第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
(1)連結経営指標等
(注)1.国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。「1株当たり当社の株主帰属持分」、「基本的1株当たり当期利益」及び「希薄化後1株当たり当期利益」につきましては、2020年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
4.売上収益につきまして、2023年度より当該項目から製品譲渡に係る収益を除外しております。また、製品譲渡に係る収益に関連するキャッシュ・フローは、従来の「営業活動によるキャッシュ・フロー」から、「投資活動によるキャッシュ・フロー」へ変更しております。これに伴い2022年度の実績も同様に組替えて表示しております。
(2)提出会社の経営指標等
(注)1.提出会社の財務諸表は日本基準に基づいて作成しております。
2.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年度の期首から適用しており、2022年度以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。「1株当たり純資産額」、「1株当たり当期純利益金額」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額」につきましては、2020年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
5.1株当たり配当額は、2020年度の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して中間配当額を25円、期末配当額を30円とし、年間配当額55円として記載しております。
6.株主総利回りの記載にあたっては、株式分割を考慮した株価を使用して算定しております。
7.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、2020年度の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、括弧内に分割前の株価を記載しております。
8.売上高につきまして、2023年度より当該項目から製品譲渡に係る収益を除外しております。これに伴い2022年度の実績も同様に組替えて表示しております。
2【沿革】
3【事業の内容】
当企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、子会社15社及び親会社の子会社2社により構成されており、主な事業内容と企業集団を構成する各会社の当該事業に係る位置づけの概要は次のとおりであります。
医薬品事業18社
国内事業:当社が製造した医薬品を、全国の特約店を通じて販売しております。製造については、一部医薬品の原材料をエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド[本社:スイス]から購入しております。また、中外製薬工業㈱及びジェネンテック・インコーポレーテッド[本社:米国]に医薬品の製造を委託しております。研究業務については、㈱中外医科学研究所に医薬品の研究業務の一部を委託しており、また同社に研究用施設等の管理業務を委託しております。
開発業務については、㈱中外臨床研究センターに臨床開発業務の一部を委託しております。
また、中外製薬ビジネスソリューション㈱は当社の事務処理業務を請け負っております。
海外事業:欧州では、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが販売統轄会社として位置づけられております。
エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドが当社一部製品を輸入し販売しております。
欧州において、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド及び中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッドが英国における販売活動を、中外ファーマ・フランス・エスエーエスが欧州における輸入販売及びフランスにおける販売活動を、中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチがドイツにおける販売活動を行っております。
台湾において、台湾中外製薬股份有限公司が医薬品の販売を行っております。中国においては、日健中外製薬有限公司が医薬品の販売を行い、医薬品学術情報を提供しております。また、泰州日健中外製薬工業有限公司が医薬品の生産を行っております。
海外での研究開発活動は、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)及び台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究を行っております。
また、中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー(米国)がスタートアップへの投資活動を行っております。
企業集団の関係概要図は次のとおりであります。
2024年12月31日現在

・子会社のうち、上場している会社はありません。
・2024年3月に中外ファーマ・フランス・エスエーエスと中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスを、前者を存続会社として統合しております。
4【関係会社の状況】
(注)1.連結子会社の主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.議決権に対する所有(又は被所有)割合の[ ]内は、間接所有割合で内数であり、小数点第3位以下を切り捨てて記載しております。
3.上記のうち、中外製薬工業株式会社は特定子会社に該当しております。
4.2024年3月に中外ファーマ・フランス・エスエーエスと中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスを、前者を存続会社として統合しております。
5.上記のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社、及び連結財務諸表に重要な影響を与えている債務超過の状況にある会社はありません。
6.親会社の所有関係は次のとおりであります。(参考:アライアンス基本契約等については、「第2 事業の状況 5.経営上の重要な契約等(1)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンス」をご参照ください。)

5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2024年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社グループは、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、グループ全体での従業員数を記載しております。
(2)提出会社の状況
2024年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社は、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、当社全体での従業員数を記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループには、当社及び国内関係会社(株式会社中外医科学研究所、株式会社中外臨床研究センター、中外製薬工業株式会社、中外製薬ビジネスソリューション株式会社)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2024年12月末現在の組合員数は4,727名であります。労使は、相互信頼をベースとした協力的な関係を維持しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
<男女の賃金差異について>
・当社は、年齢・属性に捉われず誰もが活躍でき、役割・成果に応じたメリハリのある評価・処遇を実現することを目指した人事制度を導入しており、処遇は男女同一であり、現在生じている賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものです。
・管理職においては、職務等級制度導入により、ポジションに基づき賃金が決まることから、93.7%と平均年間賃金の差異は小さく、役職の各階層においては90%を超える水準となっています。
・一般職の賃金差異(85.0%)の主な要因は、ライフイベントによる男女の育児休業・育児短時間勤務取得状況の差や、時間外勤務手当等の差異によるものです。特に、育児休業・短時間勤務取得者の割合が多いG3(86.1%)においては、その影響が大きく現れています。当社では、男性の育児参画に向け、育児休業の長期取得に関する目標を設定すると共に、継続的に意識啓発や環境整備に取り組んでおり、男性の育休取得平均日数は増加しています。(2023年:21.4日⇒2024年:31.5日)
・差異の解消に向けては、女性マネジャーの積極的な登用やキャリア形成支援等、継続的に女性活躍推進の取り組みに注力しています。女性活躍推進の目標及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
・2025年から導入した新人事制度では、既に管理職に導入済みの職務等級制度を一般社員にも拡大し、ジョブポスティングの仕組みと組み合わせることで、社員が年齢や属性に関係なく、自らのキャリアをデザインし、その実現に向け、より挑戦できる環境を整備しました。
(注)1.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。
2.マネジャーに占める女性労働者の割合(%)は、部下のいる管理職(マネジャー)、プロジェクトリーダー、高度専門職等のポジションを担う者であり、当社基準で算出しています。対象は中外製薬株式会社及び連結子会社を含めた人数です。
3.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。
4.男性労働者の育児休業取得日数(日)は、「公表前事業年度に復職した労働者の平均育児休業取得日数」を算出しています。
分子:公表前事業年度に育児休職を終了し、復職した労働者の合計育児休業取得日数(日)、分母:当該育児休業取得人数(人)
5.労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。
・育児休業取得者、短時間勤務者(パートタイマ―を含む)の労働時間の補正は行っていません。
・一般職には4つの等級(G1~G4)があります。
・その他雇用労働者は、契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーです。
・2024年内の海外勤務者、及び入社者(キャリア入社者、新卒入社者、転籍者)は含めていません。
・2024年12月末付の労働者数に基づき算出しています。
② 連結子会社
<男女の賃金差異について>
・各グループ会社における男女の賃金差異に関する理由・背景については、上記の中外製薬株式会社と同様です。
(注)6.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。
7.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。
8.労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。
・育児休業取得者、短時間勤務者(パートタイマ―を含む)の労働時間の補正は行っていません。
・その他雇用労働者は、契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーです。
・2024年内の海外勤務者、及び入社者(キャリア入社者、新卒入社者、転籍者)は含めていません。
・2024年12月末付の労働者数に基づき算出しています。
第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることをEnvisioned Future(目指す姿)に掲げています。社会との共有価値を創造し、社会とともに発展することを経営の基本方針として、患者中心の高度で持続可能な医療の実現に向けた価値創造の枠組みを価値創造モデルとして整理しています。
当社グループは経営の基本方針のもと、共有価値創造の源泉となる要素を整理した上で、重点的に取り組むべき事項を重要課題(マテリアリティ)として策定しています。2024年には総合的な見直しを実施した上で、重点的に取り組むべき16項目を特定しました。重要度の評価においては、「環境や社会が企業に与える影響(財務マテリアリティ)」と、「企業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ)」のダブルマテリアリティの観点で精査しています。
ロシュとの戦略的アライアンスに加え、独自のサイエンス力と技術力に基づき、革新的な創薬を柱とするイノベーションに集中することで、Envisioned Future(目指す姿)でも掲げる「持続可能な医療」を始め、ESGやSDGsに代表される社会課題解決をリードする、世界のロールモデルになることを目指しています。
その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っています。
こうした活動は、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しています。
(2)目標とする経営指標
当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、革新的な新薬の創出に優先的に経営資源の配分を行っています。長期にわたる投資効率の指標としてCore ROICを重点的に管理するとともに、短中期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めています。そして、個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行い、収益性と効率性を重視した意思決定を行っています。
当社は、2021年に成長戦略「TOP I 2030」(後述)を策定し、「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という目標の達成を目指して取り組んでいます。「TOP I 2030」の推進にあたり、中期(3年)経営計画を廃止し、長期目標からバックキャストして現状とのギャップを埋めるための中間(3~5年後)目標を中期マイルストンとして設定・管理しています。これにより、計画の進捗や環境変化に応じてアジャイルかつ柔軟に軌道修正を図りながら、長期的な目標達成を目指しています。中期マイルストンの進捗や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて中長期的な事業活動の進捗の状況を開示し、その達成に向けた道筋を示すとともに、引き続き、単年度業績予想の公表や各説明会等の場で経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告してまいります。
(3)環境認識と対処すべき課題
世界には、未だ治療法のない疾患が数多くあります。加えて、世界人口の増加と各国における高齢化進展に伴い、医薬品への期待・ニーズは一層高まっています。また、ライフサイエンスや生成AI等のデジタル技術の飛躍的な進歩によって、異業種も含めた医療課題解決に向けたイノベーション創出機会が拡大しています。一方、各国において医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策はますます厳しくなり、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の流れは着実に加速しています。また、デジタルをはじめとする多様なプレーヤーがヘルスケア領域に参入することで、既存業界の枠を超えた競争もこれまで以上に熾烈化してきています。加えて、地政学リスクやエネルギー価格、インフレ等による事業運営の不確実性の高まりとともに、地球環境保全や情報セキュリティ対策等、事業運営にあたり取り組むべき課題自体も広範になっております。
そのような中、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、「イノベーションの追求」であると考えています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療の実現に向けて、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメットメディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらに、ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、従来の創薬力にとどまらない能力を獲得・強化することが競争優位性を確保する鍵となります。また、グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の経営環境が厳しさを増す中、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められています。
当社グループは、独自のサイエンス力と技術力、ロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルにより、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出しています。その結果、これまで6品目/9つのプロジェクトで当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど)が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)*」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けています。
今後も、革新的新薬をいち早く創出・患者さんにお届けすることで、当社の企業価値向上と社会課題解決を目指してまいります。
* 画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤または致命的な疾患や症状に対し、既存治療を上回る改善が期待される治療薬候補
(4)2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」
当社グループは、ミッションステートメントに掲げたEnvisioned Future(目指す姿)の実現を目指し、2030年に到達すべきトップイノベーター像を具現化するとともに、その実現に向けた成長戦略「TOP I 2030」を策定し、2021年から展開しています。2024年7月にはこれまでの進捗と成果について振り返り、戦略を精緻化しました。
2030年トップイノベーター像
1)「世界の患者さんが期待する」
世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出してくれる」と期待する会社
2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」
世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社
3)「世界のロールモデル」
サステナビリティを事業活動の中心に据え、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルである会社
「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」です。
独自のサイエンス力と技術力を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後10年間でさらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメットメディカルニーズに応えるソリューションを継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、現在のR&Dアウトプットを10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。
そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。特にデジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、一人ひとりの患者さんにとっての価値・製品価値の拡大を目指してまいります。
「TOP I 2030」では、戦略の二本柱を実現するための具体策として、「創薬」「開発」「製薬」「Value Delivery」の各バリューチェーンとそれを支える「成長基盤」を合わせた「5つの改革」を掲げています。
①創薬改革

創薬においてはR&Dプリンシプルに基づき、低分子・抗体など既存技術の革新に加え、中分子など新たなモダリティへの挑戦を通じて、従来は困難とされてきた標的へのアプローチや、現状の技術では対応困難な作用機序の実現を目指しています。また、有効性・安全性・DMPK*1・物性などあらゆる面で妥協のない高品質な開発候補分子の創出に取り組むことで、臨床開発における高い成功確率の実現に繋げてまいります。
私たちには国内アカデミアとのコラボレーションによって多くの医薬品を創製してきた歴史があり、現在は国内外のアカデミアやスタートアップとの連携にも積極的に取組んでいます。2024年1月からは米国を拠点とするコーポレートベンチャーキャピタルとして中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーも活動を開始し、自社単独での創薬にこだわるのではなく、外部の技術や標的をより積極的に探索し、自社の強みと融合させることで、創薬機会の拡大を目指します。未解決の医療ニーズに応え、治癒・早期介入・予防につながる革新的な創薬を追求し、患者さんのQOL向上に引き続き貢献してまいります。
*1:生体内における薬剤の挙動のこと(薬物代謝/薬物動態)
②開発改革

「TOP I 2030」の取り組みが進むにつれ、臨床へ移行するプロジェクトが増加していきます。臨床開発力とヒト予測力*2の融合による適切・迅速なGo/No-Go判断を行い、医薬品として実用化できる可能性が高いと判断された時点で、複数の適応症で同時開発を進め、プロジェクト全体の価値の早期最大化を目指します。また、より早期の段階からTrue endpoint*3の実証に取り組み、後期開発に繋げることで患者さんへの提供価値を最大化します。
後期開発においてはデジタル技術やリアルワールドデータ(RWD)を活用し、臨床試験のあり方そのものを見つめ直すことで、業界をリードする新規価値の創出と更なるオペレーションモデルの変革を図っています。さらにはロシュとの協働を通じて、開発戦略や試験計画への提言を行うことで成功確率の向上に寄与し、グローバルでの製品価値最大化にも貢献していきます。
これらの取り組みにより、プロジェクトの価値最大化と生産性向上を追求してまいります。
*2:ヒトの身体の中での薬の動態や生体反応をモデリング&シミュレーションすること
*3:患者さんのQOL向上に寄与する真の価値
③製薬改革

「R&Dアウトプット倍増」の目標に合わせて、中分子を始めとする新たな創薬アイディアを医薬品として患者さんへ届けるために、世界水準の製薬技術を追求します。創薬・早期開発~製薬の機能間連携を今まで以上に強化し、高活性かつ薬剤化することの難易度が極めて高い化合物の原薬・製造・分析技術を確立することで、生産体制を整えていきます。抗体分野においてもさらなる技術振興に取り組むことで、臨床開発品の選定から治験申請までの期間を短縮し、開発のスピードアップを実現します。
生産においては、デジタルやロボティクス活用を含めた生産技術力の強化によって効率化を図ると同時に、災害や地政学リスクに備え、頑健で競争力のある供給体制の構築に注力しています。スマートファクトリーの実現に向けた各種取り組みと、上市後CMO*4など外部パートナーとの協働を通じたデュアルサイト戦略を基本とし、必要な設備投資にも積極的に取り組むことで、安定供給とグローバル水準の品質実現を目指してまいります。
*4:医薬品製造受託機関(Contract Manufacturing Organization:CMO)
④Value Delivery改革

Value Delivery機能においては、これまで以上に「患者さん中心の最適な治療選択に貢献する迅速なエビデンス創出」と「革新的な顧客エンゲージメントモデル確立による高度な価値提供」を追求します。具体的には、ロシュやアカデミアとの協働を通じて質の高い臨床研究と製造販売後調査を実施し、市販後早期に価値の高いエビデンスを提供することを目指しています。また、非臨床・トランスレーショナルリサーチの知見を活用し、副作用リスクの予測や重篤化回避に取り組むなど、個々の患者さんに寄り添った適正使用の取組みを推進しています。
新たな顧客エンゲージメントモデルの確立においては、顧客との接点に劇的な変化が起こっている環境を踏まえ、リアル・リモート・デジタルを組み合わせたマルチチャネル戦略を展開しています。今後さらに多様化する顧客のニーズに合わせ、柔軟なアプローチを選択できる体制を構築し、価値提供の最適化を図ってまいります。
組織の効率化に向けては、優先的に資源投入すべき業務の洗い出しと、成長・新規領域への資源シフトを進めており、それを実現するために、成熟品を中心とした第三者への譲渡など、スリム化も継続して検討していきます。また、デジタル活用やアウトソーシング・業務集約など、これまでの慣習・プロセスに捉われない抜本的な変革を進めてまいります。
⑤成長基盤改革

各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支える「全社基盤」として、特に下記5つの領域を重点分野として継続強化に取り組んでまいります。
「人・組織」:
経営戦略に基づいた人財マネジメント方針の徹底を通じて、人的資本の強化を進めていきます。年齢・属性に拘わらずチャレンジを後押しする人事制度の運用を徹底するとともに、社員一人ひとりのキャリア開発を含めた自律的な学び/成長の支援、デジタル人財やサイエンス人財など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得や育成に注力します。また、イノベーションを生み出す組織風土構築に向けたD&Iの推進や、全従業員の健康を促進する施策などについてもより高いレベルを目指していきます。
「デジタル」:
CHUGAI DIGITAL VISION2030で掲げた「デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになる」に、継続して取り組みます。具体的には、デジタルを活用した革新的な新薬創出と全てのバリューチェーンの生産性向上に向け、各機能における最重要課題の解決に向けた共創の取組みを開始しています。
また、デジタル人財育成の強化及びビジネス価値向上に繋がるIT基盤の強化などを継続して推進し、イノベーション創出を支える全社基盤の構築を目指してまいります。
「サステナビリティ・環境」:
サステナビリティを事業活動の中心に据えた上で、高い目標である中期環境目標2030の達成を目指して努力を継続する事により、社会への環境負荷軽減を目指します。具体的には、CO2排出量やエネルギー消費量、フロン類使用量などの削減による「気候変動対策」、廃棄物排出量や水消費量の削減による「循環型資源利用」、有害廃棄物排出量の削減を通じた「生物多様性保全」などに継続して取り組んでいきます。また、環境に加えて、ガバナンス向上やそのための情報開示の充実なども進めてまいります。
「クオリティ」:
製品、情報、プロセスの質とそれを実現する人財により世界をリードし、中外クオリティを社外に対しても訴求・浸透させていきます。そのために、患者さんの期待に応える製品・サービスを確実に提供するとともに、質と効率を両立する先進的手法の獲得、パートナーとの協働を推し進めます。また、それら全てのベースとなる「クオリティカルチャー」を全てのバリューチェーンにおいて浸透させていきます。
「PHCソリュ―ション」:
患者さんのニーズは多様かつ高度化しており、革新的医薬品の創出と提供においては、その価値証明や治療効果を最大化するために、病態や治療効果を精緻に診断・測定することで、個々の患者さんに最適な治療を可能とする試みが今後ますます重要となっていきます。
インサイトビジネスの取り組みを通じて得られた知見を基に、PHCソリューションでは、医薬品価値証明の高度化及び最大化のためのグローバル提供体制の確立を目指しています。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。詳細につきましては当社ホームページをご参照下さい。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
中外製薬ウェブサイト「サステナビリティサイト」(2024年活動情報は2025年5月頃公開予定)
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/index.html
(1)サステナビリティ課題全般
① ガバナンス・リスク管理
当社のサステナビリティ全体の責任者は、取締役会ならびに経営会議の議長である代表取締役 CEO が担当しており、全社の経営戦略及び業務執行上の重要な意思決定は経営会議で行っています。また、執行面の責任については経営会議メンバー全員が関与・コミットする体制となっています。具体的かつ専門的な事案については、経営会議の諮問機関として四つの委員会が推進する体制となっています。地球環境保全をはじめとするサステナビリティ全体に関する事項の俯瞰的・統合的な方針や戦略の策定ならびに実行についてはサステナビリティ委員会、法令順守や各種コンプライアンスに関連することはコンプライアンス委員会、リスクマネジメントについてはリスク管理委員会、サステナビリティに関するコミュニケーションについては広報IR委員会で議論する体制となっています。各委員会の委員長は、いずれも経営会議のメンバーで構成されています。

② 戦略
当社は、サステナビリティを事業活動の中心に据えて社会課題の解決をリードし、その活動を通じて創出される価値をさまざまなステークホルダーと共有し、社会と共に発展する「共有価値の創造」を経営の基本方針としています。
私たちの掲げるミッションは「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献すること」です。そのミッションに基づき、私たちだからこそ生み出せるイノベーションで、「患者中心の高度で持続可能な医療」を実現することによって共有価値を創造します。この経営の基本方針に基づき、当社の価値創造のプロセス全体を表現したのが「価値創造モデル」です。

価値創造の源泉を活用しながら、サステナビリティを含む経営上の重要な課題を整理し、経営の方向性や方針を定める上での基軸(重要な要素)となるのがマテリアリティ(重要課題)です。当社は、2019年に初めてマテリアリティ(重要課題)を特定しました。以降、社内外との対話を通じ、社会からの期待・要望や戦略の進捗のもと、随時アップデートし、価値創造戦略の基盤として活用してきました。
2024年には、ダブルマテリアリティ(環境や社会が企業に与える影響(財務マテリアリティ)と企業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ))の考え方に基づき、リスクと機会を分析し、総合的にマテリアリティの見直しを行いました。見直しにあたり、医療関係者、患者団体、アカデミア、金融市場関係者、公益財団法人、NGOなど、幅広い外部ステークホルダーからの視点を積極的に取り入れると共に、事業活動を取り巻く将来の環境動向・リスクを踏まえ、当社が社会から期待され、求められている課題を網羅的に抽出しました。また、将来にわたる事業環境の展望・分析に加え、サステナビリティに関するグローバルなイニシアチブであるSDGs、GRI(Global Reporting Initiative)、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)などを活用したギャップ分析を実施し、当社が十分に満たせていない事項なども精査して取り入れ、マテリアリティを価値創造の方針を考える基軸ととらえ直し、従来の26項目から、16項目の重要課題を特定・集約しました。また、「Challenges」、「Co-creation」、「Commitments」という3つの軸によるストーリーとして整理しています。
「Challenges」として、独自のサイエンス力と技術力、新たな発想で、革新的な医薬品とサービスの創出へ挑戦します。その挑戦を支えるべく、「Co-creation」として、ロシュをはじめ多様なパートナーと真に求められている新しい価値を共創します。そして、「Commitments」として、持続可能な社会に向け、ヘルスケアを中心とした社会課題の解決に取り組み、誠実かつ先進的に行動します。これら3つの軸による価値創造を進めることにより、患者中心の高度で持続可能な医療を実現していきます。
これら重要課題を踏まえて、当社が中長期で目指す姿として、2030年のトップイノベーター像を策定し、その実現に向けた成長戦略として「TOP I 2030」を設定しています。成長戦略についての詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。

③ リスク
当社が考えるサステナビリティに関する主要なリスクについては、全社リスクマネジメントプロセスの中で可視化して、特定しています。当社ではリスクを、経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク)と事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク)に分類しています。その中でも、サステナビリティに関するリスクとしては、制度・規制・政策に関連するリスク、ITセキュリティ・情報管理に関するリスク、大規模災害、サプライチェーン、パンデミックなどの外部環境の動向に左右される事項、ならびに人権や地球環境問題などの企業市民としての社会的責任が大きい事項について、注視して取り組んでいます。
当社の考えるリスクの詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
④ 指標及び目標
当社では重要課題について、外部環境の変化や、戦略の進捗、社会からの要請を踏まえて定期的に見直しを行い、それらを加味した単年度計画を立案し、進捗を管理することで、機動的な戦略遂行・計画の修正を行っています。
また、経営の基本方針である「共有価値の創造」のプロセス全体を表現した価値創造モデルを策定しております。価値創造における重要指標についてモニタリングを加えた上で、戦略の進捗ならびに外部環境変化の評価に基づき、機動的な資源配分の見直しや経営計画の修正を行い、目指す姿の実現に向けてアジャイルな対応を図っています。
価値創造モデルにおいては、価値創造の源泉となる経営資源(資本)を整理しています。具体的には、①人財(人的資本)、②技術・知的財産(知的資本)、③ロシュや外部との協働(社会関係資本)、④製薬・設備(製造資本)、⑤環境・エネルギー(自然資本)、⑥財務・経営関連(財務資本)の6つを重要な源泉としており、それぞれに現状を定量・定性の両面から捉え、それを踏まえた重点テーマと課題を特定、認識し、対策を進めています。その中で、とりわけ重視しているのが、イノベーションを起こし、当社の価値創造の原動力となる人的資本と、事業を支える重要な基盤となる自然資本です。

