第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2 平均臨時雇用者数は、重要性がないため記載していません。
3 金額については、表示単位未満四捨五入で記載しています。
4 第132期の親会社株主に帰属する当期純損失は、Polypore International, LPののれん及び無形固定資産の減損損失を計上したこと等によるものです。
5 第132期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していません。
6 第133期第1四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、第132期連結会計年度の関連する主要な経営指標等について、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。
3 平均臨時雇用者数は、重要性がないため記載していません。
4 金額については、表示単位未満四捨五入で記載しています。
5 第132期の当期純損失は、Asahi Kasei Energy Storage Materials Inc.の関係会社株式評価損を計上したこと等によるものです。
6 第132期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失を計上しているため記載していません。
2 【沿革】
(注) 旭化成ファーマ㈱は、2026年4月1日付で旭化成セラピューティクス㈱に社名変更しています。
3 【事業の内容】
当社グループは、連結財務諸表提出会社(以下、当社という)及び関係会社346社から構成されています。その主な事業内容はセグメントの区分のとおりであり、当社及び主な関係会社の当該事業に係る位置付けとセグメントとの関連は次のとおりです。
(注) 1 当社はマテリアルセグメント内の複数の事業を行っています。
2 一部の関係会社の事業内容は、複数のセグメントに跨っています。
3 ※は持分法適用会社です。
4 【関係会社の状況】
第2 【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 当社グループミッション等
当社グループでは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループミッション(存在意義)のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することをグループビジョン(目指す姿)として掲げています。
また、グループバリュー(共通の価値観)として「誠実」「挑戦」「創造」を定めており、すべてのステークホルダーの皆様に対し「誠実」に経営することを通じて、社会の課題解決や事業環境の変化に積極果敢に「挑戦」し、絶えず新たな価値を「創造」することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。
② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等
<経営環境・経営課題>
国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に示されるように、持続可能な社会に向けてはさまざまな課題があり、世界中で取り組みが進められています。しかし、国連の2025年の報告によれば、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、軌道に乗っている、あるいは緩やかに進捗しているとされているのは35%に過ぎません。2030年に向けた残りの5年間を最大限活用することが求められています。
創業以来の1世紀にわたり、各時代のニーズに応えながら成長してきた当社グループにとって、これらの持続可能な社会に向けた課題は、自らの挑戦課題であると同時に、事業機会として位置づけ、積極的に取り組むものです。これらの課題は1つの企業・産業で解決できないものも多く、企業や産業を超えた共創がますます重要になってきます。例えば、住宅とエネルギー、医療と住宅等のように、これまでの産業の境界を越えて相互に関連し合うテーマ・課題が多く存在しています。このような環境は、ヘルスケア・住宅・マテリアルの各領域で多様な事業を有する当社にとっては大きな事業機会であると認識しています。また当社は100年の歴史で培った人財・コア技術・ブランド・経営ナレッジ等、多様な資産を有しています。グループの特長である多様性(Diversity)を活かし、競合との差別化を重視したアプローチによって高付加価値・高収益(Specialty)のイノベーティブな製品・サービス・ビジネスモデルを持続的に創出していくことを目指します。
一方、足元の状況を見ると、経営環境は急激に変化し、不確実性が著しく高まっています。世界各地で発生している紛争、政情不安、社会的分断や、政策予見性の低下は、エネルギーや原材料などのサプライチェーンの不安定化、金融市場の変動、世界経済の下振れなどのリスク要因となっています。当社グループでは、そのような経営環境をしっかりと見極めた上で、グループの力を1つのチームとして結集し、お客さまや同業他社、投資家などさまざまなステークホルダーとともに道を切り拓いて、価値を提供していきます。そしてこうした「持続可能な社会への貢献」が当社グループの「持続的な企業価値向上」につながり、その結果さらなる「持続可能な社会への貢献」が実現可能になるという、2つの持続可能性(サステナビリティ)の好循環を追求していきます。
<経営方針・経営戦略>
● 旭化成が2030年に目指す姿
この「2つのサステナビリティの好循環」に向けて、当社グループでは、ヘルスケア、住宅、マテリアルの各領域がそれぞれのあり方に基づき、様々な課題の解決、及び実現したい姿に向けて事業を展開しています。多様な事業が社会課題に正面から対峙して、価値提供することで、“持続的にイノベーティブな製品・サービス・ビジネスモデルを創出”することを目指しています。その結果として、高い利益成長と資本効率の向上を実現し、当社グループとして2030年近傍には、営業利益3,800億円、ROIC8%以上、ROE12%以上を目指します。

● 旭化成の特長 「Diversity × Specialty」
当社の特長を表す「Diversity × Specialty」は当社の価値提供の源泉となっています。
「Diversity」は多様な事業展開による成長機会の豊富さや安定的な収益創出力を、「Specialty」は競合との差別化を重視した事業アプローチを通じた高付加価値、高収益の実現を示しています。
DiversityとSpecialtyを掛け合わせることで、「高い経営安定性」と「成長・新しい事業への挑戦」、「持続的なイノベーションの創出」の好循環が生み出されています。
グループの経営基盤を各領域が共有し合い、柔軟に相互活用することで、それぞれが旭化成らしい勝ち筋で価値を提供する、という姿は旭化成独自のエコシステムとなっています。

● 「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」の進捗状況
2025年4月に発表した「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」(以下、「本中計」)は、当社が目指す「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環の実現に向けた、2025年度から2027年度の3年間の経営計画になります。
投資成果創出による利益成長、構造転換や生産性向上による資本効率改善に加え、経営基盤のさらなる強化・活用により、「Diversity × Specialty」を進化させ、最終年度の2027年度には営業利益2,700億円、のれん償却前営業利益3,060億円、ROIC6%、ROE9%を目指します。
ⅰ 投資成果創出による利益成長
2027年度の利益目標である2,700億円に向けては、医薬、クリティカルケア、海外住宅が主な利益成長ドライバーとなります。特に医薬と海外住宅については、M&Aを中心とした先行的投資から確実に利益を創出することで利益成長を実現します。加えてAI向け半導体需要の急成長を受け、エレクトロニクスにおける高い利益成長を見込んでいます。
中期視点での持続的な利益成長に向けては、リソースアロケーションをより明確にし、成長が期待できる事業へ重点的に投入します。本中計においては、事業を10の区分に分け、事業ポートフォリオの方向性や各事業の戦略をより明確にしています。「重点成長」「戦略的成長」事業への投資継続による利益成長の実現と並行して、「収益改善・事業モデル転換」事業の改革も進めます。

