第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
(2)提出会社の経営指標等
2 【沿革】
3 【事業の内容】
連結財務諸表提出会社(以下、当社という。)は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRSの定義に基づいています。「第2 事業の状況」および「第3 設備の状況」においても同様です。
当社および当社の関係会社(子会社585社、関連会社および共同支配企業165社(2025年3月31日現在)により構成)においては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。
なお、次の3つに区分された事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記5」に掲げるセグメント情報の区分と同様です。
自動車 当事業においては、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。自動車は、当社、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、一部については、トヨタ車体㈱等に生産委託しており、海外においては、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、当社および㈱デンソー等が製造しています。これらの製品は、国内では、トヨタモビリティ東京㈱等の全国の販売店を通じて顧客に販売するとともに、一部大口顧客に対しては当社が直接販売を行っています。一方、海外においては、米国トヨタ自動車販売㈱等の販売会社を通じて販売しています。
自動車事業における主な製品は次のとおりです。
金融 当事業においては、主として当社および当社の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外では、トヨタ モーター クレジット㈱等が、これらの販売金融サービスを提供しています。
その他 その他の事業では、情報通信事業等を行っています。
(事業系統図)
主な事業の状況の概要図および主要な会社名は次のとおりです。

上記以外の主要な会社としては、北米の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、欧州の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、金融会社を統括するトヨタファイナンシャルサービス㈱、ソフトウエアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・バイ・トヨタ㈱があります。
4 【関係会社の状況】
5 【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2025年3月31日現在
(2)提出会社の状況
2025年3月31日現在
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
② 主要な連結子会社
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2025年3月31日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
(2)トヨタフィロソフィー
トヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。
トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出していきます。
「トヨタフィロソフィー」
(3)会社の対処すべき課題
グループビジョン「次の道を発明しよう」
グループビジョンは、トヨタグループ*1の目指すべき方向、トヨタグループ全員が立ち戻ることができるビジョン・価値観です。
「次の道を発明しよう」。
グループの創始者・豊田佐吉は「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いで、「豊田式木製人力織機」を発明しました。そして、豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で自動車工業を興さねばならない」との想いで「国産乗用車」を発明しました。誰かを想い、学び、技を磨き、ものをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点です。
正解のない時代に、互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、多様な人財が活躍し、未来に必要とされるトヨタグループを目指していきます 。
*1 ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、愛知製鋼㈱、㈱ジェイテクト、トヨタ車体㈱、豊田通商㈱、㈱アイシン、㈱デンソー、トヨタ紡織㈱、トヨタ不動産㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本㈱、豊田合成㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタホーム㈱、トヨタ自動車九州㈱、ウーブン・バイ・トヨタ㈱の18社(2025年3月31日時点)
足場固めと認証問題への対応
[足場固め]
この1年は、持続的成長の基盤として「1,000万台のクルマづくりの競争力」と「多様な挑戦の実行力」を発揮できる環境をつくること、すなわち「足場固め」の取り組みを着実に進めてきました。
全社を挙げて、余力をつくり、人材育成や安全・品質の徹底に取り組んできました。特に注力してきたのが、生産現場の基盤整備です。
モノづくりを取り巻く環境は、厳しさを増しています。日本の生産年齢人口は、今後15年で2割減少する見込みです。建屋・設備の老朽化が進み、稼働に影響を与えることも増えています。「生産性」と「働きやすさ」を向上させなければ、モノづくりの基盤を守り抜けないという問題意識のもと、各工場で暑熱対策をはじめとする環境改善や、多様なメンバーの全員が働きやすい生産ラインづくりなどに取り組んできました。
さらに、将来に向けて、モノづくりの変革を目指す「未来工場」のプロジェクトも立ち上げました。自動化の大幅な拡充や多様な働き方の導入など、10年先、50年先を見据えて、生産性向上とやりがいにつながる踏み込んだ取り組みを検討していきます。
開発においても、「1,000万台のクルマづくりの競争力」の向上に取り組んできました。そのひとつが、TNGAプラットフォームの素性の良さを活かして、多様なお客様ニーズに柔軟に応えながら、お客様のニーズを正しく把握して仕様や部品の種類を適正化する「AREA35」の活動です。国内10工場でのトライアルを通じて、フルモデルチェンジ3プロジェクト相当の開発効率化につなげることができました。今後はグローバルに活動を展開して、さらなる開発・生産効率の向上を目指します。

また、基幹システムが分散していることで、人が介在してつないでいる車両仕様情報をDXにより開発から販売まで一気通貫でつなぐ仕組みなど、将来を見据えたクルマづくりの基盤整備も進めてきました。

[認証問題への対応]
認証問題については、全社を挙げて、再発防止に取り組んできました。国土交通省には四半期報告としてこれまで2回、その進捗を報告し、ご指導をいただきながら改善を進めています。
短期の取り組みは、再発防止で定めた14項目の着実な実行です。認証問題を通じて分かった経営と現場の乖離という反省を踏まえ、多くの経営メンバーが現場を回る活動に取り組みました。

これらの取り組みにより、認証業務は「現場の頑張り」に支えられているということ、また、現場では設備や備品の老朽化が業務に大きな影響を与えていることなど、様々な課題が明らかになりました。
こうした実態を踏まえて、現場の負担や不安を解消できるよう、負荷が高い部署の人員の拡充や、正しい仕事に必要な設備250件以上の投資を即決するなど、対策を進めました。
監査体制についても、2線監査を強化するために「法規主監」のメンバーを約40名まで増員し、認証現場の実態をくまなく把握できる体制を整えました。
そして、開発の節目管理も強化するために、認証準備や開発完了などの節目で、責任者を明確にしたうえで次のフェーズへの移行可否を判断する仕組みへ見直しました。実際のプロジェクトで、計画に無理が認められるものは移行を止めるという運用が既に始まっています。引き続き、現場を楽にする改善を積み重ねて、正しい仕事ができる環境を整えています。
中期の取り組みでは、一人ひとりの意識、風土を変えることを目指しています。その軸となるのが、会長の豊田のリードで進めている法規認証をテーマにしたTPS自主研の取り組みです。TPS自主研では、余力を生み出し正しい仕事を実践するために部署を超えたメンバーが集まって、仕事のプロセス全体で、停滞やムダを減らす改善を進めています。
例えば、エンジンECUの開発プロセスや車両仕様書をつくるプロセスのリードタイムの短縮をテーマに掲げて、改善活動が進んでいます。
長期の取り組みは、認証制度の改革です。2025年3月には、国土交通省と自動車メーカーの間で、未来志向の認証制度を検討する「官民協議会」がキックオフしました。認証現場の声を国土交通省に届け、日本の競争力に資する制度改革につなげていきます。
認証問題への対応を通じ、この取り組みは、会社全体の風土・体制・仕組みを改善することそのものであると感じています。引き続き、取り組みの実効性を高めて、トヨタらしいガバナンスの向上につなげていきます。
連結ガバナンスの進捗
連結ガバナンスについても、昨年取りまとめた施策を着実に実行しました。


風土面では、グループ6社*2が一体となったTPS自主研の活動において、グループ各社のトップが集まり、現場に軸足を置いた改善を進めています。トップおよび実務で重層的なコミュニケーションを拡充し、各社の悩みや本音を双方向で共有しています。
特に、認証問題の再発防止に取り組むダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、㈱豊田自動織機との連携を強化しました。ダイハツ工業㈱と㈱豊田自動織機とは、再発防止の進捗や、事業連携のあり方など、お互いの困りごとや経営課題について、トップ間で頻度高く、話し合いを続けてきました。日野自動車㈱に対しては、ダイムラートラック社とともに、三菱ふそうトラック・バス㈱との経営統合の準備をサポートしています。今後とも、トップ同士、実務間で、再発防止を踏まえたグループ連携を深めていきます。
体制面では、取締役会の実効性の向上に取り組むとともに、昨年6月に立ち上げた「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」では、認証問題や大規模災害のBCPをはじめとする足元の重要経営課題について、また、「サステナビリティ会議」では、未来工場やダイバーシティ人財の活躍など、サステナビリティ経営の重点5テーマについて、社外役員の知見を取り入れて、施策の方向づけを行ってきました。
仕組みの面では、内部統制の強化に向けて、重点対象の子会社17社に対して、従来の2倍以上の時間をかけて、多面的な監査を実施してきました。さらに、子会社の役員向けの内部統制に関する研修会の実施、他社事例の共有など、実践的かつ具体的な研修プログラムも展開しています。
なお、認証問題の責任については、会長・副会長・社長の評価に反映し、報酬を減額しています。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」を参照ください。
引き続き、グループ・連結の視点で、ガバナンスの向上に取り組んでいきます。
*2 ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱
モビリティカンパニーへの変革の実践
トヨタは、すべての人に移動の自由と楽しさをお届けし、安心・安全で、持続可能なモビリティ社会を実現するために、モビリティカンパニーへの変革を目指しています。
将来にわたって、クルマが世の中の人々を笑顔にするモビリティであり続けるためには、交通事故や環境負荷の増大、渋滞など、クルマが生み出すネガティブな影響を最小化し、同時に、利便性や快適性、運転の楽しさなど、ポジティブな面を最大化していくことが必要であると考えています。そのステップを「モビリティ1.0:クルマの価値の拡張」「モビリティ2.0:モビリティの拡張」「モビリティ3.0:社会システムとの融合」の3つに整理したToyota Mobility Conceptのもと、「カーボンニュートラル」「移動価値の拡張」という重点テーマに基づき、様々な挑戦を進めています。
クルマの未来を変えていくうえでは、エネルギーの未来に向き合うことが大切です。将来的には、再生可能エネルギーの普及を通じて、社会を支えるエネルギーは電気と水素に収れんしていくと考えられます。一方で、足元では国・地域ごとに様々なエネルギー事情があり、トランジションのペースは異なります。こうした背景認識のもと、電気と水素の未来を見据えながら、短期的にはエネルギーの実情や多様なお客様ニーズに応える選択肢を提供し、現実に即したトランジションを進めていくのが、トヨタのマルチパスウェイの考え方です。
当期も、実践的なCO2削減に貢献するハイブリッド車の多様なラインアップを基盤に、マルチパスウェイの取り組みの解像度を上げるべく、選択肢の具体化を着実に進めてきました。内燃機関においては、レースを通じて鍛えている水素エンジンの技術をはじめ、長年培ってきた燃焼技術を磨いて、環境性能の高い小型・高効率な新エンジンを開発しています。次世代BEVの小型電動ユニットも活用し、電気リッチなハイブリッド車・プラグインハイブリッド車を生み出すことをめざしています。
次世代BEVでは、原理原則に立ち返って、クルマの構造・設計とモノづくりの合理化に取り組み、デザインはもちろん、空力をはじめとするBEVの最適な性能にこだわって開発を進めています。小型電動ユニットなど、磨いた技術をその他のパワートレーンの進化にも活かしていきます。
水素で走るFCEVは、まずは商用車を軸に事業・市場の基盤づくりを進めています。エネルギー事業者をはじめとする仲間とともに、「つくる」「はこぶ」「つかう」のバリューチェーン全体での連携を強化しています。
そして、多様な移動ニーズにお応えしていくために、社会とつながるクルマの新たな価値づくりをめざしています。そのカギは、ソフトウエアプラットフォームのAreneの実装を通じて、データとエネルギーの可動性を高めていくことです。
次世代BEVで挑戦するソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)がこの取り組みをリードしていきます。トヨタが考えるSDVの最も重要な提供価値は、安全・安心です。交通事故ゼロに貢献する自動運転など、安全・安心を軸にしたクルマの価値を広げるために、日本電信電話㈱をはじめとするパートナーの皆様とともに、切れ目のない通信・AI基盤の構築を進めています。さらに、クルマを多様なサービスやアプリとつなげて、お客様に寄り添った移動の価値を生み出していきたいと考えています。
また、クルマの価値を広げながら、パーソナルモビリティから車いすモビリティ、e-Paletteなどの商用モビリティ、ボート、フライングモビリティまで、新しい領域へのモビリティの拡張に取り組んでいます。多くのパートナーと共に、今の事業範囲を越えて、世界中のお客様の移動を支えていきたいと考えています。
モビリティ3.0の領域では、社会システムと融合したモビリティの価値づくりをめざしています。タイでパートナーと取り組んでいるデータ・エネルギー・モビリティの社会実装や、中国における自動運転・水素社会の実装など、地域ごとにプロジェクトを進めています。蓄電事業では、再生可能エネルギーの普及に向けた持続可能な社会システムの構築をめざしています。電池のエコシステムづくりをはじめ、「より少ない資源でつくる」「より長く使う」「回収時に廃棄物を出さない」という考え方のもと、サーキュラーエコノミーの実現を目指した取り組みも進めています。
これらの挑戦を支えるのが、2025年秋以降に実証をスタートするモビリティのテストコース「Woven City」です。Woven Cityは「自分以外の誰かのために」という思いをもつInventors(発明家)が「モビリティの拡張」を目指し、自らのプロダクトやサービスを生み出し、実証を行う場です。Woven Cityにおける価値を共創するWeavers(住民やビジター)からリアルなフィードバックを受けながら、様々なInventorsとのコラボレーションを通じて、未来につながるイノベーションを生み出していきます。様々な新しい技術・サービスをWoven Cityで実証し、社会実装で育てるサイクルを回して、社会システムと融合したモビリティの価値をスピーディに具現化していきたいと考えています。
Toyota Mobility Conceptのもと、クルマの新たな価値を追求し続けていくことで、モビリティカンパニーへの変革を着実に進めていきます。
今後とも、各地域のお客様に笑顔になっていただけるいいクルマをお届けできるよう、全社を挙げて努力を重ねていきます。そして、「クルマの未来を変えていこう」という想いのもと、安全・安心で豊かなモビリティ社会をつくることを目指して、多くの仲間とともに挑戦を加速していきます。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、創業以来、「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、「トヨタ基本理念」に基づいて事業活動を通じた豊かな社会づくりを目指してまいりました。2020年には、その思いを礎に「トヨタフィロソフィー」を取り纏め、「幸せの量産」をミッションに掲げて、地域の皆様から愛され頼りにされる、その町いちばんの会社を目指しています。そのトヨタフィロソフィーのもと、サステナビリティ推進に努めています。
当社では、外部環境変化・社会からの要請などを把握し、より重要性・緊急性が高い課題に優先的に取り組むために、取締役会の監督・意思決定のもと、次のような推進体制にて関係部署と密に連携しながら、環境・社会・ガバナンスなどのサステナビリティ活動を継続的に推進・改善しています。
経営に関わる横断的なサステナビリティの重要課題を審議するため、社長が議長を務め、主に環境、社会課題に関するテーマを扱うサステナビリティ会議と、Chief Risk Officerが議長を務め、ガバナンスに関するテーマを扱う「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」を設置しています。その他、より実務に近い個別の課題・テーマは機能軸で分科会を設け、審議する体制を構築しています。
また、サステナビリティ活動に関して外部ステークホルダーとのエンゲージメントや情報発信をリードする責任者としてChief Sustainability Officerを任命しています。
<サステナビリティ推進体制>

CPO:Chief Production Officer CHRO:Chief Human Resources Officer CCO:Chief Compliance Officer GCQO:Global Chief Quality Officer
CSO:Chief Sustainability Officer CRO :Chief Risk Officer CISO:Chief Information & Security Officer
(2)リスク管理
当社は、カーボンニュートラル、CASE※など自動車産業を取り巻く状況や価値観の大変革時代において、常に新たな挑戦が求められるなか、不確実性への対応としてリスクマネジメントをより一層強化してまいります。
各地域、機能、カンパニーが相互に連携・サポートし、グローバル視点で事業活動において発生するリスクを予防・緩和・軽減し、適切に管理するために、リスクマネジメントの責任者としてChief Risk Officer(CRO)、Deputy CRO(DCRO)および、各地域にリスクマネジメント統括を配し、以下の推進体制を構築しています。また、全社横断的な観点でリスクを特定し、対応・モニタリングを行うためにCCOのもと「ガバナンス・リスク・コンプライアンス分科会」を設置しています。重要案件についてはCROを議長とした「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」にて審議し、取締役会へ適切に付議し、事業の推進を図っています。
なお、リスクマネジメントシステムの仕組みとして、ISOやCOSO(Committee for Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)を基盤とする全社的リスク管理フレームワーク、Toyota Global Risk Management Standard(TGRS)に基づき、定期的なリスクの識別・評価および対策の推進を実施しています。
※ CASEとは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとった略称

(3)人的資本に関する考え方及び取り組み
当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。
自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。
こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル38万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。
グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作(トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式(TPS)等)」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。
当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、これまでの労使による話し合いにおいて、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認し、労使ともになって取り組みを推進してまいりました
2023年以降は、「誰もが、いつでも、何度でも、失敗を恐れず挑戦できる」会社であるため、「多様性」「成長」「貢献」を3つの柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化を進めてきました。加えて2024年は、「10年後の働き方を今つくる」という、 将来を見据えた中での対応を進めるため、一人ひとりが、会社で働くことのやりがいを見つけ、自ら成長する機会を求める・見つける・取りに行くこと、またそのような行動を会社としても応援する環境を整備することを目指し、以下の取り組みを推進しました。
<2024年の主な取り組み>
1.より働きやすいモノづくり環境の整備
●多様な人材が安心して働ける職場環境の整備
・工場の環境整備の推進/寮のリニューアルの着手
●創造性を育むリソーセス確保
・女性活躍や高齢者活用を推進する基盤の整備
2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり
●強みを活かす働き方
・全職種を対象とした職種変更制度の一部職種でのトライアル実施
・自律的な働き方を促進する基盤の整備
●マネジメントの強化
・マネジメントの役割定義と育成・評価の見直し、環境整備
●自ら学べる機会
・自律型人材の輩出に向けた支援策の整備・展開(選択型研修の強化等)
●自社製品の知識/愛着
・研修等を通じた試乗体験機会の提供
上記を通じ、当社の中で顕在化していた課題の解消が進み、「働きやすさ」と「やりがい」の向上につながる環境整備を一歩ずつ前進させられていると考えています。
当社は、引き続き「全員活躍」に向けた取り組みを推進してまいりますが、競争力を維持しつづけ、将来に引き継いでいくためには、全員が健全な危機感と当事者意識を持ち、未来に向けた行動を積み重ねていくことが重要と考えております。
そのため、2025年は全社に加え本部別でも労使の話し合いを行い、以下の取り組みを推進していくことといたしました。
<総合的な「人への投資」の方向>
「人も職場も一律ではない」という想いのもと、各職場固有の課題や、未来に向けた行動を具体的に話し合い、全員が実行に移していける環境を整備
1.各本部・カンパニーでの年間を通じた全員参加の話し合い
2.“挑戦・行動する人”を後押しする仕組み・制度
<2025年の主な取り組み>
1.各本部・カンパニーでの年間を通じた全員参加の話し合い
●職場で解決できる課題・困りごとを、職場で一つひとつ解決
・本部長・プレジデントが現地現物で判断、実行
・7月・11月に全社で進捗を確認
2.“挑戦・行動する人”を後押しする仕組み・制度
●個の力を引き出す仕組み・制度
・全職種・資格での役割に応じたメリハリのつく評価
・技能職の人事制度見直し
・新たに加わるメンバーの立ち上がりサポート施策の充実
●個と職場に本気で向き合うマネジメントの育成
・配置前の研修新設・職場実践で改善につなげるサイクル導入
・対話力や評価・フィードバックスキルの改善支援
上記取り組みを推進していくことに加え、自動車産業の未来に向けて、仕入先・販売店が取り組まれる「人への投資」においても、当社として可能な支援を継続的に行ってまいります。また、2025年からは、物流業界の課題や困りごとについても、トヨタができることについて労使で議論を始めています。
(4)気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)
トヨタは気候変動対応において、2050年カーボンニュートラル実現に向け、地球規模でチャレンジすることを宣言しています。グローバルでチャレンジするために、地域によって異なるエネルギー事情を考慮し、世界各国・地域の状況に対応した多様な選択肢を提供することで、需要動向にすばやく対応していきます。
またトヨタは、金融安定理事会「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に2019年4月に賛同・署名しており、気候変動のリスク・機会とその分析について、適切な情報開示を進めています。
①ガバナンス
a.気候関連のリスクと機会についての、取締役会による監視体制
トヨタは、取締役会において気候関連課題を扱うことにより、社会動向に応じた戦略の立案・実行が、効果的に行われると考えています。取締役会は、戦略/主要な行動計画/事業計画の審議と監督を行う場であり、気候関連の重要な事案が生じた時に、議題として上程されます。
取締役会の監督の下、CN戦略分科会にて、気候関連課題に対応するための定性的あるいは定量的な目標の進捗モニタリングも行います。モニタリングは、気候関連課題になりうる、例えば、燃費・排出ガス規制など製品関連のリスクや機会、低炭素技術開発に関するリスクや機会、それらによる財務的影響などを考慮して行われます。また、このガバナンスメカニズムを「トヨタ環境チャレンジ2050」を含む長期戦略の策定、中長期目標およびアクションプランの立案・見直しに活かしています。
2024年における取締役会での意思決定の事例としては、カーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車(BEV)の普及に不可欠な充電インフラを拡充すべく、北米でのBEV急速充電ネットワークIONNAへの投資の承認を得られたことや、上海市との包括的提携契約の締結や、BEVや電池の開発・生産会社の設立の承認を得られたことがあげられます。新会社ではレクサスブランドのBEVを開発し、2027年以降に生産開始を予定しています。
b.気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割
気候関連課題に対応する最終的な意思決定・監督機関は取締役会となります。また、主に以下の会議体が、気候関連のリスクと機会について評価し、管理を行っています。
CPO:Chief Production Officer CHRO:Chief Human Resources Officer CCO:Chief Compliance Officer GCQO:Global Chief Quality Officer
CSO:Chief Sustainability Officer CRO :Chief Risk Officer CISO:Chief Information & Security Officer
c.気候関連のリスクを管理するプロセスと全社的なリスク管理との連携
トヨタは2019年4月、TCFD提言に賛同・署名し、国内企業や金融機関などが一体となって取り組みを推進するTCFDコンソーシアムに加盟しました。気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識し、TCFD提言を踏まえ、リスクと機会を特定し、シナリオ分析による戦略のレジリエンスを検証しています。ISO規格やCOSO枠組みを基盤とする全社的なリスク管理フレームワークであるToyota Global Risk Management Standard(TGRS)などを活用して、グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクを特定、必要に応じて全社横断でタスクフォース化し、「ガバナンス・リスク・コンプライアンス分科会」などで対策の進捗を確認しながらリスクマネジメントを推進しています。また、重要案件については「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」にて審議の上、取締役会へ適切に付議して、事業の推進を図っています。
リスクは影響度と脆弱性の2つの観点で評価し、想定される発生時期を把握することで、事業に対する実質的な財務・戦略的影響を明確化しています。
影響度の観点では、財務/評判/法規制違反/事業継続の各要素について5段階で評価(「財務」は売上高に対する割合を指標化)しています。また、脆弱性の観点では、対策の現状と発生可能性の二つの指標で評価しています。上記の観点で評価された地域別、機能別(生産/販売など)、製品別の重要リスクは、リスクオーナーが設定され、各部門の本部長や社内カンパニープレジデントが活動を統括し、その下位では部長が部署の活動を統括、対応策の実行およびモニタリングを実施しています。
気候関連のリスクと機会は、上記のTGRSに加え、サステナビリティ分科会やCN戦略分科会においても評価され、担当部署や関係役員による審議を行い、対応状況のモニタリングや見直しを実施しており、環境問題から生じる様々なリスクと機会の把握に努め、トヨタ環境チャレンジ2050などの戦略の妥当性を常に確認し、取り組みを推進、競争力強化を図っています。
サステナビリティ分科会では、サステナビリティ推進に関する課題や社外ステークホルダーの視点を考慮した取り組みの妥当性を評価・議論し、CN戦略分科会では、燃費規制、工場/物流/その他非生産拠点のCO2排出量規制、調達関連、水リスクなどの直接操業における取り組みの妥当性を評価・議論しています。これらの会議体には、技術/環境/財務/調達/生産/営業といった関連部署の役員・部長級が参加しています。評価に関しては、車両・生産販売事業・サプライチェーンにおける現在と将来の温室効果ガス(GHG)排出量を算定し、関連する科学的根拠に基づいた排出削減経路に照らし合わせて評価しています。また、迅速な対応が必要となる重要なリスクと機会については、取締役会へ適切に付議し、対応を決定しています。
②戦略
トヨタの戦略(マルチパスウェイ戦略の基本的な考え方)
クルマが社会で必要な存在であり続けるための喫緊の課題がカーボンニュートラルです。「マルチパスウェイ戦略」の根幹にある考え方は、モノづくりやサプライチェーンの脱炭素化を進めながらエネルギーの未来と地域・お客様の期待に寄り添った多様なモビリティを提供することです。大前提として、地球環境やサステナビリティの観点から、化石燃料から脱却していく必要があります。そのうえで、中長期的には、再生可能エネルギーの普及が進み、「電気」と「水素」が社会を支える有力なエネルギーになっていくと考えられます。一方で、短期的には、世界各地の現実に向き合い、エネルギーセキュリティを担保しながら、プラクティカルに変化を進めていくことが重要です。だからこそ私たちは、電気と水素の未来を見据えながら、再生可能エネルギー由来の電力、その電力を基にした水素や合成燃料、バイオ燃料など、多様なエネルギーに対応するモビリティの選択肢でカーボンニュートラルに貢献していきます。
GHG排出量を現実的に減らしていくには、既存のインフラやアセットを活用しながら確実に減らしていくことが重要です。また、自動車産業におけるカーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーや充電インフラなどのエネルギー政策と、購入補助金、サプライヤー支援、電池リサイクルシステムの整備などの産業政策が不可欠であり、各国のエネルギー政策や産業政策、お客様の選択など、不確実性への対応が必要です。多様なモビリティの選択肢を提供するマルチパスウェイ戦略は、不確実性に対し、どのような社会が実現してもいずれかの選択肢で対応することができる戦略です。様々な産業が関わっているため、パートナーづくりに積極的に取り組み、電気と水素が地球環境を守っていく環境づくりを少しでも早く実現できるよう取り組みを推進しています。

