契約締結に伴い、回収可能価額が処分グループの帳簿価額を下回ることから、帳簿価額の全額を減損しております。この結果、バイオケミカル事業に係る非流動資産の減損損失5,532百万円を計上しました。当該減損損失5,532百万円の主な内訳は、機械装置及び運搬具3,211百万円、建物及び構築物1,944百万円であります。
これらの減損損失については、経営活動全般に跨る費用など、いずれの機能にも結び付かない性質の費用と考えられるため、「その他の営業費用」に計上しております。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
当年度における該当事項のうち、重要なものはありません。なお、該当する減損損失については、経営活動全般に跨る費用など、いずれの機能にも結び付かない性質の費用と考えられるため、「その他の営業費用」に計上しております。
(3) のれん及び耐用年数が確定できない無形資産を含む資金生成単位(単位グループ)の減損テスト
企業結合で生じたのれん及び耐用年数を確定できない無形資産は、当社グループの資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額のセグメント別内訳は以下のとおりであります。
のれん及び無形資産のうち重要なものはLion(酒類事業)、協和キリン(医薬事業)、Blackmores(ヘルスサイエンス事業)及びファンケル(ヘルスサイエンス事業)に係るものであり、減損テストは以下のとおり行っております。
Lion(酒類事業)
企業結合により生じたLION PTY LTD及びLion Global Craft Beverages Pty Ltd等に関連するのれん及びブランドとなります。
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値を基に測定しております。
処分コスト控除後の公正価値の算定は、市場倍率を用いた類似企業比較法に基づいております。公正価値の算定は、算定対象となる事業に関する将来の計画等の判断と仮定が必要になりますが、これらは現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づいております。なお、この前提には価格戦略等に関する重要な仮定が含まれております。
この公正価値測定は用いた評価技法への重要なインプットに基づきレベル3に分類しております。
回収可能価額は当該資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っており、回収可能価額の算定に用いた類似企業の事業に関する相場価額等について合理的な範囲で変動があった場合にも、回収可能価額が帳簿価額を下回ることはないと考えております。
なお、北米地域に属する事業について、当社が直接モニタリングする体制へと変更したことに伴い、当該のれんは翌年度においてLION PTY LTDを中心とするオセアニア地域に属する事業に係るのれんとLion Global Craft Beverages Pty Ltdの傘下で実質的に事業を営むNew Belgium Brewing Company, Inc.を中心とする北米地域に属する事業に係るのれんに再配分され、以後それぞれを独立した資金生成単位グループとして減損テストを行う予定としております。
協和キリン(医薬事業)
企業結合により生じた協和キリン㈱等に関連するのれんとなります。
回収可能価額は、使用価値により測定しております。
使用価値は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営陣によって承認された事業計画を基礎とした3ヶ年のキャッシュ・フロー見積額を現在価値に割り引いております。税引前の割引率は資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に10.0%と算定しております。
使用価値の算定は、算定対象となる事業に関する将来の計画等の判断と仮定が必要になりますが、これらは現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づいております。なお、この前提には新薬の上市予定や競合の状況等に関する重要な仮定が含まれております。
回収可能価額は当該資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っており、回収可能価額の算定に用いた将来キャッシュ・フロー、割引率等について合理的な範囲で変動があった場合にも、回収可能価額が帳簿価額を下回ることはないと考えております。
Blackmores(ヘルスサイエンス事業)
企業結合により生じたBlackmores Limitedに関連するのれん及びブランドとなります。
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値により測定しております。
処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営陣によって承認された事業計画を基礎とした9ヶ年のキャッシュ・フローに永久成長率2.75%を考慮した見積額を現在価値に割り引いたうえで処分コスト見積額を控除して算定しております。税引前の割引率は資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に11.7%と算定しております。公正価値の算定は、算定対象となる事業に関する将来の計画等の判断と仮定が必要になりますが、これらは現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づいております。なお、この前提には豪州、東南アジア及び中国の市場規模の拡大並びに東南アジア等における売上拡大施策に関する重要な仮定が含まれております。公正価値測定は用いた評価技法への重要なインプットに基づきレベル3に分類しております。
回収可能価額は当該資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っており、回収可能価額の算定に用いた将来キャッシュ・フロー、永久成長率及び割引率等について合理的な範囲で変動があった場合にも、回収可能価額が帳簿価額を下回ることはないと考えております。
ファンケル(ヘルスサイエンス事業)
企業結合により生じたファンケルに関連するのれん及びブランドとなります。
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値により測定しております。
処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営陣によって承認された事業計画を基礎とした10ヶ年のキャッシュ・フローに永久成長率2.0%を考慮した見積額を現在価値に割り引いたうえで処分コスト見積額を控除して算定しております。税引前の割引率は資金生成単位の加重平均資本コストを基礎に7.4%と算定しております。公正価値の算定は、算定対象となる事業に関する将来の計画等の判断と仮定が必要になりますが、これらは現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づいております。なお、この前提には国内通販チャネルの販売拡大、海外市場における販売拡大などに関する重要な仮定が含まれております。公正価値測定は用いた評価技法への重要なインプットに基づきレベル3に分類しております。
回収可能価額は当該資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っており、回収可能価額の算定に用いた将来キャッシュ・フロー、永久成長率及び割引率等について合理的な範囲で変動があった場合にも、回収可能価額が帳簿価額を下回ることはないと考えております。
10.その他の金融資産
(1) 各年度の「その他の金融資産」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 1 連結財政状態計算書では、貸倒引当金控除後の金額で表示しております。
2 株式はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に、デリバティブ資産は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に、その他は主に償却原価で測定される金融資産にそれぞれ分類しております。
