第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
(注) 1 希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2 2021年5月に公表されたIFRS解釈指針委員会によるアジェンダ決定「給付の勤務期間への帰属(IAS第19号「従業員給付」に関連)」に基づき、第199期より会計方針の変更を行いました。これに伴い、第198期に係る主要な経営指標等については、当該会計方針の変更を遡って適用した後の指標等としております。
3 第200期第2四半期連結会計期間において、企業結合に係る取得対価の配分が完了したため、第199期末の暫定的な会計処理の確定を行っており、第199期に係る主要な経営指標等については、これに伴う遡及修正の内容を反映した後の指標等としております。
4 2024年10月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。第198期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり親会社所有者帰属持分及び基本的1株当たり当期利益を算定しております。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2 2024年10月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。第198期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。また、第201期の1株当たり配当額は、株式分割前の中間配当額37円と株式分割後の期末配当額13円を合算した金額としております。当該株式分割を考慮しない場合の期末配当額は39円、年間配当額は76円であります。
3 第202期の1株当たり配当額26円のうち、期末配当額13円については、2026年6月29日開催予定の定時株主総会の決議事項となっております。
4 第201期の従業員数の増加は、(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリングを吸収合併したことによるものです。
5 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。第201期の株価については株式分割による権利落ち後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。
2 【沿革】
当社グループの歴史は1887年、創業者である山葉寅楠が1台の輸入オルガンを修理したことに始まります。
1887年の創業以来、音・音楽に関連する事業を中核としながら、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけることを目指してきました。
3 【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社61社及び関連会社5社で構成され、楽器事業、音響機器事業及びその他の事業の3つのセグメントで、グローバルに事業を展開しております。音・音楽を中心にした事業を通じて磨いてきた感性と多彩な技術を融合し、それぞれの事業領域で、当社グループならではの価値を生み出しております。
(1) 楽器事業
楽器の製造・販売、音楽教室等の運営、音楽・映像ソフトの制作・販売など多彩な事業を展開しております。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに評価されるこれらの製品・サービスは、アーティストとの対話により進める研究開発やグローバルに展開するきめ細かな営業・サービス活動に支えられております。
(2) 音響機器事業
「音・音楽」をコアとして培ったデジタルとアコースティックの技術を生かし、コンシューマー向けから業務用まで多彩なソリューションを提供しています。ホームオーディオ機器、音楽制作・配信機器、業務用音響機器、ネットワーク機器、モビリティ音響機器など幅広い製品で構成されております。
(3) その他の事業
自動車用内装部品、FA(Factory Automation)機器、ゴルフ用品及びリゾート事業でも、楽器の製造・販売を通じて蓄積した技術・ノウハウを生かして、お客様に満足いただける製品とサービスを提供しております。
各事業における主要製品及びサービスとその概要は、以下のとおりであります。
(注)当連結会計年度において、ゴルフ用品事業の終了を決定しました。
上記の事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1)報告セグメントの概要 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。
事業の系統図及び各事業に携わる主要な関係会社の名称は以下のとおりであります。

4 【関係会社の状況】
(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 議決権の所有割合欄の(内書)は間接所有であります。
3 特定子会社に該当しております。
4 会社清算手続きを開始することを決定済み、または会社清算手続き中であります。
5 米国法上のLimited Partnershipであることから、資本金に代えて出資総額を、議決権の所有割合に代えて出資割合(内書は間接出資の割合)をそれぞれ記載しております。
6 ㈱ヤマハミュージックジャパン、Yamaha Corporation of America、Yamaha Music Europe GmbHについては、売上収益(連結会社相互間の内部取引売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。同社の財務諸表における主要な損益情報等は、次のとおりであります。なお、Yamaha Corporation of America、Yamaha Music Europe GmbHの数値は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に反映されているIFRSによるものであるため、経常利益は記載していません。
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
<ヤマハの理念・ビジョン>
当社グループは事業活動を通じて、「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指しています。そのために、「感動を・ともに・創る:私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げ、我々の行動の原点としています。
(1)ヤマハフィロソフィー
ヤマハフィロソフィーとは、ヤマハグループの企業経営の「軸」となる考え方を体系化し表したものです。
ヤマハフィロソフィーは、「企業理念」、「顧客体験」、「ヤマハクオリティー(品質指針)」、「ヤマハウェイ (行動指針)」の4つにより構成されます。「企業理念」と「顧客体験」は、グループの存在意義を表す普遍的な内容であり、ヤマハフィロソフィーの『基軸』です。
「ヤマハクオリティー」と「ヤマハウェイ」は、企業理念を具現化するために、グループで働く全ての従業員が、日々の業務の中で拠り所とすべきものであり、ヤマハフィロソフィーの『両輪』を示します。
私たちは、常にこのヤマハフィロソフィーを心のよりどころにしながら、お客様の視点に立ち、期待を超える製品とサービスを生み出すことで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を創りつづけます。

(2)ブランドプロミス“Make Waves”
ブランドプロミスとは、ヤマハが人々の人生にもたらす価値を語ったものです。
ヤマハは、「個性、感性、創造性を発揮し、自ら一歩踏み出そうとする人々の勇気や情熱を後押しする存在でありたい」との思いを込め、人々が心震わす瞬間を“Make Waves”という言葉で表現しました。心震える瞬間を創りだすために、ヤマハは人々の感性を刺激し表現を支える製品やサービスを提供し、なくてはならないパートナーであり続けます。

(3)経営ビジョン
今後も変化する経営環境を見据え、当社グループが実現したい提供価値を改めて示した上で、中長期的に当社が目指す姿を新たな経営ビジョンとして打ち出します。

新たな経営ビジョンに込めた3つの意図は以下のとおりです。
一つ、ヤマハの強み、ヤマハらしさが十分に活きる「音・音楽」領域において、新たな価値創造の可能性を追求していくこと。
二つ、そのために、世界中の人々の自己表現、多様な個性の発揮を後押しする製品やサービスをたゆまず提供していくこと。
三つ、多様なステークホルダーと積極的に連携・協業し、社会課題の解決に資する新たな価値を、共に創り上げること。
当社はこれまで同様、音・音楽を原点に培った技術と感性で製品の本質的価値を磨き続けるとともに、そこに、より楽しい、よりクリエイティブな、あるいはより便利な体験価値を加えるための取組みを強化し、隣接事業領域として拡大していきます。さらには、既存商品、既存事業の枠にとらわれない、社会課題解決につながる音・音楽の新たな可能性を追求し、事業ドメインを拡大していきます。

<中期経営計画「Rebuild & Evolve」の概要>
当社グループは、2025年3月末で終了した「Make Waves 2.0」に続き、2025年4月からの3年間を対象とした新たな中期経営計画「Rebuild & Evolve」を策定しました。
(1) 経営環境認識
前中期経営計画期間を通じて当社を取り巻く経営環境は、かつてないスピードで変化しております。経済変動、物価高騰、為替リスク、地政学リスクといったマクロ環境の変化に加え、顧客の価値観やライフスタイルの多様化、購買行動のオンラインシフトが急速に進んでいます。また、技術革新、とりわけ生成AIの進化は、ビジネスのあり方を根本から変えつつあるといっても過言ではありません。
このような環境下において企業に求められるのは、現状維持ではありません。ダイナミックな変化を恐れず、迅速かつ柔軟に対応し、むしろ成長機会として積極的に活かしていく姿勢が必要です。音・音楽を軸にした当社ならではの新たな価値創造に挑戦するとともに、多様なライフスタイルや価値観に寄り添う体験価値を提供することで、事業機会拡大のチャンスになると認識しています。

(2) 重点課題と戦略骨子
経営ビジョン、マテリアリティ、および前中期経営計画のレビューからいくつかの課題が明確となりました。一つは、最優先課題となりますが、低下した既存事業の収益力をコロナ前水準までに回復し、再び成長軌道に乗せることです。次に、中長期的な成長に向け、隣接・新規領域への戦略的投資による育成・事業化を行っていくことです。そして最後に、持続的な成長を支える安定した経営基盤を作るため、資本・資産効率、人的資本、ガバナンスを強化していくことです。当社は中期経営計画の3年間、明確となった課題へ全力で取り組みます。
新中期経営計画のタイトルは『Rebuild & Evolve』とし、“Rebuild”は再構築、“Evolve”は進化を意味し、特に「未来を創る挑戦」の“Evolve”は単なるドメインの拡大ではなく、ヤマハのビジネス全体に質的な変化をもたらすものにしていきたいという意図を込めました。

(3) 新中期経営計画「Rebuild & Evolve」
新中期経営計画では、3つの戦略方針を掲げ、事業軸、市場軸、そして全社それぞれの視点で取組みを進めていきます。

① 戦略方針1:強固な事業基盤の再構築(Rebuild)
既存事業の在り方について抜本的な見直しを行い、事業環境に適応したあるべき姿に早期に作り替えていくことを目指します。過去数年、私たちは市場環境の急速な変化に対して十分な対応ができず、一部事業で収益性が低下しました。この反省を踏まえ、まず課題事業の収益構造を徹底的に見直します。楽器事業ではピアノ・ギター事業の構造改革と高付加価値製品の比重を高め収益性を改善するとともに、デジタルピアノ等のさらなる競争力強化で再び成長軌道に回帰することに取り組みます。音響事業では、顧客要求へのタイムリーな対応など、B2Bに必要な視点がこれまで十分に反映できていなかった反省をもとに、事業環境の変化に即応できる組織体制を整備し、収益性と販売力を強化します。
② 戦略方針2:未来を創る挑戦(Evolve)
新たなドメインへ事業を拡大することを目指します。楽器事業では、製品そのものの価値提供にとどまらず、カスタマーサクセスを起点とした価値提供へのシフトに取り組みます。演奏体験の支援、そしてオンラインとオフラインを融合した新しい顧客体験の創出に取り組みます。

音響事業では、業界トップレベルの信号処理と音場調整の技術等、当社ならではの強みを活かしながら隣接領域へ
ドメイン拡大を図ります。前中期経営計画期間から事業成長を進めてきた車載オーディオ領域に加え、エンタテインメント領域、商業施設・公共施設向けの新ソリューション提供など、市場・顧客の様々な要求に応える最適な音環境を提供し、多角的な成長機会を狙います。

また、インド・フィリピン等の成長市場や新たな成長事業への積極的な投資、および持続的な事業成長に向けた新規事業創出のメカニズム構築など中長期視点での未来を創る挑戦こそが、ヤマハの次なる飛躍を支えるエンジンになると信じています。

当社はサステナビリティを価値の源泉ととらえており、音・音楽の力、そして事業を通じて培ってきた技術と感性で社会課題の解決に貢献したいと考えています。重視したい視点は「人・社会・地球」の三つ。音楽で人のつながりを作ること、音による安心と安全を提供すること、そして音楽文化が持続可能であるように地球規模での資源循環を実現すること。このような取り組みを通じて音・音楽の新たな可能性を追求し、事業ドメインを拡大していきます。

③ 戦略方針3:経営基盤の強化
持続的成長を実現するために経営基盤を強化します。資本・資産効率向上に向けて、投資とリターンのバランスを重視し、企業価値の最大化を図ります。次に、人的資本の強化については、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、グローバル人材育成、社員エンゲージメント向上に向けた施策を積極的に展開します。さらに、コーポレートガバナンスの強化を図り、より透明性・公正性の高い経営体制を確立します。
価値の源泉であるサステナビリティを常に意識しながら、これらの三つの戦略方針に沿った取り組みを進めていく、それが新中期経営計画における当社が目指す成長戦略です。
(4) 経営目標
中期経営計画の経営目標は記載の通りです。特にこれまで以上に財務目標の達成に執着し取り組みを推進してまいります。年平均の売上成長5%、最終年度のROE10%が中期経営計画3年間で目指す、最も優先すべき経営目標です。加えて、各重点戦略の達成度合いをモニターしていくための多面的なKPI指標を設定しました。「強固な事業基盤の再構築」のKPIとしてはセグメント別の売上成長率と事業利益率を、「未来を創る挑戦」のKPIとしては戦略投資額などのドメイン拡大指標と新価値創造指標を、「経営基盤の強化」のKPIとしては資本・資産効率指標と人的資本強化指標を、さらにサステナビリティ関連では環境・社会・文化それぞれの取り組みで目標とする指標を設定しました。短期的な収益改善と中長期的な成長基盤づくりにバランスよく取り組むことで、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。

(5) 事業ポートフォリオ
中長期的に企業価値を向上していくため、下図の3つの領域に各事業を位置づけ、経営資源を適切に配分するポートフォリオマネジメントを進めます。
ここでは収益率と成長率を基準に当社の主要な事業をマッピングしていますが、既存の事業領域については、成長加速に向けた取り組みを強化する事業と、収益性改善に注力する事業とを明確に分け、戦略を組み立てます。具体的には、エンタテインメントPAや電子楽器、B&Oといったカテゴリにおいてはさらなる競争力強化による成長を最優先課題とし、一方、環境変化により収益性が低下しているピアノ、ギター、ホームオーディオ事業については、構造改革を急ぎ、収益性改善に努めます。あわせて、新たな成長の種を作る取り組みを強化していきます。音楽系サービス、モビリティソリューション、ビジネスソリューション等に積極的な投資を行い、また、新規事業、社会課題解決型ビジネスについても、実証を重ねながら将来の柱とするべく育成を図ります。

加えて、ポートフォリオマネジメントの仕組みも整備していきます。経営ビジョン等の目指す姿との整合性、事業将来性と収益性、そしてベストオーナー視点での当社の保有意義のそれぞれを評価し、定期的な事業構成の見直しのマネジメントプロセスを導入してまいります。特に収益性については、事業ごとの資本収益性を可視化し、高収益・高成長が期待できる領域には積極的に投資を行い、競争力が低下した領域については(縮小・撤退を含めた)戦略的な見直しを進めます。
これらの取り組みを通じて、「収益力向上」と「資本・資産効率改善」の両立を図り、変化の激しい環境下でも持続的な成長と高い収益性を実現できる事業構成を確立してまいります。

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
サステナビリティに関する詳細情報は、当社サステナビリティサイト(注1)にて開示しております。本項目においては、各箇所に関連する情報について「<参考>」として当該サイトのURLを記載しております。なお、当該サイトは2026年6月30日に更新予定です。
(注1)https://www.yamaha.com/ja/sustainability/
(1) ヤマハグループサステナビリティ方針
ヤマハグループは、世界中の全ての人々が心豊かに暮らす社会を目指します。その実現のために、企業理念である「ヤマハフィロソフィー」を心のよりどころに、かけがえのない地球環境を守り、平等な社会と快適なくらし、心潤す音楽文化の発展に貢献するとともに、人権尊重はもとより、多様な人材が互いに認め合い活躍できる環境を整えることで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。
この考え方に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みによる社会価値の創造を通じ、自らの中長期的な企業価値を高める為、マテリアリティを特定し、積極的にサステナビリティ活動を推進します。

① ガバナンス
当社は、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティ活動の方向性の議論や、グループ内における取り組み状況のモニタリングを行い、代表執行役社長に答申しております。サステナビリティ委員会の審議内容、ヤマハグループにおける活動状況については取締役会に定期的に報告され、取締役会によるレビューを受けております。
また、同委員会の下部組織として「気候変動部会」「資源循環部会」「調達部会」「人権・DE&I部会」「社会・文化貢献部会」を設置しております。各部会では、全社横断的な重要テーマについて、推進体制の整備、方針や目標・施策・実行計画の策定、活動およびモニタリングを行い、サステナビリティ委員会へ報告しております。
2026年3月期のサステナビリティ委員会活動状況
実績:5回開催
主な議題:
・前中期経営計画活動レビュー、外部開示内容(含むTCFD/TNFD)確認
・当期進捗/成果確認、課題についての議論
・サステナビリティ各分野の方向性議論
2026年3月期の各部会の活動状況
サステナビリティ推進体制(2026年6月25日現在)

2026年3月期の取締役会による監督などの状況
実績:サステナビリティ委員会の活動状況のモニタリング 2回
主な議題:
・サステナビリティに関する方針や目標
・サステナビリティ施策の定期的なレビューなど
<参考>
サステナビリティマネジメント:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/management/
② 戦略
ヤマハグループでは、社会の持続的発展と中長期的な企業価値向上につながる重要な課題を「サステナビリティに関するマテリアリティ」として特定し、これをサステナビリティ方針に組み込むとともに、経営全体のマテリアリティに統合し、活動を推進・管理しております。主な取り組み事例は以下のとおりであります。
持続可能な木材の利用
ヤマハグループが生産しているピアノや弦打楽器、木管楽器など楽器の多くは、主に木材でつくられております。事業活動において多種多様な木材を使用していることを踏まえ、生物多様性や生態系を損ねることなく貴重な木材資源を持続的に活用していけるよう、木材デューディリジェンスの推進のほか、原産地コミュニティーと連携した良質材の育成(おとの森活動)などを進めております。
木材デューディリジェンスでは、購入する木材の原産地や伐採の合法性、資源の持続可能性に関する書類調査を実施しております。リスクが高いと判断された木材については、現地訪問を含む追加調査および木材調達部門やサステナビリティ部門で構成する審査会での審議を通じて、より厳格な合法性などの確認を行っております。「持続可能性に配慮した木材」の基準への適合率については、中期経営計画「Rebuild & Evolve」で80%の目標を掲げているのに対し、2026年3月期は71.3%となりました。
高品質で楽器に適した木材を持続的に調達し、持続可能な楽器づくりをするために、地域社会と一体となって循環型の森林づくりを推進する「おとの森活動」は、行政や学術機関と連携し国内外で展開しております。楽器づくりに欠かせない木材、中でも楽器の性能や価値に直接大きな影響を与える木(希少木材種)に着目し、同種の育成・保全を推進することで「サステナブルな森づくり」を目指しております。現在、タンザニア(アフリカン・ブラックウッド)、インド(インドローズウッド)、北海道(アカエゾマツ)で活動を展開しております。
<参考>
木材資源への取り組み:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/
音楽文化の普及、発展
ヤマハグループは、国内外で、学校における音楽教育の支援活動や、音楽・楽器を通じた地域貢献や音楽普及活動に取り組み、音楽教育の発展、青少年の健全育成、コミュニティーの活性化などに寄与しております。
2015年より新興国を中心に展開している「スクールプロジェクト」は、世界中の子どもたちが音楽や楽器演奏を学ぶ中で未来を生きる力を手に入れ、こころ豊かな人生を送ることができる世界を目指し、まだ音楽の授業環境が整っていない国に向けて「新しい音楽の授業」の構築支援に取り組んでおります。ヤマハの独自プログラムを展開することではなく、その国・地域に最適な音楽の授業を作りあげることを目標とし、現地教育省と協力の上、パイロット授業の展開・指導者の育成・カリキュラム構築の支援・教材や楽器の販売・提供などを段階的に実施しております。現在その実績はマレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、インド、ブラジル、コロンビア、メキシコ、UAE、エジプトの10カ国・504万人に広がっております。
また、より多くの方が仲間とともに長く楽器演奏を楽しめる環境づくりを目指し、音楽を通じて人と人がつながる場を創出する「Community Building with Music」を国内外で推進しております。自治体との連携による市民参加型演奏会の開催をはじめ、「人と一緒に演奏する楽しさ、一体感を実感する機会の提供」「ともに演奏を楽しむ音楽コミュニティー形成支援」「音楽コミュニティーの自立・継続支援」といった活動を、2026年3月期は全世界で3,580回実施しました。
<参考>
音楽文化の普及、発展に関する取り組み:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/social/community-support/
③ リスク管理
ヤマハグループのバリューチェーンにおけるサステナビリティ課題を、持続可能な開発目標SDGsなどに照らして抽出し、お客様、従業員、地域社会の声や、ESG評価項目、NGOからの意見・要請や社外有識者の提言、企業理念や経営ビジョン、中長期的な経営方針を踏まえ、リスクと機会の観点で重要度を評価し、推進を強化すべき課題(サステナビリティに関するマテリアリティ)を特定しております。特定したマテリアリティについて、サステナビリティ委員会の各部会、関係部門にて施策や達成度合いを測るKPI、目標および実行計画を策定します。サステナビリティ委員会が進捗をモニタリングすることで、マテリアリティの取り組みを推進し、リスクの低減を図っております。
<参考>
マテリアリティ(特定プロセスを含む):https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/materiality/
④ 指標及び目標
特定したマテリアリティに基づき、中期経営計画において、方針、重点テーマ、指標(KPI)と目標を設定しております。サステナビリティに関する主なKPI・目標・実績は以下のとおりであります。
中期経営計画(2025年4月~2028年3月)の主なサステナビリティKPI・目標・実績
(注2)第三者による監査に加え、自社によるサプライヤー監査(二者監査)を導入するため
(注3)一部のグループ企業については法令上の制約などにより集計対象外としています
(注4)新サーベイに切り替え、今回より設問見直し
⑤ 社外からの評価
サステナビリティ活動に対する主な社外からの評価は以下のとおりであります。
<参考>
社外からの評価:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/evaluation/
(2) 気候変動・生物多様性への対応とTCFD・TNFD(気候関連財務情報開示タスクフォース・自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
当社グループはTCFD・TNFDの提言に基づき、気候変動や生物多様性に関わるリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。
開示に関する一般要件
TNFD提言で求められている、開示すべき一般要件は以下のとおりです。また、TCFDの内容については、TNFD提言に準じた形で開示を行います。
なお、当開示では、「マテリアリティ」という用語を以下の2つの意味で使用しております。
・TNFDの一般要件におけるマテリアリティ:自然が企業に与える影響および企業が自然に与える影響の重要性(シングル/ダブルマテリアリティ)
・当社グループの経営における重要なサステナビリティ課題としてのマテリアリティ:事業視点とステークホルダー視点の両面から評価し、当社が独自に特定した重点課題
① ガバナンス
監督および執行体制
気候変動および自然関連のリスクと機会(先住民族や地域コミュニティー、影響を受けるステークホルダーに関する人権方針やエンゲージメント活動を含む)ならびに関連課題に関する評価・管理は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会を通じて行われ、取締役会によって監督されております。同委員会は代表執行役社長を委員長とし、全執行役と一部の執行役員で構成されております。
これらに関する具体的な審議は、同委員会の下部組織である気候変動部会、資源循環部会、調達部会において行われ、進捗は定期的にサステナビリティ委員会に報告されます。同委員会の審議内容、当社グループにおける活動状況については取締役会に定期的に報告し、取締役会によるレビューを受けております。
2026年3月期のサステナビリティ委員会および環境関連部会の活動状況については、「(1) ヤマハグループサステナビリティ方針 ① ガバナンス」をご参照ください。
<参考>
サステナビリティマネジメント:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/management/
環境関連課題のガバナンス体制図