ⅱ 構造転換や生産性向上による資本効率改善
収益性・資本効率の低い事業については、構造転換を進め、資本の最適配置を図ります。本中計においてはマテリアル領域のポートフォリオ変革をさらに加速させ、同領域の2024年度売上高の約20%に相当する事業の構造転換を目指します。2025年度においてはケミカル事業における事業撤退や設備停止に加え、ケミカル事業以外において、他社への事業譲渡や提携を進めました。2026年度第1四半期の発表分まで含めると、構造転換した事業の売上規模は概算値で2,030億円となり、中計目標の約7割に達しています。
引き続き、主にケミカル事業を対象とした構造転換に取り組むことで中計目標の達成を目指します。

ⅲ 「Diversity × Specialty」の進化
継続的に事業ポートフォリオ進化の取り組みを推進した結果、当社グループの利益構成は大きく変化しています。マテリアル領域においては事業環境変化を受け構造転換に注力する一方で、住宅領域、ヘルスケア領域では成長投資が着実に利益として結実し、2025年度においては住宅領域が最も営業利益額の大きな領域となりました。2030年度に向けては各領域がほぼ同水準の利益目標を目指す形になり、それに合わせ、今後の成長投資はヘルスケア領域や住宅領域へのアロケーションを増加させます。マテリアル領域は構造転換による収益力強化に取り組みながら、エレクトロニクスなどの高い市場成長が見込める分野における利益拡大を図り、2030年度の利益目標の達成を目指します。
「Diversity × Specialty」の進化により、マテリアル領域を中心とする事業構成から、多様な産業における高付加価値事業が高水準の利益貢献を果たす姿へシフトさせていきます。

ⅳ 財務・資本政策
(外部環境・課題)
2025年4月の中期経営計画の開始以降、インフレ対応を巡る各国の政策動向、地政学的リスクの常態化による分断型の世界経済など、先行きを見通すことが難しい状況が続いています。そのような不透明な事業環境下でも持続的成長を可能にする事業ポートフォリオが奏功し、ヘルスケアやAI・半導体関連といった分野のこれまでの投資が結実することで利益成長を力強く牽引しており、財務健全性を示すD/Eレシオは想定の水準を維持しています。引き続き、生産性向上やコスト削減などによる体質強化を図り、アセットライトを意識した事業モデルへの転換などを通じてキャッシュ創出力や資本効率を持続的に高めていきます。
(具体的な方針・戦略)
■ 資金の源泉と使途の枠組み
本中計の3年間においては、約1兆2,000億円のキャッシュ・インとキャッシュ・アウトを計画しています。キャッシュ・インにおいては営業キャッシュ・フローが約85%を占め、残りの約15%は有利子負債、事業売却、他社資本の活用などにより調達する予定です。
キャッシュ・アウトに関しては成長に向けた投資と株主還元のバランスを重視し、約80%を事業投資、約20%を株主還元とする計画です。
財務健全性指標としてD/Eレシオは0.7程度、有利子負債/EBITDA倍率は3.0程度を目安として、資本のバランスをマネジメントします。

■ 設備投資・投融資
本中計の3年間の意思決定ベースの投資額は、ヘルスケア領域や海外住宅におけるM&Aの投資額を精査した結果、当初計画の1兆円をやや下回り、約9,300億円を見込んでいます。そのうち、拡大関連投資の総額は6,000億円を予定しており、中計初年度においても中長期的な事業拡大に向けた成長投資は着実に進めています。
拡大関連投資の約6割は「重点成長」事業を対象としており、医薬や海外住宅、エレクトロニクスといった成長力の高い分野へ集中的にリソースを投入します。
投資の意思決定にあたっては、他社資本や補助金を戦略的に活用することを検討します。また、主要な案件ごとに事業の収益性・資本効率や事業ポートフォリオ上の位置づけ等を踏まえた上でのハードルレートを定めています。今後も財務規律を強く意識した上で投資判断を行います。

■ 株主還元
株主還元の基本的な考え方としては、累進配当を特に重視した上で、還元水準の継続的向上を図っていきます。その方針のもと、DOE3%程度を目安に中長期的な累進配当を目指しており、2025年度は1株当たり年間配当金として42円と、前期比で4円増配します。
自己株式取得については、2025年度に株式の取得価額の総額で400億円(上限)の実施を決定しました。今後も自己株式取得に関する考えは従来と変わらず、資本構成最適化や投資案件、キャッシュ・フローの状況、足元の株価の推移などを総合的に勘案して検討・実施していきます。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」と合わせてご参照ください。
■ 資本効率の改善と企業価値の向上
本中計においても、前中計に引き続き資本効率を重視しています。ROEについては、減損損失を計上した2022年度から改善しているものの、現状では株主資本コストの8%を下回っています。本中計の最終年度では9%を計画していますが、足元においてもROE改善策を進め、PBRのさらなる向上を目指します。改善に向けて次の5つの取り組みに注力しています。
①事業ポートフォリオ変革加速
②収益力向上
③投資マネジメント強化
④資本構成の最適化
⑤資本コスト低減
この中でも特に「事業ポートフォリオ変革加速」と「収益力向上」に重点的に取り組み、企業価値の向上を追求します。

ⅴ 経営基盤の強化
経営環境の不透明さが増す中では、事業の土台となる経営基盤をより強固にすることが重要であると考えています。「人財のトランスフォーメーション」「グリーントランスフォーメーション」「リスクマネジメントの強化」「コーポレート・ガバナンスの最適化」などを通じて、旭化成のエコシステムのさらなる強化を進めています。
■ 旭化成のエコシステムを通じた価値創造
旭化成の100年を超える歴史の中で構築してきた経営基盤は、我々の経営のコアとなるものです。それを各領域が共有し、柔軟に相互活用しながら、旭化成らしい勝ち筋で価値を提供する、という姿は旭化成特有のエコシステムだと考えています。
エコシステムを事業横断で活用して効果を創出している取り組みとして次のような事例があります。
✔知財マネジメントノウハウの展開、という観点では、蓄積されたノウハウを医薬の分野で活用し、年間売上高で約400億円の骨粗鬆症薬「テリボン®」の独占販売期間の実質延長を実現
✔住宅事業の法人営業活動において、旭化成グループが持つブランド、信用力を土台とした様々なネットワークを活用
✔蓄積したM&Aノウハウを活用し、過去5年で300億円以上の規模のM&Aを7件実施
このように、人財・ブランド・経営基盤といった無形資産を有機的に組み合わせて活用することで、旭化成ならではの価値を創出していきます。