(2) 各年度のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の主な銘柄、及び公正価値等は、以下のとおりであります。取引・協業関係の構築・維持・強化を目的に保有しているため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定しております。
上記のうち、主な市場性のある銘柄の公正価値は以下のとおりであります。
市場性のない銘柄は、主に日本国内の事業における取引先等への投資により構成されております。日本国内の事業における前年度及び当年度の公正価値の合計額はそれぞれ27,751百万円及び25,025百万円であります。
(3) 保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の売却(認識の中止)を行っております。各年度の売却時点での公正価値及び資本でその他の包括利益として認識されていた累積損益は、以下のとおりであります。
(注) 資本でその他の包括利益として認識されていた累積損益は、認識の中止を行った場合に利益剰余金に振り替えております。
(4) 担保資産
各年度の担保資産残高は以下のとおりであります。
(注) 関税法・消費税法に基づく納期限延長制度を利用する際の担保として供託しているものであります。
11.法人所得税
(1) 連結財政状態計算書上の繰延税金資産及び繰延税金負債
各年度の連結財政状態計算書上の繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は以下のとおりであります。
(2) 繰延税金残高の増減
各年度の繰延税金残高の増減は、以下のとおりであります。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 企業結合による取得には、重要性が乏しいため遡及修正をしていない測定期間内の修正を含めております。
2 その他には在外営業活動体の換算差額が含まれております。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
(注) その他には在外営業活動体の換算差額、子会社の売却による減少等が含まれております。
繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得及びタックスプランニングを考慮しております。認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が控除可能な期間における将来課税所得の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。
(3) 未認識の繰延税金負債
当社グループが一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な将来に一時差異が解消しない可能性が高い場合には、当該一時差異に関連する繰延税金負債を認識しておりません。繰延税金負債として認識されていない子会社、関連会社に対する投資及び共同支配に対する持分に係る一時差異の総額は、前年度末及び当年度末現在、それぞれ710,779百万円、835,527百万円であります。
(4) 未認識の繰延税金資産
当社グループがその便益を利用するために必要となる将来の課税所得を稼得する可能性が高くないため、以下の項目については繰延税金資産を認識しておりません。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
(5) 法人所得税費用
各年度の法人所得税費用の内訳は以下のとおりであります。
(注) 当期税金費用に含まれている第2の柱の法人所得税に係る税金費用は、軽微であります。
(6) 実効税率の調整表
当社グループは、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎とした法定実効税率は、前年度、当年度ともに30.6%であります。ただし、在外子会社については、その所在地における法人税等が課されております。
各年度の法定実効税率と平均実際負担税率との調整は、以下のとおりであります。
12.棚卸資産
各年度の「棚卸資産」の内訳は以下のとおりであります。
費用として計上された棚卸資産の評価損は、前年度、当年度それぞれ24,297百万円、15,326百万円であります。
評価減した金額は連結損益計算書の「売上原価」及び「その他の営業費用」に含まれております。
13.営業債権及びその他の債権
各年度の「営業債権及びその他の債権」の内訳は以下のとおりであります。
(注) 1 連結財政状態計算書では、貸倒引当金控除後の金額で表示しております。
2 営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
14.現金及び現金同等物
前年度及び当年度の「現金及び現金同等物」の内訳は「現金及び預金(預入期間が3ヶ月を超える定期預金を除く)」であり、連結財政状態計算書における「現金及び現金同等物」の金額と連結キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物」の金額は一致しております。また、「現金及び現金同等物」は、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
当社の連結子会社であるKirin Holdings Singapore Pte, Ltd.は、ミャンマー中央銀行の通達による預金引出制限の影響等により、同社が保有する一部の現金及び現金同等物の利用に一定の制限を受けており、その額は、前年度末及び当年度末現在、それぞれ25,875百万円、14,751百万円であります。現金及び現金同等物には、これらが含まれております。
15.払込資本及びその他の資本
(1) 資本金及び剰余金
各年度の発行済株式数の増減、各年度末の授権株式数は、以下のとおりであります。
当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であります。
資本剰余金及び利益剰余金の主な内容は、以下のとおりであります。
我が国の会社法では、資本剰余金に含まれる資本準備金及び利益剰余金に含まれる利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、各年度に剰余金の配当により減少する剰余金の10分の1を、資本準備金又は利益準備金として積立てることが規定されております。
また、会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計原則に準拠して記帳された会計帳簿上の資本剰余金及び利益剰余金に基づいて算定されますが、資本準備金及び利益準備金は当該分配可能額から控除されます。
なお、資本剰余金の期末残高が負の値になる場合は、利益剰余金から振替を行い、資本剰余金をゼロとしております。
(2) 自己株式
各年度の自己株式数の増減は、以下のとおりであります。
当社の自己株式は、当社グループが保有する当社株式の取得原価からなります。
前年度自己株式の増減の内訳は、次のとおりであります。
・単元未満株式の買取:30千株
・単元未満株式の売却:△1千株
・役員報酬BIP信託が保有する株式の払出し:△150千株
前年度期末の自己株式は、役員報酬BIP信託が保有する株式1,761千株が含まれております。
当年度自己株式の増減の内訳は、次のとおりであります。
・単元未満株式の買取:9千株
・単元未満株式の売却:△0千株
・役員報酬BIP信託が保有する株式の払出し:△162千株
当年度期末の自己株式は、役員報酬BIP信託が保有する株式1,599千株が含まれております。
(3) その他の資本の構成要素の内容及び目的
① 在外営業活動体の換算差額
在外営業活動体の換算差額は、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じた為替換算差額であります。
② キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジは、キャッシュ・フロー・ヘッジに利用されたヘッジ手段の公正価値の純変動額の累積額のうち、ヘッジが有効な部分からなり、ヘッジされたキャッシュ・フローが純損益に影響を与える際に純損益で認識されます。
③ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の純変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の評価差額であります。
④ 確定給付制度の再測定
確定給付制度の再測定とは、数理計算上の差異、制度資産に係る収益(利息収益に含まれる金額を除く)及び資産上限額の影響(利息収益に含まれる金額を除く)の変動額であります。また、数理計算上の差異とは、確定給付制度債務に係る実績による修正(期首における数理計算上の仮定と実績の結果との差異)及び数理計算上の仮定の変更による影響額であります。これらについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えております。
(4) 配当
配当金支払額は、以下のとおりであります。
(注) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金が含まれており、その額は2024年3月28日定時株主総会決議分が70百万円、2024年8月6日取締役会決議分が63百万円、2025年3月28日定時株主総会決議分が63百万円、2025年8月7日取締役会決議分が59百万円になります。
基準日が当期に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるものは、以下のとおりであります。
(注) 配当金の総額には、役員報酬BIP信託が保有する当社株式に対する配当金59百万円が含まれております。
16.社債及び借入金(その他の金融負債を含む)
(1) 金融負債の内訳
各年度の「社債及び借入金」及び「その他の金融負債」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 1 デリバティブ負債は、公正価値で測定される金融負債に、デリバティブ負債及びリース負債以外の金融負債は、償却原価で測定される金融負債に分類しております。
2 平均利率は期中平均残高により算定しております。
3 社債の発行条件の要約は以下のとおりであります。
17.リース
(1) リース活動
当社グループは、主に事業所及び倉庫の不動産等について、リース契約を締結しております。
当社グループにおいては、リース条件は個々に交渉され、幅広く異なる契約条件となっております。延長オプション及び解約オプションは、主に事業所及び倉庫に係る不動産リースに含まれており、その多くは、1年間ないし原契約と同期間にわたる延長オプション、また、6ヶ月前までに相手方に書面をもって通知した場合に早期解約を行うオプションとなっております。なお、これらのオプションは、リース契約主体が不動産を事業に活用する上で、必要に応じて使用されております。
また、グループ中のリースの一部は、棚卸資産の数量に連動する倉庫料や、店舗から生み出される売上に連動する不動産賃借料に係る変動支払条件を含んでおります。変動支払条件は、支払賃料を不動産のキャッシュ・フローと連動させ、固定費を最小限にするために使用されております。
(2) 使用権資産
前年度及び当年度の使用権資産の帳簿価額及び減価償却費の内訳は、以下のとおりであります。
(3) リース負債
前年度末及び当年度末におけるリース負債の期日別残高は、以下のとおりであります。
前年度(2024年12月31日)
当年度(2025年12月31日)
(4) 連結損益計算書に計上された金額
(5) 連結キャッシュ・フロー計算書に計上された金額
18.従業員給付
(1) 確定給付制度
当社グループは、確定給付型の制度として、退職一時金制度、確定給付企業年金制度及び厚生年金基金制度を設けております。
確定給付制度における給付額は、勤続した年数に稼得したポイントや退職時の支給率、勤続年数、退職前の最終平均給与、その他の条件に基づき設定されております。
なお、通常の退職日前における従業員の退職に際して、退職加算金を支払う場合があります。
確定給付制度は、法令に従い、当社グループ、又は当社グループと法的に分離された年金基金により運営されております。
当社グループ、又は年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の基金のため忠実にその業務を遂行することが法令により求められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。
制度資産の運用にあたっては、外部機関により年金ALM(資産・負債の総合管理)を実施して最適アセットミックスを策定しております。最適アセットミックスでは、リスク、期待収益率及び投資資産別の資産構成割合を設定し、その割合を維持することにより運用を行っております。
また、当社グループ及び年金基金は、法令の定めに従い、将来の給付発生に対する充当や積立不足がある場合の年金財政の均衡保持を目的として、定期的に財政検証を行うとともに、年金拠出額の再計算を行っております。
当社グループの主要な制度は、投資リスク、金利リスク、インフレリスク、寿命リスク等のリスクに晒されております。
① 確定給付制度債務及び制度資産
確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値と連結財政状態計算書に計上された確定給付負債(資産)の純額との関係は、以下のとおりであります。
(注)「退職給付に係る資産」は、連結財政状態計算書上、「その他の非流動資産」に含まれております。
② 確定給付制度債務の調整表
確定給付制度債務の現在価値の期首及び期末残高の調整表は、以下のとおりであります。
(注)「制度の清算による減少」は、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.が確定給付企業年金制度を一部清算したことによるものです。
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前年度末10.6年、当年度末9.5年であります。
③ 制度資産の調整表
制度資産の公正価値の期首及び期末残高の調整表は、以下のとおりであります。
(注)「制度の清算による減少」は、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.が確定給付企業年金制度を一部清算したことによるものです。
当社グループは、2026年12月期に3,403百万円の掛金を拠出する予定であります。
④ アセット・シーリングによる調整額の変動
各年度のアセット・シーリングによる調整額の変動は、以下のとおりであります。
⑤ 制度資産の主なクラス別内訳
各年度の制度資産合計に対する主なクラス別内訳は、以下のとおりであります。
⑥ 数理計算上の仮定に関する事項
各年度の数理計算の仮定の主なものは、以下のとおりであります。
重要な数理計算上の仮定が0.5%変動した場合に、確定給付制度債務に与える影響は、以下のとおりであります。なお、その他の変数は一定であることを前提としております。
(2) 確定拠出制度
当社及び一部の連結子会社では確定給付型の年金制度の他、確定拠出型の年金制度を設けております。
確定拠出制度に関して費用として計上した金額は、前年度において18,473百万円、当年度において18,711百万円であります。
なお、上記には公的制度に関して費用として認識した金額を含んでおります。
(3) 従業員給付費用
連結損益計算書に含まれる従業員給付費用は、前年度において362,468百万円、当年度において368,708百万円であります。従業員給付費用には、給与、従業員賞与、法定福利費及び退職後給付に係る費用などを含めております。退職後給付に係る利息費用及び利息収益は純額を「金融費用」に、過去勤務費用は「その他の営業費用」及び「その他の営業収益」に含めており、それ以外の従業員給付に係る費用は、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、「その他の営業費用」に含めて表示しております。
19.引当金
「引当金」の内訳及び増減は、以下のとおりであります。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