トヨタは、シナリオ分析によりマルチパスウェイ戦略のレジリエンスを検証しています。
気候関連のリスクと機会の特定および評価するプロセス
気候変動に関する社内専門チームと社外専門家により、将来の社会像を想定したシナリオ分析を行うことにより、気候関連のリスク・機会を特定・評価するとともに、戦略のレジリエンスを評価しています。
シナリオ分析の概要
シナリオ分析は、TCFDや環境省のガイダンスにおいて示されるプロセスに基づき、実施しています。

(ⅰ)分析対象
・移行リスク:トヨタ自動車および連結会社における自動車事業とサプライチェーン
・物理的リスク:トヨタ自動車および連結会社、非財務連結会社のトヨタ車生産拠点
(ⅱ)時間軸の定義
・リスクが発現する期間は、以下のように設定しています。

(ⅲ)影響評価の対象期間
・移行リスク:2030~2035年
・物理的リスク:2050、2090年
リスクと機会の特定および評価
将来の社会像を想定した気候変動関連のリスクと機会の主要な変動要因(リスクドライバー)を、移行リスク(政策・法規制、市場、技術、評判)、物理的リスク(急性・慢性)のそれぞれの観点で特定します。特定したリスクドライバーを起点とし、リスクと機会に至るまでの要因解析を実施することにより、リスクと機会を網羅的に洗い出します。要因解析により特定したリスクと機会に、TGRSで特定されたリスクを取り込み、リスクドライバーをカバーする各シナリオにおいて、リスクと機会の発現と影響度がどのように変化するかを検証・評価(4℃シナリオでは、トヨタのグローバル生産拠点の地理情報に基づいた物理的リスクの影響を評価)しています。
シナリオの選定
参照シナリオとして、以下の公表シナリオを選択しています。
・1.5℃シナリオ(IEA*1 IPCC*2 AR6 WG 3など複数の公表シナリオ)
・4℃シナリオ(IPCC AR6 WG1 SSP5-8.5)
*1 International Energy Agency:国際エネルギー機関
*2 Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル
シナリオ選定における考え方
トヨタはエネルギーの未来について、将来的には再生可能エネルギーの普及を通じて、社会を支えるエネルギーは電気と水素に収れんしていくと考察していますが、その一方で、足元では国・地域ごとに様々なエネルギー事情があり、トランジションのペースが異なることを認識しています。近年の世界情勢からも、環境問題と経済安全保障との両立が議論され始めるなか、国際的なインフレによる再生可能エネルギー投資の鈍化や、欧米などでのBEVの販売低迷といった事象も見受けられます。
こうした背景認識のもと、中長期的には電気と水素の未来を見据えながら、短期的にはエネルギーの実情と多様なお客様ニーズに応える選択肢を提供し、現実に即したトランジションを進めていくことがトヨタのマルチパスウェイ戦略の考え方です。
気候変動枠組条約締約国会議(COP)をはじめとする国際的な対応議論の場においても、将来に至るまでの過渡期の対応、各国・各地域の事情に応じた緩和策や多様な脱炭素手段の導入について議論が進行しています。
上記を踏まえ、1.5℃シナリオにおける分析では、乗用車について、BEV・PHEVの導入を主要な施策として脱炭素策を論じたIEAのNZEシナリオに加え、地域性や緩和策の多様化(炭素吸収技術(CDR)/炭素回収・貯留技術(CCS)/カーボンニュートラル燃料など)を反映したその他の1.5℃シナリオも考慮し、戦略のレジリエンスを検証しています。
また、各シナリオの前提・世界観を整理し、各シナリオの実現に向けた課題を以下のとおり考察しています。
IEA NZEシナリオに関しては、グローバル全体で再生可能エネルギー利用が促進され、自動車分野ではBEVが推進し、急速にGHGが削減する前提だが、実際には地域のエネルギー事情と政策展開により、これらの施策は取り組みの進度が異なることが想定されます。
その他の1.5℃シナリオに関しては、バイオ燃料では食料競合や土地利用制約による供給量の差異などで、地域による燃料種や導入量の差が生じ得ることや、脱炭素技術の市場導入では初期段階に多大な投資が必要で、投資状況により進展に差が生じ得る(将来的には市場に広く浸透することによりコストが適正化されると考察)ことが想定されます。
財務影響評価
特定したリスクと機会の財務指標との紐づきについて、因果関係の検証を実施しています。特定したリスクと機会におけるモビリティコンセプトなどの経営上のテーマやサステナビリティの重点取り組みテーマとの関連性を評価し重要性を確認し、それぞれのシナリオにおける前提を考慮し、特定したリスクと機会の潜在的な財務影響を評価しています。

レジリエンス分析の概要
カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、エネルギーの未来を見据えて、燃料やインフラなど地域ごとに異なるニーズに応える多様な選択肢を提供することにより、プラクティカルにトランジションを進めていくことがトヨタのマルチパスウェイ戦略の考え方です。シナリオ分析では、TCFDフレームワークを参考に、移行リスクは1.5℃シナリオ、物理的リスクは4℃シナリオを用いて、リスクと機会を特定し、財務影響評価を実施しています。近年の世界情勢や国際的な気候変動対応議論の状況を踏まえ、IEAのNZEシナリオに加え、その他の1.5℃シナリオについても比較検討しています。いずれのシナリオの前提条件にも制約がともなう場合があるため、それらの状況についても考慮しつつ、特定したリスクの最小化および機会の獲得に向けたトヨタの取り組みを整理するとともに、シナリオの実現に向けた社会的課題に貢献しうるトヨタの取り組みを整理することにより、トヨタの事業活動におけるレジリエンスを検証しています。
1.5℃シナリオ分析
IEAのNZEシナリオの検討
IEAはNZEシナリオ実現に向け、以下課題への対応が必要と報告しています。
再生可能エネルギーの積極的な導入により電力の脱炭素化が進むなか、運輸部門中の乗用車はBEV化が進み、2030年以降、急速にGHG排出が削減され、2050年にネットゼロを達成すること、また、その実現に向けて、各国政府が、カーボンプライシング/燃費規制の厳格化/内燃機関車の販売禁止など、野心的な気候政策を実施すると同時に、BEVを普及するためのインセンティブ策を拡大すること、そして、政策と消費者の環境意識の向上により、市場はBEVを受容する一方、技術面では、車両電動化/革新的な電池開発/再生可能エネルギー電力を活用したエネルギーマネジメントシステムなどが進展し、社会全体で電化と再生可能エネルギーへの転換が進み、エネルギー効率の改善によりエネルギー消費量が削減することがあげられています。
本シナリオにおける移行リスクには、以下があります。
・燃費/GHG/ZEV規制不適合による罰金など
・規制対応にともなう急な商品変更による減産や販売台数の低下
・パワートレーン技術開発にともなう研究開発費用の増加
・車両の電動化が急速に進むことにより、BEV関連の原材料需要増加にともなう供給不足と調達コストの増加
・再生可能エネルギー拡大にともなう再生可能エネルギー価格(IREC含む)の高止まりによる製造コスト増加

IEAのNZEシナリオ実現に向けては、以下のような社会的課題があります。
・再生可能エネルギー導入を促進する政策
・投資の実行、電池材料確保のための社会システム構築とリサイクル技術開発
・電気や水素利用の脱炭素技術革新と低コスト化
・電動車普及にともなう充電インフラの整備など
これらの社会的課題に対し、トヨタは以下の取り組みに貢献するとともに、自社のリスクも最小化しています。

その他の1.5℃シナリオの比較検討
2024年、IEAのNZEシナリオに加え、地域ごとの値や差異をより詳細に分析するため、IPCCや各研究機関が公表している複数の1.5℃シナリオ群を比較検討しました。パリ協定1.5℃実現に向けた道筋として、エネルギー部門では、再生可能エネルギー利用のほか、炭素回収貯留技術(CCS)などの多様な技術導入など比較検討し、運輸セクターでは、車両の電動化のほか、省燃費車の活用やバイオ燃料や合成燃料などの低炭素燃料・カーボンニュートラル(CN)燃料の普及などを比較検討しました。また、新興国では、各地域のバイオマスなどの低炭素エネルギー源を活用し、過渡期にはCCUSと組み合わせた化石燃料利用の検討も行い、経済発展とCNの両立を目指ことや、低炭素燃料・CN燃料などの多様なエネルギーインフラ整備が進むことで消費者は生活利便性に基づき、多様なエネルギーとパワートレーンを選択することが想定されます。
シナリオ群実現に向けた社会的課題は、IEAのNZEシナリオに比べより多様化しています。例えば、水素/バイオ/合成燃料など各国・地域に適合した低炭素燃料・CN燃料の技術開発、ならびに普及初期段階での導入支援や、バイオ燃料に関わる食料競合などの問題解決や低コスト化があります。その他には、CN燃料の他セクターとの配分や、安定したエネルギー供給に向けた技術開発や政策支援などがあります。
本シナリオ群における移行リスクとして、BEV推進に係る移行リスクはIEAのNZEシナリオと同様ですが、現時点での各国・各地域のBEV導入の実績、施策の見直しを踏まえると、トヨタの戦略・財務への影響は比較的小さいこと、自動車燃料多様化にともなう研究開発費用が増加すること、そして、電力以外にも、ガス燃料や液体燃料などエネルギーの低炭素化にともなうエネルギー調達コストが増加することがあげられます。


シナリオ分析を通じて、パリ協定に整合する1.5℃実現に向けた経路は様々に存在し、それぞれに実現のための条件と社会的な課題が存在することが判明しました。また、世界にマーケットを持つトヨタは、単一の施策・技術に特化し限定されることなく、各国・各地域で異なる市場とステークホルダーの要請に応えるため、様々な経路や、不確実性に対応可能な多様な施策・技術(マルチパスウェイ戦略)が有効と再認識しました。

4℃シナリオ分析
IPCC SSP5-8.5は、化石燃料依存型の経済発展を続けて気候政策が導入されない場合の最大排出量シナリオであり、物理的リスクを評価しています。
本シナリオ下における主な物理的リスクには、自然災害の頻発化や激甚化の結果、サプライチェーンが分断することによる生産・販売の停止や水不足や水コスト増加による、工場操業への影響があります。また、昨今の自然災害の実態を踏まえたリスクの高い拠点のスクリーニングとして、洪水による河川氾濫/内水氾濫/高潮による浸水ハザードについて、国内外の事業拠点(国内137拠点・海外73拠点)の地理的座標を用いて、リスクの高い拠点のスクリーニングを実施しました。スクリーニングの結果、気候変動による将来変化が見られ、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された国内外の拠点についてリスク評価を実施しました。


シナリオ分析を通じて、国内外の事業拠点の一部において河川氾濫リスク・内水氾濫リスク・高潮リスクが特定されましたが、地域の事業体への影響は軽微であることが判明しました。また、災害訓練などによりPDCAを回して改善を行うことでBCPの実効性が高まり、災害発生時の復旧速度は上がっていることを確認しました。この活動を「事業継続マネジメント(BCP*1)」と位置づけ、従業員・家族・トヨタグループ・サプライヤー・販売・トヨタが三位一体となった活動として推進し、今後も継続していきます。
*1 Business Continuity Management:BCPで定めた各対策計画が実行可能なものとして機能するよう定める運用管理の仕組み
レジリエンス分析結果として、トヨタは町いちばんの会社を目指すとの理念に基づいて各国・各地域発展の助成につながるべく、さまざまな経済・エネルギー事情に即しつつ、お客様に受け入れていただけるラインアップを計画しています。このマルチパスウェイ戦略は、あらゆるシナリオが描く世界観においてレジリエンスが高いことが判明しました。IPCC報告書でも記載されているとおり、パリ協定で掲げられている1.5℃実現には様々な経路があり、地域のエネルギー事情や政策によっても変動する可能性がありますが、その実現には様々な産業が関わっているため、カーボンニュートラル(CN)燃料普及も含んだパートナー連携が不可欠です。トヨタはパリ協定を支持し、それに沿って行動しています。パリ協定との整合は重要であり、パートナーと共に、モビリティコンセプトに基づく車両開発や社会インフラ作りを推進し、2050年CN達成に向けて全力でチャレンジしていきます。今後もシナリオ分析を継続することで、内外の状況の変化に応じてリスクと機会を見直し、その対応を戦略に織り込むことでさらなるレジリエンス向上に注力していきます。
移行計画
前述したリスクと機会へ対応するために、トヨタでは移行計画として温室効果ガス(GHG)削減目標を設定しています。移行計画の妥当性確認には、複数のシナリオを参照しています。
マルチパスウェイ戦略の下、プロジェクト関連の財務計画に落とし込み、移行計画を具体化してまいります。なお、一定額以上のプロジェクト投資にあたっては、取締役会で承認します。



③指標と目標
組織が自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標
トヨタは常に世の中の動きやお客様の声を把握し、何に注力すべきかを考察することで将来の課題をいち早く察知し、新たな発想と技術で課題解決を推進しています。一方で、気候変動/水不足/資源枯渇/生物多様性などの地球環境問題は日々拡大、深刻化しています。トヨタでは、複数の指標を設定し、複合的に気候関連のリスクと機会を管理することが、気候変動への適応とその緩和に向けた対策として重要であると認識しています。このため指標には、GHG排出量のほか、気候変動と深く関係する、エネルギー、水、資源循環、生物多様性なども含めて目標を定め、
「6つのチャレンジ」という6分野の取組みにより体系的に推進しています。
・長期(2050年目標):「トヨタ環境チャレンジ2050」
・中期(2030年目標):「2030マイルストーン」、SBTi認定・承認
・短期(2025年目標):「第7次トヨタ環境取組プラン」
「6つのチャレンジ」のうち、以下の取り組みを推進することで、2050年のScope1,2,3カーボンニュートラルをめざします。

2022年9月、SBTiからScope1,2とScope3カテゴリー11の削減目標について認定・承認を取得し、これに準じて中期目標を更新しています。炭素価格を考慮することは排出の多い事業の見直しが進むため、社内では一定の炭素価格を指標とし設備投資などの検討に活用しています。

2023年4月には、全世界で販売する新車の走行における平均GHG排出量を、2019年比で2030年に33%、2035年に50%以上の削減を目指すことを公表しました。
企業価値を向上させる役員報酬の設定について、トヨタでは気候変動をはじめとした環境対応や、トヨタ自動車およびバリューチェーンに関わる社会課題の解決に貢献できることが取締役には必要と考え、必要スキルの一つとして定め取締役を選任しています。企業価値の向上という目標を達成するため、財務指標および非財務指標に連動した役員報酬制度により環境取り組みの向上を目指しています。