(2)人的資本への取り組み
① 人財マネジメント方針
当社では、患者中心の高度で持続可能な医療の実現を目指す上でカギとなるのは「人財」だと考えています。イノベーションを起こすのは人財であり、社員一人ひとりが価値創造の原動力だからです。当社の成長戦略「TOP I 2030」で掲げる「R&D アウトプット倍増」、「自社グローバル品 毎年上市」という高い目標を達成するためには、今まで以上に人財の「個」の力を高める必要があると考えており、自律型人財、すなわち、会社のビジョンと、自身のパーパスをシンクロさせ、主体的に考えながら周囲を巻き込んで事業を推進できる人財の育成は極めて重要な課題と捉えています。そのような人財を「輝いている個」と定義し、輝いている個が増えイノベーションが生まれるよう、人財マネジメント方針に基づき様々な人事施策を講じています。特に、2025年1月からは新人事制度を導入し、ジョブ型人事制度の拡大やジョブポスティング制度の導入、高度専門ポジションの拡充、雇用上限年齢の撤廃を進めることで、「個」の成長・挑戦を一層加速させながら、3つの個(描く・磨く・輝く)を実現し、個が変わり(輝いている個の増加)、会社が変わり、ひいては中外グループ全体の成長に繋がることを目指しています。
② 人的資本の向上に向けた戦略
人財の価値を最大限に引き出すために、当社では人財マネジメント方針に基づき以下戦略を実行しています。
・個を描く
「社員一人ひとりがキャリアを描き、未来の自己実現と「TOP I 2030」とをシンクロさせる」ことをテーマに掲げ、次世代経営人財とサイエンス人財やデジタル人財等の高度専門人財の発掘・採用・育成に力を入れて取り組んでいます。本取り組みを通じて、志を持って挑戦し続ける人財、Core Valuesを体現する人財、主体性のある人財を増加させることを目指しています。社員が主体的にキャリアをデザインし、その実現に向けて成長・挑戦することを、より一層後押ししていきます。
・個を磨く
「社員の自主性を尊重し、社員が挑戦し、自律的な学びや専門性を強化する」ことをテーマに掲げて、イノベーションを生み出すためには、個々のスキルアップと社員の挑戦を後押しする仕組みが不可欠です。成長実感を促す人財育成、社外ネットワーク機会の創出、次世代経営人財の計画的な育成などができる体制の強化を目指しています。自律的に挑戦・学習し自らの専門性を磨き続ける人財を支援すべく、ラーニングマネジメントシステムである「I Learning」による学びの強化、社内外における交流機会の創出に注力しています。特に、戦略的提携アライアンス先であるロシュ社との人財交流は当社ならではの取り組みであり、育成への投資に継続的に取り組んでいきます。
・個が輝く
「社員が自身の力を最大限に発揮し、挑戦によって成長が実現できる環境を整える」ことをテーマに掲げて、環境の整備を推進し、挑戦を促す風土、自律支援型マネジャー、多様性を活かすDE&Iの推進の備わった組織文化を醸成し、それらをより強固なものとすることを目指しています。具体的には、働きがい改革やDE&Iの推進、「Check in(上司と部下の1on1)」を通じた自律支援型マネジメントの実践のほか、2025年1月から導入された新人事制度では、自ら手上げで異動先を決められるジョブポスティング制度を導入し、社員自らがキャリアを描き、主体的に実行できる仕組みにして、社員一人ひとりの挑戦や成長を後押ししていきます。

このように、社員一人ひとりが自身の力を最大限に発揮し、イノベーション創出が促進されるための環境づくりを目指し、以下に取り組んでいます。
・「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成
「TOP I 2030」の実現に向けて、部門や職種、職位の違いに拘わらず自由闊達に議論する文化への変革を目指しています。その一環として、社員の自発的な手上げによる社内公募制の拡充や挑戦した人への称賛の声を届けるリコグニションシステム「ChuLiP」の導入など、社員の挑戦を後押しする仕組みづくりを行っています。また、新人事制度においてジョブポスティングを導入し、手上げによる人事異動を拡充し、社員の挑戦・成長を一層後押しします。
・働きがい改革の推進
2022年より多様な社員一人ひとりの自己実現を目指して、自律的で柔軟性の高い働き方や主体的な行動による能力発揮を支援する「働きがい改革」を進めています。社員一人ひとりの「働きがい」を高めるべく、キャリア自律や成長支援による「社員エンゲージメント向上」と時間と場所の柔軟性の高い働き方や上司・部下の「Check in(1on1)」での対話を通じた関係構築や成長・挑戦の後押し等による「多様な社員が活きる環境づくり」を両輪で推進し「TOP I 2030」実現に向けて輝いている個の更なる増加を図り、グローバル好業績企業と同水準を目指します。
・DE&Iの推進
「多様な価値観や専門性から革新は生み出される」を共通認識とし、異なる考え方やアイデアを尊重し合いながら、多様な人財がそれぞれ最大限の力を発揮し、インクルーシブな組織文化を醸成することで、共に挑戦し、イノベーションの促進を目指しています。この実現に向けて、環境整備や社員の意識醸成、組織文化醸成に関わる様々な取り組みを推進しています。女性活躍推進においては、女性を含め多様な人財が当たり前にビジネス上のあらゆる場面に参画し、意思決定の多様性を広げると共に、活躍できる状態を目指し、2030年末に全ての階層における女性マネジャー比率を社員比率と同水準とすることを目標に掲げ、推進を加速していきます。また、育児や介護、健康課題等と仕事の両立、LGBTQ、障がい者雇用といった社員一人ひとりを取り巻く様々な課題に取り組むことで、多様な社員が生き生きと活躍し、主体的に挑戦・成長できる環境づくりに継続して注力しています。
・健康経営の推進
健康経営を働きがい改革の土台として位置づけ、「社員の自律的な健康管理」と「会社の積極的な働きかけ」にも注力しています。特に、従業員の健康の観点では、喫煙率、がん再検査受診率、高ストレス者面談希望率(希望者/受検者)を重要指標として設定し、進捗のモニタリングを行いながら、誰もが充実して働き続けていくことを目的に様々な取り組みを加速させていきます。
③ 主な指標とその進捗
人的資本の向上に向けた主な施策と指標は以下のとおりです。

*1 入社数ベースの数での算出
*2 グローバル好業績企業を100とした時の当社の状況
*3 3年以内の候補者数合計をキーポジション数で除して算出
(3)気候変動への取り組み
① 環境保全活動に関する考え方
環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。
② ガバナンス・リスク管理
環境保全活動に関する課題については、サステナビリティ委員会において十分な審議を行った上で、経営会議や取締役会において議論しています。環境保全活動の業務執行の責任は、経営会議メンバーであり、サステナビリティ委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、環境保全活動業務執行の監督を行っています。
環境リスクの管理については、リスク管理委員会が、環境保全活動を含む全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定した上で経営会議や取締役会において議論しています。リスク管理委員会は、気候変動リスクを含むグローバル及び国内のリスクマップを作成し、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定し、対策を検討しています。
気候関連リスクは、リスクマップの11の主要なリスクカテゴリのうち主に、「自然災害」「バリューチェーン」「環境と安全性」で特定され、当社のERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)において、それらリスクの識別・評価・管理しています。
環境リスク管理の責任は、経営会議メンバーであり、リスク管理委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、リスク管理システムの監督を行っています。
気候変動に関連する取り組みについては、2020年1月に気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しており、TCFDで推奨されているフレームワークに沿って情報開示を行い、ステークホルダーとの対話にも活用しています。

③ 戦略
当社は2030年に到達を目指すトップイノベーター像とそれを実現するための新たな成長戦略「TOP I 2030」を策定しています。その実現に向けた「成長基盤改革」の重点分野の一つに「サステナビリティ・環境」を設定し、2030年を最終年とする「中期環境目標2030」を推進しています。「中期環境目標2030」では、環境課題分析からマテリアリティとして特定した気候変動・エネルギー対策、資源の循環促進・適切な水管理、生物多様性保全に基づき、以下3つの課題を重点分野として定め、積極的に環境保全活動に取り組んでいます。
・気候変動対策
世界的な環境コンセンサスと比較してよりチャレンジングな目標を掲げ、温室効果ガスの排出量の削減とエネルギーの効率的使用の実現に向けて、ロシュをはじめ外部パートナーやアカデミアとの連携による新たな環境対策の創出及び推進により、2030年フロン排出量ゼロ、2050年CO2排出量ゼロに取り組みます。
・循環型資源利用
廃棄物全体の削減目標だけでなく、主な海洋汚染源であるプラスチック廃棄物の削減についても目標を設定し、環境に配慮したプラスチックの共同技術開発やサーキュラーエコノミーに基づく事業活動の推進を通じ、廃棄物ゼロエミッションの実現に向けて取り組みます。加えて、水は製薬にとって重要な原材料の一つであり、世界的にも重要な資源であることから、水の使用量の削減・汚染防止に取り組みます。
・生物多様性保全
かけがえのない地球を次世代につなぐため、自然資本の保全・回復への取り組みに加え、研究開発型の製薬企業として多くの化学物質を取り扱っているため、事業活動における環境インパクトに応じた独自の目標を設定し、製品製造プロセスの検証も含めた有害化学物質削減に取り組みます。
④ 気候変動に関するリスクと機会のシナリオ分析結果
CO2排出量は事業から直接排出される排出量(Scope 1、Scope 2)は少なく、大半はサプライチェーンから排出される排出量(Scope 3)が多いことが特徴です。このような認識に基づき、シナリオ分析を実施しました。
・シナリオ分析の前提条件
中外製薬は、気候変動対策を検討するにあたって、脱炭素社会への移行に向けたシナリオについて国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す脱炭素への取り組みが進んだシナリオ(1.5℃)と緩和対策なく現状のまま社会が進むシナリオ(4℃)のそれぞれにおいて、どのようなビジネス上の課題が顕在化しうるかについて、全社を対象にシナリオ分析を行いました。
分析を行う対象は中外製薬グループ全体とし、原料調達を含めたサプライチェーン全体を考慮しています。また、当社では、シナリオを想定する上での時間軸としてはIPCCが報告書等においてマイルストーンとして設定する2030年ならびに2050年を見据えた分析を行っています。
・シナリオ分析の結果を受けての方向性
シナリオ分析の結果、特定された気候変動に伴う当社のリスクと機会は以下の通りです。特定されたリスクと機会を踏まえて、当社としては気候変動対策を積極的に推し進めるとともに、戦略や目標の設定において活かしていきます。

⑤ 指標及び目標
当社は、中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2020年に前中期環境目標の結果分析や社会からの期待・要望の変化を踏まえ、より長期視点かつ包括的で、ロシュ・グループの環境目標とも整合性を持たせた意欲的な「中期環境目標2030」を策定しています。

また、中期環境目標2030の達成に向けて、ビジネスの成長に必要な投資枠(成長投資)とは別に、環境投資枠(環境投資)を設定し、2022年から環境投資額を試算しています。環境負荷が相対的に大きい研究本部、製薬技術/生産技術本部における環境投資額は、累計で1,095億円と試算しています。2024年度の実績は、下記ページにて2025年5月頃公開を予定しています。
「環境投資」ページ
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/investment.html
・気候変動対策に関する2023年の実績
Scope 1及び2のCO2排出量削減については、ロードマップに基づいたサステナブル電力の積極的な導入や営業車両燃料の電力化など具体的な施策を推進したことにより、国内拠点のサステナブル電力比率は、2023年に100%(購入済みのグリーン電力証書・非化石証書の活用分も含む)を達成しました。中期環境目標2030の実現に向けて、設備の電力化を推進するとともに、化石燃料と再生エネルギー由来の電力使用量の最適化などによる省エネルギー対策に取り組んでいます。また、CO2排出量削減は自社だけでなくサプライチェーン全体で取り組むことが重要であることから、Scope 3のCO2排出量削減目標を設定し、CO2排出量削減目標を設定していないサプライヤーに対し、削減目標設定・推進を働きかけています。
その他の取り組みとして、エネルギー消費量削減やフロン類使用量削減を推進しています。今後、化石燃料の電化によるエネルギー消費量の増加が見込まれるため、さらなるエネルギー消費量の削減や生産計画に合わせた環境設備導入、生産プロセスの改善のほか、海外(アジア)拠点でのサステナブル電力の導入を進めていきます。また、CO2よりも地球温暖化への影響が大きいフロン類使用量については、中外LSP(ライフサイエンスパーク)横浜の一部設備に自然冷媒システムを導入するなど、削減に向け着実に取り組んでいます。

なお、上記2023年実績における温室効果ガス排出量(Scope 1、Scope 2)については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)の国際保証業務基準(ISAE)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証を受けています。2023年度のデータの詳細は、当社ホームページの「サステナビリティに関する方針、データ集2023」を参照下さい。2024年度の実績は、下記ページにて2025年5月頃公開を予定しています。
「サステナビリティに関する方針、データ集2023」ページ
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/data/policy.html
3 【事業等のリスク】
1.当社グループにおけるリスクマネジメント
(1)ERM導入によるリスク管理の高度化
当社グループでは、企業価値の最大化を図るため、事業活動に係るあらゆるリスクを可視化し、統合的に管理を行うERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)のフレームワークを導入しています。具体的には、リスク選好に係る方針を「リスクアペタイト ステートメント」として明示し、全社的に対処すべきリスクを「戦略リスク(=戦略の意思決定に内在するリスクや戦略の遂行を阻害するリスク)」と「オペレーショナルリスク(=事業の円滑な運営を阻害するリスク)」に分け、一元的に把握・整理・可視化することで、効果的・効率的な運用によるリスク管理の高度化を図っています。また、適切な情報開示により、社外のステークホルダーへの説明責任を強化していきます。

(2)ITシステム活用によるリスク管理の効率化
全社的なリスク情報の把握・分析・フィードバックを効率的に推進するため、独自のリスクマネジメントシステムを開発し、グローバルで運用しています。このシステムには、各部門がリスクマップや年間リスク対応計画、インシデント報告、BCPマニュアル等を登録し、データベース化して一元管理することで、グループ全体のリスク分析や各部門での対策の状況をモニタリングしています。