(注) 1 建物の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務等に関するものです。
2 事業構造改革に伴い発生する費用及び損失を合理的に見積り計上しております。なお、1月1日残高の主な内容は、当社の連結子会社である協和発酵バイオ㈱のアミノ酸及びヒトミルクオリゴ糖事業の譲渡契約の締結に伴う譲渡損失の引当金であり、当年度において譲渡が完了したため12月31日残高はありません。
3 その他引当金には、契約損失引当金及び補償損失引当金等が含まれております。
20.営業債務及びその他の債務
各年度の「営業債務及びその他の債務」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定される金融負債に分類しております。
21.その他の負債
各年度の「その他の非流動負債」及び「その他の流動負債」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 契約負債の期首残高のうち認識した収益の金額は、前年度において9,142百万円、当年度において15,544百万円であります。また、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の金額は、前年度において41,714百万円、当年度において55,000百万円であり、主にマイルストン収入及びランニング・ロイヤルティ収入であります。
22.売上収益
(1) 売上収益の分解とセグメント収益との関連
当社グループは、「酒類事業」、「飲料事業」、「医薬事業」、「ヘルスサイエンス事業」の4つの各報告セグメントごとに、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するための区分にて、売上収益を分解しております。キリンビール及びCoke Northeastは単体の数値であり、それ以外は連結の数値を表示しております。
(2) 履行義務の充足時期
技術収入に関する契約等における残存履行義務に配分した取引価格の総額及び収益の認識が見込まれる期間は、以下のとおりであります。なお、実務上の便法を使用しているため、当初の予想残存期間が1年以内の取引は含めておりません。
23.販売費及び一般管理費
各年度の「販売費及び一般管理費」の内訳は、以下のとおりであります。
24.その他の営業収益
各年度の「その他の営業収益」の内訳は、以下のとおりであります。
25.その他の営業費用
各年度の「その他の営業費用」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 事業構造改善費用は、主に事業構造改革に伴い発生する特別退職金等として、前年度において19,692百万円、当年度において14,274百万円を計上しております。
26.金融収益及び金融費用
各年度の「金融収益」及び「金融費用」の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 1「受取利息」及び「支払利息」は、主に償却原価で測定される金融資産及び金融負債から発生しております。
2「受取配当金」はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品から発生しております。
27.キャッシュ・フロー
(1) 財務活動に係る負債の調整表
財務活動に係る主な資産及び負債の増減は、以下のとおりであります。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
(2) 新株予約権付社債の償還による支出
前年度の「新株予約権付社債の償還による支出」9,621百万円は、Orchard Therapeutics社が企業結合前に発行していた新株予約権付社債に関する支出であります。
28.その他の包括利益
各年度の「その他の包括利益」に含まれている、各包括利益項目別の当期発生額及び組替調整額、並びに税効果の影響は、以下のとおりであります。
29.1株当たり利益
(1) 基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
① 親会社の普通株主に帰属する利益(基本的)
② 加重平均普通株式数(基本的)
(2) 希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎
希薄化後1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益及びすべての希薄化潜在的普通株式の影響を調整した加重平均普通株式数に基づき、以下のように算定しております。
① 親会社の普通株主に帰属する当期利益(希薄化後)
② 加重平均普通株式数(希薄化後)
30.株式に基づく報酬
(1) 株式に基づく報酬制度の内容
当社は、当社の社外取締役を除く国内の取締役及び執行役員(以下、取締役等)を対象に、報酬制度の安定的で効率的な運営及び当社の取締役等の中長期的な業績向上と企業価値増大へのインセンティブ確保のために、業績連動型報酬制度として、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託の仕組みを導入しております。
当社の子会社である協和キリン㈱は、同社取締役等に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として譲渡制限付株式報酬制度、持分決済型及び現金決済型の株式に基づく報酬制度として業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット)、同社グループの一部の従業員に対する現金決済型の株式に基づく報酬制度としてファントム・ストック制度をそれぞれ採用しております。
(2) 役員報酬BIP信託
① 制度内容
当社が金員を拠出して設定する信託が、当該金員を原資として当社株式を取得し、原則として、当社の株式交付規程に従ってポイントの付与を受けた取締役等に対して、当該取締役等が各業績評価期間の開始から3年が経過した後の一定の時期に所定の受益者確定手続きを行うことにより、当社株式及び換価処分対象となる当社株式に係る換価処分相当額の金銭(以下、「当社株式等」という)の交付及び給付を行う制度であります。当該取締役等に対して交付及び給付が行われる当社株式等については、1ポイントを1株に換算しますが、そのうち当社の株式交付規程に定める換価処分対象となる当社株式については換価処分金相当額の金銭として給付されます。
② 期中に付与されたポイント数と公正価値
(注) 付与日の公正価値は、付与日の当社株式の株価に近似していると判断されたことから、付与日の株価を使用して算定しております。
(3) 譲渡制限付株式報酬制度
① 制度内容
当制度の下では、一定期間継続して当社の子会社である協和キリン㈱の取締役等を務めることを条件として、同社から支給された金銭報酬債権の全部を現物出資財産として払込み、同社の普通株式について発行を受けることとなります。
譲渡制限付株式報酬での同社の普通株式の発行に当たっては、同社と対象取締役等の間において、①一定期間、本株式に係る第三者への譲渡、担保権の設定その他一切の処分を禁止すること、②一定の事由が生じた場合には、同社が本株式を無償取得すること等をその内容に含む契約が締結されることを条件とします。
② 期中に付与された株式数と公正価値
(4) 業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット)
① 制度内容
当社の子会社である協和キリン㈱は、報酬の付与において、連続する3事業年度を業績評価期間として、業績目標の達成度合いに応じて増減する業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット)を導入しております。
当該制度は、同社の取締役及び執行役員を対象としております。業績評価期間開始時に「基準となる交付株式数」を取締役会決議により決定し、業績評価期間終了後に、「基準となる交付株式数」に業績目標達成度を0%から150%の範囲で乗じ、その約半分を株式、残りを現金として、毎年一定の時期(通常は4月)に取締役等に交付及び支給する設計であります。
当該制度に関する負債の帳簿価額は、前年度末において88百万円、当年度末において118百万円であります。
② 期中に存在するパフォーマンス・シェア・ユニット