スキルおよびコンピテンシー
当社グループは、持続的成長および企業価値の向上に向け、取締役会および経営層が気候変動や自然関連のリスクと機会を適切に監督・対応するために必要なスキルとコンピテンシーを確保することを重視しております。取締役会のメンバーは外部有識者との意見交換を必要に応じて実施し、気候変動や自然資本、人権などの重要テーマに関する最新知見をインプットしております。
報酬に組み込まれている非財務目標
当社は、持続的かつ社会的な価値向上への取り組みをより強く動機付ける趣旨から、役員報酬の一部である譲渡制限付株式報酬を評価する指標に、非財務目標を組み込んでおります。この非財務目標に連動する指標は、中期経営計画「Rebuild & Evolve」に掲げる重点戦略KPI(12指標)です。なお、気候変動および自然関連の評価項目は、当該非財務目標の一部に含まれておりますが、これを区分して識別することはできません。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。
人権尊重とステークホルダーエンゲージメント
a. 人権に対する考え方
当社グループは、ステークホルダーへの約束として、社会・文化の発展に貢献することを掲げています。その発展の基盤となる公正で公平な社会を実現するため、「国際人権章典」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際的な規範を尊重し、人権尊重を原則とする国連グローバル・コンパクトに署名するとともに、「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って、企業の人権尊重責任を果たす取り組みを行っております。
これらの人権尊重の考え方を明確に示し、当社グループの事業活動に反映するため、当社グループは「ヤマハグループ人権方針」を策定しております。本方針は当社グループの役員および全ての従業員に適用され、人権を尊重した誠実な事業活動を行うための指針となっております。
b. 人権デューディリジェンス・グリーバンスメカニズム
人権方針に基づいて自らの事業活動に対する人権デューディリジェンスを実施し、人権への負の影響を特定・評価し、人権侵害の是正や防止・軽減に取り組んでおります。特にサプライヤーには、人権尊重を定めた「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」の順守を要請し、同行動基準に沿ったモニタリングを書面調査や訪問により実施しております。また、CRT日本委員会のステークホルダーエンゲージメントプログラムに毎年参加し、NGOや人権専門家からの指摘・提言に基づく人権課題の特定作業を通じて市民社会の声や期待を把握し、デューディリジェンスに反映しております。
加えて、サプライチェーン上の人権侵害を把握し、是正や救済に対応するグリーバンスメカニズム整備の一環として一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟し、同機構が運営する対話救済プラットフォームで市民社会やライツホルダーなどからの相談・通報を受け付けております。
人権尊重に関する取り組みは、サステナビリティ委員会の下部組織である「人権・DE&I部会」を中心に対応しております。取締役会は、これら人権デューディリジェンスやグリーバンスの推進状況について定期的に報告を受け、取り組みを監督しております。
c. 先住民族や地域社会とのエンゲージメント
「ヤマハグループ木材調達方針」に基づき、調達する木材が伐採や取引の過程において、先住民の権利を侵害するなど地域社会に悪影響を及ぼしていないことを確認することとしております。具体的には、使用木材の合法性確認やリスク評価、環境・社会に配慮した認証木材の積極的な導入を進めております。2023年には地域社会への影響も含めた木材リスク確認の実効性向上を図るため、国際的な環境団体監修のもと、非認証木材に対し、デューディリジェンスを通じて持続可能性を客観的に判断するための評価項目・判断基準を制定し、運用しております。
また当社グループでは、高品質で楽器に適した木材を持続的に調達するために、地域社会と一体となって循環型の森林づくりを実現するおとの森活動を、行政や学術機関と連携し国内外で展開しております。
<参考>
人権:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/social/human-rights-and-labor-practices/
ヤマハサプライヤーCSR行動基準:
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/policy-type/supplier-code-of-conduct/
ステークホルダーとのかかわり:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/stakeholder/
生物多様性の保全:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/
② 戦略
気候変動および生物多様性に関するシナリオ分析
当社は、短期・中期・長期の時間軸に基づき、グループ全体に及ぶ気候変動および生物多様性の影響を評価し、事業に重要な影響を与えるリスクと機会を特定するためのシナリオ分析を実施しました(表1)。また、特に影響が大きいと予想される木材については、気候変動による影響の有無および大小を把握するため、潜在適域(注1)の変化を文献にて調査し、推計を行いました(表2)。
シナリオ分析では、気候変動と生物多様性について下記のシナリオを想定し、事業および自然資本への影響を評価しました。
a. 気候変動
国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを中心に、その他複数のシナリオ(APS(Announced Pledges Scenario)、STEPS(Stated Policies Scenario)他)も活用し分析しました。
b.生物多様性
自然関連リスク分析ツール「ENCORE(注2、3)」を使用して、事業プロセスに関連する自然への依存と影響の項目を抽出し、リスク・機会が大きいものに関しては、TNFDが推奨しているシナリオを参考に「生態系サービスの劣化」と「市場原動力と非市場原動力の一致」を2軸に4つのシナリオを定義し、分析しました(図1)。
(注1)特定の樹種が気象条件などから理論上、生育に適していると推定される地域を指す。実際の分布を考慮したものではなく、将来的な生育可能性に着目した概念
(注2)Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure:事業プロセスに関連する自然関連の依存と影響、その大きさの評価ツール
(注3)当開示では2024年7月に更新されたバージョンで分析を実施
(図1)TNFDが推奨する2×2フレームワークを用いて設定した自然関連シナリオ

(表1)特に重要度の高いリスク・機会一覧とシナリオ分析
(表2)木材潜在適域の基準年に対する変化予測(%)

シナリオ分析の結果、気候変動に関しては自然災害による生産停止リスク、木材価格の上昇、炭素税導入に伴うコスト増加といったリスクが高まる一方で、屋内活動の増加による需要拡大が機会となる可能性があることが明らかとなりました。自然資本に関しては、各シナリオが進行するに伴い、森林の持続可能性に配慮した木材製品が市場競争力を高め、持続可能な調達が森林保護を促進する機会となる一方で、林産地の劣化により良質な木材の入手が困難になり、木材代替にかかるコストが増加するリスクが生じることが分かりました。
また、木材潜在適域の変化予測を行ったことにより、短期的な影響は少ないものの、長期的に見ると気温上昇に伴い潜在適域が大きく減少する樹種があることが分かりました。
特定されたリスク・機会と対応策
当社は、気候関連課題・自然関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があるとの認識のもと、リスクや機会を整理し、戦略の見直しを随時実施しております。シナリオ分析により特定された重要なリスク・機会と、それに対する当社の対応策は以下の通りであります(表3)。
当社の気候変動関連課題への取り組みについては、TCFDが開示を推奨する「緩和」と「適応」の分類に基づいて、また、自然関連課題への取り組みについては、自然資本に対する行動の枠組み「AR3Tフレームワーク(注4)」を踏まえて整理しております。
(注4)SBTN(Science Based Targets Network)が提唱する、自然関連のリスクと機会への対応策を検討するフレームワーク。回避(Avoid)、軽減(Reduce)、復元・再生(Restore & Regenerate)、変革(Transform)の4項目にて整理されている
(表3)特に重要度の高いリスク・機会一覧と対応策
R:リスク(Risk) O:機会(Opportunity) 短:発現時期 短期 中:発現時期 中期 長:発現時期 長期
インターナルカーボンプライシング(ICP)制度
当社は、気候変動リスクに対処し中長期的な脱炭素経営を推進するため、2022年4月よりインターナルカーボンプライシング制度を導入しております。当社では、内部炭素価格を14,000円/t-CO2に設定し、設備投資に関する意思決定プロセスに活用しております。
自然資本に対する分析 ― LEAPアプローチ
当社では、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(注5)に基づき、自然関連の課題について評価と分析を行いました。
(注5)企業の自然との接点、依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題を判定するための統合的な評価方法。スコーピングを経て、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを踏むことで、企業は自社にとって重要な自然との接点を評価することができる
スコーピング
当社グループの事業の中でも、楽器事業は売上の6割以上を占める主要な事業であり、自然資本への依存と影響が大きい事業です。当社グループの使用するさまざまな資源のうち、木材は使用量・事業価値の両面で重要な位置を占める主要資源であり、とりわけ楽器事業においては不可欠な材料です。多くの楽器に使用される木材は、音色や耐久性、品質を左右する中核的な要素であり、自然資本への依存とその影響への取り組みは、当社グループの事業、さらには音楽文化の持続可能性を支える基盤です。このため、これまでも木材の持続可能な調達に関する目標を設定し、取り組んできました。
当開示にあたり、当社はENCOREを用いて自然関連の依存と影響を評価しました。この分析は、従来の自社の認識を再確認し、さらに客観的なデータに基づいた評価を行うために実施したものです。評価対象は、
・バリューチェーン上流における木材調達プロセス
・直接操業としての楽器・音響機器の製造プロセス
の2つです。
この評価の結果、木材調達過程と自然資本との関連が特に大きいことが改めて確認されました。一方で、楽器・音響機器の製造過程においては、ENCOREの分析上、自然資本への依存や影響が相対的に大きい項目は限定的であることが示されました。これらの結果は、木材と自然資本の関わりが大きいという当社の認識を裏付けるものとなりました。
こうした結果に加え、TNFDでは直接操業における分析が求められていることから、直接操業拠点における自然関連リスクおよび生物多様性との関係について評価を実施しました。
a. 水関連分析(直接操業拠点)
Locate
2025年に、当社グループの直接操業拠点(本社・生産・リゾート計23拠点)を対象として、自然にとって重要な場所(要注意地域)および水資源への依存の観点から分析を行いました。
要注意地域の判定にあたっては、TNFDガイダンスを踏まえ、「生物多様性の重要性」「生態系の十全性」「生態系の十全性の急速な減少」「水リスク」の観点から評価項目を設定し、国際的に広く利用されている外部ツール・データを用いて定量的に評価しました。各評価項目について5段階でスコアリングを行い、これらの平均スコアが4以上となる拠点を要注意地域の目安として設定しました。
一方、本分析では、水供給制約が生じた場合の拠点への影響を把握する観点から、当社グループ全体の総取水量に占める各拠点の取水量割合を指標として用いました。取水量割合が高い拠点は、水資源への依存度が相対的に高く、水制約時の影響を受けやすい拠点として整理しております。なお本指標は水資源への依存度を示す一側面を捉えたものであり、企業にとっての重要性を包括的に示すものではありません。
これらの観点を踏まえ、本分析では「自然にとって重要な場所(要注意地域)」と「水資源への依存度が高い拠点」を整理し、重点的に確認すべき拠点の抽出を試みました。
Evaluate
Locateの結果を踏まえ、直接操業拠点における自然への依存および影響の程度を評価しました。
上記の指標を総合的に評価した結果、スコアの平均値は最大でも3.25にとどまり、平均スコアが4以上となる要注意地域は特定されませんでした。この結果から、生物多様性の重要性、生態系の十全性、水リスクなどの各観点において、当社グループの直接操業拠点が自然に対して顕著な依存または影響を有する状況は限定的であると認識しております。
また、水リスクの観点では、水ストレスが高い(スコア4:Highまたは5:Extremely High)地域からの取水は当社グループの総取水量の約1割程度であり、水ストレスの高い地域に所在する拠点は当社グループの直接操業拠点の一部に限定されていることを確認しております(図2)。該当する拠点は、中国、インドネシア、インドおよび米国に所在する5拠点です。従って、短期的に全社的な操業へ重大な影響を及ぼす可能性は限定的であると評価しております。
一方で、水資源は将来的に不確実性が高まる可能性がある自然資本であることから、水ストレスが高い地域に立地する拠点については、依存および影響の双方に留意する必要があると考えております。
(図2)直接操業拠点の水リスク(水ストレス)および
当社グループ全体の総取水量に占める各拠点の取水量割合

Assess
Evaluateの結果を踏まえ、自然に関連するリスクおよび機会の特定を行いました。
リスクの観点では、水ストレスが高いと評価された拠点(中国、インドネシア、インド、米国に所在する5拠点)において、将来的な水利用制約、取水コストの上昇、操業条件の変化といった物理的リスクが想定されます。ただし、これらの拠点の取水量規模および全社に占める取水量割合を踏まえると、水関連リスクが顕在化する可能性は相対的に限定的であると考えております。一方で、リスク顕在化時の影響の大きさは拠点の事業上の重要性や代替可能性にも依存することから、影響度の評価については今後、これらの観点も含めた検討が必要であると認識しております。
その上で、各拠点の地域特性を踏まえ、水ストレスの水準に加え、生物多様性保全地域への近接性を確認しました。
中国、インドネシアおよびインドの高水ストレス拠点については、保全上重要な地域への近接は認められず、かつ取水量割合も低区分に位置付けられていることから、周辺の自然資本に与える影響は相対的に小さいと評価しております。一方、米国の拠点は生物多様性保全地域に近接しておりますが、年間取水量は0.337千m³と限定的であることから、当該拠点の水利用が周辺の水資源および自然資本に与える影響も限定的と判断しております。
機会の観点では、水使用量の削減や水効率の向上、地域の水資源管理への貢献を通じて、操業の安定性向上やステークホルダーからの信頼向上につながる可能性があると考えております。
これらを踏まえ、当社グループの直接操業拠点における自然関連リスクおよび機会は、現時点では管理可能な範囲にあるものの、中長期的な視点での継続的なモニタリングが重要であると判断しました。
なお本評価は、当社グループの事業活動が生物多様性に与える影響を直接的に示すものではなく、地域特性を踏まえたリスクの顕在化可能性を把握することを目的としております。
Prepare
分析結果を踏まえ、現時点において、当社グループの直接操業拠点が立地する地域における自然関連リスクは全社的には限定的であると評価しております。しかしながら、気候変動などに伴う水ストレスの将来的な悪化可能性を踏まえ、水ストレスの高い地域に立地する拠点を中心に、将来的なリスク低減を目的に、取水量および排水量の継続的なモニタリングならびに節水設備の導入やプロセス改善による水使用効率の向上など、水保全に関する取り組みを進めております。
これらの取り組みを通じて、自然資本への依存および影響の低減を図るとともに、将来的な環境変化に対するレジリエンスの強化を進めていきます。また状況の変化に応じて、評価および対応内容の見直しを行っていきます。
b. 木材関連分析(バリューチェーン上流)
Locate
木材は一般的に環境への負荷が小さく持続可能な素材とされていますが、楽器用の木材には、その特性や風合いにより代替が難しいものもあり、持続性の確保が求められています。加えて、SBTN(The Science Based Targets Network)のHigh Impact Commodity List(注6)では、木材が「High Impact Commodity」として分類されており、科学的にも自然への影響が大きいとされています。これらの要素を踏まえ、木材についての評価を行うことが重要であると再認識し、今回の分析を実施しました。
(注6)自然への影響が大きいとされるコモディティ(原材料)をリスト化したもの
「木材調達」優先地域の特定
当社グループが調達する代替困難な木材の原産エリアを世界地図にプロットし、その中でも特に重要な樹種の原産地を優先地域として特定しました(図3)。
(図3)木材調達に関する優先地域

Evaluate/Assess
Locateで特定した優先地域の依存と影響に関する評価は、ENCOREを使用して2025年に再実施しました。これに事業を通じた自社の知見を加え、ENCOREの分析を補完する形で依存度と影響度を再評価し、特に重要なリスクと機会をダブルマテリアリティの視点で整理しました(表4)。なお、ENCOREにおいて依存または影響ありと分類された項目のうち、当社グループの事業実態に照らして影響が限定的または認められないと判断した項目については、本表では記載を省略しております。
(表4)依存と影響に関わるリスク、機会およびヤマハの活動
※生態系への直接的な依存が限定的である「文化的サービス」については、寄与が少ないため一覧表から除外しております。
Prepare
LEAPアプローチのL、E、Aの分析により特定された依存、影響、リスク、機会に対応するため、これらを評価し管理するための戦略や開示指標を設定しました。(「④指標及び目標」をご参照ください)
その他、今回の分析で特定された優先地域における、持続的な木材調達に関する具体的な取り組みについては、おとの森活動(注7)のウェブサイトをご参照ください。
(注7)https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/otonomori/
③ リスクと影響の管理
当社では、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、企業活動・行動に関わる気候変動や生態系に関連するものを含むすべてのリスクを対象とした全社横断的な評価の仕組みを採用し、リスクの抽出と評価を行っております。
サステナビリティ委員会の下部組織である気候変動部会および環境部門では、シナリオ分析結果をもとに「損害規模」と「発生頻度」を評価し、リスクと機会(上流および下流のバリューチェーンにおける自然関連の依存関係、影響を含む)をリスト化しております。特に重要なリスクと機会への対応は関連する他の部会(資源循環部会、調達部会)や部門が随時協働して行い、その進捗はモニタリングされ、サステナビリティ委員会に報告されます。また、サステナビリティ委員会や部会の担当範囲を超える対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応方針を審議検討しております。
リスクマネジメント委員会の委員長(執行役)はサステナビリティ委員会の委員も務めており、両プロセスは有機的に連動しております。これにより、気候変動や自然関連のリスクと機会に関する対応が一貫して行われ、戦略的なリスクマネジメントが推進されております。
<参考>
リスクマネジメント:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/governance/risk-management/
④ 指標及び目標
当社ではサプライチェーンを含むグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)をGHGプロトコルの基準に基づき算出し、指標としております。さらに、スコープ1およびスコープ2に加え、スコープ3の一部項目と取水量のデータについては第三者検証を実施しております。
また、TNFDが開示を求めるコアグローバル指標と当社の開示状況については以下のとおりです。
依存と影響に関する指標
リスクと機会に関する指標
上記のうち、現時点で分析が完了していないものについては「未対応」としていますが、今後分析に取り組み、可能な項目から随時公開していきます。
これらを踏まえ、重要な気候変動および自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価し管理するための指標と目標を以下のとおり設定しております。
気候変動対応と自然資本保全に関する短期・中期・長期の指標及び目標
当社グループは、気候変動対応と自然資本保全の両面で持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、短期・中期・長期の視点を踏まえた取り組みを推進していきます。
気候変動への対応
気候変動への対応に関しては、2025年11月に国際的な気候変動イニシアティブである Science Based Targets initiative(SBTi;注8)より、当社グループの温室効果ガス排出削減目標について、科学的根拠に基づくネットゼロ目標の認定を取得しました。当社グループはこの長期目標を2050年に向けた気候変動対応の指針として位置づけ、短期・中期の目標および施策と連動させながら、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを着実に推進していきます。
当社グループにおける再生可能エネルギーの導入は、国内外14拠点に拡大しており、このうち4拠点では使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄っております。2026年3月期におけるグループ全体の再生可能エネルギー由来の電力割合は約25%となりました。また、自己投資およびPPA(電力購入契約)を通じて、日本、中国、マレーシア、インドネシアなどにおいて合計約12.6MWの太陽光発電設備を導入しております。
(注8)CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が共同で設立した国際的なイニシアティブ。パリ協定目標達成に向け、企業が科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定することを支援し、その目標を独立して評価・認定している
持続可能な木材の利用
木材を持続可能な形で利用し続けるには、森林保全や木材資源量への配慮と、サプライチェーンが経済的にも持続可能であるよう、雇用創出やインフラ整備といったコミュニティーの発展に資することが必要です。当社グループでは、木材デューディリジェンスの仕組みを構築し、購入する木材の原産地や伐採の合法性、資源の持続可能性に関する書類調査を実施し、その結果、リスクが高いと判断された木材については、現地訪問を含む追加調査および木材調達部門やサステナビリティ部門で構成する審査会での審議を通じて、より厳格な合法性などの確認を行っております。
2024年3月期に木材デューディリジェンスに用いるリスク評価の基準を刷新しました。その中の、持続可能性の確認まで含めた「持続可能性に配慮した木材」の基準については、2023年5月に国際的な環境団体Preferred by Nature監修のもと新たに制定し、2024年7月に見直しを加えました。本基準を制定するまでは第三者によって持続可能と判定された認証木材の使用率を拡大することで、持続可能な木材利用に取り組んできました。しかし、樹種によっては認証木材の流通量が少なく、認証木材以外の木材について持続可能性を評価できないことが課題でした。本基準は、非認証木材に対し、デューディリジェンスを通じて持続可能性を客観的に判断するための評価項目および判断基準を定めるものです。2026年3月までに、東南アジア産の植林木については現地調査を実施し、実地確認に基づく持続可能性の評価と判定を進めた他、サプライチェーンが多岐にわたる北米材の調査について、本活動の趣旨をサプライヤーに個別に説明した上で、持続可能性の判定に必要な書類の入手を行いました。今後も評価スキルの向上や調査のための要員教育を通じてデューディリジェンスの精度向上と実行体制の拡充を図るとともに、サプライチェーン上の生産者や取引先など関係する人々の理解を得ながら、サプライヤーと連携し、持続可能性に配慮した木材の利用拡大を進めていきます。
<参考>
指標及び目標に関する最新データ(ESGデータ<環境>):
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/esg-data/pdf/environment.pdf
脱炭素社会への移行
当社グループはサプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理し、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)を着実に削減していくことで、人間社会および地球のあらゆる生物の脅威となる急速な気候変動を緩和し、脱炭素社会への移行に貢献します(図4)。
(図4)脱炭素社会への移行計画

ネイチャーポジティブへの移行
当社グループはネイチャーポジティブを目指し、事業活動や製品が生物多様性に与える影響をバリューチェーン全体で考慮し、悪影響の最小化に取り組みます(図5)。特に森林保全に注力し、サステナブルな木材活用に努めつつ、楽器適材の育成を推進します。
(図5)ネイチャーポジティブへの移行計画

<参考>
気候変動への対応とTCFDおよびTNFDに基づく情報開示の詳細:
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/
木材資源への取り組みの詳細:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/
⑤ 社外からの評価
CDP「気候変動」および「水セキュリティ」両分野で最高評価の「Aリスト」企業に選定
当社は、国際的な環境非営利団体CDP(注9)より、気候変動および水資源保全に関する積極的な取り組みと透明性が評価され、2025年度の「気候変動」および「水セキュリティ」の両分野において、最高評価である「Aリスト」企業に選定されました。当社のAリスト選定は、「気候変動」分野では3年連続4回目、「水セキュリティ」分野では初めてとなります。
当社グループは今後も、気候変動対応と自然資本保全の両面で持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、長期的な視点で気候変動や自然関連課題への対応を進めていきます。
(注9)企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体
(3) 人的資本
当社は、ともに働く仲間の可能性を信じ、多様な個性を尊重する考えのもと、一人ひとりが能力をいかんなく発揮できる環境の整備に努めております。こうした価値観をベースに醸成してきた健全で創造的な組織風土のもと、自律的に挑戦を続ける従業員が互いに影響し合い、新たな価値や成果を創出していくことにより、経営ビジョンを実現してまいります。
① 戦略
中期経営計画「Rebuild & Evolve」で掲げている事業ポートフォリオマネジメントを強化するため、経営戦略・事業戦略に応じて適切に人的資本を強化・配分する戦略型の人材マネジメントによる人材ポートフォリオ変革を推進しております。具体的には以下の3つの重点テーマを掲げ、人材の質・量・活力の定量化と最適化/最大化を通じて事業を牽引する仕組みの構築に取り組んでおります。
<参考>
個々の人材施策の詳細:https://www.yamaha.com/ja/sustainability/social/
重点テーマ1:事業戦略連携型人材マネジメントシステムの構築(質・量)
当社は、事業戦略の実行に必要な人材ポートフォリオを適時に実現することにより、成長領域における競争力強化を図っております。
2026年3月期からHRBP(事業戦略に連動したビジネスパートナー型の戦略人事機能)を事業領域ごとに設置し、戦略達成に必要な要員構成と現状の要員構成とのギャップを可視化しております。そのうえで、迅速に最適な要員構成を実現できるよう、採用計画、配置計画、育成計画の策定に取り組んでおります。
また、人材獲得チャネルを国内外の様々な領域に広げ、グローバルでの事業に貢献し得る人材や、成長事業領域の即戦力人材を幅広く採用しております。加えて、キャリア採用の求人に対して社内からの応募も可能とする仕組みを導入し、社内公募を通じた人材の最適配置を推進しております。これにより、社外からの人材獲得と社内人材の活用を一体的に進め、事業戦略に応じた適所適材の実現に取り組んでおります。