■ 人財のトランスフォーメーション
当社グループは挑戦・成長を自ら求めていく「終身成長」と、多様性を促す「共創力」を人財戦略の柱としています。これらは当社が100年かけて培った、グループバリュー、多様性、自由闊達な風土などの無形資産をさらに磨き、活かしきるということでもあります。
その取り組みを加速させるために、挑戦的風土の強化を狙った新しい人事制度への移行を進めています。「Fair+Open」のコンセプトのもと、社員が新たなことに挑戦したり、高い成果・貢献をあげた場合に、これまで以上に積極的に評価・報酬・昇格につなげる形にしていきます。
これらの取り組みが、「従業員の活力と働きがいの向上」と「旭化成グループの持続的成長」の好循環につながると考えています。主要KPIとしては、「従業員エンゲージメント(成長行動指標)」「ラインポスト+高度専門職における女性比率」「従業員エンゲージメント(活力指標)」を掲げています。
具体的な施策概要は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」に記載しているほか、当社統合報告書及びサステナビリティウェブサイトにも記載しています。
統合報告書;
https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/
サステナビリティウェブサイト;
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/

■ グリーントランスフォーメーション
当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、2050年時点でのカーボンニュートラル(GHG実質排出ゼロ)を目指しています。GHG排出量は2013年度対比で2030年には30%以上の削減、2035年には40%以上の削減を目指しています。カーボンニュートラルの実現に向け、エネルギー使用量の削減、エネルギーの脱炭素化、製造プロセスの革新、高付加価値/低炭素型事業へのシフトなど、様々な取り組みを加速させていきます。自社のGHG排出量の削減への注力に加え、製品やサービスでバリューチェーン全体のGHG排出量削減に貢献することも重要なテーマとして取り組んでいます。当社では第三者専門家の視点を入れて妥当性を確認した、GHG排出量削減効果を期待できる製品・サービスを「環境貢献製品」として拡大・普及することを進めています。これらの「環境貢献製品」によるGHG削減貢献量を、2030年度には2020年度の2倍以上、2035年度には2.5倍以上とすることを目標としています。

■ 企業価値向上を支えるガバナンスの進化
当社グループは、事業環境の変化に応じ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組みとして、当社にとって最適なコーポレート・ガバナンスの在り方を継続的に追求しています。直近のコーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
なお、近年のコーポレート・ガバナンスの主な取り組みとしては、取締役会のアジェンダにおける中長期視点の重点テーマへの注力に加え、独立社外取締役比率の向上などを進めています。また、2025年度に行った役員報酬制度の改定では、中長期的な企業価値向上への意識をより高めるため、業務執行取締役の報酬における株式報酬、金銭業績連動報酬の割合を高めました。
さらに、グループ経営を担う国内外のリーダー層に対し、企業価値向上に向けて求められる行動を体系的に整理、共有することを目的に、「Group Management Standards(GMS)」を制定しました。GMSでは、企業価値向上に資する中核的な要素と、リーダーに求められる具体的なアクションの基準を明示しています。対象となるリーダーは、GMSに基づく行動を通じてグループ経営を牽引するとともに、その実践状況は業績考課等にも反映されます。今後は、グループ経営の重要な行動基準としてGMSの浸透を一層進め、グループ一丸となって企業価値向上に取り組んでいきます。

■ リスクマネジメントの強化
詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
ⅵ 財務・非財務主要KPI
本中計の実行にあたっては、財務・非財務のKPIを明確にして各施策を実行していきます。財務KPIにおいては、利益成長・資本効率の視点で、営業利益、ROE、ROICの2027年度の目標と2030年度の展望を設定しています。非財務KPIに関しては、GXの観点では当社GHG排出量、環境貢献製品を通じたGHG削減貢献量、無形資産の活用の観点ではライセンス契約の新規締結件数、人財の観点では従業員エンゲージメント調査の活力指標を主要なKPIとして設定しています。
中期経営計画2027で設定した財務・非財務主要KPI一覧