3 【事業等のリスク】
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年6月18日)現在において判断したものです。
(1)市場および事業に関するリスク
①自動車市場の競争激化
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。近年、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業におけるCASEなどの技術革新が進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件、各国の税制優遇措置等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、エンジン車から電動車へのお客様のニーズの変化など、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
②自動車市場の需要変動
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度の世界経済は、米国経済の雇用・所得環境が底堅く推移し、中国では不動産不況の影響があったものの、財政政策の下支えもあったことから、3%程度の成長を維持しました。自動車市場においては、半導体の供給改善後のペントアップ需要が一巡し、拡大ペースが鈍化しました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制(関税、輸入規制、その他の租税を含む)など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性、サステナビリティにおいて、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化や技術革新に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車および新機能を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイル、サステナビリティ、その他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに新製品の投入や設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場につきお客様の価値観または地政学的な緊張関係や規制環境において、変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開できない場合は、営業収益および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、トヨタグループおよび仕入先が法令遵守を徹底し、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供すること、また、ステークホルダーの皆様への迅速かつ適切な情報発信を通じ、ステークホルダーの皆様の信頼をさらに高めていくことが重要です。また、企業としてサステナビリティに貢献することの重要性も高まっています。
しかし、トヨタグループや仕入先があらゆる場面において、それを徹底できるとは限りません。例えば、連結子会社においては、2022年3月に日野自動車㈱、2023年4月にダイハツ工業㈱において、認証に関する不正行為が発覚し、公表しました。また、当社においても、2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進める中、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。同年7月には、国土交通省より、認証業務に関する是正命令を受領しました。また、国土交通省による実地調査の結果、規定の手順に沿っていない認証案件7車種8事案の指摘がありました。そして、同年8月に当社は、再発防止報告書を国土交通省に提出しました。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)会社の対処すべき課題」を参照ください。
さらに、トヨタまたは仕入先がサステナビリティに貢献しない、または気候変動やサプライチェーンにおける人権保護など、特定のサステナビリティに関する目標または目的を達成できない場合、トヨタのブランド・イメージが低下する可能性があります。トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品・原材料供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、かかる特定の仕入先からの調達ができない場合、当該部品等の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。仕入先の数に関わらず、トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。このような能力に悪影響を与える可能性のある状況には、地政学的な緊張や、経済制裁などの政府の行動が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達できない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術および情報セキュリティへの依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的であり続ける恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、トヨタの取引先やビジネスパートナーに対する同様の攻撃は、トヨタにも同様の悪影響を与える可能性があります。
⑨気候変動および低炭素経済への移行
気候変動リスクは、日本および世界で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクが含まれます。
気候変動の物理的リスクには、台風、洪水、竜巻など突発的な気象変化に起因する影響と、気温上昇、海面上昇、干ばつ、山火事の増加など、長期的な気象変化による影響の両方が含まれます。トヨタはBusiness Continuity Plan(BCP)を策定していますが、異常気象による大規模災害に加え、熱波等が増加・激甚化することで熱中症のリスクが増加し、また、干ばつや渇水による水不足も予想されます。これらは、トヨタならびに仕入先および取引先の従業員、施設およびその他の資産に損害を与える可能性があり、トヨタの生産、販売またはその他の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。大規模な災害等はまた、お客様の財政状態に悪影響を及ぼし、トヨタの製品およびサービスの需要に悪影響を与える可能性があります。
低炭素経済への移行リスクとは、気候関連のリスクを軽減するための規制、技術、および市場の変化やその対応に伴うリスクです。例えば、トヨタは、気候変動に関する法律、規制、政策の変更、気候変動に対処するための技術革新、市場構造の変化をとらえた自動車産業への新規参入者などの要因により、自動車に対するお客様のニーズが変化するリスクにさらされています。お客様のニーズの変化は、トヨタが部品や原材料などの調達部品を継続的かつ競争力のある価格で調達するために、新たな供給網の確立や既存の供給網の強化が必要になるなど、付随的なリスクや課題をもたらす可能性があります。トヨタは、そのようなリスクの顕在化の結果として、またはリスク軽減やリスク対応の努力の結果として、多額の費用および支出を負担する可能性があります。また、お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
トヨタは、トヨタの事業やビジネスパートナーに関する気候変動関連事項の開示を公表しています。この開示には、トヨタの予想に基づき、将来の見通しに関する記述が含まれており、結果的にこれらが実現できない可能性があります。また、気候変動に関する取り組みは意図した結果をもたらさない可能性があり、目標の達成時期やコスト、達成能力に関する予測は、リスクと不確実性を伴います。その結果、気候変動関連の目標が達成できない恐れがあります。特に、中長期にわたるトヨタの気候変動関連の目標の達成には、多大なリソーセスと投資、ならびにコンプライアンス、リスク管理システム、内部統制およびその他の内部手続のさらなる改善が必要です。また、トヨタがコントロールできない環境・エネルギー規制、政策の変更、技術革新、顧客や競合他社の行動等にも影響を受けます。気候変動関連の目標を達成できない、または達成できないとみなされた場合、トヨタのブランド・イメージ、財務状況、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」を参照ください。
⑩優秀で多様な人材の確保と育成
事業環境の急激な変化やモビリティカンパニーへの変革に向けた取り組みを進めるにあたり、優秀で多様な人材を確保し、育成し続けることが重要です。しかしながら、そのような人材の獲得競争は激しく、トヨタが高い専門性や豊富な経験を持つ多様な人材を計画とおりに採用、定着化できない場合、または成長に必要な機会、教育、リソースを提供できない場合、競争力低下につながり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
(2)金融・経済のリスク
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記19ならびに20を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない場合、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
(3)政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク
①自動車産業に適用される法律、規制および行政措置
世界の自動車産業は、様々な法律や規制の適用を受けています。トヨタは、法律や規制、行政措置、またはそれらへの対応の結果として、多額の費用を負担しており、今後も発生することが予想されます。さらに、新しい法律や規制の適用、または既存の法律や規制の変更によっても、将来的に追加的な費用が発生する可能性があります。トヨタが、法律、規制、行政措置に関連して多額の費用を負担する場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー状況並びにそれらの見通しに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法律、規制および行政措置は、トヨタの事業を制限するものとなる可能性があり、その場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況並びにそれらの見通しに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、トヨタは自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的に販売停止やリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合(リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む)、製品のリコール等にかかる費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。さらに、規制を遵守できなかった場合、法的手続、リコール、改善措置の交渉、罰金、是正命令、政府承認の取り消しやその他の政府制裁の賦課、製品提供の制限、補償金の支払い等の不利益をもたらす可能性があります。
同様に、多くの政府は、関税やその他の貿易障壁、税金、課徴金を課したり、価格や為替の規制を制定しています。例えば、2025年には、自動車産業に特化した関税を含む対米輸出関税の大幅な引き上げが、米国の他の貿易政策の変更とともに発表され、それに対応して他の国々も報復関税や貿易政策の変更を発表しました。このような関税や貿易政策の将来の変更、または他の関税や貿易関連措置の時期、実施期間、および範囲を予測することは困難であり、最近発表された関税や貿易関連措置は、当社製品のコストを上昇させ、将来の需要の鈍化を引き起こす可能性があります。また、当社のサプライチェーンや物流ネットワークへの影響は、当社の生産や販売に悪影響を及ぼす可能性があります。上記の影響は主として米国におけるものでありますが、トヨタの事業活動への影響は米国に限定されるものではありません。当該状況が長期間継続した場合、トヨタのみならず、自動車産業全体および関連業界の他の企業にも悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況並びにそれらの見通しに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当該関税や貿易関連措置の影響を緩和するための取り組みは、トヨタのコスト負担を増加させ、経営上注意を要するリスクとなる可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの評判、ブランド・イメージ、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記30を参照ください。
③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、中国において、住宅価格の下落が継続し、消費マインドの停滞が見られた一方、米国において、個人消費を中心とした景気拡大が継続したことを受け、堅調に推移しました。
このような経営環境の中、トヨタは、「もっといいクルマをつくろうよ」という軸のもと、長年の「商品と地域を軸にした経営」を通じて、フルラインアップの商品とグローバルな事業基盤を構築してきました。それからの基盤を活かして、当期も、安全・品質の徹底をはじめとする「足場固め」の取り組みを進めながら、世界各地のお客様にいいクルマをお届けする努力を重ねてきました。
そして、多様なモビリティのご提供を通じて「幸せを量産する」という当社の使命を果たすべく、Toyota Mobility Conceptのもと、モビリティカンパニーへの変革に向けた様々な技術開発や基盤づくりに取り組んできました。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、936万2千台と、前連結会計年度に比べて8万台(0.9%)の減少となりました。日本での販売台数については、199万1千台と、前連結会計年度に比べて2千台(0.1%)減少しました。海外においても、737万2千台と、前連結会計年度に比べて7万8千台(1.0%)の減少となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
a.自動車事業
営業収益は43兆1,998億円と、前連結会計年度に比べて1兆9,336億円(4.7%)の増収となりましたが、営業利益は3兆9,402億円と、前連結会計年度に比べて6,811億円(14.7%)の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加などによるものです。
b.金融事業
営業収益は4兆4,811億円と、前連結会計年度に比べて9,969億円(28.6%)の増収となり、営業利益は6,835億円と、前連結会計年度に比べて1,134億円(19.9%)の増益となりました。営業利益の増益は、融資残高の増加および金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。
c.その他の事業
営業収益は1兆4,471億円と、前連結会計年度に比べて789億円(5.8%)の増収となり、営業利益は1,811億円と、前連結会計年度に比べて59億円(3.4%)の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
a.日本
営業収益は21兆8,590億円と、前連結会計年度に比べて8,383億円(4.0%)の増収となりましたが、営業利益は3兆1,511億円と、前連結会計年度に比べて3,331億円(9.6%)の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加および日野自動車㈱による認証不正問題の影響などによるものです。
b.北米
営業収益は19兆3,003億円と、前連結会計年度に比べて1兆3,572億円(7.6%)の増収となりましたが、営業利益は1,088億円と、前連結会計年度に比べて3,975億円(78.5%)の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加などによるものです。
c.欧州
営業収益は6兆3,134億円と、前連結会計年度に比べて6,317億円(11.1%)の増収となり、営業利益は4,155億円と、前連結会計年度に比べて274億円(7.1%)の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力などによるものです。
d.アジア
営業収益は8兆9,880億円と、前連結会計年度に比べて2,573億円(2.9%)の増収となり、営業利益は8,965億円と、前連結会計年度に比べて309億円(3.6%)の増益となりました。営業利益の増益は、為替変動の影響および諸経費の減少・低減努力などによるものです。
e.その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中東)
営業収益は4兆5,212億円と、前連結会計年度に比べて1,314億円(3.0%)の増収となり、営業利益は2,526億円と、前連結会計年度に比べて542億円(27.4%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力などによるものです。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。
資産合計は93兆6,013億円と、前連結会計年度末に比べて3兆4,870億円 (3.9%)の増加となりました。負債合計は56兆7,224億円と、前連結会計年度末に比べて1兆8,474億円 (3.4%)の増加となりました。資本合計は36兆8,789億円と、前連結会計年度末に比べて1兆6,395億円 (4.7%)の増加となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8兆9,824億円と、前連結会計年度末に比べて4,296億円(4.6%)の減少となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3兆6,969億円の資金の増加となり、前連結会計年度が4兆2,063億円の増加であったことに比べて、5,094億円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆1,897億円の資金の減少となり、前連結会計年度が4兆9,987億円の減少であったことに比べて、8,090億円の減少幅の縮小となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,972億円の資金の増加となり、前連結会計年度が2兆4,975億円の増加であったことに比べて、2兆3,003億円の減少となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
b.受注実績
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年6月18日)現在において判断したものです。
①概観
トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの営業収益合計(セグメント間の営業収益控除前)の88%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本(21.3%)、北米(28.9%)、欧州(12.5%)およびアジア(19.6%)となっています。
a.自動車市場環境
世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。
当連結会計年度の世界経済は、中国において、住宅価格の下落が継続し、消費マインドの停滞が見られたものの、米国において、個人消費を中心とした景気拡大が継続したことを受け、堅調に推移しました。
次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。
トヨタの日本における当連結会計年度の連結販売台数は、市場が前連結会計年度を上回るものの、減少しました。トヨタの海外における連結販売台数は、中国を除くアジアや中近東などの地域で販売台数が増加したものの、北米で販売台数が減少したことにより、全体としては減少となりました。
各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。
自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。
車両販売台数
販売された車両モデルとオプションの組み合わせ
部品・サービス売上
価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用
顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用
研究開発費等の固定費
原材料価格
コストの管理能力
生産資源の効率的な利用
特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響
気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクを含む、気候変動リスク
自然災害および感染症の発生・蔓延や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響
日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動
法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。
多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置(セーフティ・キャンペーンを含む)を発表しています。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記24ならびに30を参照ください。
世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。
b.金融事業
自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。
トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。
小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。
トヨタの金融事業に係る債権は、主に融資残高の増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具は、主に北米の金融子会社でのオペレーティング・リース件数の増加により、当連結会計年度において増加しました。
金融事業に係る債権および賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記8および12を参照ください。
トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値(売却費用控除後)が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記3および19を参照ください。
トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記3(8)を参照ください。
トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結財政状態計算書における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。
資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。
トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2025年3月31日現在16.0百万人と、2024年3月31日から0.12百万人の減少となりました。カード債権は、2025年3月31日現在5,745億円と、2024年3月31日から157億円の増加となりました。
c.その他の事業
トヨタのその他の事業には、情報通信事業等が含まれます。
トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。
d.為替の変動
トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。
換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。
取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。
トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。前連結会計年度および当連結会計年度において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ75.9%および73.5%が海外で生産されています。北米では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ75.9%および76.0%が現地で生産されています。欧州では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ73.1%および69.6%が現地で生産されています。アジアでは前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ97.4%および94.6%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。
トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。
一般的に、円安は営業収益、営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均相場は、前会計年度に比べて円安に推移しました。また、 日本円の米ドルに対する決算日の為替相場は、前会計年度末に比べて円高となりました。日本円のユーロに対する期中平均相場は、前会計年度に比べて円安に推移しました。また、 日本円のユーロに対する決算日の為替相場は、前会計年度末に比べて円高となりました。詳細については、連結財務諸表注記19を参照ください。
e.セグメンテーション
トヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。
②地域別内訳
次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け営業収益を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。
(注)「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。
③業績―当連結会計年度と前連結会計年度の比較
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。
a.営業収益
当連結会計年度の営業収益は48兆367億円と、前連結会計年度に比べて2兆9,413億円(6.5%)の増収となりました。この増収は、主に為替変動の影響1兆7,700億円によるものです。
トヨタの事業別外部顧客向け営業収益の商品別内訳は次のとおりです。
営業収益は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上収益ならびに金融事業に係る金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上収益は43兆5,988億円と、前連結会計年度に比べて4.7%の増収となり、金融事業に係る金融収益は4兆4,378億円と、前連結会計年度に比べて28.7%の増収となりました。商品・製品売上収益の増収は、為替変動の影響や価格改定によるものです。金融事業に係る金融収益の増収については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 b.金融事業」を参照ください。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数(残高)の状況は次のとおりです。
・金融事業における融資件数残高
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。
当連結会計年度の営業収益(セグメント間の営業収益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では4.0%、北米では7.6%、欧州では11.1%、アジアでは2.9%、その他の地域では3.0%の増収となりました。為替変動の影響1兆7,700億円を除いた場合、当連結会計年度の営業収益は前連結会計年度に比べて、日本では3.0%、北米では2.4%、欧州では5.7%、その他の地域では30.0%の増収、アジアでは1.5%の減収であったと考えられます。
各地域における営業収益(セグメント間の営業収益控除前)の状況は次のとおりです。
・日本
日本においては、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて82千台減少したものの、輸出取引に係る為替変動の影響や価格改定などにより、増収となりました。前連結会計年度および当連結会計年度における輸出台数はそれぞれ2,021千台および1,941千台となりました。
・北米
北米においては、インディアナ工場の生産停止の影響はあったものの、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・欧州
欧州においては、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて20千台減少したものの、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・アジア
アジアにおいては、主にインドでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて34千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・その他の地域
その他の地域においては、主に中東での販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて21千台増加したことや、融資残高の増加や為替変動の影響により、増収となりました。
b.営業費用
当連結会計年度における営業費用は43兆2,411億円と、前連結会計年度に比べて3兆4,987億円(8.8%)の増加となりました。
・原価改善の努力
当連結会計年度は、±0億円の営業費用の増減となりました。この増減には、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE(Value Engineering)活動を中心とした設計面での原価改善など2,400億円および工場・物流部門などにおける原価改善450億円が含まれますが、仕入先基盤強化および資材高騰の影響2,850億円の営業費用の増加により相殺されています。
原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA(Value Analysis)活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、資材高騰の影響には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。
・売上原価
当連結会計年度における売上原価は35兆5,101億円と、前連結会計年度に比べて1兆9,095億円(5.7%)の増加となりました。この増加は、主に為替変動の影響9,050億円、品質関連費用2,750億円および労務費1,700億円の増加によるものです。
・金融事業に係る金融費用
当連結会計年度における金融事業に係る金融費用は2兆9,485億円と、前連結会計年度に比べて8,221億円(38.7%)の増加となりました。この増加は、主に市場金利の上昇等による資金調達コストの増加によるものです。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4兆7,824億円と、前連結会計年度に比べて7,670億円(19.1%)の増加となりました。この増加は、主に経費2,350億円の増加および日野自動車㈱による認証不正問題の影響1,750億円の増加によるものです。
c.営業利益
当連結会計年度における営業利益は4兆7,955億円と、前連結会計年度に比べて5,573億円(10.4%)の減益となりました。この減益は、諸経費の増減・低減努力9,900億円およびその他3,023億円によるものですが、為替変動の影響5,900億円および営業面の努力1,450億円により一部相殺されています。
上記の諸経費の増減・低減努力は、経費ほか6,200億円、労務費2,350億円および研究開発費1,300億円の増加によるものです。その他の減益要因は、日野自動車㈱による認証不正問題の影響2,805億円などを含んでいます。
また、為替変動の影響の増益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響4,150億円によるものです。営業面の努力は、バリューチェーン収益の拡大1,900億円などを含んでいます。
当連結会計年度における営業利益(セグメント間の利益控除前)は前連結会計年度に比べて、北米では3,975億円(78.5%)、日本では3,331億円(9.6%)の減益、その他の地域では542億円(27.4%)、アジアでは309億円(3.6%)、欧州では274億円(7.1%)の増益となりました。
各地域における営業利益の状況は次のとおりです。
・日本
・北米
・欧州
・アジア
・その他
d.その他の収益・費用
当連結会計年度における持分法による投資損益は5,912億円と、前連結会計年度に比べて1,719億円(22.5%)の減益となりました。この減益は、主に持分法適用会社の親会社の所有者に帰属する当期利益の減益によるものです。
当連結会計年度におけるその他の金融収益は5,567億円と、前連結会計年度に比べて1,905億円(25.5%)の減少となりました。この減少は、主に有価証券売却益および受取利息の減少によるものです。
当連結会計年度におけるその他の金融費用は1,907億円と、前連結会計年度に比べて870億円(83.9%)の増加となりました。この増加は、主に有価証券評価損の増加によるものです。
当連結会計年度における為替差損益<純額>は7,052億円と、前連結会計年度に比べて5,177億円の増益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差損益<純額>の増益5,177億円は、主に当連結会計年度において、一部の連結子会社の支配の喪失から生じた利得を、連結包括利益計算書の「在外営業活動体の為替換算差額」から連結損益計算書の「為替差損益<純額>」に振り替えたことによるものです。
当連結会計年度におけるその他<純額>は434億円の損失と、前連結会計年度に比べて614億円の減益となりました。
e.法人所得税費用
当連結会計年度における法人所得税費用は1兆6,248億円と、前連結会計年度に比べて2,688億円(14.2%)の減少となりました。これは、主に税引前利益の減少などの影響によるもので、当連結会計年度における平均実際負担税率は25.3%となりました。
f.非支配持分に帰属する当期利益
当連結会計年度における非支配持分に帰属する当期利益は246億円と、前連結会計年度に比べて1,018億円(80.5%)の減益となりました。この減益は、主に連結子会社の当期利益の減益によるものです。
g.親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は4兆7,650億円と、前連結会計年度に比べて1,798億円(3.6%)の減益となりました。
h.その他の包括利益(税効果考慮後)
当連結会計年度におけるその他の包括利益(税効果考慮後)は7,460億円の損失と、前連結会計年度に比べて2兆8,631億円利益が減少しました。これは、主に米ドルやユーロに対する為替レートの変動により、在外営業活動体の為替換算差額が前連結会計年度の1兆1,788億円の利益に対し、当連結会計年度は8,278億円の損失となったこと、および主に株価が変動したことにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値変動が前連結会計年度の5,697億円の利益に対し、当連結会計年度は1,332億円の利益となったことによるものです。
i.事業別セグメントの状況
以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間の営業収益控除前です。
・自動車事業セグメント
自動車事業の営業収益は、トヨタの営業収益のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業収益は43兆1,998億円と、前連結会計年度に比べて1兆9,336億円(4.7%)の増収となりました。この増収は、主に為替変動の影響1兆5,900億円によるものです。
当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は3兆9,402億円と、前連結会計年度に比べて6,811億円(14.7%)の減益となりました。この営業利益の減益は、主に諸経費の増減・低減努力9,900億円によるものですが、為替変動の影響5,800億円などにより一部相殺されています。
・金融事業セグメント
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業収益は4兆4,811億円と、前連結会計年度に比べて9,969億円(28.6%)の増収となりました。この増収は、主に融資残高の増加および為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は6,835億円と、前連結会計年度に比べて1,134億円(19.9%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に融資残高の増加および金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。
・その他の事業セグメント
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業収益は1兆4,471億円と、前連結会計年度に比べて789億円(5.8%)の増収となりました。
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は1,811億円と、前連結会計年度に比べて59億円(3.4%)の増益となりました。
④流動性と資金の源泉
トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。
2026年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金、および社債・借入金等の資金調達で充当する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、モビリティ・カンパニーへの変革に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2024年4月1日から2025年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。
顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは販売金融子会社の営業活動から得た現金と社債・借入金等の資金調達によりまかなっています。トヨタは金融子会社のネットワークを通じて、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の4兆2,063億円の資金の増加に対し、3兆6,969億円の資金の増加となり、5,094億円減少しました。この減少は、当連結会計年度(2025年3月31日に終了した12ヶ月間)における法人所得税の支払額が増加した結果、資金が1兆3,770億円減少したことなどによるものです。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の4兆9,987億円の資金の減少に対し、4兆1,897億円の資金の減少となり、8,090億円減少幅が縮小しました。この減少幅の縮小は、主に定期預金の預入の金額が前連結会計年度と比較して、7,293億円減少したことによる影響です。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2兆4,975億円の資金の増加に対し、1,972億円の資金の増加となり、2兆3,003億円減少しました。この減少は、主に長期有利子負債の返済が2兆1,199億円増加したことによるものです。
当連結会計年度における資本的支出(賃貸資産を含む)は、前連結会計年度の4兆8,480億円から5兆9,912億円となり、1兆1,432億円増加しました。この増加は、主に金融事業におけるリース資産購入による資本的支出が9,317億円増加したことによるものです。
2026年3月31日に終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約2兆3,000億円となる予定です。
現金及び現金同等物は、2025年3月31日現在で8兆9,824億円でした。現金及び現金同等物の大部分は円建てまたは米ドル建てです。
トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、公社債および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、21兆1,777億円となりました。
当連結会計年度における営業債権及びその他の債権は、1,097億円(2.9%)減少し、3兆6,797億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における棚卸資産は、71億円(0.2%)減少し、4兆5,982億円となりました。
当連結会計年度における金融事業に係る債権合計は、1兆9,306億円(6.1%)増加し、33兆6,250億円となりました。これは主に、顧客や販売店に対する融資残高の増加によるものです。2025年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米53.9%、欧州15.0%、アジア11.7%、日本8.9%、その他の地域10.5%でした。
当連結会計年度におけるその他の金融資産合計は、7,258億円(4.5%)増加しました。これは主に、公社債の増加によるものです。
当連結会計年度における有形固定資産は、1兆759億円(7.5%)増加しました。これは主に、設備投資によるものです。
当連結会計年度における営業債務及びその他の債務は、2,759億円(5.3%)増加しました。これは主に、部品調達に伴う買掛金の増加によるものです。
当連結会計年度における未払法人所得税は、7,190億円(58.7%)減少しました。これは主に、税引前利益の減少に伴う法人所得税費用の減少などによるものです。
当連結会計年度における有利子負債合計は、2兆2,310億円(6.1%)増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.26%の借入金と、加重平均利率3.82%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて234億円(0.4%)減少し、5兆4,644億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.93%から8.12%、返済期限が2025年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、無担保普通社債およびミディアム・ターム・ノート、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は4,280億円(4.3%)増加し、10兆2,729億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は1兆7,557億円(8.5%)増加し、22兆5,221億円となりました。借入債務合計の増加は、主に金融子会社における融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2025年3月31日現在で、長期借入債務の約50%は米ドル建て、約14%はユーロ建て、約12%は円建て、約5%は豪ドル建て、約4%は加ドル建て、約15%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。
2024年3月31日現在におけるトヨタの親会社の所有者に帰属する持分合計に対する有利子負債比率は、106.8%でしたが、2025年3月31日現在では108.0%となりました。
トヨタの短期および長期借入債務は、2025年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ(Moody's)および格付投資情報センター(R&I)により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。
当連結会計年度における確定給付負債(資産)の純額は、国内および海外で、それぞれ2,206億円および3,508億円と、前連結会計年度に比べて、国内は1,825億円(479.3%)増加し、海外は152億円(4.2%)の減少となりました。確定給付負債(資産)の純額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に株価の下落に伴う制度資産の減少により、確定給付負債(資産)の純額は増加しました。詳細については、連結財務諸表注記23を参照ください。
トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。
財務戦略の主な要素は、短期的な収益の変動に左右されることなく事業を継続し、研究開発活動、設備投資および金融事業に対して戦略的に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持するためには、数多くの条件が求められ、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの条件には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気などが含まれています。
トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。
トヨタの非デリバティブ金融負債およびデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額に関しては、連結財務諸表注記19を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。
次の表は、2025年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。
* 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。
また、トヨタは2026年3月31日に終了する連結会計年度において、退職後給付制度に対し、国内および海外で、それぞれ33,651百万円および16,454百万円を拠出する予定です。
⑤貸出コミットメント
a.クレジットカード会員に対する貸出コミットメント
トヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2025年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は1,577億円です。
b.販売店に対する貸出コミットメント
トヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2025年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は3兆347億円です。
⑥保証
詳細については、連結財務諸表注記30を参照ください。
⑦関連当事者との取引
詳細については、連結財務諸表注記32を参照ください。
⑧会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用しています。
⑨重要な会計上の見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債およびトヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、次のとおりです。
・品質保証に係る負債
・金融事業に係る金融損失引当金
・非金融資産の減損
・退職給付に係る負債
・公正価値測定
・繰延税金資産の回収可能性
詳細については、連結財務諸表注記4を参照ください。
5 【重要な契約等】
6 【研究開発活動】
トヨタは、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所、ウーブン・バイ・トヨタ㈱などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、キャルティ デザイン リサーチ㈱、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、トヨタ ガズー レーシング ヨーロッパ㈲、アジア地域にトヨタ モーター アジア(タイランド)㈱、トヨタ知能電動車研究開発センター(中国)㈲、一汽トヨタ自動車㈲、広汽トヨタ自動車㈲、BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー㈲、トヨタ自動車技術センター(中国)㈲があります。
当連結会計年度に発生したトヨタの研究開発支出は1,326,496百万円です。
なお、トヨタでは研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上している研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記27を参照ください。
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発支出は次のとおりです。
(1)自動車事業
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、ランドクルーザーの中核モデルとして、質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支えるという原点に回帰した「ランドクルーザー250シリーズ」を発売しました。また、ダイナミックな造形や、アクティブライフを楽しむことができるユーティリティを追求し、クラウンが持つ品格と機能性が同居する大人のアクティブキャビンといえるクルマとして「クラウンエステート」を発売しました。加えて、印象的な外観、品質、信頼性により米国で20年以上にわたり最も売れているセダンである「カムリ」を発売しました。「LBX MORIZO RR」は、マスタードライバーである豊田章男とともに、LEXUSらしい上質な走りと洗練されたデザインはそのままに、クルマとの対話を楽しみ、思わず笑みがあふれ、非日常の高揚感を味わえるハイパフォーマンスモデルとして発売されました。
カーボンニュートラルへの対応については、実践的なCO2削減に貢献するハイブリッド車の多様なラインアップを基盤に、マルチパスウェイの取り組みの解像度を上げるべく、選択肢の具体化を着実に進めてきました。内燃機関においては、レースを通じて鍛えている水素エンジンの技術をはじめ、長年培ってきた燃焼技術を磨いて、環境性能の高い小型・高効率な新エンジンを開発しています。次世代BEVの小型電動ユニットも活用し、電気リッチなハイブリッド車・プラグインハイブリッド車を生み出すことを目指しています。次世代BEVでは、原理原則に立ち返って、クルマの構造・設計とモノづくりの合理化に取り組み、デザインはもちろん、空力をはじめとするBEVの最適な性能にこだわって開発を進めています。小型電動ユニットなど、磨いた技術をその他のパワートレーンの進化にも活かしていきます。水素で走るFCEVは、まずは商用車を軸に事業・市場の基盤づくりを進めています。エネルギー事業者をはじめとする仲間とともに、「つくる」「はこぶ」「つかう」のバリューチェーン全体での連携を強化しています。
そして、多様な移動ニーズにお応えしていくために、社会とつながるクルマの新たな価値づくりを目指しています。そのカギは、ソフトウエアプラットフォームのAreneの実装を通じて、データとエネルギーの可動性を高めていくことです。次世代BEVで挑戦するソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)がこの取り組みをリードしていきます。トヨタが考えるSDVの最も重要な提供価値は、安全・安心です。交通事故ゼロに貢献する自動運転など、安全・安心を軸にしたクルマの価値を広げるために、日本電信電話㈱をはじめとするパートナーの皆様とともに、切れ目のない通信・AI基盤の構築を進めています。さらに、クルマを多様なサービスやアプリとつなげて、お客様に寄り添った移動の価値を生み出していきたいと考えています。
当事業にかかる研究開発支出は1,310,754百万円です。
(2)その他の事業
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
その他の事業にかかる研究開発支出は15,742百万円です。
第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
トヨタでは、投資効率の向上をはかりつつ、環境問題などの社会的要請に対応する新技術・新製品への設備投資や設備更新などの生産関連設備投資および販売関連ほかへの設備投資を実施しています。当連結会計年度の設備投資(使用権資産は含みません。)の内訳は、次のとおりです。
自動車事業では、当社において663,172百万円の設備投資を実施しました。また、連結子会社においては、国内では、主に新技術・新製品への設備投資を実施し、主な子会社としてプライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱において64,375百万円、トヨタ車体㈱において35,206百万円、トヨタ自動車九州㈱において26,570百万円等の設備投資を実施しました。海外では、主に新製品の投入のための設備投資を実施し、主な子会社として、トヨタ バッテリー マニュファクチャリング㈱において338,701百万円、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱において52,747百万円、ブラジルトヨタ㈲において45,807百万円等の設備投資を実施しました。
金融事業では、トヨタ モーター クレジット㈱など国内外の金融子会社において41,852百万円の設備投資を実施しました。
その他の事業では、当社および国内外の子会社において100,941百万円の設備投資を実施しました。
リース用資産については、トヨタ モーター クレジット㈱においてオペレーティング・リースの対象となる車両の取得により2,780,887百万円の設備投資を実施しました。
2 【主要な設備の状況】
トヨタは、類似の事業を営む事業所が国内外で多数設立されているため、その設備の状況を事業別セグメントごとに示すとともに主たる設備の状況を開示する方法によっています。
当連結会計年度末(2025年3月31日現在)における状況は、次のとおりです。
(1)事業別セグメント内訳
(2)提出会社の状況
(3)国内子会社の状況
(4)在外子会社の状況
3 【設備の新設、除却等の計画】
トヨタの設備投資については、さらなる投資効率の向上をはかりつつ、今後の生産計画、需要予測等を総合的に勘案して計画しています。
翌連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)におけるトヨタの設備の新設等にかかる投資予定金額(総額)は2,300,000百万円です。なお、この金額はリース用資産にかかる投資を含みません。
重要な設備の新設、除却等の計画は、次のとおりです。
(1)新設等
(2)除却および売却
経常的な設備の更新のための除却および売却を除き、重要な設備の除却および売却の計画はありません。
第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
① 【株式の総数】
② 【発行済株式】
(2)【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
該当事項はありません。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】
(5)【所有者別状況】
2025年3月31日現在
(6)【大株主の状況】
2025年3月31日現在
(7)【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2025年3月31日現在
② 【自己株式等】
2025年3月31日現在
(8) 【役員・従業員株式所有制度の内容】
従業員に対する株式交付制度(株式付与ESOP信託)
当社は、自動車産業の100年に1度の大変革期の中、モビリティカンパニーへの変革に挑戦しています。特に当社において現場の実行部隊のリーダーを担う幹部職には、「幸せの量産」という使命を胸に、未来に向けた挑戦を牽引することを期待しています。当社の幹部職のうち、一定の要件を満たす幹部職(以下、対象従業員という。)が、経営陣と一体となり、これらの挑戦をより一層加速させ、中長期的な企業価値向上に寄与することを期待し、株式交付制度(以下、本制度という。)を導入します。
① 本制度の概要
本制度は、株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Planの略称)信託(以下、ESOP信託という。)の仕組みを採用し、予め定める株式交付規程に基づき、対象従業員に対して、原則として退職後に、当社株式および当社株式の換価処分金相当額の金銭ならびに当社株式に生じる配当金を交付および給付するものです。
② 信託契約の内容
③ 従業員に取得させる予定の株式の総数
約15億円
④ 本株式交付制度による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
対象従業員のうち受益者要件を充足する者
2 【自己株式の取得等の状況】
(1)【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2)【取締役会決議による取得の状況】
会社法第155条第3号による普通株式の取得
(注)当事業年度および当期間における取得自己株式の価格の総額には、自己株式の取得にかかる委託手数料は含まれません。
(注)1 当事業年度および当期間における取得自己株式の価格の総額には、自己株式の取得にかかる委託手数料は含まれません。
2 当事業年度における取得自己株式には、以下が含まれています。
自己株式の公開買付け
取締役会決議日 :2024年7月23日
買付け等をする株券等の種類:当社普通株式
買付け等の期間 :2024年7月24日から2024年8月26日まで(23営業日)
買付け等の価格 :普通株式1株につき、2,781円
買付数 :290,122,375株
買付け等の総額 :806,830,324,875円
決済の開始日 :2024年9月18日
自己株式立会外買付(ToSTNeT-3)による自己株式の買付け
取得対象株式の種類 :当社普通株式
株式の取得価額 :普通株式1株につき、2,617円
取得した株式の総数 :29,673,300株
株式の取得価額の総額:77,655,026,100円
取得日 :2024年9月25日
(注)当社は、2025年6月3日付の会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第370条及び当社定款の規定に基づく取締役会の決議に代わる書面決議により、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項及び当社定款の規定に基づく自己株式の取得及びその具体的な取得方法として自己株式の公開買付け(以下「本自己株公開買付け」といいます。)を行う予定であることを決定しました。本自己株公開買付けは、当社の関連会社であるトヨタ不動産株式会社(以下「トヨタ不動産」といいます。)が2025年6月3日付で公表した、トヨタ不動産が今後設立する株式会社がその発行済株式を全て所有する予定の株式会社による株式会社豊田自動織機の株券等に対する公開買付け(以下「豊田自動織機公開買付け」といいます。)に関連して実施することを予定しているものであり、豊田自動織機公開買付けが成立し、その決済が完了した場合には、当社の取締役会において本自己株公開買付けの実施が決議されることを条件として、その後実務上可能な限り速やかに実施する予定であり、2025年6月3日現在、当社は、2026年1月中旬を目途に本自己株公開買付けを開始することを予定しています。本自己株公開買付けのスケジュールの詳細については、決定次第速やかにお知らせします。また、本自己株公開買付け開始の見込み時期が変更になった場合も、速やかにお知らせします。
当社は、本自己株公開買付期間を原則として20営業日とする予定です。
(3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
会社法第155条第7号による普通株式の取得
(注)当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる取得は含まれていません。
(4)【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注)当期間の株式数および処分価額の総額には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの新株予約権の権利行使による譲渡および単元未満株式の買取りによる取得は含まれていません。
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様の利益向上を重要な経営方針の一つとして位置付けており、持続的な成長の実現に向け、引き続き企業体質の改善に取り組み、企業価値の向上に努めています。
配当金については、安定的・継続的に増配を行うよう努めていきます。
今後も厳しい競争を勝ち抜き、モビリティカンパニーへの変革に向けて、内部留保資金については、カーボンニュートラル社会の実現に向けた環境技術やお客様の安全・安心のための安全技術等の次世代の成長投資、従業員や取引先、地域社会等を含めたすべてのステークホルダーの皆様のために活用していきます。
当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としており、これらの配当は、定款に基づき、取締役会で決議しています。
当期の配当金については、上記方針に基づき、中間配当は1株につき40円、期末配当は1株につき50円とし、年間の配当金としては1株につき90円となりました。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。
4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、持続的な成長と長期安定的な企業価値の向上を経営の重要課題としています。
その実現のためには、株主やお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、お客様に満足していただける商品を提供し続けることが重要と考え、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、お客様の声や現場の情報を迅速に経営陣に伝え、適時・的確な経営判断を実現することに加え、その経営判断がお客様や社会に受け入れていただけるものかを常にチェックできる体制を構築することが重要であると考えています。当社は2025年6月12日開催の定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議されたことにより、同日をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しています。本移行により、取締役会を構成する社内・社外メンバーが役職にとらわれずに参加者全員で議論を行い、取締役会の更なる活性化を図るとともに、執行への権限委譲による更なる意思決定の迅速化と、取締役会によるモニタリング機能の強化を進めていきます。
〔業務執行・監督〕
リーマン・ショック以降の「もっといいクルマづくり」により、グローバルでフルラインアップの商品をより適時適所に、良品廉価で提供し、各国・地域のお客様に寄り添った商品・サービスを提供するために、2011年の「地域別経営」、2013年の「ビジネスユニット制」、2016年の「カンパニー制」導入に続き、2017年は、意思決定と業務執行のスピードをさらに上げるため、「取締役=意思決定・監督」と「執行役員=業務執行」の位置づけを一層明確にしました。
2018年には、各現場と一体となった執行のスピードアップを図るため、執行役員体制の変更時期を従来の4月から1月に前倒ししたほか、コーポレート機能の見直しや、国内販売事業本部のチャネル制から地域制への再編などにより、よりお客様・現場の近くでの意思決定が可能な体制へ変更しました。
2019年には、「経営のスピードアップ」と「人材育成の強化」を一層進めるため、専務役員以上を役員に、常務役員、常務理事、基幹職1級・2級、技範級を幹部職にしました。幹部職は、若手、ベテランに関わらず、本部長・副本部長、工場長、統括部長からグループ長までの幅広いポストに適材適所で配置し、その時々の経営課題に対応し、現地現物での人材育成を強化しました。
2020年4月には、「副社長」と「執行役員」を「執行役員」に一本化し、2020年7月には「執行役員」の役割をさらに明確化しました。機能を越え、社長と会社全体を見据えて経営を進めるメンバーを「執行役員」と再定義し、プレジデント・地域CEO・本部長は、現場で実行部隊をリードする役割として、権限を移譲するとともに、「幹部職」に一本化しました。執行役員、幹部職は、その時々の役割であり、課題や進むべき道に応じてメンバーを変更していき、これまで以上に「適材適所」の柔軟な配置を可能としました。
一方、経営環境は目まぐるしく変化し、社長とともに経営(ヒト、モノ、カネ)を担う役割の必要性が高まっていると認識していたため、2022年4月には、執行役員の役割を整理し、経営視点に専念する執行役員を副社長と定義し、あらためて「副社長」を設置しました。
2023年4月には、「継承と進化」をテーマに執行役員の定義を「商品(もっといいクルマづくり)と地域(町いちばん)を軸にした経営」を実践する経営チームへ見直し、副社長は商品と地域の両軸から豊富な知識と経験を有する人材を選出しました。
2025年6月の監査等委員会設置会社への移行にあたっては、より全員参加で経営の意思決定と監督を行える取締役の構成に見直すため、「商品と地域を軸とした経営」を実践できる社内取締役と合わせて、幅広い視点で新たな価値創造とガバナンスへの助言が出来る人材を独立社外取締役に選出しました。
トヨタでは「適材適所」の考えに基づき、機動的、継続的に改革を行っています。これからも、変化の激しい正解のない時代において、監督機能を強化し執行への権限移譲を行いながら、意思決定を迅速に行っていくため、最適な体制を柔軟に見直していきます。
持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けて、取締役会より権限を委譲された社長・副社長・チーフオフィサーを中心とする執行役員が、ビジネスユニット(カンパニー/事業・販売)と一体となり、執行役員によるミーティング等を通じ、迅速な意思決定を実現し、取り組みを推進します。
社外取締役も参加する「サステナビリティ会議」では、サステナビリティに関連する重要案件について、審議・決定・活動を推進することで企業価値向上に貢献しています。「サステナビリティ会議」の概要は後記のとおりです。
その他、会社として商品化の承認を行う「商品化決定会議」や、当社およびグループ会社・子会社における認証問題を受け、ガバナンス・経営基盤の強化に向けて新規に設置した「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」、また「労使協議会・労使懇談会」などの各種協議会を通じて、様々なステークホルダーの視点から、経営や企業行動のあり方について審議、モニタリングを行っています。
トヨタに関わるすべてのステークホルダーにトップの想いや会社の方向性を伝えるため、トヨタのありのままの姿をトヨタイムズを通じて発信しています。
「サステナビリティ会議」の概要
「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」の概要
〔取締役体制〕
取締役体制については、会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた責任を果たすため、総合的に検討しています。当社の取締役には、「トヨタフィロソフィー」を基盤に、「商品と地域を軸にした経営」を実践し、将来に亘る持続的成長に向けた意思決定への貢献や、仲間づくりなどを通じたモビリティカンパニーへの変革、気候変動をはじめとした環境対応や自社およびバリューチェーンに関わる社会課題の解決に貢献できることが必要だと考えています。取締役の選解任については、社外取締役が過半数を占める「役員人事案策定会議」にて取締役会に上程する案を検討しています。「役員人事案策定会議」の概要は後記のとおりです。
また、当社は、経営の意思決定に社外の声を十分に反映するため、社外取締役5名(監査等委員である社外取締役を含む)を選任し、会社法に定める社外取締役の要件、および金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえて策定した当社独自の「社外役員の役割・期待」と「独立性判断基準」に従い、全員を独立役員として東京証券取引所に届け出ています。当社独自の「社外役員の役割・期待」と「独立性判断基準」は、社外取締役が独立した立場から意思決定に参画していることを明確にし、より一層多様なステークホルダーの意見を経営に反映するために策定しています。社外取締役からは、当社の経営判断・意思決定の過程で、業務執行から独立した立場で専門分野を含めた幅広い経験、見識に基づいた助言をいただいています。
〔監査等委員会〕
当社は2025年6月12日開催の定時株主総会における承認をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。監査等委員会は、4名の監査等委員である取締役(社外取締役3名を含む)で構成されています。モビリティカンパニーへの変革により、将来にわたりグローバルに持続的成長をめざす当社において適切に監査を実施するため、監査等委員は取締役の職務執行を監査する役割に加え、議決権を有し、業務執行が適切であるかを監督する取締役として取締役会の議論に参加します。さらに監査等委員の活動においては、現地現物による監査を継承し、経営者直轄の独立した専任組織である内部監査室(39名)からの監査計画・結果等に関する報告および内部監査室への指示を通じた、緊密な連携による組織的監査を充実化していきます。
監査等委員である取締役の選任については、取締役としての役割に加えて、各々の豊富な経験や高度な専門知識を活かして公正・中立的な立場から経営に対する監査を行える人材が必要だと考えており、社外取締役が過半数を占める「役員人事案策定会議」にて監査等委員会に提案する内容を検討していきます。
また、当社では3名の監査等委員である社外取締役を選任しており、会社法に定める社外取締役の要件、および金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえて策定した当社独自の「社外役員の役割・期待」と「独立性判断基準」に従い、全員を独立役員として東京証券取引所に届け出ています。
〔社外役員の役割・期待、独立性判断基準〕
当社は「トヨタフィロソフィー」を基盤とした持続的成長や中長期的な企業価値向上、社会課題の解決に向け、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。社外役員が独立した立場から意思決定に参画していることを明確にし、より一層多様なステークホルダーの意見を経営に反映するため、当社独自の社外役員の役割・期待を明確にし、独立性判断基準を再定義しました。
本内容は、社外取締役が過半数を占める「役員人事案策定会議」にて取締役会に上程する案を検討し、監査等委員会設置会社への移行前の監査役全員の同意のもと、取締役会の承認を受けています。
①社外役員の役割・期待
(社外取締役)
・「トヨタフィロソフィー」に共感し、当社の事業、人材に高い関心を持ち、経営陣との緊密な対話を
通じて、当社および当社を取り巻く環境を理解する
・当社の継続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた意思決定への貢献や、社会課題の解決に貢献する
・多様なステークホルダーの意見を認識した上で、各々の豊富な経験や高度な専門知識を活かし、
取締役会の意思決定の付加価値向上に資すると同時に、業務執行の監督を行う
・取締役会に上程される事項に限らず、重要課題や事業戦略等への助言、支援を行う
(監査等委員である社外取締役)
・上記に加え、各々の豊富な経験や高度な専門知識を活かし、公正・中立的な立場から経営に対する監査を
行う
②独立性判断基準
当社は、会社法で定められた社外役員の要件を満たし、かつ、以下の事項のいずれにも該当しない場合、当該社外役員に独立性があると判断します。
1 関係会社所属歴
現在、当社および連結子会社の業務執行取締役、監査等委員である取締役(社外取締役を除く)、監査役、執行役員、従業員である者。又は、過去10年間において、当社および連結子会社の業務執行取締役、監査等委員である取締役(社外取締役を除く)、監査役、執行役員、従業員であった者
2 主要取引先
過去3年間の事業年度のいずれかの事業年度において、当社および連結子会社との間の取引金額が取引先又は当社および連結子会社の連結売上高の2%を超える企業等の業務執行者(業務執行取締役、執行役、執行役員、従業員又はこれらに相当する者をいう。以下同じ)
3 主要借入先
過去3年間の事業年度のいずれかの事業年度において、当社および連結子会社の借入金額が当社および連結子会社の連結総資産の2%を超える借入先の業務執行者
4 多額報酬専門家
過去3年間の事業年度のいずれかの事業年度において、当社および連結子会社から直接的に年間120,000米ドルを超える報酬(社外役員としての報酬を除く)を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家
5 多額寄付
過去3年間の事業年度のいずれかの事業年度において、当社および連結子会社から年間120,000米ドルを超える寄付を受けている者(団体の場合は所属する者)
6 主要株主
当社が持株比率上位10社以内又は当社の持株比率上位10社である企業等の業務執行者
7 関係監査法人
現在又は過去10年間において、当社および連結子会社の会計監査人である監査法人に所属する者又は所属していた者
8 近親者
当社および連結子会社の取締役、監査役、執行役員、重要な従業員又は上記1から6に該当する者(重要でない者を除く)の配偶者又は二親等以内の親族
9 役員相互派遣
当社および連結子会社から取締役又は監査役を受け入れている企業の業務執行者
10 在任期間
社外役員としての在任期間が12年を超える者
なお、以上の事項に形式的に該当する場合であっても、会社法上の社外役員の要件を充足しており、かつ、実質的に独立性を有し一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考える場合は、その理由を開示することを条件に独立性があると判断することがあります。
「役員人事案策定会議」の概要
〔取締役の報酬〕
当社の役員報酬制度については、「(4)役員の報酬等」を参照ください。
当社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等の額またはその制度については、取締役会および社外取締役が過半数を占める「報酬案策定会議」で決定します。「報酬案策定会議」の概要は次のとおりです。
「報酬案策定会議」の概要
〔取締役のトレーニング〕
当社は、当社が重視する「もっといいクルマづくり」「現地現物」の精神の理解・実践に加え、将来に亘る持続的成長に向けた意思決定に貢献できる人材が必要であるという観点から、工場視察など座学にとどまらない実践的な機会を設定しています。
以上に加えて、社外取締役には、当社の考え方や取り組みへの理解を深めてもらうために、子会社も含めた現場視察などを実施しています。取締役会の前には、議題を直接説明するなどして、各経営課題に対して、適切な助言が行われるよう留意しています。また、社外役員とのミーティングを随時開催し、経営戦略等について、業務執行側の役員との議論の場を設け、理解を深めています。
〔内部監査〕
経営者直轄の独立した専任組織(内部監査室39名)を設置して、体制面の充実をはかり、各年度の内部監査方針・監査結果を取締役会に報告するとともに、社長および監査等委員会にも定期的に報告しています。
内部監査室では、財務報告に係る内部統制の有効性の評価を米国企業改革法404条および金融商品取引法第24条の4の4第1項に従い、行っています。監査等委員会監査および内部監査に、外部監査人による会計監査を加えた3つの監査機能は、財務報告に対する信頼性向上のため、定期的に、あるいは必要に応じて随時会合をもち、それぞれの監査計画と結果について情報共有、意思疎通をはかりながら、効率的で実効性のある監査を実施しています。
アカウンタビリティの充実としては、情報開示の正確性・公正性および適時性を確保するために経理本部長を委員長とする「情報開示委員会」を設置しています。情報開示委員会は、金融商品取引法に基づく有価証券報告書、半期報告書、ならびに米国証券取引所法に基づく年次報告書(Form 20-F)の作成、報告および評価を目的とした定例委員会を開催するほか、必要な場合には、臨時委員会を適時開催しています。
コーポレート・ガバナンス体制

