第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
(注) 1.第2期より国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.2021年1月29日付で、当社の唯一の株主であったAppier Holdings, Inc.に対し普通株式90,761,489株の株式無償割当を行いました。これに伴い、第2期の期首に当該株式無償割当が行われたと仮定して1株当たり親会社所有者帰属持分及び基本的1株当たり損失を算定しております。
3.第2期及び第3期における希薄化後1株当たり損失については、同連結会計年度において潜在株式が存在しなかったため記載しておりません。
4.第4期末に存在する普通株式1,699,348株相当のストック・オプションは、1株当たり損失に対して逆希薄化効果を有するため、希薄化後1株当たり損失の算定に含まれておりません。
5.第2期から第4期における親会社所有者帰属持分利益率については、当期損失が計上されているため記載しておりません。
6.第2期及び第3期における株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。第4期における株価収益率については、基本的1株当たり損失であるため記載しておりません。
7.第2期から第6期のIFRSに基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人の監査を受けております。
8.第2期から第4期は、売上収益を上回る規模で将来的な事業拡大のために営業人員やエンジニアの人件費等に対する先行投資を行ったため、親会社の所有者に帰属する当期損失及び営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなりました。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1.第2期及び第3期は、当社は実質的な事業活動を行っていないため売上高を計上しておらず、当期純損失となりました。
2.2021年1月29日付で、当社の唯一の株主であったAppier Holdings, Inc.に対し普通株式90,761,489株の株式無償割当を行いました。これに伴い、第2期の期首に当該株式無償割当が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
3.第2期及び第3期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、同事業年度において潜在株式が存在しなかったため記載しておりません。
4.第4期末に存在する普通株式1,699,348株相当のストック・オプション、第5期末に存在する普通株式1,336,488株相当のストック・オプション、及び第6期末に存在する普通株式1,069,512株相当のストック・オプションは、1株当たり当期純損失に対して逆希薄化効果を有するため、潜在株式調整後1株当たり当期純損失の算定に含まれておりません。当該ストック・オプションは、将来において1株当たり当期純利益を潜在的に希薄化させる可能性があります。
5.第2期及び第3期における株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。第4期から第6期における株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
6.1株当たり配当額並びに配当性向については配当を実施しておりませんので、記載しておりません。
7.自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。
8.従業員数については、純粋持株会社である当社の事業はAppier, Inc.及びAppier Japan株式会社に所属する従業員が遂行しているため、該当ありません。
9.第2期から第6期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人の監査を受けております。
10.当社株式は、2021年3月30日付で東京証券取引所マザーズ市場に上場したため、株主総利回り及び比較指標については第5期以降を記載しております。
11.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズ市場、2022年4月4日以降2022年12月14日以前は東京証券取引所グロース市場、2022年12月15日以降は東京証券取引所プライム市場における株価を記載しております。なお、2021年3月30日をもって同取引所に上場しましたので、それ以前の株価は記載しておりません。
2 【沿革】
当社は、2018年4月に当社グループの中間持株会社として設立されました。設立から現在に至るまでの沿革は、次のとおりであります。
なお、当社は、2021年2月に、当社の親会社であったAppier Holdings, Inc.(英領ケイマン諸島)が既存株主に対して当社の株式を分配したことに伴い、当社が当社グループの最終親会社としての持株会社となりました。
(1) 当社設立前(参考情報)
(2) 当社設立以後
(注)既存法人をAppier, Inc.と改称
3 【事業の内容】
(1) 当社グループの概要
「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。
当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。
現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。
当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。
① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossX
ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換
② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUA、BotBonnie
あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上
③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal
購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現
④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON、AIRIS
様々なソースから得られる顧客企業自身が保有する消費者データを活用して、自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測
当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。
第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。
第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。
最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。
(注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。
2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種
3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル
4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。
(2) 当社グループの歴史
当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。
当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。
また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。
・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。
・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2023年12月期の当社グループの売上収益の65%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進めています。
・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。
・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。
・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。
・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。
・2022年には、米国のベンチャー企業であるWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載しした次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始しました。
現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2023年12月末時点)を構え、1,625の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社所在地は東京ですが、当社グループの開発拠点は主に台湾です。
主要な関係会社(AISaaS事業)
開発の拠点:Appier, Inc.
グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.
販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等
(注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。
2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。
3.2023年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。
(3) 当社グループのAIプラットフォームができること
近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。
① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及
② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション
③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加
とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。
このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。
① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない
② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要
③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う
この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。
① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。
② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。
③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。
そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。
このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。
当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。
① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。
② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。
③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。
(注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群
2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態
3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ
4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ
5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術
6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術
7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント
8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ
(4) 当社グループのソリューション
当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。
当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。
当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。
① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。
② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。
③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。
そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。
また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。
顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。

① ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)
CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。
従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。
CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。
顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。
そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。
また、CrossXのソリューションの一環として、AIが推奨する様々なアクションを顧客企業自身が行うことができるユーザー獲得の自動化ツール「AIXPERT(アイエクスパート)」を発表しました。AIXPERTは、顧客企業のサービスを理解した上で、ターゲティングの候補となるユーザーを選定することができます。AIXPERTのAIは、予算の配分方法など、望ましい結果を得るためのパラメーターの調整方法を定期的に提案し、顧客企業が最終決定を下すことができます。これにより、AIの意思決定プロセスが顧客企業にも見えるようになります。すべての判断が自動的に適用される「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。
CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。
② あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上:ソリューション名 AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー)
一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。
従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。
AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。
従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。
AIQUAには以下の特徴があります。
(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。
(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。
(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。
当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
更に、当社グループは、邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。
BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINEといった世界で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトよりアクションを強化することができます。
当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘らず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。
③ 購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現:ソリューション名 AiDeal(アイディール)
既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。
一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。
しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。
AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。
AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。
これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。
このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。
AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。
当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)、AIRIS(アイリス)
一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。
AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。
また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。
AIXONには3つの独自性のある強みがあります。
データの統合と自動処理による導入の容易さ
分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。
自動でのAI予測モデルの構築
AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。
AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。
説明可能なAI
AIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。
また、当社グループは米国のWoopra, Inc.を買収し、同社が保有していたソリューションとAIXONを組み合わせることにより、2022年12月にAIRISの提供を開始しました。
AIRISは、AppierのAIによる予測アプローチと、Woopraの直感的なデータの可視化を組み合わせた、AIベースのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。直感的なリアルタイムデータの可視化と予測により、インサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。
当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
(注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法
2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率
3.マーケティングメッセージの受け手
[事業系統図]

4 【関係会社の状況】
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報の名称を記載しております。
2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3.特定子会社に該当しております。
4.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
5.Appier, Inc.、Appier Japan 株式会社、及びAppier Pte. Ltd.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。なお、当該会社の当事業年度の主要な損益情報等は、以下のとおりであります。
主な損益情報等(単位:千円)
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2023年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメントに関連付けて記載しておりません。
(2) 提出会社の状況
2023年12月31日現在
(注) 純粋持株会社である当社の事業はAppier, Inc.及びAppier Japan株式会社に所属する従業員が遂行しており、当社に従業員は存在しません。
(3) 労働組合の状況
当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、顧客企業による顧客やユーザーの獲得及び効率的な売上拡大等の企業のマーケティングにおける経営課題の解決を支援する人工知能(AI)を活用した各種のソリューションをプラットフォームを通じて提供することで、顧客企業の成長をサポートしております。
(2) 経営環境
インターネット及びモバイルデバイスの普及によるデータの爆発的増加とAIへのニーズ
インターネット及びモバイルデバイスの急速な普及と、その結果生み出された検索や商取引等の膨大なトランザクション・データや画像・動画等の非構造化データ、そしてそれらのデータを保管・処理する技術の飛躍的な進化により、企業がデータに基づいた意思決定を行う必要性は益々高まっていると考えております。
そのような環境の中で登場したAIソフトウェアは、各種デバイス、センサー、アプリケーション等を通じて収集される膨大なデータを統合し、より複雑な分析や処理を行うことを可能にしました。とりわけ、マーケティング領域においては、PCに加えて、スマートフォン・タブレット等のモバイルデバイスを通じて収集されたユーザーに関する各種データを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、よりパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。
AI利用の重要性に対する認識の高まり
近年は様々な事業部門におけるAI利用の重要性に対する認識が高まっており、多くの企業が近い将来に事業にAIを展開する計画があるといわれています。しかし、既にAIの導入を完了している企業は少なく、専門技術を有するスタッフが欠乏していることがAI導入における最も一般的な障害であると考えられています。
内製AI組織ではなく、AI SaaSソリューションの活用が拡大する可能性
AI人材が不足していることから、企業が自社内に内製のAIデータサイエンティストチームを立ち上げるのではなく、当社のような外部ベンダーの提供するAIソリューションの導入を選択することが増えてくると予想されます。特に、他のソリューションと比較して導入が容易なSaaSのソリューションが増えると、当社グループでは予想しています。
デジタル化の加速
一般消費者やビジネスがデジタルの世界にシフトしていることによって良質なデータが大量に発生しており、新型コロナウイルスの流行がデジタル化を更に加速しました。そのため、AIを導入して分析しようという動きが促進されていると当社グループは考えております。
AIによる予測がマーケティングやセールスへの投資の中心に
マーケティングやセールスへの投資は投資対効果の予測が難しいですが、AIを活用することでその予測が可能となります。将来的にマーケティングやセールスへの投資はAIを活用したものが中心となると、当社グループでは考えています。
デジタルマーケティングにおけるAIによる自動化と効率化
現在、デジタルマーケティングは、担当者が各種の設定を手作業で調整するという労働集約型のビジネスとなっています。AIは過去のデータに基づき最適解を予測するので、AIの普及により、デジタルマーケティングの組織の効率化とマーケティングの成果の増加をもたらす可能性があると考えています。
顧客企業のニーズを満たすことができない既存のソリューション
当社グループのソリューションのような、AIを活用したソリューションは、既存のソリューションでは満足できない顧客企業の課題に対して、例えば以下の点において適切に対処することができると考えています。
① ユーザーの予測や獲得
既存の多くのソリューションでは、デジタルマーケティング担当者が結果を改善するために手作業でA/Bテストを行う必要があります。AIによる予測を活用することで、手作業の時間とコストを削減し、過去のデータから最適な結論を導き出すことができます。
② ユーザーの維持及び関係構築
既存のマーケティング・オートメーション・ソリューションの多くは、所定のルールに基づいて対応するという手法を用いており、ビジネスチャンスを逃すリスクがあります。AI予測を用いてユーザーの将来行動を予測し、先回りしてユーザーに対してエンゲージメントすることで、そのようなリスクを軽減することができます。
③ 購買への動機付け