③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等
中期経営計画に定める各セグメントの目標に向けて、以下の経営方針・経営戦略を実行していきます。
Ⅰ 「ヘルスケア」セグメント
<経営環境・経営課題>
医薬事業においては、2024年度に買収したCalliditasが、2019年度に買収したVeloxisと一体となってグローバルな事業展開を進めており、日米における主力医薬品の販売が伸長したことにより売上高は堅調に増加しています。2026年2月に公表したAicurisの買収は4月に完了し、今後の中長期的な販売拡大に向けた成長ドライバーとして位置づけています。ライフサイエンス事業においては、血液製剤・バイオ医薬品等の市場の継続的な成長と製薬企業における新薬の開発及び商業生産化へのニーズの高まりにより、ウイルス除去フィルターの需要が堅調に増加しています。米国の関税障壁によって一部の出荷に影響があったものの、全体としての供給体制には問題なく事業を運営しています。クリティカルケア事業においては、主力のACT*1事業で2025年10月に医療従事者向け除細動器の新製品を米国にて発売したことなどから、売上高が堅調に増加しました。
中長期的には、国内では医療費削減圧力が高まることによる市場成長の鈍化が予想される一方、先進諸外国においては、より良い医療に対するニーズの高まりや長寿社会の進展に伴い、引き続き安定的な市場成長が継続することが予想されます。そのため、本セグメントの中長期的な成長のための課題は、グローバルな事業展開を加速することであり、当社グループに足りない経営資源を追加・補強する手段としてM&Aやライセンス導入による事業開発を推進していきます。
今後は、2021年度にクリティカルケア事業のZOLLが買収したRespicardia, Inc.やItamar Medical Ltd.、2022年度に旭化成メディカル㈱(現、旭化成ライフサイエンス㈱)が買収したBionova Scientific, LLC、2024年度に当社が買収したCalliditasや2026年度にVeloxisが買収を完了したAicurisなど、過去に投資を実行した案件の収益成長による投資成果の刈り取りを図るとともに、既存事業の成長とM&A等の事業開発を継続し、医薬・医療機器の双方でグローバル市場における幅広い事業機会を捉え、当社グループの成長を牽引することを目指します。
*1 Acute Care Technology:除細動器、AED、心肺蘇生関連、体温管理、ソフトウェアソリューション等
<経営方針・経営戦略>
本セグメントにおける主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ 医薬事業
・旭化成ファーマ㈱とVeloxisの強みを活かしたグローバルスペシャリティファーマへの進化が着実に進んでいます。事業開発、臨床開発における両社の知見を統合し、免疫・移植の周辺疾患領域での成長の可能性を最大限に追求します。2024年度からは日米の医薬事業を統合した「One AK (Asahi Kasei) Pharma体制」への移行を進めています。そして医薬事業のグローバルな研究開発機能の最適化及びオープンイノベーションのさらなる推進を目的として、研究開発拠点を2027年1月(予定)に大仁地区(静岡県伊豆の国市)から湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市)へ移転することを決定しました。
・Veloxisの腎移植手術患者向け免疫抑制剤「Envarsus XR™」の販売が着実に伸長しています。また将来に向けたパイプライン強化のため、CD28阻害薬「VEL-101」(臓器移植における新規免疫抑制薬)の開発を進め、順調に経過しています。
・Calliditasでは、IgA腎症の治療薬として初めて承認された医薬品「TARPEYO™」の販売拡大を目指します。競合製品も上市されましたが、「TARPEYO™」は競合より早く承認を得たことと、国際ガイドライン*2に推奨薬として掲載されたことを追い風に当初計画より2~3年前倒しで売上伸長を達成しています。
・国内市場では整形外科領域、救急・集中治療領域、免疫疾患領域における新薬上市と販売の拡大を継続します。整形外科領域においては、骨粗鬆症治療薬「テリボン®オートインジェクター」のさらなる市場への浸透を図ります。免疫疾患領域においては、関節リウマチ治療剤「ケブザラ®」と、免疫調整剤「プラケニル®」のさらなる市場浸透を図ります。
*2 KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV)
ⅱ ライフサイエンス事業
・生物学的製剤の市場成長に合わせたウイルス除去フィルター「プラノバ™」の市場ポジション・販売拡大を目指し、生産能力増強、生産効率化及び製品開発を引き続き進めていきます。
・同様にバイオ医薬品の製造工程の上流プロセスで細胞分離に利用される中空糸型マイクロフィルター「BioOptimal」も着実に売り上げを伸ばしています。当社のろ過技術と品質の高さに加えて、「プラノバ™」の販売で培った顧客とのコネクションを通じて更なる事業拡大に努めます。
・ウイルス等安全性試験受託サービス等を手掛けるVirusure Forschung und Entwicklung GmbH、Bionique Testing Laboratories, LLC、及び次世代抗体医薬品CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)のBionova Scientific, LLCを通じた多様な事業展開により、製剤の安全性と生産性向上に貢献する、製薬企業にとってのプレミアムパートナーとなることで製薬市場の成長を取り込みます。
ⅲ クリティカルケア事業
・心肺蘇生、心疾患、睡眠時無呼吸症などの重篤な心肺関連疾患領域をターゲットとし、既存事業の持続的成長、及び企業買収を通じた既存事業強化と周辺領域への拡大により成長を追求します。
・医療従事者向け除細動器や公共施設向けAEDなどの救命救急医療の市場リーダーとして、引き続き技術革新や製品・サービス開発に投資して新製品を投入し、製品ポートフォリオを多様化するとともに、米国外も含めたグローバルでの市場成長を着実に捉えていきます。
・着用型自動除細動器「LifeVest®」は米国にて次世代モデルの販売を2025年度に開始しました。臨床的価値の訴求により市場浸透率をさらに高め、標準的な治療法として確立させることを目指します。また、浸透率の低かった欧州においてはガイドライン*3の推奨を獲得し、拡大への弾みをつけています。
・中枢性睡眠時無呼吸症の治療用機器を手掛けるRespicardia, Inc.、及び睡眠時無呼吸症の在宅検査・診断ソリューションを手掛けるItamar Medical Ltd.の2社で、心疾患患者が併発することの多い睡眠時無呼吸症の診断や治療のためのデバイスの販売を拡大しています。米国においては閉塞性睡眠時無呼吸症の治療薬の承認により、疾患の認知度が向上しItamarの診断機器に追い風となりました。また米国睡眠医学会の中枢性睡眠時無呼吸症の治療ガイドライン*4にRespicardiaの製品が推奨治療として掲載され、エビデンスの確立が順調に進んでいます。当該2社の事業拡大と既存の心疾患関連事業とのシナジー創出により、確実な成果の結実を目指します。
*3 2022 ESC Guidelines for the management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death
*4 Treatment of central sleep apnea in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline
Ⅱ 「住宅」セグメント
<経営環境・経営課題>
国内の住宅市場では、住宅ローン金利が上昇傾向にあることに加え、資材価格高騰や労務費の増加による建設コストの上昇や、物価上昇による消費マインドの低下が懸念されており、住宅需要について注視が必要な状況が続いています。このような状況の中、引き続き社会課題の解決と、お客様満足のさらなる向上に取り組んでいます。DXを活用したオンライン集客・紹介活動の拡大等による集客におけるビジネスモデルの転換や、都心・都市・近郊それぞれのエリア特性・お客様のニーズに合わせたサービスの展開、高付加価値化へのさらなるシフトを通じ、引き続き高品質な住まいの提案に努めていきます。また、気候変動に伴う自然災害の多発化、脱炭素化の加速、環境への配慮による省エネルギー性能の高い住宅の需要の高まり等、住宅を取り巻くニーズは変化し続けており、環境関連においても積極的に取り組みを行っています。2025年9月より自社製品由来の再生可能エネルギー電力及び環境価値を活用し、住宅の生涯CO2収支ゼロを目指す戸建新商品「earth-tect(アーステクト)」の販売を開始しました。2025年度には、高断熱化、省エネルギー、太陽光発電等の創エネルギーによりエネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ以下となる住宅であるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の比率が93%に、ZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の比率が83%に達しており、ZEH基準を満たす住宅の建築を推進しています。