重点テーマ2:組織力強化と個の成長を後押しする仕組みの構築(活力)
当社は、従業員一人ひとりの挑戦と成長を通じて組織の活力を高め、その活力が事業戦略の実行力向上および企業価値の向上につながることを目指しております。その実現に向けた基盤として、年間の人的投資額を拡充し、組織としても個としても「学び」「実践し」「成長する」機会を人事施策と人事インフラの両面から充実させることに取り組んでおります。
具体的には、ラーニングマネジメントシステム(LMS:従業員の自律的な学習を支援する教育管理システム)の導入により学習機会を提供するとともに、タレントマネジメントシステム(TMS:従業員のスキル・経験・キャリア志向等の情報を一元管理し、人材配置や育成に活用するシステム)を活用することで、個の成長の促進に取り組んでおります。さらに、従業員個人の手上げで挑戦可能な社内公募や基幹職ライセンス制度といった、主体的キャリア形成を後押しする仕組みを確立しております。
また、創造的で挑戦的な組織風土の醸成にも取り組んでおります。グローバルな事業展開と多様な顧客に対応するには多様な人材の貢献が不可欠と捉え、これまでに築いてきた健全な職場風土を土台として、DE&I推進活動や傾聴トレーニング等の組織開発、また、阻害要因の解消(メンタル不調やハラスメントの防止など)に継続的に取り組んでおります。さらに、当期からはこれらの施策の分析・統合を通じて、一人ひとりの活力を引き出し成果につなげる組織文化・マネジメントの変革に取り組んでおります。
重点テーマ3:人的資本成長サイクルの構築(質・量・活力)
当社は、人的投資とその成果の関係を可視化することで、投資の質を高め、継続的な企業価値向上につなげることを目指しております。
具体的には、各種データの取得・整理と分析を通じて、人的投資と投資効果の相関や因果の関係性解明(人的資本インパクトパスの設計)に取り組んでおります。これにより、人的投資の優先順位付けが可能となり、経営判断の高度化につながると考えております。中長期的には、人事戦略が人的資本の増加に、人的資本の増加が事業成長に、そして事業成長がさらなる人的投資につながっていく人的資本成長サイクルを構築し、さらには人材獲得競争力の向上にもつなげてまいります。

3つの重点テーマの関連性
これらの3つの重点テーマは相互に連関しており、重点テーマ1による人材ポートフォリオの最適化と、重点テーマ3によるデータに基づくマネジメント高度化を基盤として、重点テーマ2における組織の活力向上および成果創出につなげてまいります。また、多様な人材の活躍促進、グローバルな人材配置、従業員エンゲージメント向上および専門性強化といった各施策が相互に連動することで、人的資本経営のサイクルが確立し、事業競争力の向上につながるものと認識しております。
② 指標及び目標と具体的取り組み
当社は、重点テーマ2「組織力強化と個の成長を後押しする仕組みの構築」に基づき、以下の主要な指標を設定しております。これらの指標を通じて、人的投資の拡充および組織・人材マネジメント施策の実施に取り組むことで、従業員の成長と組織の活力向上を促し、事業戦略の実行力強化ならびに中長期的な企業価値向上につなげてまいります。
なお、重点テーマ1および重点テーマ3は、事業戦略と連動した人材ポートフォリオマネジメントや人的資本に関するデータ基盤の整備・活用といった、主にプロセスの高度化に関する取り組みであり、その進捗は個別施策および管理指標により把握しております。これらの取り組みの効果は、人的投資の効率化や最適配置を通じて、重点テーマ2に関連する各指標の改善に結びつくものと考えております。
中期経営計画(2025年4月~2028年3月)の主な指標・目標と実績・成果
③ 人材の採用
当社は、人材ポートフォリオマネジメントの実行施策として、人材の採用に取り組んでおります。人材ポートフォリオの転換に必要な人材要件と人数に基づき採用計画を策定しており、2023年3月期以降は技能職を除く新規採用者のうちキャリア採用者が約4割を占めております。
新卒採用計画は中長期的に必要な人員構成に基づいて策定し、インターンシップ拡大とコース別採用により適所適材での採用を実施しております。キャリア採用計画は事業戦略上での優先度の高い人材獲得を目的として策定し、ダイレクトリクルーティング等の採用マーケティングを強化して採用計画の達成に努めております。
また、人数の確保にとどまらず、事業背景に応じて専門性の高い人材や多様な人材(外国籍人材、女性技術者など)の採用を推進しております。
<参考>
採用人数実績の詳細(ESGデータ<社会>):
https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/esg-data/pdf/social.pdf
人材ポートフォリオ転換に向けた人材採用の取り組み(技能職を除く)
④ リスク管理
人的資本に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 人材・労務」をご参照ください。
主な対策として、グループ人材マネジメント規程および関連するガイドラインを策定し、グループ各社に対して、その周知及び実施状況のモニタリングを行っております。
⑤ ガバナンス
人的資本に関するガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
主な施策として、代表執行役社長の諮問機関として経営会議および人材開発委員会を設置し、経営会議では経営に関する重要な人事事項を、人材開発委員会では経営人材に関わる諸テーマを審議し、代表執行役社長に答申しています。その他、人権やダイバーシティに関する取り組みを推進するため、サステナビリティ委員会の下部組織として人権・DE&I部会を設置しております。
⑥ 社外からの評価
DE&I、両立支援、健康経営に関する取り組みや成果が認められ、ヤマハ㈱およびヤマハグループ企業にて、以下の評価・表彰を得ております。
活動に対する評価・表彰(一部抜粋)
3 【事業等のリスク】
当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。
(1) リスクマネジメント体制
当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しております。また、事業活動において全社的な影響が及ぶような重大なリスクが顕在化した場合には、代表執行役社長を総本部長とするリスク対策総本部を設置し、当該リスクに対応します。
(2) リスク管理の取り組み
リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っております。経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
<事業に関するリスクの分類>

<リスクマップ>

(3) 主要なリスクの詳細
当社で「損害規模(大)」と認識している主要なリスクの詳細は以下のとおりです。関連する中期経営計画の戦略方針を文中に記載しております。中期経営計画の戦略方針については「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、欧州市場での消費や投資減速、米国の追加関税、中国経済の停滞、地政学リスクの高まりや世界的な物価上昇など、経済・市場環境は厳しく、中期経営計画策定時の想定を大きく超える変化も生じ、当社グループを取り巻く事業環境は、今後も一層その不透明さが増していくものと認識しています。このような環境の中、当社グループは、2025年5月に中期経営計画「Rebuild & Evolve」を発表し、低下した競争力・収益性を早期に回復させ、当社の強みとなる領域に積極的に投資することで再び成長軌道を描く3年間と位置づけ、3つの戦略方針「強固な事業基盤の再構築」、「未来を創る挑戦」、「経営基盤の強化」を掲げて各施策を進めてきました。
財務目標については、売上収益は主要市場の消費減速、プロフェッショナル音響機器におけるコロナ後の高需要一巡などにより、円安の追い風を受けながらも前年並みにとどまりました。事業利益は米国の追加関税、部品・原材料費、人件費、物流費等のコスト上昇が重なり、課題事業の構造改革や価格の適正化を進めるも、当初の目標を下回りました。また、重点戦略の達成度合いを測るKPIについては、「戦略投資額」と「セグメント別ROIC」を除き、目標に向け概ね順調に進捗しました。
各戦略方針について、具体的な取り組みの進捗を説明いたします。
《強固な事業基盤の再構築》
中期経営計画初年度は「Rebuild」(強固な事業基盤の再構築)に注力しました。特に、収益性が低下しているピアノ、ギター、ホームオーディオ、国内楽器事業について、今中期経営計画期間内での抜本的な収益性改善を最優先事項として取り組んできました。ピアノ事業では、生産拠点再編による収益性改善は計画通りに進捗していますが、欧州、中国を中心とした主要市場で需要回復が遅れており、市場在庫を適切にコントロールしながら、品質維持とコスト低減を両立させる取り組みをさらに進め、事業全体の利益率の向上を実現します。ギター事業では、固定費の削減、製造工程の効率化、高付加価値商品の拡充等が順調に進捗し、計画を前倒しして収益性を改善することができました。ホームオーディオ事業では、販売地域の絞り込み及び趣味層を対象にした中高級製品への絞り込みと、外部委託生産拡大による開発・製造固定費削減を進めました。国内楽器事業については、価格の適正化、商品ラインアップの見直し、店舗・教室の統廃合を進めているものの、市場自体の冷え込みもあり、目標に対する進捗には遅れが生じておりますが、目標達成を最重点課題の一つとして取り組みを強化していきます。
中期経営計画における経営目標と当連結会計年度の進捗は以下の通りです。

《未来を創る挑戦》
音・音楽の愉しみ方を広げる体験価値の提供を通じて、事業ドメインの拡大に取り組んでいます。ミュージックコネクト事業(学び・表現・人のつながり創出)では、Yamaha Music School Onlineや楽器演奏をより愉しむためのスマートフォン用アプリなどのコンテンツを拡充しました。また、Yamaha Music IDを活用した多様な製品・サービスから顧客に最適なコンテンツを提供するメンバーシッププログラムの運用を欧州より開始しました。新規事業開発戦略については、2025年4月より新規事業開発部を新設し、「楽器・音響機器メーカー」の枠を超えた事業領域へ拡大していくためのグランドデザインと事業開発のメカニズム構築を進めています。米国シリコンバレーのYamaha Music Innovations, LLCによる事業開発戦略については、アフリカで1億人以上の利用者がいる音楽配信プラットフォーマーAudiomack社との協業や、音楽キャリア支援プラットフォームを運営する米国スタートアップ企業Groover社との協業など、立ち上げから2年という短い期間でスタートアップ12社との協業、7件の投資を実施しました。2026年3月には、ヤマハ及びパートナー企業の幅広いサービスをワンストップで提供し、より快適かつ効果的な音楽制作を実現するサブスクリプションサービス「Yamaha Creator Pass」を立ち上げました。このように外部リソースを活用したスピード感ある事業開発を進めています。また、オープンイノベーションの仕組みの一つとして、「未来を創る挑戦を、世界中のイノベーターと共に」という狙いのもと、グローバルビジネスコンテスト「TRANSPOSE Innovation Challenge」を開催しました。63か国から300件を超える優れたビジネスアイディアが寄せられ、「音・音楽とテクノロジーによる社会課題解決」に大きなポテンシャルがあることを確信しました。このような様々な挑戦的な取り組みの中で、成長領域には積極的に投資し、10年後の新たな成長領域となる事業を育てていきます。
中期経営計画における経営目標と当連結会計年度の進捗は以下の通りです。

《経営基盤の強化》
資本・資産効率向上については、課題事業のターンアラウンドに向けた迅速な取り組み、そして成長事業への積極的な投資が行われるよう事業ポートフォリオマネジメントの仕組みを整備し、定期的な事業評価を進めています。その一つとして、2026年2月にゴルフ用品事業の終了を発表しました。今後も新陳代謝を高め、経営資源を成長分野に集中していきます。また、遊休不動産の処分や政策保有株式の縮減による資産の圧縮も進めました。人的資本の強化については、「組織力の強化と個の成長」の実現に向け、事業・部門戦略に沿った人材の獲得・育成等を行うための人事組織・体制の強化、公募制度や学びの機会創出、勤務体系の柔軟化など人事共通基盤・制度の整備も同時に進めました。グループガバナンスについては、執行スピードと実効性を両立させるべく、適切性・有効性を十分に考慮した上で現場に権限を移し、細部の手順を定めた規程は柔軟な運用が可能なガイドラインに移行するなど、現場の自律的かつスピーディな行動を促す改善を進めました。また、監査・モニタリングにおいてはリスクアプローチを一層進め、リスク低減の実効性は担保しつつ、監査・モニタリングの対象を削減することで、本社・グループ子会社の業務負荷軽減も進めました。コーポレートガバナンスについては、取締役会での中長期戦略および、事業ポートフォリオ議論を充実させ、実効性向上と監督機能のさらなる強化を進めました。
中期経営計画における経営目標と当連結会計年度の進捗は以下の通りです。

《サステナビリティを価値の源泉に》
社会課題の解決に向けても様々な取り組みを進めました。「おとの森」プロジェクトでは、タンザニアにおけるアフリカンブラックウッドの植林に加え、インドでのローズウッド資源保全のプロジェクトが本格化しました。スクールプロジェクトでも、インド、フィリピン、エジプトでパイロット展開の準備が進み、累計で500万人以上の子どもたちに楽器を使った音楽教育の機会を届けることができました。他にも、音楽を通じて人と人がつながる場を創るCommunity Building with Music、演奏することを諦めかけた人を技術で支えるVXDなど、ヤマハならではの価値提供を続けています。これらの取り組みは、当社がどのような企業でありたいのかを社会に示すとともに、中長期の企業価値向上にもつながる極めて重要なものであり、今後も着実な施策実行と情報発信を進めていきます。
中期経営計画における経営目標と当連結会計年度の進捗は以下の通りです。

財務目標については、中期経営計画における経営目標「売上成長率5%」「ROE 10%」「事業利益率13.5%」「総還元性向50%以上」に対して、当連結会計年度の進捗はそれぞれ「0.7%」「5.1%」「6.9%」「112%」となりました。

(イ)セグメントごとの売上収益の状況
当連結会計年度の売上収益は、中国でのピアノの販売減や、業務用音響機器の高需要一巡が影響したものの、北米を中心としたギターの販売増や全地域での電子楽器の販売増などにより、前期に対し32億50百万円(0.7%)増加の4,653億30百万円となりました。
セグメントごとの状況を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「電子デバイス事業」の名称を「モビリティ音響機器事業」に変更し、「その他の事業」セグメントから「音響機器事業」セグメントに組み替えております。前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいております。
楽器事業は、中国でのピアノの販売減があったものの、北米を中心としたギターの販売増や全地域での電子楽器の販売増などにより、前期に対し88億24百万円(3.0%)増加の3,049億24百万円となりました。
商品別では、ピアノは、主要市場の中国における販売低迷が底打ちしたものの、インフレ等による個人消費の下押しを受け中国以外の市場も需要が弱く、減収となりました。電子楽器は、市場在庫の過剰感が解消され、市況が安定する中でトップシェアを堅持したことに加え、シンセサイザーやポータブルキーボード、エレクトーン等の新商品が高い評価を受け、増収となりました。管弦打楽器は、コロナ後の吹奏楽活動の再開により各地で堅調な市況が続き、増収となりました。ギターは、中高級ラインアップの拡充、マルチエフェクターのフラッグシップモデルの投入等により大幅な増収となりました。
地域別では、日本は、インフレにより家計の負担が増す中で高額品の購入に慎重姿勢が見られ、アコースティックピアノが苦戦したものの、ピアノ需要をデジタルピアノで取り込んだほか、エレクトーンのフラッグシップモデルが好調、また管弦打楽器で一般趣味層の需要が堅調に推移したことにより、全体では増収となりました。北米は、ピアノで高額品の需要が弱く減収となったものの、ギターはアコースティックギターとアンプ、エフェクター等の周辺機器において大幅な増収となりました。欧州は、ピアノと電子楽器では種々の販促策の導入、管弦打楽器では学販需要期における普及品販売の好調、ギターでは市況低調による競争激化の中、販促強化と競争力ある新商品の投入が寄与し、全体で増収となりました。中国は、アコースティックピアノにおいて、市中在庫の消化を優先する中で第3四半期連結会計期間以降は増収に転じるものの、それ以前の大幅な販売減により通期では減収、全体でも減収となりました。その他の地域では、中近東では中東情勢の悪化により急ブレーキがかかる一方で、ブラジルをはじめとする中南米やインド、オーストラリアは好調であり、地域全体としては前期からの成長基調を維持し増収となりました。
音響機器事業は、業務用音響機器の高需要一巡が影響し、前期に対し53億20百万円(3.6%)減少の1,424億44百万円となりました。
商品別では、コンシューマー音響機器は、ホームオーディオの展開モデル・地域を絞り込み、構造改革を推進したことにより減収となりました。プロフェッショナル音響機器は、中南米市場の活況が続きスピーカーの拡売を進めたものの、前期の欧州を中心とした業務用音響機器の高需要が一巡したことで減収となりました。モビリティ音響機器は、日本の自動車メーカーでの採用が広がったものの、競争激化により事業環境が悪化する中国自動車メーカー向けの販売が減少し、減収となりました。
その他の事業は、前期に対し2億53百万円(1.4%)減少の179億60百万円となりました。
自動車用内装部品、FA機器は需要堅調で増収となった一方で、ゴルフ用品は海外主力市場の縮退により販売が落ち込み減収となりました。
(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は、前期に対し44億19百万円(1.5%)増加の2,903億58百万円となりました。売上原価率は、前期から0.5ポイント上昇し62.4%となりました。
売上総利益は、前期に対し11億69百万円(0.7%)減少の1,749億71百万円となりました。売上総利益率は、前期から0.5ポイント下落し37.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期に比べ36億72百万円(2.6%)増加の1,430億91百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から0.6ポイント上昇し30.8%となりました。
(ハ)事業利益
事業利益は、前期に対し48億41百万円(13.2%)減少の318億79百万円となりました。
報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替による23億円の増益影響があったものの、前期に対し8億50百万円(3.9%)減少の212億18百万円となりました。音響機器事業は、為替による3億円の増益影響があったものの、前期に対し35億86百万円(25.0%)減少の107億74百万円となりました。その他の事業は、為替による1億円の増益影響があったものの、前期に対し4億4百万円減少の1億13百万円の損失(前期は2億91百万円の利益)となりました。
要因別には、為替影響(27億円)や前期構造改革効果(22億円)等の増益要因に対し、米国追加関税のネット影響(18億円)や減産モデルミックス他(65億円)等の減益要因により、前期に比べ減益となりました。
(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。
(ニ)その他の収益及びその他の費用
その他の収益は、前期に対し3億65百万円(16.1%)増加の26億34百万円となりました。その他の費用は、ゴルフ用品事業終了に伴う構造改革費用19億54百万円を計上したものの、前期にピアノ生産設備の減損損失等、構造改革費用142億63百万円を計上した影響により、130億55百万円(71.4%)減少の52億40百万円となりました。
(ホ)金融収益及び金融費用
金融収益は、主として為替差益により、前期に対し20億98百万円(45.3%)増加の67億29百万円となりました。金融費用は、主として前期に為替差損を計上した影響により、21億47百万円(75.0%)減少の7億17百万円となりました。
(ヘ)税引前当期利益
税引前当期利益は、前期に対し128億25百万円(57.1%)増加の352億87百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から2.7ポイント上昇の7.6%となりました。
(ト)法人所得税費用
法人所得税費用は、主として税引前当期利益の増加により、前期に対し24億78百万円(27.6%)増加の114億72百万円となりました。
(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し103億69百万円(77.7%)増加の237億20百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の27円58銭から52円70銭となりました。
(注)当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算出しております。
(リ)為替変動とリスクヘッジ
海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約2円円高の151円となり、前期に対し約19億円の減収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約11円円安の175円となり、前期に対し約64億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前期に対し約4億円の減収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約41億円の増収影響となりました。
また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約3億円の減益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約9円円安の173円となり、約34億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約27億円の増益影響となりました。
(ヌ)生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
(b) 受注実績
当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,912億78百万円から262億90百万円(4.4%)増加し、6,175億68百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から130億11百万円(3.7%)増加し、3,649億45百万円となり、非流動資産は、132億78百万円(5.5%)増加し、2,526億23百万円となりました。流動資産では、為替による海外子会社の資産評価が増加したことに加え、税引前当期利益や投資有価証券の売却により、現金及び現金同等物が増加しました。非流動資産では、割引率の見直しによる退職給付債務の減少により、退職給付に係る資産が増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,411億65百万円から33億27百万円(2.4%)減少し、1,378億37百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から86億49百万円(8.1%)減少し、980億8百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から53億21百万円(15.4%)増加し、398億28百万円となりました。流動負債では、有利子負債が減少しました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の4,501億13百万円から296億17百万円(6.6%)増加し、4,797億30百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いによる株主還元を行ったものの、当期利益により利益剰余金が増加したことに加え、為替変動の影響によるその他の資本の構成要素の増加により、全体では増加となりました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ91億33百万円増加(前年同期は17億68百万円減少)し、期末残高は1,089億52百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税引前当期利益により457億77百万円の収入(前年同期は主として税引前当期利益により552億81百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により79億7百万円の支出(前年同期は主として投資有価証券の売却による収入と、有形固定資産の取得による支出により81億6百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、主として自己株式の取得、配当金の支払い等により377億75百万円の支出(前年同期は主として自己株式の取得、配当金の支払い等により631億40百万円の支出)となりました。
(イ)資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期の199億59百万円から55億69百万円(27.9%)減少し、143億90百万円となりました。設備の更新改修を中心として減価償却費(141億48百万円)と同程度の設備投資を行いました。
研究開発費は、前期の269億77百万円から7億43百万円(2.8%)増加し、277億20百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の5.8%から0.2ポイント上昇し、6.0%となりました。
(ロ)資金調達
運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、当社及び一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。
5 【重要な契約等】
特記すべき事項はありません。
6 【研究開発活動】
当社グループは、ヤマハが目指すものとして「世界中の人々のこころ豊かなくらしの実現」を、企業理念として 「感動を・ともに・創る」を掲げています。この理念の実現に向け、製品・サービス分野における新たな価値創出を目的として、コア技術の更なる高度化および拡張に資する研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術を中心に、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。
当連結会計年度は、
◆ 音・音楽領域における新たな価値創造の可能性を追求する取り組み
◆ 世界中の人々の自己表現、多様な個性の発揮を後押しする製品・サービス
◆ 多様なステークホルダーと協業し、社会課題の解決に資する価値を共創
をテーマに研究開発を進めました。
これら3つのテーマのもと、当社グループは音・音楽の価値拡張と社会課題の解決を両立する研究開発に取り組みました。
「音・音楽領域における新たな価値創造の可能性を追求する取り組み」では、車載スピーカー向けの新技術「Isolation Frame」を開発しました。近年、自動車の車内は「セカンドリビング」として多彩な音響エンターテインメントを楽しむ空間へと進化しています。一方で、出力要求の増大、スピーカーに対する入力増大の傾向により、ドアへのスピーカー設置に伴う振動伝播が、異音や共振音を発生させ、音質低下の要因となるケースも増えています。「Isolation Frame」は、当社特許取得済み振動抑制機構によりスピーカーと車体パネルを機構的に分離することで振動の伝搬を抑制します。この結果、入力レベルの上昇に伴う異音や共振音が低減し、スピーカー本来の性能を最大限に引き出すことができます。これにより、リズム楽器の力強さや中低音楽器の豊かな響きを、より自然でクリアに再現し、快適な車室音響空間を実現します。今後、量産化に向けて国内外の自動車メーカーへの提供を開始し、快適な車内空間の創出に貢献してまいります。

「世界中の人々の自己表現、多様な個性の発揮を後押しする製品・サービス」では、クリエイター向けの新たな統合型プラットフォーム「Yamaha Creator Pass」(ヤマハ・クリエイター・パス)の提供を開始しました。ヤマハおよびパートナー企業の幅広いサービスをワンストップで提供し、より快適かつ効果的な音楽制作を実現するサブスクリプションサービスです。専用アカウント「Yamaha Creator ID」一つで、音楽・ポッドキャスト制作者向けの多様なツールを利用できます。制作レベルや目的に応じて複数のプランから選択でき、楽曲・音声コンテンツの制作・編集・配信から、ジャケット写真などのグラフィック生成、プロモーション動画制作、グッズ制作・販売まで、クリエイタージャーニーにおける一連のプロセスをシームレスに進めることができます。基本プランには、音楽制作ソフトウェア「Output」、AIマスタリング・ミキシングツール「LANDR」、ポッドキャスト制作ツール「Riverside」、アーティスト支援プラットフォーム「Groover」などが含まれます。さらに、追加ツールの利用時にはユーザー限定の特典割引が適用されるなど、各ユーザーのニーズに応じた柔軟な制作環境を実現します。今後もコンテンツ制作・配信から収益化に至るまでのクリエイタージャーニー全体を支えるために、スタートアップやパートナー企業との協働を通じて、最適なソリューションを届けてまいります。