多くの場合、購買をうながすためのクーポン等の配布は、ユーザー全員に一律に配布されたり、限定的なデータと直感に基づいて特定のユーザーに配布されたりしています。これでは、効果的に売上を伸ばすことはできず、また、収益に悪影響をもたらすことがあります。当社グループのAI予測を用いることによって、購買をためらっているユーザーにだけ限定的にクーポン等を配布することができます。
④ オーディエンス・インテリジェンス
既存のソリューションは、コンサルティング会社やAIシステム会社によって開発された自社内製分析システムになります。一定の質が担保されコストが明確なAI SaaSソリューションと比較すると、開発に関わるAI人材の質が一定ではないため、時間とコストがかかり、想定したシステムが構築できないリスクが高くなります。
ファーストパーティーデータ中心の世界におけるAIの重要性の高まり
当社グループの強力なAIにより、当社グループのソリューションはリアルタイムに予測を行い、顧客企業がビジネス上の目標を達成するために必要な、ユーザーの獲得、維持、エンゲージメントを支援することができます。このような予測は、外部のサードパーティーデータを利用せず、顧客企業がウェブ、アプリ、CRMデータベースから提供するファーストパーティーデータのみに基づいて行われます。ファーストパーティーデータの品質、関連性、精度は常にサードパーティーデータを上回っていますが、これまでは当社グループのソリューションなしでは、断片的でサイロ化した膨大な量のデータを統合して有効活用し、意味のある意思決定を進めることが技術的に困難でした。このため、ユーザーIDやユーザー行動を同期させてユーザーの嗜好を把握するためにサードパーティーデータに依拠するか、膨大なデータを時間のかかる手作業で整理し、過去のデータ分析や経験に基づき意思決定を行う必要がありました。しかしながら、当社グループのAI技術と顧客企業が保有するファーストパーティーデータを利用することで、大量のデータを自動的に統合し、より高い精度でリアルタイムに予測することを通して、ディープラーニング技術を活用しファーストパーティーデータの価値を最大限に引き出すことが可能になります。ファーストパーティーデータの活用はデジタルマーケティング分野において最も重要なトレンドの一つとなっており、当社グループがリーディングプレーヤーとなる高い可能性を持っていると確信しています。
大きなチャンスのある市場
AIの市場規模は今後も成長が予測され、そのうち88%がソフトウェアによるものと予想されております。AIソフトウェアの市場規模は、2020年の2,640億米国ドルから2024年には5,040億米国ドル超に達すると見込まれています(注1)。当社グループは、IDCの定義による「カスタマーリレーションシップマネジメント」セグメントと「データ分析及びAIソフトウェア」セグメントにおける当社グループのTAM(注2)について、2020年に合計約533億米国ドルだったものが、2024年に約917億米国ドルまで拡大すると見込んでいます(注3)。
(注) 1.IDC「IDC Semiannual Artificial Intelligence Tracker, 2H 2020(2021年7月)」
2.Total Addressable Marketの略。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語。
3.IDC「IDC Semiannual Artificial Intelligence Tracker, 2H 2020(2021年7月)」及び「Semiannual Software Tracker, 1H 2020(2020年11月)」。
(3) 目標とする客観的な指標等
当社グループは、売上収益を中長期的に成長させるためには、既存顧客企業からの安定的な売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
(4) 当社グループの強み
① 機械学習を用いたAI技術の継続的なイノベーション
当社グループは、AI分野において数々の表彰を受けています。フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」に選定されました。2017年と2018年には、CBインサイツから「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」に二度選定されました。また、国際的なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、2008年から2020年の間に当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しています。
当社の革新的な機械学習を活用したAI技術は、当社グループのソリューションの基盤となっており、以下の強みがあります。
・深層表現学習技術(注1):当社グループが提供する機械学習を用いたAIテクノロジーのプラットフォームは、深層表現学習技術を有しています。この技術を活用することにより、新たな言語にも展開が容易となっています。
・自動化された機械学習:分析するデータ量が増加すると自動的にシステムとAIアルゴリズムが拡張され、データサイエンティストの人手を介すること無く、AIモデルが自動的に構築されます。
・オンラインリアルタイム学習:従来の機械学習技術とは異なり、リアルタイムでの分析が可能な技術を有しています。これにより、ユーザーの嗜好の変化にも速やかに適応することができ、また、データの適切性や予測結果の正当性に関わる問題を直ちに処理することができます。
・転移学習(注2):新しい顧客、新しい業種、または新しい予測に対応するために、当社グループは先駆的にプラットフォームに転移学習を導入し、AIモデルが学習時間を短縮するために効果的な「コンセプト」の伝達を実現しています。
そして、SaaSの形式でソリューションを提供していることから、安定したパフォーマンスが出すことが可能な堅牢なシステム設計となっています。
(注) 1.データから特徴検出や分類に必要な表現を自動的に発見し、テキストだけでなく画像や動画のソースからも深い意味を抽出することができる技術
2.ある領域で学習したAIモデルを別の領域に活用し、効率的にAIモデルを学習させる技術
② AIのエキスパートとビジネスのベテランによる経営陣
当社グループの共同創業者の1人であり代表取締役CEOである游直翰は、米国スタンフォード大学で修士号を、米国ハーバード大学で博士号をそれぞれ取得しているワールドクラスのAIサイエンティストです。大規模システムに深い経験を持つ共同創業者兼取締役CTOの蘇家永は、当社グループの技術と製品開発を牽引しています。さらに、当社の共同創業者兼取締役COOの李婉菱は、免疫学者や医学分野の研究者としての経歴を持ち「オペレーションへの科学的アプローチ」をもたらしています。
また、当社グループの技術部門には研究に強いバックグラウンドを持つシニアのAIおよびデータサイエンティストが多数在籍しています。当社グループの役員又は従業員によるトップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(注3)における発表論文数は300を超え、国際的なデータ・マイニング・コンテストにおいて実績を有する(注4)者を多数擁しているほか、エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。これらの人員により、当社グループには、AI業界の課題に立ち向かうため、向上心、オープンマインド、ダイレクトコミュニケーションを大切にするカルチャーがあります。
また、ビジネスの執行面においても、ソフトウェア及びテクノロジー分野の大手企業で営業や財務の上級管理職を務めた経験のある多数のメンバーが在籍しているほか、他の取締役やアドバイザーの専門的な知見も活かせる強みを持っていると考えております。
(注) 3.アルバータ大学による定義
4.国際的なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社の従業員が参加したチームが7回優勝しております。
③ プラットフォームの価値を高めるネットワーク効果

当社グループでは、相互に補完的でありかつ緊密にリンクした複数のソリューションをプラットフォームとして提供しています。これにより、強力なネットワーク効果を生み出します。
すなわち、まず、顧客企業が当社のソリューションを採用すると、顧客企業の利用に応じて分析されるデータ量が増加します。これにより、当社のAIアルゴリズムの精度が向上し、顧客企業の満足度が高まることが期待されます。そのため、顧客企業は当該ソリューションをより一層利用するようになるとともに、別のソリューションを利用する意欲が強まることが期待されます。
そして、当該顧客企業に当社グループの提供する別のソリューションが導入され、その利用が増えれば、分析されるデータの種類と網羅性が上がり、当社グループのアルゴリズムの精度が更に向上します。
このようなネットワーク効果は、多様な異なる業種の様々な利用方法に対応してきた当社グループのソリューションの経験の蓄積から生まれたものであり、他社では短期間には再現できないものであると考えています。
また、デジタルマーケティングやセールスの領域で実証してきたように、最先端の機械学習を活用したAIモデルを、既存のソフトウェアやソリューションに適用させることで、これまででは実現できなかったような新たなソリューションを提供してきました。このように、ソフトウェア業界を変革する能力を当社グループは有していると考えています。
既存顧客からの利用拡大による好循環に加え、営業生産性の向上も継続しています。このような改善の原動力となったのは、各国における潜在顧客企業を探索し、より高い成約率を見込める最も適切なタイミングで当該顧客企業にアプローチするという効率的な営業組織を、営業戦略組織を中心に体系的なアプローチで構築したことです。個々の営業メンバーの顧客企業獲得数が増えることで、営業活動への投資の回収サイクルをさらに短縮することができます。そして、より多くの地域で事業成長を推進するための営業担当者を、より多く採用することができます。その結果、最終的には売上、利益ともに持続的な成長を遂げるという好循環を達成することができると考えています。
④ 戦略的な買収によるポートフォリオの拡大
当社グループは、内製でのソリューション開発に加えて、既存ソリューションと補完的な関係にあるソリューションを持つ企業を戦略的に買収し、ソリューションのポートフォリオを拡大してきました。
2018年にQuantumgraph Solutions Private Limited.を、2019年にEmotion Intelligence株式会社を買収し、両社のソリューションを当社グループの最先端のAI技術で再設計・改良することによりAIQUAとAiDealを完成させ、顧客企業を増やしています。2021年には邦妮科技有限公司を買収し、同社の提供するBotBonnieを複数の言語にローカライズして販売地域を拡大しました。BotBonnieはオムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、既存ソリューションとの間にシナジーがあることから、当社グループの営業生産性と顧客当たりのACVの改善に貢献しています。
また、当社グループは2022年10月に米国のWoopra, Inc.を買収し、同社が保有していたソリューションとAIXONを組み合わせることにより、2022年12月にAIRISの提供を開始しました。AIRISは、AppierのAIによる予測アプローチと、Woopraの直感的なデータの可視化を組み合わせた、AIベースのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。直感的なリアルタイムデータの可視化と予測により、インサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。
進出する領域を特定し、当社グループのソリューションや事業展開地域を補完する適切なターゲットを体系立てて探し出し、買収したソリューションを当社グループのシステムと融合させ、当社グループの最先端のAI機能を活用して再設計・改良し、そして顧客企業を増やしてきたという実績があり、今後も同様の手法で新製品の開拓や地域的な拡大を柔軟に実行できると考えております。
⑤ アジア太平洋地域にまたがる顧客基盤
当社グループには、ソリューションを様々な業種に適応させ、異なる国・地域で事業を拡大していくことができるという強みがあります。創業以来、当社はグローバルに事業を拡大することに成功し、17の都市にオフィスを構えています。北東アジア地域(日本及び韓国)、グレーターチャイナ地域(中国、台湾及び香港)、東南アジア地域の各主要地域では、継続的な成長を示しています。加えて、米国及びEMEA地域では他の地域より大きな成長を示しています。それぞれの国・地域に合わせて体系的に事業を拡大することができるよう、ノウハウ、インフラ、人材を整えており、今後のグローバル展開でも積極的に活用していきます。
当社グループでは、主としてEコマース、デジタルコンテンツ、その他インターネットサービス、消費財ブランド&金融サービス等を中心とする幅広い業種の顧客企業を多数有しており、多様な業界の著名な企業に対して当社のプラットフォームを提供しています。2023年12月31日現在、当社の顧客企業は1,625の企業グループとなっており、2022年12月31日時点の1,374の企業グループから増加しています。
⑥ 顧客企業の獲得・維持・拡大における実績
当社グループでは、国際的かつ経験豊富なセールスチームが、アジア太平洋、欧州及び米国の主要な市場に展開しています。強固な市場獲得戦略により、当社グループは事業を拡大しており、また継続率の高い顧客企業基盤を構築することが可能となっております。さらに、当社グループのソリューションを複数利用する顧客企業の数は大きく伸びており、当社グループのソリューションはデータを扱うビジネスに決定的なプラットフォームとなることから、顧客企業は当社グループの提供するソリューションを長く使うことによってますます手放すことが難しくなると考えております。2023年12月期において、月次顧客解約率(注5)は0.604%、月次顧客収益解約率(注6)は0.306%となっています。これらの結果、NRRは120.3%(米国ドルベース)という高い水準になっています。
(注) 5.月末時点の顧客企業(当月のみの利用又は有償での試験的利用等により一時的に当社グループのソリューションを利用した顧客企業を除く。)の数に対する当月に離脱した顧客企業数の割合
6.月末時点の顧客企業(当月のみの利用又は有償での試験的利用等により一時的に当社グループのソリューションを利用した顧客企業を除く。)からの米国ドル建ての売上収益に対する当月に離脱した顧客企業からの米国ドル建ての売上収益の割合
月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
⑦ リカーリング売上収益の増加と営業レバレッジ
前記「③ プラットフォームの価値を高めるネットワーク効果」に記載したように、当社グループのソリューションには、顧客企業の使用量の増加や別のソリューションの追加購入を促すネットワーク効果があります。「ランド・アンド・エクスパンド」手法(まずは顧客企業に1つソリューションを利用していただき、その後、別のソリューションへの利用拡大を促すこと)が有効に機能しており、2023年12月期のNRRは120.3%(米国ドルベース)となっています。
この結果、当社グループでは、安定した収益源であるリカーリング売上収益が増加傾向にあります。さらに、当社グループの顧客企業は多様な業界及び地域に亘っているため、市場の不安定な時期においても、業績に与える影響は緩和されると考えております。
2023年12月のARRは28,641百万円で、2022年12月の21,095百万円と比較した成長率は35.8%となっています。また、2023年のリカーリング売上収益比率は95%以上となっています。
さらに、当社のARPC(注7)は2022年の13.8百万円から2023年12月期の15.9百万円へと成長し、これは当社のプラットフォームを継続して利用する顧客企業による当社ソリューションの利用が増加したことを反映しています。
また、CrossXについては、多くの顧客企業のデータを学習することでAIアルゴリズムが自動で予測の精度を高め、より少ないマーケティング・プラットフォーム利用料で多くのユーザーを獲得できるようになることから、売上総利益率の改善が見込まれる仕組みとなっています。さらに、売上総利益率が比較的高いAIQUA、AiDeal及びAIXON等の顧客企業基盤を拡大することもまた、当社グループの売上総利益率の向上につながります。当社グループの財務モデルは、このように収益基盤の拡大に伴って売上総利益率の向上が期待できるという営業レバレッジに支えられております。加えて、当社グループにおいては、収益基盤が拡大するにつれて、販売及びマーケティング費用並びに一般管理費の売上収益に対する割合は減少すると想定していることからも、売上収益の増加に伴って売上高営業利益率の改善を実現しうるコスト構造になっていると考えております。
(注) 7.Average Revenue Per Customerの略。1顧客当たりの平均売上収益を意味する。ある年度の売上収益を当該年度末の顧客企業数で除した、顧客企業1社当たりの平均年間売上収益(当月のみの利用又は有償での試験的利用等により一時的に当社グループのソリューションを利用した顧客企業及び対応する売上収益を除く。)
8.上記に記載の2022年12月期及び2023年12月期に係る各数値は未監査のものです。
(5) 中長期的な経営戦略
① AI技術の継続的な強化と新たなソリューションの開発
AI技術の革新への投資を継続することは、当社グループの重要な優先事項です。研究としてのAIには長い歴史がありますが、ビジネスとしてのAIはまだ黎明期にあります。当社グループは、AI研究のバックグラウンドを持つ経営陣が率いるAI企業のパイオニアとしての自負を持って、最先端の研究を現実の世界に応用するために、その強みを発揮し続けています。
当社グループのイノベーションは、以下の方向性に分けることができます。
(1)より効率的な機械学習・深層学習技術により、顧客企業がより短期間でAIの恩恵を享受できるようにする。
(2)ユーザー分析機能を強化し、動画や音声など、構造化されたデータや非構造化されたデータの分析範囲を拡大する。
(3)機械学習の意思決定フレームワークを適用できる領域を広げる。
これにより、既存のエンタープライズ・ソフトウェアアプリケーションをAIでさらに自動化することが可能になります。
さらに、顧客企業との対話、企業の意思決定、リソース管理、社内業務の自動化など、イノベーションを推進できるエンタープライズ・ソフトウェアの領域はさらに広がると考えています。これらの分野はいずれも、AIを活用することで、効率性と精度を次の水準に高めることができます。
② 新規顧客企業の獲得
当社グループの新規顧客獲得戦略は、緻密なセールスの分析と、トップダウンでの市場分析に基づいています。AIの受容度、各業界における成功事例の有無、販売効率の予測を踏まえた上で、地域参入・顧客獲得戦略を策定し、優先順位をつけています。
また、隣接する業界や同業界で似た課題を抱える企業に対して、当社グループのAI技術によりAI活用の成功事例を適用させることで、潜在的なターゲット顧客を拡大していきます。これにより、Eコマースやデジタルコンテンツなどの既存業界での活用事例を増やすとともに、消費財や金融業界などの新たな業界での活用事例を拡大し、さらに幅広い業界への参入を可能にしています。これらによって、顧客基盤の拡大が可能となります。
③ 既存顧客企業からの売上収益の増加
常に価値を提供して顧客のロイヤルティを高め、顧客基盤を拡大し強固にすることに、当社グループは注力しています。
顧客が、当社グループのソリューションを長く使うほど、ネットワーク効果が強まります。顧客の大量のデータを処理することで、時間の経過とともに当社グループのAIアルゴリズムとAIモデルの精度が向上し、当社グループのソリューションは一層効率的になります。その結果、顧客にとってより大きな価値が得られることから、当社グループのソリューションへの依存度が高まる傾向にあります。このようなネットワーク効果により、当社グループは、既存顧客に対して、時間の経過とともにより多くの価値を提供してきた実績を有しています。
当社グループは、当社のソリューションの利用拡大によるメリットを顧客に実感していただき、より多くの契約をいただくために、営業力をさらに強化していきたいと考えています。これまで、既存顧客からの収益成長の大部分はアップセルが占めてきましたが、ソリューションの拡大に伴い、今後はクロスセルを増やしていきます。
④ アジア太平洋地域及び米国への一層の浸透と新たな地域への展開
計画的な海外展開は当社グループの強みであり、市場の拡大には今後も注力していきます。アジア太平洋地域は引き続き当社の最重点地域であり、そこでの地位をさらに強化していきたいと考えています。特に、日本と韓国のような大規模でデジタル技術の浸透した市場では、シェアを高める余地があると考えています。これらの国では、既に取引のある業種でのシェアを継続的に拡大しながら、新たな業種への進出に注力しています。
タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアなど、東南アジアでは、デジタル経済がかつてない速さで成長しています。この地域では、Eコマースをはじめとするオンラインサービスなど、デジタルに精通した業種に注力しています。また、世界第2位のデジタル経済大国である中国では顧客企業の海外展開が加速しており、当社グループの成長ドライバーの1つになっております。更に、2021年より本格進出を開始した米国における売上収益は比率は拡大しており、成長モメンタムの加速に貢献しております。
当社の差別化されたAI技術と強力な業務遂行能力を活用して、アジア太平洋地域の国々及び米国での成功パターンを再現し、他の地域への更なる進出とグローバルな成長を継続しています。
⑤ 外部成長の機会の追求、戦略的なM&A
当社グループは、AIを活用したエンタープライズ・ソフトウェアの革新を実現するための重要な施策として、当社グループのAI技術によって既存ソリューションの再設計・強化を行うというM&A戦略を考えています。新たな業界や地域を志向した新たなソリューションを開発しようとするときには、まずは既存ビジネスとのシナジーが期待できる隣接領域から始めます。当社グループが追求している方向性と同様のビジョンを持った素晴らしいパートナーシップの機会があれば、技術とソリューションの強化の観点からM&A戦略の実行の可能性を検討します。今後も、これまでの買収実績に裏付けられた、当社のAI技術が重要なシナジー効果を発揮するような、戦略的な買収・投資の機会を選択的かつ体系的に選び抜いて参ります。
(6) 当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 研究開発体制の強化
当社グループの事業領域であるAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われております。このような事業環境の下で当社グループが事業を継続的に拡大していくには、様々な新技術に適時に対応していくことが必要であると認識しております。
そのためには、さらなる優秀な人材の確保及び研究開発への投資、社内におけるノウハウの共有や教育訓練等が不可欠であると認識しております。優秀な人材を確保し積極的に採用するとともに、研究開発への投資を継続的に実施し、より強固な開発体制の構築に努めて参ります。
② 営業体制の強化
当社グループのサービスはエンタープライズ向けであり、その販売には顧客企業の経営課題の適切な理解とそれに基づき適切にAIプラットフォームを活用したソリューションの提案が必要となります。また、見込み顧客の獲得や、契約獲得後のオンボーディング、既存顧客向けの高品質なカスタマーサクセスの提供も重要であります。このような認識に基づき、当社グループでは優秀なマーケティング・営業・カスタマーサクセス人材の採用と、適切なトレーニングの提供による生産性の向上に努めて参ります。
また、当社グループの最大の売上収益を占めるソリューションはCrossXですが、引き続き、他のソリューションの販売も強化し、ソリューション別でバランスの取れた売上収益構成を目指していきます。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは、既存の拠点に加えて、アジア全域及び欧米への更なる展開を企図しております。そのため、多数国における事業展開に見合った経営管理体制の構築・強化を図るとともに、財務報告の適切性確保、リスク管理及び内部統制の強化等が重要な課題であると考えております。このため、子会社管理を統一的に実施するべく、人材の採用を含むバックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んで参ります。
④ 情報管理体制の強化
当社グループは、顧客企業へのサービス提供の遂行過程において、顧客企業の機密情報や顧客企業のユーザーに関する情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を徹底することが信頼確保の観点から重要であると考えております。現在、社内にて個人情報やデータの保護に関する各種の方針を設定し、当社グループ内に周知し情報管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施等を継続して行って参ります。
⑤ 財務基盤の強化
当社グループは製品・サービスの開発、顧客企業基盤の拡大、事業領域や市場の拡大を重視しているため、今後も積極的に投資を行っていく方針です。直接金融、間接金融を活用し、資本市場とのコミュニケーションを深め、事業展開に見合った財務基盤の強化を図ってまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.ガバナンス
当社グループはサステナビリティに関する指針として「ESGコミュニケーション戦略」を作成し、当社ウェブサイトにて開示しています。また、気候変動への対応を強化するため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に則り、気候変動がもたらすリスクと機会を特定・分析し、対応する行動計画を定めています。これらは取締役会に報告され、2023年8月にはTCFD提言に基づく情報開示を行いました。
2.戦略
(1) 気候変動
当社グループは、リスクシナリオ分析の結果に基づき、気候変動が当社グループの事業に与えうる影響を認識し、事業に直接影響を与えるリスクと機会の管理に関して、透明性と主体性が重要であると考えています。
以下の表では、短期(0-3年)、中期(3-10年)、長期(10年以上)の各時点において、当社グループの事業に影響を与える可能性のある気候関連のリスクと機会およびこれらを管理し影響を軽減するための戦略を特定しています。
(2) 人的資本
デジタルソリューションプロバイダーである当社グループにとって、従業員は最も大切な資産です。当社グループが提供するソリューションの開発には、AIに関する集約された専門知識が必要です。競争の激しいハイテク業界において、スキルの高い従業員を採用し維持することは、当社グループにとって最優先の課題です。当社グループは、各種の福利厚生や支援制度を通じて、従業員の福祉に配慮しています。また、当社グループの人的資本管理は従業員一人ひとりを尊重しており、性別、国籍、人種等の個人の能力とは関係のない属性にかかわらず、コミュニティの全員に均等な機会を提供する企業文化を有しています。さらに、AI研究の発展を積極的に後押しするために、教育機関と連携して若手人材への助成を行っています。
当社グループが重視するトピックおよび具体的な取り組みは以下のとおりです。
3.リスク管理
当社グループは、事業活動に関連する主要な気候関連リスクと機会を特定するために、ベンチマーク、評価、特定という3つのステップにより、包括的なリスク管理プロセスを実施しています。まず、「ベンチマーク」プロセスにおいては、国内外の同業・競合他社が開示するESG情報から、IT業界が直面する可能性のある気候関連リスクと機会に関する情報を収集します。「評価」の段階においては、当社グループの様々な部門の従業員が、「ベンチマーク」において収集したリスクと機会の発生可能性と影響の大きさを評価するためのフォームに入力します。「評価」プロセスの結果、当社グループにとって最も重要な気候関連のリスクと機会が「特定」されます。そして、リスクと機会のマトリックス表を作成し、それぞれのリスクと機会が当社グループにどのような影響を与えるかを可視化します。今後もこれらのリスク・機会のモニタリングと評価を行い、対応策や行動計画を充実させてまいります。