海外の住宅市場では、経済政策の動向や為替変動、住宅価格の高騰、住宅ローン金利高止まりの影響等について注視が必要な状況が続いていますが、供給不足を背景とする潜在的な需要は高く、今後も事業展開の拡大を行っていく必要があると考えています。
<経営方針・経営戦略>
本セグメントにおける主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ デジタル技術を活用したマーケティング等による集客、受注活動の推進や生産性の向上
ⅱ サステナビリティ活動の推進
・国際的イニシアチブ「RE100」が主催する「RE100 Leadership Awards 2025」において、旭化成ホームズ㈱が「RE100 changemaker」を受賞。2024年「RE100 Enterprising Leader」受賞に続き、2年連続の受賞
・「産業の発展と地球環境との共生」を目指した企業、行政、市民が一体となった顕彰制度である、フジサンケイグループ主催の地球環境大賞において、旭化成ホームズ㈱が「第34回地球環境大賞 国土交通大臣賞」を受賞
・環境貢献度の高い断熱材「ネオマフォーム™」の拡販
ⅲ レジリエンスの強化
・耐震性、耐火性の高い住宅の提供や防災科学技術研究所とのリアルタイム地震被害推定システム研究など、安心できる住まいを実現させる取り組みの推進
・一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の「第12回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2026」において、旭化成ホームズ㈱が品川区と連名で応募した『都心高層マンションにおける“真の防災力”への挑戦』の取り組みが「最優秀賞」を受賞
・同アワードにおいて、旭化成ホームズ㈱の、“重鉄の邸宅「earth-tect~Resilience&Green~」 トータルレジリエンスと脱炭素化への取り組み”が「優秀賞」を受賞
ⅳ 海外事業の展開加速
・豪州事業
大手戸建住宅会社であるNEX Building Group Pty Ltdを中心に、同社の創業の地であるニューサウスウェールズ州以外にも新たなビルダーの買収を通じてエリアを広げ、現在は計5州で事業を展開しています。引き続き生産性・収益性向上に向けた業務プロセスの高度化や、請負事業のさらなる拡大、建売事業・土地開発事業の成長の加速を通じ、拡販による各エリアのシェアアップでの利益拡大を目指します。またビルダー単独・サプライヤー単独では成しえない多様な価値提供による競争優位性の高いビジネスモデルを確立させることで、豪州における注文住宅の建築請負及び分譲住宅の販売においてトップブランドを目指します。
・北米事業
北米のホールディングカンパニーであるSynergos Companies LLCは、建築部材を手掛けるErickson Framing Operations LLCやFocus Companies LLC、基礎・電気・空調設備工事を行うAustin Companies LLC、配管工事を行うBrewer Operations LLCなどのサブコンストラクターを中心に、建築工程の中核となる業種を統合し、一元管理を通じて工期短縮・品質管理向上のソリューションを提供する「Synergosモデル」を推進することで、米国の建築業界に施工の効率化という新たな価値を生み出し、高品質な住まいの提供に貢献しています。また住宅需要の高いアリゾナ州、ネバダ州、フロリダ州に厳選して地域展開を図り事業規模を拡大しています。今後さらなる成長を追求すべく、M&Aなどによる「Synergosモデル」強化・エリア拡大を推進していきます。
Ⅲ 「マテリアル」セグメント
<経営環境・経営課題>
本セグメントにおいては、事業ポートフォリオの転換を最も重要な経営課題と認識し、次の成長分野への重点的な投資を行う一方で、既存アセットを最大活用することでのキャッシュ創出や事業の構造改革を推進しています。なお2025年4月より、本セグメント内の事業をエレクトロニクス、カーインテリア、エナジー&インフラ、コンフォートライフ、パフォーマンスケミカル、エッセンシャルケミカルという6つの事業分野に分類し、運営しています。これらの事業において、ビジネスモデルや市場の状況、競争優位性等の事業環境は、製品群によって大きく異なるため、各事業が置かれている環境認識に基づいた経営課題に対して取り組んでいます。本セグメントにおける経営環境は以下のとおりと認識しています。
ⅰ エレクトロニクス事業
・生成AIの普及やデータセンター拡大に伴う、先端半導体技術のニーズの高まり
・通信技術の高度化等、新たなライフスタイルによる様々なセンシングニーズの高まり
ⅱ カーインテリア事業
・自動運転の普及に伴う、車室空間の「居心地」に対するニーズの多様化
・デザイン性と機能性を両立し、かつ環境負荷の低い素材へのニーズの高まり
ⅲ エナジー&インフラ事業
・主要国における電気自動車を含む環境対応車の需要動向、旺盛なエネルギー需要等に伴うESS(エネルギー貯蔵システム)の需要拡大、それらに向けたリチウムイオン電池需要の高まり
・米国の規制強化による食塩電解プラントのアスベスト隔膜法からイオン交換膜法への転換の動きや、インドや東南アジアでの電解プラントの新増設等に伴う、イオン交換膜需要の高まり
・低炭素社会に向けたクリーン水素製造ニーズの立ち上がり
ⅳ コンフォートライフ事業
・欧米向けジェネリック医薬品製造拠点としてのインドや、高齢化が進展する中国など、グローバルな医薬品市場の成長に伴う医薬品添加剤需要の安定成長
ⅴ パフォーマンスケミカル事業
・「CASE」と呼ばれる自動車業界の変革、次世代モビリティの進展と、それに伴う部材の技術革新や新たなニーズの高まり
・低炭素社会の実現に向けた電気自動車等の環境対応車の需要拡大や資源の有効活用など、自動車業界における環境負荷低減の動き
ⅵ エッセンシャルケミカル事業
・中国の設備増強と内製化進展による石油化学製品のアジア輸出需要の変化、またこれに伴う日本国内の石油化学コンビナート再編の動き
・カーボンニュートラルの動きを受けた、石油化学関連製品の中長期視点でのサステナビリティ対応の加速、脱炭素に貢献する技術やソリューションに対するニーズの高まり
<経営方針・経営戦略>
本セグメントにおける主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ エレクトロニクス事業
■ 価値提供の方向性:カスタマーオリエンテッド型による高付加価値素材の提供
・最先端、次世代半導体市場のマーケットリーダーをキーカスタマーとして的確に捉え、市場ニーズを見越した製品設計と開発で、業界でのデファクトスタンダードとなる製品を創出
・ニッチな技術をさらに磨き、最先端技術を支える高機能材料、部品を展開
■ 主な取り組み
・電子材料、基板材料事業:AI需要拡大による、最先端半導体パッケージ及びAI向けサーバー等の基板の市場拡大を支える高機能材料の展開
・電子部品:スマートフォンや車載市場において競争力のあるセンシングデバイス・ソリューションの展開、ミリ波レーダー等を活用した新規分野開拓
・半導体周辺における他社との戦略的アライアンス、M&Aによる非連続成長の検討
ⅱ カーインテリア事業
■ 価値提供の方向性:カスタマーオリエンテッド型の商品ラインアップ、対応力による提案力強化
・キーカスタマーへの横断的なマーケティング強化
■ 主な取り組み
・Sage Automotive Interiors, Inc.の事業を軸にして、ファブリック、合成皮革、さらに環境特性に優れたスエード調人工皮革「Dinamica®」を加えた幅広い素材ラインアップと高いデザイン力を融合させた内装材プラットフォームの構築
・地域、素材ごとの最適な生産供給体制構築による、コスト競争力の強化
・環境に配慮した製法による高級感ある新素材、新製品の開発
ⅲ エナジー&インフラ事業
■ 価値提供の方向性:独自の技術・知見を活かしたソリューション提供
・これまでに培った技術や知見などの事業基盤を活かした、当社グループが目指す2つのサステナビリティ(「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」)の好循環の実現への貢献
■ 主な取り組み
・グリーンな素材とソリューションの提供(水素関連の事業化推進、CO2ケミストリーの多面的展開)
・蓄エネルギー分野の深耕(セパレータ事業の成長追求、知見を活かした新しい事業展開)
・イオン交換膜法食塩電解事業を起点とした製造型リカーリングビジネスの拡充と高度化
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業上の課題
「(1) 経営方針・経営戦略等 ③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等」に記載の項目に加えて、以下の事業上の課題があります。