「多様なステークホルダーと協業し、社会課題の解決に資する価値を共創」では、全日本ピアノ指導者協会(以下、ピティナ)と、ピアノの演奏を多面的に計測できるシステムを使ったピアノ演奏計測の共同研究を開始しました。ピアノの教育現場では、科学的なアプローチでより効率的に演奏を上達させたいという要望が上がっています。本研究では、ピティナの持つピアノ教育に関する知見や演奏データと、当社が持つ高精度なピアノセンシング技術および演奏データ計測システムを活かし、両者の知見や計測データ、技術を掛け合わせることで、演奏技術の発展とピアノ教育の新たな可能性を探求します。データを収集、分析、活用し、適切な形で公開するという研究サイクルを回しつつ、演奏科学研究に携わる方々と議論しながら、ピアニストや指導者にとってより効果的な演奏・指導方法の発見を目指します。
当社は、ピアノなどの楽器演奏における動作をより深く理解するために、演奏中のさまざまなデータを記録・分析する取り組みを進めています。本研究を含む活動を通じて、教育分野や演奏科学分野の発展に貢献してまいります。
当社グループの研究開発体制は、事業分野ごとに専門性を生かした形で行われています。楽器事業については当社楽器事業本部およびYamaha Guitar Group,Inc.の開発担当部門、音響機器事業については当社音響事業本部のほか、NEXO S.A.およびSteinberg Media Technologies GmbHの開発担当部門、その他の事業については当社ゴルフHS事業推進部およびヤマハファインテック株式会社の開発担当部門、全社横断のR&Dについては当社研究開発統括部が担う形で構成しております。
各セグメントにおける研究開発費の金額は以下の通りであります。
当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(1) 楽器事業
楽器事業においては、長年培ってきた楽器づくりの技術を基盤に、デジタル技術との融合を通じて、演奏者一人ひとりの感性や表現意図に寄り添う製品開発を進めました。
ピアノ関連では、当社フラッグシップモデルであるコンサートグランドピアノ『CFX』の開発で培った設計思想やノウハウを応用し、より多くの演奏者が表情豊かな演奏表現を追求できるグランドピアノとして『C3X espressivo』および『C2X espressivo』を開発いたしました。響板やアクションの構造を見直すことで、低音から高音まで奥行きのある立体的な響きを実現するとともに、わずかなタッチの違いを音色に反映する繊細な表現力を高めています。
また、ピアノの発音機構を物理シミュレーションによりリアルタイムで演算し音響信号を生成する「物理シミュレーション・システム」の開発に成功しました。本システムは、ハンマー、ダンパー、弦、響板、フレーム、支柱などの構成部品および空気の相互作用を考慮した精緻なシミュレーションをリアルタイムに実施するもので、3次元の有限要素法および境界要素法を用いてピアノと空気の挙動を再現します。先進的かつ独創的な音響技術の周知と楽器文化の継承を目的として、本システムを搭載した電子ピアノ試作機を浜松市に寄贈しました。
管弦打楽器関連では、アコースティック楽器の演奏感とデジタル技術を融合させたサイレントチェロ『SVC300』シリーズを開発いたしました。本シリーズでは、楽器構造や音響設計を刷新し、アコースティックチェロの自然な演奏感や表現のニュアンスを忠実に音へ反映することを追求しています。これにより、自宅練習からステージ演奏まで幅広い演奏環境に対応し、演奏者の表現領域を拡張しています。
電子楽器関連では、エレクトーンのフラッグシップシリーズ『Electone STAGEA』を約12年ぶりに刷新し、新たに『ELS-03』シリーズを開発いたしました。演奏中の操作によって音色やリズムをリアルタイムに変化させる新たな演奏インターフェースや、指の圧力の違いを繊細に音へ反映する進化した鍵盤表現技術を搭載することで、演奏者の感情やインスピレーションを即時に音楽へ反映できる、より自由で創造的な演奏体験を実現しています。
音楽制作分野では、フラッグシップモデルのDNAを継承したミュージックシンセサイザーとして、『MODX M6』『MODX M7』『MODX M8』を開発いたしました。複数のサウンドエンジンを搭載するとともに、操作性や表現力の向上を図ることで、演奏から音楽制作まで幅広い用途に対応するモデルとして進化しています。
ギター関連では、演奏性とサウンドの完成度を高次元で追求したエレキギターとして『Pacifica SC Professional』および『Pacifica SC Standard Plus』を開発いたしました。『Pacifica』シリーズの設計思想を継承しつつ、ボディ構造やネック設計、ピックアップ構成を最適化することで、幅広い演奏スタイルに対応する表現力と高い演奏性を実現し、ステージから制作環境まで多様な演奏シーンに対応するモデルとして仕上げています。
ミュージックコネクト事業においては、ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン、一般財団法人ヤマハ音楽振興会の3社が連携し、新たなオンライン音楽レッスンサービス「YAMAHA MUSIC SCHOOL ONLINE」の提供を開始しました。本サービスは、オンライン音楽学習分野で実績を持つ米国のTrueFire Studiosのプラットフォームおよび教材コンテンツを活用して構築されており、ヤマハ認定講師によるチャットレッスンとライブレッスンの2種類の形式でお客様一人ひとりの学びに寄り添う個別指導を提供します。あわせて、楽器演奏者の練習・演奏を日常的に支えるミュージックツールアプリの拡充として、ギターチューナーアプリ「Tuner for Guitar」をグローバルで提供開始しました。また、国内で先行展開していたメトロノームアプリ「METRONOME」についても同時期に海外展開を開始しています。さらに、「Yamaha Music ID」を活用した顧客向けメンバーシッププログラムの展開を欧州で開始しました。顧客データ基盤とAIを活用して、お客様一人ひとりの属性・行動・購買データをもとに最適な楽器・サービス提案を行うことで、演奏体験の継続的な向上を支援する仕組みです。
また、米国子会社であるYamaha Music Innovations, LLCは、「ヤマハグループ音・音楽に関するAI活用基本方針」のもと、Boomy Corporation(米国)と協業し、音楽制作ツール『SEQTRAK』アプリへの生成AI機能統合に向けた技術検証を開始しました。本取り組みは、プロンプトから「欲しい音」をその場で生成し、生成したサンプル音をそのまま『SEQTRAK』での制作・演奏に活用できる新しいワークフローを提案するもので、2026年1月開催の「The NAMM Show」にて限定デモが公開されました。
これらをはじめとした研究開発およびデザインに関する取り組みは、国内外のさまざまな機関から高い評価を受けました。管楽器エントリーモデルの梱包箱デザインが、世界的に権威あるパッケージデザインのコンペティション「Pentawards 2025」において金賞を受賞しました。本デザインは、環境への配慮とともに、楽器を手にする際の期待感を高める点が評価されています。天然木材の多様性や個性を生かしたクラリネットのプロトタイプ「Designed by Nature Clarinets」は、国際的に権威あるデザイン賞である「Red Dotデザイン賞」デザインコンセプト部門を受賞しました。また、電子ピアノ『TORCH T01』、楽器演奏者向けアプリ『Extrack』、管楽器エントリーモデルの梱包箱の3件が、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2025年度グッドデザイン賞」を受賞するとともに、電子ピアノ『クラビノーバ CLPシリーズ』が「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しました。当社のグッドデザイン賞受賞は1984年から42年連続となります。さらに、フィンガードラムパッド『FGDP-50/FGDP-30』とハイエンドヘッドホンアンプ『HA-L7A』がドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2025」を受賞し、当社の同賞受賞は2011年から15年連続、累計35件となりました。電子ピアノ『TORCH T01』は、ドイツの国際的なデザイン賞「iFデザインアワード2026」も受賞しており、当社の同賞累計受賞数は28件となりました。フィンガードラムパッド『FGDP-50/FGDP-30』は「アジアデザイン賞2025」において銅賞を受賞し、国内外で通算3度目のデザイン賞受賞となりました。音楽制作分野では、ミュージックシンセサイザー『MONTAGE M』のマニュアルが「ジャパンマニュアルアワード2025」で最高評価「マニュアル オブ ザ イヤー」を受賞しました。ヤマハとして初の受賞となります。
これらの取り組みにより、当社は楽器そのものの完成度を高めるとともに、演奏者の感性に寄り添った新たな音楽体験の創出を進めています。
(2) 音響機器事業
音響機器事業においては、高度なデジタル信号処理技術とネットワーク技術を核に、プロフェッショナルな現場から家庭での視聴環境までを視野に入れた音響システムの高度化と、音響体験の質的向上に取り組みました。
設備音響分野においては、フリーコンフィグレーション型シグナルプロセッサー『DME5』『DME3』、クラスDアンプを搭載したパワーアンプリファイアー『XMS』シリーズ、ウォールマウントコントローラー『MCP2』、タッチパネルコントローラー『TCD10』を新たに投入しました。あわせて、統合プラットフォームソフトウェア『ProVisionaire』シリーズをバージョン3.0へアップデートし、複数のヤマハ製音響機器を統合的に構築・管理するエコシステムを整備することで、複雑化する音響システムの設計性および運用性の向上を図りました。
遠隔会議向けワンストップサウンドソリューション『ADECIA』については、ファームウェアV3.0の提供を通じて機能を拡充しました。ヤマハ独自の「ボイスリフト」技術を活用した自動音声最適化機能や、AIノイズリダクション機能の強化、最大64本のワイヤレスマイクへの対応、SNMPやIEEE 802.1X認証への対応による遠隔管理機能の向上などにより、会議室や教育現場における快適な音声環境の構築と運用負荷の軽減を両立しています。
音響信号処理技術を活用した取り組みとしては、イヤホン・ヘッドホン向け仮想立体音響ソリューション『Sound xR Core』が、大型ゲームタイトルに採用されました。立体音響総合技術『ViReal』で培った頭部音響伝達関数(HRTF)技術を継承し、通常のイヤホンやヘッドホンで360度全方位の音像定位を可能とすることで、コンテンツへの没入感向上に寄与しています。
コンシューマー向け分野では、ホームシアター・オーディオ製品の展開を進めました。サウンドバー『SR-X90A』は、独自のビームスピーカー技術や『SURROUND:AI』を採用し、Dolby Atmos®などの立体音響フォーマットに対応するとともに、新技術『SYMMETRICAL FLARE PORT』の採用により、広がりのある音場再生と低音表現の両立を実現しました。
また、ヘッドホン分野では、開放型『YH-4000』と密閉型『YH-C3000』の2モデルを発売しました。いずれも独自ドライバー技術や木製ハウジングの採用、国内自社工場での生産体制などにより、音の再現性と製品品質の向上を図っています。加えて、ワイヤレスBluetooth®ヘッドホン『YH-L500A』では、ヤマハの音場創生技術を応用した「サウンドフィールド」機能を搭載し、映像コンテンツ視聴時における立体的で臨場感のある音場表現を実現しました。
さらに音楽制作分野では、Steinberg Media Technologies GmbHが、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェア『Cubase 15』を開発しました。今回の最新バージョンでは、パターンエディターへの新モード追加やエクスプレッションマップの刷新など、より細かな作業を効率的に進めるための機能強化が図られています。また、歌声合成のVSTインストゥルメント『Omnivocal Beta』も標準搭載し、直感的な操作で歌声をディレクションすることが可能となりました。
これらの取り組みを通じて、音響機器事業は、プロフェッショナルな現場における音響システムの完成度向上と、家庭における音響体験の質的向上の双方に貢献しました。
なお、音響機器事業分野の取組においても、さまざまな社外機関より高い評価を受けました。音場支援システム『AFC Enhance』は、空間の響きを電気音響的に制御する技術が評価され、「令和7年度全国発明表彰」において「発明賞」を受賞しました。また、ネットワーク機器分野においては、「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2025-2026」ネットワーク機器部門で2年連続第1位を獲得するとともに、「日経コンピュータ パートナー満足度調査 2026」ネットワーク機器部門においても4年連続で第1位を獲得しました。
(3) その他の事業
「沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―」においては、琉球大学、沖縄県立芸術大学ほかと連携し、木材の音響学的分析や三線の振動挙動の可視化など、当社が長年蓄積してきた楽器・感性研究の技術・知見・実験施設を活用した研究活動を推進しました。
また、ヤマハファインテック株式会社は、空中超音波式アレイセンサーと独自の音響信号処理技術を組み合わせた超音波式ヒートシール検査機『ULTRASONICA UE-02』を展開しています。本製品は、包装シール部の内部不良を非破壊・非接触で全数検査することを可能にしたもので、シワや噛み込みなどのシール不良検出に加え、弱溶着の予兆管理にも対応しています。従来の赤外線センサー、外観検査カメラ、X線などの方式では困難とされてきたシール部の不良検出を可能にし、食品・医薬品・化学製品など幅広い業界におけるシール工程の品質管理・省人化という社会課題の解決に寄与するものです。
なお、超音波式ヒートシール検査機『ULTRASONICA UE-02』は「JAPAN PACK AWARDS 2025」包装関連装置・機器カテゴリーにおいて最優秀賞を受賞し、「沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―」は公益社団法人企業メセナ協議会による「This is MECENAT 2025」に認定されました。
第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当連結会計年度の設備投資については、設備の更新改修を中心に総額で14,390百万円の投資を実施しました。セグメントごとの内訳は、以下のとおりであります。
(注)有形固定資産及び使用権資産の支出を伴う増加額を設備投資額としております。
なお、当連結会計年度における有形固定資産、無形資産及び使用権資産の増加額は21,902百万円であります。
2 【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
(1) 提出会社
(2026年3月31日現在)
(2) 国内子会社
(2026年3月31日現在)
(3) 在外子会社
(2026年3月31日現在)
(注) 1 帳簿価額は、建設仮勘定を除いた残高であります。
2 有形固定資産のその他は、構築物、車両運搬具、工具、器具及び備品であります。
3 【設備の新設、除却等の計画】
当社グループにおいて2027年3月期に計画しているセグメントごとの設備投資の新設、拡充の概要は次のとおりであります。
(注) 1 上記計画に伴う今後の所要資金16,000百万円は、主として、自己資金で賄う予定であります。
2 上記以外に経常的な設備の更新のための売廃却を除き、重要な売廃却はありません。
第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
② 【発行済株式】
(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
該当事項はありません。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
(注) 1 発行済株式総数の減少は、自己株式の消却によるものであります。
2 発行済株式総数の増加は、株式分割(普通株式1株につき3株の割合)によるものであります。
(5) 【所有者別状況】
(2026年3月31日現在)
(注) 自己株式23,103,044株は、「個人その他」に231,030単元、「単元未満株式の状況」に44株含まれております。
(6) 【大株主の状況】
(2026年3月31日現在)
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
2 上記のほか当社所有の自己株式23,103千株があります。
3 2024年8月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、野村證券株式会社及びその共同保有者3社が2024年8月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2026年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。当社は2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、下記の所有株式数につきましては株式分割前の株式数を記載しております。
4 2025年5月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、ブラックロック・ジャパン株式会社及びその共同保有者7社が2025年5月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2026年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
5 2025年9月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、三井住友信託銀行株式会社及びその共同保有者2社が2025年9月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2026年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができない部分については、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
(2026年3月31日現在)
② 【自己株式等】
(2026年3月31日現在)
2 【自己株式の取得等の状況】
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
会社法第155条第3号による取得
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
会社法第155条第7号による取得
(注) 当期間における取得自己株式には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。
会社法第155条第13号による取得
(注) 譲渡制限付株式報酬として割り当てた普通株式の一部を無償取得したものです。
(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注) 当期間における保有自己株式には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。
3 【配当政策】
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)の向上を念頭において、中期的な連結利益水準をベースに、研究開発・販売投資・設備投資などの成長投資を行うとともに、株主への積極的な還元を行います。株主還元は、継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資の為の適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施してまいります。総還元性向50%以上(中期経営計画期間累計)を目標といたします。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の配当につきましては、当社普通株式1株につき中間配当金を13円としており、期末配当金は13円を予定しております。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注)1 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、上記のとおりであります。
2 期末配当に関する配当金の総額5,718百万円及び1株当たり配当額13円については、2026年6月29日開催予定の定時株主総会の決議事項となっております。

4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① 企業統治の体制
(イ) 当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループは、世界中の全ての人々がこころ豊かに暮らす社会を目指します。その実現のために、企業理念である「ヤマハフィロソフィー」及び、全ての関係者に対する「ステークホルダーへの約束」を掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組むとともに、以下に掲げる「コーポレートガバナンス基本方針」のもと、経営上の機関設計、組織体制や仕組みを整備し、諸施策を実施するとともに適切な開示をとおして、透明で質の高い経営を実現します。
(コーポレートガバナンス基本方針)
◆株主の視点に立ち、株主の権利・平等性を確保する
◆全てのステークホルダーとの関係に配慮し、企業の社会的責任を積極的に果たす
◆適切な情報開示を行い、透明な経営を確保する
◆監督と執行の分離、監督機能の強化により、取締役会の高い実効性を確保するとともに適正かつスピード感
のある執行を実現する
◆株主との積極的な対話を行う
(ヤマハが目指すもの)
世界中の人々のこころ豊かなくらし
(ヤマハフィロソフィー)
◆企業理念 感動を・ともに・創る
私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と
豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます
◆顧客体験 ※1 愉しさ/美しさ/確信/発見
◆ヤマハクオリティー ※2 卓越/本質/革新
◆ヤマハウェイ ※3 志を抱く/誠実に取り組む/自らが動く/枠を超える/やり切る
※1 顧客体験とは、企業理念をお客様の視点から具体的に示したものであり、お客様がヤマハの製品・サー
ビスを手にし、使用された時に、心と五感で感じていただくことができる体験を分類し明示したもの
※2 ヤマハクオリティーとは、企業理念を具現化するために、製品・サービスに込めたこだわりや、モノづく
りに対する基本的な考え方を"指針"として示したもの
※3 ヤマハウェイとは、ヤマハグループで働く全ての従業員が、企業理念を具現化する為に、日々、何を意識
し、どのように行動すべきかを"指針"として示したもの
(ステークホルダーへの約束)
◆顧客主義・高品質主義に立った経営(お客様に対して)
お客様のこころ豊かなくらしのために、先進と伝統の技術、そして豊かな感性と創造性で、優れた品質の
価値ある商品・サービスを提供し続けます。
◆人重視の経営(ともに働く人々に対して)
ヤマハにかかわりを持って働く全ての人々の健康・安全を第一に考え、また、一人ひとりの個性や創造性
を尊重し、業務を通じて皆が挑戦し、自己実現できる企業風土を目指します。
◆相互理解と信頼関係に基づく経営(お取引先に対して)
販売店やサプライヤー等、全てのお取引先との間で、相互理解と信頼関係を大切にし、健全な取引関係を
構築します。
◆社会・文化の発展に貢献する経営(地域・社会に対して)
高い倫理性を持って法律を遵守するとともに、良き企業市民として、また、様々な社会課題に対し、自ら
が持つ技術と知恵を結集しヤマハらしい取組みを行うことで、社会・文化の発展に貢献します。
◆地球環境に配慮した経営(地球に対して)
CO2の削減や木材をはじめとする資源の保護、有効利用に積極的に取組み、かけがえのない地球環境を未
来に引き継ぐために企業としての使命を果たします。
◆健全かつ透明な経営(株主に対して)
健全な業績を確保し適正な成果の還元を継続するとともに、透明で質の高い経営による永続的な発展を図
ります。
(ロ) 企業統治の体制の概要とその体制を採用する理由
(a) 現状の体制を採用している理由
当社は、更なるコーポレートガバナンス強化のため、2017年6月、指名委員会等設置会社に移行しました。この体制が、経営における監督と執行の分離を一層明確にし、取締役会による監督機能の強化と執行のスピードアップを図るために最適であると考えております。
<監督機能の強化>
取締役会の構成において、他業界の経営者など、様々な経歴や専門性をもつ社外取締役を4分の3とするとともに、社外取締役が過半数を占める法定の指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を設けることにより、より透明性、客観性の高い監督機能を発揮いたします。
なお、監査委員会では、内部監査部門との連携を図りながら、適法性監査及び妥当性監査を実施することにより、監査を通じた監督機能を強化いたします。
<執行のスピードアップ>
会社法上の正式な機関であり、株主に対して直接責任を負う執行役を設け、取締役会から執行役へ大幅に権限委譲を行い、執行役が執行に関わる重要な意思決定機能を担うことにより、執行の一層のスピードアップを図ります。
これら監督機能の強化と執行のスピードアップにより、更なるコーポレートガバナンスの強化を図り、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(b) 現状の体制の概要
(取締役・取締役会)
当社の取締役は、2026年6月25日現在で8名(うち、社外取締役6名)であります。取締役会は、取締役である中田卓也を議長とし、原則として毎月1回開催されております。構成員の氏名等については「(2)役員の状況」に記載しております。取締役会は、受託者責任を踏まえ、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促しております。執行役及び取締役の職務執行を監督するとともに経営の基本方針等、法令・定款及び取締役会規則で定められた重要事項の決定を行っております。また最高経営責任者等の後継者計画の監督、指名・監査・報酬の各委員会の委員及び委員長の選定、執行役・執行役員・監査役員の選任、関連当事者間取引の承認、内部統制システムの構築と運用状況の監督等を通じて、経営全般に対する監督機能を発揮しております。
また、取締役は、受託者責任を踏まえ、全てのステークホルダーとの関係に配慮し、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために行動しております。取締役は、関連する法令、当社の定款等を理解し、十分な情報収集を行い、取締役会等において積極的に意見を表明し、建設的な議論を行っております。
独立社外取締役は、独立した立場を踏まえ、経営の監督機能、助言機能、利益相反の監督機能を果たし、ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させております。
なお、当社は、業務執行を行わない取締役との間で、会社法第427条第1項の規定に基づく当社定款第26条第2項の定めにより、損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当事業年度は、取締役会を計13回開催いたしました。
(指名委員会)
指名委員会は、社外取締役である篠原弘道を委員長とし、2026年6月25日現在で4名(うち、社外取締役3名)から構成されています。構成員の氏名等については「(2)役員の状況」に記載しております。指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容、及び取締役会に提出する執行役、執行役員、監査役員の選解任に関する議案の内容等を決定します。また、取締役、執行役、執行役員、監査役員等の人材開発を通じて最高経営責任者等の後継者計画を実行します。当事業年度は、指名委員会を計4回開催いたしました。
(監査委員会)
監査委員会は、社外取締役である野上宰門を委員長とし、2026年6月25日現在で3名(うち、社外取締役3名)から構成されています。構成員の氏名等については「(2)役員の状況」に記載しております。監査委員会は、当社及びグループ企業における内部統制システムの構築及び運用の状況等について、内部監査部門との連携を通じて又は直接に監査を行い、その結果を踏まえ、執行役及び取締役の職務の執行について適法性及び妥当性の監査を実施しております。
監査委員は、必要があると認めたとき、取締役会に対する報告若しくは意見表明、又は執行役若しくは取締役に対する行為の差止め等を実施します。また、会計監査人の選解任等に関する株主総会提出議案を決定しております。当事業年度は、監査委員会を計17回開催いたしました。
(報酬委員会)
報酬委員会は、社外取締役であるポール・キャンドランドを委員長とし、2026年6月25日現在で3名(うち、社外取締役3名)から構成されています。構成員の氏名等については「(2)役員の状況」に記載しております。報酬委員会は、取締役、執行役、執行役員及び監査役員の報酬の決定に関する方針を制定し、当該方針に基づき個人別の報酬を決定します。当事業年度は、報酬委員会を計4回開催いたしました。
(代表執行役)
当社の代表執行役は、2026年6月25日現在で1名(代表執行役社長)であります。代表執行役社長は会社業務の最高責任者として会社を代表し、取締役会の定める基本方針に基づき会社業務を統括します。
(執行役)
当社の執行役は、2026年6月25日現在で8名(うち、代表執行役社長1名、常務執行役1名)であります。執行役は、業務執行を担う機関として、全社的な視点を持ち、取締役会から委任を受けた業務執行に関わる重要な決定を行うとともに取締役会の監督の下、業務を執行します。
(経営会議)
当社は、代表執行役社長の諮問機関として執行役を構成員とする経営会議を設置し、原則として月2回開催し、経営に関する重要な事項を審議します。
(全社委員会)
当社は、全社委員会を代表執行役社長の諮問機関として、全社横断的かつ経営レベルで継続的に検討・取り組みが必要なテーマに関し、その方針を審議し、代表執行役社長に答申しております。
(リスクマネジメント委員会)
当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。
(BCP・災害対策部会)
当社は、リスクマネジメント委員会の下部組織としてBCP・災害対策部会を設置しております。同部会では商品・サービスの継続供給を通じた企業としての社会的責任の遂行や東海地震対策に関する活動方針の策定、モニタリングを実施しております。
(財務管理部会)
当社は、リスクマネジメント委員会の下部組織として財務管理部会を設置しております。同部会では財務報告の信頼性の確保、会社財産の適切な保全、および税務リスクの低減のための体制整備や活動推進、モニタリングを実施しております。
(コンプライアンス部会)
当社は、リスクマネジメント委員会の下部組織としてコンプライアンス部会を設置しております。同部会ではコンプライアンス活動の企画推進やモニタリングを実施しております。
(輸出審査部会)
当社は、リスクマネジメント委員会の下部組織として輸出審査部会を設置しております。同部会では輸出管理の全社方針の審議・決定やグループの輸出管理適正化の推進を実施しております。
(情報セキュリティ部会)
当社は、リスクマネジメント委員会の下部組織として情報セキュリティ部会を設置しております。同部会では個人情報に関わる情報セキュリティの把握や、脆弱性の特定、指導、および情報管理についての方針や管理レベル向上のための活動方針の決定を実施しております。
(サステナビリティ委員会)
当社は、代表執行役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ推進に関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。
(気候変動部会)
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として気候変動部会を設置しております。同部会では脱炭素、TCFD対応、水リスク対応等、気候変動に関する全社の取り組みを推進するための体制整備、企画・活動推進、モニタリングを実施しております。
(資源循環部会)
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として資源循環部会を設置しております。同部会では循環型バリューチェーン、環境配慮設計、包装梱包等、資源循環に関する全社の取り組みを推進するための体制整備、企画・活動推進、モニタリングを実施しております。
(調達部会)
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として調達部会を設置しております。同部会では木材デューディリジェンス、認証製品化、おとの森、サプライチェーン人権デューディリジェンス、紛争鉱物対応等調達に関する全社の取り組みを推進するための体制整備、企画・活動推進、モニタリングを実施しております。
(人権・DE&I部会)
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として人権・DE&I部会を設置しております。同部会では人権デューディリジェンス、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン等、人権・DE&Iに関する全社の取り組みを推進するための体制整備、企画・活動推進、モニタリングを実施しております。
(社会・文化貢献部会)
当社は、サステナビリティ委員会の下部組織として社会・文化貢献部会を設置しております。同部会では音楽普及、地域共生等、社会・文化貢献に関する全社の取り組みを推進するための体制整備、企画・活動推進、モニタリングを実施しております。
(ブランド戦略委員会)
当社は、代表執行役社長の諮問機関としてブランド戦略委員会を設置しております。戦略的なブランド価値向上に関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。
(人材開発委員会)
当社は、代表執行役社長の諮問機関として人材開発委員会を設置しております。経営人材の開発に関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。
(女性活躍推進部会)
当社は、人材開発委員会の下部組織として女性活躍推進部会を設置しております。同部会では女性リーダーの戦略的・集中的・継続的な育成・創出により、経営層・管理層における多様性をたかめ、企業価値の向上を図るための取り組みを企画・推進しております。
(執行役員)
当社の執行役員は、2026年6月25日現在で4名であります。執行役員は、取締役会または執行役が行った業務執行に関わる重要な決定に基づき、執行役の監督の下、全社的な視点をもちつつ、担当業務を執行します。
(監査役員)
当社の監査役員は、2026年6月25日現在で2名であります。監査役員は、執行役員と同格の経営陣メンバーとしてヤマハグループの監査を担います。
(内部監査)
当社は、代表執行役社長に直結する内部監査部(スタッフ数は2026年6月25日現在で18名)を設置し、当社及びグループ企業における経営諸活動の全般にわたる管理・運営の制度及び業務の遂行状況を適法性、有効性、効率性の観点から検討・評価し、その結果に基づく情報の提供並びに改善への助言・提案等を行っております。
内部監査を統括する監査役員を置き、内部監査機能の向上を図っております。また、取締役会が決議する監査委員会監査の実効性を確保するための方針に基づき、監査委員会と密接な連携体制を構築するとともに会計監査人との連絡・調整を密に行うことにより、監査効率の向上に努めております。
取締役会に対しては、監査委員会への報告とは別に、年2回、重点テーマの進捗について直接報告を行っております。また、取締役に対しては、すべての内部監査報告書をオンラインのデータベースで共有しております。
(会計監査人)
当社は、会計監査人にEY新日本有限責任監査法人を選任しており、同監査法人に属する公認会計士市川亮悟氏、角田大輔氏及び鎌田善之氏が当社の2026年3月期に係る会計監査を行っております。同監査法人は自主的に業務執行社員の交替制度を導入しており、継続監査年数が一定期間を超えないよう措置をとっております。なお、公認会計士6名及びその他45名が監査業務の補助をしております。
(c) 会社の機関の内容及び内部統制システムを示す図表
当社の2026年6月25日現在のコーポレート・ガバナンス体制及び内部統制体制の模式図は次のとおりであります。