(注) 当該制度における公正価値は、当該制度の対象期間開始当初の同社取締役会決議の日の前営業日における、同社株式の市場価値を基礎として算定し、予想配当を考慮に入れた修正は行っておりません。
(5) ファントム・ストック
当社の子会社である協和キリン㈱及び同社の一部の子会社は、報酬の付与において、権利確定時の同社株式の株価を基礎とした金額を現金で決済するファントム・ストック制度を導入しております。
当該制度は、同社グループの一部の従業員を対象としております。権利確定条件は、付与日以降、原則として3年間勤続していることとなっております。なお、当該制度は、同社株式の株価を基礎として報酬額が決定され、支払いがなされるものであるため、行使価格はありません。
当該制度に関する負債の帳簿価額は、前年度末において917百万円、当年度末において1,406百万円であります。
(6) ストック・オプション
① 制度内容
当社の子会社である協和キリン㈱は、2019年度まで、ストック・オプション制度を採用しており、すべて持分決済型の株式に基づく報酬であります。ストック・オプションとして発行する新株予約権は、同社の株主総会において承認された内容に基づき、同社の取締役会決議により、同社の取締役及び執行役員並びに同社の子会社の一部取締役に対して付与されております。被付与者が取締役又は執行役員を解任された場合は、当該新株予約権は消滅します。また、被付与者の任期満了前に退任日が到来した場合、新株予約権の数は在任月数に応じて調整されます。行使期間は、割当契約に定められており、3年から20年であります。なお、被付与者がその地位を喪失した場合、もしくはその期間内に行使されない場合は、当該新株予約権は消滅します。
② ストック・オプションの数及び加重平均行使価格
(注) 1 期中に行使されたストック・オプションの権利行使日時点の加重平均株価は、前年度において2,538円、当年度において2,284円であります。
2 未行使のストック・オプションの加重平均残存期間は前年度において0.2年です。なお、当年度において、当新株予約権は、2025年2月12日までにすべて行使されました。
(7) 連結損益計算書に計上された金額
上記の株式報酬制度に係る費用は以下のとおりです。当該費用は、連結損益計算書上「販売費及び一般管理費」に計上しております。
(単位:百万円)
31.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、企業価値の最大化に向けて、株主還元と財務健全性・柔軟性の確保に重点をおいた最適な資本構成を維持することを資本管理の基本方針としております。シナジーの創出、CSV経営の推進、資産の圧縮などにより、収益性・効率性の向上を目指し、創出したキャッシュ・フローは事業投資や設備投資、株主還元及び有利子負債の返済に充当します。
(2) リスク管理に関する事項
当社グループは、事業活動を行うに当たり、信用リスク、流動性リスク及び市場リスク等の財務上のリスクに晒されており、これらのリスクを低減するために、一定の方針等に基づきリスク管理を行っております。
また、当社グループは、デリバティブの利用を財務上のリスクをヘッジする目的とした利用に限定しており、投機目的では利用しておりません。
(3) 信用リスク
① 信用リスク管理
当社グループは、営業債権(受取手形及び売掛金)、その他の債権(未収入金)及びその他の金融資産(差入保証金等)について信用リスクに晒されております。
当社及び一部の子会社は、債権管理規程に従い、これらの金融資産について、各営業部門において主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
デリバティブ取引の利用にあたっては、取引相手先を高格付を有する金融機関に限定しているため、信用リスクはほとんどないと認識しております。
なお、当社グループは、特定の相手先又はその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを負っておりません。
② 信用リスク
各年度末における、金融資産のステージ別の帳簿価額(貸倒引当金控除前)は、以下のとおりであります。
報告日現在における、保有する担保の評価額を考慮に入れない場合の最大の信用リスク額は、信用リスクに晒されている金融資産の帳簿価額により表されております。保証として保有している担保は主に営業保証金であります。
また、当社グループでは、営業債権等及びステージ1の金融資産の予想信用損失は、過去の信用損失の実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を乗じて集合的に評価し、ステージ2及びステージ3の金融資産の予想信用損失は、過去の信用損失の実績及び将来の経済状況等の予測を加味した上で個別に評価しております。
上記金融資産に対する貸倒引当金の増減表は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
保証債務については、以下のとおり表示されている保証債務の残高が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
(単位:百万円)
なお、当該保証債務契約の履行により発生しうる損失に係る債務保証損失引当金は、金額的に重要性がないと見込まれるため、計上しておりません。
(4) 流動性リスク
① 流動性リスク管理
当社グループは、財務上のリスク管理規程に基づき、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定しております。その上で、資金調達環境の悪化等により発生する流動性リスクに備えるため複数の金融機関からのコミットメント・ラインの取得、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどにより当該リスクを管理しております。
② 金融負債の期日別残高
各年度末における金融負債の期日別残高は、以下のとおりであります。
前年度(2024年12月31日)
当年度(2025年12月31日)
(5) 市場リスク管理
① 為替変動リスク管理
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、機能通貨以外の通貨で実施する取引や、在外営業活動体の財務諸表を日本円に換算し連結する際に、当社グループの資本が為替変動の影響を受けるリスクに晒されております。為替変動リスクを管理するため為替予約や通貨スワップ等を利用しヘッジしております。
当社グループは主に、ミャンマーチャット及び米ドルとユーロの為替リスク(当社グループ各社が各機能通貨で実施する取引に係るものを除く)に晒されております。
当社グループの主な為替変動リスクのエクスポージャー(純額。△は負債)は、以下のとおりであります。なお、デリバティブ取引により為替変動リスクがヘッジされているものを除いております。
当社グループが報告日現在において保有する外貨建金融商品について、日本円がミャンマーチャット及び米ドルとユーロに対して10%通貨安となった場合に、税引後利益に与える影響は、以下のとおりであります。
なお、機能通貨建の金融商品、及び在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する際の影響は含んでおりません。また、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
② 金利変動リスク
当社グループは報告日現在において変動金利の金融商品を保有しておらず、金利変動リスクはありません。
③ 価格変動リスク
当社グループでは、資本性金融商品(株式)から生じる株価変動リスクに晒されております。保有している資本性金融商品については、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握するとともに、発行体が取引先企業である場合には、当該企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
当社グループが、報告日現在において保有する資本性金融商品について、報告日における市場価格が1%上昇した場合の、その他の包括利益(税効果考慮前)が受ける影響は、前年度290百万円、当年度361百万円であります。
なお、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