4.指標及び目標
(1) 気候変動
当社グループは日本、台湾、韓国、シンガポールを含む世界各地の主要拠点のスコープ1、2、3をカバーする温室効果ガスに関する調査を行い、2023年12月期の総排出量は下表の通り1,602.1トンメトリックトンCO2eでした。温室効果ガスの主な排出源は、物品・サービスの購入で全体の53.3%を占め、次いで電力の購入が33.1%を占めました。現段階では、主にスコープ2の温室効果ガス削減に焦点を当てています。
(2) 人的資本
当社グループは15ヵ国に17のオフィスを構えており、性別、宗教、人種、年齢、配偶者の有無等の属性に関わらず、個人のパフォーマンスに基づき昇給や昇進等の機会を平等に提供しております。
また、当社の取締役会は3つの国籍(台湾、日本、インド)からなる多様なメンバーにより構成されており、業務執行取締役のうち1名は女性です。従業員も多様な国籍から構成されており、女性比率は40%を超えております。
このように、当社では既に社内の多様性が確保されていることから、コーポレートガバナンス・コードに規定されている「測定可能な目標」を設定しておりません。当社のCode of Conduct(行動規範)においては、採用や昇進等において国籍、性別、年齢等において差別を行ってはならない旨を定めており、社内での研修等を通して周知しております。数値目標は設定しておりませんが、今後も社内の多様性の確保を重視して参ります。
※有価証券報告書提出日現在の取締役会の女性比率は12.5%です。
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 市場の成長性に関するリスク
当社グループの成長戦略の成否は、マーケティング領域におけるAI SaaSソリューションに対する需要が伸び続けることに大きく依存しています。企業によるAIを活用したマーケティングの市場は、北東アジア地域、グレーターチャイナ地域、米国及びEMEA地域をはじめとする当社グループが事業を展開している地域を含め世界的に新しいため、規制(特に個人情報保護に関する法規制)、景気動向、AIをマーケティングに使用すること並びに個人に関するデータを収集、分析及び利用することに対する企業の意識や需要、かかるソリューションに対する企業、ユーザー及び規制当局の評価等により、期待どおりに成長しない可能性があります。
また、当社グループの成功は、クラウド型のソフトウェア・ソリューションの普及、とりわけSaaS形式のソリューションの普及に依存していますが、当社グループが事業を展開するマーケティング領域において、企業によるかかるソリューションの需要が今後も増加し続けるかは不確実です。とりわけ、多くの企業は、既に多額の費用と人材を投入してオンプレミス型のソフトウェア・ソリューションを自社の事業に組み込んでおり、移行費用への懸念等により、クラウド型のソフトウェア・ソリューションを導入することに消極的となる可能性があります。
これらの要因により、当社グループがターゲットとする市場が拡大しない場合や、拡大の速度が当社グループの見込みよりも緩やかである場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(2) 業績に関するリスク
当社グループが属するAIマーケティング市場は未だ成熟しておらず急速に発展している段階にあり、また、顧客企業によるマーケティング活動の季節性その他の当社グループのコントロールの及ばない様々な要因に左右されるため、当社グループの売上収益は大きく変動する可能性があり、また、不測の追加費用や損失が発生する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績に重大な影響を与え、将来利益を計上できない可能性があります。
(3) マクロ経済に関するリスク
当社グループの売上収益の大部分は、北東アジア地域、グレーターチャイナ地域、及び米国及び欧州地域から計上しており、当社グループの売上収益は過去増加しているものの、当社グループの業績はこれらの地域の経済情勢の影響を受けます。その見通しは不確実性が高く、様々な要因によって悪影響を受ける可能性があります。例えば、ウクライナ情勢に加え、米中貿易摩擦や中東及び北朝鮮での地政学的リスクの増大等により世界経済が低迷する場合、当社グループの主要な販売地域にも悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの要因等により、これらの地域の経済情勢が悪化した場合、当社グループのソリューションに対する需要が減少し、新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きく悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 顧客企業の維持・獲得に関するリスク
当社グループの将来の成長は、新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持の成否に左右されます。当社グループが新規顧客企業を獲得できるか否かは、当社グループのソリューションの品質・価格・評判、競業他社の戦略や、当社グループのブランドやマーケティングの有効性等の要因に依存しており、今後も顧客企業を獲得し続けることができるかは不確実です。特に、当社グループの顧客企業基盤は多様な業界に及ぶものの、現時点ではEコマース及びデジタルコンテンツの業界に集中しており、これら以外の業界に顧客企業層を拡大するにあたって、当該業界における顧客にとって魅力的な形で当社グループのソリューションを開発又は展開できない可能性や、当該業界における既存の競合企業との実質的な差別化ができない可能性、当該業界における新たな規制に対応するための追加の費用が発生する可能性等があります。加えて、当社グループは新規顧客企業の獲得のために多額の販売及びマーケティング費用を支出しなければならない可能性があり、また、支出に見合った売上収益の増加を実現できる保証はありません。
また、当社グループの売上収益の大部分は既存顧客企業から継続的に発生するリカーリング型の売上であり、既存顧客企業の維持及び単価の上昇は当社グループの業績に重要な要素となりますが、これまでと同水準の月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率等を保つことができるとの保証はありません。
新規顧客企業の獲得及び既存顧客企業の維持が当社グループの見込みどおりにいかない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(5) 市場規模の推計に関するリスク
当社は、TAMについて、一定の仮定及び前提の下、TAMについては顧客分析のためのAIソフトウェア市場の規模及び成長率についてのIDCによる推計を用いて推計しています(前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境」をご参照ください。)。当社は推計に当たり当社が信頼できると考えるデータを用いておりますが、推計値の正確性には限界があります。かかる将来予想に用いられたデータ、仮定又は前提が不正確又は不適切であった場合、実際の当該潜在的市場の規模は推計より大きく下回る可能性があります。
さらに、仮に潜在的市場の推計値が正確であった場合でも、当社グループのソリューションがすべての企業のニーズに応えることができるという保証はなく、また、当該潜在的市場の機会を捉えて当社グループが順調に事業を拡大できない可能性があります。
(6) 事業のグローバル展開に伴うリスク
当社グループは、収益機会の拡大に向けて、今後はアジア全域をカバーするとともに欧州及び米国においても事業の展開を拡大することを企図しています。
複数の国・地域における事業の継続及び拡大にあたっては、現地における人材採用等を行う必要がありますが、かかる採用等を計画通りに実施できる保証はありません。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制(特に、個人情報その他のデータやAIの利用に関連する現地の法令)、経済的・政治的不安定、文化・ユーザーの嗜好・商慣習の違い、為替変動、データの使用可能性等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスク等が存在します。当社グループは既に世界各国の15の国・地域で事業を展開しておりますが、このようなリスクに適切に対処できない場合、当社グループの事業のグローバル展開に影響を及ぼし、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(7) 先行投資から得られる効果が期待通りに実現しないリスク
当社グループは、既存のソリューションの強化と新たなソリューションの開発に重点を置いており、今後も研究開発人員の採用等に引き続き多額の投資を行うとともに、顧客企業基盤の拡大のために販売・マーケティングにもさらなる投資を行っていく予定です。投資の実施に際しては、投資から得られるリターンを重視しています。当社グループは、歴史的に多額の研究開発費を投下してきており、今後も収益性の向上に努めながらも、投資を継続する方針です。
しかし、サービスの開発・改良サイクルの性質上、投資を行う時点と、当該投資により開発・改良したサービスを顧客企業に提供することができるようになる時点との間には時間差が生じる可能性があり、開発・改良したサービスに対する顧客企業の需要は、当初の見込みを大幅に下回る可能性があります。その場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 当社ソリューション及び技術革新等に関するリスク
マーケティング領域におけるAI SaaSソリューションは急速に進化しており、当社グループが成功するためには、これまでと同様に、既存のソリューションの品質をあげること及び高性能な新ソリューションを導入し続けることが必要です。新たなソリューションの開発や既存のソリューションの改良において、AI等の技術の進歩に追いつくことができないこと等により当社のソリューションが消極的な評価を受けた場合や他社に対する競争優位性を失った場合、当社グループの顧客企業基盤の維持・拡大及び利用ソリューションの拡張に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループのソリューションには問題がない場合であっても、他社のAIソリューションに問題が生じた場合、AIソリューション全体への信頼性やAIソリューション市場の成長性に悪影響を与える可能性があります。
(9)顧客企業の需要に関するリスク
当社グループが事業を成長し続けるためには、顧客企業の需要を正確に把握し、適時適切に対応して新たなソリューションの開発や既存のソリューションの改良を行う必要があります。変化する顧客企業の需要に迅速に対応できず、当社グループのソリューションを継続的に開発・改良することができない場合、特定の販売地域の顧客企業の需要等に合ったソリューションを導入できない場合、又は当社グループの新たなソリューションを顧客企業が導入するのに過度に時間や手間を要する(若しくはそのように認識される)場合、顧客企業基盤の維持・拡大及び利用ソリューションの拡張並びに新たなソリューションの導入に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(10)競合に関するリスク
当社グループが事業を営むマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションの市場は比較的新しく、新規参入が比較的容易であることから、既存又は新規の競合他社との間での競争は今後ますます激化することが予想されます。現在又は将来の競合他社は、当社グループよりも長い事業歴、より豊富な財源や技術力、より効率的な事業モデル、より高い知名度等を有している可能性があります。さらに、それらの競合他社が、当社グループの顧客企業(潜在的顧客企業を含む。)との間に強固な関係を有していたり、市場に関する広範な知見を有していたりする可能性もあります。
また、当社グループのソリューションの競争力は、高度なAIを提供する能力、顧客企業の目標達成に対する有効性、導入における迅速さ及び使用における容易さ、カスタマーサポートの質と信頼性、使用にかかる総コスト、迅速な経営判断、ブランド認知度等、多くの要素に依拠していますが、当社グループがこれらの要素における競争力を維持できるかは不確実性が伴います。
さらに、競争の激化により、当社グループは、受注の減少や市場シェアの低下が生じる可能性に加え、価格を引き下げ、価格体系を変更することが必要となる可能性があります。
当社グループがこれらの競争に打ち勝つことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(11)事業成長に伴うリスク
当社グループは、2014年6月にCrossXの提供を開始し、その後もサービスを拡大してきましたが、事業の歴史は浅く、またマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションの市場も急拡大してきた新しい市場であることから、当社グループの事業が今後もこれまでと同じ速度で成長する保証はありません。また、今後、事業の拡大に合わせて必要な研究開発人員や営業人員者等の人材を確保できる保証はありません。
一方、当社グループの事業が急速な成長を続ける場合、経営管理、内部管理、従業員の管理等を含む事業運営に大きな負担が生じる可能性があり、当社グループがかかる負担の増大に適切に対処できなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)価格体系に関するリスク
当社グループの主力ソリューションであるCrossXは、利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供される仕組みとなっています。これらの仕組みの下では、当社グループの収益は、顧客企業がCrossXを利用して行う新規ユーザー獲得数等のためのマーケティング活動の利用量に応じて定まりますが、どれほどの利用量を提供できるかは当社のAIアルゴリズムの正確性にも依存しています。当社のAIアルゴリズムが顧客企業に対して十分な成果を出せなかった場合には、当社グループの収益は減少し、その結果、利益率に悪影響を与えることになります。
また、当社グループの他の製品については、一定程度使用量が増えるごとに段階的に価格が引き上げられる方式を含む月額又は年額課金型のサブスクリプション方式を採用しています。この方式の下では、期間中に高頻度で利用する顧客企業が当社の想定よりも多い場合には、サーバー費用の増加により利益率が悪化する可能性等があります。
さらに、将来的に価格体系や単価の変更や引き上げを行う際、それが顧客企業に受け入れられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)代理店への依存に関するリスク
当社グループの売上収益の一部(主に日本と韓国におけるCrossXの売上収益の一部)は、代理店を通じての販売によるものです。代理店と協力して顧客企業の獲得を行い、最終顧客と直接のビジネスを行っておりますが、当社グループとこれら代理店との関係が悪化した場合や、代理店が当社グループのソリューションを販売するための販売手数料を値上げした場合等には、当社グループの収益性が低下する等、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが今後新たな地域へ販売を拡大する際にも代理店の販路に依拠する可能性がありますが、かかる代理店が当社と競合する他社の製品やサービスを優先的に販売する可能性があります。さらに、代理店が当社グループのソリューションについて顧客企業に誤った説明をしたことや、法令等に違反したことにより、訴訟を提起され又は当社グループの評判が損なわれる等の可能性があります。これらの要因により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(14)外部クラウドサーバーへの依存に関するリスク
当社グループのソリューションは、外部クラウドサーバー(Amazonが提供するAmazon Web Services(以下「AWS」といいます。)及びGoogleが提供するGoogle Cloud Platform(以下「GCP」といいます。))を使用して顧客企業に提供しており、かかるソリューションの提供には、AWS及びGCPの安定的な稼働が不可欠となっています。しかし、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社グループの想定していない事象の発生によりAWS又はGCPが停止した場合や、コンピューター・ウイルスやハッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon若しくはGoogleとの契約が解除される等によりAWS若しくはGCPの利用が継続できなくなった場合には、顧客企業への損害の発生、当社グループの評判の毀損や当社グループによる追加費用負担の発生等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(15)インターネット接続・利用に関するリスク
当社グループが提供するソリューションの利用は、当社グループの顧客企業によるインターネットの通信環境に影響を受けます。当社グループが依拠するインフラとしてのインターネットに障害等が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、ネットワーク事業者によるインターネット接続サービスの内容や価格の変更、法規制等の動向によって、当社グループが提供するソリューションの質が低下し、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16)個人情報保護規制に関するリスク
当社グループのソリューションでは、現時点においては、日本の個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)上の「個人情報」をユーザーの同意なしには取得しておりません。しかしながら、当社グループによるかかる情報の利用が違法又は不適切であると主張された場合、顧客企業の信用を喪失する等当社グループの評判が悪化し、又は当社グループが業務停止を含む規制上の措置・制裁や訴訟の対象となる可能性があり、顧客企業の喪失に繋がるおそれがあります。
世界的に個人情報の保護に関する規制は厳しくなっており、今後規制が大きく変更される可能性があります。また、2020年6月に成立した改正個人情報保護法は、主にデータ主体の権利の強化や事業者の義務の厳格化、データの利用に関する新たな規制の導入を意図しております。現時点ではかかる改正法が当社の事業に著しい影響を及ぼすことは想定しておりませんが、これらの規制の変更が行われた場合やかかる改正法の施行により、対応に多額の費用を要し、当社のソリューションのクオリティが低下し、又はAIプラットフォーム若しくはマーケティング領域におけるAI SaaSソリューションに対する意識・需要等が変化することになれば、当社の事業成長力が損なわれ、結果として、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(17)情報管理体制に関するリスク
当社グループのAIプラットフォームでは、ユーザーに関する個人情報又は個人識別情報並びにそのオンサイト及びその他のオンラインにおける活動に関する情報を含む、ユーザーのデータの保管、転送及び処理が行われます。当社グループは、セキュリティ侵害等の脅威からこのようなデータを保護するために、外部サービスを利用する場合はセキュリティレベルの高い大手のサービスを利用することに加え、ウイルスソフトを搭載する等の対策を行っているものの、当社グループがそのリスクを完全に除去できる保証はありません。当社グループのAIプラットフォームに不正アクセスやセキュリティ侵害等があった場合、個人情報の漏えいやデータの喪失、当社グループの評判の毀損及び事業機会の喪失、当局による調査や訴訟への対応、損害賠償や罰金等による多額の費用の負担等につながる可能性があります。
当社グループのシステム及び外部サービスプロバイダのシステムは、コンピューター・ウイルスやサイバー攻撃のリスクにさらされており、当社グループの認知度や市場シェアが高まった場合、それらの標的となるリスクも増大する可能性があります。不正アクセスやサイバー攻撃の手法は日々変化し、高度化しており、当社グループ又は外部サービスプロバイダは全ての不正アクセスやサイバー攻撃を予測又は防止することができない可能性があります。
また、セキュリティ侵害は、当社グループの従業員又は外部サービスプロバイダその他の当社グループのシステムやデータにアクセスすることのできる外部企業の従業員の故意又は不注意による違反等、技術以外に起因する問題によっても発生する可能性があります。当社グループは個人情報等の取扱いについて、個人情報の保護に関する社内規則や取扱いの方針及び手続き等の社内ルールを整備し、適切な運用を義務づけておりますが、このような対策にも関わらず、当社グループの人為的なミスその他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客企業からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、ソリューションの提供やデータの保管につき第三者やクラウドの基盤に依存していることから、不正アクセス、サイバー攻撃、顧客企業データの悪用の防止につき、第三者のセキュリティ対策に依存している部分があります。当社グループは、一定の情報セキュリティに関連する損害賠償責任に対応する保険に加入しておりますが、当該保険は、当社グループが被る可能性のある全ての責任を補償するには十分ではなく、セキュリティ侵害その他個人情報に関する事故が発生した場合、当社グループの評判、事業、業績、財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(18)ソフトウェア及びネットワークに関するリスク
当社グループの継続的な成長は、当社グループが設計・構築するAIプラットフォームのパフォーマンスに依存しており、継続的にAIアルゴリズムの改善を行っておりますが、当社グループのソリューションの基礎となる技術基盤は複雑であるため、重大な誤謬を含んでいる可能性があります。当社グループのソリューションに重大な誤謬が見つかった場合、当社グループの評判、事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが提供するソリューションは、インフラの変更、新機能の導入、人為的な若しくはソフトウェア上の誤謬又はその他のセキュリティ関連の事象を含む様々な要因によって、パフォーマンスの遅延、中断、停止その他の問題を引き起こす可能性があります。顧客企業が満足できる水準のサービスを受けられない場合、顧客企業は当社グループのソリューションの利用を中止する可能性があり、その結果、当社グループの事業及びソリューションは、評判の低下、市場からの敬遠、競争力の喪失、顧客企業からの損害賠償請求等の結果を招く可能性があります。
さらに、当社グループのソリューションは、外部クラウドサーバーであるAWS及びGCPを使用しております。その結果、当社グループの事業活動は、これらの外部クラウドサーバーのプロバイダが自然災害、電力やネットワークの障害、サイバー攻撃等から当該プロバイダ自身のサービスを守ることができるかどうかによっても左右されます。当社グループがプロバイダと結ぶ契約が終了した場合やサービスが失効したりシステムその他のリソースが損傷したりした場合、当社グループのプラットフォームが使用できなくなる可能性があり、また、新たなプロバイダを探すのに時間がかかる場合や追加費用が必要となる場合には長期にわたって当社グループのプラットフォームを使用できなくなる可能性があります。これらの要因により、当社グループの収益が減少し、当社グループに対して顧客企業から損害賠償請求等が提起され、当社グループの評判が損なわれ、又は顧客企業が不満を感じて当社グループとの契約を終了する可能性があり、その結果、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に重大な悪影響が生じる可能性があります。
(19)カスタマーサポートに関するリスク
当社グループのソリューションは、継続利用することでより高い効果が期待されるため、契約後も顧客企業に対して適切なフォローアップを行うことで利用の継続を促すことが重要であると考え、当社グループは、顧客企業との契約後も技術及び運用上の問題について継続的にカスタマーサービスを提供しています。しかし、顧客企業のカスタマーサポートに対する需要の増加に迅速に対応することができない場合や顧客企業のニーズに合った効率的かつ迅速で質の高いサポートを提供できない場合又は市場からそのように認識される場合、顧客企業が当社グループとの取引をやめ、又は潜在的な顧客企業に当社グループのソリューションを推薦しない可能性があり、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(20)ブランドに関するリスク
当社は、既存顧客企業の維持や新規顧客企業の獲得にとってブランド力は極めて重要であると考えています。マーケティング領域におけるAI SaaSソリューション市場は日々競争が激化しており、また当社グループは今後さらなるグローバル展開を企図していることから、当社グループがブランド力を構築、維持、向上させるために多額の費用を要する可能性があります。また、当社グループのソリューションやマーケティング領域におけるAI SaaSソリューション全般に対する否定的な評判が広がった場合や、当社グループの役職員による違法・不正行為や不適切な行動により当社グループのブランドや評判が損なわれた場合、既存顧客企業の維持や新規顧客企業の獲得に悪影響が生じる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。
(21)人材の採用・育成に関するリスク
当社グループのサービスはAIアルゴリズムを用いているため、営業人員者にもAI等に関する一定程度の知識が求められます。そのため、当社グループはかかる知識や経験のある人材の採用に努めていますが、そのような人材は数が限られており、十分な人数を採用できない可能性があります。また、当社グループでは、採用後もソリューションに関する教育を行っていますが、社員が十分な成果を上げることができるようになるには相当の時間と労力が必要である上に、最終的に当社グループのソリューションを販売するのに十分な知識を習得できない可能性もあります。当社グループがソリューションを販売する人材の採用又は教育に失敗した場合、当社グループの事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、AIアルゴリズムの開発に必要なAIサイエンティストやソフトウェアエンジニアの採用に関して、厳しい競争に直面しております。さらに、当社グループは創業以来、経営陣が強い関係を有する台湾のAIサイエンティストを中心に採用してきましたが、同地域においてもこれまでと同様にAIサイエンティストを採用できる保証はありません。加えて、優秀な人材を確保しつづけるのが容易ではないという業界共通の課題があります。当社グループが必要とする人材の獲得若しくはつなぎ止めができなかった場合、又は人材の獲得若しくはつなぎ止めのために多額の費用を要した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(22)特定人物への依存に関するリスク
当社グループは、製品の開発や事業戦略の立案等について経営陣に大きく依存しております。特に、当社グループの共同創業者であり代表取締役CEOである游直翰は、当社グループの事業戦略や企業文化の構築、AIサイエンティスト及びエンジニアの獲得にとって極めて重要であり、AIアルゴリズムの開発においても中心的な存在です。当社グループでは取締役会、経営会議等を通して役員及び従業員への情報共有や権限移譲を進める等組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、特定人物への依存に関するリスクを最小限にしておりますが、同氏を含む経営陣に不測の事態が生じた場合や経営陣に人材の流出が生じた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響が生じる可能性があります。