(d) 取締役会、指名委員会、報酬委員会の開催状況及び出席状況
当事業年度における取締役会、指名委員会、報酬委員会の開催状況及び個々の取締役の出席状況は以下のとおりであります。
(注)1 2025年6月20日に報酬委員を退任しております。
2 2025年6月20日に退任しております。
3 2025年6月20日に就任しております。
(ハ) 企業統治に関する事項-内部統制システムの整備状況、リスク管理体制の整備状況
当社は、会社法及び会社法施行規則に基づき、次のとおり当社の業務の適正を確保するための体制(以下、内部統制システム)を整備し、効率的な事業活動、報告の信頼性、法令遵守の徹底、財産の保全及びリスクマネジメントの強化を図っております。
(a) 執行役、執行役員、監査役員及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
1) 当社の理念体系を表す「ヤマハフィロソフィー」を定め、執行役、執行役員、監査役員及びグループの全従業員はこれを共有・実践しております。
2) 取締役会は、経営の基本方針等法令、定款及び取締役会規則に定めた重要事項の決定を行うとともに、業務執行に関わる重要な決定を執行役に委譲し、その報告すべき内容を取締役会規則で定め、その手続きと決議の合理性を要求します。執行役は、職務執行の状況を取締役会に定期的に報告し、取締役会は執行役の職務執行を監督しております。
3) 監査委員会は、執行役及び取締役の職務執行状況を監査基準、監査計画に基づき監査しております。
4)コンプライアンスに係る会議体を設置して、「コンプライアンス行動規準」の制定、規定・マニュアルの整備を行い、コンプライアンス教育の徹底を図っております。
5) コンプライアンスの実効性を高めるため、グループ全体を対象とした内部通報制度を設けております。
6) 反社会的勢力排除の基本方針を明言し、反社会的勢力からの不当要求に対する断固拒否と、不当要求を生む温床となる不祥事等の隠蔽排除の姿勢を明確にし、その徹底を図っております。
(b) 執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理等に関する体制
執行役は、その職務の執行に係る文書その他の情報につき、法令及び社内規程に則り、適切に保存及び管理を行っております。
(c) 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
1) 業務上の重要リスクについて、代表執行役社長の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」において、リスクの網羅的な把握を行うとともに、グループ全体のリスク管理方針の策定を行っております。
2) リスクの内容に応じて担当部門を定め、規程・マニュアルの整備及びグループ全体に対する指導・助言を行っております。
3)内部監査部門の内部監査をとおして、リスク情報の収集と適切な対応を行っております。
(d) 執行役の職務執行が効率的に行われることを確保するための体制
1) 組織規程、権限規程その他の業務執行に係る規程を整備し、執行役の権限と責任、適切な権限委譲、当社各部門・子会社のミッション、指揮命令系統を明確にして業務執行スピードの向上と経営の効率性を高めております。
2) 代表執行役社長の諮問機関として「経営会議」を設け、業務執行に関わる重要な決定等について検討を行い代表執行役社長に答申しております。
3) グループ全体の目標値の設定及び業績評価を行うため、迅速な経営判断、リスク管理を可能とする経営管理システムを構築しております。
(e) 当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
1) グループ経営の基本方針を定めた「グループマネジメント憲章」及び内部統制の方針を定めた「グループ内部統制規程」に基づき、グループ全体における内部統制体制を構築しております。
2) 当社及び子会社は、取締役会規則、経営会議規則、権限規程その他の業務執行に係る規程を整備し、取締役等の権限の明確化、指揮命令系統の明確化を図っております。
3) 子会社は、経営状況他グループ経営に影響を及ぼす一定の重要事項の決定について、事前に当社の承認を得るとともに、一定の事項を当社に対し報告しております。
4) グループ全体を対象にリスク管理体制を敷くとともに、コンプライアンス教育を実施しております。
(f) 監査委員会の職務を補助すべき従業員等に関する事項
監査委員会の職務を補助する専任の組織として監査委員会直轄の監査委員会室を設置しております。
(g) 監査委員会の職務を補助すべき従業員等の執行役からの独立性に関する事項及び当該従業員等に対する指示の実効性の確保に関する事項
監査委員会室スタッフの人事評価、人事異動、懲戒処分等については、監査委員会の同意を必要とし、執行役その他業務執行者からの独立性を確保しております。
(h) 監査委員会への報告に関する体制
1) 監査委員は、経営会議等の重要会議に出席し、意見を述べることができます。
2) 監査委員会室長は、監査委員会からの指示を受け、経営会議等の重要会議に出席し、意見を述べる体制となっております。
3) 監査委員会室長は、決裁書他の重要書類を閲覧し、必要に応じて執行役、執行役員、監査役員及び従業員に対して説明・報告を求めたうえでその内容を監査委員会に報告する体制となっております。
4)下記の部門は、グループ全体を対象として、法令に定められた事項のほか、監査委員会の要請に応じ、定期的に報告しております。
・内部監査部門による内部監査の結果
・法務担当部門によるコンプライアンス遵守状況報告並びに内部通報制度の運用及び通報状況
・その他のスタッフ部門によるコンプライアンス遵守状況、内部統制の活動状況
5)当社の部門及び子会社は、業務及び業績に影響がある重要な事項を当社の執行役、執行役員、監査役員及び従業員をとおして、または直接、監査委員会もしくは監査委員会室長に報告しております。
(i) 当社及び子会社の取締役、執行役、執行役員、監査役員及び従業員が監査委員会に報告したことを理由として不利益な取扱いを受けないことを確保するための体制
当社は、監査委員会に対し内部通報等を行った報告者の秘密が厳守され、報告者に対し不当な処分がなされないための仕組みを整備しております。
(j) 監査委員の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社は、監査委員会の監査計画に基づく監査業務に係る費用を負担し、監査計画外に発生する監査業務に係る費用については監査委員の請求により支払っております。
(ニ) 企業統治に関するその他の事項
(a) 責任限定契約の内容の概要
当社は、業務執行を行わない取締役との間で、会社法第427条第1項の規定に基づく当社定款第26条第2項の定めにより、損害賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は法令で定める最低限度額となります。
(b) 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社の取締役、執行役、執行役員及び監査役員並びに当社の子会社の取締役、監査役(以下、「役員等」という。)を被保険者とする役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。保険料は全額当社が負担しており、役員等がその職務の執行に起因して保険期間中に損害賠償請求がなされた場合の損害賠償金及び争訟費用等が当該保険にて補填されます。なお被保険者の故意等による損害は保険の対象外となる旨の免責事由を設けております。
(ホ) 監査委員会、会計監査人、内部監査部門の連携状況
(a) 監査委員会の実効性の確保
監査委員会の職務を補助する専任の組織として監査委員会直轄の監査委員会室を設置しております。監査委員会は、監査委員会室長に、重要会議等への出席及び意見陳述その他社内の情報収集及び調査を指示しております。監査委員会室スタッフの人事評価、人事異動、懲戒処分等については、監査委員会の同意を必要とし、執行役その他業務執行者からの独立性を確保しております。
なお、監査委員会が必要と認める場合には、監査業務について外部専門家による支援を確保しております。
また、代表執行役社長は、内部統制システムの整備、運用状況等について、監査委員会と定期的な意見交換の場を持ち、その恒常的な改善を推進しております。
(b) 会計監査人及び内部監査部門との連携
監査委員会は、執行役及び取締役の職務執行の監査に必要な事項に関し、会計監査人並びに内部監査部門と連携し情報を共有する等、十分かつ適正な監査を行うことができる体制を確保し、監査の質の向上と効率的な監査の実現に努めております。
内部監査部門は、自らの監査の結果について定期かつ随時に監査委員会に報告するとともに、監査委員会の求めがあるときはいつでも報告しなければならないとしております。
監査委員会は、内部監査部門に対して必要に応じ監査に関する指示をすることができるものとしております。監査委員会が内部監査部門に対して指示した事項が、代表執行役社長からの指示と相反する場合は、監査委員会の指示を優先することを規定しております。内部監査部長の人事異動について、事前に監査委員会の意見聴取を行うこととしております。
内部監査部長は、監査委員会に出席し、年間で、内部監査報告を11回、財務報告に係る内部統制の評価結果報告を3回、国内子会社決算監査報告を2回行っております。また、毎期11月から3月にかけて、来期の内部監査計画について協議し、監査委員会の指示を盛り込んだ内容にしております。
監査委員は、現場の把握感向上や内部監査の妥当性の確認を目的として、内部監査への同行も行っております。当事業年度の同行実績としては、監査委員3名で12拠点(国内6拠点、海外6拠点)となっております。会計監査人とは監査報告会・期中レビュー報告会のほかに監査計画会、意見交換会を行っております。
② 定款規定の内容
(イ) 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨を定款で定めております。
(ロ) 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めております。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨も定款で定めております。
(ハ) 株主総会決議事項を取締役会で決議することができる事項
(a) 自己の株式の取得
当社は、自己の株式の取得について、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって自己の株式を取得することができる旨を定款で定めております。
(b) 中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款で定めております。
(ニ) 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会特別決議の定足数を緩和することにより株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
(2) 【役員の状況】
有価証券報告書提出日現在の当社の役員の状況は、以下のとおりです。
男性13名 女性2名 (役員のうち女性の比率13%)
① 取締役の状況
(注) 1 取締役のうちポール・キャンドランド、篠原弘道、吉澤尚子、江幡奈歩、伊藤秀二、野上宰門は、社外取締役であります。江幡奈歩の戸籍上の氏名は貴田奈歩です。
2 取締役の任期は、2025年3月期に係る定時株主総会終結の時から2026年3月期に係る定時株主総会終結の時までであります。
3 当社は指名委員会等設置会社であり、「指名委員会」「監査委員会」「報酬委員会」の3つの委員会を設置しております。
② 執行役の状況
(注) 執行役の任期は、2026年4月1日から2027年3月31日までであります。
③ 社外取締役に関する事項
(イ) 社外取締役を選任するための提出会社からの独立性に関する基準
会社法及び東京証券取引所の独立性に関する要件に加え、当社独自の独立性基準を定めております。
当社における独立役員の独立性基準は、以下の通りです。
(a) 当社は、次の各号に該当する者を原則として独立役員に指定しない。また、独立役員に指定した後、次の各号に該当する者となった場合、独立役員の指定を解除する。
(ⅰ) 会社法で定める社外取締役の資格要件を満たさない者
(ⅱ) 当社グループを主要な取引先とする者もしくはその業務執行者または当社グループの主要な取引先もしくはその業務執行者
「主要な取引先」とは、年間取引総額が、直近過去3年間のいずれかの事業年度において、当社グループが、当該取引先グループから対価を受け取る場合は当社の連結売上高の2%を超え、当該取引先グループに対価の支払いをする場合は当該取引先の連結売上高の2%を超える取引先グループ並びに取引銀行上位5行をいう。
(ⅲ) 当社の主要株主である者もしくはその業務執行者、あるいは当社が主要株主となる会社の取締役または監査役
「主要株主」とは、発行済株式総数の10%を超えて株式・持分を保有する者をいう。
(ⅳ) 当社グループとの間で、取締役・監査役の相互派遣の関係にある者
(ⅴ) 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。)
「多額の金銭その他の財産」とは、当社グループの支払額(非金銭対価の場合は、支払時の時価評価額)が、直近過去3年間のいずれかの事業年度において1千万円を超える支払のある場合をいう。
(ⅵ) 次のA) ~C)のいずれかに該当する者の近親者(※二親等以内の親族)
A) (ⅱ)~(ⅳ)に掲げる者
B) 当社またはその子会社の業務執行者
C) 取締役に選任された直近の株主総会終結時において前B) に該当していた者
(b) (ⅱ)~(ⅵ)に該当する場合であっても、実質的に、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと明らかに判断できる場合には、その理由を付して独立役員に指定し、あるいは指定の解除をしないことができる。
(ロ) 社外取締役の選任状況に関する提出会社の考え方
社外取締役 ポール・キャンドランド
グローバルエンターテインメント企業のアジア地区及び日本法人の責任者として経営に携わる等、経営者としての豊富な経験と実績並びに幅広い見識とともに、ブランド、マーケティングに関する幅広い知見を有しております。2019年6月の当社社外取締役就任後は、経営者としての豊富な実績・見識等に基づき、実効性の高い監督とともに経営の大きな方向性の決定や執行の迅速果断な意思決定の後押しを行ってきました。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
社外取締役 篠原 弘道
日本を代表するグローバル通信・ICT企業において代表取締役として経営に携わる等、経営者としての豊富な経験と実績並びに幅広い見識とともに通信システム、エレクトロニクス等に関する幅広く深い知見を有しております。2021年6月の当社社外取締役就任後は、経営者としての豊富な実績・見識等に基づき、実効性の高い監督とともに経営の大きな方向性の決定や執行の迅速果断な意思決定の後押しを行ってきました。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
社外取締役 吉澤 尚子
日本を代表するグローバルエレクトロニクス・ICT企業において執行役員や海外グループ企業のCEOとして経営に携わる等、経営者としての豊富な経験と実績並びに幅広い見識とともに、デジタル、AI技術等に関する高い専門性を有しております。2021年6月の当社社外取締役就任後は、経営者としての豊富な実績・見識等に基づき、実効性の高い監督とともに経営の大きな方向性の決定や執行の迅速果断な意思決定の後押しを行ってきました。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
社外取締役 江幡 奈歩
弁護士として国内及び海外の企業法務や企業統治、また知的財産分野に精通する等、高い専門性や豊富な経験と実績並びに幅広い見識を有しております。2023年6月の当社社外取締役就任後は、高い専門性と豊富な実績・見識等に基づき、実効性の高い監督とともに経営の大きな方向性の決定や執行の迅速果断な意思決定の後押しを行ってきました。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
社外取締役 伊藤 秀二
日本を代表する菓子・食品メーカーにおいて代表取締役社長・CEOとして経営に携わる等、経営者としての豊富な経験と実績並びに幅広い見識とともに、マーケティングに関する深い知見を有しております。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
社外取締役 野上 宰門
日本を代表するグローバル産業機械メーカーにおいて代表執行役として経営に携わる等、経営者としての豊富な経験と実績並びに幅広い見識とともに、経営企画、財務に関する深い知見を有しております。これらの実績・見識等より取締役会の更なる監督機能の強化を期待できることから選任しております。
(ハ) 当社との人的関係、資本的関係または取引関係その他の利害関係
社外取締役のポール・キャンドランドは、当社との特別な利害関係はありません。
社外取締役の篠原弘道は、株式会社みずほフィナンシャルグループの社外取締役を兼務し、同社の子会社である株式会社みずほ銀行は、当社の取引金融機関であります。
社外取締役の吉澤尚子は、当社との特別な利害関係はありません。
社外取締役の江幡奈歩は、当社との特別な利害関係はありません。
社外取締役の伊藤秀二は、当社との特別な利害関係はありません。
社外取締役の野上宰門は、当社との特別な利害関係はありません。
(3) 【監査の状況】
① 監査委員会監査の状況
(イ)組織・人員・手続き
監査委員会は、2026年6月25日現在で3名(非常勤の社外取締役3名。「(2)役員の状況」参照。)であります。監査委員である野上宰門は日本を代表するグローバル産業機械メーカーにおいてCFOを務めた経験を有し、財務及び会計に関する十分な知見を有しております。
また、監査委員会の職務を補助する専任の組織として監査委員会直結の監査委員会室(専任者2名、うち1名は監査役員)を設置しております。さらに、当社は、常勤監査委員を選定しておりませんが、監査を担当する役員である監査役員2名を通じて、必要な情報を入手し、実効性のある監査を実施しております。
監査委員会は、当社及びグループ企業における内部統制システムの構築及び運用の状況等について、内部監査部門との連携を通じて又は直接に監査を行い、その結果を踏まえ、執行役及び取締役の職務の執行について適法性及び妥当性の監査を実施しております。
(ロ)監査委員会の活動状況
監査委員会は、当事業年度の重点監査項目として「中期計画・予算の達成状況」「事業環境の変化」「災害・大規模事故」「サイバー攻撃」「グループ統制」「コンプライアンス」「人材・労務」「商品・サービスの品質」を、また重点取組課題として「監査・モニタリングの体系化」を掲げ、これらを含む監査計画を遂行するため、監査委員並びに監査委員会は主に以下の活動を実施しました。実施頻度等については下表を参照ください。
(a) 代表執行役インタビュー、意見交換
代表執行役に対し監査計画及び監査での気付き事項を報告するとともに、業務執行における重要な課題及び内部統制システムの整備・運用状況についてインタビューを行いました。また、監査環境整備及び重点監査項目に関連した意見交換を行いました。
(b) 執行役インタビュー
執行役(計6名)に対し、業務執行における重要な課題及び内部統制システムの整備・運用状況についてインタビューを行いました。
(c) 監査委員会室からの報告聴取
監査委員会の指示により、監査役員である監査委員会室長が重要会議への出席、重要な決裁書類等の閲覧、経理部門による会計監査人業務評価結果の報告聴取、その他スタッフ部門からの情報収集等を行っております。監査委員会は毎月、監査委員会室長からこれらの報告を受け、内容確認を行いました。
(d) 内部監査部門からの報告聴取
監査委員会は内部監査部門と監査計画を協議し、重点監査項目ほか監査委員会として必要な監査項目を内部監査に組み込んでおります。監査委員会は、監査役員である内部監査部長から、海外を含むすべての内部監査結果(毎月)、財務報告に係る内部統制の評価結果(年3回)等の報告を受け、内容確認を行いました。なお、監査委員会には毎回、内部監査部長を出席させております。
(e) 経理部門等からの報告聴取
経理部門からは、会計監査人からのレビュー報告・監査報告の前に決算説明を受け、内容確認を行いました。また、会計監査人報酬案の報告を受け、内容確認を行いました。その他の部門等からも必要に応じ報告を受けておりますが、当事業年度においては、法務部門から報告を受け、内容確認を行いました。
(f)会計監査人からの報告聴取、意見交換
会計監査人からは、期中レビュー結果、監査結果の報告を受け、内容確認を行いました。また、監査計画会、意見交換会を行い、重点監査項目やKAMについて説明を受け、内容確認を行ったほか、会計監査人評価手続きの一環として提示した要望事項への対応状況について報告を受けました。
(g)会計監査人の評価、再任検討
監査委員会は、経理部門が実施した会計監査人業務評価結果の報告を受け、内容確認を行った上で(上述(c)参照、年2回)、改めて各監査委員がそれぞれ評価を行い、その結果を監査委員会で検討し、再任の妥当性を判断しております。また、会計監査人に対する要望事項を検討し、経理部門と連名で伝えております。
(h)翌年度監査計画検討
監査委員会監査基準に基づき、また近年の環境変化、発生事象を考慮して、重点監査項目ほか翌年度の監査計画の検討を行いました。内部監査部門の監査計画の確認・協議、内部監査部門への依頼事項の伝達を含みます。
(注)1 監査委員は経営会議ほか重要会議の議事録等をリモート環境から閲覧できます。
2 内部監査への同行は、国内6拠点、海外6拠点、計12拠点実施しました。
3 会計監査人往査への同行は、実施しませんでした。
監査委員会は17回開催しており(原則として通常月1回・四半期決算月2回)、個々の監査委員の出席状況は以下のとおりであります。
(注)1 2025年6月20日に退任しております。
2 2025年6月20日に就任しております。
② 内部監査の状況
当社は、代表執行役社長に直結する内部監査部(スタッフ数は2026年6月25日現在で18名)を設置し、当社及びグループ企業における経営諸活動の全般にわたる管理・運営の制度及び業務の遂行状況を適法性、有効性、効率性の観点から検討・評価し、その結果に基づく情報の提供並びに改善への助言・提案等を行っております。また、内部監査を統括する監査役員を置き、内部監査機能の向上を図っております。
内部監査部は、代表執行役社長及び監査委員会に対する直接のレポートラインを保持しており、監査委員会が内部監査部に対して指示した事項が、代表執行役社長からの指示と相反する場合は、監査委員会の指示を優先することを規定しております。また、取締役会に対しては、全ての内部監査報告書をオンラインで提出し、監査委員会への報告とは別に、年2回、重点テーマの進捗について直接報告を行っております。
なお、内部監査、監査委員会監査及び会計監査の相互連携については、「(1) コーポレート・ガバナンスの概要 ① 企業統治の体制 (ホ) 監査委員会、会計監査人、内部監査部門の連携状況」を参照ください。
③ 会計監査の状況
(イ) 監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
(ロ) 継続監査期間
56年間
上記継続監査期間は、当社において調査可能な範囲での期間であり、実際の継続監査期間は上記期間を超えている可能性があります。
なお、同監査法人は自主的に業務執行社員の交替制度を導入しており、継続監査年数が一定期間を超えないよう措置をとっております。業務執行社員は原則として連続して7会計期間を超えて監査業務に関与していません。また、筆頭業務執行社員については連続して5会計期間を超えて監査業務に関与していません。
(ハ) 業務を執行した公認会計士
市川 亮悟氏
角田 大輔氏
鎌田 善之氏
(二) 監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士6名、その他45名であります。
(ホ) 監査法人の選定方針と理由
当社監査委員会は、以下の監査法人の解任又は不再任の決定の方針に従って検討を行った結果、前事業年度に引き続きEY新日本有限責任監査法人を監査法人として選定しております。
(監査法人の解任又は不再任の決定の方針)
当社監査委員会は、監査法人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当すると認められる場合には、監査委員全員の同意に基づき監査法人を解任いたします。また、監査法人の適格性、専門性、当社からの独立性その他の評価基準に従い総合的に評価し、監査法人の職務の執行に支障があると判断されるなど監査法人の変更が必要であると認められる場合には、株主総会に提出する監査法人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定いたします。
(へ) 監査委員会による監査法人の評価
当社監査委員会は、監査法人に対する評価を行っております。
監査委員会と監査法人との直接のコミュニケーションの状況、及び被監査部門からの監査法人の監査に関する報告を踏まえて、監査法人の適格性、専門性、当社からの独立性その他、評価基準に従った評価を監査委員が実施したうえで、監査委員会において審議し総合的に評価しております。
④ 監査報酬の内容等
(イ) 監査公認会計士等に対する報酬
(ロ) 監査公認会計士等と同一のネットワーク(Ernst & Young)に対する報酬((イ)を除く)
(注) 当社および連結子会社における非監査業務の内容は、税務に関するアドバイザリー業務等でありま
す。
(ハ) その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
(前連結会計年度)
一部の在外連結子会社は、当社の監査公認会計士等と同一のネットワークに属さない会計事務所等に対して、監査証明業務に基づく報酬として184百万円を支払っております。
(当連結会計年度)
一部の在外連結子会社は、当社の監査公認会計士等と同一のネットワークに属さない会計事務所等に対して、監査証明業務に基づく報酬として145百万円を支払っております。
(ニ) 監査報酬の決定方針
該当事項はありません。
(ホ) 監査委員会が会計監査人の報酬等に同意した理由
当社監査委員会は、過年度の監査計画と実績の状況を確認するとともに、監査時間及び監査報酬の推移を確認し、当該事業年度の監査時間及び報酬額の見積もりの妥当性を検討した結果、会計監査人の報酬等につき、会社法第399条第1項の同意を行っております。
(4) 【役員の報酬等】
① 提出会社の役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
(注) 1 取締役を兼務する執行役の報酬等の総額及び人数については、執行役の欄に記載しております。
2 譲渡制限付株式報酬の株式は、中期経営計画「Rebuild & Evolve」の初年度である当連結会計年度に3事業年度分として一括で交付しており、株式報酬額は中期経営計画の3年間で按分して計上しております。業績指標の達成度に基づき、2028年3月期の報酬額は調整されます。
② 提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等
(注)連結報酬額の総額が1億円以上である者に限定して記載しております。
③ 使用人兼務役員の使用人給与のうち、重要なもの
該当事項はありません。
④ 役員の報酬等の額の決定に関する方針及びその概要
取締役、執行役の報酬の決定に関する方針と個人別の報酬は、社外取締役3名で構成される報酬委員会にて決定しております。
執行役の報酬は、(1)固定報酬(2)業績連動賞与(取締役を除く)及び(3)譲渡制限付株式報酬からなり、それらは概ね、4:3:3の割合で構成されております(前提としたKPI等を達成した際の社長の場合)。(3)譲渡制限付株式報酬は、中期経営計画期間終了後も長期にわたり株主との価値共有を図るという趣旨から、役員退任時又は支給後30年経過時まで譲渡制限は解除できないものとしております。その間に重大な不正会計や巨額損失が発生した場合は、役員毎の責任に応じ、累積した譲渡制限付株式の全数又は一部を無償返還するクローバック条項を設定しております。
(役員の報酬等の額の決定に関する方針の改定について)
2026年3月期からの新中期経営計画「Rebuild & Evolve」のスタートに伴い、業績連動賞与および譲渡制限付株式報酬に関し、目標の見直しを行っております。
会社の成長実現を期する観点から、執行役が対象となる業績連動賞与の指標の一つに売上高成長率を採用しております。
譲渡制限付株式報酬については、3つの目標区分(財務、非財務、企業価値)は継続しますが、株主の皆様との目線共有をより強く動機づける趣旨から企業価値目標の配分を高めることとしました。結果として業績連動部分の配分は、財務目標 :非財務目標 :企業価値目標=50%:20%:30%となります。なお、各目標に連動する指標は、財務目標がROIC、非財務目標が新中期経営計画において掲げる非財務目標、企業価値目標が株主総利回り(TSR)となります。
当事業年度における報酬の概要と、業績指標の実績については以下のとおりです。なお、連結当期利益は「親会社の所有者に帰属する当期利益」であります。
(報酬の概要)
(譲渡制限付株式報酬の指標及び目標値)
(注)財務目標策定時の想定為替レートはUSD 145円/EUR 160円であります。
(業績指標の実績)
⑤ 報酬委員会の状況
報酬委員は、2026年6月25日現在で3名(うち、社外取締役3名)であります。
当事業年度においては、報酬委員会を4回開催しました。
報酬委員会は、取締役及び執行役の報酬の決定に関する方針を制定し、当該方針に基づき個人別の報酬を決定しております。
⑥ 当事業年度に係る取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると報酬委員会が判断した理由
報酬委員会は、2026年3月期の個人別の報酬等について、「④ 役員の報酬等の額の決定に関する方針及びその概要」に記載の方針に基づいて、(1)固定報酬については、役位に応じた金銭報酬として算出されていること、(2)業績連動賞与については、個人毎の金銭報酬が、当事業年度の業績指標に連動し、個人別の成績を加味し算出されていること、(3)譲渡制限付株式報酬については、個人毎の株式報酬が役位、役員在籍期間、及び業績指標による評価に基づき算出されていることを委員会の審議の中で確認のうえ、決定しております。これにより、報酬委員会は、当事業年度に係る取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると判断しております。
(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は、投資株式に関して、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する、という合理性のある場合のみ、保有することを基本方針としております。当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する、という合理性のある場合とは、重要な協力関係にある企業、取引先企業、金融機関等との安定的な関係を継続することにより、当社のブランド価値を高める、持続的な成長を支える、強固な財務基盤を確実なものとする、ことを指します。
そのため、純投資目的で保有する投資株式はありません。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
個々の政策保有株式の合理性については、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を取締役会で定期的、継続的に検証し、検証結果に基づき政策保有株式の縮減を進めております。
b.銘柄数及び貸借対照表計上額
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
(注)1 開示対象となる上場株式が60銘柄に満たないため、保有している全ての上場銘柄を記載しております。
2 定量的な保有効果についての具体的な記載は困難であります。保有の合理性は、「a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載の通り検証しております。
みなし保有株式
該当事項はありません。
d.銘柄数及び貸借対照表計上額と資本合計(連結)に対する比率の推移
③ 保有目的が純投資目的である投資株式
該当事項はありません。
④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの
該当事項はありません。
⑤ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの
該当事項はありません。
5 【従業員の状況等】