③企業統治に関するその他の事項
a. 内部統制システム等に関する基本的な考え方およびその整備状況
〔業務の適正を確保するための体制に関する基本認識〕
当社は、「トヨタフィロソフィー」、「トヨタ基本理念」、「トヨタ行動指針」、「トヨタウェイ 2020」、および「トヨタグループビジョン」に基づき、当社および子会社に従事する一人ひとりが、これらを正しく理解し、実践できる人づくりを行います。
また、現場に寄り添い、声をかけあえる風通しの良い職場風土づくりを行います。
「トヨタ生産方式(TPS)」の考えのもと、“異常があれば立ち止まり改善する”仕組みづくりを行い、これを弛まず継続します。そして、これらを実践することにより業務の適正の確保を図ります。
〔業務の適正を確保するための体制とその運用状況の概要〕
当社は、「内部統制の整備に関する基本方針」に基づき、企業集団としての業務の適正を確保するための体制整備とその適切な運用に努めています。また、毎事業年度、内部統制の整備・運用状況の点検を行い、内部統制の運用実施部署における活動が自律的に実施され、必要に応じ強化が図られていることを確認するとともに、その内容をガバナンス・リスク・コンプライアンス会議(GRC会議)および取締役会で確認しています。
以上の認識を基盤にした、会社法所定の以下の項目に関する当社の基本方針は次のとおりです。
(1) 取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
〔体制〕
① 業務執行にあたっては、取締役会および組織横断的な各種会議体で、総合的に検討したうえで意思決定を行います。また、これらの会議体への付議事項を定めた規程に基づき、適切に付議します。
② 企業倫理、コンプライアンスおよびリスク管理に関する重要課題と対応についてGRC会議または取締役会等で適切に審議します。
③ 倫理規程、取締役に必要な法知識をまとめた解説書等を用い、就任時の説明等の場において、取締役が法令および定款に則って行動するよう徹底します。
〔運用状況の概要〕
① 業務執行にあたっては、会議体への付議事項を定めた規程に基づき、取締役会および組織横断的な各種会議体に適切に付議し、総合的に検討したうえで意思決定を行っています。取締役会では、(1)会社法および他の法令に規定された事項、(2)定款に規定された事項、(3)株主総会の決議により委任された事項、(4)その他経営上の重要な事項を決議事項とし、(1)業務の執行の状況、その他会社法および他の法令に規定された事項、(2)その他取締役会が必要と認めた事項を報告事項として定めています。
② 「トヨタフィロソフィー」、「トヨタ基本理念」、「トヨタ行動指針」等の精神に則り中長期的に持続的成長するガバナンス体制の実現を目的に、サステナビリティ、企業倫理、コンプライアンス、およびリスク管理に関する重要課題と対応について、GRC会議または取締役会等で適切に審議しています。
③ 取締役を含む役員が遵守すべき基本的事項を「トヨタ基本理念」「トヨタ行動指針」「役員倫理規程」等に規定し、各役員に周知しています。また、役員が留意すべき法令や定款の内容をマニュアルに記載し、各役員に周知するとともに、新任役員に対してはコンプライアンスに関する教育を行っています。
(2)取締役の職務の執行にかかる情報の保存および管理に関する体制
〔体制〕
取締役の職務の執行にかかる情報は、法令ならびに関係規程に基づき、各担当部署に適切に保存および管理させます。
〔運用状況の概要〕
法令および関係規程に基づき、各担当部署に取締役の職務の執行に必要となる会議体資料や議事録等の情報を適切に保存および管理させています。また、機密管理を含めた情報セキュリティ全般に対して、グローバルな推進体制や仕組みを整備するとともに、当社および子会社の取り組み状況の点検を定期的に行っています。
(3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
〔体制〕
① 予算制度等により資金を適切に管理するとともに、稟議制度等により所定の権限および責任に基づいて業務および予算の執行を行います。重要案件については、取締役会や各種会議体への付議基準を定めた規程に基づき、適切に付議します。
② 資金の流れや管理の体制を文書化する等、適正な財務報告の確保に取り組むほか、情報開示委員会を通じて、適時適正な情報開示を確保します。また非財務情報に関しても、適時適正に開示します。
③ リスクマネジメントに関する基本規程を制定するとともに、リスクマネジメントの責任者を任命し、当社の事業活動に関わる重大なリスクを特定し、当該リスクに対する対策を、各地域または子会社と連携して行います。
④ 災害等の発生に備えて、マニュアルの整備や訓練を行うほか、必要に応じて、リスク分散措置および保険付保等を行います。
〔運用状況の概要〕
① 収益計画に基づき、一般経費、試験研究費、設備投資等の費目ごとに決められた監理部署へ予算を割り当て、予算管理を行っています。重要案件については、取締役会や各種会議体への付議基準を定めた規程に基づき、適切に付議しています。
② 適正な財務報告を確保するため、連結財務報告作成のために収集している財務情報について解説書を作成し、子会社に展開しています。また、適時適正な情報開示を確保するため、情報開示委員会を通じて、情報の収集、開示要否の判断を行っています。法の要請により、当社および重要な子会社の各プロセスについて文書化を行ったうえ、財務報告にかかる内部統制の有効性を評価しています。また、開示プロセスの有効性を評価しています。
③ グローバルリスクマネジメントの責任者としてChief Risk Officer(CRO)を配し、グローバルな視点で、事業活動において発生するリスクを予防・軽減するための活動に取り組んでいます。CROの下には、各地域を統括する地域CROを配し、地域ごとのリスクマネジメント体制を構築しています。また、社内のヘッドオフィス(経理・調達など)では機能別リスクの責任者・担当者として各本部長・各部リスク責任者を、各カンパニーでは製品別リスクの責任者・担当者として各プレジデント・各部リスク責任者を任命し、各地域本部や各セクションが相互に連携・サポートし合える体制を取っています。
品質については、Global-CQO(Chief Quality Officer)が各地域のRegional-CQOを統括し、お客様の声と真摯に向き合った製品・サービス品質の向上、また法規動向に対応したモノづくりを全社グローバル一体となって推進しています。また、市場の状況を注視し、品質リスクに対するマネジメント体制を維持、強化しています。
④ 災害等に備え、生産復旧、システム復旧などに向けたBusiness Continuity Plan(BCP)を本部および部ごとに策定し、毎年定期的な訓練(初動対応・復旧対応)を行うことで改善を続けています。また、当社のBusiness Continuity Management(BCM)は「従業員・家族」「トヨタグループ・仕入先等」「トヨタ」が三位一体となった活動として推進しています。
(4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
〔体制〕
① 取締役は、現場からの的確な情報に基づき、経営方針を迅速に決定するとともに、当社の強みである「現場重視」の考え方のもと、各地域、各機能、各工程における業務執行の責任者を定め、幅広い権限を与えます。各業務執行責任者は、経営方針達成のため、それぞれの業務計画を主体的に策定し、機動的な執行を行い、取締役はこれを監督します。
② 各地域の様々な有識者およびステークホルダーの意見を傾聴し、経営や企業行動のあり方に反映させます。
〔運用状況の概要〕
① 商品群ごとに「カンパニー」を設置するとともに、各地域、各機能、各工程を「本部」と位置づけ、カンパニー・本部の中の各部が中心となって業務執行を行うという現場主義で全社網羅的な組織を採用しています。取締役会においては、執行役員である社長・チーフオフィサーから、現場に即した会社の状況について情報提供を適切に受けて、効率的な意思決定を行っています。業務執行責任者であるカンパニープレジデントや本部長は、組織の方針を自律的に策定・運営し、チーフオフィサー以上はこれを監督しています。
② 各地域の外部有識者をはじめとした様々なステークホルダーの意見を聞く機会を設け、社外の視点からのアドバイスや情報を入手することにより、経営や企業行動のあり方の検討に役立てています。
(5)使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
〔体制〕
① 各組織の業務分掌を明確化するとともに、継続的な改善を図る土壌を維持します。
② コンプライアンスの責任者を任命するとともに、コンプライアンスの仕組みを不断に見直し、実効性を確保します。そのため、各部署が点検し、取締役会等に報告する等の確認を実施します。
③ コンプライアンスに関わる問題および疑問点に関しては、当社が設置するスピークアップ相談窓口等を通じて、法令遵守および企業倫理に関する情報の早期把握および解決を図ります。
〔運用状況の概要〕
① 業務分掌の明確化を実施し、社内サイトで全従業員に対して公開することで、業務の見える化と、責任権限の透明性向上を進めています。また、入社時教育や各階層別教育において、「ものをよく観て」問題を発見し、「改善を続ける」企業文化を醸成しています。
② コンプライアンスの統括責任者として、Chief Compliance Officerを任命しています。コンプライアンスに関する基礎知識の習得による全社コンプライアンス意識向上のため、新入社員をはじめ幅広い従業員を対象に教育を実施しています。専門部署が各部署の対応状況を点検の上、その結果を取締役会等に報告しています。
③ コンプライアンスに関する様々な問題および疑問点を社外弁護士や社内担当者を通じて相談することができるスピークアップ相談窓口等の内部通報窓口を設置しています。当社は、相談に対して事実調査を行い、必要な措置を取っています。なお、当社は、これらの窓口への相談内容および対応結果を当社関係役員に報告しています。
(6)株式会社ならびにその親会社および子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
〔体制〕
子会社と経営理念を共有し、企業集団の健全な内部統制環境の醸成を図ります。
また、子会社の財務および経営を管理する部署と事業活動を管理する部署の役割を明確化し、子会社の位置づけに応じた多面的な管理を図ります。これらの部署は、子会社との定期および随時の情報交換を通じて子会社の業務の適法性と適正性を確認します。
1) 子会社の取締役等の職務の執行にかかる事項の当該株式会社への報告に関する体制
子会社の経営上の重要事項に関しては、子会社との間で合意した規程に基づき、当社の事前承認または当社への報告を求めるとともに、当社の各種会議体への付議事項を定めた規程に基づき、当社の取締役会等において審議します。
2) 子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
財務、安全、品質、環境、災害等のリスクマネジメントに関しては、子会社に対して、取り組みを推進する体制を整備し、重大なリスクについて速やかに当社に報告することを求めるとともに、重要課題と対応については当社の各種会議体への付議事項を定めた規程に基づき、GRC会議または取締役会等において審議します。
3) 子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
子会社の取締役に対して、現場からの的確な情報に基づき、経営方針を迅速に決定するとともに、業務分掌を定め、それに基づく適切な権限委譲を行い、業務が効率的に行われるよう求めます。
4) 子会社の取締役等および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体
制
子会社に対してコンプライアンスに関する体制の整備を求め、当社はその状況について定期的に点検を行い、その結果を当社の取締役会等に報告する等の確認を実施します。
子会社におけるコンプライアンスに関わる問題および疑問点に関しては、子会社が設置する内部通報窓口や、当社が設置する子会社を対象とした通報窓口を通じて、子会社の法令遵守および企業倫理に関する情報の早期把握および解決を図ります。
〔運用状況の概要〕
子会社に経営理念を展開するとともに、子会社の経営理念や行動指針等に適切に取り入れるよう指導しています。また、子会社管理に関する役割と実施事項を明確化し、各部署は子会社の位置づけに応じた多面的な管理を図っています。さらに、毎事業年度、各部署による子会社管理の実施状況を点検し、その結果を取締役会等で確認しています。
1) 子会社の経営上の重要事項に関しては、子会社との間で合意した規程に基づき、当社の事前承認を求め、または当社への報告を行うよう指導しています。そのうち、グループ経営上の重要な事項は当社の取締役会付議事項に則って、取締役会において審議しています。
2) 財務、安全、品質、環境、災害等のリスク管理に関しては、子会社に対して、取り組みを推進する体制を整備し、重要なリスクについて、子会社との定期的なコミュニケーション等を通じて速やかに当社に報告することを求めています。重要課題と対応については、付議事項に基づき、GRC会議または取締役会等において、それぞれ審議しています。
3) 子会社で、効率的な業務執行のための組織が見直され、適切に業務が分掌され、権限が付与されていることを確認しており、必要に応じ改善を求めています。
4) 子会社各社が自社のコンプライアンスに関する体制が整備されているか点検の上、その結果を、当社の取締役会等に報告しています。子会社における財務上のコンプライアンスについては、子会社で整備すべき規程等を子会社に展開しています。また、当該規程等が各子会社の日常業務に浸透するよう、定期的な自主点検の実施を子会社に対して指導しています。
また、子会社取締役等の職務が法令に適合することを確保するため、遵守すべき法令、その対応のポイント等を示すなど、当該取締役等に対する啓発活動に努めています。子会社におけるコンプライアンスに関わる問題および疑問点に関しては、子会社が設置する内部通報窓口のほか、当社が設置する子会社を対象とした通報窓口を通じて把握し、子会社や当社関係部署により事実調査・対応改善・関係役員報告等、必要な措置を取っています。
(7) 監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
〔体制〕
① 監査等委員会の職務を補助するため、監査等委員会室を設置し、専任の使用人を置きます。当該使用人は、監査等委員会の指揮命令に従わなければならないものとし、その人事については、事前に監査等委員会または監査等委員会の定める監査等委員の同意を得ます。また、監査等委員会および監査等委員の職務の執行に必要となる費用は、適正に予算措置するとともに、予算措置時に想定していなかった事由のために必要となった費用についても、当社が負担します。
② 取締役(監査等委員である取締役を除く)および使用人は、監査等委員会の求めに応じ、定期的にまたは随時に、業務執行等に関する報告を行い、当社または子会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは直ちに監査等委員会に報告します。必要に応じ子会社の取締役等からも報告させるほか、当社または子会社が設置する内部通報窓口等への重要な通報案件についても、監査等委員会に報告します。監査等委員会へ報告をした者について、当該報告をしたことを理由として、不利な取扱いを受けることはない旨を定めた規程を整備します。
③ 監査等委員による主要な各会議体への出席、監査等委員会による重要書類の閲覧、会計監査人および内部監査部門による監査等委員会への定期および随時の報告の実施を確保するとともに、必要な外部人材を直接任用する機会を確保します。
〔運用状況の概要〕
① 監査等委員会室を設置し、専任の使用人を配置しています。監査等委員会室の組織変更および人事については、監査等委員会で選定された監査等委員の同意を得ています。監査等委員会および監査等委員の職務の執行に必要となる費用については、監査計画を踏まえ、事業年度の初めに通常の会社手続の中で予算措置するとともに、予算措置時に想定していなかった事由のために必要となった費用についても、当社が負担しています。
② 取締役(監査等委員である取締役を除く)、使用人および子会社は、適宜適切に監査等委員会に業務執行の状況に関する報告を行うほか、当社または子会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは直ちに監査等委員会に報告することとしています。スピークアップ相談窓口、当社が設置する子会社を対象とした通報窓口および子会社が設置する内部通報窓口への相談の状況について、監査等委員会に報告しています。内部通報に関する規程に、監査等委員会に報告した者が、報告したことを理由として不利な取扱いを受けることはない旨を定め周知しています。
③ 重要案件を審議・決議する役員会議体に監査等委員が出席できる体制を整えているとともに、監査等委員会から要求された重要書類はその閲覧に供しています。また、監査等委員会や随時のミーティングで、会計監査人および内部監査部門による報告の機会を設けています。
b.責任限定契約の内容の概要等
当社は、非業務執行取締役との間において、会社法第427条第1項の規定に基づき、会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、会社法第425条第1項に定める額を責任の限度としています。
また、当社は、取締役が本来なすべき職務の執行をより円滑に行うことができるよう、会社法第426条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって、取締役(取締役であった者を含む)および監査役であった者の会社法第423条第1項の賠償責任を法令の限度において免除することができる旨を定款で定めています。
c.役員等賠償責任保険契約の内容の概要等
当社は、保険会社との間で、当社が保険料の全額を負担する役員等賠償責任保険契約を締結しています。当社のすべての取締役、執行役員、Executive FellowおよびSenior Fellowを被保険者とし、これらの役職の立場で行った行為による損害賠償金および争訟費用等を填補します。当該役員等賠償責任保険契約においては、役員等の職務執行の適正性担保のため、敗訴時に填補する損害の範囲を限定する旨および一定の事由に該当する場合は保険金を支払わない旨を定めています。2025年7月に現行契約が満了しますが、同様の内容で更新予定です。
d.取締役の定数
当社は、取締役を20名以内、及び監査等委員である取締役を7名以内とする旨を定款で定めています。
e.取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めています。
f.剰余金の配当等の決定機関
当社は、資本政策の機動性を確保するため、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)を取締役会決議により可能とする旨を定款で定めています。また、上記のほか、会社法第459条第1項各号に掲げる事項についても、取締役会での決議を可能とする旨を定款で定めています。
g.自己株式取得の決定機関
当社は、資本効率の向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行のため、会社法第165条第2項に基づき、取締役会決議による自己株式の取得を可能とする旨を定款で定めています。また、上記のほか、会社法第459条第1項第1号に掲げる事項についても、取締役会での決議を可能とする旨を定款で定めています。
h.株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって決議を行う旨を定款で定めています。
④取締役会の活動状況
当事業年度において当社は、取締役会を合計16回開催しており、個々の取締役・監査役の出席状況については次のとおりです。
(注)社外監査役 酒井 竜児は、2024年6月18日開催の第120回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。代表取締役 早川 茂取締役 Simon Humphries、社外取締役 菅原 郁郎、Sir Philip Cravenおよび大薗 恵美は、第121回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。常勤監査役 白根 武史、安田 政秀および小倉 克幸ならびに社外監査役 George Olcott、Catherine O'Connellおよび長田 弘己は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって監査等委員会設置会社に移行したことを受けて退任しています。なお、社外監査役George Olcottおよび長田弘己は、同定時株主総会において監査等委員である取締役に選任され、就任しております。全回数が異なるのは、就任時期および退任時期の違いによるものです。
取締役会における具体的な検討事項は、以下のとおりです。
・経営戦略:アライアンス諸案件、通信関連案件等
・決算・財務関連:決算、配当・自己株式、子会社への融資、政策保有株式フォロー等
・ガバナンス・内部統制:監査等委員会設置会社への移行、内部統制の整備・運用状況、取締役会実効性評価、内部監査方針等
・リスクマネジメント:認証問題への対応等
・サステナビリティ:サステナビリティデータブック等
・その他:役員・幹部職人事、役員報酬、情報開示(有価証券報告書、統合報告書等)、月度生産・出荷・販売実績、アスリート支援等
⑤役員人事案策定会議の活動状況
当事業年度において当社は、役員人事案策定会議を合計7回開催しました。
個々の委員の出席状況については次のとおりです。
(注)代表取締役 早川 茂ならびに社外取締役 菅原 郁郎、Sir Philip Cravenおよび大薗 恵美は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。
役員人事案策定会議において議論された主な内容は、以下のとおりです。
・取締役、監査役の選解任案
・執行役員、統括部長以上幹部職の選解任・担当変更
・個人別査定の評価
・組織体制
・スキルマトリクス
⑥報酬案策定会議の活動状況
当事業年度において当社は、報酬案策定会議を合計12回開催しました。
個々の委員の出席状況については次のとおりです。
(注)代表取締役 早川 茂ならびに社外取締役 菅原 郁郎、Sir Philip Cravenおよび大薗 恵美は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。
報酬案策定会議において議論された主な内容は、以下のとおりです。
・役職・職責ごとの報酬水準
・業績連動報酬の変動幅の見直し
・2024年度の指標実績評価
・個人別報酬額の決定
(2)【役員の状況】
①役員一覧
男性8名 女性2名 (役員のうち女性の比率20%)
②社外役員の状況
社外取締役の大島眞彦氏は、当社と取引関係にある㈱三井住友銀行を、2024年7月に退任しております。また、当社と㈱三井住友銀行との取引関係は、取引の規模、性質に照らして、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと判断されることから、概要の記載を省略しています。
当社は、社外取締役の長田弘己氏が業務執行者であった㈱中日新聞社と取引関係にありますが、取引の規模、性質に照らして、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと判断されることから、概要の記載を省略しています。
なお、当社社外取締役およびその近親者と当社の間に、特別な利害関係はありません。
社外役員が当社の企業統治において果たす機能および役割、社外役員の独立性に関する基準または方針、社外役員の選任状況に関する考え方および社外取締役による監督または監査と内部監査、監査等委員会監査および会計監査との相互連携並びに内部統制部門との関係については、「(1)コーポレート・ガバナンスの概要②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由〔取締役体制〕、〔監査等委員会〕および〔内部監査〕」を参照ください。
(3)【監査の状況】
①監査役/監査等委員会監査の状況
当社は、2025年6月12日開催の定時株主総会における承認を得て、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。そのため、当事業年度の活動状況(以下b.)については、移行前の監査役会設置会社における内容を記載しています。
a.監査等委員会監査の組織、人員および手続監査等委員会監査の組織、人員および手続については、「(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 〔監査等委員会〕」を参照ください。
b.監査役および監査役会の活動状況
当事業年度において当社は監査役会を合計16回開催しており、個々の監査役の出席状況については次のとおりです。
(注)社外監査役 酒井 竜児は、2024年6月18日開催の第120回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。常勤監査役 白根 武史、安田 政秀、小倉 克幸および社外監査役 George Olcott、Catherine O'Connell、長田 弘己は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって監査等委員会設置会社に移行したことを受けて退任しています。なお、社外監査役George Olcottおよび長田弘己は、同定時株主総会において監査等委員である取締役に選任され、就任しております。全回数が異なるのは、就任時期および退任時期の違いによるものです。
監査役会では、下記事項の検討等を通じ、会社の取り組みや経営課題について確認しています。
・監査の方針および監査実施計画
・取締役会に付議される案件
・内部統制システムの整備・運用状況
・会計監査人の監査の方法および結果の相当性
・コンプライアンスへの対応
また、監査役会において、内部監査部門等より必要に応じて業務執行の状況・結果等について報告を受けているほか、会計監査人より監査およびレビュー結果等について報告を受けています。
監査役は、監査役会で決議された監査の方針および監査実施計画に基づき、主に以下の活動を行っています。
・取締役・執行役員およびその他主要な経営幹部等との意思疎通
・取締役会その他重要な会議への出席
・重要な決裁書類等の閲覧
・本社・工場および主要な事業所における業務および財産状況の調査
・主要な子会社における業務および財産状況の調査
・子会社の取締役等および監査役との意思疎通・情報交換や子会社からの事業報告の確認
・会計監査人からの監査の実施状況・結果の報告の確認
・内部監査部門からの内部監査の実施状況・結果等の報告の確認
・国内子会社等との連携強化を目的とした連絡会の実施
②内部監査の状況
内部監査の組織、人員および手続、内部監査、監査等委員会監査(2025年6月12日までは監査役監査)および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と 内部統制部門との関係については、「(1)コーポレート・ガバナンスの状況概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 〔内部監査〕」を参照ください。
③会計監査の状況
当社は、2025年6月12日開催の定時株主総会における承認をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。以下については、移行前の監査役会設置会社における内容を記載しています。
a. 監査法人の名称
PwC Japan有限責任監査法人
b. 継続監査期間
2006年以降
なお、1982年7月トヨタ自動車販売㈱と合併後の監査法人については、次のとおりです。
2000年3月期まで 監査法人伊東会計事務所
2001年3月期から2006年3月期まで 中央青山監査法人
(注)1 監査法人伊東会計事務所は、2001年1月1日付で中央青山監査法人と合併し、
中央青山監査法人となりました。
2 中央青山監査法人は、PwCあらた有限責任監査法人と同一のネットワークに属していました。
3 PwCあらた有限責任監査法人は、2023年12月1日付でPwC京都監査法人と合併、名称を変更
し、PwC Japan有限責任監査法人となりました。
c. 業務を執行した公認会計士
木内 仁志
杉本 晃司
森 直子
平岩 修一
d. 監査業務にかかる補助者の構成
当社の会計監査業務にかかる補助者は、公認会計士56名、会計士試験合格者等38名、その他79名です。
e. 監査法人の選定方針、理由および評価
監査役会は、監査法人の品質管理水準、監査チームの独立性・専門性、監査報酬の水準・内容、監査役・経営者とのコミュニケーション状況、グループ監査の体制、不正リスクへの備え等を着眼点として、再任の要否を検討しています。
また、監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当し、解任が相当と認められる場合には、監査役全員の同意により会計監査人を解任します。会計監査人に適正な監査の遂行に支障をきたす事由が生じたと認められる場合等には、監査役会は、株主総会に提出する会計監査人の解任または不再任の議案の内容を決定します。
以上を踏まえ、当事業年度の会計監査人の職務執行に問題はないと評価し、再任を決議しました。
④ 監査報酬の内容等
a. 監査公認会計士等に対する報酬
b. 監査公認会計士等と同一のネットワーク(プライスウォーターハウスクーパース)に対する報酬(a.を除く)
上記a.およびb.の報酬に関する前連結会計年度および当連結会計年度における非監査業務の内容は、税務、会計事項および情報開示に関する助言・指導等です。
c. その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d. 監査報酬の決定方針および監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
当社は2025年6月12日開催の定時株主総会における承認をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。以下については、移行前の監査役会設置会社における内容を記載しています。
当社では、監査公認会計士等の監査計画・監査内容、監査に要する時間等を十分に考慮し、当社監査役会による同意の上、適切に監査報酬額を決定しています。また、監査公認会計士等がトヨタに業務を提供しようとする際には、当社監査役会において当該業務が監査公認会計士等の独立性を害していないことについて確認の上、業務提供の事前承認を行っています。
監査役会は、会計監査人の監査計画の内容、職務執行状況、監査報酬の見積根拠等が適切かどうかについて検討した結果、会計監査人の報酬等の額について同意しました。
(4)【役員の報酬等】
①役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する内容及び決定方法
a.決定の方針および決定プロセス
当社は、「トヨタフィロソフィー」を基盤に、「商品と地域を軸にした経営」を実践し、将来に亘る持続的成長に向けた意思決定への貢献、仲間づくりなどを通じたモビリティカンパニーへの変革、気候変動をはじめとした環境対応や当社およびバリューチェーンに関わる社会課題の解決に貢献できることが、役員には必要と考えています。役員の報酬等は、様々な取り組みを促す重要な手段であり、以下の方針に沿って決定します。
・中長期的な企業価値向上に向けた取り組みを促すものであること
・優秀な人材の確保・維持できる報酬水準であること
・経営者としてより一層強い責任感を持ち、株主と同じ目線に立った経営の推進を動機付けるものであること
なお、当社は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により、監査等委員会設置会社へ移行しています。当社は、同日開催の取締役会の決議により、監査等委員会設置会社への移行前の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針の内容から、その対象を取締役(監査等委員である取締役を除く)とする旨の変更およびその他の変更を行っていますが、当該方針について、監査等委員会設置会社への移行前後での実質的な変更はありません。
当社取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の決定方針は取締役会にて決議します。会社業績との連動性を確保し、職責や成果を反映した報酬体系としており、支給額の水準および支給方法を定めています。
また、社外取締役および監査等委員である取締役の報酬については、固定報酬のみとします。会社業績に左右されない報酬体系とすることで、経営に対する独立性を担保しています。
当社取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により、現金報酬枠を年額30億円以内(うち社外取締役は年額3億円以内)と定められています。また、同定時株主総会の決議により、取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)の株式報酬枠を年額40億円以内と定められています。第121回定時株主総会後の取締役(監査等委員である取締役を除く)の員数は、6名(うち社外取締役2名)です。
当社取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の額またはその制度については、その決定の独立性を担保するため、取締役会および社外取締役が過半数を占める「報酬案策定会議」で決定します。「報酬案策定会議」は、取締役副社長 宮崎 洋一(議長)、社外取締役 岡本 薫明および社外取締役 藤沢 久美で構成されます。
(注)1 2025年6月12日付で報酬案策定会議議長を取締役副会長 早川 茂から取締役副社長 宮崎 洋一に交代しています。なお、取締役副会長 早川 茂は2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって退任しています。
2 2025年6月12日付で報酬案策定会議委員を社外取締役 菅原 郁郎、社外取締役 Sir Philip Craven、社外取締役 大島 眞彦および社外取締役 大薗 恵美から社外取締役 岡本 薫明および社外取締役 藤沢 久美に交代しています。なお、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって社外取締役 菅原 郁郎、社外取締役 Sir Philip Cravenおよび社外取締役 大薗 恵美は退任、社外取締役 大島 眞彦は同定時株主総会において監査等委員である取締役に選任され、就任しています。
取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の決定方針および役員報酬制度の決議、当事業年度の個人別報酬額の決定を「報酬案策定会議」に一任することを決議します。「報酬案策定会議」は、取締役会に諮問する役員報酬制度の検討および取締役会で定められた取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の決定方針に基づいて、会社業績や取締役(監査等委員である取締役を除く)の職責、成果等を踏まえて個人別報酬額を決定しています。取締役会は、当該決定内容は取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬等の決定方針に沿うものであると判断しています。
当社の監査等委員である取締役の報酬額は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により、年額3.6億円以内と定められています。第121回定時株主総会の定めに係る監査等委員である取締役の員数は、4名(うち社外取締役3名)です。
また、監査等委員である取締役の報酬については、株主総会の決議によって定められた報酬枠の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって決定しています。
当社の当事業年度における報酬等の額の決定等については、2024年6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月、2025年2月、3月、4月に開催した「報酬案策定会議」にて議論しました。取締役の報酬は、報酬案策定会議メンバー全員の同意を得た上で、決定しました。
<報酬案策定会議で議論された主な内容>
・役職・職責ごとの報酬水準
・業績連動報酬の変動幅の見直し
・2024年度の指標実績評価
・個人別報酬額の決定
(注)社外取締役の個人別報酬額は2024年6月、社内取締役の個人別報酬額は2025年4月に開催した「報酬案
策定会議」において、決定しています。
b.業績連動報酬(賞与・株式報酬)の決定方法
1)日本籍の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)
当社では、各人の役割の大きさ等に応じて、日本企業に加えて、グローバル企業もベンチマークとした役員報酬水準を参考に、役員一人ひとりが1年間に受け取る報酬の総額(以下、「年間総報酬」という。)の水準を、役職・職責に応じて適切に決定しています。
年間総報酬の20%前後をSTI(Short Term Incentive)、50%前後をLTI(Long Term Incentive)とし、合わせて総報酬の70%前後を業績連動報酬としています。STIは「連結営業利益」、「当社時価総額の変動率」および「個人別査定」に基づき設定する現金報酬、LTIは「複数の財務指標」、「非財務指標」および「個人別査定」に基づき設定する株式報酬としています。なお、LTIは、退任する取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)、日本非居住である取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)に対しては、現金で支給する場合があります。
(注)当社時価総額は、東京証券取引所における当社の普通株式の終値と、自己株式控除後の発行済株式
数を乗じて算出
<報酬構成>
<業績評価指標の考え方>
<各業績評価指標の評価方法と基準、当事業年度の評価結果>
(注)6つのマテリアリティについては、当社「統合報告書 2024」5ページをご参照ください。また、2024年6月に当社で発生した認証問題を受けて、取締役(監査等委員である取締役を除く)の評価(強固な経営基盤)に反映し、報酬を減額しています。なお、取締役を兼務しない執行役員についても同様に、評価(強固な経営基盤)に反映し、報酬を減額しています。
<個人別査定の考え方>
年間総報酬のうち、STI基準額およびLTI基準額に財務・非財務指標の評価結果を反映したものに対して、「個人別査定」による調整を行います。「個人別査定」は、「トヨタフィロソフィー」を基盤にした取り組み(ESGの観点を含む)や、中長期的な企業価値向上に向けた取り組みに加え、周囲からの信頼、人材育成の推進などの観点で実施します。役割・職責に応じたSTI基準額およびLTI基準額に財務・非財務指標の評価結果を反映したものに対して、±50%の範囲内で変動幅を設定しており、査定結果に基づいて役員一人ひとりの業績連動報酬額を算定します。なお、取締役会長、取締役副会長および取締役社長については、役割・職責の大きさから、業績評価のみによる報酬変動が適当と判断しており、個人別査定は実施しません。
2)外国籍の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)
人材を確保・維持できる報酬水準・構成で、固定報酬と業績連動報酬を設定しています。年間総報酬水準および総報酬に占める固定報酬、業績連動報酬の各比率は、職責や出身事業体等の報酬水準(個別に適用を判断)を踏まえて設定しています。また、業績連動報酬は、日本籍の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)と同様にSTIおよびLTIによって構成し、それらの金額は、日本籍の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)のSTIおよびLTIに設定された各業績評価指標および個人別査定の結果を反映することで、同様に変動します。なお、出身事業体との税率差を考慮し、税金補填をする場合があります。
c.株式報酬制度
1)譲渡制限付株式制度
2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により定められた株式報酬枠(年額40億円以内(割り当てる当社普通株式の総数は当社の取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く。以下「対象取締役」という。)に対して合計で年400万株以内))を用いて、取締役会で株式報酬を決議します。主な内容は以下のとおりです。
2)譲渡制限付株式ユニット制度
対象取締役が譲渡制限付株式の割り当てを受ける時点で日本非居住である場合、居住国における法令順守の必要性や税制上の不利益を回避する目的で、上記の譲渡制限付株式に代えて、譲渡制限付株式ユニットを適用することがあります。なお、譲渡制限期間に相当する期間の満了をもって普通株式を交付すること、対象取締役の死亡時は普通株式に代えて当社取締役の相続人に金銭を支給すること以外の条件については、当社の譲渡制限付株式報酬と同様であり、当社の譲渡制限付株式報酬および譲渡制限付株式ユニットを合わせて株式報酬枠の範囲内で運用します。
なお、退任する対象取締役への株式報酬において、譲渡制限を付さずに割り当てる場合があります。また、退任する対象取締役または日本非居住である対象取締役に対して、現金で支給する場合があります。
d.クローバック規則
法令に基づく財務報告要件に関し、当社の過去の財務諸表の修正再表示を行う必要が生じた場合、その結果として超過支給となる業績連動報酬部分を、その支給を受けた取締役または退任した取締役から当社が強制的に回収することができる「クローバック規則」を2023年11月より導入しています。なお、導入以前に退任した取締役には「クローバック規則」は適用されません。
回収対象となる報酬は、修正再表示前の財務情報に基づいて支給された株式報酬を含む業績連動報酬の全部または一部とし、対象期間は、財務諸表の修正再表示が必要になった日の直近に終了した3事業年度としています。回収対象、対象期間、対象者の特定等、本規則の管理・運用は「報酬案策定会議」が行います。
②役員区分ごとの報酬等の額、報酬等の種類別の額及び対象となる役員の員数
当社は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により、監査等委員会設置会社へ移行しています。当事業年度に係る報酬等については、監査役会設置会社として役員に支給した報酬等について記載しています。
(注)1 現金報酬は、固定報酬と賞与で構成されています。
2 業績連動報酬は、2025年5月8日開催の取締役会に基づいており、記載の株式数に割当決議の前日の終値を乗じた金額が付与されます。
3 株式報酬は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって退任した取締役副会長 早川 茂に対しては、現金で支給しています。
4 上記報酬等の額のほか、退任取締役 James Kuffnerに対して2023年3月期、2024年3月期および2025年3月期にかかる業績連動報酬として244百万円を支給しています。
③連結報酬等の総額が1億円以上である者の連結報酬等の総額等
当社は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の決議により、監査等委員会設置会社へ移行しています。当事業年度に係る報酬等については、監査役会設置会社として役員に支給した報酬等について記載しています。
(注)1 株式報酬は、2025年6月12日開催の第121回定時株主総会の終結の時をもって退任した取締役副会長 早川 茂に対しては、現金で支給しています。
2 当社が退任取締役 James Kuffnerに対して支給している業績連動報酬は、2023年3月期、2024年3月期 および2025年3月期にかかる業績連動報酬であり、支給額が確定したことに伴い開示しています。
(5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は、純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)のみ保有しています。専ら株式の価値の変動または株式にかかる配当によって利益を受けることを目的とする純投資目的である投資株式は、保有していません。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)
a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
1) 政策保有に関する方針
当社は、政策保有株式について、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としています。保有の意義が認められる場合とは、開発・調達・生産・物流・販売のすべての過程において様々な協力関係が不可欠な自動車事業において、事業戦略、取引先との事業上の関係の構築・維持・強化、地域や社会発展への貢献・協力などを総合的に勘案し、中長期的な観点から企業価値の向上に資すると判断される場合をいいます。
2) 政策保有の適否の検証
当社は、必要に応じて、企業価値向上や持続的成長を促す観点から建設的な対話を保有先企業と行い、経営上の課題の共有や改善につなげています。また、個別の政策保有株式について、経営環境の変化を踏まえた保有意義の再確認や、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等の具体的な精査を行い、保有の適否を取締役会にて毎年検証しています。
なお、事業環境の変化などにより保有の意義が認められない場合や保有の意義が希薄化した場合には、保有先企業と対話を行い、理解を得たうえで、売却を進めます。
その結果、政策保有株式の銘柄数は、2021年3月末時点の157銘柄(うち上場会社54銘柄)から2025年3月末時点の115銘柄(うち上場会社34銘柄)へ縮減しています。
政策保有株式の推移
政策保有株式のうち、上場株式の動向