(23)他社の買収、業務提携、合弁会社設立に関するリスク
当社グループは、事業戦略の一環として、当社グループの事業と補完的な事業、ソリューション又は技術への投資又は買収を行っており、今後も潜在的な投資及び買収の検討を継続していくことを考えております。
しかし、投資や買収が見込み通りの成果を上げることができない場合、当社グループが投資又は買収の対象の企業価値を過大に見積もっていた場合、又は既存事業への新規事業の統合や統合後の内部管理体制の構築が奏功しない場合等には、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。当社は過去に複数の買収を行い、これらの会社が提供する既存ソリューションを当社のAI技術で強化することによって、新たなソリューションとして提供を開始し顧客企業数を増やしておりますが、取得した技術を強化するための研究開発費や販売・マーケティングチームが新たなソリューションを導入するための研修費等統合のための費用を支出しており、また、当社グループはこれらの買収から想定している利益を得ることができない可能性があり、その場合、当社グループの評判や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループは他社との業務提携や合弁会社の設立を行う可能性がありますが、パートナー企業との関係が悪化したり、パートナー企業の事業や財政状態が悪化した結果、業務提携等に悪影響が生じ、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(24)知的財産権に関するリスク
当社グループのソリューションはAIアルゴリズムを用いていますが、AIアルゴリズムは当社グループが現在事業を行う地域では特許権による保護を受けることができないため、その不正使用を防止するための措置は不十分である可能性があり、AIアルゴリズムが不正に使用された場合、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が今後進出する地域においても、同様にAIアルゴリズムが法令上の保護を受けられない可能性があります。
そのため、当社グループは、AIアルゴリズム等の知的財産を保護するために、訴訟の提起等に多大な費用と時間を要する可能性があり、かつ結果として知的財産を守ることができないおそれがあるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を遂行するための体制を整えておりますが、投資や買収等を通じたサービスの拡大等に伴い、第三者の特許権、著作権、商標権等の知的財産権の侵害に係る訴訟を提起される可能性が高まっています。当社グループが知的財産権の侵害を理由に第三者から訴訟の提起等を受けた場合、その対応に多大の費用と時間を要する可能性があります。加えて、そのような第三者の知的財産権侵害を回避するため、当社グループのソリューションの販売若しくは使用の中止や特定の機能の変更、第三者からの不利な条件でのライセンスの取得、又は機能の再設計等が必要となる可能性があります。これらの対応により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(25)法的規制等に関するリスク
当社グループは、個人情報保護法のほか、AI及び機械学習に関する法律、デジタルサービスの提供に関する法律、プライバシー、データ保護及び情報セキュリティに関する法律並びに贈収賄禁止法を含む様々な法令等の適用を受ける可能性があります。また、業界の自主規制やサードパーティープラットフォーマー(Eコマース、アプリストア、ゲームポータル等)の規程の適用を受ける可能性があります。
これらの法令等の変更が行われた場合、対応に多額の費用を要し、また、当社のソリューションのクオリティが低下することになれば、当社グループの事業成長力が損なわれる可能性があります。
当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程類を策定し、適宜研修を実施して周知徹底を図っておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、当社グループが法令等を遵守しない若しくは遵守していないと指摘される場合、又は代理店等が法令等を遵守しない場合、当局より行政処分を受けること等により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(26)繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、2023年12月期末において9,868百万円の税務上の繰越欠損金を計上しており、そのうちの一部に対して繰延税金資産を計上しています。当社グループの業績等の著しい変化により、当該繰越欠損金の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準の改正等が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(27)内部統制に関するリスク
当社グループは、事業の歴史は浅く、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(28)資金調達環境の変化
当社グループは、今後も、新規のソリューションの開発、既存のソリューションの改良及び販売機能の強化等の、成長を支えるための投資を継続していく予定であり、当社の事業を継続するための運転資金の確保を必要とする可能性があります。しかし、金融・証券市場の環境、金利等の動向、資金需給の状況等の変化が、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループが必要とする資金の調達を適時かつ好条件で行うことができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(29)自然災害等のリスク
当社グループの事業の遂行は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。当社では、定期的なデータのバックアップ、システムの稼働状況の常時監視等により、自然災害等による事業への障害発生を事前に防止し又は回避するよう努めておりますが、地震、火山、台風、大雨、大雪、火災、洪水等の自然災害、事故、人為的なミス等が発生した場合には、インフラが使用不能になり又はソリューションの開発及び改良の遅延や中断が生じること等により、事業を継続することができない等の支障が生じ、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(30)配当政策について
当社は設立以来配当を実施しておらず、内部留保資金については、財務体質の強化と営業・研究開発人員の増員等の事業成長のための投資に活用してまいりました。今後も将来の成長に向けた投資を継続しながら、将来においても、事業展開に備えた資金を賄うに十分な利益及びコア・フリー・キャッシュ・フロー(注)を計上することが可能であると考えられる場合には、M&Aを含めた資金需要及び内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当を含めた株主還元についても検討してまいります。しかし、利益及びキャッシュ・フロー計画が当社グループの想定通りに進捗せず、今後安定的に利益及びキャッシュ・フローを計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
(注)コア・フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー+無形資産の取得による支出
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。
当連結会計年度の売上収益は26,418百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。これは、ROIを重視する既存顧客の利用量が増加したことによる売上収益の拡大、地域及び顧客業種の拡大による新規顧客からの売上収益の拡大によるものであります。また、2023年12月におけるARR(注1)は28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となりました。
当連結会計年度の売上総利益は13,708百万円(前連結会計年度比37.1%増)となり、売上総利益率は51.9%(前連結会計年度は51.5%)となりました。売上総利益率の改善は、継続的な技術革新への取り組みによるものであります。
事業規模の拡大に伴い、営業費用(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費)の金額は増加していますが、売上収益に対する比率は低下しており、コスト構造は改善しております。その結果、EBITDA(注3)は2,834百万円(前連結会計年度は1,363百万円)、営業利益は801百万円(前連結会計年度は50百万円)となりました。また、税引前当期利益は1,063百万円(前連結会計年度は111百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,002百万円(前連結会計年度は21百万円)となりました。
(注) 1.Annual Recurring Revenueの略。年間経常収益。利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間における1か月平均のリカーリング売上収益(注2)を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を12倍することで年換算して得られた金額です。2023年12月のARRは、利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては2023年7月から2023年12月のリカーリング売上収益の1か月平均を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては2023年12月のリカーリング売上収益を12倍して算出しております。
2.リカーリング顧客(利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、①当社グループのソリューションを4四半期以上連続で使用している顧客企業及び②直近1年以内の新規顧客企業で当社グループのソリューションを3カ月以上連続で使用している顧客企業を、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、当社グループと1年以上の契約を締結している顧客企業をいいます。)からの売上収益
3.EBITDA=営業利益+減価償却費及び無形資産償却費+営業費用に含まれる税金費用
② 財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は37,852百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,914百万円増加しております。流動資産は前連結会計年度末に比べて434百万円減少しており、主な減少要因は定期預金の払戻による減少(前連結会計年度末比5,929百万円減)であり、主な増加要因は営業活動によるキャッシュの獲得等による現金及び現金同等物の増加(同2,330百万円増)、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得によるその他の金融資産の増加(同1,364百万円増)、売上収益の増加による営業債権及び契約資産の増加(同1,592百万円増)であります。非流動資産は前連結会計年度末に比べて2,347百万円増加しており、主な増加要因は資産化の要件を満たす開発費用の資産計上によるのれん及び無形資産の増加(同2,410百万円増)であり、主な減少要因は使用権資産の償却による減少(同196百万円減)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は8,761百万円であり、前連結会計年度末に比べて976百万円減少しております。流動負債は前連結会計年度末に比べて740百万円減少しており、主な減少要因は借入金の返済による減少(前連結会計年度末比1,549百万円減)であり、主な増加要因は売上原価の増加に伴う営業債務の増加(同602百万円増)、未払給与・税金等の増加によるその他の債務の増加(同133百万円増)であります。非流動負債は前連結会計年度末に比べて236百万円減少しており、主な減少要因はリース負債の返済による減少(同237百万円減)であります。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は29,091百万円であり、前連結会計年度末に比べて2,890百万円増加しております。主な増加要因は為替変動によるその他の資本の構成要素の増加(前連結会計年度末比1,701百万円増)、当期利益の獲得による利益剰余金の増加(同1,002百万円増)であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6,134百万円(前連結会計年度末比2,330百万円増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,224百万円となり、前連結会計年度と比べ、収入が1,228百万円増加しました。主な収入の増加要因は、非資金損益調整後の税引前利益の増加(前連結会計年度比1,273百万円増)、利息の受取額の増加(同436百万円増)であり、主な減少要因は運転資本の増加(同418百万円増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は1,971百万円となり、前連結会計年度の支出3,772百万円と比べ、収入が5,744百万円増加しました。主な収入の増加要因は定期預金の純減による収入の増加(前連結会計年度比3,268百万円増)、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得による支出の減少(同2,522百万円減)、子会社の取得による支出の減少(同856百万円減)であり、主な収入の減少要因は無形資産の取得による支出の増加(同899百万円増)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,250百万円となり、前連結会計年度と比べ、支出が1,730百万円増加しました。主な支出の増加要因は短期借入による収入の減少(前連結会計年度比1,622百万円減)であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、AIテクノロジー企業として、AIプラットフォームを活用した各種ソリューションを提供しており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3.株式会社サイバーエージェント及びKeystone Marketing Company向けの販売金額には、当社グループのデジタルマーケティングソリューションのエンドユーザーの販売代理店としての売上収益を含んでおります。
4.前連結会計年度において、Coupang, Inc.は販売代理店を通じて当社グループのデジタルマーケティングソリューションを利用していましたが、当連結会計年度は当社グループと直接契約をしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって行っている重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3) 目標とする客観的な指標等」に記載の指標等に着目しております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
これらの指標のうち、ARR、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率の近時の推移は以下のとおりです。2023年12月におけるARRは28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となっています。2023年12月期のNRR(米国ドルベース)は120.3%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。月次顧客解約率は2023年12月は0.604%と2022年12月の0.617%から改善しており、顧客の継続性が強まっていることを示しています。
ARR
NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
なお、当社グループが経営上の目標達成状況を判断するために用いている客観的な指標(ARR、NRR、解約率等)の中には、第三者の監査等を受けていない社内データを基礎とするものや、一定期間の実績を通年に換算したものなどが含まれており、当社グループの事業及び業績の実態を正確に表していない可能性があります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は26,418百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。これは、ROIを重視する既存顧客の利用量が増加したことによる売上収益の拡大、地域及び顧客業種の拡大による新規顧客からの売上収益の拡大によるものであります。また、2023年12月におけるARRは28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は12,710百万円(前連結会計年度比34.8%増)、売上総利益は13,708百万円(前連結会計年度比37.1%増)となり、売上総利益率は51.9%(前連結会計年度は51.5%)となりました。売上総利益率の改善は、継続的な技術革新への取り組みによるものであります。
(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)
当連結会計年度における販売及びマーケティング費用は8,263百万円(前期比29.2%増)、研究開発費は3,141百万円(同37.5%増)、一般管理費は1,829百万円(同14.1%増)となりました。販売及びマーケティング費用の増加要因は主に採用活動の強化に伴う営業人員の増加、研究開発費の増加要因は主に研究開発活動の強化及び円安によるサーバー関連費用の増加、一般管理費の増加要因は主に会社規模の拡大によるバックオフィス人員の増加やオフィス関連費用の増加であります。
その他の収益は334百万円(前期比0百万円増)、その他の費用は9百万円(同7百万円増)となりました。
上記の通り営業費用(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費)の金額は増加したものの、売上収益に対する比率は低下しており、コスト構造は改善しております。この結果、営業利益は801百万円(前期比750百万円増)となりました。
(金融収益、金融費用、税引前利益)
当連結会計年度における金融収益は547百万円(前期比333百万円増)、金融費用は285百万円(同132百万円増)となりました。金融収益の増加は主に定期預金等の利息収入の増加によるものであり、金融費用の増加は主に為替差損の増加によるものであります。この結果、税引前利益は1,063百万円(同952百万円増)となりました。
(法人所得税費用、当期利益)
当連結会計年度における法人所得税費用は61百万円(前期比29百万円減)となりました。税引前利益は増加しましたが、2023年12月期に回収可能性が高まった繰延税金資産の計上をしたため、法人所得税費用が減少しております。この結果、当期利益は1,002百万円(同980百万円増)となりました。
④ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑤ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動に係る人件費です。これらの資金需要に対しては、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出超過、並びに営業活動によるキャッシュ・フローが収入超過の状況を踏まえ、自己資金を基本としております。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
5 【経営上の重要な契約等】
該当事項はありません。
6 【研究開発活動】
当社グループは、機械学習技術、深層学習技術、自然言語処理技術を利用したサービスの提供に向けた研究開発に取り組んでおります。
社内体制としては、ハーバード大学やスタンフォード大学等の博士号や修士を取得した経営陣を筆頭に、AIやビッグデータ分野における優れた実績を誇る博士陣が当社の技術部門を牽引しています。これら、AIやビッグデータを中心とする情報技術に関連した高い専門性を有するメンバーを中心に研究開発を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動の金額は、3,140,984千円であります。
第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当連結会計年度の設備投資の総額は119,511千円であり、内容は主にオフィス関連の有形固定資産の取得であります。
なお、当連結会計年度において重要な設備の重要な設備の除却、売却等はありません。
また、当社グループは、AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
2 【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりであります。
(1) 提出会社
純粋持株会社である当社の事業はAppier, Inc.及びAppier Japan株式会社に所属する従業員が遂行しているため、該当事項はありません。
(2) 国内子会社
2023年12月31日現在
(3) 在外子会社
2023年12月31日現在
(注) 1.IFRSに基づく金額を記載しております。
2.現在休止中の主要な設備はありません。
3.上記のほか、賃借している主要な設備はありません。
3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設等
該当事項はありません。
(2) 重要な設備の除却等
該当事項はありません。
第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
② 【発行済株式】
(注)提出日現在発行数には、2024年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
※当事業年度の末日(2023年12月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2024年2月29日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.本新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とする。
但し、当社の普通株式について、当社が株式の分割、株式の併合、株式配当、資本再構成、統合又は株式の種別の変更を行う場合その他当社が対価を受領することなしに当社の株式の分配を行う場合は、次の算式により本新株予約権の目的である株式の数を比例按分して調整するものとする。但し、この調整は、当該株式の分割、株式の併合又はその他の該当する取引の時点で行使されていない本新株予約権の目的である株式の数についてのみ行うものとする。調整の結果生じる1株未満の端数は切り捨てるものとする。
上記のほか、株式無償割当てを行う場合その他当社が対価を受領することなしに当社の発行済株式数(但し、当社が保有する自己株式の数を除く。)を変更する行為をする場合、株式無償割当てその他当該行為の条件を勘案のうえ、本新株予約権の行使により取得される株式数について、合理的な範囲で必要と認める調整を行うものとする。
2.本新株予約権者が以下の理由で従業員、取締役、監査役、又はコンサルタント(以下、総称して「役務提供者」という。)でなくなった場合、本新株予約権は以下の条件に従うものとする。
(a) 本新株予約権者が辞職又は辞任した場合、役務提供者としての最終日までに行使可能となった新株予約権はすべて失効するものとする。本新株予約権者は、行使可能となっていない本新株予約権を役務提供者としての最終日付で放棄したものとみなす。
(b) 本新株予約権者が退職した場合(但し本条(a)の場合を除く)、行使可能となった新株予約権は役務提供者が退職した日から30日以内に行使することができるものとし、30日経過後に失効するものとする。
(c) 本新株予約権者が役務提供者である間に死亡した場合((d)に規定するものを除く。)、本新株予約権者の相続人は、当該本新株予約権者が死亡した日の翌日から90日以内に本新株予約権を行使することができるものとし、90日経過後に失効するものとする。
(d) 本新株予約権者が役務提供者である間に、労働災害に基づく身体障害又は死亡により役務の提供を継続できない場合、本新株予約権者又はその相続人は、当該事由により役務提供者が退職した日又は死亡した日の翌日から90日以内にすべての新株予約権を行使することができるものとし、90日経過後に失効するものとする。
(e) 本新株予約権者が解雇された場合、行使可能となった新株予約権は役務提供者が解雇通知を受領した日又は解雇された日のいずれか早い日から30日以内に行使できるものとし、当該日から30日経過後に失効するものとする。行使可能となっていない本新株予約権は当該日付けで失効するものとする。
3.合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換及び株式移転時の新株予約権の交付及びその条件
当社が合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以下「組織再編行為」と総称する。)を行う場合は、かかる組織再編行為の効力発生の時点において行使されていない本新株予約権の本新株予約権者に対し、当該本新株予約権に代えて、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号のイからホまでに掲げる株式会社(以下「承継会社」と総称する。)の新株予約権を次の条件に基づき交付するものとする。但し、かかる承継会社の新株予約権を交付する旨を、合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
(a) 交付する承継会社の新株予約権の数
本新株予約権者が保有する本新株予約権の数を基準に、組織再編行為の条件を勘案して合理的に決定される数とする。
(b) 交付する新株予約権の目的である承継会社の株式の種類
承継会社の普通株式とする。
(c) 交付する新株予約権の目的である承継会社の株式の数
組織再編行為の条件を勘案して合理的に決定される数とする。
(d) 交付する新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
(i)上記「新株予約権の行使時の払込金額(円)」に定める行使価額に、(ii)交付する新株予約権1個当たりの目的である承継会社の株式の数を乗じて得られる価額とする。
(e) 交付する新株予約権の行使期間
組織再編行為の効力発生日から行使期間満了日までとする。
(f) 譲渡による新株予約権の取得の制限
上記「新株予約権の譲渡に関する事項」に定めるところと同様とする。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
(注)1.2019年1月1日に合同会社から株式会社へ組織変更した際に、Appier Holdings, Inc.が取得した組織変更後株式会社の株式の数であります。
2.有償株主割当
割当比率 1:10,001
発行価格 12,127,277円
資本組入額 6,063,639円
割当先 Appier Holdings, Inc.