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社では、『意欲を持って自らの「役割」を果たし、常に一歩先を目指す人を応援する』を人事制度のコンセプトとし、役割を基軸とした等級・評価・報酬制度を策定、運用しています。
報酬の決定について、主な構成要素である基本給は、組織の中での位置づけや責務に応じた役割と成果、能力の伸長に基づきますが、上位層は役割と成果のみに基づきます。賞与については毎年度、事業利益や経営および従業員の状況を踏まえ、労働組合との交渉を経て水準を決定しています。
なお、経営方針・経営戦略等に関連した人材戦略については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(2) 【従業員の状況】
① 連結会社の状況
(2026年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 当連結会計年度より、「電子デバイス事業」の名称を「モビリティ音響機器事業」に変更し、「その他の事業」セグメントから「音響機器事業」セグメントに組み替えております。
② 提出会社の状況
(2026年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4 当連結会計年度より、「電子デバイス事業」の名称を「モビリティ音響機器事業」に変更し、「その他の事業」セグメントから「音響機器事業」セグメントに組み替えております。
③ 労働組合の状況
特記すべき事項はありません。
④ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異
(イ) 提出会社
(ロ) 連結子会社
(注)1 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の額の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 労働者の男女の賃金の額の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。パート・有期労働者については正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
4 各指標における計算の対象期間は2025年4月1日から2026年3月31日までであり、出向者は出向元の従業員として集計しております。
5 労働者の男女の賃金の額の差異について、賃金制度・体系において性別による差異は無く、主として賃金の高い高位職層における女性比率が低いことによるものであります。また、一部企業において、女性パート・有期労働者の比率が高いことにより、主として賞与等による差異が生じております。女性活躍推進への取組については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
第5 【経理の状況】
1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定により、国際会計基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成しております。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)に基づいて作成しております。
なお、当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令」(令和7年8月22日内閣府令第75号)附則第2条第1項ただし書きにより、改正後の財務諸表等規則に基づいて作成しております。また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しております。
2.監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の財務諸表について、EY新日本有限責任監査法人による監査を受けております。
3.連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備について
当社は、以下のとおり連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み及びIFRSに基づいて連結財務諸表等を適正に作成することができる体制の整備を行っております。
(1) 会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等に的確に対応できる体制を整備するため、公益財団法
人財務会計基準機構へ加入し、監査法人等主催の各種セミナーに積極的に参加しております。また、グループ内の
子会社に対して、会計基準等の変更等を通達により周知徹底させる体制を敷いており、子会社は通達を受け各社に
おける規程類を整備しております。
(2) グループ会社としての管理基盤の強化を図るため、子会社も含めた内部統制システム全般に係る体制の整備を
行っております。グループ会社が共有すべき経営の基本方針を示した「グループマネジメント憲章」を定め、「グ
ループ内部統制規程」、「グループ財務規程」、「グループ税務規程」等、各種グループ規程を整備し、グル
ープ全体の財務報告の信頼性の向上を図っております。
(3) IFRSの適用については、国際会計基準審議会が公表するプレスリリースや基準書を随時入手し、最新の基準の
把握を行っております。また、IFRSに基づく適正な連結財務諸表等を作成するために、グループ会社向けにIFRSに
準拠した「グループ会計規程」等を整備し、これらに基づいて会計処理を行っております。
1 【連結財務諸表等】
(1) 【連結財務諸表】
① 【連結財政状態計算書】
② 【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
(注)当社は、2024年10月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度
の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算出しております。
【連結包括利益計算書】
③ 【連結持分変動計算書】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
④ 【連結キャッシュ・フロー計算書】
【連結財務諸表注記】
1.報告企業
ヤマハ株式会社(以下、当社)は日本に所在する株式会社であり、東京証券取引所に株式を上場しております。登記上の本社の住所は静岡県浜松市中央区中沢町10番1号であります。当社の連結財務諸表は、2026年3月31日を期末日とし、当社及びその子会社(以下、当社グループ)から構成されております。当社グループは楽器事業、音響機器事業及びその他の事業を営んでおります。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。当社は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしていることから、同第312条の規定を適用しております。
連結財務諸表は2026年6月25日に代表執行役社長 山浦敦によって承認されております。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、「3.重要性のある会計方針」に記載する会計方針に基づいて作成されております。資産及び負債の残高は、公正価値で測定する金融商品及び確定給付制度に係る資産又は負債など重要性のある会計方針に別途記載がある場合を除き、取得原価に基づいて計上しております。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円(百万円単位、単位未満切捨て)で表示しております。
(4) 未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。
これらの基準書を適用することによる連結財務諸表への影響は検討中です。
3.重要性のある会計方針
(1) 連結の基礎
当社グループの連結財務諸表は、当社グループ及び当社グループの関連会社の財務諸表に基づき、統一された会計方針を用いて作成しております。子会社及び関連会社の採用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて各社の財務諸表に調整を加えております。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。支配を喪失する場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失として認識しております。
当社グループ会社間の債権債務残高及び取引高、並びに当社グループ会社間取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
なお、子会社の財務諸表の決算期が当社の決算期と異なる子会社については、追加的に当社の決算期で財務諸表を作成する等の調整を行っております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しており、取得時に取得原価で認識しております。重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
③ 企業結合
当社グループは、取得法に基づき企業結合の会計処理をしております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しております。企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
取得対価が、取得した識別可能な資産及び引き受けた負債の取得日における公正価値の正味の金額を超過する場合は、のれんとして認識しております。反対に下回る場合は、差額を純損益として認識しております。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
当社グループの各社の財務諸表は、その会社の機能通貨で作成しております。
機能通貨以外の通貨での取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性項目は、期末日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の算定日における為替レートでそれぞれ機能通貨に再換算しております。当該再換算及び決済により発生した換算差額は、純損益として認識しております。
ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品から生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レートで、収益及び費用は、著しくレートが変動している場合を除き、期中の平均為替レートで換算しております。この換算から生じる換算差額は、その他の包括利益で認識しております。在外営業活動体を処分する場合には、この在外営業活動体に関連する換算差額の累積額は、処分時に純損益に振り替えております。
(3) 金融商品
① 金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識をしております。
当初認識時において金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に金融資産の取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引費用は、純損益として認識しております。
(b) 分類及び事後測定
当社グループは、当初認識時において、保有する金融資産を(ⅰ)償却原価で測定する金融資産、(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のいずれかに分類しております。
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
金融資産のうち、以下の要件をともに満たす負債性金融資産は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産の当初認識後の評価は、実効金利法による償却原価により測定しております。また、実効金利法による償却額及び認識を中止した場合の利得及び損失は純損益として認識しております。
(ⅱ) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
金融資産のうち、以下の要件をともに満たす負債性金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
また、共通のブランドを使用するヤマハ発動機(株)株式、その他の事業等において関連する企業の株式などの資本性金融資産については、当初認識時に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の当初認識後の公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく低下した場合に、その他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産から生じる配当金については、金融収益として純損益で認識しております。
(ⅲ) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の当初認識後の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。
(c) 金融資産の減損
当社グループは、営業債権等について、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。
債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性が高いと判断される営業債権等に対しては、個別に又はリスクの特徴が類似するものごとにグルーピングを行い、減損損失を評価し、貸倒引当金を計上しております。
上記に該当しない営業債権等については、主として過去の貸倒実績率に基づき減損損失を評価し、貸倒引当金を計上しております。
過去に減損損失を認識した営業債権等は、その後に発生した事象により、減損損失の金額が減少した場合には、過去に認識した減損損失を戻入れ、純損益として認識しております。
また、回収するという合理的な予想を有していない営業債権等については、回収不能部分を直接減額しております。
(d) 認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は当社グループが金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、リスクと経済価値のほとんどすべてを移転している場合に、金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債
(a) 当初認識及び測定
当社グループでは、金融負債の契約当事者となった取引日に当初認識をしております。
当初認識時において償却原価で測定する金融負債は公正価値から直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(b) 分類及び事後測定
金融負債は、当初認識時に、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
償却原価で測定する金融負債の当初認識後の評価は、実効金利法による償却原価で測定しております。また、実効金利法による償却額及び認識を中止した場合の利得及び損失は純損益として認識しております。
(c) 認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消、失効等により消滅した時点で、認識を中止しております。
③ 金融商品の表示
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合には、相殺して連結財政状態計算書に純額で表示しております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資より構成されております。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い方の金額により測定しております。
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストの全てが含まれ、主として加重平均法に基づき算定しております。正味実現可能価額は、将来の販売可能性を考慮の上、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額であります。
(6) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び原状回復費用等の見積額及び資産計上すべき借入費用等を含んでおります。
土地及び建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。
建物 31~50年
(附属設備は主に15年)
構築物 10~30年
機械装置 4~12年
工具、器具及び備品 5~6年
見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かい適用しております。
(7) 使用権資産
当社グループは、一部の有形固定資産のリースを受けております。
使用権資産の取得原価は、リース開始日におけるリースの解約不能期間に合理的に確実な延長オプション等を加えた期間(以下、リース期間)におけるリース料の現在価値に、リース開始日以前に支払った前払いリース料、当初直接コスト、解体・除去及び原状回復費用等の当初見積額を加え、受け取ったリースインセンティブを控除した金額で当初測定を行っております。リース負債は、リース期間におけるリース料の現在価値で当初測定を行っております。当初測定後、リース期間又はリース料に変動があった場合は、リース負債の再測定を行い、使用権資産の取得原価及びリース負債の調整を行っております。
使用権資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上し、リース負債は、当初測定額及び再測定による調整額からリース料の支払を控除し、利息の調整を行った価額を計上しております。
また、使用権資産の減価償却費は、リース期間にわたり定額法で計上しております。リース負債に係る金利費用は、使用権資産に係る減価償却費と区分して、金融費用に含めております。
ただし、リース期間が12か月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料を定額法又は他の規則的な基礎により純損益として認識しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんの当初認識時の測定方法は「(1) 連結の基礎 ③ 企業結合」に記載しております。のれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で表示しております。
② 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
(9) 非金融資産の減損
非金融資産(棚卸資産、繰延税金資産及び従業員給付に係る資産を除く)については、各報告期間の末日現在ごとに減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候が存在する場合には、減損テストを実施しております。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び報告期間の末日現在で使用可能でない無形資産については、毎期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。
減損テストの結果、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損損失を認識しております。
減損テストにおいて個別にテストされない資産は、他の資産又は資産グループのキャッシュ・イン・フローから概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位としております。資産又は資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のいずれか高い方の金額としております。使用価値は、資産又は資金生成単位から生じると見込まれる将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引くことにより算定しております。
のれんを含む資金生成単位の減損損失の認識については、まず、その資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額に基づき比例按分しております。
過去の期間において認識した減損損失について戻入れを示す兆候が存在し、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過した場合には、減損損失の戻入れを行っております。減損損失の戻入れは、算定した回収可能価額と過年度に減損損失を認識しなかった場合の減価償却又は償却額を控除した後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限としております。なお、のれんに関連する減損損失の戻入れは行っておりません。
(10) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために、経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合には、引当金額は将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて測定しております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、退職後給付制度として、確定給付制度及び確定拠出制度を設けております。
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を予測単位積増方式により算定しております。確定給付制度債務の現在価値への割引に使用する割引率は、退職給付債務と通貨や期日が整合する優良社債の利回りを参照し決定しております。確定給付制度に係る資産又は負債は、制度ごとの確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額として算定しております。確定給付制度の再測定差額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は発生した期の純損益として認識しております。
確定拠出制度への拠出は、関連する役務が提供された時点で費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付は、割引計算は行わず、勤務が提供された時点の費用として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、過去の従業員の勤務に基づき、支払いを行う法的又は推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
(12) 政府補助金
政府補助金は、付帯条件を満たし、補助金を受領する合理的な保証が得られた場合に、公正価値で認識しております。
資産に関する補助金は、繰延収益として処理し、対応する資産を費用として認識する期間にわたって規則的に収益として計上しております。収益に関する補助金は、補助金に対応する関連費用を認識する期間にわたって規則的に純損益として認識しております。
(13) 資本
普通株式は発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、普通株式の発行に係る費用は資本剰余金から控除しております。
自己株式は、取得原価で認識し、資本の控除項目としております。なお、自己株式を売却した場合は、売却時の帳簿価額と対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(14) 株式報酬
当社グループでは、企業価値の持続的な向上と株主の皆様との価値共有を図ることを目的として、社外取締役を除く取締役、執行役及び一部の執行役員を対象に持分決済型及び現金決済型株式報酬制度を導入しております。
持分決済型の株式報酬は、譲渡制限付株式報酬制度によっており、付与した当社株式のうち譲渡制限の解除が見込まれる相当数の当社株式に対して、付与時に参照した公正価値に基づき測定しており、対応するサービスの提供に応じて費用として純損益で認識するとともに、同額を資本の増加として認識しております。
現金決済型株式報酬制度は、持分決済型株式報酬制度と同条件で設計され、各報告期間末における将来の支給見込額を公正価値として測定し、サービスの提供に応じて費用として純損益で認識しております。
(15) 収益認識
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に従い、以下のステップを通じて収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に又は充足するにつれて収益を認識する
当社グループは、楽器、音響機器及びその他製品の製造販売を主な事業としております。これらの製品の販売については、原則として、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、主として当該製品の引渡時点で収益を認識しております。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引、リベート及び返品を控除した金額で測定しております。
(16) 法人所得税
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益として認識する項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されているものであります。また、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しております。
繰延税金は、報告期間の末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額である一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲において認識し、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しております。なお、繰延税金資産は毎期見直され、税務便益の実現が見込めないと判断される部分については減額しております。
なお、以下の一時差異については、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合取引以外の取引であり、取引時に会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、当該一時差異から便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高くない場合、又は予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合
・IAS12号で定められる例外措置に基づく、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する一時差異
繰延税金資産及び繰延税金負債は、報告期間の末日において制定又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいて、当該資産が実現する又は負債が決済する期間に適用されると予想される税率によって算定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的強制力のある権利を有し、法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。
当社及び一部子会社は、連結納税制度(グループ通算制度)を適用しております。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループは、連結財務諸表の作成において、会計方針の適用、資産及び負債、収益及び費用の測定等に関する見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び報告期間の末日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しており、これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しております。当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある判断、見積り及び仮定を行った項目は以下のとおりであります。
・子会社の範囲(注記「3.重要性のある会計方針 (1) 連結の基礎」)
連結の対象となる子会社に該当するか否かは、当社グループが当該会社を支配しているか否かによって判断しております。
・棚卸資産の評価(注記「3.重要性のある会計方針 (5) 棚卸資産」、注記「8.棚卸資産」)
当社グループは、棚卸資産の評価について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って、将来の販売可能性を考慮の上、正味実現可能価格に基づく評価損を計上しております。評価損の見積りにおいては、将来の販売計画、販売価格、販売に要するコスト等について事業計画に基づく仮定を設定しております。これらの仮定については、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
・非金融資産の減損(注記「3.重要性のある会計方針 (9) 非金融資産の減損」、注記「26.その他の収益及びその他の費用」)
当社グループは、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って、減損テストを実施しております。減損テストにおける回収可能価額の算定において、将来のキャッシュ・フロー、割引率等について仮定を設定しております。これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
・引当金の認識及び測定(注記「3.重要性のある会計方針 (10) 引当金」、注記「18.引当金」)
引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・退職給付制度債務の測定(注記「3.重要性のある会計方針 (11) 従業員給付」、注記「20.従業員給付」)
確定給付企業年金制度については、確定給付制度債務と制度資産の公正価値の純額を負債又は資産として認識しております。確定給付制度債務は、年金数理計算により算定しており、年金数理計算の前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率等の見積りが含まれております。これらの前提条件は、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定しております。これら年金数理計算の前提条件は、将来の不確実な経済環境あるいは社会情勢の変動等によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、確定給付制度債務の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・繰延税金資産の回収可能性(注記「3.重要性のある会計方針 (16) 法人所得税」、注記「14.法人所得税」)
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、事業計画に基づきその発生時期及び金額を見積っております。このような見積りは、経営者による最善の見積りにより行っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって実際の結果と異なる可能性があります。
上記には、当社グループの将来の業績に関する見積り及び仮定に基づく判断を含んでおりますが、これらは、将来の販売見通しや為替相場の見通し等に基づき策定した事業計画を基礎としております。
なお、連結財務諸表の作成に使用した見積り及び仮定は、連結会計年度末時点の状況における経営者の最善の見積りに基づいて行っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
5.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、経済的特徴及び製品・サービス内容の類似性に基づき、「楽器」及び「音響機器」の2つを報告セグメントとしており、それ以外の事業は、「その他」に含めております。