当社で政策保有株式として保有する、上場株式34銘柄、貸借対照表計上額合計2,951,382百万円のうち、主要な保有先の貸借対照表計上額、事業戦略上の保有理由は、以下のとおりであり、当該貸借対照表計上額の合計は、1,972,005百万円となります。
(注)1 出資比率は、2025年3月31日時点の各銘柄の発行済株式総数に対する保有株式数の割合になります。
3)政策保有株式にかかる議決権行使基準
原則として、すべての議案に対して議決権を行使します。
当社は、議決権の行使は、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、当該保有先企業の経営方針・戦略等を十分検討したうえで、中長期的な観点で企業価値の向上や株主利益の向上につながるかどうか等の観点に立って議案ごとに判断します。
株主利益に大きな影響を及ぼしうる議案(授権資本の拡大・買収防衛策・事業再編等)については、当該保有先企業との対話を通じ賛否を判断します。
b.銘柄数および貸借対照表計上額
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
(注)2 株式数が減少した銘柄のうち1銘柄は、会社清算に伴うものです。
c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
(注)1 各銘柄の定量的な保有効果の記載は困難ですが、当社では、2024年3月31日を基準として、保有意義の再確認や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等の具体的な精査を行うことにより、保有の適否を検証し、必要な対応を実施しています。
2 Pony AI Inc.は、2024年11月27日付けで、上場会社となり対象銘柄となったため記載しています。「*」は、前事業年度においては特定投資株式ではなかったために、記載を省略していることを示しています。
3 ダイナミックマッププラットフォーム㈱は、2025年3月27日付けで、上場会社となり対象銘柄となったため記載しています。「*」は、前事業年度においては特定投資株式ではなかったために、記載を省略していることを示しています。
4 「―」は、当該銘柄を保有していないことを示しています。
5 当事業年度については、特定投資株式の住友電気工業㈱以下の銘柄は、貸借対照表計上額が資本金額の100分の1以下でありますが、特定投資株式とみなし保有株式を合わせて60銘柄に満たないため、全銘柄を記載しています。
みなし保有株式
(注)1 貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算していません。
2 各銘柄の定量的な保有効果の記載は困難ですが、当社では、保有の合理性について、特定の期日を基準とすることなく、中長期的な観点でみなし保有株式の見直しを行い、必要な対応を実施しています。
3 「―」は、当該銘柄を保有していないことを示しています。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式
該当事項はありません。
④ 当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの
該当事項はありません。
第5 【経理の状況】
1 連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1)当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
また、連結財務諸表の記載金額は、百万円未満の端数を四捨五入して表示しています。各数値の合計が合計額と
一致しない場合があります。
(2)当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下
「財務諸表等規則」という。)に基づいて作成しています。
当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しています。
また、財務諸表の記載金額は、百万円未満の端数を四捨五入して表示しています。各数値の合計が合計額と一致
しない場合があります。
2 監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の連結財務諸表および事業年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の財務諸表について、PwC Japan有限責任監査法人による監査を受けています。
3 連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組およびIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備について
当社は、以下のとおり、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組およびIFRSに基づいて連結財務諸
表等を適正に作成することができる体制の整備を行っています。
(1)会計基準等の内容を適切に把握し、または会計基準等の変更等について的確に対応できる体制を整備するため、
公益財団法人財務会計基準機構への加入等を行っています。また、同機構および監査法人等が主催するセミナー
への参加や会計専門誌の定期購読等を行っています。
(2)IFRSの適用については、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準の把
握を行っています。また、IFRSに基づく適正な連結財務諸表等を作成するために、IFRSに準拠した連結決算会計
方針および会計指針を作成し、それらに基づいて会計処理を行っています。
(3)適正な連結財務諸表等を作成するため、米国企業改革法第404条で求められる財務報告にかかる有効な内部統制
を構築および維持しています。また、アカウンタビリティの充実を図るため、情報開示委員会を設置し、当社の
開示すべき重要情報の網羅性、適正性を確保しています。
1 【連結財務諸表等】
(1)【連結財務諸表】
① 【連結財政状態計算書】
② 【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
【連結包括利益計算書】
③ 【連結持分変動計算書】
前連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)
当連結会計年度(2025年3月31日に終了した1年間)
④ 【連結キャッシュ・フロー計算書】
【連結財務諸表注記】
1.報告企業
当社は、日本に所在する株式会社であり、その本社は愛知県豊田市に登記されています。連結財務諸表は、トヨタならびに関連会社および共同支配企業に対する持分により構成されています。
当社および当社の関係会社は主にセダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を世界的規模で行っています。また、当社および当社の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を、主として販売代理店およびその顧客に対して行っています。
2.作成の基礎
(1)連結財務諸表がIFRSに準拠している旨
トヨタの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしており、同規則第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。
当連結財務諸表は、2025年6月18日に当社取締役社長佐藤恒治および取締役CFO宮崎洋一によって承認されています。
(2)測定の基礎
トヨタの連結財務諸表は、注記3.「重要性がある会計方針」に記載している公正価値で測定する金融商品、退職給付に係る負債等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
(3)機能通貨及び表示通貨
トヨタの連結財務諸表の表示通貨は、当社の機能通貨である日本円であり、百万円未満を四捨五入しています。各数値の合計が合計額と一致しない場合があります。
3.重要性がある会計方針
(1)連結の基礎
①子会社
トヨタの連結財務諸表は、当社および当社が支配する子会社を含んでいます。子会社には、当社または他の子会社が支配するストラクチャード・エンティティも含まれています。
トヨタは、トヨタがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当該企業を支配していると判断しています。
連結子会社が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。連結会社間の重要な債権債務残高および内部取引高、ならびに連結会社間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
連結子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失を純損益として認識しています。
②関連会社および共同支配企業
関連会社とは、トヨタが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配企業とは、契約上の取り決めによりトヨタを含む複数の当事者が共同して支配をしており、その活動に関連する財務上および経営上の決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいいます。
関連会社および共同支配企業への投資は、持分法によって会計処理しています。関連会社または共同支配企業が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社または共同支配企業の財務諸表に調整を加えています。
関連会社または共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得または損失を純損益として認識しています。
(2)外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。期末における外貨建貨幣性資産および負債は、報告期間の期末日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産および負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しています。その結果生じる為替差損益は純損益として計上しています。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
②在外営業活動体
在外の連結子会社、関連会社および共同支配企業(以下、在外営業活動体という。)の資産および負債については報告期間の期末日の為替レート、収益および費用については、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートを用いて円貨に換算しています。その結果生じた換算差額は、その他の包括利益として認識し、連結財政状態計算書のその他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体の換算差額の累積額は、在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力または共同支配企業の取り決めを喪失した期間に純損益として認識しています。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(4)金融商品
①金融資産
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、金融資産について契約の当事者となった時点で当初認識し、デリバティブ以外について、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性および資本性金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。なお、金融資産の通常の方法による売買は、約定日において認識または認識の中止を行っています。
純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される金融資産は公正価値で測定していますが、それ以外の金融資産は取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で測定し、当初に認識しています。重要な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されていること。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる取引。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方の目的で金融資産を管理する事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
投資先との取引関係の維持または強化を主な目的として保有する株式などの資本性金融資産については、当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定し、当該指定を継続的に適用しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(a)~(c)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおり測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しています。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。減損に係る利得または損失、利息収益、および為替差損益は純損益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から純損益に組替調整しています。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、当該金融資産からの配当金については、純損益として認識しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額は、純損益として認識しています。
(ⅲ)金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産の予想信用損失について、金融損失引当金を計上しています。オフバランスの信用エクスポージャーであるローン・コミットメントおよび金融保証契約について、予想信用損失に対する金融損失引当金を認識しています。
金融損失引当金は、報告期間末日ごとに金融資産に係る信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大しているかどうかの評価に基づき測定しています。報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、金融損失引当金は、当該金融商品の存続期間にわたって発生する可能性のあるすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しくは増大していない場合には、金融損失引当金は、報告期間末日から12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行事象によって生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
ただし、「営業債権及びその他の債権」に含まれる営業債権およびファイナンス・リース債権については、常に全期間の予想信用損失を引当金として認識しています。
予想信用損失の金額は、トヨタに支払われるべき契約上のキャッシュ・フローの総額と、トヨタが受け取ると見積もられる将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定し、純損益として認識しています。金融損失引当金を減額する場合における戻入額は純損益として認識しています。
なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、金融損失引当金を控除後の帳簿価額の純額に対して、実効金利法を適用し利息収益を測定しています。金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しています。
(ⅳ)金融資産の認識の中止
トヨタは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、またはトヨタが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。トヨタは、金融資産を譲渡した場合でも、実質的にそのリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでもなく、また、そのほとんどすべてを保持してもいない状況において、当該譲渡金融資産に対する支配を継続している場合には、その金融資産に対する留保持分および関連して支払う可能性がある負債を認識しています。
②金融負債
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、デリバティブ以外の金融負債について、当初認識時に公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しています。
(ⅱ)事後測定
当初認識後については、実効金利法による償却原価で測定しています。実効金利法による償却ならびに認識が中止された場合の利得および損失については、金融収益または費用の一部として、純損益に認識しています。
(ⅲ)金融負債の認識の中止
トヨタは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約において特定された債務が履行による消滅、免責、取り消し、または失効したときに、金融負債の認識を中止しています。
③デリバティブ金融商品
トヨタは、金利および為替の変動によるリスク等を管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引等を含むデリバティブ金融商品を利用しており、すべてのデリバティブ取引を公正価値で資産または負債として計上しています。
トヨタはデリバティブ金融商品を投機もしくは売買目的で使用していません。
(5)金融事業に係る債権
金融事業に係る債権(以下、金融債権という。)は、連結財政状態計算書において、未稼得金融収益、繰延融資初期費用および金融損失引当金を加味した純額で表示しています。なお、繰延融資初期費用は契約期間にわたり利益率が一定となるように償却しています。
金融債権のポートフォリオは主にトヨタの事業の性質と金融債権の特性を質的側面から考慮して決定しており、以下の3つに分類しています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権ポートフォリオは、主にディーラーから取得した車両販売の割賦債権(以下、自動車割賦債権という。)により構成され、クレジット・カード債権を含んでいます。これらの債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければなりません。また、取得後、トヨタは割賦代金の回収および契約の管理について責任を有します。
自動車割賦債権の契約期間は主に2年から7年です。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、顧客が債務不履行に陥った場合、担保権を実行できます。ほとんどすべての自動車割賦債権に遡求権はなく、担保権を実行した場合にもディーラーは債務履行責任を負うことはありません。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎としながら、金額的重要性を考慮して、小売債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権は、新車のリース契約に係る債権です。リース契約の期間は主に2年から5年です。当該債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければならず、取得後、トヨタはリース車両の所有権を引き受けます。また、トヨタはリース料金の回収および契約の管理について責任を有します。
トヨタは、リース契約者が債務不履行に陥った場合、通常、当該車両を占有することが認められます。残存価額は車両が新規にリースされた時点で評価され、リース終了時にトヨタに返却された車両はオークションにて売却されます。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎として、ファイナンス・リース債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
トヨタは、適性を満たしたディーラーに対して、在庫購入のための融資を行っています。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、さらに必要がある場合、ディーラーの資産または経営者の個人資産あるいはその両方に担保権を設定します。ディーラーが債務不履行に陥った場合、トヨタは取得した資産を処分する権利を有します。
また、トヨタは、ディーラーに対して事業買収、設備の改修、不動産購入および運転資金のための期限付融資も行っています。当該融資は、通常、不動産への担保権、その他のディーラーの資産または経営者の個人資産により保全されています。
金融債権に内在するリスク特性を基礎として、卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
(6)金融事業に係る金融損失引当金
金融債権に対する予想損失は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビューおよび評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模および構成、現在の経済的な事象および状況、担保物の見積公正価値およびその十分性、経済状況の動向などの将来予測情報、ならびにその他の関連する要因に基づき、ポートフォリオ別に測定しています。なお、集合的に予想信用損失を算定する場合、商品の種類、担保の種類など、共通のリスク特性に基づいてポートフォリオをグルーピングしています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権については、債務不履行となる確率の変化や延滞日数を指標として当該金融債権の信用リスクが著しく増大したか否かを判定しています。30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、貸付金に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権ポートフォリオについては、常に全期間の予想信用損失をもって金融損失引当金の額を算定しています。内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオについては、内部におけるリスク評価を基礎として信用状況別に債権を区分しています。この区分の変化を指標として、金融債権の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したか否かを判定しています。なお、30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
トヨタは、現在入手可能な情報に基づき、金融損失引当金は十分であると考えていますが、(ⅰ)資産の減損に関する見積りまたは仮定の変更、(ⅱ)将来の期待キャッシュ・フローの変化を示す情報の入手、または(ⅲ)経済およびその他の事象または状況の変化により、追加の引当金が必要となってくる可能性があります。中古車価値の実績値および推定値の低下とともに、金利の上昇、失業率の上昇および負債残高の増加といった消費者に影響を与える将来的な経済の変化が生じた場合、将来の金融事業の業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)棚卸資産
棚卸資産は正味実現可能価額を超えない範囲において、取得原価で評価しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。取得原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費および、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
(8)有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。重要な更新および改良のための支出は資産計上しており、少額の取替、維持および修理のための支出は発生時の費用として認識しています。有形固定資産の減価償却は、当該資産の区分、構造および用途等により見積もられた耐用年数に基づき、定額法で計算しています。見積耐用年数は、建物については2年から65年を、機械装置については2年から20年を使用しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
賃貸用車両及び器具は第三者に対する賃貸であり、販売代理店が賃貸を開始して特定の連結子会社が取得したものです。そうした子会社は、各社が直接取得した資産についても賃貸を行っています。また、賃貸用車両及び器具には、転貸用資産として保有する使用権資産が含まれています。賃貸用車両及び器具は見積残存価額まで、主として2年から5年のリース期間にわたり定額法で償却しています。賃貸契約の取得に際して直接発生した費用は資産計上し、リース期間にわたり定額法で償却しています。
トヨタは、リース期間の終了したリース資産の売却収入が、リース期間の終了時における当該資産の帳簿価額を下回るために、その売却時に損失が生じるというリスクにさらされています。トヨタは保有しているポートフォリオの未保証残存価値に関し予想される損失に備えるため、報告期間の期末日ごとに見積残存価額を見直しています。見積残存価額の見直しは、見積車両返却率および見積損失の程度を考慮して行っています。見積車両返却率および見積損失の程度を決定する際の考慮要因には、中古車販売に関する過去の情報や市場情報、リース車両返却の趨勢や新車市場の趨勢、および一般的な経済情勢が含まれています。トヨタはこれらの要因を評価し、いくつかの潜在的な損失のシナリオを想定したうえで、見積残存価額の見直しが予想される損失を補うに十分であるかを判断するため、見直した見積残存価額の妥当性を検討しています。
トヨタは保有しているポートフォリオに関して予想される損失に対して十分な金額を、見積残存価額の見直しを行うことで減価償却費に反映しています。
(9)無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。
見積耐用年数および償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
①開発資産
開発活動における支出については、その開発を完成させる技術上の実行可能性に加えて、その成果を使用または売却する意図・能力およびそのための財務その他の資源を十分に有し、かつ将来において経済的便益を得られる可能性が高く、信頼性をもってその支出を測定可能な場合に、無形資産として認識しています。
開発資産の取得原価は、主に5年から10年にわたり定額法で償却しています。
②その他の無形資産
その他の無形資産は主としてソフトウエアであり、定額法により償却しています。その見積耐用年数は主として5年です。のれんはトヨタの連結財政状態計算書に対して重要ではありません。
(10)非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く非金融資産については、各報告期間の期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価しています。その帳簿価額の回収可能性について疑義を生じさせる事象または状況変化がある場合に減損の判定を行っています。帳簿価額が非金融資産の使用および最後の処分から得られる割引後の見積キャッシュ・フローを超えている場合に、減損を計上しています。計上する減損の金額は、帳簿価額が回収可能価額を超過する場合のその超過額です。
(11)リース
トヨタは、契約の締結時に契約がリースであるか、またはリースを含んでいるかを判定しています。
①借手
借手のリース取引は、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整した取得原価で当初測定しています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料の割引現在価値で当初測定しています。
使用権資産は原価モデルを採用し、リースの開始日から、耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたって、定額法で償却しています。リース負債は実効金利法による償却原価で測定しています。リース負債は連結財政状態計算書において、有利子負債に含めて表示しています。利息費用は、各期間においてリース負債残高に対して一定の利子率となるように、リース期間にわたって純損益として認識しています。
トヨタが締結する土地、建物にかかるリース契約の多くには、事業上の柔軟性を確保するため等の様々な目的で、借手であるトヨタが行使可能である延長オプションが付されています。トヨタは延長オプションを行使することが合理的に確実であるかどうかを評価し、合理的に確実であると評価した場合には延長オプション期間をリース期間に含めています。
リース期間が12ヶ月以内の短期リースは、リース料をリース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
②貸手
貸手のリース取引は、契約時にリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。
ファイナンス・リースは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてが移転するリース取引であり、オペレーティング・リースはそれ以外のリース取引です。
オペレーティング・リースのリース料は、リース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
(12)退職後給付
トヨタは、従業員の退職給付に関して確定給付制度および確定拠出制度の双方を有しています。
①確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値および勤務費用を予測単位積増方式により算定しています。確定給付負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しています。制度資産の公正価値が確定給付制度の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還および将来掛金の減額の現在価値を上限としています。当期勤務費用および確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は純損益として認識しています。
過去勤務費用は、発生時に純損益として認識しています。
数理計算上の差異を含む、確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益として認識しており、発生した連結会計年度において利益剰余金に振り替えています。
②確定拠出制度
確定拠出制度の拠出は、従業員がサービスを提供した時点で純損益として認識しています。
(13)品質保証に係る負債
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。トヨタは製品販売時点において、当該製品の保証期間中に発生が予想される製品部品の修理または取替に係る見積製品保証費用を製品保証に係る負債として計上しています。製品保証に係る負債の金額は、保証期間内に不具合が発生した部品を修理または交換する際に発生する費用の総額を、販売時に最善の見積りに基づき計上するものであり、修理費用に関する現在入手可能な情報はもとより、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として金額を見積もっています。各連結会計年度の見積製品保証費用額の計算は、1台当たりの製品保証費用見積額を基礎としています。1台当たりの製品保証費用見積額の計算にあたっては、過去の製品保証費用実払額を当該年度の販売台数で除して包括的に算定しています。
また、上記の製品保証に係る負債に加えて、製品のリコール等による市場処置費用をリコール等の市場処置に係る負債として見積計上しています。リコール等の市場処置に係る負債の金額は、基本的に、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を、地域ごとに区分して、製品販売時点において包括的に算定しています。しかしながら、状況によっては、特定の製品のリコール等の市場処置に係る負債について、それらの支出が発生する可能性が高く、かつ合理的に見積もることができる場合に、個別に見積もる方法で算定しています。連結財政状態計算書上に計上されるリコール等の市場処置に係る負債のうち、包括的に計上される部分は、「リコール実払い累計額」を考慮して「リコールの支払い見込み総額」をもとに算出します。当該負債は期間ごとに新しいデータに基づき評価され、適切な金額に調整されています。また、これらの負債は販売期間ごとに10年間に分けて管理しています。「リコールの支払い見込み総額」は、数量<販売台数>に単価<台当たり市場処置額>を乗じて算出しています。台当たり市場処置額は、「台当たりリコール実払い累計額」を「過去の費用の発生パターン」で除して算出しています。「過去の費用の発生パターン」は、車両販売後10年間に発生したリコール支払い発生状況を表しています。販売時の包括的な見積り金額と、個々のリコールに対する実際の支払い金額との差の要因としては、台当たり平均修理費用と実際の修理費用(主に部品代と労務費)とに差が生じる場合および、過去の費用の発生パターンと実際に差が生じる場合などがあり、将来のリコール等の市場処置費用の見積りの中で調整されていきます。
連結財政状態計算書上は、上記の製品保証に係る負債とリコール等の市場処置に係る負債を合算して、品質保証に係る負債として表示しています。また、連結損益計算書上は、製品保証費用およびリコール等の市場処置費用は売上原価の構成要素として表示しています。品質保証に係る負債の計算には、上記のとおり重要な見積りが必要となることから、この計算は本質的に不確実性を内包しています。したがって、実際の品質保証費用は見積りと異なることがあり、品質保証に係る負債を追加計上する必要が生じる可能性があります。
(14)収益認識
自動車事業では、完成車両および部品は、原則として販売代理店に対して販売代理店と合意した場所において製品を引き渡した時点で、生産用部品は、原則として製造会社に対して製品を船積みもしくは引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断しています。対価については、販売時点またはその直後に支払いを受けており、重要な支払条件はありません。
トヨタの販売奨励プログラムは、主に、販売代理店が特定期間に販売した車両総台数もしくは特定のモデルの販売台数に基づいて算定される販売代理店への現金支払の形態をとっています。トヨタは、プログラムで定める車両の販売時に、最頻値法を用いて、これらの販売奨励金をプログラムで定める金額だけ営業収益から控除しています。
特定の完成車両の販売には、顧客が無償メンテナンスを受ける契約上の権利が含まれています。当該履行義務の独立販売価格は、観察可能な価格を用いて、それが利用可能でない場合は予想コストにマージンを加算するアプローチを用いて算定しています。この無償メンテナンス契約による収益は繰り延べられ、契約に基づく履行義務を充足する際に発生する費用に応じて、契約期間にわたり収益として認識されます。
車両の最低再販売価額をトヨタが条件付きで保証する場合の収益は、リース会計の方法により売上の日から保証の最初の実行日までの間に期間配分して計上しています。これらの取引の対象になっている車両は資産として計上し、トヨタの減価償却方針に従い償却しています。
金融事業における利息収益は、実効金利法に基づき認識しています。
オペレーティング・リースの収益は、リース期間にわたり均等に計上しています。
なお、履行義務の充足時点と対価の受領時点との間が1年以内と見込まれる場合、実務上の簡便法を採用しており、重大な金融要素の調整は行っていません。
また、営業収益は、通常顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で計上しています。
(15)法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されています。
資産と負債の帳簿価額と税務基準額との間の一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除に対して将来の期に課されるまたは回収される税額について、繰延税金資産および繰延税金負債を認識しています。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除について、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。
子会社、関連会社および共同支配企業に対する投資に関連する将来加算一時差異については、原則として繰延税金負債を認識しますが、トヨタが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合には、繰延税金負債を認識していません。
繰延税金資産および繰延税金負債は、報告期間の期末日に制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予測される税率で測定しています。繰延税金資産および繰延税金負債の測定に当たっては、報告期間の期末日においてトヨタが意図する資産および負債の帳簿価額の回収または決済の方法から生じる税務上の帰結を反映しています。
(16)1株当たり利益
基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した加重平均普通株式数で除すことにより計算しています。希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、希薄化株式の影響を考慮し、親会社の所有者に帰属する当期利益および加重平均普通株式数を調整することにより計算しています。
(17)未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が公表された基準書及び新解釈指針のうち、当連結会計年度においてトヨタが適用していない主なものは、以下のとおりです。適用によるトヨタの連結財務諸表への影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