3.普通株式の自己株式の消却による減少であります。
4.株式無償割当 普通株主1人(Appier Holdings, Inc.)に対して90,761,489株
5.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)
発行価格 1,600円
引受価額(国内) 1,496円
資本組入額(国内) 748円
引受価額(海外) 1,488円
資本組入額(海外) 744円
6.有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)
割当価格 1,496円
資本組入額 748円
割当先 SMBC日興証券株式会社
7.新株予約権の行使による増加であります。
8.2024年1月1日から2024年2月29日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が71,472株、資本金が36千円及び資本準備金が36千円増加しております。
(5) 【所有者別状況】
2023年12月31日現在
(注) 1.自己株式257株は、「個人その他」に2単元、「単元未満株式の状況」に57株含まれております。
(6) 【大株主の状況】
2023年12月31日現在
(注)1.2021年4月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、グローバル・プレミア・グループ・リミテッドが2021年3月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
(注)2.2022年4月7日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが2022年3月31日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年12月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該変更報告書の内容は以下のとおりであります。
(注)3.2023年11月1日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、「Sequoia Capital India Investments IV(セコイア・キャピタル・インディア・インベストメンツ・フォー)」の商号が、「ピーク・フィフティーン・パートナーズ・インベストメンツ・フォー(Peak XV Partners Investments IV)」に変更されたことを確認しております。
(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2023年12月31日現在
(注)「単元未満株式」欄の普通株式には、自己株式が57株含まれております。
② 【自己株式等】
2 【自己株式の取得等の状況】
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
(注) 当期間における取得自己株式には、2024年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。
(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注) 当期間における保有自己株式数には、2024年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買い取りによる株式数は含めておりません。
3 【配当政策】
当社は株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、経営成績、財政状態及びコア・フリー・キャッシュ・フロー(注)を勘案しつつ、利益配当を含めた株主還元も検討する所存であります。
当社は設立以来配当を実施しておらず、内部留保資金については、財務体質の強化と営業・研究開発人員の増員等の事業成長のための投資に活用してまいりました。今後も将来の成長に向けた投資を継続しながら、将来においても、事業展開に備えた資金を賄うに十分な利益及びコア・フリー・キャッシュ・フローを計上することが可能であると考えられる場合には、M&Aを含めた資金需要及び内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当を含めた株主還元についても検討してまいります。
なお、剰余金の配当の決定機関は取締役会であります。
(注)コア・フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー+無形資産の取得による支出
4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、企業活動を支える様々なステークホルダーの利益を重視しており、これらの期待に応えるべく公正かつ透明性の高い企業活動を目指しコーポレート・ガバナンスを強化することを重要な経営課題と位置付けております。また、経営の効率性の追求と健全性の確保により、株主価値の最大化を図る観点から、コーポレート・ガバナンスの重要性を充分認識し、経営の透明性・公正性・迅速な意思決定の維持向上を実現するための施策の実施及び組織体制の継続的な改善・強化に努めて参ります。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
a.企業統治の体制の概要
当社は、2019年2月28日開催の株主総会において、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議されたことにより、同日付をもって監査等委員会設置会社へ移行しました。監査等委員会は現在4名(いずれも社外取締役)の監査等委員である取締役により構成されています。監査等委員である取締役は、定期的に監査等委員会を開催するほか、取締役会に出席し迅速かつ公正な監査・監視を実施しています。
a) 取締役会
当社の取締役会は、代表取締役CEO游直翰が議長を務め、取締役COO李婉菱、取締役CTO蘇家永、取締役涂正廷、社外取締役(監査等委員)簡立峰、社外取締役(監査等委員)本村天、社外取締役(監査等委員)尾下大介、及び社外取締役(監査等委員)何經華の取締役8名(うち社外取締役4名)で構成されています。取締役会は、毎月1回の定時取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催し、迅速かつ効率的な経営執行のモニタリング体制をとっております。
b) 監査等委員会
監査等委員会は、社外取締役(監査等委員)簡立峰が議長を務め、社外取締役(監査等委員)本村天、社外取締役(監査等委員)尾下大介、及び社外取締役(監査等委員)何經華の4名(うち社外取締役4名)で構成され、ガバナンスのあり方とその運営状況を監視し、取締役の職務の執行を含む日常的活動の監査を行っております。社外取締役は、それぞれの職務経験や専門的な見地より経営監視を実施しております。
c) 会計監査人
当社は会計監査人としてPwC Japan有限責任監査法人と監査契約を締結しており、会計監査を受けております。当社と同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員との間には特別な利害関係はありません。
d) 内部監査人
内部監査につきましては、内部監査の専門部署として内部監査人を設置し、代表取締役CEOが任命した内部監査人2名の下、内部監査を実施しており、監査結果を代表取締役CEO及び監査等委員会に報告しております。被監査部門に対しては、監査結果をフィードバックし、改善事項の指摘及び指導に対して改善方針等について報告させることにより実効性の高い監査を実施しております。
b.企業統治の体制を採用する理由
当社は、「監査等委員会設置会社」であり、取締役会、監査等委員会、会計監査人の各機関を設置しております。
コーポレート・ガバナンス体制の選定においては、主として以下の3点を通じ長期的な株主価値の向上を目指す観点から、監査等委員会設置会社を選択しております。なお、あわせて当社の株主の多くは海外投資家であり、本邦固有の監査役会設置会社よりも社外取締役による監督を前提とした監査等委員会設置会社の方が理解を得られやすいと想定された点も考慮致しました。
a) 議決権を有する社外取締役により、業務執行の妥当性監査を含む実効性ある監督機能を確保するため
b) 監督と執行の分離により、経営判断の機動性・効率性と監督機能の強化を両立するため
c) 株主・投資家保護の観点を意識した健全かつ公正な経営を行うため
なお、当社におきましては、監査等委員である取締役を補助する監査等委員会事務局に当社グループの使用人1名(専任)を指名しております。また、内部監査人との連携等により監査等委員である取締役の日常の監査活動をサポートする体制を整えていること等を考慮し、常勤の監査等委員である取締役は不要と判断しておりますが、適切な企業統治が実現できると考えております。

③ 企業統治に関するその他の事項
当社は、取締役会において、「内部統制システムの基本方針」を以下のとおり決議し、業務の適正を確保するための体制作りと管理体制のより一層の整備を図ることとしております。
a.取締役、使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
a) 「Regulations of Board of Directors(取締役会規程)」を始めとする社内規程類を制定し、社内ポータルに公開することで周知徹底を図っております。
b) 代表取締役CEO直轄の独立組織である内部監査人による内部監査を実施し、法令や定款、社内規程等に基づく業務執行が行われているかを確認するとともに、発見された課題については随時改善を図っております。
c) Legal Departmentをコンプライアンスの統括部署として、新入社員に対しては入社時研修の中で、既存の社員に対しては年1回コンプライアンス研修を開催しております。外部機関が提供する研修等も活用し、役社員のコンプライアンスに対する理解及び意識を醸成して参ります。
b.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
a) 取締役の職務執行に関する文書、帳票類、電磁的記録等の各種情報を「Regulations for Handling of Documents(文書管理規程)」に基づき、機密度に応じて分類の上、保存・管理しております。
b) 取締役は、当該文書及び記録を常時閲覧することができます。
c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制
取締役及び各Department Lead(部門長)は、会社の事業目的を公正かつ効率的に達成するため、以下の取り組みを行っております。
a) 当社の事業に深刻かつ長期的な影響を及ぼしうる事象に対応するため、事業の妨げになるリスクを最小化するための対策を講じること
b) 金融商品取引法に基づく内部統制報告システムに従い、財務報告への信頼性をより一層高めるため、当社グループの全社的な内部統制や重要な事業プロセスの文書化、評価及び改善に取り組むこと
c) 効果的かつ効率的な事業プロセス構築や資産の適切な取得並びに処分手続等、当社の事業プロセスの質を向上するために必要なシステムを維持及び強化すること
d.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
a) 取締役で構成する定時取締役会を毎月1回、臨時取締役会を必要に応じて適宜開催し、法令、定款及び「Regulations of Board of Directors(取締役会規程)」に則り、重要事項について審議・決定を行い、また業務執行取締役からの報告を受け、業務執行状況についての監督を行っております。
b) 「取締役会規程」をはじめとした社内規程類を整備し権限及び責任を明確化することにより、適切かつ効率的な意思決定体制を構築しております。
c) 常勤取締役及びOfficer並びにオブザーバーとしての監査等委員会の議長及びInternal Auditorで構成される「Executive Meeting(経営会議)」を設け、「Regulation of Executive Meeting(経営会議規程)」に従い取締役会決議事項その他の重要事項について検討しております。
d) 日常の職務の執行において、取締役会の決定に基づく職務の執行を効率的に行うため、「Regulations for Segregation of Duties(業務分掌規程)」及び「Regulations for Roles, Responsibilities, and Authorities(職務権限規程)」に基づき職務執行の分担及び権限の委譲を行い、各レベルの責任者が意思決定ルールに則り業務を分担しております。
e.当社並びにその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
内部監査人は、当社及び関係会社の業務運営が法令、定款、社内規程類等を順守しているか確認するため、定期的に内部監査を実施しております。内部監査結果は改善点や修正点と共に代表取締役CEO及び監査等委員に報告されております。
f.監査等委員の職務を補助すべき事務局に関する事項、当該事務局員の独立性に関する事項及び当該事務局員に対する指示の実効性の確保に関する事項
内部監査人を監査等委員会の事務局と定め、当該事務局に対する指揮命令権限は監査等委員に専属させております。当該業務に関しては他のいかなる役職員の指揮命令系統にも従わないものとしております。
g.取締役及び使用人が監査等委員に報告するための体制その他監査等委員への報告に関する体制
a) 取締役及び使用人は、監査等委員会に対して、法定の事項に加え、当社に重大な影響を及ぼす事項や内部監査の実施状況を速やかに報告するとともに、監査等委員会からの要請に応じて、必要な報告及び情報提供を行うものとします。
b) 「Policy and Procedures for Whistle-blowing System(内部通報制度運営方針)」を制定し、その定めに基づく運用により、適切な報告体制を確保するとともに、当該制度を利用して報告を行った取締役及び従業員に対し、当該報告を理由とした不利な取扱いを行わないものとします。
h.その他監査等委員の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査等委員会は、会計監査人と定期的に意見交換を行う他、代表取締役CEO、内部監査人とも随時情報交換を行っております。
i.財務報告の信頼性を確保するための体制
財務報告に関するモニタリング体制を整備・運用し、それらを通して内部統制上の問題(不備)が把握された場合には、適時・適切に報告される体制を整備しております。
j.反社会的勢力との取引排除に向けた基本的考え方及びその整備状況
当社は、コンプライアンスを実践するために、「Regulations for Compliance(コンプライアンス規程)」を定めており、その中で反社会的勢力との関係及び取引を行うことを禁じております。また、当社グループにおける方針・基準として、「Regulations for Measures Against Anti-Social Forces(反社会的勢力対応規程)」を定めております。これらを受け、入社のタイミングに加えて年1回実施しているコンプライアンス研修等の機会を活用し、定期的にその内容の周知徹底を図っております。
当社における反社会的勢力排除体制としましては、「Regulations for Measures Against Anti-Social Forces(反社会的勢力対応規程)」及び「Anti-social Forces Elimination Procedures(反社会的勢力排除運営方針)」を制定し、所管部署はLegal Departmentとして運用を行っております。
④ リスク管理及びコンプライアンス体制について
当社は、「内部統制システムの基本方針」に基づき、リスク管理を強化するため、「Regulation for Risk Management(リスク管理規程)」を制定し、リスク情報を早期に把握・共有することでリスクの顕在化を未然に防止する体制の構築に努めております。
また、法律事務所、会計事務所等の法務・会計専門家並びにその他の外部の専門家との相談や意見交換を通じて、事業に係るリスクをはじめとする諸情報を得て、最善と考えられる経営判断を行うよう努めております。なお、コンプライアンス面については、Legal Departmentをコンプライアンスの統括部署として、当社グループの業務全体における法令遵守の状況等をモニタリングしております。加えて当社では、「Policy and Procedures for Whistle-blowing System(内部通報制度運営方針)」を整備し、内部通報制度を設置・運営し、不正行為の早期発見と是正を図っております。
⑤ 取締役の定数及び取締役の選任の決議条件
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の員数を9名以内、監査等委員である取締役の員数を3名以上とする旨を定款に定めております。また、取締役の選任は、「監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の5分の2以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う」旨定款に定めております。
⑥ 株主総会決議事項を取締役会で決議することができることとした事項
a.取締役の責任免除
当社は、職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするため、会社法第426条第1項及び定款の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の定める限度額の範囲内において、取締役会の決議によって免除することができる旨、定款に定めております。
b.内部統制システム整備の状況
当社は、取締役会において、「内部統制システムの基本方針」を決議し、業務の適正性を確保するための体制作りと管理体制のより一層の整備を図ることとしております。
取締役会においては、経営の基本方針、法令及び定款、会社諸規程の定めるところにより、経営に関する重要事項等について意思決定を行うとともに、取締役の職務の執行を監督しております。
c.剰余金の配当等の決定機関
当社は、会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によっては定めず、取締役会の決議によって定める旨、定款に定めております。これは、剰余金の配当等を取締役会の権限とすることにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
⑦ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の5分の2以上を有する株式を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
⑧ 責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)とは、会社法第427条第1項及び定款の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令の定める最低責任限度額としています。
⑨ 補償契約の内容の概要等
当社は、取締役(監査等委員である者を除く)游直翰、李婉菱、蘇家永、涂正廷、及びアビーク・アナンド並びに監査等委員である取締役簡立峰、本村天、尾下大介及び何經華との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結しており、同項第1号の費用((2)において以下「争訟費用」という。)及び同項第2号の損失((2)において以下「損害金等」という。)を法令の定める範囲内において当社が補償することとしております。ただし、当該補償契約によって会社役員の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、法令で定める場合に加え、次に掲げる事項に該当する場合には補償の対象としないこととしております。
・職務の執行と関係なく発生した争訟費用および損害金等
・未発生の争訟費用
・未発生の損害金等(金額がすでに確定している部分を除く。)
・損害金等のうち、会社が被った損害金等
・被補償者である取締役(以下「被補償者」という。)が当社の承諾なく和解を行った場合の和解金(当社が合理的であると判断した場合を除く。)
・保釈金、過料、課徴金又は罰金
・会社法430条の3第1項に定める役員等賠償責任保険契約に基づく保険金の支払その他の理由により、被補償者が別途補償を受けた場合には、争訟費用および損害金等のうち当該補償に係る部分
・当社が争訟費用および損害金等を賠償するとすれば、当社が法令等に違反することになる場合または当社の役員が善管注意義務違反となる場合の争訟費用および損害金等
また、当社が被補償者に対し補償金を支払った後であっても、次の事項に該当する場合には、被補償者は当社に対して補償金の全部または一部を返還することとしています。
・被補償者が自己もしくは第三者の不正な利益を図りまたは当社に損害を加える目的で職務を執行したことが判明した場合には、補償を受けた争訟費用の全部
・当社が保険者との間で締結する保険契約のうち被補償者がその職務の執行に関し責任を負うことまたは当該責任の追及に係る費用を請求することによって生ずることのある損害を保険者が補填することを約するものであって、被補償者を被保険者とするものに基づき、被補償者が保険者から填補を受けた場合には、補償を受けた争訟費用および損害金等のうち当該補填を受けた部分
⑩ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要等
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険を締結しており、保険料は全額当社が負担しております。当該保険契約の被保険者の範囲は、当社の取締役であります。当該保険により被保険者がその地位に基づいて行った行為に起因して、保険期間中に被保険者に対して損害賠償請求がされた場合の法律上の損害賠償金及び争訟費用を填補することとしております。ただし、被保険者が違法に利益または便益を得たこと、犯罪行為、不正行為、詐欺行為または法令、規則または取締法規に違反することを認識しながら行った行為に起因する損害賠償は上記保険契約によっても補填されません。
(2) 【役員の状況】
① 役員一覧
男性7名 女性1名 (役員のうち女性の比率12.5%)
(注) 1.取締役 簡立峰、本村天、尾下大介、何經華は、監査等委員である社外取締役であります。
2.当社の監査等委員会の体制は以下のとおりであります。
委員長 簡立峰、委員 本村天、委員 尾下大介、委員 何經華
3.2024年3月27日開催の定時株主総会終結の時から、2024年12月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。
4.2023年3月29日開催の定時株主総会終結の時から、2024年12月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。
5.2024年3月27日開催の定時株主総会終結の時から、2025年12月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。
6.同氏及び取締役COO李婉菱が支配するPlaxie Inc.を通じて同氏が実質保有する当社普通株式12,847,852株を加算しています。
7.同氏及び代表取締役CEO游直翰が支配するPlaxie Inc.を通じて同氏が実質保有する当社普通株式4,291,758株を加算しています。
8.取締役COO李婉菱は、代表取締役CEO游直翰の配偶者であります。
② 社外役員の状況
a.社外取締役との関係
a) 員数
当社の社外取締役は4名であり、うち4名が監査等委員であります。
b) 当社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係
監査等委員である簡立峰は、台湾国立大学の教授として培ったコンピューターサイエンス関連分野の豊富な見識及びGoogle LLCの台湾オフィスにおけるマネジメント経験から、ビジネス及びテクノロジーに関する助言・提言を期待できるものと考えております。当社グループとの人的関係又は取引関係等の利害関係はありません。
監査等委員である本村天は、ベンチャーキャピタルのManaging Directorとしての職務経験並びに他の会社における役員としての豊富な経験、及びそれらを通して培われた幅広い見識を有しており、経営全般についての助言・提言を期待して選任しております。当社グループとの人的関係又は取引関係等の利害関係はありません。
監査等委員である尾下大介は、日本及び米国における弁護士及び公認会計士としての豊富な職務経験並びに日本取引所自主規制法人の上場審査部での職務経験、及びそれらを通して培われた幅広い見識を有しており、コンプライアンス及びコーポレート・ガバナンス等に関する助言・提言を期待できるものと考えております。当社グループとの人的関係又は取引関係等の利害関係はありません。
監査等委員である何經華は、エンタープライズ向け業務ソフトウェアを提供する複数の企業においてCEOとしての豊富な経営経験及び幅広い識見を有しており、エンタープライズ・ソフトウェア市場におけるダイナミズムを俯瞰し、当社の事業戦略及び販売戦略に対する有益な助言を得られるものと期待して選任しております。当社グループとの人的関係又は取引関係等の利害関係はありません。
当社は、社外取締役を選任するための独立性に関する基準又は方針として明確に定めたものはありませんが、株式会社東京証券取引所の定める独立役員制度を参考にしており、簡立峰、尾下大介及び何經華を同取引所に独立役員として届け出ております。
c) 社外取締役による監督並びに内部統制部門との関係、監査等委員である社外取締役と内部監査、監査等委員会監査及び会計監査との相互連携
社外取締役は、取締役会に出席し意見を述べることにより、取締役の業務執行状況を監督し経営の監視機能を果たすとともに、適宜内部統制部門に対する質疑等を行っております。また、監査等委員である社外取締役については、監査等委員会監査基準に基づき監査を実施しております。
内部監査、監査等委員会監査及び会計監査との相互連携については、「(3) ① 監査等委員会監査の状況」及び「(3) ② 内部監査の状況」に記載のとおりであります。
(3) 【監査の状況】
① 監査等委員会監査の状況
監査等委員会につきましては、4名の監査等委員である取締役によって構成されており、それぞれの役割に応じて、取締役会への出席、経営トップとの積極的な意見交換を行うとともに、決裁書類の閲覧等を適時に行い、取締役の業務執行の監査を行っています。当社の監査等委員会は毎月1回開催することに加え、必要に応じて随時開催することとしております。個々の監査等委員は原則として毎回出席し、策定した監査計画に基づき実施した監査等委員会監査の報告の他、リスク認識についてのディスカッション、内部監査人や会計監査人との情報共有、各取締役との意見交換等も実施しております。