楽器事業は、ピアノ、電子楽器、管弦打楽器等の製造販売等を行っております。音響機器事業は、オーディオ機器、業務用音響機器、情報通信機器(ICT機器)、モビリティ音響機器等の製造販売等を行っております。その他には自動車用内装部品事業、FA機器事業、ゴルフ用品事業、リゾート事業等を含んでおります。
(報告セグメントの変更等に関する事項)
当社は2025年4月1日付で組織改正を行い、モビリティ音響機器等の製造販売を行う電子デバイス事業部を音響事業本部に編入し「モビリティソリューション事業部」へと改称いたしました。この組織改正に伴い、当連結会計年度より、従来「その他」に含めていたモビリティソリューション事業部の関連事業の報告セグメントを「音響機器」へと変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを記載しております。
(2) 報告セグメント情報
報告セグメント情報は、次のとおりであります。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「3.重要性のある会計方針」における記載と同一であります。
また、当社グループは、事業利益をセグメント利益としております。事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1 セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
2 資本的支出は、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の支出を伴う増加額を記載しております。減価償却費及び償却費は資本的支出に対応する金額を記載しております。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注) 1 セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
2 資本的支出は、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の支出を伴う増加額を記載しております。減価償却費及び償却費は資本的支出に対応する金額を記載しております。
(3) 製品及びサービスに関する情報
「第1 企業の概況 3 事業の内容」、「(1) 報告セグメントの概要」及び「(2) 報告セグメント情報」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
(4) 地域に関する情報
売上収益及び非流動資産の地域別情報は、次のとおりであります。
① 売上収益
(注) 1 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:オーストラリア、インド、韓国
② 非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:インドネシア、インド、マレーシア
(5) 主要な顧客に関する情報
単一の外部顧客との取引による売上収益が当社グループの売上収益の10%を超える外部顧客が存在しないため、記載を省略しております。
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、次のとおりであります。
(注) 連結財政状態計算書における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物」の残高は、一致しております。
7.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 「営業債権及びその他の債権」は、契約資産を除き償却原価で測定する金融資産に分類しております。
2 契約資産は、受取手形及び売掛金に含めて表示しております。
8.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度において、棚卸資産の評価損(△は戻入れ)として、「売上原価」に1,526百万円を費用認識しております。当連結会計年度においては、「売上原価」に954百万円、「その他の費用」における構造改革費用に747百万円をそれぞれ費用認識しております。
なお、棚卸資産の評価損には、半導体調達が困難だった時期に先行発注した部品・材料等に対する評価減等の繰入額等を含んでおります。当該部品・材料等の前連結会計年度末の連結財政状態計算書計上額は7,720百万円であり、3,326百万円を評価損として材料等の取得原価から減額もしくは負債計上しております。当連結会計年度末の連結財政状態計算書計上額は5,963百万円であり、3,162百万円を評価損として同様に処理しております。評価減は、発注後の市場環境の変化等により、将来の使用が困難で廃棄される可能性が高いと見込まれる部分について計上しております。
9.その他の流動資産
その他の流動資産の内訳は、次のとおりであります。
10.有形固定資産
有形固定資産の帳簿価額の増減、取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額は、次のとおりであります。
(1)帳簿価額
(注) 1 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他の費用」に含めております。
2 減損損失又はその戻入れは、連結損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含めております。内訳及び内容については、「26.その他の収益及びその他の費用」に記載しております。
(2)取得原価
(3)減価償却累計額及び減損損失累計額
11.リース
当社グループは、土地、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品をリースにより賃借しております。なお、土地、建物は事務所、工場、店舗及び音楽教室等に使用する不動産の賃借であります。
12.のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の帳簿価額の増減、取得原価、償却累計額及び減損損失累計額は、次のとおりであります。
(1)帳簿価額
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
(2)取得原価
(3)償却累計額及び減損損失累計額
(4)のれん及び耐用年数が確定できない無形資産の減損テスト
資金生成単位に配分したのれん及び耐用年数を確定できない無形資産のうち、主なのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額及び減損テストの前提は次の通りです。
前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社)
のれんの帳簿価額は、前連結会計年度末においては1,194百万円、当連結会計年度末においては減損損失を計上した結果、残高はありません。
当該のれんに関する減損テストは、Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社の事業全体で形成される資金生成単位グループに帳簿価額を配分の上で行っており、回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値に基づき算定しております。処分費用控除後の公正価値の算定には、マルチプル法と割引キャッシュ・フロー法を組み合わせております。マルチプル法の公正価値は、当連結会計年度及び将来の売上収益の予測値を基礎に、活発な市場における同業他社の売上高マルチプルを参照して、コントロールプレミアムを市場取引事例等に基づき見積り算定しております。公正価値測定のヒエラルキーは、重要な観察可能でないインプットを含むことから、レベル3に分類されます。割引キャッシュ・フロー法の公正価値は、10年間の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引くことにより算定しており、事業計画における売上収益の成長率、売上総利益率及びその他営業費用を主要な仮定としています。資金生成単位グループが属する市場の状況を勘案し継続成長率は2.5%と設定しております。当連結会計年度の割引キャッシュ・フロー法の算定に使用した割引率は12.5%(税引後)です。
当該減損テストの結果、のれんの帳簿価額が将来キャッシュ・フローによって全額回収できないと見込まれることから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しました。認識した減損損失は「26.その他の収益及びその他の費用」に記載しております。
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
13.その他の金融資産
流動資産におけるその他の金融資産及び非流動資産における金融資産の状況は、次のとおりであります。
(1) その他の金融資産の内訳
(2) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
共通のブランドを使用するヤマハ発動機(株)株式、その他の事業等において関連する企業の株式などであり、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に指定しております。
① 主な銘柄及び公正価値
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の主な銘柄及び公正価値は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
② 認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当社グループは、保有する資本性金融資産について、個々の政策保有の合理性については、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を取締役会で定期的、継続的に検証し、検証結果に基づき政策保有株式の縮減を進めております。
認識の中止(売却等)時の公正価値及び売却等に係る累積損益(税引前)は次のとおりであります。
(注) その他の包括利益の累積額を、認識の中止時に利益剰余金に振り替えております。利益剰余金への振替は税引後の金額で行っております。
14.法人所得税
(1) 繰延税金資産及び繰延税金負債の原因別の内訳及び増減
繰延税金資産及び繰延税金負債の主な原因別の内訳及び増減は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)1 為替の変動による差額は純損益を通じて認識した額に含めて表示しております。
2 法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)が2025年3月31日に国会で成立したこと
に伴い、2026年4月1日以後開始する事業年度より、「防衛特別法人税」の課税が行われることに
なりました。これに伴い、2026年4月1日以後開始する事業年度以降に解消が見込まれる一時差異
等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債については、法定実効税率を29.9%から30.8%に変更し計算
しております。この税率変更により、当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注) 為替の変動による差額は純損益を通じて認識した額に含めて表示しております。
(2) 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異等
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等(いずれも税額ベース)の金額は、次のとおりであります。
(注) 税務上の繰越欠損金等には、繰越税額控除の金額を含んでおります。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金等(税額ベース)の繰越期限は、次のとおりであります。
(3) 繰延税金負債を認識していない将来加算一時差異
繰延税金負債を認識していない将来加算一時差異の金額(一時差異ベース)は、次のとおりであります。
子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異については、当社グループが一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いため認識しておりません。
(4) 法人所得税費用の内訳
法人所得税費用の内訳は、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度において、当年度当期税金費用に含まれる第2の柱モデルルールに係る課税は、それぞれ△123百万円及び△158百万円であります。
(5) 法定実効税率の調整
当社は、法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率は前連結会計年度及び当連結会計年度において、29.9%であります。子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
法定実効税率と平均実際負担税率との差異要因は、次のとおりであります。
15.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、次のとおりであります。
(注) 「営業債務及びその他の債務」は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
16.有利子負債
有利子負債の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 借入金は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
2 平均利率は、借入金の当連結会計年度の期末残高に対する加重平均利率を記載しております。
17.その他の金融負債
流動負債におけるその他の金融負債及び非流動負債における金融負債の内訳は、次のとおりであります。
18.引当金
引当金の内訳及び増減は、次のとおりであります。
製品保証引当金は、製品販売後に発生する補修費用に備えるため、売上収益もしくは販売台数に対して経験率により、または個別見積りにより計上しております。主に発生から1年以内に対応・支出を行いますが、一部は1年を超えて支出が行われる場合があります。資産除去債務は、資産の解体・除去費用及び原状回復費用等の発生に備えて、将来支出すると見込まれる金額を計上しております。これらの費用は主に1年以上経過した後に支払いが発生すると見込まれますが、将来の事業計画などの影響を受けます。
19.その他の流動負債
その他の流動負債の内訳は、次のとおりであります。
20.従業員給付
(1) 退職後給付
当社及び一部の子会社では、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しております。これらの制度における給付額は基本的に勤続年数、従業員の給与水準、その他の条件に基づき設定されております。なお、確定給付制度は、一般的な投資リスク、金利リスク、インフレリスク等にさらされております。
確定給付制度(積立型及び非積立型制度)では、主としてポイント制に基づいた一時金又は年金を支給しております。
積立型の確定給付型制度は、法令に従い、当社グループとは法的に分離されたヤマハ企業年金基金等により運営されております。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先して行動することが法令によって定められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。なお、当社及び一部の連結子会社は2025年4月1日付で以降の勤務から生じる積立型の退職給付制度を原則として確定拠出年金制度に移行し、掛け金及び勤務費用は発生しておりません。
また、当社の退職一時金制度は退職給付信託を設定し、積立型の制度として区分して表示しております。
なお、上記の他、従業員の退職等に際して、数理計算の対象としていない割増退職金を支払う場合があります。
退職後給付の会計方針については、注記「3.重要性のある会計方針 (11) 従業員給付 ①退職後給付」をご参照ください。
① 確定給付制度(積立型及び非積立型)
(a) 退職給付制度債務及び制度資産の調整表
確定給付制度債務及び制度資産と連結財政状態計算書で認識した金額との関係は、次のとおりであります。
(b) 確定給付制度債務の現在価値の変動
確定給付制度債務の現在価値の変動は、次のとおりであります。
(注)1 前連結会計年度及び当連結会計年度の確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、10.5年及び10.0年であります。
2 前連結会計年度の会社清算に伴う未払金への振替は、一部のインドネシア子会社の清算決定に伴い、構造改革に伴う負債として未払金へ振替えたことによるものであります。
(c) 制度資産の公正価値の変動
制度資産の公正価値の変動は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、翌連結会計年度において、66百万円の掛金を拠出する予定であります。
(d) 制度資産の公正価値の種類別内訳
積立型の確定給付制度における制度資産は、主としてヤマハ企業年金基金により運用されております。制度資産の運用は、年金給付を将来にわたり確実に行うため、中長期的な観点から政策的資産構成割合を策定し、年金資産の運用を行うことを基本方針としております。
具体的には、年金財政上の予定利率に運用コストを加味した水準を運用目標とし、この目標を達成するために投資対象として相応しい資産を選定し、期待収益率や収益率のリスク及び投資対象間の収益率の相関係数を考慮した上で、将来にわたる最適な資産の組み合わせである政策的資産構成割合を定め、これを維持することを方針としております。また、資産構成は、定期的に、もしくは必要に応じて見直しを行っております。
資産運用に関する意思決定は、資産運用委員会での審議を踏まえ、代議員会において決定し、資産運用委員会及び代議員会には、当社の財務部門や人事部門の部門長等適切な資質をもった人材を配置するとともに受益者代表として労働組合幹部等を配置しております。
また、当社の退職一時金制度に対して退職給付信託を設定しております。信託資産の運用については当社取締役会で決定した運用方針に従い、契約内容に基づき運用受託機関が行っております。
制度資産の主な種類別内訳は、次のとおりであります。
(e) 数理計算上の仮定
退職給付制度債務の現在価値の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、次のとおりであります。
(f) 感応度分析
主要な数理計算上の仮定が変動した場合における確定給付制度債務への影響は、次のとおりであります。
この分析は、他のすべての変数が一定であることを前提としておりますが、実際には他の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。
② 確定拠出制度
前連結会計年度及び当連結会計年度の確定拠出制度に関して費用として認識した額は、それぞれ△8,460百万円及び△8,914百万円であります。
(2) 従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度の連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費並びにその他の費用に含まれる従業員給付費用の合計金額は、それぞれ△132,195百万円及び△132,804百万円であります。
21.資本
(1) 資本政策
当社グループは、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)の向上を念頭において、中期的な連結利益水準をベースに、研究開発・販売投資・設備投資などの成長投資を行うとともに、株主への積極的な還元を行います。株主還元は、継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資の為の適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施してまいります。
当社グループが資本管理において用いる主な指標はROE及びROICであります。ROEは前連結会計年度、当連結会計年度において、それぞれ2.8%、5.1%であります。ROICは前連結会計年度、当連結会計年度において、それぞれ4.4%、4.5%であります。
※ ROIC=税引後事業利益÷(親会社の所有者に帰属する株主資本+有利子負債)
(2) 資本金及び自己株式
授権株式数、発行済株式数の増減及び自己株式の増減は、次のとおりであります。
なお、当社が発行する株式はすべて権利内容に制限のない無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みであります。
(注) 1 当社は、2024年10月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。
2 前連結会計年度の期中増加は、次のとおりであります。
株式分割による増加 362,000,000株
3 前連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
自己株式の消却による減少 18,300,000株
当連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
自己株式の消却による減少 68,000,000株
4 前連結会計年度の期中増加は、次のとおりであります。
株式分割による増加 34,515,014株
取締役会決議による自己株式の取得による増加 40,400,300株
譲渡制限付株式報酬の譲渡制限解除前の無償返還による増加 14,600株
単元未満株式の買取りによる増加 1,456株
当連結会計年度の期中増加は、次のとおりであります。
取締役会決議による自己株式の取得による増加 13,488,300株
譲渡制限付株式報酬の譲渡制限解除前の無償返還による増加 146,400株
単元未満株式の買取りによる増加 710株
5 前連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
自己株式の消却による減少 18,300,000株
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分による減少 10,000株
当連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
自己株式の消却による減少 68,000,000株
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分による減少 446,400株
(3) 資本剰余金及び利益剰余金
資本剰余金は、資本準備金及びその他資本剰余金により構成されており、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額であります。
会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金に組み入れることが規定されております。その他資本剰余金は、資本準備金の取崩しによって生じる剰余金及び自己株式処分差益、自己株式の消却による減少等が含まれております。
利益剰余金は、利益準備金と未処分の留保利益を含むその他利益剰余金により構成されております。また、自己株式の消却のうち、その他資本剰余金の減少として処理しなかったものについては、利益剰余金の減少として処理しております。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成された親会社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されております。会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けており、当社はその範囲内で利益剰余金の分配を行っております。
22.配当金
配当金の支払額は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。1株当たり配当額については、当該株式分割前の金額を記載しております。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは、次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注)上記の配当金の総額5,718百万円及び1株当たり配当額13円については、2026年6月29日開催予定の定時株主総会の決議事項となっております。
23.売上収益
売上収益の内訳は、次のとおりであります。
(1) 収益の分解
当社グループは、経済的特徴及び製品・サービスの類似性に基づき、「楽器」及び「音響機器」の2つの事業を報告セグメントとして分解しており、それ以外の事業は、「その他」に含めております。また、地域別の収益は、顧客の所在地別に分解しております。分解した売上収益とセグメント売上収益との関連は、次のとおりであります。
各事業に含まれる製品等については、「5.セグメント情報」を参照してください。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:韓国、オーストラリア
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:オーストラリア、インド、韓国
当社グループの売上収益は、大部分が製品及び商品の販売による収益から構成されております。製品及び商品の販売については、製品及び商品の支配が顧客に移転したとき、すなわち、顧客へ製品及び商品を引渡した時点で、顧客に製品及び商品の法的所有権、物理的占有、製品及び商品の所有に伴う重大なリスク及び経済的価値が移転し、履行義務を充足しているため、当該時点で収益を認識しております。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引、リベート及び返品を控除した金額で測定しております。
また、楽器事業における音楽教室の運営等のサービス提供を行っております。サービスから生じる収益は、その提供時点で履行義務を充足し収益を計上しております。
(2) 契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は、次のとおりであります。
契約資産は、工事未収入金に関するものであります。
契約負債は、主に顧客からの前受金に関するものであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、前期首及び当期首現在の契約負債残高に含まれていたものは、3,481百万円及び3,471百万円であります。また、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
当初の履行義務の予想期間が1年を超える重要な契約及び顧客との契約から生じる対価の中に取引金額に含まれていない重要な金額はありません。
24.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は、次のとおりであります。
25.研究開発費
連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費の金額は、次のとおりであります。
26.その他の収益及びその他の費用
その他の収益及びその他の費用の内訳は、次のとおりであります。
(注)1 構造改革費用
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
近年のピアノ市場においては、最大市場である中国の環境変化による需要の大幅な減少とそれ以外の市場においてもコロナ禍以降の市況の悪化が続いております。このような状況を受けて、当連結会計年度において、中国、インドネシアの生産工程について一時的に操業を停止し、ヤマハ・インドネシア(以下、YI)とヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・アジア(以下、YMPA)の生産終了を決定いたしました。その結果、「(注)2 非金融資産の減損」に記載のとおり、中国・インドネシアにおけるピアノ生産設備に関して△10,391百万円の減損損失を計上しております。
また、当該減損損失に関連する割増退職金△3,483百万円に加え、設備や部材の廃却費用、その他の海外拠点の人員削減などの費用△388百万円を構造改革費用として計上しております。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
当社は、1982年よりゴルフ用品事業に参入し、「INPRES」「RMX」シリーズ等のゴルフクラブを中心に商品展開を行ってまいりました。近年のゴルフ市場においては、海外ブランドを中心とした競争の激化、為替変動や原材料費の上昇による収益構造の悪化に加え、主要市場におけるゴルフ人口の減少や需要の変動など、事業環境は厳しさを増しておりました。このような状況を受けて、当連結会計年度において、ゴルフ用品事業を終了することを決定いたしました。その結果、在庫の処分損等を含む△1,954百万円を構造改革費用として計上しております。
また、前連結会計年度に決定したインドネシアのピアノ生産終了に関する関連費用、その他の海外拠点の人員削減等の費用△1,381百万円を構造改革費用として計上しております。
2 非金融資産の減損
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
① ピアノ生産設備の減損損失
楽器事業セグメントの中国、インドネシアにおけるピアノ生産設備等に関して、△10,391百万円の減損損失を認識し、「その他の費用」に計上しております。
減損損失の内容は、次のとおりであります。
上記の減損損失は構造改革費用に含めております。
(a) 資産のグルーピングの方法
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位で資産のグルーピングを行っております。賃貸用資産、遊休資産及び処分予定資産は個別資産ごとにグルーピングを行っております。
(b) 減損損失の認識に至った経緯
近年のピアノ市場においては、最大市場である中国の環境変化による需要の大幅な減少とそれ以外の市場においてもコロナ禍以降の市況の悪化が続いております。このような状況を踏まえ、第2四半期連結会計期間において、中国、インドネシアの一部の生産工程について一時的に操業休止を決定し、ピアノ生産設備等のうち、今後の使用が見込めないもの及び投資回収が困難と考えられるものについて減損損失を計上しております。
これに加えて、当社グループは、事業規模に見合う生産体制への再編に向けて、インドネシアのピアノ生産拠点であるYIとYMPAの生産を終了し、会社清算手続きを開始することを決定いたしました。この結果、第3四半期連結会計期間において、今後の使用が見込めないもの及び投資回収が困難と考えられるものについて減損損失を追加計上しております。YIにおいては、グローバル市場に向けたエントリークラスのピアノ完成品を、YMPAにおいては、ピアノ木工部品を中心に生産を行っておりましたが、これらの生産を日本と中国に移管・集約し、優れた技術力がある日本では、インドネシアからの一部完成品の移管を含め高付加価値商品の生産に注力するとともに、充実した設備を持つ中国では、従来の中国市場に加え、グローバル市場に向けた生産を継続いたします。中国においては、需要の大幅な減少が見られるものの、当社では引き続きピアノの最大市場であると認識しており、今後、同市場向けには、より付加価値の高い製品を供給してまいります。
当社グループのピアノ事業は、急激な需要の減少に固定費の削減が追いつかず、足元では大変厳しい損益状況が続いております。昨年以来、需要の減少に呼応して構造改革を進めておりましたが、今回の再編決定により、将来の需要見通しに沿った生産規模へ最適化する目途が立ちました。今後は、この再編を迅速に実行することにより、早期にピアノ事業を立て直すとともに、より多くのお客様に最良のピアノ体験を提供してまいります。なお、YMPAは2025年3月、YIは2025年12月を目途に生産を終了し、それぞれ会社清算手続きを進める予定であります。
(c) 回収可能価額の算定方法
回収可能価額は、使用価値または売却価値のいずれか高い方により測定しております。今後の使用見込みがなくなった設備については回収可能価額をゼロとして評価しております。使用価値は将来キャッシュ・フローを主として12.0%(税引前)で割り引いて算定しております。
② Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社ののれんの減損