トヨタは、IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債および収益・費用の報告額ならびに偶発資産・偶発債務の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行っています。実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。なお、これらの見積りおよび仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの変更による影響は、見積りを変更した報告期間およびその影響を受ける将来の報告期間において認識しています。
トヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針の適用に際して行った判断に関する情報は、次のとおりです。
・連結子会社、関連会社および共同支配企業の範囲(注記3(1))
・開発から生じた無形資産の認識(注記3(9))
IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債およびトヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、次のとおりです。
・品質保証に係る負債(注記3(13)、注記24)
・金融事業に係る金融損失引当金(注記3(6)、注記19(2))
・非金融資産の減損(注記3(10)、注記12)
・退職給付に係る負債(注記3(12)、注記23)
・公正価値測定(注記21)
・繰延税金資産の回収可能性(注記3(15)、注記15)
5.セグメント情報
(1)報告セグメントの概要
以下に報告されているオペレーティング・セグメントは、そのセグメントの財務情報が入手可能なもので、その営業損益がマネジメントによって経営資源の配分の決定および業績の評価に定期的に使用されているものです。
トヨタの世界的事業の主要部分は、自動車および金融で成り立っています。自動車セグメントでは、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。金融セグメントでは、主として当社および当社の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。その他セグメントでは、情報通信事業等を行っています。
(2)報告セグメントに関する情報
前連結会計年度(2024年3月31日現在あるいは同日に終了した1年間)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2025年3月31日現在あるいは同日に終了した1年間)
(単位:百万円)
各セグメントにおける会計方針は、トヨタの連結財務諸表における会計方針と一致しています。事業別セグメント間取引は、通常の業務上行う取引条件で行っています。
全社資産は主に、全社共通の目的で保有している現金及び現金同等物ならびにその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産で構成されており、2024年3月31日および2025年3月31日現在の残高は、それぞれ15,790,074百万円および15,643,613百万円です。
(3)自動車等セグメントと金融セグメントを区分した連結財務諸表
トヨタは自動車等の非金融ビジネス(以下、自動車等という。)および金融ビジネスに関してセグメント別財務諸表情報を作成しています。
①自動車等セグメントと金融セグメントを区分した連結財政状態計算書
(注)自動車等セグメントは全社資産を含んでいます。
②自動車等セグメントと金融セグメントを区分した連結損益計算書
③自動車等セグメントと金融セグメントを区分した連結キャッシュ・フロー計算書
(4)地域に関する情報
前連結会計年度(2024年3月31日現在あるいは同日に終了した1年間)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2025年3月31日現在あるいは同日に終了した1年間)
(単位:百万円)
(注)1 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。
2 非流動資産は金融商品、繰延税金資産、確定給付資産の純額および保険契約から生じる権利を含んでいません。
上記の金額は、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎とした地域別に集計されています。所在地間取引は、通常の業務上行う取引条件で行っています。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間において、北米における外部顧客への営業収益には、米国所在の連結子会社に関する金額が、それぞれ15,784,361百万円および16,981,710百万円含まれています。2024年3月31日および2025年3月31日において、北米における非流動資産には、米国所在の連結子会社に関する金額が、それぞれ6,679,478百万円および7,242,318百万円含まれています。
全社資産は主に、全社共通の目的で保有している現金及び現金同等物ならびにその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産で構成されており、2024年3月31日および2025年3月31日現在の残高は、それぞれ15,790,074百万円および15,643,613百万円です。
(5)外部顧客の所在地別営業収益
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は次のとおりです。
7.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は次のとおりです。
対価に対する無条件の権利としての営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。また、顧客との契約から生じた債権は受取手形および売掛金が該当し、2023年4月1日現在の残高は2,757,412百万円です。
貸倒引当金の増減は次のとおりです。
「その他」には、外貨換算調整額等が含まれています。
貸倒引当金残高の一部は長期の債権にかかるものであり、非流動資産の「その他の金融資産」に計上されています。
8.金融事業に係る債権
金融事業に係る債権の内訳は次のとおりです。
金融事業に係る債権の地域別内訳は次のとおりです。
金融事業に係る債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
小売債権の契約上の満期、ファイナンス・リース債権の将来受取リース料、卸売債権およびその他のディーラー貸付金の契約上の満期は、次のとおりです。
ファイナンス・リース債権の内訳は次のとおりです。
9.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は次のとおりです。
トヨタは通常の事業において生じる金融資産および負債を含む金融商品を保有しています。これらの金融商品は信用度の高い金融機関と取引を行っており、事実上ほとんどの外国通貨による契約は、米ドル、ユーロおよびその他の主要先進国通貨で構成されています。金融商品は、程度の違いはありますが、金融商品の市場価格変動によるマーケット・リスク、および取引の相手側の契約不履行による信用リスクを含んでいます。取引相手が為替関連または金利関連商品の契約上の諸条件を満たすことができないという予期せぬ事象が生じた場合においても、トヨタのリスクはこれら商品の公正価値に限定されます。トヨタは取引相手の契約不履行により損失を被ることになる可能性がありますが、取引相手の性質により重要な損失は見込んでいません。トヨタの金融商品取引の相手側は、一般的に国際的な金融機関であるうえに、トヨタは特定の取引先に対して重要なエクスポージャーはありません。トヨタはこれらの金融商品に対する全体的な信用リスクに関して、重要性は低いと考えています。
2024年3月31日および2025年3月31日現在、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に含まれる公社債には、金融機関への貸付有価証券がそれぞれ2,190,436百万円および623,223百万円含まれています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する株式の主な銘柄別の内訳は次のとおりです。
保有資産の効率化および有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する株式の売却による認識の中止を行っています。認識の中止時点における公正価値、その他の包括利益累積額の合計は次のとおりです。
10.棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりです。
11.持分法で会計処理されている投資
持分法で会計処理されている投資の内訳は次のとおりです。
持分法で会計処理されている投資の合算情報(トヨタの持分の合計値)は次のとおりです。
12.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は次のとおりです。
(取得原価)
(減価償却累計額及び減損損失累計額)
有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含めて計上されています。
オペレーティング・リースとして会計処理されている賃貸用車両及び器具の内訳は次のとおりです。
オペレーティング・リースとして会計処理されている賃貸用車両及び器具に係る将来のリース料は、分割払いで支払いがなされるものであり、将来の受取リース料の受取期間別の内訳は次のとおりです。
上記の将来の受取リース料は、将来の現金回収額を示すものではありません。
連結財政状態計算書上の「賃貸用車両及び器具」には、使用権資産が含まれており、転貸用資産として保有しています。前連結会計年度および当連結会計年度における帳簿価額は、それぞれ4,306,566百万円および4,664,376百万円です。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における当該使用権資産の増加額および借手リースに係るキャッシュ・アウト・フローの合計は、それぞれ2,091,013百万円および2,909,058百万円です。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における当該使用権資産の減価償却費は、それぞれ612,569百万円および617,495百万円です。当該使用権資産の減価償却費は、連結損益計算書の「金融事業に係る金融費用」に含めて計上されています。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における使用権資産の転リースによる収益は、それぞれ947,058百万円および1,008,634百万円です。
13.使用権資産およびリース負債
使用権資産の内訳は次のとおりです。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における使用権資産の増加額は、それぞれ101,534百万円および164,348百万円です。
借手リースに係る損益の主な内訳は次のとおりです。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における借手リースに係るキャッシュ・アウト・フローの合計は、それぞれ188,677百万円および208,414百万円です。
将来の支払リース料総額の満期分析および現在価値との調整は次のとおりです。
14.無形資産
無形資産の帳簿価額の内訳は次のとおりです。
無形資産の取得原価および償却累計額の増減は次のとおりです。
(取得原価)
(償却累計額)
無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含めて計上されています。なお、「開発資産」を除き、重要な自己創設の無形資産はありません。
15.法人所得税
(1)繰延税金資産および繰延税金負債
繰延税金資産および繰延税金負債の主な原因別の内訳は次のとおりです。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間における繰延税金資産および繰延税金負債の増減のうち、連結損益計算書で法人所得税費用として認識された金額は次のとおりです。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除の額は次のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効期限別の内訳は次のとおりです。
繰延税金資産を認識していない繰越税額控除の失効期限別の内訳は次のとおりです。
海外子会社に対する投資の一時差異のうち、予見可能な将来において配当することを予定していない未分配利益については、再投資される予定のため繰延税金負債の認識を行っていません。2024年3月31日および2025年3月31日現在、当該一時差異は合計でそれぞれ4,630,892百万円および5,667,006百万円であり、トヨタはこれらの未分配利益がすべて配当されたと仮定した場合に算定される追加的な繰延税金負債をそれぞれ232,645百万円および245,292百万円と見積もっています。
(2)法人所得税費用
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間における法人所得税費用の内訳は次のとおりです。
トヨタは、所得に対して種々の税金を課せられていますが、これらを総合すると、日本国内における法定実効税率は、2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間において、約30.9%です。翌連結会計年度以降に解消することが予想される一時差異に係る税効果の計算においては将来の法定実効税率が使用されています。日本の法定実効税率と平均実際負担税率との差は、次のとおり分析されます。
(3)グローバル・ミニマム課税
経済開発協力機構(OECD)は、グローバル・ミニマム課税の枠組みに関するモデルルール(第2の柱)を公表しています。トヨタは、グローバル・ミニマム課税(適格国内ミニマム課税を含む)を制定または実質的に制定された法域において事業を展開しています。
制度対象となる構成事業体の財務諸表等に基づいて潜在的な影響を評価した結果、グローバル・ミニマム課税から生じる法人所得税に対する重要性があるエクスポージャーを想定していません。
なお、トヨタは、IAS第12号の繰延税金に関する要求事項にかかる一時的な例外措置を適用しており、グローバル・ミニマム課税から生じる法人所得税に関する繰延税金資産および負債について認識および開示をしていません。
16.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は次のとおりです。
営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
17.有利子負債
(1)有利子負債
有利子負債の内訳は次のとおりです。
有利子負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
(2)短期借入債務
短期借入債務の内訳は次のとおりです。
(3)長期借入債務
長期借入債務の内訳は次のとおりです。
2024年3月31日および2025年3月31日現在、長期借入債務の通貨は、それぞれ53%および50%が米ドル、10%および12%が日本円、13%および14%がユーロ、5%および5%が豪ドル、4%および4%が加ドル、15%および15%がその他の通貨となっています。
(4)担保に供している資産
連結子会社の借入債務等の担保に供している資産の内訳は次のとおりです。
「その他の資産」には、主として証券化の原債権である金融債権が含まれています。
複数の取引銀行との取引約定書には、トヨタは当該銀行から要求があれば担保(当該銀行に対する預金を含む)あるいは保証を提供する旨の条項が含まれています。この約定書その他により供される担保は、当該銀行に対する現在および将来のすべての借入債務に適用されます。
(5)支払利息
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間における支払利息は、それぞれ1,213,021百万円および1,654,702百万円です。なお、金融事業に関連する支払利息は、連結損益計算書の「金融事業に係る金融費用」に含めて計上しています。
18.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は次のとおりです。
19.財務リスク
(1)財務上のリスク管理
トヨタは、信用リスク、流動性リスク、市場リスク(為替リスク、金利リスク、市場価格変動リスク)などの様々なリスクにさらされています。また、トヨタは市場リスクをヘッジするために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引等を含むデリバティブ金融商品を利用しています。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従っており、デリバティブ金融商品を利用した投機的な取引は行わない方針です。
また、トヨタは設備投資計画に照らして、必要な資金調達(主に銀行借入や社債発行)をしています。一時的な余剰資金は安全性の高い金融資産で運用し、短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャル・ペーパーにより調達しています。資金調達に係る流動性リスクについては、各社が月次で資金繰り計画を作成する等の方法により管理しています。
(2)信用リスク
トヨタは、主に金融事業に係る債権について信用リスクにさらされています。金融事業に係る債権は、顧客やディーラーの返済が契約条件どおりに行われずに損失が発生する可能性があります。
トヨタでは、当該リスクに対応するために、リスク管理に関する諸規程において、具体的な各種リスクの管理方法や管理体制等を定め信用リスク管理実務を行っています。信用リスクは、上記規程に基づき、定期的に取引先の信用状況の把握、期日管理および残高管理を行うとともに、財務状況悪化等による回収懸念の早期把握や低減を図っています。
金融事業に係る債権に対する予想信用損失の測定方法については、注記3.(6)を参照ください。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額および注記されている保証債務および貸出コミットメントは、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、トヨタの金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値です。貸出コミットメントおよび保証契約の信用エクスポージャーに対する引当は、小売債権の引当金の算定方法と同様に算定しています。
トヨタの小売債権、ファイナンス・リース債権は、車両を担保とすることにより保全を図っています。卸売債権およびその他ディーラー貸付金は、適切な物件を担保とすることにより保全を図っています。また、報告期間中、担保に関する方針に変更はありません。
小売債権に係る金融損失引当金の増減は次のとおりです。
「その他」には、主として回収による金融損失引当金の戻入が含まれています。
小売債権に係る回収期限からの経過日数別の残高は次のとおりです。
ファイナンス・リース債権に係る金融損失引当金の増減は次のとおりです。
「その他」には、主として回収による金融損失引当金の戻入が含まれています。
ファイナンス・リース債権に係る回収期限からの経過日数別の残高は次のとおりです。
卸売債権およびその他のディーラー貸付金に係る金融損失引当金の増減の内訳は次のとおりです。
「その他」には、主として回収による金融損失引当金の戻入が含まれています。
トヨタは、信用減損資産について、その全体または一部が回収不能であると判断した場合、直接償却を行っています。2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間において、直接償却した金融事業に係る債権のうち、回収活動を継続している未回収残高に重要性はありません。
2024年3月31日および2025年3月31日現在の卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオの信用状況別の残高、貸出コミットメントならびに金融保証契約の状況は、それぞれ次のとおりです。
卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオについては、内部におけるディーラー別のリスク評価を基礎として、以下の信用状況別に区分しています。
正常 : 要注意、破綻懸念、債務不履行のいずれにも該当しない債権
要注意 : 潜在的損失に、より注意を必要とする債権
破綻懸念 : 質的および量的見地から債務不履行に陥る懸念がある債権
債務不履行: 契約上の返済義務が履行されていない、または一時的に免除されている債権
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間において、信用状態の悪化を理由に条件変更された債権は、小売債権、ファイナンス・リース債権、卸売債権およびその他のディーラー貸付金ともに金額的重要性はありません。また、条件変更された債権の支払不履行も金額的重要性はありません。
(3)流動性リスク
トヨタは、事業を遂行するにあたって必要最小限の手元資金を確保するために、適宜金融機関からの借入、社債およびミディアム・ターム・ノートまたはコマーシャル・ペーパーの発行を行っており、資金調達環境の悪化などにより支払期日にその支払いを実行できなくなるリスクを有しています。
トヨタは、グループ各社の資金需要を適宜把握したうえで、月次ベースの資金計画を作成し、日々のキャッシュ・フローと比較するという方法でモニタリングを行い、流動性リスクを管理しています。資金の流動性・安定性の確保のために、十分な規模の現金及び現金同等物を保有しているほか、突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下したときなどの緊急的な事態に備えてコミットメントラインを設定しています。
トヨタの非デリバティブ金融負債およびデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額は次のとおりです。
2024年3月31日現在
2025年3月31日現在
上記のとおりトヨタでは、社債およびミディアム・ターム・ノートまたはコマーシャル・ペーパーによる資金調達を行っています。
これらの資金調達は、各国の制度に基づき実施されており、適格発行者としての資格を得ることで、発行登録書に基づき、設定された発行枠なくミディアム・ターム・ノート等を発行することができるものと、発行枠の範囲内で資金調達を行うものがあります。
発行枠が設定されている資金調達における、未使用の金額は次のとおりです。
金融機関からのコミットメントラインのうち、未使用の金額は2024年3月31日および2025年3月31日現在、5,507,761百万円および5,503,689百万円です。
その他、有力な銀行との契約に基づかない信用供与限度額等の残高は2024年3月31日および2025年3月31日現在、47,000百万円および53,000百万円です。
(4)為替リスク
トヨタは、グローバルに事業展開しており、外貨建ての購買・販売および財務にかかる取引に関連する為替エクスポージャーを有しています。トヨタは外貨建ての営業活動によるキャッシュ・フローおよび様々な外貨建金融商品について、将来の損益または資産・負債が変動するリスクにさらされています。トヨタの最も重要な為替エクスポージャーは米ドルおよびユーロに関連して発生します。
トヨタは、為替の変動によるリスクを管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利通貨スワップ等のデリバティブを利用しています。
トヨタは、為替レートの変動リスクの評価について、Value-at-risk analysis計測(以下、VaRという。)を用いています。2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における、VaRにより統合された為替ポジション(デリバティブを含む)の税引前キャッシュ・フローへの潜在的影響額は次のとおりです。
トヨタのVaRにあたっては、モンテ・カルロ・シミュレーション法を用いており、95%の信頼区間、および10日間の保有期間に基づいて計測しています。
(5)金利リスク
トヨタは、事業活動を進めるうえで、運転資金および設備投資等に必要となる資金を調達し、投資運用することに伴い、市場金利の変動による金利リスクにさらされています。
トヨタは、金利変動リスクにかかるエクスポージャーの望ましい水準を維持し、支払利息を最小化するために、様々な金融商品取引を行っています。
金利が1%上昇した場合におけるトヨタが保有する金融商品の金利リスクに対する感応度分析は以下のとおりです。なお、本分析においては、その他すべての変数を一定のものとして仮定しています。
(6)市場価格変動リスク
トヨタは、自動車の製造に使用する鉄鋼、貴金属および非鉄金属など、コモディティの価格が変動することによるコストの上昇から生じるリスクにさらされています。トヨタは、それらコモディティの購入に伴う価格リスクについて、在庫を最小レベルに維持することによって価格リスクをコントロールしています。
トヨタは、事業活動の円滑な推進を目的として、主に業務上の関係を有する会社の株式を保有していることから、株価変動リスクにさらされています。トヨタは、定期的に公正価値や取引先企業の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しています。活発な市場における資本性金融資産(株式)の公表価格が10%変動した場合に、その他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は、2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間において、それぞれ364,120百万円および305,475百万円です。
20.デリバティブ金融商品
(1)ヘッジ指定されていないデリバティブ金融商品
トヨタは、金利および為替の変動によるリスク等を管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引等を経済的な企業行動の観点から利用していますが、ヘッジ会計を適用することができない、もしくは適用することを選択していません。
トヨタはデリバティブ金融商品を投機もしくは売買目的で使用していません。
(2)デリバティブの公正価値および損益
2024年3月31日および2025年3月31日現在におけるデリバティブの公正価値は次のとおりです。
2024年3月31日および2025年3月31日現在におけるデリバティブの想定元本は次のとおりです。
ヘッジ指定されていないデリバティブ金融商品については、為替および金利の変動によるリスク等をヘッジするために利用しており、対象となる債権債務と経済的なリスクを相殺する関係にあります。2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間におけるデリバティブ損益(△は損失)は、それぞれ△267,190百万円および△80,831百万円であり、連結損益計算書上、「金融事業に係る金融費用」および「為替差損益<純額>」に含めて計上しています。
なお、デリバティブ金融商品の取引に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(3)信用リスクに関する偶発条項
トヨタは金融機関との間で国際スワップ・デリバティブズ協会に基づく基本契約を締結しています。この契約には、格付けが特定の水準を下回った場合に、取引相手より契約の清算あるいは資産の提供が求められる偶発条項が含まれています。
2024年3月31日および2025年3月31日現在において、偶発条項を有し、現金担保考慮後で、純額で負債となっているデリバティブ金融商品の公正価値は、それぞれ13,166百万円および20,213百万円です。なお、現金担保として取引相手に提供している資産の2024年3月31日および2025年3月31日現在における公正価値は、それぞれ98,840百万円および87,644百万円です。また、2025年3月31日現在において、仮に偶発条項に定められた条件に合致した場合、契約の清算あるいは提供に必要な資産の公正価値は最大で20,213百万円です。詳細については、注記22を参照ください。
21.公正価値測定
(1)公正価値ヒエラルキーの定義
トヨタはIFRSに基づき、公正価値の測定を、それに用いたインプットの観察可能性および重要性によって以下の3つのレベルに分類しています。
レベル1:活発な市場における同一資産および負債の市場価格
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接または間接的に使用して測定した公正価値
レベル3:観察不能なインプットを用いて測定した公正価値
(2)公正価値の測定方法
資産および負債の公正価値は、関連市場情報および適切な評価方法を使用して決定しています。
資産および負債の公正価値の測定方法および前提条件は、次のとおりです。
①現金及び現金同等物
現金同等物は、契約上の満期が3ヶ月以内のマネー・マーケット・ファンド等から構成されています。通常の事業において、ほとんどすべての現金及び現金同等物は極めて流動性が高く、購入時点から満期日までの期間が短期であり、その公正価値は帳簿価額と近似しています。
②営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務
これらの公正価値は、短期間で決済されるため、帳簿価額と近似しています。
③金融事業に係る債権
金融事業に係る債権の公正価値は、期限前返済率、予想信用損失および担保価値など、社内の仮定を用いて、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより見積もっています。
金融事業に係る債権の公正価値は、これらの観察不能なインプットを利用しているため、レベル3に分類しています。
④その他の金融資産
(公社債)
公社債には国債等が含まれ、2024年3月31日および2025年3月31日現在、その構成割合は、それぞれ国内債券29%、米国・欧州などの海外債券71%、および国内債券32%、米国・欧州などの海外債券68%となっています。これらは主に、それぞれ同一資産の市場価格により測定しています。
(株式)
株式は2024年3月31日および2025年3月31日現在、それぞれ85%および79%が日本市場の上場株式です。これらは主に、それぞれ同一資産の市場価格により測定しています。したがって、活発な市場のある株式はレベル1に分類しています。
活発な市場のない株式の公正価値は、マーケットアプローチ等に基づく評価等を用いて測定しています。したがって、活発な市場のない株式はレベル3に分類しています。
レベル3に区分された株式の公正価値の測定に関する重要な観察不能なインプットは、類似企業の株価純資産倍率および割引キャッシュ・フロー法に用いられる割引率等です。公正価値は類似企業の株価純資産倍率の上昇(低下)、割引率の低下(上昇)により増加(減少)します。なお、観察不能なインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に見込まれる公正価値の増減は重要ではありません。
これらの見積りに当たっては、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、発行企業の財務状況および将来の展望、取引の成否等の重要な仮定に対する不確実性や、異なる仮定および見積方法を用いることにより、公正価値が大きく変化することがあります。
レベル3に区分された株式は、トヨタの連結決算会計方針に従い、トヨタの担当部門が四半期ごとに入手可能な情報を用いて測定し、公正価値の変動の根拠と併せて上位者に報告がなされています。
(投資信託)
活発な市場のある投資信託の公正価値は、市場における公表価格に基づいて測定しており、レベル1に分類しています。その他の投資信託の公正価値は、取引金融機関から提示された価格情報に基づいて測定しており、レベル2に分類しています。
⑤デリバティブ金融商品
トヨタは、金利および為替の変動によるリスク等を管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引等のデリバティブ金融商品を利用しています。デリバティブ金融商品は主に、金利、為替レートなどの観察可能な市場情報および契約条項を利用した標準的な評価手法を用いて測定しており、測定に重要な判断を必要としません。これらのデリバティブ金融商品はレベル2に分類しています。観察可能な市場情報を入手できない場合には、取引相手から入手した価格やその他の市場情報により測定し、観察可能な市場情報を用いて当該価格の変動の妥当性を検証しています。これらのデリバティブ金融商品はレベル3に分類しています。また、倒産確率などを用い、取引相手およびトヨタの信用リスクを考慮して測定しています。
⑥有利子負債(短期借入債務および長期借入債務)
一部の特別目的事業体を通じて行った証券化取引に基づく担保付きの借入金(以下、証券化に基づく借入金という。)を除く、短期借入債務および長期借入債務(1年以内に返済予定の長期借入債務を含む)の公正価値は、類似した負債をトヨタが新たに借入れる場合に適用される利率を用いて、将来キャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより見積もっています。当該観察可能なインプットの利用により、公正価値はレベル2に分類しています。
一部の証券化に基づく借入金の公正価値は、主として直近の市場レートおよび支払期日が類似する債務の信用スプレッドに基づいて見積もられます。また、トヨタは証券化された原債権に対して支払われるキャッシュ・フローのタイミングを見積もるために、期限前返済率や予想信用損失など、社内の仮定も用います。証券化に基づく借入金の公正価値については、これらの観察不能なインプットを利用している場合、レベル3に分類しています。
(3)継続的に公正価値で測定する金融商品
トヨタが継続的に公正価値で測定している金融商品は次のとおりです。なお、公正価値のレベル間振替は、振替を生じさせた事象または状況の変化の日に認識されています。
(4)レベル3に分類された継続的に公正価値で測定する金融商品の変動
レベル3に分類された継続的に公正価値で測定している金融資産および負債の変動の内訳は次のとおりです。
なお、公社債、株式およびデリバティブ金融商品の純損益計上額は金融事業にかかる取引を除き、連結損益計算書上、それぞれ「その他の金融収益」および「その他の金融費用」に含めて計上しています。金融事業にかかる取引については、それぞれ「金融事業に係る金融収益」および「金融事業に係る金融費用」に含めて計上しています。
上記のデリバティブ金融商品は、資産と負債(△)を合計して純額で表示しています。
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間における「その他」には、外貨換算調整額が含まれています。
2025年3月31日に終了した1年間に認識された株式のレベル3からの振替は、投資先が取引所に上場したことによるものです。
(5)償却原価で測定する金融資産および金融負債
償却原価で測定する金融資産および金融負債の帳簿価額と公正価値は次のとおりです。
上記の表には、償却原価で測定する金融資産および金融負債のうち、帳簿価額が公正価値と近似するものを含めていません。
22.金融資産および金融負債の相殺
金融資産および金融負債について、強制可能なマスターネッティング契約または類似の契約の対象であるが、金融資産と金融負債の相殺の要件の一部または全部を満たさないため相殺していない金額の内訳は次のとおりです。なお、マスターネッティング契約または類似の契約に関する相殺の権利に基づいて将来相殺される可能性がある金融商品およびその担保は、倒産その他の事由により取引先が債務を履行できなくなる等の特定の状況が発生した場合にのみ相殺の強制力が生じるものです。
連結財政状態計算書において、金融資産と金融負債の相殺の要件に従って、相殺している金額に重要性はありません。
23.従業員給付
(1)退職後給付制度の概要
当社および日本の子会社の従業員は、通常、各社で設定している退職給付に関する規則に従い、退職時にその時点における給与と勤続年数または、これらを基礎とするポイントに基づいて計算された退職一時金または年金の受給資格を有します。定年前に退職した場合の最低支給額は、通常、自己都合による退職に基づいた金額となります。定年を含む会社都合による退職の場合、加算金を加えた退職金が支給されます。
2004年10月1日に、当社は退職金制度を改定しポイント制退職給付制度を導入しました。新制度では、退職給付に関する規則に従い、各年度に付与されたポイントの累計数に基づいて計算された退職一時金または年金の受給資格を有します。
ポイントは、勤続年数に応じて付与される「勤続ポイント」、資格に応じて付与される「資格ポイント」、各年度の考課に応じて付与される「考課ポイント」などから構成されます。定年前に退職した場合の最低支給額は、通常、自己都合による退職に基づいた調整率を加味した金額となります。定年を含む会社都合による退職の場合、加算金を加えた退職金が支給されます。
2005年10月1日に、当社は退職金制度の一部を改定しキャッシュバランス類似制度を導入しました。新制度では、企業年金基金制度は従来の確定利率給付方式から変動利率給付方式に変更されています。
当社および日本の大部分の子会社は、確定給付企業年金法に基づく企業年金基金制度に加入しています。年金基金へ拠出された資金は、関係法令に従い、数社の金融機関により運用されています。これらの制度資産は、主として株式、国債および保険契約によって投資運用されています。
海外の大部分の子会社は、従業員を対象とする年金制度または退職一時金制度を有し、この制度に基づく退職給付費用は、各期に拠出による積立てを行うかあるいは負債計上しています。これらの制度に基づく給付額は、主に退職時の給与と勤続年数に基づいて計算されます。
これらの退職後給付制度は、一般的な投資リスク、金利リスク、インフレリスク等にさらされています。確定給付費用および確定給付制度債務の計算には、割引率、退職率、昇給率、死亡率などの仮定の要素が含まれています。マネジメントは、使用した仮定は妥当なものと考えていますが、実績との差異または仮定自体の変更により、トヨタの確定給付費用および確定給付制度債務に影響を与える可能性があります。
確定給付費用および確定給付制度債務の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付で確定利付の社債の利回りなどを考慮して決定しています。
トヨタは退職後給付制度において、3月31日を測定日として使用しています。
(2)確定給付制度債務および制度資産
確定給付制度債務の現在価値および制度資産の公正価値の変動は次のとおりです。
積立型制度および非積立型制度の内訳は、次のとおりです。
連結財政状態計算書に計上されている確定給付負債(資産)の純額は次のとおりです。
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは次のとおりです。