当事業年度において当社は監査等委員会を14回開催しており、個々の監査等委員の出席状況については次のとおりであります。
② 内部監査の状況
内部監査につきましては、内部監査の専門部署として内部監査人を設置し、代表取締役CEOが任命した内部監査人2名の下、内部監査を実施しております。内部監査人は監査結果を代表取締役CEO及び監査等委員会に報告しております。被監査部門に対しては、監査結果をフィードバックし、改善事項の指摘及び指導に対して改善方針等について報告させることにより実効性の高い監査を実施しております。
なお、内部監査人は監査等委員会及び会計監査人と相互に連携して、三様監査の体制のもと、課題・改善事項等の情報を共有し、効率的かつ効果的な監査を実施するように努めております。
③ 会計監査の状況
a.監査法人の名称
PwC Japan有限責任監査法人
b.継続監査期間
6年間
c.業務を執行した公認会計士
宍戸 賢市
臼杵 大樹
d.監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士7名、その他7名であります。
e.監査法人の選定方針と理由
当社は、専門性、独立性、組織体制及び監査実績から総合的に判断し、会計監査人を選定しております。監査等委員会は、会計監査人が会社法、公認会計士法等の法令違反による懲戒処分や監督官庁からの処分を受けた場合、その他、会計監査人の監査品質、品質管理、独立性、総合的能力等の観点から監査を遂行するに不十分であると判断した場合、会計監査人の解任又は不再任を株主総会の会議の目的とすることを決定いたします。
また、会社法第340条第1項各号の定める項目に該当し、かつ適当と認められる場合は、監査等委員の全員の同意に基づき、会計監査人を解任いたします。この場合、監査等委員会が選定した監査等委員は、解任後、最初に招集される株主総会におきまして、会計監査人を解任した旨と解任の理由を報告いたします。
f.監査等委員会による監査法人の評価
監査等委員会は、当社の内部監査人、Finance Department及び会計監査人自身から、会計監査人の監査品質、品質管理、独立性、総合的能力等に関する情報を収集し、会計監査人の監査の方法と結果を相当と認めました。また、会計監査人の解任又は不再任の決定の方針その他の評価基準に基づき、引き続き適正な監査を期待できると評価し、PwC Japan有限責任監査法人を再任することが適当であると判断しております。
④ 監査報酬の内容等
a.監査公認会計士等に対する報酬
b.監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織に対する報酬(a.を除く)
(注) 非監査業務の内容は、税務関連業務等であります。
c.その他重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査日数、監査内容及び当社の事業内容・規模等を勘案したうえで決定しております。
e.監査等委員会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査等委員会は、会計監査人から説明を受けた当期の会計監査の体制、監査計画の内容、前期の監査内容や遂行状況等の監査実績の分析、報酬見積りの算出根拠等の確認を経て妥当と判断し、会社法第399条第1項の同意を行っております。
(4) 【役員の報酬等】
① 役員報酬等
a.役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
当社の役員報酬については、株主総会決議により取締役及び監査等委員である取締役それぞれの報酬等の限度額を決定しております。また、当社は、2021年2月24日開催の取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針の内容を以下のとおり定めることを決議しております。
a)基本方針
当社の監査等委員でない取締役の報酬は、基本報酬を基本とし、適切なインセンティブの付与等の観点から必要があると認める場合には、業績連動報酬及び株式報酬を適切なタイミング及び適切な金額で付与することがあるものとする。
また、当社の監査等委員である取締役の報酬は、その職責に鑑みて基本報酬のみとする。
b)基本報酬の個人別の報酬等の額及び付与の時期又は条件の決定に関する方針
基本報酬は、金銭による月例の固定報酬とする。基本報酬の金額は、各取締役が担当する職務内容、責任範囲、在勤年数、及び業績等の諸般の事情を勘案して決定し、適切な時期に支払うものとする。
c)業績連動報酬に係る業績指標の内容、その額又は算定方法、及び付与の時期又は条件の決定に関する方針
事業年度ごとの業績向上に対する貢献意欲を引き出すため、監査等委員でない取締役に対し、適切な額の金銭を、適切な時期に支給する場合があるものとする。
d)株式報酬の内容、その額又は算定方法、及び付与の時期又は条件の決定に関する方針
株主との価値の共有を図り、中長期的な企業価値及び株主価値の向上に対する貢献意欲を引き出すため、監査等委員でない取締役に対し、適切な個数の株式、又はストック・オプション等の株式報酬を、適切な時期に付与する場合があるものとする。
e)基本報酬の額,業績連動報酬の額,及び株式報酬の額の取締役の個人別の報酬の額に対する割合の決定に関する方針
監査等委員でない取締役の種類別の報酬の割合については、各取締役が担当する職務内容、責任範囲、在勤年数、及び業績等の諸般の事情を踏まえて適切なバランスとなるように決定する。
f)取締役の個人別の報酬等の内容の決定の手続に関する事項
監査等委員でない取締役の個人別の報酬の内容は、取締役会の決議による委任に基づいて、全て代表取締役CEO游直翰が決定する。
当社では、取締役会の委任決議に基づき、代表取締役CEOの游直翰が、事前に監査等委員会の確認を経た上で、各取締役の個人別の報酬の額を決定しております。
委任した理由は、当社グループの業績等を勘案しつつ、各取締役の役割及び貢献度について総合的に判断を行うには代表取締役CEOが適していると判断したためであります。
また、取締役会は、当事業年度に係る各取締役の個人別の報酬等について、報酬の内容が当該決定方針に基づき決定されていることを確認しており、当該決定方針に沿うものと判断しております。
なお、当社は2023年11月に取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置しており、取締役の報酬を決定するに当たっての全般的な方針、取締役会に付議する取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針案、取締役の個人別の報酬等の内容を審議し、決定の上、取締役会に対して答申を行っております。
b.役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
(注) 1.2020年5月29日開催の株主総会において取締役(監査等委員を除く)の報酬限度額は年額70,000千円以内と決議しております。
2.2020年5月29日開催の株主総会において取締役(監査等委員)の報酬限度額は年額30,000千円以内と決議しております。
3.上記には当社子会社から支給される役員及び従業員としての報酬も含まれております。
c.役員ごとの連結報酬等の総額等
連結報酬等の総額が1億円以上である者が存在しないため、記載しておりません。
(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、株価の変動又は配当による利益確保を目的として保有する株式は純投資目的である投資株式とし、それ以外の株式は純投資目的以外の目的である投資株式と判断しております。
② Appier Pte.Ltd.における株式の保有状況
当社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)であるAppier Pte.Ltd.については以下のとおりであります。
a.保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
持続的に企業価値を向上させるため、業務提携や事業シナジーを見込めるなど経営戦略上の重要な目的がある場合のみ保有することを方針としております。また、当該投資の所管部門において、その保有の必要性を検証しております。
ロ.銘柄数及び貸借対照表計上額
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
該当事項はありません。
ハ.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
該当事項はありません。
b.保有目的が純投資目的である投資株式
該当事項はありません。
c.当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの
該当事項はありません。
d.当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの
該当事項はありません。
③ 提出会社における株式の保有状況
該当事項はありません。
第5 【経理の状況】
1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号) 第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に準拠して作成しております。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。) に基づいて作成しております。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しております。
2.監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2023年1月1日から2023年12月31日まで)の財務諸表について、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。なお、従来、当社が監査証明を受けているPwCあらた有限責任監査法人は、2023年 12 月 1 日付でPwC京都監査法人と合併、名称を変更しPwC Japan有限責任監査法人となりました。
3.連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備について
(1) 会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等に適時かつ的確に対応することができる体制を整備するため、監査法人等外部機関が開催する会計基準の変更等に関する研修に参加するとともに、必要に応じて監査法人との協議を実施しております。
(2) IFRSの適用については、IFRSに準拠した当社グループ会計方針を策定し、それらに基づいて会計処理を行っております。また、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準の把握及び当社への影響の検討を行った上で、適時に内容の更新を行っております。
1 【連結財務諸表等】
(1) 【連結財務諸表】
① 【連結財政状態計算書】
② 【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
【連結包括利益計算書】
③ 【連結持分変動計算書】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
④ 【連結キャッシュ・フロー計算書】
【連結財務諸表注記事項】
1.報告企業
Appier Group 株式会社(以下、「当社」という。)は、2018年にAppier Holdings, Inc.(英領ケイマン諸島)の子会社として、日本に所在する株式会社として設立されました。その後2021年2月1日付でAppier Holdings, Inc.が同社の株主に対して当社の株式を分配したことに伴い、当社が当社グループの最終親会社となりました。当社の登記された本社の住所は東京都港区愛宕二丁目5番1号です。「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨の記載
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
本連結財務諸表は、2024年3月28日に代表取締役CEO游直翰及びSenior Vice President of Finance橘浩二によって承認されております。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、注記「4.重要な会計方針」に記載のとおり、企業結合に伴う条件付取得対価、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、取得原価を基礎として作成しております。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成には、一定の重要な会計上の見積りを行うことが要求されております。また、当社グループの会計方針を適用する際に、経営者が判断を下すことも要求されております。より重要な判断又は複雑性を伴う項目、あるいは仮定及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える項目は、注記「5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載されております。
(3) 表示通貨
本連結財務諸表は、日本円を表示通貨としており、単位を千円としております。また、千円未満の端数は四捨五入して表示しております。
3.未適用の新基準
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた基準書及び解釈指針のうち、当社グループに重要な影響があるものはありません。また、公表はされているが未発行の基準書、解釈指針及び改訂基準で当社グループが早期適用しているものはありません。
4.重要な会計方針
以下に記載されている会計方針は、他に記載がない限り、本報告書に記載されている連結財務諸表の作成において、すべての期間について継続的に適用しております。
(1) 連結の基礎
① すべての子会社は連結対象子会社として当社グループの連結財務諸表の対象となっております。子会社は、当社により支配されているすべての企業であります。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していることとなります。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配喪失日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。
② 当社グループ間の重要な債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。当社はグループ全体で会計方針を統一しております。
③ 当社グループが子会社の支配を喪失した場合、当社グループは旧子会社に留保していた投資を公正価値で再測定します。その公正価値は、金融資産の当初認識時の公正価値、又は関連会社もしくは合弁事業の当初認識時の費用とします。公正価値と帳簿価額の差額は純損益として認識します。子会社に関連して以前にその他の包括利益で認識されていたすべての金額は、関連資産又は負債が処分された場合に要求されるのと同じ基準で純損益に振り替えられます。すなわち、当社グループが子会社の支配を喪失した場合、その子会社に関連して以前にその他の包括利益に認識されていたすべての利得及び損失は資本から純損益に振替えられます。また、関連する資産又は負債が処分されたときに、これらの利得及び損失が純損益に振り替えられます。
④ 関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配はしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%から50%を保有する場合、当社グループは当該企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。保有する議決権が20%未満であっても、他の投資家との契約により、財務及び営業又は事業の方針の決定に重要な影響力を行使しうる会社も関連会社に含めます。当社グループは、関連会社に対する投資について、持分法を用いて会計処理を行います。
(2) 外貨換算
当社グループの連結財務諸表を構成する各連結対象会社の財務諸表は、事業を営む主要経済環境の通貨(以下、「機能通貨」という。)を用いて測定されております。連結財務諸表は、当社の機能通貨であり、当社グループの表示通貨である日本円で表示されております。
外貨建取引と残高
① 外貨建取引は、取引日における為替レート又は公正価値評価測定時における為替レートを用いて機能通貨に換算しております。換算又は決済により生じる為替差損益は、発生した期間に純損益として認識しております。
② 期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。期末日の再換算により生じる換算差額は純損益として認識しております。
③ 外貨で公正価値測定される非貨幣性項目は、公正価値が決定された日の為替レートを用いて換算しております。公正価値で計上されている資産および負債の換算差額は、公正価値損益の一部として計上されています。例えば、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産などの非貨幣性資産・負債の換算差額は、公正価値損益の一部として純損益として計上され、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産などの非貨幣性資産の換算差額は、その他の包括利益として認識されます。公正価値で測定されない外貨建非貨幣性資産・負債は、当初取引日の為替レートを用いて換算しております。
④ 外貨換算による利得及び損失は連結損益計算書の「金融収益」又は「金融費用」に計上されております。
在外営業活動体の換算
当社グループにおいて表示通貨と異なる機能通貨を有する会社の財政状態及び経営成績は以下のとおり表示通貨に換算されております。
① 財政状態計算書の資産及び負債は期末日の為替レートを用いて換算されております。
② 損益計算書の収益及び費用は当該期間の平均為替レートを用いて換算されております。
③ その結果生じる換算差額は、その他の包括利益に認識され、累計額はその他の資本の構成要素に含めております。
在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配、重要な影響力又は共同支配の喪失を伴う持分の一部処分といった事実が発生した場合、当該換算差額を、処分損益の一部として純損益に振替えております。
在外営業活動体の買収により生じるのれん及び公正価値の調整は、連結財政状態計算書日の為替レートで換算されております。
(3) 流動項目と非流動項目の分類
以下の基準のいずれかを満たす資産は、流動資産に分類しております。それ以外の場合は、非流動資産として分類しております。
① 正常営業循環期間において実現することが期待されている、又は売却もしくは消費される予定の営業活動から生じる資産。
② 主にトレーディング目的で保有している資産。
③ 期末日から12ヶ月以内に実現すると予想される資産。
④ 現金及び現金同等物。但し、拘束性のある現金及び現金同等物、並びに期末日から12ヶ月以上経過した後に交換又は使用される現金同等物を除く。
以下の基準のいずれかを満たす負債は、流動負債に分類しております。それ以外の場合は、非流動負債として分類しております。
① 正常営業循環期間において決済されると予想される負債。
② 主にトレーディング目的で生じる負債。
③ 期末日から12ヶ月以内に決済される負債。
④ 返済日が期末日後少なくとも12ヶ月間無条件で繰延べられない負債。但し、保有者の選択により持分金融商品の償還が可能な負債は、流動負債には分類されません。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、要求払預金及び取得日から3ヵ月以内に満期が到来する定期預金から構成されております。現金同等物とは、流動性が高く、容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期的な投資をいいます。上記の定義を満たし、営業活動における短期的な現金支出に対応する目的で保有している定期預金は、現金同等物に分類しております。
(5)営業債権
営業債権は、当社グループが提供した役務の対価を受け取る法的権利のうち無条件のものです。
(6) 金融商品
① 金融資産
a.分類
当社グループは、金融資産を以下のカテゴリーに分類しております。
・純損益を通じて公正価値で測定される金融資産
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
・償却原価で測定する金融資産
この分類は、金融資産を管理するための当社グループのビジネスモデル及びキャッシュ・フローの契約条件により行われております。
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
公正価値で測定される金融資産については、利得及び損失は、純損益またはその他の包括利益に計上されます。売買目的ではない資本性金融商品に対する投資については、当社グループが当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で会計処理する方針を選択したかにより決定されます。
当社グループは、負債性金融商品に対する管理方針が変更された場合にのみ、負債性金融商品の再分類を行います。
b.当初認識及び認識の中止
通常の方法による金融資産の購入及び売却は、当社グループが契約の当事者となった取引日に認識しております。
金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は金融資産を譲渡し、当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。
c.事後測定
負債性金融商品
負債性金融商品の事後測定は、当社グループの資産運用に関するビジネス・モデル及び当該資産のキャッシュ・フローの特性に基づき行われます。当社グループは負債性金融商品を償却原価で測定する金融資産又は純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。契約上のキャッシュ・フローを回収するために保有され、そのキャッシュ・フローが元本と利息の支払のみである資産は、償却原価で測定しております。これらの金融資産から生じる受取利息は実効金利法を用いて金融収益に計上されております。認識の中止により発生した利得または損失は損益に直接認識され、その他の収益またはその他の費用として表示されます。減損損失は損益計算書上、独立した項目として表示されます。
トレーディング目的の債券、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の定義を満たさない債券は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しています。公正価値の変動および受取利息は、発生した期の損益として認識され、「その他の収益」として表示されます。
資本性金融商品
当社グループは、すべての資本性金融商品を公正価値で測定しております。当社グループの経営陣が資本性金融商品の公正価値測定から生じる損益をその他の包括利益として表示することを選択した場合、投資の認識中止後に公正価値測定から生じる損益を純損益に再分類することはありません。当該資本性金融商品から生じた配当金は、当社グループが支払いを受ける権利が確定した時点で純損益に計上されます。
d.減損
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品の減損損失及び減損損失の戻しは、その他の公正価値の変動と分けて計上されません。
償却原価で測定する金融資産の予想信用損失について、損失評価引当金を計上しております。損失評価引当金の認識にあたっては、報告期間の末日ごとに償却原価で測定する金融資産又は金融資産グループに当初認識時点からの信用リスクの著しい増加があるかどうかを検討し予想信用損失を認識しております。期末時点で、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増加していない場合には、期末日後12ヶ月以内の生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)を認識しております。
一方、期末時点で、金融商品にかかる信用リスクが当初認識以降に著しく増加している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたるすべての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)を認識しております。
営業債権及び契約資産について、当社グループはその当初認識時から全期間の予想信用損失に等しい金額で認識する、IFRS第9号「金融商品」が認める単純化したアプローチを適用しております。
② 金融負債
a.当初認識及び分類
当社グループは、金融負債について、その当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定する金融負債又は償却原価で測定する金融負債に分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
当社グループは、金融負債に関する契約の当事者になった時点に当該金融商品を認識しております。
償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引コストを控除した金額で測定しております。
b.事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、当初認識後実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識後、公正価値の変動額を純損益として認識しています。純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、条件付取得対価が該当します。
c.認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となったときに、金融負債の認識を中止しております。
(7) 有形固定資産
有形固定資産については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用、及び資産計上すべき借入費用が含まれております。交換部品等その他のすべての修繕は、発生した連結会計年度中に純損益に計上しております。
減価償却については、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいております。土地は減価償却をしておりません。