楽器事業セグメントの米国ギター事業の非流動資産4,080百万円に関し、△1,204百万円の減損損失を認識し、「その他の費用」に計上しております。
減損損失の内容は、次のとおりであります。
(a) 資産のグルーピングの方法
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位で資産のグルーピングを行っております。原則として経営管理上の事業区分を基準として資金生成単位を識別しております。当該のれんに関する減損テストは、Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社の事業全体で形成される資金生成単位グループに帳簿価額を配分の上で行っております。
(b) 減損損失の認識に至った経緯
米国でギター関連製品の製造販売を行っている連結子会社であるYamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社は、2023年にCordoba Music Group, LLCを買収し、商品ラインナップを拡充することで高い成長目標を掲げておりましたが、欧米市況の低迷もあり、現状では当初計画を下回る水準で推移しております。
事業環境の変化を踏まえ、今後の事業計画を見直した結果、Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社ののれんを含む非流動資産の減損テストを行ったところ、のれんの帳簿価額が将来キャッシュ・フローによって全額回収できないと見込まれることから、帳簿価額の全額を減額し、当該減少額を減損損失として認識しております。
(c) 回収可能価額の算定方法
減損テストに用いた回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値に基づき算定しております。処分費用控除後の公正価値の算定には、マルチプル法と割引キャッシュ・フロー法を組み合わせております。
マルチプル法の公正価値は、当連結会計年度及び将来の売上収益の予測値を基礎に、活発な市場における同業他社の売上高マルチプルを参照して、コントロールプレミアムを市場取引事例等に基づき見積り算定しております。公正価値測定のヒエラルキーは、重要な観察可能でないインプットを含むことから、レベル3に分類されます。
割引キャッシュ・フロー法の公正価値は、10年間の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引くことにより算定しており、事業計画における売上収益の成長率、売上総利益率及びその他営業費用を主要な仮定としております。資金生成単位グループが属する市場の状況を勘案し継続成長率は2.5%と設定しております。当連結会計年度の割引キャッシュ・フロー法の算定に使用した割引率は12.5%(税引後)であります。
③ 販売、音楽教室の事業用の固定資産の減損
楽器事業セグメントの中国、楽器事業及び音響機器事業セグメントのシンガポールにおいて、△1,104百万円の減損損失を認識し、「その他の費用」に計上しております。
減損損失の内容は、次のとおりであります。
(a) 資産のグルーピングの方法
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位で資産のグルーピングを行っております。原則として経営管理上の事業区分を基準として資金生成単位を識別しております。
(b) 減損損失の認識に至った経緯
中国の音楽教室事業、シンガポールの楽器・音響販売、音楽教室事業においては、事業環境の変化による売上の減少や賃料上昇コスト高などで収益環境が悪化しております。
このような事業環境の変化を踏まえ、今後の事業計画を見直した結果、当初想定されていた収益を下回る見込みとなったため、減損の兆候があると判断いたしました。このため、将来キャッシュ・フローの見積りを行ったところ、回収可能価額が帳簿価額を下回ったことから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しております。
(c) 回収可能価額の算定方法
回収可能価額には使用価値を用いております。使用価値は将来キャッシュ・フローを主として中国の音楽教室事業においては10.0%(税引前)、シンガポールの楽器・音響販売、音楽教室事業においては11.9%(税引前)で割り引いて算定しております。
3 固定資産売却益
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
当社の連結子会社であるヤマハサウンドシステム株式会社が保有する不動産(東京都中央区)を売却いたしました。本売却に伴い、固定資産売却益として929百万円を計上しております。
27.金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は、次のとおりであります。
(注)前連結会計年度の有価証券売却手数料は、ヤマハ発動機㈱株式の一部売却に伴う手数料等であります。
受取配当金の内訳は、次のとおりであります。
28.その他の包括利益
その他の包括利益の内訳項目ごとの組替調整額及び税効果額は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
29.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及びその算定上の基礎は、次のとおりであります。
(注) 1 希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載して おりません。
2 当社は2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算出しております。
30.非資金取引
主な非資金取引の内訳は、次のとおりであります。
31.財務活動から生じた負債の調整表
財務活動から生じた負債の変動は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
32.株式報酬
(1) 株式報酬制度の概要
当社グループでは、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を図ることを目的として、社外取締役を除く取締役、執行役及び一部の執行役員を対象に持分決済型及び現金決済型株式報酬制度を導入しております。
持分決済型の株式報酬制度は、譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、社外取締役を除く取締役、執行役及び一部の執行役員に対して金銭報酬債権を付与し、その全部を出資財産として会社に現物出資させることで、社外取締役を除く取締役、執行役及び一部の執行役員に当社の普通株式を発行又は処分し、これを保有させるものです。
譲渡制限付株式報酬は、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を図ることを目的に、役位に応じた株式報酬を、中期経営計画初年度に支給しております。中期における業績達成への動機づけを目的として、譲渡制限付株式報酬のうち、1/3は役員在籍を条件として支給し、2/3は業績に連動させております。
業績評価における評価指標は、財務目標、サステナビリティを中心とした非財務目標、企業価値目標の3つから構成されております。財務目標はROICを、非財務目標は中期経営計画で掲げた非財務目標の一部を指標とし、企業価値目標については株主総利回り(TSR)を指標としております。株式報酬への影響度合いは、財務目標:非財務目標:企業価値目標=50%:20%:30%であります。
なお、中期経営計画期間終了後も長期にわたり株主との価値共有を図るという趣旨から、役員退任時又は支給後30年経過時まで譲渡制限は解除出来ないものとしております。その間に重大な不正会計や巨額損失が発生した場合は、役員毎の責任に応じ、累積した譲渡制限付株式の全数又は一部を無償返還するクローバック条項を設定しております。
また、現金決済型の株式報酬制度は、譲渡制限付株式報酬と同条件で設計された、現金決済型の株式報酬であります。
(2) 期中に付与された株式数と公正価値
(注) 1 公正価値は付与時の株価を使用しており、予想配当を考慮に入れた修正は行っておりません。
2 当社は、2024年10月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、株式数を算出しております。
(3) 株式報酬に係る費用
(注) 前連結会計年度の株式報酬に係る費用は、前連結会計年度に係る費用計上額から、業績達成度に基づく過年度費用計上額の戻入等を減額しております。
(4) 株式報酬に係る負債
該当事項はありません。
33.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、資金運用については、原則として元本保証、固定金利の預金等に限定しております。資金調達については、当社及び国内子会社、一部の海外の子会社において、グループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しております。また、当社及び一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。デリバティブ取引については、後述するリスクを軽減するために、実需の範囲内で行うこととし、投機目的のためのデリバティブ取引は行わない方針であります。
当社グループが資本管理において用いる主な指標については「21.資本 (1) 資本政策」に記載しております。
(2) 財務上のリスク管理
当社グループは、事業活動を遂行する過程において、様々な財務上のリスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク)にさらされております。そのため、これらのリスクを回避又は低減するために、グループ財務規程を定め、当社及び連結子会社においてグループ財務規程等に基づく管理規程を設定し、リスクに対応する管理体制を整備しております。
① 信用リスク
(a) 信用リスク管理
当社グループは保有する金融資産の相手方が債務を履行できなくなることにより、財務的損失を被る信用リスクにさらされております。
国内外の取引先に対する営業債権等については、取引先の信用状況の悪化や経営破綻等により、これらの債権が回収不能になるリスクにさらされております。与信管理規程及び債権管理規程を定め、顧客毎に与信枠の設定・管理と債権の記帳・整理をし、定期的に残高の確認を行っております。約定期限を過ぎた債権については、その原因及び回収予定の把握を行っております。
また、余剰資金の運用については、原則として元本保証、固定金利の預金等に限定し、安全性を重視した運用を行っております。
デリバティブ取引の利用は、管理規程に従って行っており、実需取引のリスク緩和を目的とした取引に限定し、投機を目的としたデリバティブ取引は行っておりません。
また、取引金融機関の信用リスクを軽減するために、格付の高い金融機関と取引を行っております。
なお、金融資産の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、連結財務諸表に表示されている帳簿価額となります。
(b) 信用リスク・エクスポージャー
当社グループが保有する債権に対する信用リスク・エクスポージャーは、次のとおりであります。
(c) 貸倒引当金の増減
貸倒引当金の増減は、次のとおりであります。
② 流動性リスク
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済債務の履行ができなくなるリスクであります。
当社グループは年度経営計画に基づき資金計画を策定し、資金統制を行うために資金繰り計画を作成及び更新し、継続的に計画と実績のモニタリングをしております。また、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてはグループファイナンスを運用することで、流動性リスクを管理しております。
主な金融負債及びリース負債の期日別残高は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
③ 市場リスク
(a) 為替リスク
外貨建金銭債権債務は、為替変動リスクにさらされております。
外貨建の営業債権については、通常の輸出入取引に伴う為替相場の変動によるリスクを軽減するために、外貨建の営業債務とネットしたポジションについて、先物為替予約取引を実需の範囲内で行うこととしております。
なお、前連結会計年度末および当連結会計年度末においてヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引はありません。
(b) 為替感応度分析
前連結会計年度末及び当連結会計年度末に当社グループが保有する外貨建金融商品につき、その他すべての変数が一定であることを前提として、関連する外国為替に対して日本円が1.0%円高となった場合における税引前当期利益への影響額は、次のとおりであります。
なお、機能通貨建の金融商品及び在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する影響は含んでおりません。
(c) 資本性金融資産の価格変動リスク
当社は、事業等において関連する企業の株式等の資本性金融資産を保有しており、価格変動リスクにさらされております。当社は、これらの資本性金融資産について、公正価値の変動状況を継続的にモニタリングしております。なお、当社グループでは、短期トレーディング目的で保有する資本性金融資産はなく、これらの投資を活発に売買することはしておりません。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末に当社グループが保有する資本性金融資産につき、その他すべての変数が一定であることを前提として、期末日における上場株式の株価が10%下落した場合に、連結包括利益計算書のその他の包括利益(税引前)に与える影響は、次のとおりであります。
(3) 金融商品の公正価値
① 公正価値ヒエラルキー
公正価値のヒエラルキーは以下のとおりであります。
レベル1:活発な市場における無調整の公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して算出された公正価値
レベル3:観察可能なデータに基づかないインプットを含む評価技法から算出された公正価値
金融商品のレベル間の振替は、各報告期間末に発生したものとして認識しております。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル間の振替が行われた重要な金融資産はありません。
② 公正価値の算定方法
主な金融商品の公正価値の算定方法は、次のとおりであります。
(a) 現金及び現金同等物、償却原価で測定される金融資産及び負債(借入金、リース負債を除く)
現金及び現金同等物、短期投資、償却原価で測定される債権及び債務(借入金、リース負債を除く)は、短期で決済され、もしくは要求払いの性格を有する金融商品であるため、公正価値は帳簿価額と近似しており、帳簿価額によっております。
(b) 資本性金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
上場株式は、報告期間末の市場価格で評価しており、レベル1に分類しております。非上場株式、出資金等及び純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産は、投資先の財務諸表等を利用し、類似会社の市場価格に基づく評価手法等の適切な評価手法を用いて評価しており、レベル3に分類しております。
(c) 借入金
短期借入金は短期で決済されるため、公正価値は帳簿価額と近似しており、帳簿価額によっております。
長期借入金は将来キャッシュ・フローを、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しており、レベル2に分類しております。
③ 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の公正価値は帳簿価額と近似しております。そのため、帳簿価額と公正価値の比較は開示を省略しております。
④ 公正価値で測定する金融商品
公正価値で測定する金融商品の内訳は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
レベル3に分類した経常的に公正価値で測定する金融商品の増減の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 利得及び損失は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書上、「金融収益」及び「金融費用」に表示しております。
2 その他の包括利益は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書上、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に表示しております。
該当する金融商品は、主に非上場株式、出資金及び純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産であります。これらは、投資先の財務諸表等を利用し、類似会社の市場価格に基づく評価手法等の適切な評価手法を用いて評価しております。
(4) 金融資産及び金融負債の相殺
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、連結財政状態計算書で相殺した金融商品はありません。
34.関連当事者取引
(1) 関連当事者との取引
関連当事者との取引については、重要な取引等がないため記載を省略しております。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、次のとおりであります。当社グループの主要な経営幹部は、各連結会計年度における当社の取締役及び執行役であります。
(注) 譲渡制限付株式報酬の株式は、中期経営計画「Rebuild & Evolve」の初年度である当連結会計年度に3事業年度分として一括で交付しており、株式報酬額は中期経営計画の3年間で按分して計上しております。業績指標の達成度に基づき、2028年3月期の報酬額は調整されます。
35.主要な子会社
主要な子会社は「第一部 企業情報 第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。なお、重要な非支配持分がある子会社はありません。
36.偶発負債
当社の連結子会社であるYamaha Music Europe GmbH(以下、YME)は、以下のとおり、2022年12月29日に集団訴訟の申立書の送達を受けました。当訴訟は、現時点において手続きが進捗しておらず、また財務上の影響についても信頼性のある見積りができませんので、引当金は計上しておりません。
(1) 訴訟の原因及び訴訟提起に至った経緯
2013年3月から2017年3月にかけて英国で行われた当社楽器製品のオンライン販売において、YME が、特定の取引先との間で再販売価格維持行為を行ったとする競争法違反の決定を受けておりました。これにより消費者が不当に高い価格で製品を購入したとして、発生した損害額の賠償を求める集団訴訟が申立てられたものであります。
(2) 訴訟を提起した者の概要
消費者団体「Which?」(所在地:英国・ロンドン)のElisabetta Sciallisを代表とする原告団で、該当する製品の英国内の消費者が原告団に入る資格を有します。
(3) 訴えの内容及び損害賠償金
①訴えの内容
YME及びYMEの親会社である当社に対し、YMEの再販売価格維持行為により消費者に発生した損害額の賠償を請求するものであります。
②訴訟の目的の価額
申立書には、原告団がYME及び当社に対して主張する被害額は記載されておりません。
(4) 今後の見通し
集団訴訟の手続きにおいて、原告団の規模、訴訟の目的の価額が判明する見通しであります。
37.後発事象
(米国における関税還付手続きの開始)
当社の連結子会社であるYamaha Corporation of America及びYamaha Guitar Group,Inc.は、米国において国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき課された関税が連邦最高裁判所において無効と判断されたことを受け、2026年4月に当該関税に対し46.0百万USドル(約74億円 2026年3月末レート換算)の還付手続きを開始しました。現時点で還付手続きが受理された金額は26.8百万USドル(約43億円)であり、一部は還付が完了しております。
当該関税については、還付手続きの進捗に応じて、翌連結会計年度以降における損益として計上する予定であります。なお、当該関税については、米国において還付を求める訴訟を提起済みであります。
(2) 【その他】
当連結会計年度における半期情報等
(注) 第1四半期連結累計期間及び第3四半期連結累計期間に係る財務情報に対するレビュー:無
2 【財務諸表等】
(1) 【財務諸表】
①【貸借対照表】
②【損益計算書】
③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
1 資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券
子会社及び関連会社株式
総平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は総平均法により算定)
市場価格のない株式等
総平均法による原価法
なお、投資事業有限責任組合への出資(金融商品取引法第2条第2項により有価証券とみなされるもの)
については、組合契約に規定される決算報告日に応じて入手可能な最近の決算書を基礎とし、持分相当額
を純額で取り込む方法によっております。
(2) 棚卸資産
総平均法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)
2 固定資産の減価償却の方法
(1) 有形固定資産(リース資産を除く)
定額法によっております。
なお、主な耐用年数は次のとおりであります。
建物 31~50年
(附属設備は主に15年)
構築物 10~30年
機械及び装置 4~9年
工具、器具及び備品 5~6年
(金型は主に2年)
(2) 無形固定資産
定額法によっております。
なお、耐用年数は主に5年を採用しております。
(3) リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しております。
3 引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
営業債権等を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率による算定額を、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(2) 製品保証引当金
製品販売後に発生する補修費用に備えるため、売上高に対して経験率により、又は個別見積により計上しております。
(3) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。
過去勤務費用については、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により費用処理しております。
数理計算上の差異については、各事業年度の発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理しております。
4 収益及び費用の計上基準
当社は、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1 :顧客との契約を識別する
ステップ2 :契約における履行義務を識別する
ステップ3 :取引価格を算定する
ステップ4 :取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5 :履行義務の充足時に又は充足するにつれて収益を認識する
当社は、楽器、音響機器及びその他製品の製造販売を主な事業としております。これらの製品の販売については、原則として、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、主として当該製品の引渡時点で収益を認識しております。収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引、リベート及び返品を控除した金額で測定しております。
5 その他財務諸表作成のための重要な事項
(1) 消費税等の会計処理
消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜方式によっており、資産に係る控除対象外消費税及び地方消費税は当事業年度の費用として処理しております。
(2) グループ通算制度の適用
グループ通算制度を適用しております。
(重要な会計上の見積り)
会計上の見積りにより当事業年度の財務諸表に計上した項目で、翌事業年度に重要な影響を及ぼす可能性があるものは、次のとおりであります。
1 貸借対照表
2 損益計算書
(注)1 棚卸資産の評価損には、半導体調達が困難だった時期に先行発注した部品・材料等に対する評価減の繰入額等を含んでおります。当事業年度末の当該部品・材料等の貸借対照表計上額は292百万円であり、496百万円を評価減として材料等の取得原価から減額しております。また、グループ会社等で保有する先行発注した部品、材料で当社が負担責任を負うものについては当社の債務として認識しており、当事業年度末で2,666百万円を未払費用として計上しております。
(注)2 ゴルフ用品事業の終了に伴い計上したものであり、その内容については「注記事項 (損益計算書関係) ※5 構造改革費用」に記載しております。
なお、会計上の見積りの内容に関する財務諸表利用者の理解に資するその他の情報については、「連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に同一の内容を開示しているため、記載を省略しております。
(会計方針の変更)
(金融商品会計に関する実務指針の早期適用)
当社は、当事業年度の期首より、「金融商品会計に関する実務指針」(移管指針第9号 2025年3月11日。以下「改正金融商品実務指針」という。)を早期適用しております。これにより、改正金融商品実務指針第132-2項を適用し、同項に規定する要件を満たす投資事業組合等への構成資産に含まれる市場価格のない株式(当社の子会社及び関連会社を除く)について時価をもって評価し組合等への出資の会計処理の基礎としております。
(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対するものが次のとおり含まれております。
2 偶発債務
偶発債務の情報については、「連結財務諸表注記 36.偶発負債」に同一の内容を開示しているため、記載を省略しております。
※3 金融商品会計に関する実務指針の早期適用
当社は、当事業年度の期首より、「金融商品会計に関する実務指針」(移管指針第9号 2025年3月11日。以下「改正金融商品実務指針」という。)を早期適用しております。これにより、改正金融商品実務指針第132-2項を適用し、同項に規定する要件を満たす投資事業組合等への構成資産に含まれる市場価格のない株式(当社の子会社及び関連会社を除く)について時価をもって評価し組合等への出資の会計処理の基礎としております。実務指針第132-2項の定めを適用している組合等への出資の貸借対照表計上額の合計額は、1,758百万円であります。
(損益計算書関係)
※1 関係会社との取引に係るものが次のとおり含まれております。
※2 販売費及び一般管理費の主要な費目及び金額は次のとおりであります。
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
販売費に属する費用の割合は約45%であり、一般管理費に属する費用の割合は約55%であります。
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
販売費に属する費用の割合は約45%であり、一般管理費に属する費用の割合は約55%であります。
※3 ヤマハ発動機株式会社株式の一部売却
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
ヤマハ発動機株式会社株式の一部を売却いたしました。当該売却による投資有価証券売却益は20,467百万円であります。
※4 子会社株式の減損処理
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当社の子会社であるPT. Yamaha Musical Products Asia、Yamaha Guitar Group, Inc.の株式減損処理を行い、それぞれ関係会社株式評価損として1,587百万円、2,808百万円を特別損失に計上いたしました。減損損失の認識に至った経緯は、「連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」に記載の通りであります。
※5 構造改革費用
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
当社は、1982年よりゴルフ用品事業に参入し、「INPRES」「RMX」シリーズ等のゴルフクラブを中心に商品展開を行ってまいりました。近年のゴルフ市場においては、海外ブランドを中心とした競争の激化、為替変動や原材料費の上昇による収益構造の悪化に加え、主要市場におけるゴルフ人口の減少や需要の変動など、事業環境は厳しさを増しておりました。このような状況を受けて、当事業年度において、ゴルフ用品事業を終了することを決定しました。その結果、在庫の処分損等を含む1,930百万円を構造改革費用として計上しております。
(有価証券関係)
子会社株式、関連会社株式及びその他の関係会社有価証券は、市場価格のない株式等のため、時価を記載しておりません。
なお、市場価格のない株式等の子会社株式、関連会社株式及びその他の関係会社有価証券の貸借対照表計上額は次のとおりです。
(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、グループ通算制度を適用しております。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号 2021年8月12日)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っております。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、「連結財務諸表注記 23.売上収益」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。
(重要な後発事象)
記載すべき重要な後発事象はありません。
④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
(注) 1 当期減少額の(内書)は、減損損失の計上額であります。
2 土地の当期首残高及び当期末残高の<内書>は、土地の再評価に関する法律(平成10年3月31日公布法律
第34号)により行った事業用土地の再評価実施前の帳簿価額との差額であります。
3 当期の主要な増減額は次のとおりであります。
当期増加額 建設仮勘定 ピアノ生産設備 323百万円
デジタル楽器生産設備 197百万円
当期減少額 建設仮勘定 ピアノ生産設備完成振替 244百万円
デジタル楽器生産設備完成振替 477百万円
音響生産設備売却 120百万円
【引当金明細表】
(注) 貸倒実績率による洗替計算分であります。
(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
(3) 【その他】
該当事項はありません。
第6 【提出会社の株式事務の概要】
(注) 当社は、定款で単元未満株式の権利を以下のように制限しております。
(単元未満株式についての権利)
当社の単元未満株式を有する株主は、その有する単元未満株式について、次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。
①会社法第189条第2項各号に掲げる権利
②会社法第166条第1項の規定による請求をする権利
③株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利
なお、単元未満株式が特別口座にない場合は、口座を開設した証券会社が取り次ぐことになります。
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社には、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に次の書類を提出しております。
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。




