2.中外製薬リスクアペタイト ステートメント
当社グループでは、社会との共有価値を創造し、企業価値を高める企業活動の根幹となるミッションステートメント(=企業理念)を基点とした事業経営において、経営目標の達成や戦略遂行を阻害する事象を「リスク」と捉えています。
戦略の意思決定や事業の円滑な運営を適切に行うために、リスクへの対応方針である「リスクアペタイト ステートメント」を定め、健全なリスクカルチャーの醸成を図るとともに、従業員の一人ひとりがこれに基づいて判断・行動することを徹底します。
3.主要なリスク
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により重大な影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しています。
当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、これらは当社グループにかかるあらゆるリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク)
① 技術・イノベーションについて
当社グループは、ロシュとの戦略的アライアンスのもと、自社の強みである独自のサイエンス力と技術力をさらに強化することで、革新的な医薬品の創出に努めています。そして、成長戦略「TOP I 2030」においては、RED機能(研究・早期開発)への経営資源の集中を推進しています。特にこれまでの低分子・抗体医薬では解決できなかったアンメットメディカルニーズ(有効な治療方法が見つかっていない疾病に対する治療薬への要望)を満たすことが期待される中分子技術の開発に注力するとともに、生成AIを含むデジタル技術を活用し研究開発プロセスの効率化に積極的に取り組んでいます。
しかしながら、医薬品の研究開発には、常に不確実性(自社創薬・技術開発の遅れや失敗)が存在します。このため、当社が目指す価値の創出や戦略の実行が遅延する影響が想定されます。さらにサイエンス、医薬品開発、デジタルという日進月歩の分野では、破壊的な新技術・ソリューションや競争優位性の高い革新的な製品などの出現により、自社技術・プロジェクトの価値低下や開発計画の見直しが生じるリスクがあります。また、当社グループは業務活動において、当社グループ所有、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識の下で様々な知的財産権を使用していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者による侵害や三者の知的財産権を侵害する可能性があり、当社技術・製品の価値や競争力の低下、さらには特許係争や特許権侵害訴訟に至るケースも考えられ、他社特許による技術の実施不能、製造・販売の差し止めや高額な損害賠償金の請求や実施料の支払いの発生など戦略遂行に重大な影響を与える可能性があります。
こうしたリスクに対しては、最先端のサイエンス・技術の探求を怠らず、経営資源の選択と集中により自社技術の優位性を高めるとともに、マルチモダリティ戦略の追求や中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーによる投資を含む外部連携の強化により多様性を高めることに努めています。中分子医薬の開発にあたっては関連する社内組織(創薬・開発・製薬)の連携強化、知的財産権については、外部の専門家やライセンス先との連携強化を含む、万一の特許訴訟に備えた知財戦略のさらなる強化、関連法規等の動向の継続的な注視、分析を行うことで、影響を最小化する積極的な知財対応を図ってまいります。
当社グループはリスクアペタイトに基づき、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出を追求するとともに、職場環境や組織文化、人財育成などの面からもイノベーションを奨励する仕組みを強化し、イノベーション創出を妨げるリスクの低減に努めます。
② 制度・規制・政策
ⅰ.医療制度・薬事規制について
国内外において高齢化の進展や医療費高騰などによる財政逼迫を背景とした薬剤費引き下げ政策の強化が進められています。加えて、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめる方針が示されており、医療費抑制の取り組みが一層強化されることが予想されます。日本においては昨今の安全保障政策やこども・子育て政策の強化に伴う費用の増大により、医療等の社会保障財政への影響も懸念されます。2024年の薬価制度改革で医薬品のイノベーションに対する評価が行われることになったものの、既に2年に一回行われている薬価改定に加え、2021年度に導入された中間年改定が2025年度も実施される中、こうした薬価引き下げ政策やバイオシミラー(バイオ後続品)等の振興政策が拡大すると、これまで以上に収益の低下等を招き、研究開発への投資を妨げるリスクがあります。さらに、度重なる薬価制度や運用の変更は市場の予見性を低下させ、企業の経営計画に大きな影響を与えるリスクがあります。また、海外においても、医療制度・薬事規制改革の内容や環境動向を適時適切に把握し、開発・薬事計画などの対応を進めているものの、規制動向の把握が遅れることにより計画の修正や開発が遅延することが懸念されます。
一方、こうした政策により今後ますます「Value Based Healthcare(価値に基づく医療)」が進展し、患者さんにとって真に価値のあるソリューションだけが選ばれる傾向がより一層強まると考えられます。当社グループは、引き続き患者さんへの高い価値の証明に注力し、継続的な次世代品の開発・知財対応、製品ポートフォリオ管理の強化を図ります。そして、日本のみならず海外インテリジェンス機能の強化等に取り組んでまいります。
ⅱ.環境規制について
環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。一方で、企業を取り巻く環境規制の更なる厳格化により、規制対応のために設備投資計画の見直し・遅延や、追加的な費用計上など環境投資の増大が生じる可能性があります。規制動向のタイムリーな把握に加え、最新技術の動向把握と的確な取り入れを行っていくとともに、世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な地球環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。
③ 市場・顧客について
ⅰ.市場・顧客の変化
近年、競合品やバイオシミラー(バイオ後続品)の浸透加速による競争激化に加え、再生医療、細胞/遺伝子治療、核酸医薬など新たな治療手段(モダリティ)の進展や、予防・診断・治療・予後まで一貫した価値提供が求められるようになり、「治療」の価値が変化してきています。さらに、近年、製薬企業における医薬品の情報提供体制、すなわち顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しています。
このような状況において、市場での地位や製品競争力が低下し収益が悪化するリスク、あるいは顧客タッチポイントの急速な変化等により、医薬品の情報提供体制の抜本的な見直しを迫られる可能性があります。
こうしたリスクに対応するべく、当社グループでは連続的な新薬の創出と製品ラインアップの多様化に努めるとともに、営業資源を適切に配分し、顧客エンゲージメントを強化してまいります。そのためにもDXの推進による効率化と環境変化に迅速に対応できるフレキシブルな組織体制の構築を目指します。
ⅱ.地政学リスクの高まりによる事業制限
ウクライナ紛争や台湾情勢などの各国間の緊張の高まりによる人権、ハイテク、データ、戦略物資への規制強化をはじめとした各国の経済安全保障法制の強化や、国際紛争による物流への影響など、近年、地政学リスクの高まりに端を発した企業活動への影響が出てきています。
これら国際情勢の急激な変化や武力衝突の発生によって、関連地域における事業制限・撤退(生産・R&D・販売拠点の喪失、利益減少、将来の機会損失)、関連地域におけるサプライチェーン停滞・供給遅延などのリスクが生じる可能性があります。
これら地政学・経済安全保障リスクに対して、当社グループでは、各国法制や政策の動向など外部情報をタイムリーに入手し、事業影響分析を行う社内体制の強化に取り組んでいます。一部主要製品を対象としたサプライチェーン可視化ツールの導入をはじめサプライチェーン全体の可視化に努めるとともに、有事に備えた安全管理体制の再整備、事業継続計画(BCP)・供給バックアップ体制(デュアルサイト化)の強化などを行っています。
④ 事業基盤について
ⅰ.ロシュとの戦略的提携
当社グループはロシュとの戦略的提携により、日本市場におけるロシュ・グループの唯一の医薬品事業会社となり、また日本以外の世界市場(韓国・台湾除く)ではロシュに当社製品の第一選択権を付与し、多数の製品及びプロジェクトを同社との間で導入・導出しています。独自のビジネスモデルによって安定的な収益基盤を確立し、飛躍的な成長を遂げてまいりました。
これまでの戦略的提携における合意内容が変更となった場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、ロシュの創薬・グローバルネットワークが不調に陥り、ロシュからの導入品による安定的な収益源が低下するリスクやロシュに導出した自社品のグローバル市場浸透の遅延や収益低下などのリスクがあります。
当社グループとしてはイノベーションを追求し、革新的な医薬品を連続的に創出するとともに、ロシュとの連携によりグローバル開発・マーケティング計画の策定及び実行の支援を強化するとともに、ロシュ・グループ全体の価値最大化に資する導出戦略の実行と、ロシュ戦略を踏まえた最適な導入戦略の実行と第三者からの導入の探索に努めてまいります。
ⅱ.人事・組織
当社は2020年に新たな人事制度を導入し、適所適財に基づく人財配置の徹底、タレントマネジメントの高度化を進めてきています。また2025年からはジョブ型人事制度を全社展開し適所適財の加速と、会社主導による異動から手挙げによる異動(ジョブポスティング)へのシフトにより、社員が年齢や属性に関係なく自らのキャリアをデザインし、その実現に向けて成長する人財を適切に処遇し、「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成を図っています。また、サイエンス人財やデジタル人財など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得・定着・育成に注力しています。
一方、人財獲得ニーズの競合等による獲得の遅れや社内育成に要する時間、環境変化により求められる業務・質の変化による人財のミスマッチや不足、余剰等が発生するリスク、あるいは期待される組織文化が醸成されず、イノベーションの創出が阻害されるリスクなどが想定されます。
こうしたリスクに対応するべく、戦略遂行上の要となる人財要件を明確に定義・更新し、社外にも積極的に開示することで、計画的に獲得を目指す一方、社内では定着・育成に向けた施策の強化に努めています。今後も、組織・人財への投資を強化し、環境動向を見極めた組織体制と戦略的な採用計画を実施するとともに、イノベーション創出を促進する人事戦略・組織風土改革の実行に努めてまいります。
ⅲ.デジタル基盤
すべてのバリューチェーンで生産性の飛躍的向上を図るべくデジタル投資を加速する一方、デジタル技術の導入や社内進展が遅れ、戦略実行が遅延するリスク、社内のデジタルケイパビリティ不足、デジタルコンプライアンスの理解不足等によりデジタルトランスフォーメーション(DX)の停滞やトラブルが発生するリスクがあります。また、生成AIの活用が遅れることによる競争力低下のリスクも想定されます。技術動向把握のアンテナ機能を拡充するとともに、専門部署強化と外部専門人財の積極活用によるケイパビリティの強化、生成AIの全社的活用推進とコンプライアンスリスク評価体制の強化に取り組みます。
(2)事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク)
① 品質・副作用について
ⅰ.製品品質に関するリスク
当社グループは、患者さんに価値の高い製品・サービスを安定的に提供することを重要課題と認識しております。この目標を達成するため、製品や情報の質、業務プロセスの質、そしてそれらを支える人財の質を通じて事業の信頼性確保に努めております。また、社外パートナー企業との定期的な品質・風土に関する議論の場を設けるなど、サプライチェーン全体での品質向上に取り組んでおります。しかしながら、何らかの理由により製品品質に懸念が生じた場合には、患者さんへの影響はもちろんのこと、販売中止・製品回収、訴訟や損害賠償、社会的信頼の低下などを招く可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。このリスクに対処するため、パートナー企業のリスク評価及び連携を含めた品質保証活動の一層の強化・徹底を図ってまいります。
ⅱ.副作用に関するリスク
医薬品・医療機器は各国規制当局の厳しい審査を受けて承認されます。当社グループでは、承認後も医薬品の安全性監視活動を継続的に強化・徹底しております。具体的には、「調査・副作用・治験データベースツール」を活用した患者さんの特性に応じた迅速な情報提供や、「治療支援アプリ」の運用、医療関係者向けの安全性コンサルテーション・ネットワーク体制の構築など、適正使用に向けた安全性情報提供活動の拡充に努めております。しかしながら、万全の安全対策を講じたとしても、副作用等の健康被害を完全に防止することは困難です。特に新たな重篤な副作用が発現した場合、「使用上の注意」への記載、販売中止、製品回収等の措置を講じる可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。当社グループは、これらのリスクに対して継続的に監視・評価を行い、適切な対策を講じることで、リスクの最小化と患者さんの安全確保に最大限努めてまいります。
② ITセキュリティ及び情報管理について
業務上、各種ITシステムの利用において、従業員・アウトソーシング企業の不注意または故意による行為や、サイバー攻撃等の外部要因によりシステム障害や社外提供サービスの停止、提供情報の改ざん等が生じた場合、事業活動の停止・遅延・計画の見直しや、突発的な対応・対策費用などが発生する可能性があります。また、万が一、研究開発等にかかる営業秘密や個人情報等が社外に流出した場合、競争優位性の喪失、社会的信頼の喪失、損害賠償などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループはこれらのリスクに備え、情報管理及びサイバーセキュリティに関する社内ルールの策定、従業員への教育・訓練、システムの堅牢性・可用性の強化、サイバー攻撃・マルウェア感染などの監視(SOC)及びインシデントレスポンス(CSIRT)体制の構築、インシデントの早期対応策の策定(サイバーBCPの策定)を実施しています。特に機密情報管理では、ITシステム面からも強化を図り、業務ファイルごとのアクセス管理、不注意または故意による情報流出の阻止及び流出後の拡散防止などの機能の運用を開始しております。個人情報管理においては、ますます活発になる越境データ移転に対応するためにグローバルプライバシーガバナンス体制の構築を進めています。「中外製薬グループプライバシー宣言」を定め、グローバル基準での適法対応を推進するとともに、データの利活用をコンプライアンス面からも支援しています。また、これらの対策状況をグループ横断的に評価し強化するためのセキュリティガバナンス体制を構築し、継続的なリスクの低減に努めています。
③ 大規模災害等による影響について
地震、台風、洪水等の自然災害、火災等の事故により、当社グループの事業所・営業所及び取引先の建物・設備等が深刻な被害を受けた場合、医薬品の供給停止や設備修復などの費用計上の発生、事業活動の制限や新製品の浸透遅延、それらによる収益の低下など、業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練実施、安全在庫確保、耐震対策、損害保険加入など、従業員の安全と医薬品の安定供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めています。
④ 人権について
企業活動における人権侵害の発生は、企業イメージの低下、不買運動、訴訟提起や損害賠償の支払、人財の流出などに繋がり得るもので、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、職場におけるハラスメント等により、従業員の健康やメンタルヘルス、人財力の低下を招くリスクが高まります。
当社グループでは、「人権」を経営に重要な影響を及ぼすリスクの一つとして捉え、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重のグループガバナンス体制を構築するとともに、重要な人権課題の特定、リスク評価と改善計画の策定・実行、ステークホルダーへの情報開示を含むデューデリジェンスの強化に取り組んでいます。また、健康経営の推進、社内研修の継続実施、相談窓口の設置など職場環境の改善にも努めています。
⑤ サプライチェーンについて
自然災害、国際紛争などの地政学リスク、事故、パンデミックの発生等により当社の原材料調達先や外部製造委託先などのサプライヤーに被害や事業活動の制限が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の確保や生産の継続が困難となる可能性があり、社会的信頼の喪失や売上・シェアの低下により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライチェーン全体の可視化、事業継続計画(BCP)の策定、安全在庫確保、代替先の確保など、医薬品の安定供給のための体制を整備しています。
また、サプライヤーのみならず、重要なサードパーティ(取引先)を対象に包括的なリスク評価システムを導入し、リスクの一元的管理に取り組んでいます。取引先におけるコンプライアンスや環境問題など当社グループだけでは解決できない課題に関し、連携・情報共有体制を構築し、取引先と協力して課題解決に努める方針です。
⑥ 地球環境問題について
地球環境保全のための重大な課題の一つとして、気候変動リスクをとらえており、マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題について、2030年を最終年とした中期環境目標を推進しています。
環境関連法規等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に向けて努めていますが、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合、対策費用や損害賠償責任を負うなどにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、将来における環境関連法規制の強化により、対策費用の増加や当社グループの研究、開発、製造、その他の事業活動が制限される可能性があります。
なお、当社グループは、透明性・信頼性の高い環境情報を開示するため、毎年、環境パフォーマンスデータの第三者保証を取得しております。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」のフレームワークに基づき、気候変動が当社へもたらすリスクと機会を織り込んだ定性評価及びシナリオ分析を実施し、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とする重大な気候関連リスクは特定されていません。加えて、2021年には、弊社の温室効果ガス削減目標に対してScience Based Target(SBT)事務局よりSBT認定を取得しています。今後も継続的に分析・評価を行い、プロアクティブな環境課題の解決に取り組んでいきます。
⑦ パンデミックによる影響について
今後、新たな感染症の全国的・世界的な大流行等により事業活動が制限された場合、サプライチェーンの停止・遅延により製品供給に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、研究・臨床試験の進行や、MR活動の制限による新製品等の浸透に遅延が生じる可能性があります。
当社グループとしては、これらのリスクに対し、患者さんに対する医薬品の安定供給という社会的責務を果たすべく、感染症拡大時においても、必要な医薬品の提供体制を維持することを基本方針としてBCPを策定するとともに、テレワークなど柔軟性の高い働き方と生産性の維持・向上を実現する「新しい働き方」を活用していきます。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
(単位:億円)
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当連結会計年度の売上収益は1兆1,706億円(前年同期比5.3%増)、営業利益は5,420億円(同23.4%増)、当期利益は3,873億円(同19.0%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費16億円、無形資産の減損損失41億円、事業再構築費用79億円及び事業所再編費用5億円が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当連結会計年度の売上収益は、製商品売上高及びその他の売上収益が伸長し、1兆1,706億円(前年同期比5.3%増)となりました。売上収益のうち、製商品売上高は9,979億円(同2.4%増)となりました。国内製商品売上高は、新製品のフェスゴ、バビースモが伸長するとともに、主力品のヘムライブラ、アクテムラ等が好調に推移した一方、前年同期に計上されたロナプリーブの政府納入や、薬価改定及び後発品浸透の影響を受けたことにより、前年同期比で減少しました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのヘムライブラ輸出の大幅な増加等により、前年同期を大きく上回りました。その他の売上収益は、ヘムライブラに関する収入の増加に加え、一時金収入の増加等により1,727億円(同26.2%増)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により33.9%と前年同期比で8.4ポイント改善しました。結果、売上総利益は8,325億円(同19.0%増)となりました。
研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により1,769億円(同8.7%増)、販売費及び一般管理費は前年同期並みの1,022億円(同0.2%増)となりました。その他の営業収益(費用)は製品譲渡に係る収益等で、27億円の収益(前年同期は製品譲渡に係る収益や有形固定資産の売却益等が発生し161億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は5,561億円(同23.4%増)、Core当期利益は8期連続の増益を達成し、3,971億円(同19.0%増)となりました。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
株主還元を行う際の指標には、Core EPS及びCore配当性向を指標として使用しております。Core EPSは、Core実績をもとに算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり、Core配当性向は、Core EPS対比の配当性向です。
<製商品売上高の内訳>
(単位:億円)
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、新製品及び主力品が伸長したものの、前年同期に計上されたロナプリーブの政府納入や、薬価改定及び後発品浸透の影響により、4,611億円(前年同期比17.4%減)となりました。
オンコロジー領域の売上高は、2,477億円(同4.8%減)となりました。新製品の抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ」の売上が好調に推移したものの、薬価改定及び後発品浸透の影響により、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」などの売上が減少しました。また、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」は、同剤を含む配合皮下注製剤である「フェスゴ」の市場浸透影響を主因に前年同期を下回りました。
スペシャリティ領域の売上高は、2,134億円(同28.3%減)となりました。新製品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」の伸長や、2024年5月に発売したpH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ」の好調な市場浸透に加え、主力品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ヘムライブラ」やヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が好調に推移しました。一方で、前年同期に計上された抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入(812億円)や、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」行政備蓄の売上減少による影響を大きく受け、前年同期を下回りました。
[海外製商品売上高]
海外製商品売上高は5,368億円(前年同期比28.9%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「ヘムライブラ」が前年同期比で大幅に増加しました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ467億円増加し、9,476億円となりました。うち、純運転資本は、主に営業債務の減少により前連結会計年度末に比べ261億円増加し、4,487億円となりました。また、長期純営業資産は主に宇都宮工場におけるバイオ原薬製造棟(UT3)及び藤枝工場における合成原薬製造棟(FJ3)への投資により前連結会計年度末から206億円増加し、4,989億円となりました。
次項「③ キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ2,573億円増加し、9,963億円となりました。その他の営業外純資産は、主に未払法人所得税の増加により前連結会計年度末から282億円減少し、△425億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ2,759億円増加し、1兆9,015億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、5,848億円(前年同期比19.0%増)となりました。
調整後営業利益から有形固定資産の取得による支出504億円や純運転資本等の増加288億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは4,934億円(同8.6%減)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「② 財政状態の状況」に記載したとおりです。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,005億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは3,868億円(同6.3%増)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払1,332億円等を調整したネット現金の純増減は2,573億円の増加となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は815億円増加し、当連結会計年度末残高は5,402億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産の状況
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は売価換算(仕切単価ベース)であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
b. 商品仕入実績
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
(注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は実際仕入高であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
c. 受注の状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売の状況
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.販売高は売上収益(製商品売上高とその他の売上収益)であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 及び ② 財政状態の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、これまで、運転資金並びに設備投資及び研究開発活動を自己資金で充当しております。2021年度に始動しましたTOP I 2030 は「R&Dアウトプットの持続的な創出」に代表されるイノベーションへの継続的な経営資源の配分を掲げています。引き続き資金流動性の確保と事業活動から創出されるキャッシュ・インフローの最大化に努めるとともに、継続的なイノベーション投資に必要な財務健全性を維持していく方針です。また、計画外の急な資金需要が生じた場合の財源につきましては、金融機関からの借入や短期社債等を利用するなどの体制を整えており、既存の手許資金も含めて十分な流動性を確保しております。
今後についても資本財源は事業活動を通じて獲得した資金を基盤とする方針であり、継続的なイノベーションへの投資を通じ、持続的な企業価値の向上を目指す方針です。なお、資本配分としての配当につきましては、戦略的な投資資金需要や業績見通しを勘案した上で、Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標としております。
③ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度においては、昨年10月25日に公表した修正予想に対して、Core売上収益は、ロシュ向け輸出や国内における新製品・主力品の市場浸透が好調だったことから、1兆1,706億円(修正予想比1.8%増)となり、3年連続で1兆円を超えました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により33.9%(同0.1%ポイント改善)、研究開発費・販売費及び一般管理費・その他の営業収益(費用)の合計は2,764億円(同0.5%増)となりました。この結果、Core営業利益は5,561億円(同3.0%増)となりました。また、長期にわたる投資効率の指標として重点的に管理しているCore ROIC*の実績は、ロナプリーブ政府納入に伴う純運転資本の変動が収束したことと、税引後営業利益の増加により42.9%(前年比8.3%ポイント増)となりました。
2021年に開始した成長戦略「TOP I 2030」の4年目となる2024年は、創薬、開発、製薬、Value Delivery、成長基盤という5つの改革分野において、概ね順調な進展が見られました。
創薬においては、R&Dアウトプット倍増という非常にチャレンジングな目標達成に向け、様々な取り組みを行っております。現在、抗体、低分子に続く第3のモダリティとして中分子医薬品開発に取り組んでおり、今期は新たに1プロジェクトが前臨床開発段階に進みました。ポートフォリオの拡充は順調に進展しており、中分子創薬のプラットフォーム化に向けた取り組みも加速させています。また、強みとする抗体医薬品においても、次世代抗体技術の開発とプロジェクトの創出が進んでおります。このような自社での創薬研究を加速すべく、ロボティクスによるラボオートメーション化や、AI等のデジタル基盤活用など、創薬力を最大限に発揮する体制を整備しました。加えて、オープンイノベーションにも注力しています。創薬スタートアップ企業等への投資を目的としたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として米国に設立した中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーは、活動初年度においてすでに複数の投資実績を有しており、今後の成果が期待されます。このように種々の進捗が見られておりますが、先に述べたチャレンジングな目標達成のためには更なる強化の余地があると考えており、取り組みを加速していきます。
開発については、2024年は合計10プロジェクトが承認され、新薬・適応拡大を含め6プロジェクトが承認申請に移行しました。また、ロシュ品・自社品含めて計2プロジェクトの第Ⅲ相国際共同治験、2プロジェクトの第Ⅰ相臨床試験を開始しました。非臨床段階から最適な開発ルートを見定め、精度の高いGo/No-Go判断と効果的な開発計画の策定によって開発を加速させることで、毎年上市の達成に向けて取り組んでおります。
製薬では、R&Dアウトプット倍増に対応する頑健かつ競争力のある供給体制の実現を目指しています。中分子プラットフォーム技術構築においては、多くの関連技術において着実な進展が見られました。また、それらの技術をプロジェクトに適用し、GMP原薬・治験薬の製造を完遂するなど、技術確立が進みました。各生産拠点における新規建築プロジェクトも計画通りに進展し、藤枝工場の新たな低中分子治験薬・商用生産棟である「FJ3」が竣工となりました。浮間工場で稼働を開始した「UK4」は、国際製薬技術協会(ISPE : International Society for Pharmaceutical Engineering)のFacility of the Year AwardsにおけるSocial Impact賞を前年の「FJ2」に続き2年連続で受賞するなど、最新の生産設備が社外からも高く評価されています。また、当社が掲げる中期環境目標2030の達成に向けて、サステナブルな生産体制構築にも引き続き取り組んでいきます。
Value Deliveryにおいては、多様化する顧客ニーズに対応し、患者さんや医療関係者が求める情報を的確かつ迅速に提供すべく、人・デジタルを融合したエンゲージメントモデルの進化と組織体制の変革が進んでおり、顧客満足度調査においても昨年に続き高い評価をいただいております。また、個別化医療に資する独自エビデンスの創出、患者さんや医療現場に価値をもたらすエビデンスの創出を目指し、社内外データの統合的な活用にも継続して取り組んでいます。今後も効率化を進めることで、高い生産性を維持していきます。
成長基盤の「人・組織」については、2025年から導入する新人事制度においてジョブポスティングへの移行や雇用上限年齢の撤廃を掲げ、適所適財を加速するとともに、社員の挑戦と自律的なキャリア形成を後押ししていきます。創薬力の高度化や全バリューチェーン効率化の柱である「デジタル」については、生成AI技術の活用促進を目的としたMicrosoft Copilotの導入や、複数のモデル使い分け機能、全社データの高度な検索・回答機能を有するChugai AI Assistantの内製と活用推進を通じて複数のユースケースが現場から創出されており、業務への実装と効率化が進展しました。世界水準でのサステナブル基盤としての「環境」については、2030年の環境目標を設定し、種々の取り組みを行っており、概ね順調に進捗しておりますが、廃棄物の削減目標については達成に向けた課題があり、検討を継続しております。なお、サステナビリティにおいて重要な指標である「Dow Jones Sustainability World Index」に5年連続で選定され、医薬品セクターで世界第2位の評価をいただきました。プロダクトスチュワードシップや人的資本マネジメント、税務戦略に関する評価が昨年を上回り、特に社会面の項目を中心に全体として高い評価を受けました。その他、質と効率を両立した次世代クオリティマネジメントを目指す「クオリティ」にも着実に対応するとともに、「PHCソリューション**」では、2024年4月にPHCソリューションユニットを新設し、ソリューション開発から実用化までの戦略立案を推進しています。社会が求めるヘルスケアの提供価値への期待が高度化・多様化する中、医薬品と患者さんの間を繋ぎ、個別に最適化された提供価値を最大化することで、ヘルスケアシステム全体における創出価値の最大化へ貢献していきます。
*ROICについて
投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを知ることができます。
**PHCソリューションについて
医薬品以外のソリューション(製品・サービス)(プログラム医療機器、体外診断用医薬品、コンパニオン診断、デジタルバイオマーカーなど)
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループはIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 1.重要な会計方針等 (2)重要な会計上の判断、見積り及び前提」に記載のとおりです。