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日に見直しを行い、必要に応じて改訂しております。資産の耐用年数及び残存価額に対する予想が以前の見積りと異なる、又は資産に含まれる将来の経済的便益の消費のパターンが著しく変化した場合、その変動はIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」(以下、「IAS第8号」という。)の下での見積りの変更として会計処理することとなります。
有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・工具、器具及び備品 2~10年
・その他の有形固定資産(注) 2~18年
(注)その他の有形固定資産には、建物附属設備及びその他の資産が含まれます。
(8) リース
当社グループは、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該取引をリースと判断しております。リースは、使用権資産が当社グループによって使用可能となった日に、使用権資産及び対応するリース負債として認識されております。短期リースについては、リース料はリース期間にわたり定額法で費用として認識されております。
リース負債は、リース期間開始日現在の残存リース料の正味現在価値をリース計算利子率を用いて、又は当該利子率が容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率を用いて割り引いて算定しております。
リース料は以下のもので構成されております。
① 固定リース料から、未収リース料を控除した金額
② 経済指数又は金利に応じて変動するリース料
③ 残価保証に基づき借手が支払う予定の金額
④ 購入オプションの行使が確実と判断された場合の当該オプションの行使価格
⑤ 借手がリース期間中に購入オプションを行使しない場合のリース終了に伴う違約金の支払額
当社グループでは、リース料の支払は負債の返済分と金融費用に配分しています。金融費用は、各期間において負債残高に対して一定の期間利子率となるように、リース期間にわたり純損益において費用処理しています。リース契約の変更に起因しないリース期間又はリース料の変動があった場合、リース負債は再測定され、再測定額は使用権資産の調整として認識されております。
開始日現在、使用権資産は以下のものを含む原価で表示されております。
① リース負債の当初認識額
② リース期間開始又は開始前に生じたリース料
③ 借手が負担した初期直接費用
④ 原状回復費用
なお当社グループは、IFRS第16号「リース」が認めている実務上の簡便法として、原資産のクラスごとに、非リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、各リース構成部分及び関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しております。
使用権資産は、毎期原価モデルに基づき測定され、リース期間開始日から資産の耐用年数の終了又はリース期間の終了までのいずれか短い期間にわたり減価償却されております。リース負債が再測定された場合、再測定額は使用権資産の調整として認識されております。
(9) のれん及び無形資産
①のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(20)企業結合」に記載しております。
②その他の無形資産
個別に取得した無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発費用のみとなります。
無形資産の償却については、無形資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいております。
償却方法及び耐用年数は、連結会計年度末日に見直しを行い、必要に応じて改訂しております。無形資産の耐用年数に対する予想が以前の見積りと異なる、又は無形資産に含まれる将来の経済的便益の消費のパターンが著しく変化した場合、その変動はIAS第8号の下での見積りの変更として会計処理することとなります。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア開発資産 5年
・その他の無形資産(注) 5~10年
(注)その他の無形資産には顧客関連資産、技術資産及びソフトウェアが含まれます。
③研究開発費
研究関連支出は、発生時に費用認識しております。
以下の要件を満たさない開発費は、発生時に費用として認識し、以下の要件をすべて満たした場合に無形資産として認識しております。
a. 使用又は売却に利用できるように無形資産を完成させることの、技術上の実行可能性
b. 無形資産を完成させ、使用するか又は売却するという意図
c. 無形資産を使用又は売却できる能力
d. 無形資産が蓋然性の高い将来の経済的便益をどのように生み出すかを実証できること
e. 開発を完了させ、無形資産を使用するか又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上、及びその他の資源の利用可能性
f. 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
(10) 非金融資産の減損
繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を連結会計年度末日ごと及び減損の兆候を識別した時に見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
のれんは内部報告目的で管理される単位として資金生成単位に配分されており、事業セグメントの範囲内となっております。
減損損失については、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には純損益で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
過去に認識した資産の減損損失については、四半期ごとに減損損失の戻し入れを示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合には、減損損失を戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻し入れております。なお、のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。
(11) 営業債務及びその他の債務
仕入債務は収益を生むためのサービスの購入に対する債務であり、その他の債務は営業活動及び営業活動以外から生じる債務であります。利息の付かない短期の営業債務及びその他の債務は、割引の影響が軽微であるため、当初請求額で事後測定しております。
(12) 借入金
借入金は、発生した取引費用控除後の公正価値で当初認識されます。その後、借入金は償却原価で計上され、取引費用控除後の取引金額と償還価額との差額は実効金利法を用いて借入期間にわたって純損益として認識されます。
(13)引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが合理的に見積り可能である法的債務又は推定的債務を現在の債務として負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高い場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に固有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。将来生じる事象を起因とした営業損失に対する引当金は認識しておりません。
当社グループの引当金には、主に資産除去債務が含まれております。当該引当金は、賃借建物に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績及び事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別に勘案して資産除去費用を見積り、資産除去債務として認識しております。
(14)従業員給付
短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。
有給休暇費用については、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供したときに負債及び費用として認識しております。
年金 - 確定拠出型年金制度
確定拠出型年金制度は、企業が一定の掛金を別個の事業体(基金)に拠出し、たとえ基金が従業員の当期及び過去の期間の勤務に関連するすべての従業員給付を支払うために十分な資産を保有しない場合でも、企業がさらに掛金を支払うべき法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型年金制度の拠出金は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しております。前払の拠出金が、報告日末前の勤務に対する掛金を超過する場合には当該前払が現金の返還又は将来の支払の減少となる範囲で資産として認識されております。
(15)株式に基づく報酬
当社グループは持分決済型の株式報酬制度を運用しており、株式及びオプションは当社グループにより当社グループの役員及び従業員に付与されております。株式及びオプションの付与と引き換えに従業員から受け取るサービスの価値は、権利確定期間にわたって報酬費用として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しております。権利確定期間にわたり費用化される金額は、付与日における付与された株式及びオプションの公正価値及び権利確定日における株式及びオプションの数を参考に決定されます。各期末日において、当社は権利確定日における株式及びオプションの数を修正し、当該修正の影響を報酬費用として認識し、同額を資本剰余金の修正として認識しております。
(16)法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金費用は、期末日時点において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得又は損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りで測定しております。税額の算定に当たっては、当社グループが事業活動を行い、課税対象となる損益を稼得する国において、連結会計年度末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に従っております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異に対して資産負債法に基づき認識しております。繰延税金資産は一時差異及び未使用の繰越欠損金について、それらを利用できるだけの課税所得が生じる可能性が高い範囲内においてのみ認識しております。なお、次の一時差異に対しては、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識しておりません。
① のれんの当初認識における将来加算一時差異
② 企業結合以外の取引で、かつ会計上又は税務上のいずれかの損益にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識にかかる一時差異
③ 子会社及び関連会社に対する投資にかかる将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消されない可能性が高い場合
④ 子会社及び関連会社に対する投資にかかる将来減算一時差異のうち、予見可能な期間内に一時差異が解消される可能性が高くない場合
繰延税金資産は、一時差異を利用できるだけの将来の課税所得が生じる可能性が高い範囲内においてのみ認識しております。繰延税金資産の回収可能性の評価には、将来の予想売上収益成長率及び利益率、利用可能な税額控除、税務計画等の予想を含む、重要な会計上の判断及び経営者の見積りが含まれます。また、法律及び規制の新設、改訂等により、繰延税金資産が大幅に調整される可能性があります。繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債の相殺が行われるのは、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ、繰延税金資産及び繰延税金負債が単一の納税主体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものについてであります。
(17)資本金
発行した普通株式に対する払込額については資本金として計上しております。新株又はストック・オプションの発行に直接起因する増分費用は、発行により増加した資本金額から控除(税引後)する形式で表示されております。
当社が発行済株式資本の買戻しを行う場合、直接帰属する増分費用(法人税等控除後)を含む支払対価は、当社の株主資本から差し引かれます。当該株式がその後再発行された場合、帳簿価額と受領した対価の差額(直接帰属する取引費用及び税効果控除後)は、当社の株主資本に含まれます。
(18)収益認識
当社グループでは顧客との契約について、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは主にAIプラットフォームを用いたソリューションを提供しております。具体的には、AIの技術を活用して生涯価値の高いユーザーの獲得を可能にするソリューションを提供するデジタルマーケティングサービス、ユーザーエンゲージメント、ユーザーターゲティング又はデータサイエンスを行うプラットフォームを基礎としたオンラインサービスの提供を行っております。デジタルマーケティングサービスについては、インターネットユーザーが当社の提供するキャンペーンに対し一定の反応をするにつれて履行義務が充足されるため、その量に基づき契約期間にわたって収益を認識しております。売上原価には、収益を生み出すことに直接関連するコストのみが含まれており、主な内容はサービス提供に伴い外部に支払う費用であります。プラットフォームを基礎としたオンラインサービスの提供については、履行義務が継続して充足されるため、当該オンラインサービスの提供期間にわたって収益を認識しております。なお、デジタルマーケティングサービスについては、顧客への請求時点まで契約資産として認識し、顧客への請求時に営業債権として認識しております。
当社グループが提供するサービスの履行義務の充足期間は、主に1年以内の契約であり、重大な金融要素は含まれておりません。顧客より契約条件に基づいて前払を受けた場合には、契約負債として認識しております。
(19) 政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金に付された条件を遵守し、補助金を受領する合理的な保証がある場合にのみ、公正価値により認識しております。政府補助金は、当社グループが補助金によって補填される関連費用を認識する期間にわたって、純損益として認識しております。
(20)企業結合
当社グループは企業結合の会計処理に関して、取得法を適用しております。取得対価には、当社グループから被取得企業の従前の所有者に対して移転した資産、発生した負債、当社が発行した持分及び条件付対価契約から生じる負債の公正価値が含まれております。
企業結合に関連して発生するすべての費用は、発生時に費用処理しております。
企業結合において取得した被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、取得日の公正価値で測定しております。資産又は負債とみなされた条件付対価の公正価値の事後の変動は、IFRS第9号「金融商品」に準拠して純損益として認識しています。
取得日時点で測定した取得対価の公正価値と被取得企業に対する非支配持分の金額の合計が、取得日時点における識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額の超過額はのれんとして計上しております。逆に下回る場合には、純損益として認識しております。
(21)1株当たり利益
当社グループは、基本的及び希薄化後1株当たり利益(親会社の所有者に帰属)を開示しております。基本的1株当たり利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後1株当たり利益は、すべての希薄化効果のある潜在株式による影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。
(22)事業セグメント
事業セグメントは、最高経営意思決定者に提供される内部報告書と整合する方法で報告されています。当社グループの最高経営意思決定者は、事業セグメントの資源配分及び業績評価について責任を有し、戦略的意思決定を行う取締役会であります。
5.重要な会計上の見積り及び判断
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行う必要があります。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しております。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しております。
会計方針の適用に際して行う判断のうち、連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える事項は以下のとおりであります。
① 繰延税金資産の回収可能性(注記4 重要な会計方針 (16)及び注記22 法人所得税)
② のれん及び無形資産の評価(注記4 重要な会計方針 (9)及び注記9 のれん及び無形資産)
③ 非金融資産の減損(注記4 重要な会計方針 (7)、(8)、(9)及び(12)、注記8 有形固定資産、注記9 のれん及び無形資産、及び注記10 リース)
④ ソフトウェア開発資産の資産計上(注記4 重要な会計方針 (9)、注記9 のれん及び無形資産)
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりであります。
信用リスクに関する情報は、注記「25.金融商品」に記載されております。
上記の定期預金は3ヶ月以内に満期日を迎えるため、価値の変動リスクは僅少であります。なお、満期日が3ヶ月を超える、もしくは担保に供されている定期預金は連結財政状態計算書上「定期預金」として表示されております。また、担保に供されている定期預金については、注記「12.借入金」に記載されております。
7.営業債権
営業債権の内訳は以下のとおりであります。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、営業債権はすべて顧客との契約から生じたものです。2022年1月1日時点における顧客との契約から生じた債権残高は1,988,729千円であります。
信用リスクに関する情報は、注記「25.金融商品」に記載されております。
8.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額並びに帳簿価額は以下のとおりであります。
9.のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額並びに帳簿価額は以下のとおりであります。
(注)ソフトウェア開発資産の償却費は、連結損益計算書の「販売及びマーケティング費用」に含めております。
2022年12月期のWoopra Inc.の買収により1,792,190千円ののれんが生じております。
当社グループのマネジメントは、他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の識別可能な資産グループである各ソリューションの業績をモニタリングしているため、各ソリューションを資金生成単位としてのれんを配分しております。
資金生成単位の使用価値が帳簿価額を上回っている場合、のれんの減損は認識されません。使用価値は、過去の経験と外部からの情報を反映し、経営者が承認した事業計画を基礎とした5年分のキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引くことにより算定しております。2022年12月期及び2023年12月期における、税引前の加重平均資本コストを基礎に算定した割引率はそれぞれ11.75%及び12.42%であります。なお、減損判定に用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変動した場合においても、回収可能価額が帳簿価額を大幅に上回っており、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。2022年12月31日及び2023年12月31日時点におけるWoopra Inc.の買収によるのれんはそれぞれ1,676,948千円及び1,773,340千円であります。2023年中に、Woopra Inc.の事業は既存のソリューションと統合されました。2023年12月31日時点において、その他ののれんはすべて当社グループのもう一つの資金生成単位に配分されています。
のれんは、減損の兆候の有無に関わらず、年に1度減損テストを実施しております。のれんの減損テスト及びソフトウェア開発資産の評価においては、将来キャッシュ・フローの見積りにあたり、経営者の承認を得た事業計画に基づくソリューション別の売上収益及び営業利益の予測値を使用しております。当該予測値の作成に際しては、売上収益成長率、将来の売上総利益率、費用増加率等の仮定を基礎としております。
10.リース
当社グループは、建物及びその他の資産に関するリース契約を締結しており、延長オプションを考慮したリース期間は通常2年から12年間であります。リースの条件は個々に交渉し、様々な取決めが盛り込まれております。
リース期間が12ヶ月以内の短期リースは、オフィス及びオフィス設備であります。
リース期間を決定するにあたり、当社グループは延長オプションの行使に関する経済的インセンティブを生み出すすべての事象と状況を考慮しております。リース期間の評価に重要な影響を与える事象が発生した場合、リース期間の再評価を行います。
使用権資産の帳簿価額及び減価償却費は以下のとおりであります。
リース取引に係る費用(△)は以下のとおりであります。
リース期間の決定に際しては、延長オプションを行使する経済的インセンティブをもたらすすべての事実と状況を考慮しております。リース期間は判定に影響を与える重要な事象が発生した場合に見直しております。
2022年12月期及び2023年12月期において、リースに係る当社グループの現金支出額はそれぞれ586,188千円及び682,809千円であります。また、2022年12月期及び2023年12月期における使用権資産の増加額はそれぞれ310,419千円及び337,073千円であります。
なお、2022年12月期及び2023年12月期において、変動リースに該当する重要な取引はありません。
11.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は、以下のとおりであります。
受益証券は、信用リスクを分散させるため、信用力の高い金融機関が発行するマネー・マーケット・ファンドに投資をする債券であります。
当社グループは、戦略的投資とみなされる資本性金融商品を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類することを選択しております。
12.借入金
短期借入金の内訳は、以下のとおりであります。
13.財務活動から生じた負債の変動
財務活動から生じた負債の変動は、次のとおりであります。
14.その他の債務
その他の債務の内訳は、以下のとおりであります。
15.退職後給付
確定拠出年金制度
台湾で設立された子会社は、労働年金法に基づき確定拠出年金制度を採用し、台湾籍をもつすべての正社員に適用しております。当該制度に基づいて、当社グループは、毎月従業員の給与の少なくとも6%を、労働保険局にある個人年金口座に拠出しております。退職給付金は月々に支払うか又は退職時に一括して支払うことになっております。その他の子会社は法令に従った年金制度を採用しております。
2022年12月期及び2023年12月期の当社グループの確定拠出年金制度に基づく年金費用はそれぞれ254,331千円及び294,807千円であります。
16.株式に基づく報酬
旧親会社Appier Holdings, Inc.は当社及び子会社の取締役及び従業員を対象として持分決済型のストック・オプションを付与しておりました。2021年2月に当社が最終親会社となったことに伴い(「1.報告企業」参照)、当社はAppier Holdings, Inc.のストック・オプションに代替するものとして、Appier Holdings, Inc.のストック・オプション1株に対し、当社のストック・オプションを10株付与しております。当社のストック・オプションの行使価格は1円であり、その他の条件もAppier Holdings, Inc.のストック・オプションと同じであります。当社のストック・オプションとAppier Holdings, Inc.のストック・オプションの公正価値の間に差異はありません。
Appier Holdings, Inc.は2021年12月に解散しており、当連結会計年度末時点でAppier Holdings, Inc.が発行したストック・オプションはありません。
(1) Appier Holdings, Inc.が発行した新株予約権(その後、当社が発行する新株予約権に置き換え)
Appier Holdings, Inc.は、当社及び子会社の取締役及び従業員を対象として持分決済型のストック・オプションを付与しておりました。付与日及び付与されたオプションの数は以下のとおりであります。
(注) 1.オプションの1/6は最初の指定日に付与されます。また、追加の1/6のオプションは6か月ごとに付与されます。
2.付与日以降、権利確定日まで当社又は当社の子会社の従業員、コンサルタントその他これらに準じる地位のいずれかを有することを権利確定条件としております。
ストック・オプションの公正価値は、以下の前提条件に基づき、ブラック・ショールズ・モデルを用いて測定しております。
(注) 当社は未上場であったため、予想変動率は予想残存期間が近い類似した上場企業の直近の変動率を使用して推定しておりました。
(2) 当社が発行した新株予約権
当社は、当社及び子会社の取締役及び従業員を対象として持分決済型のストック・オプションを付与しております。付与日及び付与されたオプションの数は以下のとおりであります。
(注) 1.注記16 株式に基づく報酬(1)参照
2.オプションの1/6は最初の指定日に付与されます。また、追加の1/6のオプションは6か月ごとに付与されます。
3.付与日以降、権利確定日まで当社又は当社の子会社の従業員、コンサルタントその他これらに準じる地位のいずれかを有することを権利確定条件としております。