(3)主な数理計算上の仮定
確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた加重平均割引率は次のとおりです。
(4)制度資産の公正価値
制度資産の運用に際しては、将来にわたって年金給付の支払いの必要性を満たすため、許容できるリスクのもとで可能な限りの運用成果を上げるよう努めています。運用における資産配分は、長期的な資産運用において最適となる資産構成を想定した、年金制度ごとの運用基本方針に基づいて行っています。目標とする資産構成から一定割合を超えて乖離した場合には、運用基本方針に基づいて調整を行っています。投資対象の判断にあたっては、市場リスクおよび為替リスク等の集中を避けるため、商品の種類、投資先の業種、通貨および流動性等を慎重に検討しています。運用成績の評価は、個々の資産ごとにベンチマークとなる収益率を設定し、これを資産区分ごとの構成比に応じて組み合わせた収益率と、実際の収益率を比較することにより行っています。
制度資産の種類ごとの公正価値は次のとおりです。
「その他」は、現金同等物およびその他の私募投資信託等から構成されています。
(5)最低積立要件および資産上限額の影響
最低積立要件および資産上限額の影響は以下のとおりです。
(6)感応度分析
数理計算に用いた期末日時点における割引率の変動が、確定給付制度債務の現在価値に与える影響は次のとおりです。この計算にあたっては他のすべての条件は一定であると仮定しています。
(7)将来キャッシュ・フローに与える影響
当社および一部の連結子会社の制度資産への拠出額は、従業員の給与水準や勤続年数、制度資産の積立状態、数理計算等様々な要因により決定されます。また、確定給付企業年金法の規定により、企業年金基金制度では、将来にわたって財政の均衡を保つことができるよう、5年ごとに報告期間の期末日を基準日として掛金の額の再計算を行っています。当社および一部の連結子会社は、積立金の額が最低積立基準額を下回る場合には、必要な額の掛金を拠出する場合があります。
トヨタは翌連結会計年度(2026年3月31日に終了する1年間)において、退職後給付制度に対し、国内制度で33,651百万円、海外制度で16,454百万円を拠出する予定です。
(8)退職者に対する退職年金以外の給付債務および休職者に対する給付債務
当社の米国子会社は、適格退職者に対して健康保険および生命保険給付を行っています。さらに、トヨタは、雇用後で退職前の休職者等に対する給付を行っています。これらの給付は、様々な保険会社および健康保険提供機関等を通して行われます。これらの費用は、従業員として勤務する期間にわたって費用認識されます。これらの制度に関連するトヨタの債務額に重要性はありません。
(9)人件費
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間において、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれる人件費(退職後給付制度に係る費用を含む)は、それぞれ4,385,112百万円および4,794,497百万円です。
24.品質保証に係る負債
トヨタは、製品の販売の際に顧客との間で締結する保証約款に基づき、主に製造過程に起因する一定の欠陥に対して製品保証を行っています。トヨタは保証約款に従って、将来発生が見込まれる見積製品保証費用を製品保証に係る負債として計上しています。また、上記の製品保証に加えて、トヨタは製品の安全性確保の観点や顧客満足の立場から、欠陥品となることが予想される部品の修理や取替を行う、リコール等の市場処置を実施しています。製品のリコール等の市場処置に係る費用は、製品販売時点において過去の発生状況を基礎にして、リコール等の市場処理に係る負債として見積り計上しています。
これらの負債は、ともに製品の欠陥に起因する修理または取替に関するものであり、相互に関連するため、製品保証に係る負債およびリコール等の市場処置に係る負債を合算して品質保証に係る負債として表示しています。
品質保証に係る負債の増減の内訳は次のとおりです。
「その他」には主として外貨換算調整額および連結子会社の増減の影響が含まれています。
上記の品質保証に係る負債のうち、リコール等の市場処置に係る負債の増減の内訳は次のとおりです。
25.資本およびその他の資本項目
(1)資本管理
トヨタは、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、新たなモビリティ社会の実現に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて設備投資および研究開発活動を行い、持続的成長を続け企業価値の向上を目指します。トヨタはこれらの資金需要を自己資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で賄いますが、必要に応じて有利子負債で充当します。
自己資本および有利子負債の金額は次のとおりです。
(2)株式数
2024年3月31日および2025年3月31日現在における当社普通株式の授権株式総数は、50,000,000,000株です。
発行済普通株式数の変動内容は次のとおりです。
上記の発行済普通株式数に含まれる自己株式数は、2024年3月31日および2025年3月31日現在において、それぞれ2,840,815,433株および2,746,057,686株です。
(3)資本剰余金および利益剰余金
資本剰余金は、資本準備金およびその他の資本剰余金から構成されています。また、利益剰余金は利益準備金およびその他の利益剰余金から構成されています。日本の会社法の下では、当社および日本の子会社の実施した剰余金の配当により減少する剰余金の額の10%を、資本準備金または利益準備金として積立てることが要求されています。資本準備金と利益準備金の総額が資本金の25%に達した場合は、その後の積立ては要求されていません。また、当社および日本の子会社の利益準備金はその使用を制限されており、分配可能額の計算上控除されます。
2024年3月31日および2025年3月31日現在の当社の分配可能額は、それぞれ16,723,895百万円および18,333,862百万円です。日本での会計慣行に従い、期末の剰余金処分はその期間の財務諸表には計上されず、その後取締役会により決議された事業年度において計上されることになります。
2025年3月31日現在の利益剰余金には、持分法適用関連会社または共同支配企業の未分配利益に対するトヨタの持分相当額3,751,118百万円が含まれています。
(4)自己株式
自己株式の取得、処分および消却は次のとおりです。
2024年3月31日に終了した1年間
自己株式の取得
①2023年5月10日開催の取締役会において決議された自己株式取得
自己株式の取得を行った理由
足元の株価水準等を勘案し、これまで以上に機動的に実施することで、資本効率向上を図るため。
取得に係る事項の内容
取得した普通株式数 :64,590,700株
株式の取得価額の総額 :150,000百万円
②2023年11月1日開催の取締役会において決議された自己株式取得
自己株式の取得を行った理由
足元の株価水準等を勘案し、これまで以上に機動的に実施することで、資本効率向上を図るため。
取得に係る事項の内容
取得した普通株式数 :26,880,600株
株式の取得価額の総額 :81,037百万円
2025年3月31日に終了した1年間
自己株式の取得
①2023年11月1日開催の取締役会において決議された自己株式取得
自己株式の取得を行った理由
足元の株価水準等を勘案し、これまで以上に機動的に実施することで、資本効率向上を図るため。
取得に係る事項の内容
取得した普通株式数 :5,216,600株
株式の取得価額の総額 :18,962百万円
②2024年5月8日および2024年9月24日開催の取締役会において決議された自己株式取得
自己株式の取得を行った理由
足元の株価水準等を勘案し、これまで以上に機動的に実施することで、資本効率向上を図るため。
取得に係る事項の内容
取得した普通株式数 :420,633,175株
株式の取得価額の総額 :1,160,051百万円
自己株式の消却
2024年5月8日開催の取締役会において決議された自己株式消却
自己株式の消却を行った理由
将来の自己株式の処分による株式価値の希薄化の懸念を軽減するため
消却に係る事項の内容
消却した普通株式数 :520,000,000株
(5)その他の資本の構成要素
その他の資本の構成要素の変動は次のとおりです。
(6)その他の包括利益
その他の包括利益の内訳と対応する税効果額(非支配持分を含む)は次のとおりです。
(7)配当金
配当金支払額は、次のとおりです。
2024年3月31日に終了した1年間
2025年3月31日に終了した1年間
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が当連結会計年度末日後となるものは、次のとおりです。
26.営業収益
(1)事業・商品別内訳
外部顧客向け営業収益の事業別・商品別内訳は次のとおりです。
商品・製品売上収益のほとんどが、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、IFRS第15号という。)に基づく顧客との契約から認識した収益であり、当該収益にかかる債権については、「営業債権及びその他の債権」として認識しています。
金融事業に係る金融収益に含めて計上されているリースに係る収益の内訳は、次のとおりです。
金融事業に係る金融収益は、リースに係る収益以外に、主に実効金利法を用いて計算した利息収益で構成されていますが、重要性はありません。
なお、金融事業に係る金融収益のうち、IFRS第15号に基づく顧客との契約から認識した収益は、2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間において、それぞれ187,035百万円および207,154百万円です。
(2)契約負債
契約負債の内訳は次のとおりです。
契約負債は、主として顧客からの前受金に関するものです。連結財政状態計算書上、契約負債は「その他の流動負債」および「その他の非流動負債」に含めて計上しています。2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間において、期首現在の契約負債から営業収益に振り替えられた金額は、それぞれ577,917百万円および748,193百万円です。
(3)履行義務
2024年3月31日および2025年3月31日現在において、当初の予想期間が1年を超える契約における、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額は、それぞれ1,038,630百万円および1,156,410百万円です。残存履行義務の主な内容は、保険収入およびメンテナンス収入です。
保険収入については、契約開始時に契約上決定された支払いを受け、契約期間である3ヶ月から120ヶ月にわたり繰り延べられ、その後契約期間にわたり収益として認識されます。2024年3月31日現在における保険収入に関する残存履行義務は433,218百万円であり、2025年3月期に125,303百万円、残りの期間で307,914百万円収益として認識されると見込んでいます。2025年3月31日現在における保険収入に関する残存履行義務は463,707百万円であり、2026年3月期に135,282百万円、残りの期間で328,425百万円収益として認識されると見込んでいます。
メンテナンス収入については、契約開始時に契約上決定された支払いを受け、契約期間である18ヶ月から84ヶ月にわたり繰り延べられ、その後契約期間にわたり収益として認識されます。
なお、当初の予想期間が1年以内の商品・製品売上収益に関する契約については開示を省略しています。
27.研究開発費
研究開発費の内訳は次のとおりです。
28.その他の金融収益およびその他の金融費用
その他の金融収益およびその他の金融費用の内訳は次のとおりです。
(注)「その他の金融収益-その他」には、主として有価証券売却益が含まれています。
「その他の金融費用-その他」には、主として有価証券評価損が含まれています。
29.1株当たり情報
基本的および希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益の差異の調整は次のとおりです。
1株当たり親会社の所有者に帰属する持分は次のとおりです。なお、1株当たり親会社の所有者に帰属する持分は、連結財政状態計算書の親会社の所有者に帰属する持分を期末発行済普通株式数(自己株式を除く)で除すことにより計算しています。
30.契約上のコミットメントおよび偶発債務
(1)契約上のコミットメント
2024年3月31日および2025年3月31日現在の有形固定資産およびその他の資産ならびにサービスの購入に係る契約上のコミットメントは、それぞれ4,712,085百万円および3,807,743百万円です。
トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。購入量が一定数量または最低数量に満たない場合、契約に基づいて仕入先に不足額を支払う義務が生じる可能性があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。
(2)保証債務
トヨタは、トヨタの製品販売にあたり、販売店と顧客が締結した割賦契約について、販売店の要請に応じ顧客の割賦債務の支払いに関し保証を行っています。保証期間は2025年3月31日現在において1ヶ月から8年にわたっており、これは割賦債務の弁済期間と一致するよう設定されていますが、一般的に、製品の利用可能期間よりも短い期間となっています。顧客が必要な支払いを行わない場合には、トヨタに保証債務を履行する責任が発生します。
将来の潜在的保証支払額は、2024年3月31日および2025年3月31日現在、最大でそれぞれ3,310,990百万円および2,314,927百万円です。トヨタは、保証債務の履行による損失の発生に備え未払費用を計上しており、2024年3月31日および2025年3月31日現在の残高は、それぞれ11,851百万円および8,917百万円です。保証債務を履行した場合、トヨタは、保証の対象となった主たる債務を負っている顧客から保証支払額を回収する権利を有します。
(3)リコール等の市場処理、損害賠償および訴訟等
トヨタと他の自動車メーカーは、タカタ製エアバッグ問題に関し集団訴訟を提起されており、トヨタに対してはブラジル、アルゼンチンにおいて係属中です。
トヨタは、オーストラリアにおいて、特定の車両モデルの排ガス浄化フィルターに欠陥があるとの主張に基づく経済的損失に関する集団訴訟で被告として名前を挙げられています。2022年4月7日に一審、2023年3月27日に控訴審、また2024年11月6日に最高裁において、特定の車両モデルに関する車両価値毀損等を認める判決を受けました。併せて、最高裁は、車両価値毀損の具体的な算定については、一審に差し戻しの上、再審理と決定しました。なお、それ以外の経済的損失については引き続き一審で係争中です。トヨタは、本件の結果として連結財務諸表に計上すべき引当金を算定する際に、当訴訟の法的および事実上の状況、控訴審および最高裁の判決内容、弁護士の見解等の様々な要素を考慮しています。当訴訟に関わる発生可能性の高い経済的便益の流出の見積りは、トヨタの連結の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローにとって重要ではありません。ただし、現時点で、最終的な結果とそれに伴う金銭的負担を確実に予測することはできません。
2020年4月、トヨタは、タイ子会社に関する贈賄禁止違反の可能性について米国証券取引委員会および司法省に報告し、調査に協力してきました。2025年6月、米国司法省はトヨタに対し本件調査を終了することを通知しました。本件に関する調査の結果、罰則、罰金、その他の制裁を課せられ、または訴訟を提起される可能性があります。現時点で、本件の範囲、期間、結果を予測することはできません。
トヨタは、当連結会計年度において、子会社の日野自動車㈱におけるエンジンの認証問題にかかる損失として、米国当局との認証問題に関する和解に伴う費用、カナダおよびオーストラリア訴訟の和解金等を、現時点でトヨタとして合理的に見積り可能と判断した範囲で、売上原価並びに販売費及び一般管理費に281,140百万円計上しました。
この他にも、トヨタに対して、知的財産訴訟や、米国における人身傷害や死亡に関わる訴訟および請求を含む、様々な訴訟や請求があり、また、トヨタは行政調査の対象となる場合もあります。
トヨタは、上述の訴訟等に関して見積計上した金額以上の合理的な可能性がある損失の範囲を現時点で予測することはできません。その理由は以下のとおりです。(1)多くの訴訟手続が証拠収集の段階にあること、(2)関連する多くの事実関係が確定される必要があること、(3)申し立ての法的根拠および性質が不明であること、(4)申し立てや上訴に対する今後の裁判所の判断が不明であること、(5)同種の他の案件の結果が様々で、意味ある指針となるような十分な類似性を見出せないことによります。そのため、解決のため協議を行っているこれらの訴訟および調査等の結果により、見積計上した金額以上の損失が生じた場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の大部分の従業員は労働協約のもとで勤務していますが、現行の協約の有効期限は2027年8月31日に終了する予定です。
31.企業集団の構成
(1)主要な子会社
当社の主要な子会社は次のとおりです。
トヨタにおいては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。
自動車は、当社、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、国内では一部生産委託をしています。海外においてはトヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、当社ほかで製造しています。これらの製品は、国内ではトヨタモビリティ東京㈱等の販売店、海外においては、米国トヨタ自動車㈱等の販売店を通じて販売しています。
金融事業は、国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外ではトヨタ モーター クレジット㈱等が販売金融サービスを提供しています。
その他の事業では、主に情報通信事業等を行っています。
(2)ストラクチャード・エンティティ
① 連結しているストラクチャード・エンティティ
トヨタは特別目的事業体を通じて証券化取引を行っています。証券化取引に伴い金融事業に係る債権および賃貸用車両を特別目的事業体に売却していますが、当該事業体の重要な関連する活動を指図する能力および重要な変動リターンに対するエクスポージャーを有しているため、トヨタが連結しています。
なお、当該事業体の債権者は、トヨタが支払保証を供与している債務を除き、トヨタの債権一般に対して遡及権を有しません。これらの信用、金利、早期返済に係るリスクは証券化取引を行う前と比べて増加するものではありません。
トヨタは、投資信託およびその他の特別目的事業体に対する持分を有しています。トヨタが投資する投資信託のうちの一部については、トヨタが重要な利益や損失を負担する可能性があり、資産管理者を通じて当該投資信託の活動を指示する権限を有しているため、連結しています。
2024年3月31日および2025年3月31日現在、トヨタの連結財務諸表上、証券化取引に関して、それぞれ金融事業に係る債権6,257,786百万円および7,280,835百万円、ならびに担保付きの借入金6,371,509百万円および7,486,241百万円が計上されています。
② 連結していないストラクチャード・エンティティ
その他の投資信託およびその他の特別目的事業体はその活動が契約上の取り決めによって指図され、支配の決定に際して議決権が決定的な要因とならないよう設計されています。したがって、ストラクチャード・エンティティに該当しますが、トヨタは、当該ストラクチャード・エンティティの活動を指図する権限を有していないため、連結していません。当該投資信託およびその他の特別目的事業体への投資は、公正価値で測定され、連結財政状態計算書上の「その他の金融資産」に含まれています。想定最大損失額は、当該投資信託およびその他の特別目的事業体の帳簿価額に限定され、2024年3月31日において当該投資信託で92,875百万円および当該その他の特別目的事業体で1,911,621百万円、2025年3月31日において当該投資信託で167,038百万円および当該その他の特別目的事業体で2,517,967百万円です。トヨタは当該投資信託およびその他の特別目的事業体に対し、契約外の支援は行っていません。
32.関連当事者との取引
(1)関連会社および共同支配企業との取引
関連会社および共同支配企業に対する債権債務残高および取引高は次のとおりです。
関連会社および共同支配企業からの配当金は、2024年3月31日および2025年3月31日に終了した各1年間において、それぞれ460,008百万円および502,793百万円です。なお、トヨタは、通常の業務上行う取引以外に、関連会社および共同支配企業との取引を行っていません。
(2)主要な経営幹部に対する報酬
当社の取締役および監査役に対する報酬は次のとおりです。
33.キャッシュ・フローに関する補足情報
2024年3月31日および2025年3月31日に終了した1年間における投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」には、定期預金の純増減額(△は増加)がそれぞれ△1,395,707百万円および△666,401百万円含まれています。
34.重要な後発事象
(1)豊田自動織機との資本関係の見直しについて
当社は、2025年6月3日付の取締役会の決議に代わる書面決議により、トヨタ不動産株式会社(以下、トヨタ不動産という。)との間で、当社の持分法適用関連会社である株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機という。)の普通株式の売却、トヨタ不動産が今後設立する株式会社(以下、豊田自動織機買付者親会社という。)が発行する優先株式の第三者割当増資による引受け、および当社が自己株式公開買付けを実施すること等に関する基本契約(以下、基本契約に定めた一連の取引を本取引という。)を締結することを決定し、同日付で基本契約を締結しました。
本取引の目的および概要
豊田自動織機買付者親会社がその発行済株式を全て所有する予定の株式会社による豊田自動織機株式の公開買付け(以下、豊田自動織機公開買付けという。)を実施する予定ですが、その資金協力として、当社は、豊田自動織機公開買付けの成立後豊田自動織機公開買付けの決済時までの期間において、豊田自動織機買付者親会社が発行する優先株式(無議決権株式であり、かつ普通株式への転換権が付されていない種類株式です。)を第三者割当増資(以下、本優先株式出資という。)(注)により引受ける予定です。また、豊田自動織機公開買付けを含む豊田自動織機株式を非公開化するための一連の手続の完了後、豊田自動織機によって実施される自己株式取得にて、当社が所有する豊田自動織機株式74,100,604株の全てを売却する予定であり、これらの2025年3月末時点の持分法で会計処理されている投資は670,584百万円です。これにより、当社は豊田自動織機株式を売却することで、豊田自動織機は当社の持分法適用関連会社であるトヨタ不動産の連結子会社となる予定です。
また、当社は、豊田自動織機公開買付けの成立及び決済の完了後、豊田自動織機が所有する当社普通株式1,192,330,920株を買付予定数とした自己株式公開買付けを実施する予定です。
(注) 本優先株式出資は7,060億円を予定しています。
自己株式の取得、自己株式の公開買付けおよび消却
当社は、2025年6月3日付の取締役会の決議に代わる書面決議により、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式の取得およびその具体的な取得方法として自己株式の公開買付け(以下、本自己株式公開買付けという。)を行う予定であることを決定いたしました。
また、上記書面決議により、本自己株式公開買付けによる自己株式取得に係る事項を決定するとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式を消却することを決定いたしました。
本自己株式公開買付けは、買付予定数を超えた応募がなされた場合には、あん分比例により単元調整した結果、買付予定数を上回る株式が買付対象となる可能性があることから、買付予定数に1単元(100株)を加算した1,192,331,020株を上限とし、豊田自動織機公開買付けが成立し、その決済が完了した場合には、当社の取締役会において本自己株式公開買付けの実施が決議されることを条件として、その後実務上可能な限り速やかに実施する予定です。本日現在、当社は、2026年1月中旬を目途に本自己株式公開買付けを開始することを予定しています。
本自己株式公開買付けの決済が完了した日が含まれる四半期の末日に1,200,000,000株を消却することを予定しています。
(2)三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱の経営統合に関する最終契約の締結について
当社は2025年6月10日、ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱との間で、三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱を統合する最終契約を締結しました。
本経営統合の効力発生日(2026年4月1日を予定)において、日野自動車㈱は当社の連結子会社から除外される予定です。
なお、本経営統合による連結財務諸表への影響は現在算定中です。
(2)【その他】
当連結会計年度における半期情報等
2【財務諸表等】
(1)【財務諸表】
①【貸借対照表】
②【損益計算書】
③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
1 資産の評価基準及び評価方法
(1)有価証券の評価基準及び評価方法
子会社株式及び関連会社株式………………………移動平均法による原価法
その他有価証券
(2)棚卸資産の評価基準及び評価方法
2 有形固定資産の減価償却の方法………………………定率法
3 引当金の計上基準
(1)貸倒引当金
売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績に基づく繰入率のほか、債権の回収の難易などを検討して計上しています。
(2)製品保証引当金
製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款および法令等に従い、過去の実績を基礎にして計上しています。
(3)退職給付引当金
従業員(既に退職した者を含む)の退職給付に備えるため、期末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき、期末において発生していると認められる額を計上しています。
4 収益及び費用の計上基準
自動車事業では、完成車両および部品は、原則として販売代理店に対して販売代理店と合意した場所において製品を引き渡した時点で、生産用部品は、原則として製造会社に対して製品を船積みもしくは引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断しています。対価については、販売時点またはその直後に支払いを受けており、重要な支払条件はありません。
当社の販売奨励プログラムは、主に、販売代理店が特定期間に販売した車両総台数もしくは特定のモデルの販売台数に基づいて算定される販売代理店への現金支払の形態をとっています。当社は、プログラムで定める車両の販売時に、最頻値法を用いて、これらの販売奨励金をプログラムで定める金額だけ売上から控除しています。
特定の完成車両の販売には、顧客が無償メンテナンスを受ける契約上の権利が含まれています。当該履行義務の独立販売価格は、観察可能な価格を用いて、それが利用可能でない場合は予想コストにマージンを加算するアプローチを用いて算定しています。この無償メンテナンス契約による収益は繰り延べられ、契約に基づく履行義務を充足する際に発生する費用に応じて、契約期間にわたり収益として認識されます。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度にかかる財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度にかかる財務諸表に重要な影響を与える可能性のあるものは、以下のとおりです。
1 品質保証に係る負債
(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額
(単位:百万円)
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
金額の算出方法は、「連結財務諸表注記3(13)、24」に記載した内容と同一です。
2 非金融資産の減損
(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額
(単位:百万円)
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
金額の算出方法は、「連結財務諸表注記3(10)、12」に記載した内容と同一です。
3 退職給付に係る負債
(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額
(単位:百万円)
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
金額の算出方法は、「連結財務諸表注記23」、財務諸表「注記事項(重要な会計方針)3(3)」に記載した内容と同一です。
4 繰延税金資産の回収可能性
(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額
(単位:百万円)
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
金額の算出方法は、「連結財務諸表注記3(15)、15」に記載した内容と同一です。
(会計方針の変更)
法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準等の適用
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日)等を当事業年度の期首より適用し、株主資本等に計上される取引または事象にかかる税金費用の計上区分を損益から株主資本等に変更しています。「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱いに従って、当事業年度の期首において、株主資本等に計上される取引または事象にかかる税金費用の計上区分を損益から株主資本等に変更したことに伴う影響額を繰越利益剰余金に加減しています。この結果、当事業年度の期首の繰越利益剰余金が73,903百万円増加しています。なお、当事業年度の損益計算書に与える影響は軽微です。
(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対する金銭債権又は金銭債務
※2 消費貸借契約により貸し付けている有価証券及び投資有価証券
(損益計算書関係)
※1 関係会社との取引
(注)当事業年度の営業外費用には、移転価格税制に関する当社の米国子会社との調整金1,003,557百万円が含まれます。
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額並びにおおよその割合
※3 固定資産処分損
(有価証券関係)
子会社株式および関連会社株式
前事業年度末(2024年3月31日)
当事業年度末(2025年3月31日)
(注)市場価格のない株式等の子会社株式および関連会社株式の貸借対照表計上額
前事業年度末(2024年3月31日)
当事業年度末(2025年3月31日)
これらについては、市場価格がないため、「子会社株式および関連会社株式」には含めていません。
(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間の差異の内訳
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、グループ通算制度を適用しています。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号 2021年8月12日)に従って、法人税および地方法人税ならびに税効果会計の会計処理および開示を行っています。
4 法人税等の税率変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
「所得税法等の一部を改正する法律」が2025年3月31日に国会で成立したことに伴い、当事業年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用した法定実効税率は、2026年3月31日までに回収又は支払が見込まれるものについてはこれまで通り30.06%、2026年4月1日以降に回収又は支払が見込まれるものについては30.96%に変更されています。
その結果、繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)が3,249百万円減少し、当事業年度に計上された法人税等調整額が17,578百万円、その他有価証券評価差額金が20,827百万円、それぞれ減少しています。
(重要な後発事象)
1 豊田自動織機との資本関係の見直しについて
当社は、2025年6月3日付の取締役会の決議に代わる書面決議により、トヨタ不動産株式会社(以下、トヨタ不動産という。)との間で、当社の持分法適用関連会社である株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機という。)の普通株式の売却、トヨタ不動産が今後設立する株式会社(以下、豊田自動織機買付者親会社という。)が発行する優先株式の第三者割当増資による引受け、および当社が自己株式公開買付けを実施すること等に関する基本契約(以下、基本契約に定めた一連の取引を本取引という。)を締結することを決定し、同日付で基本契約を締結しました。
本取引の目的および概要
豊田自動織機買付者親会社がその発行済株式を全て所有する予定の株式会社による豊田自動織機株式の公開買付け(以下、豊田自動織機公開買付けという。)を実施する予定ですが、その資金協力として、当社は、豊田自動織機公開買付けの成立後豊田自動織機公開買付けの決済時までの期間において、豊田自動織機買付者親会社が発行する優先株式(無議決権株式であり、かつ普通株式への転換権が付されていない種類株式です。)を第三者割当増資(以下、本優先株式出資という。)(注)により引受ける予定です。また、豊田自動織機公開買付けを含む豊田自動織機株式を非公開化するための一連の手続の完了後、豊田自動織機によって実施される自己株式取得にて、当社が所有する豊田自動織機株式74,100,604株の全てを売却する予定であり、これらの2025年3月末時点の帳簿価額は51,313百万円です。これにより、当社は豊田自動織機株式を売却することで、豊田自動織機は当社の関連会社であるトヨタ不動産の子会社となる予定です。
また、当社は、豊田自動織機公開買付けの成立および決済の完了後、豊田自動織機が所有する当社普通株式1,192,330,920株を買付予定数とした自己株式公開買付けを実施する予定です。
(注) 本優先株式出資は7,060億円を予定しています。
自己株式の取得、自己株式の公開買付けおよび消却
当社は、2025年6月3日付の取締役会の決議に代わる書面決議により、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式の取得及びその具体的な取得方法として自己株式の公開買付け(以下、本自己株式公開買付けという。)を行う予定であることを決定いたしました。
また、上記書面決議により、本自己株式公開買付けによる自己株式取得に係る事項を決定するとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式を消却することを決定いたしました。
本自己株式公開買付けは、買付予定数を超えた応募がなされた場合には、あん分比例により単元調整した結果、買付予定数を上回る株式が買付対象となる可能性があることから、買付予定数に1単元(100株)を加算した1,192,331,020株を上限とし、豊田自動織機公開買付けが成立し、その決済が完了した場合には、当社の取締役会において本自己株式公開買付けの実施が決議されることを条件として、その後実務上可能な限り速やかに実施する予定です。本日現在、当社は、2026年1月中旬を目途に本自己株式公開買付けを開始することを予定しています。
本自己株式公開買付けの決済が完了した日が含まれる四半期の末日に1,200,000,000株を消却することを予定しています。
2 三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱の経営統合に関する最終契約の締結について
当社は2025年6月10日、ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱との間で、三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱を統合する最終契約を締結しました。
本経営統合の効力発生日(2026年4月1日を予定)において、日野自動車㈱は当社の子会社ではなくなる予定です。
なお、本経営統合による財務諸表への影響は現在算定中です。
④【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
(単位:百万円)
(注)1 当期増加額のうち主なものは以下のとおりです。
2 当期減少額のうち主なものは以下のとおりです。
【引当金明細表】
(単位:百万円)
(2)【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しています。
(3)【その他】
該当事項はありません。
第6 【提出会社の株式事務の概要】
(注)当社の株主は、その有する単元未満株式について、会社法第189条第2項各号に掲げる権利以外の権利を行使することができません。
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は、親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
(1)当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、提出した書類
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しています。
(2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
連結子会社のうち、主要な連結子会社以外のものにかかる管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、次のとおりです。
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。