当社グループは、アルミニウムやオイル等の商品価格変動リスクに晒されておりますが、商品スワップ等を利用しヘッジしております。報告日現在において、上記の価格が1%変動した場合の、税引前利益に与える影響額に重要性はありません。
また、当社グループの商品価格変動リスクのエクスポージャーに重要性はありません。
なお、当社グループは、ヘッジ対象とヘッジ手段との経済的関係性について、関連するキャッシュ・フローの金額及び発生時期等に基づいて判断しております。また、当社グループが現在ヘッジ会計を適用しているヘッジ関係においては、ヘッジ手段とヘッジ対象の重要な条件は一致しております。
(6) デリバティブ取引及びヘッジ会計
① ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引の契約額等及び公正価値は以下のとおりであります。
② ヘッジ会計
ヘッジ手段として指定した項目は以下のとおりであります。
なお、デリバティブの帳簿価額は、連結財政状態計算書上「その他の金融資産」又は「その他の金融負債」に計上された金額であり、満期までの期間が1年超の金額は非流動資産又は非流動負債に分類しております。
前年度(2024年12月31日)
為替予約における平均レートは、1米ドル当たり141.01円、1ユーロ当たり156.81円、1豪ドル当たり92.25円であります。
当年度(2025年12月31日)
為替予約における平均レートは、1米ドル当たり153.93円、1ユーロ当たり179.85円、1豪ドル当たり100.91円であります。
ヘッジ会計を適用した結果として連結包括利益計算書に影響を与えた結果は以下のとおりであります。
前年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
純損益に認識したヘッジの非有効部分の金額に重要性はありません。
当年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
純損益に認識したヘッジの非有効部分の金額に重要性はありません。
(7) 金融商品の公正価値
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、レベル1からレベル3までを以下のように分類しております。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、報告期間の末日時点で発生したものとして認識しております。
① 公正価値の測定方法
各金融商品の公正価値の測定方法は、以下のとおりであります。
(長期借入金)
長期借入金の公正価値については、元利金の合計額を、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。
(社債)
社債の公正価値については、元利金の合計額を当該社債の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しております。
(デリバティブ)
デリバティブの公正価値については、為替レート及び金利等の市場データに基づいて取引先金融機関等が算定した価格に基づいております。
(株式)
株式の公正価値については、上場株式については取引所の市場価格、非上場株式については類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しております。
② 償却原価で測定される金融商品
各年度末における償却原価で測定される金融商品の帳簿価額と公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりであります。
前年度(2024年12月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
当年度(2025年12月31日)
(注) 1年内返済及び償還予定の残高を含んでおります。
償却原価で測定される短期金融資産、短期金融負債については、公正価値は帳簿価額と近似しております。
③ 公正価値で測定される金融商品
各年度末における公正価値で測定される金融商品の公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりであります。
前年度(2024年12月31日)
当年度(2025年12月31日)
(注) 1 各年度において、レベル1、2の間の振替はありません。
2 レベル3の株式に係る公正価値の測定は、関連する社内規程に従い実施しております。公正価値の測定に際しては、対象となる金融商品の性質、特徴及びリスクをもっとも適切に反映できる評価技法及びインプットを用いております。
また、経常的に公正価値で測定されるレベル3に分類される株式の公正価値の測定に関する重要な観察可能でないインプットは、営業利益倍率及び非流動性ディスカウントであります。公正価値は営業利益倍率の上昇(低下)により増加(減少)し、非流動性ディスカウントの上昇(低下)により減少(増加)します。
レベル3に分類される株式について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
各年度における、レベル3に分類された金融資産の増減は、以下のとおりであります。
(注) 1 純損益に含まれている利得及び損失は、報告日時点の純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に関するものであります。これらの損益は「金融収益」「金融費用」に含まれております。
2 その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、報告日時点のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に関するものであります。これらの損益は「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の純変動」に含まれております。
(8) 金融資産・負債の相殺
当社は、金融機関とキャッシュプーリング契約を締結しており、当該キャッシュプーリング契約により認識した金融資産・負債について相殺する法的に強制可能な権利を有しており、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有しております。
上記キャッシュプーリング契約により認識した前年度末及び当年度末における金融資産及び金融負債はそれぞれ以下のとおりです。
前年度(2024年12月31日)
(単位:百万円)
当年度(2025年12月31日)
(単位:百万円)
32.関連当事者
(1) 関連当事者との取引
重要性のある関連当事者との取引はありません。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
各年度の主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりであります。
33.子会社一覧
当社の連結子会社は「第1 企業の概況 4.関係会社の状況」に記載しております。
当年度における連結子会社の異動は次のとおりです。
取得・設立等により連結子会社とした会社の数:9
清算・売却等により減少した会社の数:22
34.非支配持分
当社グループにおける重要な非支配持分がある子会社は協和キリン㈱であり、その要約財務情報等は以下のとおりであります。なお、要約財務情報はグループ内取引を消去する前の金額であります。
(1) 一般的情報
(2) 要約財務情報
① 要約連結財政状態計算書
② 要約連結損益計算書
③ 要約連結包括利益計算書
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
35.持分法で会計処理されている投資
各年度の持分法で会計処理されている投資の帳簿価額は、以下のとおりであります。
(1) 重要な関連会社
当社グループにおける重要な関連会社はSAN MIGUEL BREWERY INC.(報告日9月30日)であります。なお、前々年度において重要な関連会社であった㈱ファンケル(報告日12月31日)は、2024年9月19日付で同社の議決権42.72%を追加取得し、前年度末において連結子会社となっています。
① SAN MIGUEL BREWERY INC.