5 【経営上の重要な契約等】
(1)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンス
アライアンス基本契約(Basic Alliance Agreement)
当社とロシュ(Roche Holding Ltd)は、両社の戦略的アライアンスについて、それぞれの取締役会における審議を経て合意に達し、2001年12月10日に基本契約(以下、「本基本契約」という。)を締結しました。当該アライアンスは、両社の日本における医薬品事業を統合し、グローバルに十分なプレゼンスを有する、日本における研究開発型製薬企業のリーディングカンパニーを確立することを主たる目的とし、ロシュが当社の発行済株式総数の過半数を取得する一方で、当社がその後も上場企業として日本の文化・社会に即した経営を行うとともに、研究・開発・生産・販売活動を独自に展開することが企図されました。そのようなビジョンを推進するため、両社は、誠意をもって交渉を行い、本基本契約において、基本原則及び一定の条項(下記①から⑤に掲げる事項に関する条項など)について合意しました。
本基本契約は、東京証券取引所の市場区分の見直しに伴う当社のプライム市場上場に関連して、2022年7月21日にその一部が改定されましたが、その基本原則は締結時から維持されています。当社において、当該改定は、少数株主を含む株主共同の利益を害することのないよう、特別委員会への諮問及び取締役会での慎重な議論を経て行われました。
当社とロシュは、当該アライアンスを通じて、通常の企業買収や合弁事業とは異なる新しいビジネスモデルを確立しました。さらに、当社にとっては、経営の独立性を維持しつつ、当社がロシュ・グループから導入した医薬品の日本市場での販売により安定的な収益基盤を確保することができるとともに、当社が開発した医薬品をロシュのネットワークを通じてグローバルに販売することができる点に、アライアンスの大きなメリットがあります。
本基本契約で合意された重要な条項の概要及びそれらの条項に関連して記載を要する事項は、以下のとおりです。
① 開発候補品に関する第一選択権
本基本契約は、当社がロシュ・グループの日本における唯一の医薬品事業会社となる原則を定めております。この点に関し、「ライセンス契約」の項に記載のとおり、当社は、ロシュの開発候補品に関し、日本国内における第一選択権を保有する一方で、ロシュは、当社の開発候補品に関し、日本国外(韓国・台湾を除く)における第一選択権を保有しています。
② ロシュの当社取締役及び監査役の指名権
ロシュは、当社の取締役会が株主総会に上程する取締役及び監査役の候補者の中から、それぞれ半数未満の数(少なくとも取締役候補者3名及び監査役候補者1名)の指名権を有しておりますが、その他の候補者に関しても、ロシュによる議決権その他の株主権の行使は制限されておりません。当社としましては、ロシュが指名する当社の取締役は、当社の全ての取締役の過半数を構成するものではないため、経営の独立性は確保されていると認識しております。さらに、経営の独立性・客観性をより一層高める観点から、コーポレートガバナンス・コードに従い、取締役候補者については、独立社外取締役が半数を占め、かつ議長を務める指名委員会にて審議を行い、その適格性を判断しております。当社は、3名の独立社外取締役を選任しており、独立社外取締役候補者の指名についても、取締役会の決議に先立ち、指名委員会において審議しております。したがって、ロシュが当社の親会社であることに必然的に伴う影響は別として、上記のロシュの指名権が当社の企業統治に及ぼす実際上の影響は限定的であると考えております。
③ 当社の上場維持に係るロシュの協力義務
ロシュは、当社が東京証券取引所プライム市場への上場を維持することに協力する義務を負っております。
④ ロシュ保有株式の処分に関する制限
ロシュは、当社取締役会の事前承諾なしに、当社の競合他社に当社株式を処分することはできません。さらに、ロシュが当社株式を処分しようとする場合、当社は、当社又は当社が指定する第三者による当該株式の買取りに関し、先買権を有することとされています。なお、ロシュは、当社の発行済株式総数に対するロシュの保有する当社株式の数の割合(以下、「ロシュ株式保有割合」という。)が完全希薄化ベースで25%を下回らないように当社の株式を保有する義務を負っています。
⑤ 株式の発行等に関する制限及びロシュの優先引受権
当社は、株式(新株予約権などを含む。以下同じ。)を新たに発行し又は自己株式を処分する場合、次の場合を除き、ロシュの事前の承諾を要します。
(ⅰ)一定の発行総額の枠内で、株式を新たに発行する場合
(ⅱ)上記(ⅰ)とは別枠で、一定の株式総数(本基本契約が上記のとおり改定された2022年7月21日時点における当社の自己株式の総数に概ね相当する数)の枠内(注)で、株式を新たに発行し又は自己株式を処分する場合
(ⅲ)上記(ⅱ)の枠を超える場合又は既に超えている場合であっても、当社の発行済株式総数の一定割合に相当する株式総数の枠内(注)で、当社又は当社の子会社の役員・社員に対する報酬として、株式を発行し又は自己株式を処分する場合
この点について、当社の現在の財務状況及びその他の関連要素に鑑みると、株式の発行等に関する上記の制限は限定的な状況において適用されるものに過ぎず、当社は、ロシュの事前承諾なしにそれらを行うことができる範囲において、必要な数の株式の発行等を行うことができます。そのため、上記の制限が当社の企業統治に及ぼす実際上の影響は限定的なものにすぎないと考えております。
また、当社が第三者に株式を新たに発行する場合(上記(ⅱ)又は(ⅲ)の枠内で、当社又は当社の子会社の役員・社員に対する報酬として発行する場合を除く。)、ロシュは、その時点におけるロシュ株式保有割合を維持するために必要な限度で、当該第三者と同等の価格及び条件でその株式を引き受けることができる権利(優先引受権)を行使することができます。
以上の株式の発行等に関する制限及びロシュの優先引受権は、ロシュ株式保有割合が50%を下回った場合には適用されません。
(注)この枠は、当社が自己株式の取得を行った場合又はその他の一定の事由が生じた場合、当該取得又は事由の対象となった株式の数だけ増加します。
ライセンス契約
2001年12月に調印した日本包括的権利契約(Japan Umbrella Rights Agreement)により、当社は、ロシュ・グループの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、ロシュが有する開発候補品の日本における開発・販売について第一選択権を保有しております。
また、2002年5月に調印した(日本、韓国を除く)世界包括的権利契約(Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を修正し、2014年8月に(日本、韓国、台湾を除く)改定世界包括的権利契約(Amended and Restated Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を締結しました。これにより、ロシュは当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・販売について第一選択権を保有しております。
これらの包括契約に加え、当社とロシュは個別の開発候補品ごとに契約を締結しております。この契約条項及び個別の事情に基づき、第三者間取引価格の原則に沿って、以下の項目の支払が行われることがあります。
・第一選択権行使による開発候補品導入時の契約一時金
・開発目標達成によるマイルストン
・売上に対するロイヤルティ
これらの個別契約は、第三者間取引価格の原則に基づき生産・供給等についても包含する場合があります。
研究協力契約
当社とロシュは、バイオ医薬品探索及び低分子合成医薬品研究における研究協力契約を締結しております。
(2)技術導入契約等
(3)技術導出契約等
(4)その他
6 【研究開発活動】
当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開しており、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。国内では、中外ライフサイエンスパーク横浜において創薬研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っています。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)、台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が創薬研究に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は1,769億円(前年同期比8.7%増)、売上収益研究開発費比率は15.1%となりました。
2024年1月1日から2024年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりです。
「がん領域」
・抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:「アレセンサ」)は、2024年4月に米国で、同年6月に欧州、中国で、同年8月に日本でALK陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法に対する適応拡大の承認を取得しました。
・抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7828」(製品名:「ルンスミオ」)は、2024年3月に承認申請し、同年12月に過去に少なくとも2つの標準治療を受けたことのある再発または難治性の濾胞性リンパ腫に対する承認を取得しました。また、同年11月に未治療の濾胞性リンパ腫を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
・抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2024年3月に胞巣状軟部肉腫を対象として、同年10月に再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型を対象として承認申請を行いました。また、第Ⅲ相国際共同治験「IMvoke010試験」の結果に鑑み、頭頸部がん(維持療法)を対象とする開発を中止しました。
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG6026」は、2024年4月に、初発大細胞型B細胞リンパ腫を対象として第Ⅲ相国際共同治験「SKYGLO試験」を開始しました。
・KRAS G12C阻害剤「RG6330」は、2024年10月に、非小細胞肺がん[二次治療]を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)と抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチン」)は、第Ⅲ相国際共同治験「IMbrave050試験」の結果に鑑み、肝細胞がん(アジュバント)を対象とする開発を中止しました。
・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、第Ⅲ相国際共同治験「SKYSCRAPER-06試験」の結果に鑑み、非扁平上皮非小細胞肺がん[一次治療](RG7446との併用)を対象とする開発を中止しました。
・RET阻害剤「RG6396」は、ロシュ社とBlueprint Medicines社との開発及び販売に関するGlobal Collaboration Agreementの終了により、開発を中止しました。
・SHP2阻害剤「RG6433」は、ロシュ社とRelay Therapeutics社とのCollaboration and License Agreementの終了により、開発を中止しました。
・抗PD-1/LAG-3バイスペシフィック抗体「RG6139」は、ロシュが海外で実施した臨床試験の結果に鑑み、開発を中止しました。
・RAF-MEK分子糊「SPYK04」は、固形がんを対象とした自社開発の中止及び導出活動の開始を決定しました。
・抗グリピカン3/CD3バイスペシフィック抗体「ERY974」は、国内外で実施した臨床試験の結果に鑑み、固形がんを対象とした開発を中止しました。
「免疫疾患領域」
・免疫抑制剤「セルセプト」は、2024年2月に公知申請を行い、同年6月に、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対する適応拡大の承認を取得しました。
・補体B因子mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド「RG6299/ASO factor B」は、IgA腎症を対象として、2024年2月に第Ⅰ相臨床試験を、同年5月に第Ⅲ相国際共同治験「IMAGINATION試験」を開始しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「SKY59/RG6107」(製品名:「ピアスカイ」)は、ロシュ社がポートフォリオの見直しの一環としてループス腎炎を対象とする開発を中止したことを受け、パイプラインから除外しました。
「神経疾患領域」
・脊髄性筋萎縮症治療剤「RG7916」(製品名:「エブリスディ」)は、2024年2月に承認申請し、同年9月に遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症に対する適応拡大の承認を取得しました。
・マイクロジストロフィン遺伝子治療「RG6356/SRP-9001」は、2024年8月に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象として承認申請を行いました。
・抗タウヒト化モノクローナル抗体「RG6100」は、ロシュが海外で実施した臨床試験の結果に鑑み、アルツハイマー病を対象とする開発を中止しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(製品名:「エンスプリング」)は、第Ⅲ相国際共同治験「Luminesce試験」の結果に鑑み、全身型重症筋無力症を対象とする開発を中止しました。
「血液疾患領域」
・pH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「SKY59/RG6107」(製品名:「ピアスカイ」)は、2024年2月に、中華人民共和国国家薬品監督管理局より補体阻害薬による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)の成人及び青年患者(12歳以上)に対する承認を取得しました。同年3月に、国内でPNHに対する承認を取得し、同年5月に発売しました。同年6月に、米国食品医薬品局よりPNHの成人及び青年(13歳以上)で体重40kg以上の患者に対する承認を取得しました。また、同年8月に欧州委員会よりC5阻害剤による治療歴の有無によらず、PNHの成人及び青年の患者(12歳以上で体重40kg以上)に対する承認を取得しました。
「眼科領域」
・眼科用VEGF/Ang-2阻害剤抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7716」(製品名:「バビースモ」)は、2024年3月に、網膜静脈閉塞症(RVO:retinal vein occlusion)に伴う黄斑浮腫に対する適応拡大の承認を取得しました。また、2024年9月に、新生血管を伴う網膜色素線条に対する適応拡大の承認申請を行いました。
「その他の領域」
・抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン」は、2024年9月に、難治性のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対する適応拡大の承認を取得しました。
・抗IL-8リサイクリング抗体「AMY109」は、2024年1月に、子宮内膜症を対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・不安定狭心症治療剤「SG-75」(製品名:「シグマート注」)は、2024年4月に、中華人民共和国国家薬品監督管理局より不安定狭心症に対する承認を取得しました。
・抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体「GYM329/RG6237」は、2024年5月に、肥満症を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・アンジオテンシノーゲンに対するRNAi治療薬「RG6615」は、2024年6月に、高血圧を対象として第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・「BRY10」は、2024年9月に、慢性疾患を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
※本章において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
第3【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
当社グループは生産設備の増強・合理化及び研究開発機能の充実・強化などを目的とした設備投資を継続的に実施しております。当連結会計年度における設備投資額は527億円であります。
主要なものは、宇都宮工場における中後期治験薬製造から初期商用生産を担うバイオ原薬製造棟(UT3)建設、初期商用の無菌注射剤製造棟(UTA)建設、藤枝工場における低・中分子医薬品の後期開発用治験薬製造から初期商用生産を担う合成原薬製造棟(FJ3)建設への投資などであります。
※本項において、金額は億円未満を四捨五入しております。
2【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は次のとおりであります。
(提出会社)
(中外製薬工業株式会社)
(注)1.帳簿価額の内訳には、建設仮勘定は含まれておりません。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため「セグメントの名称」の記載を省略しております。
4.現在休止中の主要な設備はありません。
5.上記の他、主要な賃借設備として以下のものがあります。全て建物の賃借であります。
(提出会社)
(注)当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため「事業の種類別セグメントの名称」の記載を省略しております。
3【設備の新設、除却等の計画】
(1)重要な設備の新設等
重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
(中外製薬工業株式会社)
2024年12月31日現在
(注)1.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、「セグメントの名称」の記載を省略しております。
(2)重要な設備の除却等
重要な設備の除却等の計画はありません。
第4【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
②【発行済株式】
(注)提出日現在発行数には、2025年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
(2)【新株予約権等の状況】
①【ストックオプション制度の内容】
ストックオプションとしての新株予約権は、次のとおりであります。
2014年4月24日の取締役会決議にて発行した新株予約権は、2024年4月24日に行使期間が満了となりました。
※ 当事業年度の末日(2024年12月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2025年2月28日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注)1.当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により、新株予約権の目的である株式の数(以下、「付与株式数」という。)を調整するものとします。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で権利行使していない新株予約権の目的である株式の数について行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てるものとします。
調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割・併合の比率
また、上記のほか、付与株式数の調整を必要とするやむをえない事由が生じたときは、合理的な範囲で付与株式数を調整します。
2.新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの金銭の額(以下、「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とします。
なお、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、調整により生じる1円未満の端数は切り上げます。
また、時価を下回る価額で、新株を発行する場合または自己株式を処分する場合(新株予約権の行使の場合は除く。)は、次の算式により行使価額を調整し、調整により生じる1円未満の端数は切り上げます。
上記算式において「既発行株式数」とは、当社の発行済株式総数から当社が保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行」を「自己株式の処分」と読み替えるものとします。
さらに、上記のほか、行使価額の調整を必要とするやむをえない事由が生じたときは、合理的な範囲で行使価額を調整します。
3.「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」の発行価格は、公正な評価単価と行使時の払込金額の合計額を記載しております。
4.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換または株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生の時点において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という。)については、新株予約権の割当てを受けた者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号のイからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づきそれぞれ交付することとします。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとします。ただし、本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づき再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約または株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
5.2020年7月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
②【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
当該記載事項はありません。
(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】
(注)1.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.2020年1月21日開催の取締役会決議に基づき、2020年7月1日付で普通株式1株を3株の割合で株式分割を行い、発行済株式総数は1,119,371,778株増加し、1,679,057,667株となっております。
(5)【所有者別状況】
(注)1.自己株式33,531,864株は、「個人その他」の欄335,318単元、「単元未満株式の状況」の欄に64株を含めて記載しております。
2.証券保管振替機構名義の株式9,000株は、「その他の法人」の欄に90単元を含めて記載しております。
(6)【大株主の状況】
2024年12月31日現在
(注)1.当社は自己株式33,531,864株を所有しておりますが、上記大株主の状況の記載から除いております。
2.所有株式数は、千株未満を、また発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を、それぞれ切り捨てて記載しております。
(7)【議決権の状況】
①【発行済株式】
(注)「完全議決権株式(その他)」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が9,000株含まれております。また、「議決権の数」の欄には、同機構名義の完全議決権株式に係る議決権の数90個が含まれております。
②【自己株式等】
2【自己株式の取得等の状況】
(1)【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2)【取締役会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
(注)1.当期間における取得自己株式には、2025年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる自己株式数は含めておりません。
2.金額は千円未満を四捨五入して記載しております。
(4)【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注)1.当期間における処理自己株式数及び保有自己株式数には、2025年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取り買増し及びストック・オプションの権利行使による株式数は含めておりません。
2.金額は千円未満を四捨五入して記載しております。
3【配当政策】
資本配分に関する基本方針
当社は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」というミッションのもと、患者さんにとって真に価値あるソリューションを提供し、株主に安定的なリターンを提供できるよう、資本を適切に配分してまいります。
共有価値創造に向けての資本配分
1.革新的な医薬品の創出及び提供
当社は、独自のサイエンス力と技術力を核とした研究開発や高品質な製品・治験薬を安定的に供給する為の生産設備など、革新的な医薬品の創出及び提供に向けて資本を適切に配分します。
2.価値創造エンジンの拡大
創薬基盤強化による価値創造エンジンの拡大に向けて、オープンイノベーションを含む戦略的投資に積極的に取り組みます。
3.その他の投資機会
地球環境保全を始めとする社会課題の解決や当社の持続的成長に資するその他の投資機会も適切に評価します。
株主還元
当社は、戦略的な投資資金需要や業績見通しを勘案した上で、Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標といたします。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。
当事業年度は、中間配当として1株当たり41円、期末配当は1株当たり57円といたしました。これによりCore配当性向は40.6%(日本基準による単体配当性向は41.7%)となります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対し、中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度の剰余金の配当は以下のとおりであります。
(注)金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
4【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
中外製薬は、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことを存在意義(Mission)とし、「ロシュとの協働のもと、独自のサイエンス力と技術力を核として、患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなる」ことを目指す姿(Envisioned Future)に掲げております。
当社は、この経営の基本目標の実現に向け、ロシュ・グループの一員でありながら、独立した上場企業として経営の自主性・独立性を確保しつつ、さまざまなステークホルダーの負託に適切かつ公平に応えるため、「中外製薬株式会社コーポレートガバナンス基本方針」の定めるところにより、コーポレート・ガバナンスの充実に継続的に取り組みます。
① コーポレート・ガバナンス体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、独立した客観的な立場から取締役に対する実効性の高い監督を行うことを確保するため、会社法上の機関設計として、監査役会設置会社を採用しております。監査役の機能と併せ、独立社外取締役の登用により取締役会の機能を強化し、経営に対する監督機能のさらなる充実を図ることが合理的と判断し、現在の体制を採用しております。
取締役会は、株主に対する受託者責任及び説明責任を踏まえ、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、収益力・資本効率などの改善を図るため、経営戦略、経営計画その他当社の経営の重要な意思決定を行い、業務執行取締役による適切なリスクテイクを支える環境を整備するとともに、業務執行の監督を行っております。
監査役は、取締役会と協働して会社の監督機能の一翼を担い、株主の負託を受けた独立の機関として、会社の健全で持続的な成長を確保し、取締役の職務執行の監査を行うことにより、社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確保に努めております。監査役会は、監査に関する重要な事項について監査役から報告を受け、協議または決議を行っております。
また、経営の透明性及び公正性を担保するため、取締役会の任意の諮問機関として、指名委員会、報酬委員会及び特別委員会をそれぞれ設置しております。指名委員会は、取締役候補者に関する議案を審議するとともに、最高経営責任者を含む業務執行取締役の後継者計画及び取締役の解任に係る審議を行い、報酬委員会は、取締役の報酬に関する方針及び取締役の個別の報酬について審議を行っております。また、特別委員会は、親会社であるロシュと少数株主との利益が相反する可能性のある重要な取引・行為等について、審議・検討を行っております。
取締役会から委ねられた業務の執行にあたっては、最高経営責任者(CEO)が全社の経営戦略及び業務執行に関する意思決定について責任を担う体制としています。それらの重要な意思決定は、最高経営責任者(CEO)をはじめとする業務執行取締役及び主要な執行役員からなる経営会議にて行い、経営会議での重要な決定事項は取締役会に報告しております。また、業務の執行状況については四半期ごとに取締役会へ報告しております。なお、経営会議には常勤監査役も出席し、適正なガバナンスの観点から意見の表明を行っています。
さらに、グローバルな環境動向を踏まえたビジネス展開の助言を受けるために、国内外の各界専門家などで構成される諮問機関として、中外·インターナショナル·カウンシル(CIC)を設置しています。2024年よりメンバーシップを刷新し、意思決定のより一層の充実に努めております。
当社の設置する機関の構成は次のとおりであります。
イ.取締役会
取締役会は、さまざまな知識、経験、能力を有する者により構成し、取締役会全体として必要な専門性、能力、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む適切な多様性と規模を確保しております。また、取締役会は、東京証券取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において確保するため当社の独立性判断基準を策定し開示するとともに、取締役のうち3分の1以上を独立社外取締役として選任しております。
業務執行取締役候補者については、当社の経営を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者を、非業務執行取締役候補者については、当社の経営に関する監督及び助言の機能を適切に発揮するため、社外の企業経営者、医学専門家その他の学識経験者など、その経験、知識、専門性を考慮して、それぞれ選任しております。
取締役会は、業務執行取締役3名(代表取締役社長奥田修、取締役上席執行役員谷口岩昭、取締役上席執行役員飯倉仁)、独立社外取締役3名を含む非業務執行取締役6名(独立社外取締役桃井眞里子、独立社外取締役立石文雄、独立社外取締役寺本秀雄、非業務執行取締役トーマス・シネッカー、非業務執行取締役テレッサ・エイ・グラハム、非業務執行取締役ボリス・エル・ザイトラ)の9名で構成され、議長は、取締役会にて予め定めた取締役が務めることとしており、代表取締役社長奥田修が議長を務めております。
2024年度における具体的な検討内容は以下のとおりであります。
ロ.監査役会
監査役会は、監査役に必要な知識・経験・専門能力を有する者によって構成し、監査役会全体として専門性等のバランスを確保いたします。なお、社外監査役のうち1名は、財務及び会計に関する相当程度の知見を有する者であります。
監査役候補者については、経営上の意思決定や業務の執行状況に関し、適正な監査を遂行することができる知識・経験を有する者を、社外監査役候補者については、会計・法律等に関する豊富な知識・経験を有する専門家の中から、それぞれ選任しております。
監査役会は、常勤監査役2名(山田茂裕、樋口雅義)、社外監査役3名(独立社外監査役増田健一、独立社外監査役早稲田祐美子、独立社外監査役柚木真美)の5名で構成され、議長は、監査役会にて予め定めた常勤監査役が務めることとしており、常勤監査役山田茂裕または常勤監査役樋口雅義が議長を務めております。
監査役会の活動状況等につきましては、「(3)[監査の状況]① 監査役監査の状況」に記載しております。
ハ.指名委員会
指名委員会は、社内委員1名及び独立社外取締役1名以上を含む社外委員3名以上で構成するものとし、社内委員は代表取締役またはその経験者のなかから、社外委員は、独立社外取締役を含む非業務執行取締役またはその経験者のなかから取締役会が選任することとしております。現在の社内委員は代表取締役社長奥田修、社外委員は独立社外取締役立石文雄、独立社外取締役桃井眞里子、非業務執行取締役テレッサ・エイ・グラハムの3名であり、各委員の互選により選定された独立社外取締役立石文雄が議長を務めております。
2024年度における具体的な検討内容は以下のとおりであります。
ニ.報酬委員会
報酬委員会は、独立社外取締役1名以上を含む社外委員3名以上で構成するものとし、社外委員は、独立社外取締役を含む非業務執行取締役またはその経験者の中から取締役会が選任しております。現在の社外委員は、独立社外取締役立石文雄、独立社外取締役寺本秀雄、非業務執行取締役テレッサ・エイ・グラハム、非業務執行取締役トーマス・シネッカーの4名であり、各委員の互選により選定された非業務執行取締役テレッサ・エイ・グラハムが議長を務めております。
2024年度における具体的な検討内容は以下のとおりであります。
ホ.特別委員会
少数株主の利益を保護する体制として、特別委員会を設置しております。特別委員会は、ロシュと少数株主との利益が相反する可能性のある重要な取引・行為等について、取引の必要性と合理性、取引条件等の妥当性、公正性の観点から審議・検討し、取締役会に答申・報告を行っております。取引の重要度に鑑み、取締役会決議事項は取締役会に先立って審議し、経営会議決裁事項は定期的に報告を受けております。
特別委員会は、その独立性・客観性を確保するため、独立社外取締役または独立社外監査役からなる3名以上で構成するものとし、委員は取締役会が選任しています。現在の委員は、独立社外取締役立石文雄、独立社外取締役寺本秀雄、独立社外監査役増田健一の3名であり、各委員の互選により選定された独立社外取締役寺本秀雄が議長を務めております。
2024年度における具体的な検討内容は以下のとおりであります。同年の特別委員会において、少数株主の利益を毀損する旨の指摘がなされた取引案件はありませんでした。
(取締役会、指名委員会、報酬委員会及び特別委員会の出席状況)
2024年度における当社取締役会、指名委員会、報酬委員会及び特別委員会の、各取締役及び監査役の出席状況は以下のとおりであります。
(注)1.取締役山田尚文、板垣利明及び監査役二村隆章は2024年3月28日開催の第113回定時株主総会の終結の時をもって退任したため、退任までに開催された取締役会への出席状況を記載しております。
2.取締役ジェイムス・エイチ・サブリィは2024年6月30日をもって退任したため、退任までに開催された取締役会への出席状況を記載しております。
3.取締役谷口岩昭、飯倉仁及び監査役柚木真美子は2024年3月28日開催の第113回定時株主総会において選任され就任しておりますので、就任後に開催された取締役会への出席状況を記載しております。
4.指名委員会及び報酬委員会の開催回数には、書面による決議も含まれております。
ヘ.ガバナンス体制図