株式に基づく報酬のオプション数及び加重平均行使価格は以下のとおりであります。
2022年12月期末及び2023年12月期末時点で、未行使オプションの権利行使価額は1円であり、権利確定までの期間は、2022年12月期末時点で0.5~4.5年間、2023年12月期末時点で0.14~2.01年であります。
ストック・オプションの公正価値は、以下の前提条件に基づき、ブラック・ショールズ・モデルを用いて測定しております。
2022年12月期及び2023年12月期において、Appier Holdings, Inc.及び当社の株式報酬制度に基づき認識された株式報酬費用は、それぞれ76,288千円及び186,652千円であります。
17.資本及びその他の資本項目
(1) 授権株式数及び発行済株式数
授権株式数及び発行済株式数の増減は以下のとおりであります。
(注)1.当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みとなっております。
2.日本の会社法では、単元未満株式を保有する株主は、自己の保有する単元未満株式の買い取りを請求することができます。当社が保有する自己株式は、前連結会計年度末時点で237株、当連結会計年度末時点で257株であります。
(2) 資本剰余金
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
18.売上収益
売上収益の内訳は以下のとおりであります。
顧客との契約から認識した収益の分解
当社グループは、事業を展開する上で販売状況を地域ごとに管理し、売上収益を管理区分単位である地域別に分解しております。
地域は以下のように分類しております。
北東アジア地域:日本及び韓国
グレーターチャイナ地域:中国、台湾及び香港
米国及び欧州地域:米国、英国及びフランスを含む欧州
東南アジア地域:その他のアジア太平洋地域(シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、インド、インドネシア及びオーストラリア)
契約残高
当社グループの契約残高のうち、契約資産及び契約負債は連結財政状態計算書に契約資産及び契約負債として表示しております。当連結会計年度末時点の契約資産が増加した理由は、契約活動が合意された支払スケジュールよりも大幅に進捗したキャンペーンが増加したためです。営業債権は、すべて顧客との契約から生じた債権であり、当該金額は注記「7.営業債権」に記載されております。
前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、契約負債期首残高に含まれている収益は以下のとおりであります。
19.営業費用
販売及びマーケティング費用、研究開発費、及び一般管理費の内訳は以下のとおりであります。
20.人件費
人件費の内訳は以下のとおりであります。
21.その他の収益
その他の収益の内訳は以下のとおりであります。
22.法人所得税
法人所得税費用の構成要素は以下のとおりであります。
(注)分離課税は、台湾とシンガポールで課された国外への売上に対する源泉徴収税であります。
税金費用と会計上の利益に実効税率を乗じて計算された金額との調整は以下のとおりであります。計算上で適用される税率は、当社グループ会社が所在する国それぞれの法定実効税率を適用しております。
繰延税金資産及び負債の原因別の内訳及び増減内容は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異等は、以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の繰越期限別の内訳は以下のとおりであります。
23.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は以下のとおりであります。
24.企業結合
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
1. 企業結合の概要
(1) 相手先企業の名称及びその事業内容
(2) 企業結合を行った主な理由
Woopra, Inc.(以下、「Woopra」と言います。)は、米国カリフォルニア州を拠点に米国及び欧州においてB to C及びB to Bの幅広い顧客基盤を有し、カスタマージャーニー分析、マーケティングオートメーション、データマネジメントの分野で実績のあるSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)プラットフォームを提供しています。Woopraは、高い顧客満足度に裏付けされた収益性の高い財務実績を有しています。Woopraと当社グループの統合により、顧客および商品分析市場における両社の地位はさらに強化され、欧米市場における当社グループのエンタープライズ市場への浸透と成長がさらに加速されると想定しています。また、Woopraのグローバルな顧客基盤により、当社グループが特にエンタープライズ向けプロダクト群のビジネス成長を強化する上で、グローバルな基盤をさらに拡大し、強固なものにする大きな機会を提供すると考えています。
(3) 取得日
2022年10月3日
(4) 支配の獲得方法
本件は米国デラウェア州会社法の規定に従い、Woopraを存続会社、WPR Acquisition Inc.(以下、「特別目的会社」と言います。)を消滅会社とする、現金を対価とした「逆三角合併」による方法を採用しました。
当該合併に際し、Woopraの株主は、Appier Pte. Ltd.より現金を受け取り、Woopraの株式は全て消却されました。また、Appier Pte. Ltd.が所有する全ての特別目的会社の株式は、存続会社Woopraの普通株式に転換され、Appier Pte. Ltd.はその全てを取得しました。これにより、Appier Pte. Ltd.は、合併後の存続会社Woopraの発行済み株式の100%を取得し、存続会社Woopraは当社及びAppier Pte. Ltd.の完全子会社となりました。
(5) 取得した議決権付資本持分の割合
100%
2. 取得対価及びその内訳
(注) 2022年12月31日現在、関連する未払金は条件付対価657,766千円であり、連結財政状態計算書上、「その他の債務」に計上されています。
3. 条件付対価
条件付対価は、プロダクト目標及び財務実績の達成を条件に支払われるものであり、企業結合から2年以内に支払われる可能性があるものであります。当該条件付対価の増減は次のとおりです。
4. 取得に直接要した費用
取得に直接要した費用は7,929千円であり、連結損益計算書上、「一般管理費」に計上しております。
5. 発生したのれんの金額及び発生原因
(1) 発生したのれんの金額 1,792,190千円
税務上損金算入可能と見込まれるのれんの金額は発生していません。
(2) 発生要因
主に今後の事業展開によって期待される将来の超過収益力に起因するものであります。
6. 企業結合日に受け入れた資産及び負債の額
7. 株式の取得に伴うキャッシュ・フロー分析
8. 企業結合に係る支配獲得日以降の損益情報及びプロフォーマ情報
Woopraの売上収益及び税引前損益の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
25.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、持続的な成長を通じて、株主への利益を最大化し資本コストを削減するための最適な資本構成を維持するために、資本を管理しております。
当社グループは、最適な資本構成を維持し対応することを目的として、株主に支払う配当金の調整や、株主への資本還元、新株の発行、負債軽減のための資産売却を実施する可能性があります。
当社グループが資本管理において用いる主な指標は、次のとおりです。なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
自己資本額:親会社の所有者に帰属する持分
自己資本比率:自己資本額/負債及び資本合計
(2) 金融商品
種類別金融商品
当社グループの金融資産(現金及び現金同等物、営業債権、定期預金、その他の債権及びその他の金融資産)と金融負債(営業債務、借入金、及びその他の債務の一部)についての情報は、連結財政状態計算書に記載されているとおりであります。当社グループが保有する金融資産及び金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び公正価値で測定する金融負債である条件付対価を除き、償却原価で測定する金融資産及び金融負債に分類されています。
金融リスク管理方針
① 当社グループは、経営活動を行う過程において、市場リスク(為替リスク、金利リスク、価格リスク)、信用リスク、流動性リスクといった様々な財務リスクにさらされております。当社グループの全体的なリスク管理プログラムは、金融市場の予測不可能性に焦点を当て、当社グループの財政状態及び財務業績に対する潜在的な悪影響を最小限に抑えるよう努めております。
② 財務上のリスク管理は、取締役会にて承認された方針のもとに実施されております。
重要な財務リスク及び財務リスクの程度
① 市場リスク
当社グループは国際的に事業展開しているため、様々な通貨による取引から生じる為替リスクにさらされております。為替レートの変動リスクは、将来的な営業取引及び評価性資産や負債から生じます。
当社グループの事業は、グループ各社の機能通貨(当社の機能通貨は日本円、当社子会社の機能通貨は主に日本円、米国ドル、台湾ドル)での運営を行っております。そのため、グループ各社の機能通貨と異なる通貨により保有される金融資産及び金融負債については、為替レートの変動による影響を受けます。当社グループ各社の機能通貨と異なる通貨により保有される貨幣性金融資産及び金融負債については、以下のとおりであります。損益影響額は、税引前利益への影響額を記載しております。
2022年12月期及び2023年12月期において、当社グループによって保有される貨幣項目における重要な為替変動から生じる為替差益(差損)の合計金額は、それぞれ△79,206千円及び△188,608千円であります。
価格リスク
当社グループが保有し、連結財政状態計算書上、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類される投資は、価格変動リスクにさらされています。当社グループでは、設定した限度額に基づくポートフォリオの分散により、受益証券及び非上場株式への投資から生じる価格変動リスクを管理しております。ポートフォリオの分散は、当社グループが設定した限度に従って行われます。
受益証券及び非上場株式の価格は、それぞれ将来の償還価額及び投資先企業の将来価値の変動により変化します。受益証券及び非上場株式の価格が、他のすべての変数を一定に保ったまま20%上昇又は下降した場合、2022年12月期及び2023年12月期の税引前利益はそれぞれ715,315千円及び988,076千円増加または減少し、その他の包括利益はそれぞれ27,996千円及び29,474千円増加または減少します。
キャッシュ・フローと金利リスク
当社グループの利益及び営業活動によるキャッシュ・フローは実質的に市場金利の変化から独立しており、銀行預金を除き利息の影響を受ける重要な資産は有しておりません。金利リスクの対象となる当社グループのエクスポージャーは借入金も含まれておりますが、借入金は固定金利であることから、当社グループは利息によるキャッシュ・フローに対するリスクはありません。
② 信用リスク
信用リスクとは、保有する金融商品の相手方もしくは顧客による債務不履行から生じ、当社グループに財務上の損失を発生させるリスクであります。主な要因は、相手方が合意された条件に基づく営業債権を全額返済できないことによるものであります。
当社グループは最近では重大な不良債権を抱えておらず、不良債権に対する引当金の妥当性を常に評価しております。信用評価を行った結果、特に重大な信用リスクはありません。
いずれの債権についても、その全部又は一部について回収ができない、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行とみなしております。また、支払遅延の原因が一時的な資金需要によるものではなく、債務者の重大な財政的困難等に起因するものであり、債権の回収可能性が特に懸念されるものであると判断された場合には、信用減損が発生しているものと判定しております。
当社グループは信用リスクを分散するためすべて信用力の高い様々な金融商品による取引を実施しており、取引の相手方の債務不履行の可能性は低いものと考えております。
負債性証券の信用減損が生じたか否かの決定にあたっては、以下の兆候が用いられます。
a.発行者が財務状況の悪化により倒産その他の財務の再構築を行う可能性があること
b.利息もしくは元本の返済が行われないこと
c.財政破綻を起こすと想定される国家ないし地域の経済状況に不利な変化があること
営業債権について、予想信用損失を評価する方法は以下のとおりであります。
a.当社グループは、重大な債務不履行を行った営業債権について個別に予想信用損失の評価をしております。
b.信用減損した営業債権以外の営業債権は、単純化したアプローチに基づき、債権等を相手先の信用リスク特性に応じて区分し、その区分に応じて算定した過去の信用損失の実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を乗じて算定しております。
c.当社グループは、回収することが合理的に期待できない金融資産については、償却しておりますが、一方で回収する権利を確保するために遡求手続を引き続き実行しております。
d.当社グループは、将来予測情報、過去及び現在の情報を利用して営業債権の損失可能性を以下のとおり評価しております。
e.2022年12月31日及び2023年12月31日現在の契約資産に関連する信用リスクエクスポージャーは重要ではありません。
営業債権の損失評価引当金の変動は以下のとおりであります。
現金及び現金同等物、定期預金
当社グループの保有する現金及び現金同等物、定期預金は信用リスクが低い金融機関に預入れており、12ヵ月間の予想信用損失に基づき測定され、信用損失に重要性はありません。
その他の債権、差入保証金
その他の債権及び差入保証金の信用リスクは低く、12ヶ月間の予想信用損失に基づき測定され、信用損失に重要性はありません。
③ 流動性リスク
流動性リスクの管理は十分な現金及び現金同等物を維持し、十分な金額の信用及びマーケットポジションを確保することを通して資金を確保することを指しております。当社グループの目的は十分かつ柔軟な資金調達を可能とする十分な与信枠を維持することであります。
以下の表は当社グループの非デリバティブ金融負債の満期分析であります。非デリバティブ金融負債の分析は、期末日から契約上の満期日までの残存期間に基づいております。
上記を除き、当社グループの非デリバティブ負債(借入金、営業債務及びその他の債務を含む)の満期日はすべて1年未満であります。
当社は満期日までに見積もられるキャッシュ・フローの発生のタイミングが大幅に早まることも、実際のキャッシュ・フローの金額が大きく異なることも予想しておりません。
(3) 公正価値情報
公正価値の測定方法
金融資産及び金融負債の公正価値は、以下のとおり決定しています。なお、償却原価で測定する金融資産及び金融負債のうち、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっていない金融商品はありません。
償却原価で測定する金融資産及び金融負債
金融資産(現金及び現金同等物、営業債権、定期預金、その他の債権及び差入保証金)と金融負債(営業債務、借入金及びその他の債務の一部)については短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額に近似しております。また、その他の金融資産に含まれる差入保証金については、将来キャッシュ・フローを期日までの期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により測定しており、これらの帳簿価額は公正価値と一致又は近似しております。
公正価値で測定する金融資産
受益証券への投資に関連した純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(その他の金融資産)は、当社グループが現金で償還できる、発行者から提供されるこの投資の償還価額を参照する評価手法を用いて公正価値を測定しております。当該評価技法において使用されるインプットは、投資の償還価額です。
外国企業が発行する株式に関連したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産(その他の金融資産)は、類似会社比較法を用いて公正価値を測定しております。この公正価値の測定にあたって、株価売上倍率及び非流動性ディスカウント等の観察可能でないインプットを利用しております。
公正価値で測定する金融負債
その他の債務に含まれる企業結合に伴う条件付取得対価は、主に割引キャッシュ・フロー法を用いて公正価値を測定しております。この公正価値の測定にあたって、統合プロセスの完了及び財務実績等の観察不能なインプットを利用しております。
公正価値で測定する金融商品
公正価値の測定に使用する公正価値の階層は、次の3つに区分されます。
レベル1 ― 活発な市場における同一資産・負債の市場価格
レベル2 ― 直接又は間接的に観察可能な、公表価格以外の価格で構成されたインプット
レベル3 ― 観察不能な価格を含むインプット
公正価値の測定に使用する階層のレベルは、重要なインプットのレベルのうち最も低いレベルとしております。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
レベル3に分類された経常的に公正価値で測定される金融商品の増減は次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル3に移行した金融商品及びレベル3ではなくなった金融商品はありません。
当社グループは、レベル3に分類される公正価値測定の評価について、金融商品の公正価値を独自に検証しております。この評価は、独立した情報を使用して評価結果を現在の市場環境に近づけること、情報源が独立性・信頼性・他の情報との整合性の観点で問題なく、行使可能価額を表していることを確認すること、評価モデルの校正・バックテスト・評価モデルに使用する入力情報を更新すること、その他公正価値測定に必要な調整を行うことにより、評価結果が妥当であることを確認するものであります。当社グループのFinance Departmentは、金融商品の公正価値を測定するための評価方針、評価プロセス及びルールを設定し、IFRSの関連要求事項への適合性を確保しております。
レベル3の公正価値測定に用いられた評価モデルの重要な観察不能なインプットの定性的情報及び重要な観察不能なインプットの変動の感応度分析は以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
上記の金融資産に関し、その他の包括利益として認識された損益は連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品の公正価値の純変動額」に含まれております。上記の金融負債に関し、純損益に認識された利得又は損失は、連結損益計算書の「その他の収益」又は「その他の費用」に含まれております。
当社グループは、公正価値を測定するために使用する評価モデル及び過程を慎重に評価しており、インプットが合理的に考えうる代替的な仮定に変更した場合に見込まれる公正価値の増減は重要ではありません。
(4) 金融収益及び金融費用
金融収益の内訳は以下のとおりであります。
金融費用の内訳は以下のとおりであります。
26.関連当事者
(1) 親会社及び最上位の支配会社
該当事項はありません。
(2) 関連当事者との関係
該当事項はありません。
(3) 重要な関連当事者取引
注記「17.資本及びその他の資本項目」に記載しております。
(4) 債務保証
債務保証に関する情報は、注記「12.借入金」に記載しております。
(5) 主要な経営幹部への報酬
主要な経営幹部への報酬の内訳は、以下のとおりであります。
27.主要な子会社
当社グループの連結財務諸表に含まれる子会社は、以下のとおりであります。
(注)1.2022年7月にAppier, Inc.は邦妮科技有限公司(BotBonnie)と吸収合併契約を締結し、本合併により邦妮科技有限公司(BotBonnie)はAppier, Inc.に吸収合併されました。
2.注記「24. 企業結合」をご参照下さい。
3.Appier Netherlands B.V.は2023年1月に設立され、設立日より連結財務諸表に含まれています。
28.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、AISaaS事業による単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(2) セグメント収益及び業績
当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(3) 製品及びサービスに関する情報
外部顧客への収益実績の内訳は以下のとおりであります。
(4) 地域に関する情報
地域別売上収益は、主に顧客の拠点や所在地及び識別可能なブランドの所在地に基づいて集計しております。当該基準は注記「18.売上収益」における地域別開示とは異なる可能性があります。また、金融資産及び繰延税金資産以外の非流動資産の地域別内訳は、当社グループ各社の所在地に基づいて集計しております。
上記基準による前連結会計年度の日本における収益は5,131,392千円であります。金融資産及び繰延税金資産を除く非流動資産の前連結会計年度末時点の残高は10,011,187千円であり、そのうちシンガポールが6,709,861千円、台湾が2,043,061千円、日本が1,239,139千円であります。
上記基準による当連結会計年度の日本における収益は5,603,724千円であります。金融資産及び繰延税金資産を除く非流動資産の前連結会計年度末時点の残高は12,260,918千円であり、そのうちシンガポールが6,442,981千円、台湾が1,763,008千円、日本が1,100,761千円であります。
(5) 主要な顧客に関する情報
2022年12月期及び2023年12月期の当社グループの主要な顧客に関する売上収益は以下のとおりであります。
29.コミットメント及び偶発債務
(1) コミットメント
該当事項はありません。
(2) 偶発事象
企業結合に関連する条件付対価に関する情報は、注記「25.金融商品」に記載しております。
30.後発事象
該当事項はありません。
(2) 【その他】
当連結会計年度における四半期情報等
2 【財務諸表等】
(1) 【財務諸表】
① 【貸借対照表】
② 【損益計算書】
【売上原価明細書】
③ 【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当事業年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
有価証券の評価基準及び評価方法
関係会社株式
移動平均法による原価法
繰延資産の処理方法
株式交付費は3年間で定額法により償却しております。
収益および費用の計上基準
顧客との契約から生じる収益は、顧客に移転されるサービスの支配が顧客に移転した時点で、サービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しております。
その他財務諸表作成の基本となる重要な事項
記載金額は千円未満を四捨五入して表示しております。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があるものはありません。
(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務
(損益計算書関係)
※1 関係会社との取引高
(有価証券関係)
関係会社株式は、市場価格のない株式等のため、関係会社株式の時価を記載しておりません。
なお、市場価格のない株式等の貸借対照表計上額は次のとおりです。
(税効果会計関係)
1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
前事業年度及び当事業年度は、税引前当期純損失であるため注記を省略しております。
(企業結合等関係)
該当事項はありません。
(収益認識関係)
収益を理解するための基礎となる情報
(重要な会計方針)「収益および費用の計上基準」に記載しております。
(重要な後発事象)
該当事項はありません。
④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
該当事項はありません。
【引当金明細表】
該当事項はありません。
(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3) 【その他】
該当事項はありません。
第6 【提出会社の株式事務の概要】
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。
(1) 有価証券報告書及びその添付書類並びに確認書
事業年度 第5期(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)2023年3月30日関東財務局長に提出。
(2) 有価証券報告書及びその添付書類並びに確認書
2023年3月30日関東財務局長に提出
(3) 四半期報告書及び確認書
事業年度 第6期第1四半期(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)2023年5月15日関東財務局長に提出。
事業年度 第6期第2四半期(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)2023年8月14日関東財務局長に提出。
事業年度 第6期第3四半期(自 2023年7月1日 至 2023年9月30日)2023年11月13日関東財務局長に提出。
(4) 臨時報告書
① 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における議決権行使の結果)に基づく臨時報告書を2023年3月31日関東財務局長に提出。
② 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2023年8月1日関東財務局長に提出。
③ 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2023年12月22日関東財務局長に提出。
(5) 臨時報告書の訂正報告書
訂正報告書(上記② 臨時報告書の訂正報告書) 2023年8月1日関東財務局長に提出。
訂正報告書(上記③ 臨時報告書の訂正報告書) 2024年1月10日関東財務局長に提出。
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。