SAN MIGUEL BREWERY INC.は、フィリピンを中心にビールの製造及び販売を行っており、当社グループは今後も成長を続ける東南アジアビール市場における事業基盤の強化を図り、グループの成長ドライバーとしていきます。
SAN MIGUEL BREWERY INC.の要約財務情報と当社グループの持分の帳簿価額との調整表は以下のとおりであります。なお、財政状態計算書項目については9月30日の財務情報、損益計算書及び包括利益計算書項目については、同社の9月30日に終了する報告期間の12ヶ月の財務情報を記載しております。
② ㈱ファンケル
㈱ファンケルの要約財務情報と当社グループの持分の帳簿価額との調整表は以下のとおりであります。なお、2024年9月19日付で同社の議決権42.72%を追加取得し、前年度末において連結子会社となったことから、損益計算書及び包括利益計算書項目については、2024年1月1日から2024年9月19日の財務情報を記載しております。
(2) 個々に重要性のない共同支配企業及び関連会社
個々に重要性のない共同支配企業及び関連会社に対する当社グループの持分の帳簿価額は、以下のとおりであります。
個々に重要性のない共同支配企業及び関連会社における継続事業からの純損益、その他の包括利益及び包括利益合計に対する持分は、以下のとおりであります。
① 個々には重要性のない共同支配企業
② 個々には重要性のない関連会社
36.コミットメント
各年度における、報告日後の資産の取得に係るコミットメントは、以下のとおりであります。
(注) 上記の金額は、医薬事業における開発品又は製品の導入契約に係る開発・販売目標の達成に伴うマイルストンペイメントの最大支払額が含まれております。マイルストンの達成は不確実性が非常に高いため、実際の支払額は大幅に異なる可能性があります。
37.子会社に対する所有持分の変動
当年度において、当社は連結子会社である㈱ファンケル(以下「ファンケル」という。)の株式を追加取得いたしました。
これは、2024年12月20日付で効力が発生した株式併合により生じた1株に満たない端数となる株式に関して、2025年3月14日付で当社に対する売却が完了し、同日付における当該株式の譲渡契約の効力発生をもって当社のファンケルに対する所有持分が75.62%から100%になったものであります。
なお、取得対価は現金82,573百万円(未払金を含む)であり、連結キャッシュ・フロー計算書の「非支配持分からの子会社持分取得による支出」として表示しております。また、追加取得に伴い非支配持分が62,814百万円、資本剰余金が19,814百万円減少しております。
38.後発事象
(1) 子会社持分の譲渡
当社は、2026年2月6日付(日本時間)で、当社の連結子会社であるKirin Beer & Spirits of America Inc.が、その完全子会社であるFour Roses Distillery, LLC(以下「Four Roses社」)の全持分を譲渡する持分譲渡契約を E. & J. Gallo Winery(以下「Gallo社」)と締結しました。
① 持分譲渡の経緯
当社が2002年にFour Roses社を取得して以来、同事業は米国市場を中心に順調な成長を遂げ、当社の企業価値向上に貢献してまいりました。
一方で、キリングループは中長期的な視点からバランスシート·事業ポートフォリオの見直しを定期的に実施しており、このたび慎重に検討を重ねた結果、Gallo社に譲渡する契約を締結しました。
② 譲渡する相手先の名称
E. & J. Gallo Winery
③ 持分譲渡実行日
2026年度第2四半期(予定)
④ 当該子会社の概要
⑤ 譲渡する持分の数、譲渡後の持分比率、譲渡価額及び譲渡損益
(注) 譲渡価額のうち約80億円(50百万米ドル)は、本持分譲渡後にFour Roses社が一定の売上収益目標を達成することを条件として発生する可能性がある対価となります。また、実際の譲渡価額は、譲渡契約に定める持分譲渡実行時の価格調整を実施した金額となる予定です。
(2) 自己株式の取得及び消却
当社は、2026年2月13日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項について決議したとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式消却に係る事項について決議し、以下③(ⅰ)のとおり実施しました。
① 自己株式の取得及び消却を行う理由
当社は、安定配当と成長戦略の実行に向けた投資を最優先とする資本配分方針のもと、財務状況及び資本効率などを総合的に勘案し、最適なキャッシュアロケーションの一環として自己株式の取得及び消却を行うことといたしました。機動的な資本政策の遂行、資本効率の向上を通じて、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図ることを目的としております。
② 取得に係る事項の内容
③ 消却に係る事項の内容
(ⅰ)既所有株式の消却
(ⅱ)上記②により取得した自己株式の消却
(2) 【その他】
当年度における半期情報等
2 【財務諸表等】
(1) 【財務諸表】
① 【貸借対照表】
② 【損益計算書】
③ 【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当事業年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
1 資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券の評価基準及び評価方法
子会社株式及び関連会社株式
…移動平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
…時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定しております。)
市場価格のない株式等
…移動平均法による原価法
(2) デリバティブ取引の評価基準及び評価方法
…時価法
2 固定資産の減価償却の方法
(1) 有形固定資産(リース資産を除く)
…定額法
(2) 無形固定資産(リース資産を除く)
…定額法
なお、自社利用のソフトウエアについては社内における利用可能期間(10年以内)に基づく定額法により、のれんについてはその効果が発現すると見積られる期間(10年)で均等償却しております。
(3) リース資産
…所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法によっております。
3 引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(2) 賞与引当金
従業員に支給する賞与の支出に充てるため、支給見込額に基づき計上しております。
(3) 役員賞与引当金
役員に支給する賞与の支出に充てるため、支給見込額を計上しております。
(4) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
過去勤務費用は、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(13年)による定額法により費用処理しております。
数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(13年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の翌事業年度から費用処理しております。