ト.内部統制システムの整備の状況
当社は会社法施行に伴い、当社グループの業務の適正を確保することを目的として、2006年5月18日、取締役会にて内部統制システムの整備について決議し、「内部統制システムに関する取締役会決議」を定めました。また、2017年には取締役会が取締役会機能を定期的に検証することを明記しました。決議の内容については、関連法制の動向や社会的な要請等を踏まえて適時に必要な改定を行うとともに、各決議項目の取組み状況については、業務執行部署へのヒアリング等を通じて定期的にモニタリングし、その結果を取締役会において報告しております。
<内部統制システムに関する取締役会決議>
1.取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・ 取締役及び使用人はその職務の遂行にあたり、別に定める「中外製薬グループ コード・オブ・コンダクト(CCC)」を遵守するものとする。
・ 法令等遵守の統轄部署としてリスク・コンプライアンス部を置く。
・ 監査部は、別に定める「内部監査基本規程」に基づき内部監査を行い、その結果を経営会議、監査役会、及び取締役会に報告するものとする。
・ 財務報告の信頼性を確保するための内部統制の体制を整備・運用し、適切に評価を行うものとする。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・ 取締役の職務遂行に係る文書及び情報については、別に定める「Record管理規程」及びその他社内規程に基づき適切に保存・管理を行うものとする。
・ 監査役会または監査役が要求した場合、当該文書は速やかに閲覧に供されるものとする。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制に関する事項については、別に定める「リスク管理規程」及びその他社内規程に基づき、企業活動に影響を及ぼすおそれのあるリスクの未然防止及びトラブル発生時における迅速・適切な対応を図るものとする。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・ 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するため、取締役会は各取締役の職務の執行を監督するものとする。
・ 取締役会の機能強化と迅速な意思決定を目的として、取締役員数の適正化と社外取締役の登用を行うとともに、業務執行における役割責任の明確化を目的とした執行役員制度を導入し、効率的な業務執行を図るものとする。
・ 取締役会が有効かつ効率的に機能しているかを定期的に検証し、その結果を踏まえ適切な措置を講ずるものとする。
・ 別に定める「決裁規程」に基づき、迅速効率的な業務執行を図るものとする。
5.株式会社並びにその親会社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
・ 別に定める「中外製薬グループ運営ポリシー」及び「中外製薬グループ管理ガイドライン(Global)」に基づき関係会社ごとに管理組織を設置し、関係会社の職務の執行に係る事項の報告に関する体制、損失の危険の管理に関する規程その他の体制、職務の執行が効率的に行われること及び法令や定款に適合することを確保する体制を構築するなど、中外グループにおける業務の適正運営に努めるものとする。
・ 監査部は、別に定める「内部監査基本規程」に基づき関係会社に対し、業務活動が法令及び定款等に準拠して適正かつ効率的に運営されているかを監査するものとする。
6.反社会的勢力排除に向けた体制
・ 「中外製薬グループ コード・オブ・コンダクト(CCC)」に基づき、反社会的勢力及び団体との一切の関係を排除するための社内体制を整備・維持するものとする。
7.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人にする体制
・ 監査役会及び監査役の職務を補助する組織として監査役室を設置する。
8.前項の使用人について、取締役からの独立性及び監査役の指示の実効性の確保に関する事項
・ 監査役室は監査役会直属の組織とし、専任の当該使用人を置き取締役からの独立性及び監査役の指示の実効性を確保するものとする。
・ 監査役室に所属する使用人の人事異動、人事評価、懲戒処分等、雇用に係る重要事項についてはあらかじめ監査役会の同意を得るものとする。
9.取締役及び使用人並びに子会社の取締役、監査役及び使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制
・ 取締役並びに子会社の取締役及び監査役は、監査役会が「監査役会規則」及び「監査役監査基準」に基づき定めた事項を監査役会に定期的に報告するものとする。
・ 本項の報告を行った者が、当該報告をしたことを理由として不利な取り扱いを受けないよう必要な措置を講ずるものとする。
10.その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・ 代表取締役は監査役会と定期的に会合を持ち、会社が対処すべき課題、監査役監査の環境整備の状況、監査上の重要課題について意見を交換し、相互認識を深めるよう努めるものとする。
・ 中外グループの取締役及び使用人は、監査役が別に定める「監査役監査基準」に基づき、監査を行う場合にはこれに協力するものとする。
・ 監査役の職務の執行について生ずる費用または償還の処理については、監査役の請求等に従い速やかに行うものとする。
チ.リスク管理体制の整備の状況
リスク管理につきましては、リスクの選好方針である「リスクアペタイト ステートメント」を定め、健全なリスクカルチャーの醸成に取り組んでおります。
また、リスクの対応策及びインシデント発生時の迅速・適切な対応を確保するために、「リスク管理ポリシー」に基づき「リスク管理規程」を制定し、経営会議の下部機関であるリスク管理委員会を設置しております。
リスク管理委員会は、リスク管理方針や当社グループの経営に重要な影響を及ぼすリスクとコンプライアンスの推進における重要課題の対応策や対応部門選定、その他個別の重要リスク事案に関する事項について議論するとともに、その対応策の進捗状況を経営会議及び取締役会に報告しております。
各部門に設置された部門リスク・コンプライアンス委員会は、自部門のリスクを抽出しその対応策を検討、推進することで部門のリスク低減、コンプライアンス推進に努めております。
なお、当社グループの企業活動に重大な影響を及ぼす緊急事態が発生した場合には、代表取締役を本部長とする緊急対策本部を設置しその対策にあたる体制としております。
リ.コンプライアンス推進体制の整備の状況
コンプライアンス推進につきましては、「コンプライアンスポリシー」に基づき「コンプライアンス規程」を制定するとともに、薬事規制、一般法令、業界基準、社内規程など、当社に関係するあらゆるコンプライアンスに対応するため、経営会議の下部機関としてコンプライアンス委員会を設置しております。
コンプライアンス委員会は、当社グループにおけるコンプライアンス状況を把握し、コンプライアンスに関する事項について、専門的かつ総合的に審議・推進するとともに、その状況を経営会議及び取締役会に報告しております。
コンプライアンスの状況につきましては、コンプライアンス統括機能(リスク・コンプライアンス部、信頼性保証ユニット)による監視・牽引・支援のもと、各組織に配置したコンプライアンスオフィサーや部門リスク・コンプライアンス委員会を通じて、タイムリーな報告・相談ならびに再発防止に努めております。また、法令や社内規程、CCCなどに関する従業員の通報・相談窓口を社内に設置するとともに、社外にもコンプライアンスの通報・相談窓口を設けており、問題等の早期発見と適切な対応に努めております。
ヌ.責任限定契約の内容の概要
当社は、非業務執行取締役及び監査役全員との間で、会社法第423条第1項の賠償責任について、法令に定める要件に該当する場合には賠償責任を限定する旨の契約(責任限定契約)を締結しております。当該契約に基づく賠償責任の限度額は法令で定める最低責任限度額であります。
ル.補償契約の内容の概要
当社は、当社の取締役及び監査役全員との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結しております。当該契約では、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内にて当社が補償することとしております。
ヲ.役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、優秀な人財確保及び職務執行の萎縮の防止のため、以下の内容を概要とする役員等賠償責任保険契約を締結しております。
①被保険者の範囲
当社の取締役、監査役及び執行役員
②被保険者の実質的な保険料負担割合
保険料は特約部分も含め会社負担としており、被保険者の実質的な保険料負担はありません。
③填補の対象となる保険事故の概要
特約部分も合わせ、被保険者である役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと、または当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害について填補します。ただし、法令違反の行為であることを認識して行った場合等一定の免責事由があります。
ワ.会計監査人・弁護士等その他第三者の状況
会計監査人である有限責任 あずさ監査法人には通常の会計監査を受けております。また、企業経営及び日常の業務に関して、必要に応じ、弁護士からアドバイスを受けております。
② 取締役の選解任に係る決議要件として定款に定めている事項
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行うことができる旨を定款に定めております。
また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨を定款に定めております。
③ 株主総会決議事項を取締役会で決議できる旨を定款に定めている事項
当社は以下の事項について株主総会の決議によらず、取締役会で決議することができる旨を定款に定めております。
・市場取引等による自己の株式の取得(経営環境の変化に対応した機動的な資本政策遂行を可能にするため)
・中間配当の実施(株主への機動的な利益還元を行うため)
④ コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組みの最近1年間における実施状況
2016年度より開始した取締役会全体の実効性評価について、2019年度から、外部視点や客観性をより強化することを目的に、外部専門家が事務局となり、アンケート項目の作成から行い、自己評価の根拠や自己評価結果に至るロジックの合理性などを分析、必要に応じて個別ヒアリングを行った上で、総合評価し、取締役会の課題や効果的な対応策を提言する方式を採用し、取締役会における意思決定及び監督の実効性を確認しております。また、取締役会における議論の活性化に必要な情報の提供及び社外役員相互の連携強化を目的とした「社外役員連絡会」の開催に加えて、取締役会においては、CEOから業界環境動向と当社の現況等の情報提供を実施し、社外取締役及び社外監査役の職務の執行が効果的かつ効率的に行われるよう関連情報の充実化を図っております。2023年からは独立社外取締役及び独立社外監査役のみで構成し、取締役会終了直後に行われる「社外役員取締役会アフターレビュー」を開催し、当社取締役会における課題や改善策の検討、他社事例の共有などを実施し、その内容の共有と必要に応じて取締役会議長への提案等を行っております。2024年からは実効性評価の結果を活用し、取締役会の実効性向上に資する施策を取締役会において策定しており、その1つとして、「Dialogue Discovery」と称し、普段リモートで取締役会に出席している海外在住の取締役も一堂に会し、事業理解、戦略議論の深耕及びコミュニケーションの促進を目的としたダイアログを実施いたしました。
上記に加え、取締役及び監査役を対象に、以下の取組みを行っております。
*1 マネジメントを対象とし全社方針の共有を目的とした会議
*2 ヘルスケア産業のトップイノベーターの実現を目指して、各エリアで展開されている組織・チーム・個人の活動を学会という形で営業本部全体で共有し、活動の強化・研鑽とさらなる探求心の醸成を促し実行を推進することを目的とした活動
*3 目的
A:当社の取締役として期待される役割・機能を果たすために、必要となる知識の習得・向上
B:取締役会における議論の活性化に資する事業等の理解促進に向けた情報提供
C:社外役員の相互連携の強化
(2)【役員の状況】
① 役員一覧
男性10名 女性4名 (役員のうち女性の比率29%)
(注)1.取締役のうち、桃井眞里子、立石文雄、寺本秀雄は、社外取締役であります。
2.監査役のうち、増田健一、早稲田祐美子、柚木真美は、社外監査役であります。
3.監査役柚木真美の戸籍上の氏名は、加藤真美であります。
4.当社では、取締役会の一層の活性化を促し、取締役会の意思決定・業務執行の監督機能と各事業部の業務執行機能を明確に区分し、経営効率の向上を図るために執行役員制度を導入しております。
5.当社は2024年3月28日開催の第113回定時株主総会にて、定款第19条に定める取締役の任期を2年から1年に変更しております。取締役の任期は、2025年3月27日開催の第114回定時株主総会における選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する株主総会の終結の時までであります。
6.当社では監査役の任期を、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと規定しております。なお、上記の監査役5名のうち山田茂裕、早稲田祐美子は2023年3月に、増田健一、柚木真美は2024年3月にそれぞれ選任(再選を含む)、樋口雅義は2025年3月に選任されております。
7.上記の「所有株式数」には、当社役員持株会における本人の持分数を含めております。
② 社外取締役及び社外監査役の状況
イ.社外取締役及び社外監査役の員数
当社の社外取締役は3名、社外監査役は3名であります。
ロ.社外取締役及び社外監査役と提出会社との人的関係、資本的関係または取引関係その他の利害関係について
当社と当社の社外取締役及び社外監査役との間に特段の利害関係はありません。
ハ.社外取締役及び社外監査役が提出会社の企業統治において果たす機能及び役割
当社は、より広いステークホルダーの視点を経営の意思決定に反映させるべく、社外取締役を登用しています。社外取締役には、それぞれ企業経営者あるいは医師・大学教授としての豊富な経験・知識等から、当社の経営に関する適切な監督・助言等を行っております。
社外監査役は、企業法務、企業会計等の専門家としての豊富な経験・知識等から当社の経営に関し適宜発言等を行っております。
ニ.社外取締役及び社外監査役の選任状況に関する提出会社の考え方
当社は、社外取締役については、当社の経営に関する監督及び助言の機能を適切に発揮するため、社外の企業経営者、医学専門家その他の学識経験者など、その経験、知識、専門性を考慮して選任することとしており、社外監査役については、法律・会計等に関する豊富な知識・経験を有する専門家の中から選任することとしております。
また、取締役会は、株式会社東京証券取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において確保するため当社の独立性判断基準を策定し開示するとともに、取締役のうち3分の1以上を独立社外取締役として選任することとしております。
社外取締役の桃井眞里子は、医師・大学教授としての豊富な経験・知識等に加え、大学・病院等の組織マネジメント経験等から、当社の経営に関する監督・助言等を、社外取締役として適切に行っております。また、桃井眞里子は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。社外取締役の立石文雄は、長年のグローバルでの企業経営の経験及びサステナビリティ・ESGに関する高い見識等から、当社の経営に関する監督・助言等を、社外取締役として適切に行っております。また、立石文雄は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所へ届け出ております。社外取締役の寺本秀雄は、企業経営に関する豊富な経験・知識に加え、金融及び財務・会計等に関する高い見識等から、当社の経営に関する監督・助言等を、社外取締役として適切に行っております。また、寺本秀雄は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。
社外監査役の増田健一は、企業法務専門家(弁護士)としての豊富な経験・知識等から、社外監査役として適切に監査を行っております。また、増田健一は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。社外監査役の早稲田祐美子は、企業法務及び知的財産法の専門家(弁護士・弁理士)としての豊富な経験・知識等から、社外監査役として適切に監査を行っております。また、早稲田祐美子は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。社外監査役の柚木真美は、企業会計専門家(公認会計士)としての豊富な経験・知識等から、社外監査役として適切に監査を行っております。また、柚木真美は株式会社東京証券取引所が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、独立役員として指定し、同取引所に届け出ております。
ホ.内部監査、監査役監査及び会計監査との相互連携並びに内部統制部門との関係
社外取締役は、取締役会を通じて、内部監査の結果及び内部統制部門による取り組みの状況を把握し、中立・専門的観点から発言できる体制としております。また、定期的な会合をもつことにより、監査役との連携を図っております。
社外監査役は、取締役会・監査役会等を通じて内部統制に関する情報を入手し、必要に応じて説明を求め、意見を述べることができる体制としております。また、監査部より内部監査計画・結果等、会計監査人より会計監査計画・結果等の説明・報告を受け、意見交換を行い、連携を図る体制を構築しております。
(3)【監査の状況】
① 監査役監査の状況
イ.監査役監査の組織、人員
当社は常勤監査役2名、社外監査役3名で構成される監査役会を設置しております。また、社外監査役1名は、公認会計士の資格を有しており、財務及び会計に関する相当程度の知見を有しております。
なお、監査役の独立性の保持と監査機能の充実を図るため、監査役会直属の組織として、監査役を補佐する監査役室を設けております。監査役室の業務執行からの独立性を確保するため、監査役室に所属する使用人の人事異動、人事評価、懲戒処分等、雇用に係る重要事項についてはあらかじめ監査役会の同意を得るものとしております。
ロ.各監査役の専門性及び経験
ハ.監査役会の開催頻度、個々の監査役の出席状況
2024年度における監査役会の開催回数は11回であり、一回あたりの平均所要時間は約2時間41分でした。各監査役の出席状況については、以下のとおりであります。
(注)1.二村隆章は2024年3月28日開催の第113回定時株主総会の終結の時をもって退任したため、退任までに開催された監査役会への出席状況を記載しております。
2.柚木真美は2024年3月28日開催の第113回定時株主総会において選任され就任しておりますので、就任後に開催された監査役会への出席状況を記載しております。
ニ.監査役会における具体的な検討内容
2024年度における具体的な検討内容は以下のとおりであります。法令・定款及び監査役会規則における決議・協議を行うとともに、監査役及び監査部・会計監査人等からも報告・説明を受け意見交換を行い、取締役の職務の執行状況及び内部統制システムの整備・運用状況について確認・検討いたしました。
ホ.監査役の活動状況
2024年度における活動状況は以下のとおりであります。常勤監査役は監査役会での議長を務めるほか、重要会議への出席、社内組織長との面談及び往査の実施、使用人や監査部・会計監査人との意見交換等を通じて、積極的に社内の状況把握に努めています。また、状況把握の結果を監査役の気づきとして、取締役との面談時や監査部・会計監査人との意見交換時に共有・提言を行っています。
② 内部監査の状況
内部監査組織としては、公認内部監査人や公認不正検査士を擁する監査部(現在19名)を設置しています。監査部は、業務活動の有効性・効率性及びコンプライアンスなどの観点から子会社を含むグループ全体の業務執行状況の監査を実施し、経営会議に報告・提言すると共に、取締役会及び監査役会にも直接報告を行うことで内部監査の実効性を確保しています。さらに、子会社監査役については、監査部員が担当する体制をとっています。子会社監査役は、上半期報告・期末報告などを通じて監査役と連携を行い、グループ企業のガバナンス強化に努めております。また、金融商品取引法に基づく財務報告の信頼性を確保するため、一般に公正妥当と認められる内部統制の基準に準拠して有効な内部統制が整備・運用されていることを評価しています。監査の相互補完及び効率性の観点から、監査部、監査役、会計監査人の三者は双方向的な情報交換を定期的に行い、緊密な連携を図りながら監査にあたっています。
③ 会計監査の状況
イ.監査法人の名称
有限責任 あずさ監査法人
ロ.継続監査期間
14年間
ハ.業務を執行した公認会計士
(注)1.継続監査年数につきましては、全員7年以内であるため、記載を省略しております。
2.同監査法人はすでに自主的に業務執行社員について、当社の会計監査に一定期間を超えて関与することがないよう措置をとっております。
ニ.監査業務に係る補助者の構成
監査業務に係る補助者は公認会計士11名、その他34名で構成されています。
ホ.監査法人の選定方針と理由
当社は、財務経理部・監査部等の社内関連部門において、IFRSを中心とした専門性、製薬会社に対する会計監査経験、監査方針及び手続き、監査報酬等に加え、親会社であるロシュとの連携の視点も踏まえ、会計監査人候補となる監査法人を選定しております。その結果を受け、監査役会は「会計監査人の評価基準」に基づき独立して評価を行い、会計監査人として相当だと判断しております。
なお、監査役会は、会計監査人について、その適格性、独立性を害する事由等の発生により、適正な監査の遂行が困難であると判断した場合には、当該会計監査人の解任又は不再任を株主総会の会議の目的とすることとします。また、監査役会は、会計監査人について会社法第340条第1項各号のいずれかに該当すると判断した場合には、監査役全員の同意により当該会計監査人を解任いたします。
ヘ.監査役及び監査役会による監査法人の評価
監査役会は、監査役会で策定した「会計監査人の評価基準」に基づき、監査品質、監査チームの専門性・独立性、監査報酬等の評価項目について監査法人及び財務経理部・監査部等から情報を収集した上で詳細な検証を実施し、監査法人を総合的に評価しております。
④ 監査報酬の内容等
イ.監査公認会計士等に対する報酬の内容
(注)金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
前連結会計年度、当連結会計年度とも、非監査業務の内容については、該当事項はありません。
ロ.監査公認会計士等と同一ネットワーク(KPMG)に対する報酬(イ.を除く)
(注)金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
前連結会計年度、当連結会計年度とも、当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、主に税務コンサルティング業務等です。
ハ.その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
前連結会計年度、当連結会計年度とも、該当事項はありません。
ニ.監査報酬の決定方針
会計監査人から監査実績、監査計画及びそれらを踏まえ算出された監査報酬額について説明を受け、当社の事業規模、業務の特性、監査時間等を勘案した上で、監査役会の同意を受けて決定しております。
ホ.監査役会が会計監査人の報酬に同意した理由
監査役会は、会計監査人から前事業年度の監査計画と実績の比較、当事業年度の監査計画・監査予定時間・報酬単価等について説明を受け、社内関連部門の見解を確認の上検討した結果、会計監査人の報酬等の額は合理的な水準であると判断し、会社法第399条第1項の同意を行っております。
(4)【役員の報酬等】
① 役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
(注)1.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.上記には、当事業年度中に退任した取締役2名、監査役1名を含んでおります。
3.上記の賞与の額は、当事業年度に係る役員賞与実額であります。
4.上記の譲渡制限付株式報酬(勤務継続型、業績連動型)の額は、各譲渡制限付株式報酬として当事業年度に費用計上した額であります。
② 提出会社の役員ごとの報酬等の総額等
(注)1.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.代表取締役の報酬等の総額等を記載しております。
3.上表記載の代表取締役以外の役員で、報酬等の総額が1億円以上である者はおりません。
③ 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法
取締役及び監査役の報酬は、優秀な人財の確保と適切な動機づけにより当社の企業価値の持続的向上を実現することを企図して設計しております。当社は、報酬委員会の審議を経て、取締役会決議で定めた取締役報酬規程及び取締役報酬基準において、取締役の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法を定めています。各項目については以下に記載しております。
業務執行取締役の報酬については、報酬と業績及び株主価値との連動性をより一層明確にし、取締役の業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的に、固定報酬である定例報酬に加えて、各事業年度の業績等に応じて支給される短期インセンティブとしての賞与及び中長期的な業績に連動する長期インセンティブとしての譲渡制限付株式報酬(勤務継続型、業績連動型)により構成されます。これらの個人別の報酬等の内容(総報酬額及び各報酬の割合)は、報酬委員会の審議を経て、取締役会にて決定することとしております。
また、社外取締役を含む非業務執行取締役の報酬については、固定報酬である定例報酬のみとし、個人別の金額は、人財獲得における市場競争力確保を可能とする報酬水準決定のため、報酬委員会の答申に従い、取締役会の委任を受けた最高経営責任者(CEO:奥田修)が決定することとしております。業務執行取締役を排した報酬委員会において審議・検討し、その答申が尊重され決定に至る手続きとすることにより、透明性及び客観性を確保しております。
取締役会は、取締役会及び報酬委員会における審議や報告等を通じて、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容は決定方針に沿うものであることを確認しております。
なお、監査役の報酬は、固定報酬である定例報酬のみとしております。
<報酬水準>
取締役の報酬水準については、優秀な人財の確保と適切な動機づけを可能とする市場競争力のある報酬水準を目標としており、事業年度ごとに、外部専門機関の調査結果に基づき、国内大企業及び国内医薬品企業からなる報酬ベンチマーク企業群の水準を参考に、各取締役の役割及び職責等を踏まえ、報酬委員会の審議を経て決定しております。
<報酬構成>
当事業年度における業務執行取締役の業績連動報酬割合(賞与+譲渡制限付株式報酬の割合。100%支給時を前提として算出)については、最高経営責任者(CEO)は、「基本報酬(35%)、賞与(30%)、株式報酬(35%)」を目安とし、他の業務執行取締役は、最高経営責任者(CEO)の構成割合に準じて職責等を勘案して各報酬の構成割合を決定しております。
当社の取締役及び監査役の報酬の構成
<業績連動報酬に係る指標及び支給額の決定方法>
(ⅰ)賞与
短期インセンティブとなる賞与は、役位別に定められる基準額に対し、各事業年度の公表予想をベースとした全社業績及び個人業績による総合評価に応じた評価係数を乗じ決定しております。全社業績の評価指標は、各事業年度のCore営業利益、売上収益、研究開発業績及び全社課題等の達成状況、個人業績の評価指標については、担当業務の業務目標達成に向けた施策及びESGにかかる課題等の達成状況とし、報酬委員会における審議を経て、取締役会にて基準額の0%~200%の範囲で支給額を決定しております。当該評価指標を選択した理由並びに主要な評価指標に係る目標及び実績は、下表のとおりです。
(ⅱ)譲渡制限付株式報酬
長期インセンティブとなる譲渡制限付株式報酬は、3~5年間の譲渡制限期間が付された勤務継続型譲渡制限付株式と業績連動型譲渡制限付株式をそれぞれ50%の割合で付与します。付与する株式数は、役位・職責等に応じて定められる基準額を、取締役会における割当決議前日の株式会社東京証券取引所の当社株式の普通取引の終値で除した株式数を付与し、譲渡制限期間中、継続して当社の取締役の地位にあったことを条件として、付与した株式について譲渡制限期間が満了した時点で譲渡制限を解除します。業績連動型については、さらに国内医薬品企業の株主総利回りと当社の株主総利回りの比較結果(評価期間:3事業年度)に基づき譲渡制限を解除する株式数を0%~100%の範囲で決定します。なお、2022~2024年度を評価期間とする当社の株主総利回りは+81%、国内医薬品企業11社中2位という結果から、当事業年度の業績連動型の解除率は100%としております。
当該評価指標を選択した理由並びに主要な評価指標に係る目標及び実績は、下表のとおりです。
<報酬委員会の活動概要>
取締役の個別報酬については、役員報酬制度に関する専門的知見や経営者報酬を取り巻く環境変化等を十分に把握したうえで審議を進めるため、外部専門機関の調査結果を踏まえながら、取締役会によって選任された独立社外取締役1名以上を含む3名以上の社外委員で構成する報酬委員会にて審議することで、ステークホルダーに対する説明責任を果たしうる決定プロセスの透明性及び客観性を担保しております。
[役員報酬等にかかる株主総会の決議年月日及び決議内容]
(5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は保有する投資株式について以下のとおり区分しております。
純投資目的:専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的に株式を保有する場合
純投資目的以外:純投資目的に区分されない株式を保有する場合
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
当社は、当社の持続的な中長期的な企業価値の向上に資するため、医薬品販売等における取引または金融取引等の取引関係の維持・強化など経営戦略の一環として、必要と判断する企業の株式のみ保有し、また資本効率やリスク・リターンの観点などから適切な水準となるよう縮減に努めることを基本方針としております。個別の政策保有株式について、保有目的の適切性、保有に伴う資本効率や取引の合理性等を具体的に精査し、保有の適否について取締役会で定期的に検証しております。
ロ.銘柄数及び貸借対照表計上額
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
ハ.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