Ⅰ 「ヘルスケア」セグメント
医薬品や医療機器等の事業においては、一般的に、その販売数量や販売単価等が定期的な薬価・保険償還価格の改定の影響を受ける場合があります。また新薬の研究開発については、期間が長期にわたることに加え、承認取得に至る確率が高くないことなどから、製品化の確度や時期について正確な予測が困難であり、計画どおりに製品化できなかった場合は業績に影響を与える可能性があります。医薬品や医療機器が製品化した場合でも、競合品の開発・上市の動向、有害事象の報告、後発品の上市等により、業績に影響を与える可能性があります。そのため、当社グループでは医薬品と医療機器の両方を持つことで、多様な成長力・競争力を獲得し、イノベーション獲得機会の増加を図るとともに、医療規制等将来の不確実性への対応力を高めていきます。また、パイプラインの拡充、ライセンス導出・導入、共同開発、グローバル展開の加速等に努めることで持続的な安定成長を図ります。
加えて、大規模自然災害・パンデミック・地政学的問題などによる原材料・部品の不足、調達リードタイムの長期化、調達コストの増加の影響を受ける可能性があります。近年では欧州を中心とした法規制の強化が進み、規制に準拠した品質管理を徹底する必要があります。当社の医薬品、医療機器を必要とする患者や医療従事者へ安定的に製品を供給するため、原材料や製品在庫の管理、サプライヤーとの関係強化などサプライチェーン強化を進めていきます。
Ⅱ 「住宅」セグメント
国内の住宅市場では、税制の動向や地政学的問題等の発生によりサプライヤーからの部材調達に影響を受ける場合があります。当社は、発注情報の早期確定やスペックの見直し、内製化、複数社からの購買等リスク軽減を検討し対応していきます。北米の住宅市場では、高水準で推移する住宅ローン金利や、関税政策、インフレの懸念などが住宅着工に影響を与えていますが、供給不足を背景とする潜在的な需要は高いため、厳しい市場環境下においても、中長期的な成長を見据え、新規顧客の開拓に注力するとともに、施工の効率化といった新たな価値を創出し、高品質な住まいの提供に貢献します。豪州の住宅市場では、住宅価格の上昇や住宅ローン金利の高止まりはあるものの、事業環境は改善傾向にあり、また持続的な人口増加により中長期にわたり住宅需要が期待されます。このような状況の中、豪州事業ではビルダー単独・サプライヤー単独では成しえない多様な価値提供による競争優位性の高い事業モデルの確立に引き続き注力していきます。
また、カーボンニュートラルに向けた対応や脱炭素等の環境意識が高まる中、対応が遅れた場合は競争優位性や企業ブランド・製品ブランドへの影響が考えられます。旭化成ホームズ㈱は、事業特性に合わせたマテリアリティを特定し、4つのテーマにまとめています。テーマの1つである「With Environment 豊かな自然環境の保全とより良い環境の創造」を目指し、サステナビリティへの取り組みを推進しながらビジネスを成長させることで、持続可能な社会貢献に取り組んでいきます。
Ⅲ 「マテリアル」セグメント
ⅰ エレクトロニクス事業
情報通信機器に用いられる電子材料や電子部品のニーズは、AI需要の高まり、デジタルトランスフォーメーションの進展や次世代通信の普及に伴う情報通信高度化の需要が益々拡大することに伴い、年々増加しています。特に自動車の電動化がもたらす変化として、車両の高機能化だけでなく、充電設備の整備も急速に進められており、様々なセンシングデバイスの高度化・高信頼性化が求められています。半導体のニーズが益々拡大する一方で、中東情勢の悪化や米中関係の動向によるサプライチェーンの混乱、分断がもたらす影響を的確に捉えて、対応を進めていきます。
特に世界各国の半導体ファウンドリやOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly & Test)を活用する分業体制が業界全体として展開されているため、半導体製造に関わるサプライチェーンの動向に影響を受ける可能性があります。半導体生産に必要なレアガス(希ガス)やレアメタル(希少金属)などの原材料不足や、大規模災害・パンデミック・地政学的問題などの影響を受けての需要変化による製造リードタイムの長期化など、電子部品事業において環境変化を見通しにくい状況となっています。そのような中で、半導体製造関連の主要サプライチェーンの状況(特に米国、中国、台湾)の動向をモニタリングし、リスクの発生状況を常時評価し、迅速に対応していきます。
今後も市場動向を注視しながらデジタル社会で求められる最先端のニーズを捉えて、電子材料と電子部品の双方を有するユニークさを活かし、特徴ある材料・部品、ソリューションを提供していきます。
ⅱ カーインテリア事業
車室空間には、これまでにない快適性やデザイン性に加えて、リサイクル原料の使用、車体軽量化による自動車燃費の向上、電動化等、環境負荷低減に繋がる製品が求められています。環境特性に優れたスエード調人工皮革「Dinamica®」は、需要増加に対応するため供給能力を増強するとともに、米国子会社のSage Automotive Interiors, Inc.との連携を強化し、米国Adient plcのファブリック事業や、中国の合弁会社のパートナーであるOmnova社の塩化ビニル樹脂系合成皮革事業との統合効果を発現させていきます。今後も顧客要求に迅速に対応するべく、グローバル市場におけるキーカスタマーへのアプローチやデジタルマーケティングを継続するとともに、価値提供領域をカーシートに加えて天井やドア等の車室空間全体に拡大することで、持続的に成長できるビジネスモデルの構築を推進していきます。
本事業は世界の自動車業界の動向に影響を受ける場合があります。事業運営は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の影響によるサプライチェーンの混乱、及び米国関税政策や中国景気の減速に伴う世界経済の成長鈍化等、年間を通じて見通しづらい環境下にあります。そのような中で各国の自動車関連市場を注視するとともに、サプライチェーンと在庫管理を強化し、変化する需要に柔軟に対応していきます。
ⅲ エナジー&インフラ事業
リチウムイオン電池用セパレータは、脱炭素化に伴う電気自動車普及を背景に中長期的な需要拡大が見込まれる一方、同市場の成長速度鈍化に伴う自動車メーカーや電池メーカーの投資計画見直しにより、需要が想定を下回る可能性があります。一方で、旺盛なAI需要に伴う電力需要の急拡大、再生可能エネルギーの広がりからESSといった新たに急成長する用途があらわれています。当社は、北米を中心としたサプライチェーンの現地化要請に対応するため、北米に生産拠点を先行して構え、顧客と強いパートナーシップを結びつつ、安定的かつ高水準の品質を強みに、様々な顧客ニーズに対応していきます。また、中国・韓国メーカー等との価格競争・技術競争の激化、原材料・エネルギー価格の変動、地政学的リスクや各国政策動向の影響を受ける可能性を考慮し、米国、日本での塗工能力増強を図りつつ、生産技術の大幅な改良を図り、コスト競争力の高い製品を追求していきます。
イオン交換膜法食塩電解は、米国の規制強化によるアスベスト隔膜法プラントからのプロセス転換や、インド・東南アジアでの電解プラントの新増設等で需要が高まるなか、競合他社の能力増強による競争激化が見込まれます。さらなる事業価値向上に向けて、Recherche 2000 Inc.の食塩電解用モニタリング装置・システムから、「モノ売り」とサービスを融合させたソリューションの提供を加速させていきます。
本事業は、各国の規制・環境問題や関税政策、供給制約の顕在化等によるサプライチェーンの変化、テクノロジーの変化により、事業環境が急激に変化することが中期的なリスク要因と考えられるため、事業環境の動向の把握と迅速な対応を続けていきます。
② 財務上の課題
「(1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等」 <経営方針・経営戦略> ⅳ 財務・資本政策の項目をご参照ください。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
[サステナビリティ全般]
当社グループでは、サステナビリティの追求を経営の柱として位置づけており、2021年度に「サステナビリティ基本方針」を制定しました。同方針は、グループとしてのサステナビリティに関する姿勢を示すとともに、経営や事業活動の軸となるものであり、グループミッションである「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するため、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環を追求すること、その実現に最適なガバナンスを追求すること、そして、①持続可能な社会への貢献による価値創出、②責任ある事業活動、③従業員の活躍の促進、の3点を実践することを掲げています。
近年、地政学的リスクの高まりや社会の分断などを背景に、世界情勢の不安定性や不透明感が増しています。こうした環境下において、「サステナビリティ」や「ESG」に逆行する動きが一部に見られますが、当社グループは今後も一貫して、2つのサステナビリティの好循環を追求していきます。