4 収益及び費用の計上基準
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しており、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しております。当社の収益は主に子会社からの経営指導料及び受取配当金からなります。経営指導料については、子会社への契約内容に応じた受託業務を提供することが履行義務であり、業務が実施された時点において当社の履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。また、受取配当金は効力が生ずる日に収益を認識しております。
5 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
(1) ヘッジ会計の方法
原則として繰延ヘッジ処理によっております。なお、為替予約等については、要件を満たしている場合には振当処理に、金利スワップについては、要件を満たしている場合には特例処理によっております。
(2) グループ通算制度の適用
グループ通算制度を適用しております。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を与える可能性があるものは、以下のとおりであります。
1 市場価格のない関係会社株式の評価
(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額
(2) 会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報
市場価格のない関係会社株式は取得原価をもって帳簿価額としておりますが、当該株式の発行会社の財政状態悪化により実質価額が著しく低下した場合には、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、評価損を計上して処理をしております。なお、超過収益力等を反映した価額で取得した株式の実質価額は、株式の発行会社の財政状態に超過収益力等を加味して算定しております。
当該実質価額の基礎となっている事業計画については、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があります。将来実績が事業計画を大幅に下回る場合は、当該関係会社株式の評価結果が見積りと異なり、翌事業年度の財務諸表の当該関係会社株式の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(貸借対照表関係)
1 関係会社に対する金銭債権・債務
2 保証債務
(損益計算書関係)
※1 一般管理費のうち主要な費目及び金額
2 関係会社との取引(区分掲記したものを除く)
(有価証券関係)
子会社株式及び関連会社株式
前事業年度末(2024年12月31日)
当事業年度末(2025年12月31日)
(注) 上記に含まれない市場価格のない子会社株式及び関連会社株式の貸借対照表計上額
(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
(注) 税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額は下表のとおりであります。将来の課税所得の見込みに基づき、当事業年度の税務上の繰越欠損金11,942百万円のうち2,478百万円について回収可能と判断しております。
前事業年度(2024年12月31日)
(単位:百万円)
当事業年度(2025年12月31日)
(単位:百万円)
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との重要な差異の原因となった主要な項目別の内訳
(注) 前事業年度については、税引前当期純損失を計上しているため、注記を省略しております。
3 法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
「所得税法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第13号)が2025年3月31日に成立し、2026年4月1日以後開始する事業年度より「防衛特別法人税」の課税が行われることになりました。この改正に伴い、2027年1月1日に開始する事業年度以降に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債については、法定実効税率を30.6%から31.5%に変更し計算しております。
この変更により、当事業年度の繰延税金資産(繰延税金負債の金額を控除した金額)が189百万円増加し、その他有価証券評価差額金が6百万円、法人税等調整額が195百万円それぞれ減少しております。
4 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、グループ通算制度を適用しております。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号 2021年8月12日)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っております。
(重要な後発事象)
自己株式の取得及び消却
当社は、2026年2月13日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式取得に係る事項について決議したとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式消却に係る事項について決議し、以下3(1)のとおり実施しました。
1 自己株式の取得及び消却を行う理由
当社は、安定配当と成長戦略の実行に向けた投資を最優先とする資本配分方針のもと、財務状況及び資本効率などを総合的に勘案し、最適なキャッシュアロケーションの一環として自己株式の取得及び消却を行うことといたしました。機動的な資本政策の遂行、資本効率の向上を通じて、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図ることを目的としております。
2 取得に係る事項の内容
3 消却に係る事項の内容
(1) 既所有株式の消却
(2) 上記2により取得した自己株式の消却
④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
(注) 減価償却累計額には減損損失累計額が含まれております。
【引当金明細表】
(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3) 【その他】
該当事項はありません。
第6 【提出会社の株式事務の概要】
(注) 定款の規定により単元未満株式を有する株主は、その有する単元未満株式について、以下の権利以外の権利を行使することができません。
(1) 会社法第189条第2項各号に掲げる権利
(2) 会社法第166条第1項の規定による請求をする権利
(3) 株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利
(4) 単元未満株式の買増しを請求する権利
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社には、親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。