該当事項はありません。
みなし保有株式
該当事項はありません。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式
該当事項はありません。
第5【経理の状況】
1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1)当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第312条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
本報告書の連結財務諸表等の金額の表示は、百万円未満を四捨五入して記載しております。
(2)当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)に基づいて作成しております。
本報告書の財務諸表等の金額の表示は、百万円未満を四捨五入して記載しております。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しております。
2.監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2024年1月1日から2024年12月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2024年1月1日から2024年12月31日まで)の財務諸表について、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。
3.連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備について
当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。
具体的には、会計基準等の内容を適切に把握するため、公益財団法人財務会計基準機構へ加入し、同機構や独立監査法人、その他関係団体が主催するセミナー等に参加しております。
また、IFRSの適用については、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準を把握するとともに、IFRSに準拠するための社内規程やマニュアルを整備し、それらに基づいて会計処理を行っております。
1【連結財務諸表等】
(1)【連結財務諸表】
①【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
【連結包括利益計算書】
②【連結財政状態計算書】
③【連結キャッシュ・フロー計算書】
④【連結持分変動計算書】
【連結財務諸表注記】
1.重要な会計方針等
(1)作成の基礎
この連結財務諸表は、日本(東京)に所在し、東京証券取引所に上場(証券コード:4519)している中外製薬株式会社及びその子会社の連結財務諸表です。この連結財務諸表は、2025年3月27日に、当社最高経営責任者である代表取締役社長奥田修及び最高財務責任者である取締役上席執行役員谷口岩昭によって承認されております。
ロシュ・ホールディング・リミテッドはスイス証券取引所に上場し、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に準拠し業績を開示しているロシュグループの親会社です。当社グループはロシュとの戦略的アライアンスの締結により2002年10月よりロシュグループの主要なメンバーになっております。ロシュ・ホールディング・リミテッドは、当社株式の発行済株式総数のうち59.89%(発行済株式総数から自己株式を控除したベースでは61.11%)を所有しております。
当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。)第1条の2第1号に定める指定国際会計基準特定会社の要件を満たすことから、同第312条の規定によりIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。
連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示し、百万円未満を四捨五入しております。公正価値による測定が要求されている一部の項目を除き、測定は取得原価に基づいております。
(2)重要な会計上の判断、見積り及び前提
連結財務諸表の作成にあたっては、収益、費用、資産、負債及び偶発事象に係る報告金額に影響を与える判断、見積り及び前提の設定を行うことを経営者に求めております。これらの見積りは実際の結果と異なる可能性があります。見積りやその基礎をなす前提は、過去の経験や多くの要因に基づいて設定しており、継続的に見直しを行っております。見積りの変更による影響は、見積りの変更が行われた会計期間に認識しております。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える判断、見積り及び前提に関する情報は、原則として前連結会計年度と同様であります。
現時点で入手可能な情報に基づき適切に設定されていると考える重要な会計上の判断、見積り及び前提に関する情報は以下のとおりです。
収益:
製商品売上高は、売上割戻や値引、返品等を控除した金額で計上しております。売上割戻は見積額を流動負債へ計上しております。売上割戻の見積りは、契約上または法律上の義務や過去の傾向・実績値に基づく分析を基礎に行っております。製商品売上高から控除される金額は経営者の見積りに基づいているため、より有用な情報を入手できる場合に変更される可能性があります。このような変更が生じた場合、将来の製商品売上高に影響を与える可能性があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しています。
技術等の導出契約には、導出以降の義務が一切ない場合、または研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合があります。これらは、契約一時金やマイルストン収入、サービス償還費の組み合わせによって決まります。これらの関与が単一もしくは複数の履行義務かについては、単純なものではなく、判断が必要となります。この判断に基づいて、収益は一時の収益として、または、履行義務が充足される一定期間に渡る収益として認識されることになります。受領対価に変動性がある場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しています。
なお、当社グループは約束した財又はサービスを顧客に移転する時点と顧客が当該財又はサービスに対して支払を行う時点との間の期間が1年以内となると見込んでいる場合には、約束した対価の金額を重大な金融要素の影響について調整しないことを認める実務上の便法を採用しております。
減損損失:利用可能でない製品関連無形資産は、減損の判定を毎年行っております。有形固定資産、使用権資産及び利用可能な無形資産は、減損の兆候がある場合に減損の判定を行っております。減損の必要性を評価するため、将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。割引将来キャッシュ・フローによるこのような見積りは、実際の結果と大きく異なる可能性があります。割引率の変更、建物、機械装置及び備品等について予定していた使用方法からの変更、使用中止、競合相手の有無、技術の陳腐化、または資産計上にあたって想定した製商品売上高からの低下といった変化がある場合には、耐用年数の短縮または減損を行う可能性があります。
退職後給付:当社グループは、確定給付型の退職後給付制度を設けており、当該制度から認識される資産及び負債の公正価値は、統計及び年金数理計算に基づいて測定されております。重要な見積りが求められる確定給付負債(資産)の測定にあたっては、割引率及び死亡率の変動などの影響を受けます。年金数理計算上使用される見積りに対する仮定は、市場や経済状況、加入者の余命及びその他の評価に含まれる要素により、実際の結果と大きく異なる可能性があります。このような前提に変更があった場合には、連結財政状態計算書に計上される将来の資産または負債に影響を与える可能性があります。
訴訟:訴訟関連損失は、資源の流出の可能性が高く、信頼性のある金額を見積ることができる場合に計上されます。信頼できる見積りができない場合、引当金は計上されませんが、重要性がある場合には偶発負債として開示しております。これらの見積りにあたり、個々の訴訟案件の特徴や関連する法的判断を考慮しております。しかし、訴訟には高度な複雑性があるため、訴訟関連損失の見積りは不確実性を伴います。また、新たな事実の発見や訴訟案件の進展により、時間の経過に伴い見積りが大幅に変更される可能性があります。
環境対策:環境対策引当金は、資源の流出の可能性が高く、金額を合理的に見積ることができる場合に計上されます。環境対策引当金の主なものは、汚染場所の原状回復、埋め立て、特定の場所に存在する汚染物質の処理等のための費用です。これらの見積りは、新たな汚染場所の検出、修復の方法や程度、修復場所にある問題物質のうち当社グループに帰属する割合、潜在的な他の責任当事者の財政能力等の不確実性に大きく依拠しております。また、新たな事実の発見や個々の環境修復の進展により、時間の経過に伴い見積りが大幅に変更される可能性があります。
法人所得税:見積りの不確実性は法人所得税に係る未収及び未払法人所得税並びに繰延税金資産及び負債の測定に大きな影響を与えます。このような見積りは、見積時点で適用される税法や規制等に関する解釈に基づいて行っております。税務ポジションが不確実である場合、未払法人所得税には特定の状況や当社グループの過去の経験に基づいて生じると見込まれる最終的な債務に関する経営者の最善の見積りが含まれます。税法や規制もしくは税率の改定、税法もしくは規制の解釈の変更、研究開発費の動向または税引前利益の変化といった要因が未収及び未払法人所得税並びに繰延税金資産及び負債の測定に影響を与える可能性があります。
リース(借手側):当社グループは、リースの借手となる場合、契約がリース又はリースを含んだものであるかどうかを判断し、リース期間を決定します。契約がリース又はリースを含んだものであるかどうかの判断は、対象資産が特定され、かつ、特定された資産の使用を借手が支配しているかどうかで行います。支配とは、借手が資産を使用する期間にわたって、借手が特定された資産の使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有しており、かつ、借手が特定された資産の使用を指図する権利を有している場合を言います。リース期間を決定するためには、借手がリースを延長するオプションを行使すること又はリースを解約するオプションを行使しないことへの経済的インセンティブを生じさせるすべての関連性のある事実及び状況を考慮した上で、延長オプション又は解約オプションを行使するか否かを判断する必要があります。見積りには追加借入利子率に基づく割引率の計算を含みます。
(3)会計方針
連結の基礎
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンの額に影響を与える能力を有する場合をいいます。会計期間内に買収した企業は当社グループに支配が移行した日をもって連結を行い、一方、売却する子会社は当社グループの支配が喪失する日まで連結しております。
子会社との債権債務残高、取引高及びグループ内取引によって発生した未実現利益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。親会社の子会社に対する持分の変動は、子会社の支配の獲得後に生じ、子会社に対する支配の喪失とならない場合は資本取引としております。
関連会社とは、当社グループにより支配されていないが、その財務及び経営方針に対して重要な影響力を行使している、または行使するパワーを有している企業をいい、関連会社への投資は持分法によって処理しております。
外貨換算
当社グループの在外子会社は、原則として現地通貨を機能通貨としておりますが、一部、その企業の活動する経済環境が主に現地通貨以外である場合には、現地通貨以外を機能通貨としております。当社グループの外貨建取引は取引日時点での為替レートを適用してそれぞれの機能通貨に換算しております。適格なキャッシュ・フロー・ヘッジはその他の包括利益として繰り延べられますが、外貨建取引の決済並びに外貨建貨幣性資産及び負債の期末日における評価で生じる損益はその期間の純損益に認識しております。
連結財務諸表作成に際し、日本円以外を機能通貨としている在外子会社の資産及び負債は、期末時点の為替レートを適用し日本円に換算しております。損益及びキャッシュ・フローは、期中平均為替レートで日本円に換算しております。期首と期末の換算レートの差による換算差額及び損益に係る期中平均為替レートと期末時点の為替レートによる換算差額はその他の包括利益に直接計上しております。
収益
製商品売上高:製商品の販売は「製商品売上高」として計上しております。
製商品売上高は、製商品の支配が顧客に移転することによって顧客との契約における約束(履行義務)が充足されたときに認識しております。約束された製商品の支配とは、当該製商品の使用を指図し、当該製商品からの残りの便益のほとんどすべてを獲得する能力を指しております。支配は、引き渡しと顧客検収条項に従い、一般的に出荷もしくは引き渡し、顧客の製商品の受領時に移転します。当社グループは、製商品が顧客に引き渡された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。製商品売上高(取引価格)は製商品と交換に当社グループが受け取ると見込んでいる対価の金額であり、消費税など第三者のために回収する金額を除いております。当社グループは約束した製商品が顧客に移転する前に対価を受領、もしくは受領が確定している場合は繰延収益(契約負債)を認識しております。
その他の売上収益:その他の売上収益にはロイヤルティ収入、ライセンス導出契約からの収入、協同パートナーとの利益分配契約からの収入等が含まれます。
知的財産のライセンスと交換に約束した売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティに係る収入は、その後の売上または使用に基づき認識しております。
ライセンス導出契約からの収入は通常、製品や技術に関する知的財産をライセンスとして第三者に供与し、契約一時金、マイルストン及びその他類似した支払いの受領から発生します。ライセンス導出契約には、導出以降の義務が一切ない場合、または研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合があります。導出されるライセンスは、通常は知的財産を使用する権利であり、一般的に固有のものであります。そのため、ライセンス導出契約に複数の履行義務が含まれている場合、残余アプローチによりそれぞれの履行義務に対する取引価格を配分しております。契約一時金及びその他のライセンス収入は、残余アプローチを使用し収入の一部を他の履行義務に繰り延べない限り、通常はライセンスの供与をもって認識しております。導出以降の履行義務に対応する繰延収益に関しては、それぞれの履行義務を充足した時に、負債の認識の中止及び収益の認識をしております。マイルストン収入はマイルストン条件を達成する可能性が非常に高く、収益の戻入のリスクが非常に低くなった時点で認識しております。当社グループは、当該履行義務が充足された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
協同パートナーとの利益分配契約からの収入は、協同パートナーが売上と売上原価を計上する際に認識しております。当社グループは、当該履行義務が充足された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
売上原価
売上原価は、売上収益に対応する直接原価、製造間接費及びサービス費用を含みます。支払ロイヤルティをはじめ、売上収益の計上に係る業務提携や技術導入等に由来する費用についても売上原価として計上しております。設備のバリデーション(性能が確保されていることを検証すること)完了から生産能力を通常生産レベルに引き上げるための製法検討費用は、発生主義で費用としております。
研究開発
次のような内部研究開発活動は、発生した時点で費用としております。
・新しい科学的または技術的知識の取得のための内部研究費用
・商用生産に向けた研究成果やその他知識の応用により発生する内部開発費用
当社グループで実行される開発プロジェクトに係る費用は、技術、薬事規制及びその他の不確実性に左右されるため、主要市場での規制当局による販売承認を得るまでは無形資産の計上要件を満たしていないと判断しております。
・医薬品として製造販売承認後の臨床試験(フェーズ4)等に係る費用
通常、当該費用には承認後の安全性調査や承認条件として承認後も継続される臨床試験等を含みます。フェーズ4試験は、規制当局から実施を要求されることがあるほか、安全性または適正使用の検証のために自ら実施することもあります。これらのフェーズ4試験の結果からは、信頼性をもって測定でき、単独で識別可能な将来の経済的便益の増加を見込むことができないと判断しているため、これに係る費用は無形資産として資産化しておりません。
技術導入契約、企業結合または個別の資産購入によって獲得された仕掛中の研究開発は無形資産として資産化しております。これらの獲得された資産は、当該研究開発が最終的に製品になるかどうかの不確実性は存在したとしても、当社グループによって支配されており、かつ単独で識別可能で、将来の経済的便益の流入が期待されます。したがって、承認前の医薬品や化合物に係る第三者への契約一時金やマイルストンの支払は、無形資産として認識しております。このような契約を通じて獲得された資産は無形資産の会計方針に基づいて測定しております。無形資産の取得後、当社グループ内部で引き続き行われる研究開発の費用は、他の内部研究及び内部開発と同様に処理しております。研究開発が戦略的提携の契約に係る場合、当社グループは契約一時金またはマイルストンの支払が研究開発への資金提供に該当するか、それとも資産獲得に該当するかの検討を行っております。
従業員給付
短期従業員給付である賃金及び給料、社会保険料、有給休暇、賞与並びにその他の非貨幣性給付は、当社グループの従業員が勤務を提供した期間に費用として計上しております。当社グループは、賞与等の支払について、契約上の義務や過去の勤務の結果、推定的債務を負っている場合に負債として認識しております。
当社グループが通常の退職日より前に従業員の雇用を終了する場合または従業員が給付と引き換えに自主退職を受け入れる場合には、割増退職金が支払われることがあります。割増退職金は、当社グループが当該給付の申し出を撤回できなくなった時点または関連する事業所再編費用を認識した時点のいずれか早い時点で認識しております。
退職後給付
確定拠出制度については、当社グループが支払う拠出額を、従業員が関連する勤務を提供した会計期間の営業損益に含めて計上しております。
確定給付制度については、制度債務の現在価値と制度資産の公正価値の純額を、負債または資産として連結財政状態計算書に計上しております。
確定給付負債(資産)の純額の変動は次のように計上しております。当期勤務費用は営業損益に含めております。過去勤務費用及び制度清算に伴う損益は発生時にその他の営業収益(費用)として認識しております。また、確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は金融費用として計上しております。数理計算上の仮定の変更や見積りと実績との差異に基づく数理計算上の差異及び制度資産に係る収益(確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額に含まれる金額を除く)は、その他の包括利益に計上しております。確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は、制度資産に係る利息収益及び制度債務に係る利息費用から構成されております。利息純額は、期首の確定給付負債(資産)の純額に期中の拠出及び給付支払いによる変動を考慮し、制度債務の現在価値の測定に用いられるものと同じ割引率を乗じて算定しております。
ある確定給付制度の積立超過を他の制度の債務を決済するために使用できる法的権限を当社グループが有している場合を除いて、制度間の資産と負債は相殺しておりません。
株式報酬
取締役及び一部の従業員に付与される新株予約権及び譲渡制限付株式は、付与日の公正価値で見積り、権利確定までの期間にわたり営業費用として計上し、同額を連結財政状態計算書の資本として認識しております。確定した権利の行使が発生した際のキャッシュ・フローについても、資本の増加として計上しております。
有形固定資産
有形固定資産の取得原価は、当初、購入に要した支出または建設に要した原価により計上しております。取得原価には、会社が意図した場所や状態で稼動を可能にするために必要となる費用、例えば、準備、据付、組立の費用や専門家への報酬を含みます。バリデーション(性能が確保されていることを検証すること)費用を含む、取得した資産が適切に機能しているかどうか確認を行う試験の費用は、当初の建設に要した取得原価に含めております。
土地を除く有形固定資産は、定額法により減価償却を行っております。減価償却に係る見積耐用年数の主なものは以下のとおりです。
構築物 40年
建物 10年~50年
機械装置及び備品 3年~15年
有形固定資産が複数の構成要素に分割できる場合には、その構成要素ごとに、それぞれ該当する耐用年数を適用しております。資産の耐用年数の見積りは定期的に見直しを行い、必要がある場合には耐用年数の短縮を行っております。修繕及び保守費用は発生した時点で費用としております。
リース(借手)
当社グループは、契約の締結時において、当該契約がリース又はリースを含んだものであるかどうかを判断します。契約が、特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいます。
当社グループは、リース又はリースを含んだ契約について、リースの開始時点において使用権資産とリース負債を認識します。ただし、リース期間が12か月以内に終了する短期リース及び原資産が少額であるリースは、それぞれのリース期間にわたり定額法に基づき費用として認識されます。
リース負債は、開始日において支払われていないリース料の現在価値で測定されます。当該リース料は、リースの計算利子率もしくはリースの計算利子率を容易に計算できない場合には当社グループの追加借入利子率を用いて割り引かれます。リース料は、固定リース料、変動リース料のうちリース開始時点の指数又はレートに応じて決まる金額、残価保証に基づいて借手が支払うと見込まれる金額、購入オプションを当社グループが行使することが合理的に確実である場合の当該オプションの行使価格、リースの解約に対するペナルティの支払い額を含みます。リース負債は、開始日後において実効金利法を用いた償却後価格によって測定されます。契約の再交渉、リース料の算定に使用される指数又はレートの変動、もしくはオプションを使用するか否かの再判定の結果として将来のリース料の変更がある場合には、リース負債は再測定され、再測定の金額は使用権資産の修正として認識されます。
使用権資産は、開始日において、取得原価で測定されます。取得原価は、リース負債の当初測定金額、開始日以前に支払ったリース料、借手に発生した当初直接コスト、リースの契約条件で要求されている原資産の解体及び除去等に係る費用を加えた金額から、受け取ったインセンティブを控除した金額になります。使用権資産は、開始日から定額法によって償却されます。償却期間は、リースが原資産の所有権をリース期間の終了時までに借手に移転する場合、又は使用権資産の取得原価が購入オプションを借手が行使するであろうことを反映している場合には、開始日から原資産の耐用年数の終了時までの期間となります。それ以外の場合には、開始日からリース期間の終了時又は原資産の耐用年数の終了時のいずれか短い期間となります。使用権資産は、減損の兆候が存在する際は適時、減損の判定が行われます。
無形資産
購入した特許権、商標権、許諾権及びその他の無形資産は取得原価で計上しております。これらの無形資産を企業結合を通じて取得した場合は公正価値で計上しております。無形資産は利用可能となった時点から耐用年数にわたり定額法により償却しております。耐用年数は、法的存続期間または経済的耐用年数のうちいずれか短い年数を採用し、定期的に見直しを行っております。
主な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりです。
製品関連無形資産 3年~18年
マーケティング関連無形資産等 5年
技術関連無形資産 2年
有形固定資産、使用権資産及び無形資産の減損損失
有形固定資産及び利用可能な無形資産等について減損の兆候がある場合、各会計期間末に減損の判定を実施しております。また、利用可能でない無形資産は、毎年、減損の判定を行っております。資産の回収可能価額(公正価値から売却費用を控除した額または使用価値のいずれか高い方)が帳簿価額を下回った場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として純損益で認識しています。使用価値は将来のキャッシュ・フローを見積り、適切な長期金利を使用し、時間的価値を考慮したうえで算定しております。減損損失が発生した場合、当該資産の耐用年数を見直し、必要に応じて耐用年数を短縮しております。
減損の戻入は、減損の額が減少し、その減少が減損後に発生した事象に客観的に関連付けることができる場合に連結損益計算書を通じて認識しております。
棚卸資産
棚卸資産は取得原価または正味実現可能価額のいずれか低い方で計上しております。製品、仕掛品及び半製品の取得原価は、原材料費、直接労務費、直接経費及び正常生産能力に基づく製造間接費を含んでおります。取得原価は総平均法で計算しております。正味実現可能価額は、見積売価から完成までの見積原価及び通常の営業過程における販売に要する見積費用を控除した額となります。
営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権は、当初の請求金額から貸倒引当金、値引及び一部の割戻等を控除した金額で計上しております。債権は、対価に対する企業の権利のうち無条件のものであり、契約資産は含みません。当社グループは、IFRS第15号の範囲に含まれる取引から生じた営業債権及びその他の債権に対する貸倒引当金を、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。予想信用損失の見積りには、営業債権及びその他の債権の回収までに必要と見込まれる期間や実際の回収状況、過去の顧客別損失実績率、将来の経済情勢等の指標を用いております。一方、IFRS第15号の範囲に含まれない取引から生じたその他の債権に対する貸倒引当金については、当該債権に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大していない場合、当該金融商品に係る損失評価引当金を12か月の予想信用損失と同額で測定しております。
営業債権に対する貸倒引当金繰入額は、販売費及び一般管理費に計上しております。値引・割戻等は、契約上の義務、過去の傾向や実績等を考慮したうえで、関連する売上収益が計上される会計期間に計上しております。営業債権及びその他の債権は、全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合、直接償却をしております。営業債権及びその他の債権を直接償却した場合においても、当社グループは継続して当該債権を回収することができるよう努めております。当該営業債権及びその他の債権が回収された場合、利得または損失として計上しております。
現金及び現金同等物
現金及び現金同等物には、現金、当座預金及びその他の預金等が含まれます。現金同等物は、現金化することが容易で、大幅な価値の変動が起こるリスクが低く、預入日から満期日が3か月以内の預金等が該当します。
引当金及び偶発負債・資産
引当金は、経済的資源の流出が生じる可能性が高く、法的または推定的債務があり、これに係る債務の金額を確実に見積ることができる場合に計上しております。事業再編引当金は、当社グループが事業再編に伴う詳細な計画を発表または開始した時点で計上しております。引当金は、最終的に生じると見込まれる債務の見積額を、貨幣の時間的価値に重要性がある場合には割り引いて計上しております。
偶発負債は、将来の事象によって債務の存在が確認されるか、または債務の金額を合理的に見積ることができない場合に注記で開示しております。偶発資産は、経済的資源の流入が生じる可能性が高くなった場合に注記で開示しております。
公正価値
公正価値とは、測定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われた場合に、資産の売却によって受け取るであろう価格、または負債の移転のために支払うであろう価格です。公正価値は、活発な市場における相場価格が入手できない場合には、その市場価格を参考にする評価方法、またはオプション・プライシング・モデル、もしくは割引キャッシュ・フロー法等、確立された評価方法を用いることにより決定しております。
金融商品
当社グループはデリバティブ以外の金融資産を事後に償却原価で測定するもの、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するもの、または純損益を通じて公正価値で測定するもののいずれかに分類しております。
金融資産は、金融資産の管理に関する企業の事業モデル、及び契約上のキャッシュ・フローの特性に基づき分類されます。当社グループは負債性金融商品、及び償却原価で測定される金融資産につき、これらの資産の管理に関する事業モデルを変更した場合に、かつ、その場合にのみ、分類を変更します。
当初認識時、当社グループは金融資産を公正価値で測定しております(当初認識時に取引価格で測定される重大な金融要素を有しない営業債権を除く)。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、金融資産の取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引コストは純損益に計上されます。
償却原価で測定する金融資産:
以下の要件がともに満たされる場合、「償却原価で測定する金融資産」に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている場合
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる場合
これらは当初認識後、償却原価で測定され、ヘッジ関係にない金融資産による収入または損失は、その資産の認識の中止をした、あるいは減損された際に認識しております。これらの金融資産による利息収入は、実効金利法に基づき、その他の金融収入に計上しております。この分類には主に営業債権、現金及び現金同等物、預入期間が3か月超の定期預金が該当します。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品(FVTOCI負債性金融商品):
以下の要件がともに満たされる場合、「FVTOCI負債性金融商品」に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている場合
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる場合