■ ガバナンス
当社では、サステナビリティ全般に関する課題を共有し、議論や方向づけを行う場として、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。また、サステナビリティ関連テーマの内、特に横断的に進めるべきテーマについて、個別の委員会として「リスク・コンプライアンス委員会」「環境安全・品質保証委員会」「DE&I委員会」「人権専門委員会」「地球環境対策推進委員会」を設置しています。これらの委員会では、委員長のもと、事業部門責任者や関係するスタッフ部門の責任者等の委員が議論や方針確認などを行い、グループ全体戦略の立案・推進や事業経営の実行等につなげています。
取締役会はサステナビリティに関する様々な事項について監督と助言を行うとともに重要な事項について決定をしています。2025年度には、気候変動・自然資本・人権尊重などの個別テーマを取り上げた他、サステナビリティ情報の法定開示に向けた準備状況についての審議、サステナビリティ重要課題の決定などを行いました。また、サステナビリティ関連事項を含む中期経営計画や年度経営計画、リスクマネジメントや内部統制、取締役会実効性向上などについても議題としています。
取締役会はスキル・マトリックスに記載のとおり、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、人権対応等をはじめとするサステナビリティの課題を経営レベルで監督した経験や専門性を有するメンバーを複数含んでおり、幅広いサステナビリティの課題について、リスクと機会を多面的に認識し、監督できる構成としています。
役員報酬においては、業績連動報酬について、グループ連結の営業利益、ROIC等の財務指標の達成度とともに、サステナビリティの推進を含む個別に設定する目標の達成度を踏まえた総合的な判断を踏まえて算出しています。また、株式報酬については、株式交付数の決定に従業員エンゲージメント、ダイバーシティ、企業価値に関する業績目標の達成度が加味される制度となっています。役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況 (4)役員の報酬等」をご参照ください。
サステナビリティマネジメント体制