これらは認識時点での公正価値で当初測定した後、各会計期間末の公正価値で再測定しております。公正価値の変動は、純損益に計上される減損、利息、外国為替損益を除き、その他の包括利益として認識しております。資産の認識を中止する場合には、それまでその他の包括利益として認識されていた累積損益を、資本から純損益に組替えております。FVTOCI負債性金融商品に分類された金融資産から生じる実効金利法による金利収益はその他の金融収入として計上しております。この分類には主に短期金融資産が該当します。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品(FVTOCI資本性金融商品):
資本性金融商品については、当初認識時に、事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取り消し不能の選択を行った場合に、「FVTOCI資本性金融商品」に分類しております。これらは認識時点での公正価値で当初測定した後、各会計期間末の公正価値で再測定しております。FVTOCI資本性金融商品に係る受取配当金は純損益にその他の金融収入として計上しております。これらの資産に係るその他の損益は、その他の包括利益として計上しており、純損益に振替えられることはありません。なお、認識を中止した場合にはその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(FVTPL金融資産):
償却原価で測定する金融商品、またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の要件を満たさない金融資産については、「FVTPL金融資産」に分類し公正価値で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定し、ヘッジ関係にない金融資産による公正価値の変動は、損益が発生した期間にその他の金融収入(支出)として純損益に計上しております。この分類には主に負債性金融商品が該当します。
当社グループはデリバティブを除くすべての金融負債を、「償却原価で測定する金融負債」に分類しております。金融負債は認識時点での公正価値で当初測定し取引コストを除いた後、実効金利法による償却原価で測定しております。この分類には主に営業債務が該当します。
為替リスクを管理するために活用されているデリバティブ金融商品は、認識時点での公正価値で当初測定した後、各会計期間末の公正価値で再測定しております。適格なキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段に指定されたデリバティブを除き、公正価値の変動はその他の金融収入(支出)として計上しております。
金融商品の認識中止
金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産の所有に係るリスクと経済的価値のほとんどすべてを移転する取引において当該金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合、金融資産の認識を中止しております。
金融負債は、契約上の義務が免責、取消、または失効となった場合に、認識を中止しております。
金融資産の減損損失
当社グループは、償却原価で測定する金融資産、及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品について、予想信用損失に対する減損損失を認識しております。
当社グループは、IFRS第15号の範囲に含まれる取引から生じた営業債権に対する損失評価引当金を、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
償却原価で測定する金融資産、及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品については、これらに係る信用リスクが会計期間末において、当初認識時以降に著しく増大していない場合、当該金融商品に係る損失評価引当金を12か月の予想信用損失と同額で測定しております。当社グループは、金融商品がグローバルに認識されている“投資適格”に値する場合、信用リスクは低いとみなしております。当社グループでは“投資適格”をMoody's社でBaa3以上、S&P社でBBB-以上とみなしております。一方、金融資産に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大している場合に、当該金融商品に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。当社グループは、契約上の支払の期日経過が30日超である場合、当該金融資産の信用リスクが著しく増大したとみなしております。また、取引の相手方が債務を完全に支払う見込みがない場合、当該金融資産は債務不履行の状態にあるとみなしております。取引先が債務不履行に陥っているかの判定は、当社で作成したデータに基づき定性的・定量的に行っております。一部の金融資産については、外部データを用いて判定しております。
ある金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接償却しております。これは顧客が直接減額の対象となる金額を支払うに足る十分なキャッシュ・フローを生み出す資産あるいは収入源がない場合であると当社グループはみなしております。しかし、当社グループの債権を回収する方針を遵守し、直接減額された金融資産であってもなお、債務の履行を促す活動の対象となります。
ヘッジ会計
当社グループは為替リスクに対するヘッジを目的とし、先物為替予約取引を行っております。ヘッジ会計の利用は特定の重要な取引に制限しております。ヘッジ会計の要件を満たすには、ヘッジ関係の文書化、高い発生可能性、ヘッジの有効性及び測定の信頼性等、いくつかの厳しい基準を満たす必要があります。経済的観点からヘッジ関係にあると考えられる取引であっても、これらの要件が満たされていない場合、当該ヘッジ関係はヘッジ会計として適格ではありません。この場合のヘッジ手段とヘッジ対象は、ヘッジ会計を適用していない独立の項目として認識されます。このようなヘッジ会計を適用していないデリバティブは公正価値で測定され、公正価値の変動はその他の金融収入(支出)で認識されます。
なお、IFRS第9号を適用する際に、IFRS第9号のヘッジ会計に関する規定の代わりに、IAS第39号のヘッジ会計に関する規定を引き続き適用するという会計方針を選択することができるため、当社グループは引き続きIAS第39号のヘッジ会計に関する規定を適用しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ:キャッシュ・フローの変動可能性のうち、認識されている資産・負債に関連する特定のリスクまたは可能性の非常に高い予定取引に起因し、純損益に影響し得るものに対するヘッジです。ヘッジ手段は公正価値で測定されます。ヘッジとして有効な部分の公正価値の変動はその他の包括利益として認識され、非有効部分はその他の金融収入(支出)に計上しております。ヘッジ関係が、非金融資産・非金融負債の為替リスクをヘッジする確定約定または可能性が高い予定取引である場合には、それらが認識される際に、それまでその他の包括利益で認識されていたヘッジ手段の公正価値の累積変動額を非金融資産・非金融負債の当初の帳簿価額に振り替えており、また、それ以外の予定取引である場合には、ヘッジ対象が純損益に影響を与えるのと同じ期の純損益に振り替えております。その他のヘッジされた予定キャッシュ・フローについては、純損益に影響を与えるのと同じ期に、それまでその他の包括利益で認識されていたヘッジ手段の公正価値の累積変動額をその他の金融収入(支出)に振り替えております。ヘッジ手段が売却、失効、終了または行使された場合、ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合及びヘッジ指定を取り消した場合は、ヘッジ会計を将来に向けて中止しております。予定取引の発生の可能性がなくなった場合、それまでその他の包括利益で認識されていたヘッジ手段の公正価値の累積変動額を、直ちにその他の金融収入(支出)に振り替えております。
法人所得税
法人所得税は、課税所得を基礎に課税される税金をすべて含んでおります。課税所得に連動しない税金である固定資産税及び資本課税等は、営業費用としております。子会社で発生する内部留保の配分である子会社配当金等に対する所得税の負担は、当該子会社が将来配当を実施する確実性が高まったときのみ計上しております。納税義務が不確実である場合、未払法人所得税には特定の状況やグループの過去の経験に基づいて生じると見込まれる最終的な債務に関する経営者の最善の見積りが含まれます。
繰延税金資産及び負債は、税務上の資産及び負債の帳簿価額と会計上の資産及び負債の帳簿価額との間に生じた一時差異について認識しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に対して未使用の欠損金が利用できる範囲で認識しております。
なお、当社グループは、2023年5月に公表されたIAS第12号の改訂「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール」を適用しております。当該改訂に従い、グローバル・ミニマム課税制度から生じる法人所得税については、これに関する繰延税金資産及び負債を認識しておらず、開示にも含めておりません。
繰延税金資産及び負債並びに未収及び未払法人所得税は、同一の税務当局に法人所得税を徴税され、法的に相殺する権利がある場合にのみ相殺しております。繰延税金資産及び負債は、当社グループが事業を行うそれぞれの国において現時点で適用されるべき税率に基づいております。
自己株式
当社グループは、自己株式を資本の控除項目としております。自己株式を取得または売却した場合には、資本の変動として認識しております。取締役及び一部の従業員に付与した新株予約権が行使された場合には、自己株式から割り当てを行っております。
(4)会計方針の変更
当社グループの連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、前連結会計年度において適用した会計方針と同一であります。
なお、一部の基準書において軽微な変更がありましたが、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響はありません。
(5)未適用の新たな基準書
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が行われた重要な基準書のうち、当社グループが早期適用していないものは以下のとおりです。
IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」
IFRS第18号は、損益計算書に営業区分、投資区分、財務区分の3区分を新たに導入し、営業利益、財務及び法人所得税控除前利益、当期純利益の表示を求めています。
また、経営者が定義した業績指標について、その計算方法と選定理由及び調整表の開示を求めています。
本基準は2027年1月1日以降に開始する事業年度から強制適用され、当社グループは本基準を2027年度から適用予定ですが、当社グループに対する本基準の影響は調査中です。
その他の2025年度以降に適用となる新たな基準書による影響を調査中ですが、2025年度において当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼすものはないと判断しております。
2.セグメント情報
当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有しておりません。当社グループの医薬品事業は、新規の医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動から成り立っております。これらの機能的な活動は事業として統合した運営管理を行っております。
3.収益
その他の源泉から生じる収益は、相手先が顧客とはみなされない場合の協同パートナーとの利益分配契約からの収入及びヘッジ利得または損失から生じております。
契約資産は、主に製剤化ライセンス付与に関連する変動対価であり、通常、顧客が対価を支払うかまたは支払期限が到来する前に、当社グループが商品またはサービスを顧客へと移転する場合(対価に対する権利が無条件である債権を除く)に増加し、当社グループが顧客へと請求することにより減少します。
過去の期間に充足された(または部分的に充足された)履行義務に関して当連結会計年度に認識した収益の金額は161,218百万円(前連結会計年度125,894百万円)です。
これは、主に受取ロイヤルティやマイルストン収入で構成されています。
残存履行義務に配分した取引価格
当初の予想期間が1年を超える残存履行義務に配分した取引価格の2024年12月31日現在の総額に重要性はありません。なお、当社グループでは、当初の予想期間が1年以内である残存履行義務に関しては開示しない実務上の便法を採用しております。
また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
4.その他の営業収益(費用)
その他の営業収益(費用)の内訳は以下のとおりです。
当連結会計年度において、その他の営業収益のうち、主なものは製造販売権等の譲渡収益2,289百万円です。
前連結会計年度において、その他の営業収益のうち、主なものは製造販売権等の譲渡収益14,677百万円及び固定資産売却益13,910百万円です。
5.金融費用及びその他の金融収入(支出)
6.法人所得税
その他の一時差異の主なものは、税務上の前払費用額、税務上の貯蔵品額、繰延資産の償却限度超過額です。
将来減算一時差異のうち2,276百万円(前連結会計年度476百万円)は繰延税金資産を計上しておりません。
税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産は、将来の回収可能性が確実であると判断した場合に認識しております。
繰越税額控除に係る繰延税金資産は、将来の回収可能性が確実であると判断した場合に認識しております。
当社グループは、100%出資の在外子会社における利益剰余金を将来にわたり再投資する方針であるため、これに係る繰延税金負債を認識しておりません。在外子会社の未処分利益に係る一時差異の総額は4,293百万円(前連結会計年度4,045百万円)です。
グローバル・ミニマム課税制度
経済開発協力機構(OECD)は、グローバル・ミニマム課税の枠組みに関するモデルルール(第2の柱)を公表しています。当該モデルルールは、一定規模以上の多国籍企業に15%の最低税率を課すものであります。2023年3月28日、日本において、OECDが策定したモデルルールに対応する税制改正法が成立しました。当該税制改正法は2024年4月1日以後開始する連結会計年度から適用されます。
当社グループは、当該税制改正の影響を軽微と見込んでおります。
7.有形固定資産
当連結会計年度及び前連結会計年度において、有形固定資産として資産化した借入コストはありません。
減損損失
資産の回収可能額が帳簿価額を下回ったため、帳簿価額を使用価値まで減額しております。
コミットメント
期末日以降の有形固定資産の購入または建設に係るコミットメントは42,186百万円(前連結会計年度58,336百万円)であります。
8.リース
当社グループは、利便性と柔軟性の観点から、借手としてリース取引を行っております。当社グループは十分な資金創出力を有しており、1社以上の格付機関によって高い信用格付を受けております。従いまして、ファイナンス目的でリース取引を行うことは通常ありません。当社グループがリース取引を行うのは主に、オフィス、車両です。
当社グループが報告する使用権資産の内訳は以下のとおりです。
2023年における使用権資産の増加額は7,963百万円でした。
2024年における使用権資産の増加額は6,581百万円でした。
リース負債は、その他の流動負債及びその他の非流動負債に含めて表示しています。長期リース負債、短期リース負債の金額はそれぞれ注記「17.その他の非流動負債」、注記「19.その他の流動負債」に記載しております。リース負債に係る利息費用は94百万円(前連結会計年度81百万円)です。リース負債の満期分析は以下のとおりです。
短期リースと少額資産のリースは、基準が認める実務上の便法を採用しております。短期リース料は定額法に基づき費用として認識されます。これらは主に駐車場賃借料を含みます。当連結会計年度の短期リース料は565百万円(前連結会計年度591百万円)です。少額資産のリース料は定額法に基づき費用として認識されます。これらは主にIT機器のリース料を含みます。当連結会計年度の少額資産のリース料は345百万円(前連結会計年度296百万円)です。当連結会計年度のリース負債の測定に含まれなかった変動リース料は49百万円(前連結会計年度1百万円)です。当社グループはセール・アンド・リースバックの取引は行っておりません。
当社グループにおける、リースのキャッシュ・フローの影響は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローには、短期リース、少額資産のリース及び変動リースからのキャッシュ・フローが含まれます。財務活動によるキャッシュ・フローには、利息の支払い及びリース負債の元本部分の支払い、並びにリース開始日前に行われた前払いを含みます。
9.無形資産
重要な無形資産
主な製品関連無形資産及び利用可能でない製品関連無形資産は、関連当事者との製品に係る技術導入契約により取得したものです。
製品関連無形資産の残存耐用年数は1年~14年です。
減損損失
当連結会計年度及び前連結会計年度の主な減損損失は、研究開発プロジェクトの中止や収益見込みの不確実性等によるものです。
自己創設無形資産
当社グループの開発プロジェクトから生じる支出は、資産の認識基準を満たさないため、資産計上しておりません。
耐用年数を確定できない無形資産
耐用年数を確定できない無形資産はありません。
利用可能でない製品関連無形資産
利用可能でない製品関連無形資産は、主に製品に係る技術導入契約または個別の資産購入のいずれかにより取得した進行中の研究開発資産です。研究開発プロセスに内在する不確実性のため、研究開発中の資産は製品化に至らず減損損失が発生するリスクがあります。
無形資産の減損損失
減損損失は、資産の使用及び資産の最終的な処分から生み出される将来キャッシュ・フローの見積りの変更により生じます。競合相手の有無、技術的陳腐化または資産計上にあたって想定した製商品売上高からの低下といった要因により、資産の耐用年数の短縮または資産の減損を行います。
アライアンスによる潜在的コミットメント
当社グループは、アライアンスのパートナーと技術導入契約及び類似の契約を締結しております。これらの契約により、合意された目標や成果を達成した場合、特定のマイルストンまたは同様の支払を行います。
このような第三者への支払に関するコミットメントの現在の見積りは以下のとおりです。下記の金額は、割引前のものであり、また成功確率の調整は行わず、現在開発中であるすべてのプロジェクトが成功すると仮定した場合に生じる潜在的な支払をすべて含めております。また、支払時期は現時点における当社グループの最善の見積りに基づいております。
10.その他の非流動資産
長期前払費用は、主に製造委託先における設備のバリデーション(性能が確保されていることを検証すること)費用です。
11.棚卸資産
売上原価に計上した棚卸資産の金額は317,362百万円(前連結会計年度391,314百万円)です。また、費用計上した棚卸資産損失は4,249百万円(前連結会計年度4,694百万円)です。
12.営業債権及びその他の債権
13.有価証券
有価証券は資金運用目的で保有しております。主な短期金融資産は、譲渡性預金、金銭信託及びコマーシャル・ペーパーです。主な負債性金融商品は、社債です。
14.現金及び現金同等物
15.その他の流動資産
16.引当金及び偶発負債
環境対策引当金
環境対策引当金は、当社グループに関係する環境問題に対する引当金です。その性質から、支出の金額及びその時期を具体的に予測することは容易ではありません。重要な環境対策引当金のうち、貨幣の時間的価値に重要性がある場合には割引計算を行っております。
その他の引当金
その他の引当金は、主に事業再編引当金、資産除去債務及び不利な契約に関する引当金です。支出の時期はそれらの性質により不確実です。重要なその他の引当金のうち、貨幣の時間的価値に重要性がある場合には割引計算を行っております。
偶発負債
当社グループの事業及び業績は、環境保護に関連するものをはじめ、常に様々な程度で政治、法制度、財政や規制等の変化による影響を受け続けております。当社グループが参入している産業は、これらの影響以外にも様々な種類のリスクにさらされております。これらの変化やリスク事象の頻度及び性質は、予測することが困難であり、また保険ですべてをカバーできないため、将来の事業や業績に与える影響も同様に予測することは困難です。
当社グループは、潜在的な新製品の権利を得るため、また、当社グループ独自の潜在的な新製品の開発支援に他の企業の参画を得るため、技術導入契約やアライアンス契約、資産取得を含む無形資産購入契約を締結する場合があります。アライアンス契約の条項に従い、アライアンスパートナーが特定のマイルストンを達成することで、将来支払が生じる可能性があります。当社グループの潜在的コミットメントの最善の見積りは注記「9.無形資産」に記載しております。
17.その他の非流動負債
18.営業債務及びその他の債務
19.その他の流動負債
20.当社株主に帰属する資本
その他の資本構成要素
公正価値評価:その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産について、売却、減損及びその他の処分が行われるまでに生じた公正価値の累積的な変動額を表示しております。
ヘッジ:未認識のヘッジ対象に係るキャッシュ・フロー・ヘッジ手段から生じる公正価値の累積的な純変動額のうち、ヘッジが有効である部分を表示しております。
為替換算差額:日本円以外の機能通貨を用いる在外子会社を連結する際に生じる累積的な通貨換算差額を表示しております。
21.従業員給付
当連結会計年度において、その他の従業員給付の主なものは福利厚生費です。
前連結会計年度において、その他の従業員給付の主なものは福利厚生費と早期退職優遇措置の費用です。
22.退職後給付制度
退職後給付制度のうち、第三者である金融機関に固定額の拠出を行い、それ以上の拠出を行う法的または推定的債務を有しないものは確定拠出制度に分類しております。それ以外のすべての制度は、当社グループの潜在的な債務の金額が比較的小さい場合またはそのような債務が発生する可能性が相対的に低い場合であっても確定給付制度に分類しております。当社グループは、従業員に対して確定拠出型及び確定給付型の退職後給付制度を設けておりますが、その大部分は確定給付制度に該当します。
なお、当社は2009年3月開催の第98回定時株主総会の決議により取締役に対する退職慰労金制度を、2006年3月開催の第95回定時株主総会の決議により社外取締役及び監査役(社外監査役を含む)に対する退職慰労金制度をそれぞれ廃止しております。
確定拠出制度
確定拠出制度は、当社グループによる第三者への掛金の拠出からなり、その費用は988百万円(前連結会計年度933百万円)です。
確定給付制度
当社グループは、確定給付制度として企業年金基金制度及び退職一時金制度を設けております。
企業年金基金制度では、従業員は退職までの雇用期間に付与された制度ポイントの累計に基づく金額について、退職時に一時金として給付を受けることができます。雇用期間が一定以上となる従業員は、この金額の一部または全部について有期または終身年金として給付を受けることを選択できます。退職一時金制度では、従業員は制度ポイントの累計に基づく金額について、退職時に一時金として給付を受けることができます。退職一時金制度に対しては、退職給付信託を設定しております。なお、従業員の退職等に際して、確定給付制度の対象とされない割増退職金を支払う場合があります。
確定給付制度に関する基金及び信託は当社グループから独立していますが、当社グループからの拠出のみを財源としております。
年金資産の運用の目的は、長期的な視点に立ち、制度債務の特性などの諸条件を総合的に勘案し許容しうるリスクの範囲で運用を行い、一定の目標収益率を達成するためにリスクの最小化、運用機関の選別等を通じて効率化を図ることです。同時に、短期的な運用実績の変動ではなく長期の運用目標を達成できるよう、十分な検討を行っております。この目的、検討などを勘案し、適切な分散投資を図りながら基本資産の配分を策定しております。
年金資産の積立状況は、責任部門で管理し報告日時点での評価を毎年実施しております。また、当社グループの年金基金の財政状況は健全ではありますが、将来発生するリスクに備えてリスク対応掛金を導入しております。
確定給付制度債務は予測単位積増方式を用いて算定しています。計算の結果、潜在的な資産が生じる場合、制度からの返還または将来の制度への掛金の減額から得られる経済的便益の現在価値を限度として、資産を認識しております。
制度資産で保有している資本性金融商品及び負債性金融商品は相場価格を入手できるものであり、公正価値ヒエラルキーのレベル1に該当する金融商品です。
当連結会計年度及び前連結会計年度において、リスク対応掛金の拠出はありません。
年金数理計算上の仮定
年金数理計算上の仮定は、退職後給付の最終的な費用を決定するために用いられる客観的かつ相互に矛盾のない見積変数であり、年金数理人の助言に基づき責任部門により毎年見直されます。この仮定は、死亡率や退職率などの人口統計上の仮定と、金利などの財務上の仮定で構成されています。
人口統計上の仮定:人口統計上の仮定には、死亡率や退職率などがあります。死亡率は確定給付企業年金法施行規則に定める基準死亡率を使用しております。退職率は退職後給付制度における過去の実績に基づいております。
財務上の仮定:財務上の仮定には割引率があります。主に優良社債の利回りを参照し、退職後給付の支給見込期間などを反映しております。
年金数理計算上の仮定の感応度
使用した数理計算上の仮定が変化した場合の制度債務への影響額は以下のとおりです。計算にあたり使用した仮定以外の変数は一定であるとしております。
将来キャッシュ・フロー
最新の数理計算によると、当社グループは、確定給付制度に対して2025年度に2,329百万円の拠出が予想されております。
23.株式報酬
当社グループは取締役及び一部の従業員に対する持分決済型株式報酬制度を設けております。これらはIFRS第2号(株式に基づく報酬)に従って、権利付与日の公正価値で評価し、権利確定期間にわたり費用計上しております。
2017年度から、取締役等に対し、株主のさらなる価値共有を進めること及び当社の中長期の業績との連動性を一層高め、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えることを目的として、現行ストック・オプション報酬に代えて譲渡制限付株式報酬を新たに導入いたしました。
(1)ストック・オプション制度
一般型ストック・オプション
当社グループは、2003年から取締役及び一部の従業員に対する一般型ストック・オプションとして新株予約権を発行しております。付与対象者は、新株予約権1個当たり普通株式300株を特定の行使価格で購入する権利を有しております。この権利は譲渡できず、権利行使期間は権利付与後約10年間、権利行使の確定条件は付与日以降約2年間継続して勤務することです。
なお、当社は2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。これにより、新株予約権一個当たりの付与株式数は株式分割後の数値に換算して記載しております。
一般型ストック・オプションの未行使残高
未行使の一般型ストック・オプション(当連結会計年度末)
新株予約権の行使
(2)譲渡制限付株式報酬制度
譲渡制限付株式は、一定期間継続して当社グループの取締役等を務めることを条件とする取締役等を対象とする「勤務継続型譲渡制限付株式」と、当該条件に加えて当社の中長期的な業績目標達成を条件とする取締役のみを対象とする「業績連動型譲渡制限付株式」により構成されます。対象となる取締役等は、本制度に基づき当社から支給された金銭報酬債権又は金銭債権の全部を現物出資財産として払込み、当社の普通株式について発行又は処分を受けることとなります。
また、本制度による当社の普通株式の処分に当たっては、当社と取締役等との間で譲渡制限付株式割当契約(以下「本割当契約」といいます。)を締結するものとし、その内容としては、①取締役等は、一定期間、本割当契約により割当てを受けた当社の普通株式について、譲渡、担保権の設定その他の処分をしてはならないこと、②一定の事由が生じた場合には当社が当該普通株式を無償で取得すること等が含まれております。
付与年度ごとの株式付与数及び付与日における公正な評価単価
当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。株式分割前に付与された譲渡制限付株式について、株式付与数及び付与日における公正な評価単価は株式分割後の数値に換算して記載しております。
譲渡制限付株式の内容(各付与年度共通)
(*)TSRの計算式
TSR=(評価期間中の株価上昇額(B-A)+ 評価期間中の配当額)÷ 当初株価(A)
A:当初株価(評価期間開始前3カ月の平均株価終値)
B:最終株価(評価期間終了前3カ月の平均株価終値)
24.1株当たり利益
基本的1株当たり利益
希薄化後1株当たり利益
希薄化効果を有さないとして、希薄化後加重平均普通株式数の算定から除外されているストック・オプションはございません。
25.キャッシュ・フロー計算書
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、当社グループの主要な事業活動である医薬品の研究開発・製造・販売活動から生じます。営業活動による現金創出額は、営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費や減損損失等の非資金損益項目の調整を行う間接法によって計算しております。営業キャッシュ・フローには、当社グループのすべての活動によって生じる法人所得税の支払を含んでおります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは主に有形固定資産及び無形資産への投資です。また、有価証券等への投資、投資から得られる受取利息及び受取配当金を含んでおります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当及びリース負債の支払です。
重要な非資金取引
当連結会計年度及び前連結会計年度において、重要な非資金取引はありません。
26.リスクマネジメント
(1)財務リスク管理
事業及び財務活動に伴い、当社グループはさまざまな財務リスクにさらされております。財務リスクは、主に為替レート、金利、株価、取引相手の信用度及び支払能力の変化に起因するものです。
当社グループにおける財務リスク管理は、取締役会によって承認を受けた方針に基づいて行われております。当該方針は信用リスク、流動性リスク及び市場リスクに対応しており、リスクの上限、投資適格な金融商品やモニタリング手続きについての指針を提供しております。方針の遵守及び日々のリスク管理は関連する部門によって行われており、これらのリスクに関する定期的な報告は財務経理部門及び管理部門によって行われております。
①信用リスク
営業債権及びその他の債権は取引先の信用リスクにさらされております。営業債権は主に売掛金です。営業債権は、カントリー・リスクの評価、与信限度額の設定、継続した信用調査及び取引先のモニタリングに重点を置いた管理を行っております。モニタリングとは、営業管理部門が経理規程に従い、主要な取引先ごとに営業債権の期日及び残高を管理し、延滞状況及び財務状況等の悪化による回収懸念を早期に把握し軽減を図ることであります。
営業債権の管理は、リスクを許容可能な水準に保ちながら資産の利用を最適化することによって、当社グループの成長及び収益性を維持することを目的としております。営業債権の回収を担保することが適切な場合には、信用保険及び類似の信用補完手続きを実施しております。なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末において、担保として保有している重要な資産はありません。
当社グループが有する営業債権のうち第三者に対する売掛金は、主に日本の顧客に対するものです。当連結会計年度末における主要顧客に対する売掛金は、第三者に対する売掛金のうち、68%を占めております。
IFRS第15号の範囲に含まれる取引から生じた営業債権に対する貸倒引当金の期日別分析
予想信用損失レートは、当社グループの過去の経験と、債権が支払われるまでの経済状況の動向に基づいて決定しております。
また、デリバティブ取引の利用及び短期金融資産への投資にあたっては、カウンター・パーティー・リスクを軽減するために、信用力の高い金融機関と取引しております。
担保、その他の信用補完措置を考慮しない場合に、財務活動から生じる信用リスクの最大エクスポージャーは、当社グループが保有する金融資産の帳簿価額になります。
信用リスクのある金融資産(IFRS第15号の範囲に含まれる取引から生じた営業債権除く)
現金及び現金同等物はS&P社及びMoody's社の格付けにおいて、主に投資適格に格付けられている銀行や金融機関において保持しております。現金及び短期の定期預金の預け入れは当社のエクスポージャーを管理する規定に従い、個別に金融機関を選定しております。
有価証券(資本性金融商品を除く)への投資は、流動性、質、及び投資額の上限に関する規定に基づいて行っております。原則として、当社グループは十分な流動性がある質の高い有価証券にのみ投資をし、Moody's社でBaa3以上、S&P社でBBB-以上の格付を保有する信用力の高い金融機関と取引しております。
IFRS第15号の範囲に含まれる取引から生じた営業債権以外の債権に関する信用リスクについては、外部情報や過去の経験等に基づいて管理しております。
投資適格に満たないあるいは格付のない取引先については個別のモニタリングを行っております。
償却原価で測定する金融資産及び、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(資本性金融商品を除く)は投資適格でありリスクは低いとみなしております。従って、外部評価機関による信用格付に基づき12か月の予想信用損失と同額で測定しております。全期間の予想信用損失と同額で測定する必要のある、信用リスクが著しく増大した金融資産はありませんでした。また、当期間内で損失評価引当金に重要な増減はありませんでした。
②流動性リスク
流動性リスクは、支払義務が即時に利用可能な金融資産の金額を超過する場合に発生します。流動性リスクに対する当社グループのアプローチは、流動性の需要に即時に対応できるだけの十分な手許資金を維持することにあります。財務経理部門が各部門からの報告に基づき資金繰り計画を作成及び更新することにより、流動性リスクを管理しております。
当社は1社以上の格付機関によって高い信用格付を受けております。この結果、重要な資金調達を行う必要が生じた場合には、国際的な資本市場への効率的なアクセスが可能となっております。
(注)リスク管理目的で保有する、通常契約満期前に処分することのないデリバティブ金融負債に関連する契約上の割引前キャッシュ・フローです。
リース負債の契約上の満期日は、注記「8.リース」に記載しております。
③市場リスク
市場リスクは、当社グループが保有する金融資産及び金融負債の市場価格の変動から生じます。市場価格の変動は、主に為替レート及び金利の変動によるものであり、当社グループの純損益及び資本に影響を与えます。
為替リスク
外貨建ての営業債権及びその他の債権並びに営業債務及びその他の債務は、為替リスクにさらされております。為替リスク管理活動の目的は、当社グループが保有する現在及び将来の資産の経済的価値を維持し、当社グループの業績の変動を最小化することにあります。
当社グループは、外貨建債権及び外貨建債務それぞれに係る為替リスクに対するヘッジを目的とし、先物為替予約取引を行っております。また、その一部はキャッシュ・フロー・ヘッジとして予定取引の段階でヘッジ指定しております。
外貨建債権債務の為替リスクをヘッジするために用いるデリバティブ取引は、当社グループ内で規定された管理体制に基づいて実施しており、取引残高・評価損益等の取引の状況を、月次で公正価値を用いて把握しております。なお、子会社はデリバティブ取引を行っておりません。
為替感応度分析
機能通貨である円が主要通貨に対して1%円高になった場合、当社の保有する外貨建金融商品が税引前当期利益に与える影響額は以下のとおりです。なお、計算にあたり使用した通貨以外の通貨は変動しないものと仮定しております。また、ヘッジ指定されたデリバティブは影響額の計算から除外しております。
(注)上記でプラスの数値は、1%円高になった場合に、当社が保有する外貨建金融商品が税引前当期利益に与えるプラスの影響を示しております。なお、これらは当社のキャッシュ・フローや経営への影響を表したものではありません。
当社が保有する外貨建金融商品のエクスポージャー(純額)は以下のとおりです。なお、デリバティブ取引により為替リスクがヘッジされている金額は除外しております。
金利リスク
当社グループが保有する有利子負債及び貸付金の残高はなく、リース負債はリース契約の規模及び現在の低金利の経済状況を鑑みると当社グループにおける金利リスクは軽微です。
(2)金融商品
金融商品の帳簿価額及び公正価値
当社グループが保有する金融商品として、その他の非流動資産に含まれる資本性金融商品及び負債性金融商品、営業債権及びその他の債権、有価証券、現金及び現金同等物、その他の流動資産に含まれるデリバティブ金融資産、営業債務及びその他の債務、その他の流動負債に含まれるデリバティブ金融負債、その他の非流動負債及びその他の流動負債に含まれるリース負債があります。これらの帳簿価額は公正価値と一致または近似しております。また、リース負債の公正価値の開示は要求されません。
公正価値で測定する金融商品
経常的な公正価値測定を行う際の評価技法へのインプットを3つのレベルに分類しております。
レベル1-活発な市場における同一資産及び負債の無修正の相場価格
レベル2-レベル1に含まれる相場価格以外で、直接または間接に観察可能なインプット
レベル3-観察不能なインプットを含む、評価技法を用いて測定された公正価値
レベル1の金融資産には、社債が含まれております。レベル2の金融資産には、主に譲渡性預金、金銭信託、コマーシャル・ペーパー、デリバティブが含まれております。
レベル2の公正価値測定は下記のように行っております。
有価証券、負債性金融商品及びデリバティブ金融商品は、観察可能な金利、イールド・カーブ、為替レートの市場のデータ、また測定日における類似の金融商品に含まれるボラティリティなどを指標とする評価モデルを使用しています。
当社グループでは、公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替が生じた場合、各会計期間末にこれを認識しております。なお、レベル1とレベル2の間において振替はありません。
レベル3には主に出資金、非上場株式が含まれております。観察不能なインプットを含む、評価技法を用いて公正価値を測定しています。
レベル3に分類された金融商品の期首残高から期末残高への調整表
FVTOCI資本性金融商品の認識の中止
当連結会計年度中に売却等により処分し、認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の、処分時の公正価値、利得または損失の累計額、及び受取配当金の額は以下のとおりです。
これらは主に、株式保有の適切性、保有に伴う資本効率や取引の合理性等を具体的に精査し、売却を行ったものです。
なお、上記は税効果考慮前の金額であり、処分に伴ってその他の包括利益から利益剰余金へ振替えた、利得または損失の累計額は△14百万円(前連結会計年度△529百万円)です。
(3)デリバティブ
ヘッジ会計
ヘッジの有効性は、ヘッジ関係の開始時及び継続期間中にヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係が存在することを、各報告日における定期的な有効性評価によって判断しております。当社グループは、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているかどうかの定性的な評価によってヘッジの有効性を確認しております。
当社グループは外国為替変動リスクを管理する目的でヘッジ会計を適用しており、ヘッジ対象がヘッジされた額より少ない場合、非有効部分が生じる可能性があります。ヘッジ会計の非有効部分は損益計算書に認識され、その他の金融収入(支出)に計上しております。キャッシュ・フロー・ヘッジにおいては仮想デリバティブ法を用い測定します。なお、当連結会計年度及び前連結会計年度において、非有効部分の発生はありません。またヘッジ会計の適用が中止されたヘッジ関係もありません。
以下の表はキャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ手段として指定されたデリバティブ商品の、想定元本、帳簿価額(公正価値)及び契約上の満期日の範囲を示しております。2024年12月31日現在、当社グループは以下のとおり、有効なヘッジ関係にあるキャッシュ・フロー・ヘッジを保持しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
当社グループは、海外の関連当事者と棚卸資産等を外貨建てで取引しているため、為替リスクにさらされております。為替リスクを軽減するために、当社グループは先物為替予約によるヘッジを行っております。ヘッジ手段の公正価値は△15,247百万円(前連結会計年度△36,428百万円)です。
適格なキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から予想される将来キャッシュ・フローの現在価値は以下のとおりです。
(4)資本管理
当社グループの資本管理の対象は非支配持分を含む資本の合計である投下資本です。当社グループが資本管理を行う際の方針は以下のとおりです。
・患者さんに便益及び投資家にリターンを継続的に提供するため、継続企業としての当社グループの能力を維持する
・投資家が引き受けるリスクの水準に応じて適切なリターンを提供する
・将来、患者さんへの便益や投資家へのリターンをもたらすであろう領域に、当社グループが投資することを可能とするために必要な資金を利用可能とする
・リスク及び予測できない事象の悪影響を緩和するために十分な資金を維持する
投下資本は当社グループの内部経営報告の一環として定期的に最高財務責任者へ報告されます。
なお、当社グループは資本規制の対象にはなっておりません。
27.関連当事者
(1)支配株主
日本における研究開発型製薬企業のリーディングカンパニーとなるべく、当社はロシュと戦略的アライアンスの契約を締結しております。この契約に基づき、当社は2002年10月、ロシュの日本における医薬品事業の子会社であった日本ロシュと合併し、合併後は中外製薬としてロシュ・グループの一員となりました。
当社はロシュと以下を合意しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 5. 経営上の重要な契約等 (1)エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンス」をご参照ください。
アライアンス基本契約(Basic Alliance Agreement)
当社とロシュは、2001年12月にアライアンスに関する基本契約を締結し、戦略的アライアンスに基づく事業活動を開始いたしました。本基本契約では、以下の各項目を含む、当社のガバナンス及び業務運営に関する合意事項を定めております。
・アライアンスのストラクチャー
・ロシュの株主権
・ロシュによる当社取締役推薦権
・ロシュによる当社普通株式売買の取引制限事項
当社は、新株予約権付社債及びストック・オプションの行使並びにその他の目的により、普通株式を追加で発行することがあります。この場合、ロシュは優先引受権を行使することにより、当社株式の保有割合を維持する権利を有しております。
ライセンス契約
2001年12月に調印した日本包括的権利契約(Japan Umbrella Rights Agreement)により、当社は、ロシュ・グループの日本市場における唯一の医薬品事業会社となり、ロシュが有する開発候補品の日本における開発・販売について第一選択権を保有しております。
また、2002年5月に調印した(日本、韓国を除く)世界包括的権利契約(Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を修正し、2014年8月に(日本、韓国、台湾を除く)改訂世界包括的権利契約(Amended and Restated Rest of the World Umbrella Rights Agreement)を締結しました。これにより、ロシュは当社が有する開発候補品の海外(韓国、台湾を除く)における開発・販売について第一選択権を保有しております。
これらの包括契約に加え、当社とロシュは個別の開発候補品ごとに契約を締結しております。この契約条項及び個別の事情に基づき、第三者間取引価格の原則に沿って、以下の項目の支払が行われることがあります。
・第一選択権行使による開発候補品導入時の契約一時金
・開発目標達成によるマイルストン
・売上に対するロイヤルティ
これらの個別契約は、第三者間取引価格の原則に基づき生産・供給等についても包含する場合があります。
研究協力契約
当社とロシュは、バイオ医薬品探索及び低分子合成医薬品研究における研究協力契約を締結しております。
配当
当社のロシュに対する配当は81,459百万円(前連結会計年度80,454百万円)です。
(2)関連当事者との重要な取引及び債権債務
(3)経営幹部の報酬
28.子会社
(注)2024年3月に中外ファーマ・フランス・エスエーエスと中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスを、前者を存続会社として統合しております。
29.後発事象
当連結会計年度において、該当事項はありません。
(2)【その他】
当連結会計年度における半期情報等
(注)第3四半期連結累計期間に係る財務情報に対するレビュー:無
2【財務諸表等】
(1)【財務諸表】
①【貸借対照表】
②【損益計算書】
【製造原価明細書】
(脚注)
原価計算の方法は、組別工程別総合原価計算(標準原価計算)であります。
③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当事業年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
1.資産の評価基準及び評価方法
(1)有価証券の評価基準及び評価方法
満期保有目的の債券
…償却原価法(定額法)
子会社株式及び関連会社株式
…移動平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
…時価法
(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)
市場価格のない株式等
…移動平均法による原価法
(2)デリバティブの評価基準及び評価方法
時価法
(3)棚卸資産の評価基準及び評価方法
通常の販売目的で保有する棚卸資産
…主として総平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)
2.固定資産の減価償却の方法
有形固定資産…・建物及び構築物:定額法
・その他:定率法
無形固定資産…定額法
なお、自社利用のソフトウエアについては、社内における利用可能期間(5年)に基づいております。
3.引当金の計上基準
(1)貸倒引当金
売上債権等の貸倒れによる損失に備えて、一般債権については、貸倒実績率による計算額を、貸倒懸念債権等については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(2)賞与引当金
従業員賞与の支給に備えて、当事業年度の負担する支給見込額を計上しております。
(3)役員賞与引当金
役員賞与の支給に備えて、当事業年度の負担する支給見込額を計上しております。
(4)退職給付引当金
従業員の退職給付に備えて、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。
なお、退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
過去勤務費用は、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(10年)による定率法により費用処理しております。
数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(10年)による定率法により按分した額をそれぞれ発生時の翌事業年度から費用処理しております。
4.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
(1)繰延資産の処理の方法
株式交付費は、支出時に全額費用として処理しております。
(2)ヘッジ会計の方法
ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理を採用しております。
ヘッジ手段とヘッジ対象
ヘッジ手段…為替予約取引
ヘッジ対象…外貨建予定取引及び外貨建債権債務
ヘッジ方針
外貨建取引に係るヘッジ取引は、社内管理規程に基づき、為替変動に伴うキャッシュ・フロー変動リスクのヘッジを目的として行っております。
ヘッジ有効性評価の方法
ヘッジ開始時から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象とヘッジ手段の相場変動の累計を比較し、両者の変動額等を基礎にして判断しております。
(3)収益及び費用の計上基準
製商品売上高:製商品の販売は「製商品売上高」として計上しております。
製商品売上高は、製商品の支配が顧客に移転することによって顧客との契約における約束(履行義務)が充足されたときに認識しております。約束された製商品の支配とは、当該製商品の使用を指図し、当該製商品からの残りの便益のほとんどすべてを獲得する能力を指しております。支配は、引き渡しと顧客検収条項に従い、一般的に出荷もしくは引き渡し、顧客の製商品の受領時に移転します。当社は、製商品が顧客に引き渡された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。製商品売上高(取引価格)は製商品と交換に当社が受け取ると見込んでいる対価の金額であり、消費税など第三者のために回収する金額を除いております。当社は約束した製商品が顧客に移転する前に対価を受領、もしくは受領が確定している場合は繰延収益(契約負債)を認識しております。
その他の売上収益:その他の売上収益にはロイヤルティ収入、ライセンス導出契約からの収入、協同パートナーとの利益分配契約からの収入等が含まれます。
知的財産のライセンスと交換に約束した売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティに係る収入は、その後の売上または使用に基づき認識しております。
ライセンス導出契約からの収入は通常、製品や技術に関する知的財産をライセンスとして第三者に供与し、契約一時金、マイルストン及びその他類似した支払いの受領から発生します。ライセンス導出契約には、導出以降の義務が一切ない場合、または研究、後期開発、規制当局承認、共同販促、製造への関与を含んでいる場合があります。導出されるライセンスは、通常は知的財産を使用する権利であり、一般的に固有のものであります。そのため、ライセンス導出契約に複数の履行義務が含まれている場合、残余アプローチによりそれぞれの履行義務に対する取引価格を配分しております。契約一時金及びその他のライセンス収入は、残余アプローチを使用し収入の一部を他の履行義務に繰り延べない限り、通常はライセンスの供与をもって認識しております。導出以降の履行義務に対応する繰延収益に関しては、それぞれの履行義務を充足した時に、負債の認識の中止及び収益の認識をしております。マイルストン収入はマイルストン条件を達成する可能性が非常に高く、収益の戻入のリスクが非常に低くなった時点で認識しております。当社は、当該履行義務が充足された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
協同パートナーとの利益分配契約からの収入は、協同パートナーが売上と売上原価を計上する際に認識しております。当社は、当該履行義務が充足された時点から概ね4ヶ月以内に顧客から支払いを受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
(4)退職給付に係る会計処理
退職給付に係る未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の未処理額の会計処理の方法は、連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なっております。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があるものは以下のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性
1.当事業年度に係る財務諸表に計上した金額
2.識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。当該回収可能性の判断は、当社の事業計画に基づいて見積もった将来獲得しうる課税所得を前提としております。
課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した時期及び金額が見積りと異なった場合、翌事業年度の財務諸表における繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(未適用の会計基準等)
・「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号 2024年9月13日)
・「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号 2024年9月13日)等
1.概要
企業会計基準委員会において、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みの一環として、借手の全てのリースについて資産及び負債を認識するリースに関する会計基準の開発に向けて、国際的な会計基準を踏まえた検討が行われ、基本的な方針として、IFRS第16号の単一の会計処理モデルを基礎とするものの、IFRS第16号の全ての定めを採り入れるのではなく、主要な定めのみを採り入れることにより、簡素で利便性が高く、かつ、IFRS第16号の定めを個別財務諸表に用いても、基本的に修正が不要となることを目指したリース会計基準等が公表されました。
借手の会計処理として、借手のリースの費用配分の方法については、IFRS第16号と同様に、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、全てのリースについて使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルが適用されます。
2.適用予定日
2028年12月期の期首より適用予定です。
3.当会計基準等の適用による影響
本基準の適用による当社の業績及び財政状態に対する重要な影響は調査中です。
(表示方法の変更)
(貸借対照表)
貸借対照表の一覧性及び明瞭性を高める観点から表示方法の見直しを行い、前事業年度において独立掲記していた投資その他の資産の「敷金及び保証金」、流動負債の「未払消費税等」及び「事業再編引当金」は、当事業年度よりそれぞれ投資その他の資産及び流動負債の「その他」に含めて表示しています。また、前事業年度において独立掲記していた流動負債の「設備関係未払金」は、当事業年度より「未払金」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の貸借対照表の組替えを行っています。
この結果、前事業年度の貸借対照表において、投資その他の資産に表示していた「敷金及び保証金」3,541百万円、流動負債に表示していた「未払消費税等」15,328百万円及び「事業再編引当金」853百万円は、それぞれ投資その他の資産及び流動負債の「その他」として組替えています。また、前事業年度の貸借対照表において、流動負債に表示していた「設備関係未払金」7,596百万円は、流動負債の「未払金」として組替えています。
(損益計算書)
損益計算書の一覧性及び明瞭性を高める観点から表示方法の見直しを行い、前事業年度において独立掲記していた特別利益の「投資有価証券売却益」及び「子会社清算益」、特別損失の「投資有価証券評価損」、「環境対策引当金繰入額」、「転籍一時金」、「事業所再編費用」及び「早期退職費用」は、当事業年度よりそれぞれ特別利益及び特別損失の「その他」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の損益計算書の組替えを行っています。
この結果、前事業年度の損益計算書において、特別利益に表示していた「投資有価証券売却益」101百万円及び「子会社清算益」34百万円、特別損失に表示していた「投資有価証券評価損」340百万円、「環境対策引当金繰入額」17百万円、「転籍一時金」63百万円、「事業所再編費用」2,152百万円及び「早期退職費用」10,335百万円は、それぞれ特別利益及び特別損失の「その他」として組替えています。
(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務(区分表示されたものを除く)
(損益計算書関係)
※1 関係会社との取引高
※2 販売費に属する費用のおおよその割合は前事業年度5%、当事業年度5%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は前事業年度95%、当事業年度95%であります。
販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。
※3 営業外収益の内訳
前事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
前事業年度における「営業外収益」の「その他」のうち、主なものは製造販売権等の譲渡収益14,679百万円です。
当事業年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
当事業年度における「営業外収益」の「その他」のうち、主なものは不動産賃貸料3,510百万円及び製造販売権等の譲渡収益2,289百万円です。
(有価証券関係)
前事業年度(2023年12月31日)
子会社株式及び関連会社株式(貸借対照表計上額 子会社株式55,902百万円)は、市場価格がないと認められることから、時価を記載しておりません。
当事業年度(2024年12月31日)
子会社株式及び関連会社株式(貸借対照表計上額 子会社株式58,262百万円)は、市場価格がないと認められることから、時価を記載しておりません。
(税効果会計関係)
1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、連結財務諸表注記の「(2)重要な会計上の判断、見積り及び前提 収益」、「(3)会計方針 収益」及び「3.収益」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。
(重要な後発事象)
該当事項はありません。
④【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
(単位:百万円)
【引当金明細表】
(単位:百万円)
(2)【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3)【その他】
該当事項はありません。
第6【提出会社の株式事務の概要】
(注)単元未満株主の権利
当社では、単元未満株主の権利を制限できる旨を、以下のように定款に定めております。
第9条(単元未満株式についての権利)
当会社の株主は、その有する単元未満株式について、次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。
(1)会社法第189条第2項各号に掲げる権利
(2)会社法第166条第1項の規定による請求をする権利
(3)株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利
(4)次条に規定する請求をする権利
第10条(単元未満株主の売渡請求)
当会社の株主は、株式取扱規則に定めるところにより、その有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を売渡すことを当会社に請求することができる。
第7【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
当社の金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等は、ロシュ・ホールディング・リミテッドであります。
2【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。
(1)有価証券報告書及びその添付書類並びに確認書
事業年度(2023年)(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)2024年3月28日関東財務局長に提出
(2)有価証券報告書の訂正報告書及び確認書
2024年4月24日関東財務局長に提出
事業年度(2023年)(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)の有価証券報告書に係る訂正報告書であります。
2024年7月26日関東財務局長に提出
事業年度(2023年)(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)の有価証券報告書に係る訂正報告書であります。
(3)内部統制報告書及びその添付書類
2024年3月28日関東財務局長に提出
(4)四半期報告書及び確認書
(2024年第1四半期)(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)2024年4月25日関東財務局長に提出
(5)半期報告書及び確認書
(2024年中)(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)2024年7月26日関東財務局長に提出
(6)臨時報告書
2024年3月28日関東財務局長に提出
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(譲渡制限付株式報酬制度に伴う自己株式の処分)の規定に基づく臨時報告書であります。
2024年3月29日関東財務局長に提出
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における議決権行使の結果)の規定に基づく臨時報告書であります。
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。