・サステナビリティ推進委員会の目的、構成メンバー、開催頻度
■ 戦略
当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環の追求により、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するというグループミッション、及び「健康で快適な生活」と「環境との共生」により社会に新たな価値を提供するというグループビジョンの実現に取り組んでいきます。
取り組みにおける重点事項がサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)です。サステナビリティに対する社会からの期待の高まりを踏まえ、企業価値に影響を及ぼし得るサステナビリティ関連の機会とリスクを再分析し、2025年度にマテリアリティの見直しを行いました。新たなマテリアリティは、当社グループの中長期的なフリー・キャッシュ・フローの創出や事業成長率の向上につながる事業成長の機会に関する項目と、資本コストの低減や不測の損失の回避につながる事業基盤の強化に関する項目で構成されています。 マテリアリティへの取り組みを適切なガバナンスのもとに推進することで、企業価値の向上を進めます。
当社の企業価値に影響が大きいマテリアリティ項目、及びその特定プロセスは以下のとおりです。
マテリアリティの検討にあたっては、まず、当社グループの理念体系、中期経営計画、各事業の概況等に基づき、ESRS(注) 1、SASB(注) 2スタンダード等の国際的な基準を参照し、当社の企業価値に影響を与えうるサステナビリティ関連の機会とリスク及び当社事業が社会に与えうる影響をリストアップしました。続いて、影響度合いや発生可能性の観点から設定した評価基準に基づいて重要性を評価し、重要と評価した機会・リスク・影響をカテゴリーごとに整理した上で、実務レベル・経営会議・取締役会での議論を経て、2026年3月取締役会にて新たなマテリアリティ項目を決定しました。なお、本件に関する経営会議・取締役会での議論は、2025年度中に各3回行っています。
(注) 1 European Sustainability Reporting Standards (欧州サステナビリティ報告基準)
2 Sustainability Accounting Standards Board (サステナビリティ会計基準審議会)
■ リスク管理
多様なリスクを的確に認識するとともに、事業機会を積極的に捉えていくため、当社では「サステナビリティ推進委員会」をはじめとした各委員会で情報共有や議論を行うとともに、中期経営計画の毎年の見直しや年度経営計画の議論の中でリスクと機会の確認を行っています。
特にリスクについては取締役会による包括的な監督のもと、グループレベルのリスクと事業に固有のリスクの両面からリスク管理を行うこととしており、取締役会でリスク項目の選定を行い、リスク対応の推進状況などを定期的にモニタリングしています。サステナビリティに関する事項を含む具体的なリスクに関する認識と管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。
■ 指標と目標
「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」では、当社グループにおけるサステナビリティ関連の機会とリスクに関連するものとして、以下を主な目標としています。
・GHG排出量(Scope1+Scope2): 2035年度 40%以上削減(2013年度比)
・GHG削減貢献量: 2035年度 2.5倍以上(2020年度比)
・ラインポストと高度専門職における女性比率: 2030年度 10.0%
・従業員の活力指標: 従業員エンゲージメント調査における好意的な回答者割合 2027年度 60.0%
また、前提の一つである「安全」については、「休業災害件数」「休業度数率」等により管理し、徹底を図っています。
新たなマテリアリティに関連する指標・目標については、現在検討中です。
[個別重要課題]
(1)気候変動
■ ガバナンス
当社グループでは気候変動に関する取り組みを中心とするグリーントランスフォーメーション(GX)を重要な経営課題と捉え、経営戦略の中核テーマの一つと位置づけて取り組んでいます。気候変動に関する方針や重要事項は取締役会で、また、関連する具体的事項は経営執行の意思決定機関である経営会議で、決定または確認を実施しています(機会・リスクの認識、中期経営計画、GHG排出量の削減目標、設備投資計画など)。なお、スキル・マトリックスに記載のとおり、取締役会は気候変動戦略について監督する適切なスキル及びコンピテンシーを有する取締役で構成しています。
当社グループでは、取締役会・経営会議での気候変動に関する決定を事業レベルで推進するため、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、事業の各執行責任者が気候変動を含むサステナビリティに関する課題の共有と議論を実施しています。委員会の結果は取締役会に報告され、全社での取り組みのあり方等についての議論につなげています。さらにサステナビリティ推進委員会の下部組織である「地球環境対策推進委員会」では、GX推進担当役員を委員長として、事業、製造統括、生産技術、研究・開発の本部長等が環境全般についての課題の共有、議論を実施しています。
GHG削減目標達成に向けては、GX推進担当役員のもと、カーボンニュートラル推進プロジェクトにて全体を俯瞰しながらシナリオを検討し、具体策を進めています。重要な事項については、社長・経営企画担当役員等に随時情報共有をしつつ、方向性の確認を定期的に実施しながら進めています。また、GX推進担当役員のもと、サーキュラーエコノミー推進プロジェクトにて、サーキュラーエコノミーに関する当社の方針や方向性を検討し、各取り組みの進捗管理と推進を行っています。
■ 戦略
[分析の前提]
産業革命以前に比べての気温上昇を「+1.5℃」に抑制していくためにGHG排出を強力に抑制するシナリオとして、WEO: Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)を、温暖化対策が十分に進まずに気温上昇が「+4.0℃」になっていくシナリオとして、IPCC SSP3-7.0を適用しています。
当社グループにおける機会とリスクは以下のとおりです。
[機会]
当社グループはカーボンニュートラルな社会への転換をはじめとするメガトレンドを見据え、事業ポートフォリオ変革を推進しています。2025年度からの中期経営計画の3年間で、「重点成長」事業と位置付ける医薬事業、クリティカルケア事業、海外住宅事業、エレクトロニクス事業や「戦略的育成」事業と位置付けるエナジー&インフラ事業等に約6,000億円の拡大関連投資の意思決定をする計画です。気候変動に関する機会に向けた投資もその中で行います。当社では新技術の取り込みや協業を狙いとしてCVC(Corporate Venture Capital)による投資活動を行っていますが、気候変動対応等についても“Care for Earth投資枠”(2023~2027年度の5年間に1億米ドル)を設定し、環境分野のスタートアップ企業への投資を行っています。
当社グループの事業展開の方向性は、気候変動の緩和及び適応において様々な製品・サービスを事業機会として提供しうると認識し、取り組みを進めています。
[1.5℃シナリオ]
[4.0℃シナリオ]
* 短期:~2030年 中期:2030年~2040年
[リスク]
「+1.5℃」シナリオでは、主としてカーボンニュートラルに向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、カーボンニュートラルに適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速やカーボンニュートラルな社会に向けた革新技術の登場による市場構造変化もリスクとして想定しています。
「+4.0℃」シナリオでは、主として酷暑・大雨・洪水などの物理的リスクを想定しています。特に、国内外の主要拠点における、風水害の甚大化による製造拠点の被災とその損害をリスクとして認識しています。
これらのリスクは濃淡がありながらも、今後の気候変動の中でいずれも発現しうるものと当社では捉えており、リスク低減の取り組みを進めていきます。
具体的には、「+1.5℃」シナリオでは、エネルギー使用の効率向上、再生可能エネルギーの活用拡大、リサイクル技術の開発・社会実装、経営資源配分の見直し等を進めていきます。「+4.0℃」シナリオでは、BCP(事業継続計画)の継続的見直しや事前対応強化(在庫水準見直し、複数購買検討等)、住宅建設現場での熱中症対策等を進めていきます。
[1.5℃シナリオ]
[4.0℃シナリオ]
* 短期:~2030年 中期:2030年~2040年
■ リスク管理
当社グループは、上記シナリオにおいて生じうる事業の現在及び将来への影響について、発生可能性と影響度などの観点から、機会・リスクの識別をしています。
また、気候変動に関する基本データとして、GHG排出量のScope1、Scope2及びScope3(主要なカテゴリー)について、第三者保証を伴う排出量実績を毎年把握しています。把握した排出量実績は、目標への進捗状況と併せ、カーボンニュートラル推進プロジェクトで共有し、今後の取り組みを議論・確認しており、さらに中期経営計画の策定や毎年の見直しの中でもGHG排出量削減への取り組み等を確認し、事業戦略や施策につなげています。
設備投資においては、インターナルカーボンプライシング(ICP)を考慮して採算性を評価し、投資判断に活用しています。なお、ICPの価格は、国際エネルギー機関(IEA)が予測する炭素価格や市場価格、当社グループでのカーボンニュートラルに関するコスト見通しなどを考慮し、設定しています。
■ 指標と目標
当社グループは、以下の指標を気候変動の機会・リスクに関係するものとして位置づけています。
その他関連事項
* GHG排出量はScope1,2が対象。7種類のGHG(CO₂、CH₄、N₂O、HFCs、PFCs、SF₆、NF₃)を対象としている。
また、バリューチェーン全体の観点から社会のGHG排出量の削減等に貢献する製品・サービス(環境貢献製品)のGHG削減貢献量を2020年度比で2030年2倍以上、2035年2.5倍以上にするという目標を掲げています。
(2) 人的資本・多様性
■ 戦略、指標と目標
「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」をご参照ください。
(3) その他
① サーキュラーエコノミー
当社グループでは、限りある資源を持続可能なものとして活用していくための取り組みを様々な切り口から進めています。
例えば、基礎化学品である苛性ソーダと塩素を製造するプロセスを販売するイオン交換膜法食塩電解事業においては、プロセスの部材である電解セル及びその内部に組み込まれる電極に使用される金属リサイクルの実証をNobian Industrial Chemicals B.V.、株式会社フルヤ金属、Mastermelt Ltdと共同で開始しました。また、電解セルの製造工程で発生する純チタンスクラップを純チタン原料として再資源化するリサイクルスキームを日本製鉄株式会社、日鉄物産株式会社との協業で構築しました。これらの取り組みを通じて、クロールアルカリ業界における金属リサイクルのエコシステム構築を図っていきます。
当社グループ複数領域(マテリアル、住宅)と他社との協業の取り組みとして、旭化成㈱、旭化成ホームズ㈱、積水化学工業株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社CFPの5社で、住宅の建築現場で発生する給水給湯管の施工部材を回収して再生製品として生まれ変わらせ、再び施工する資源循環スキーム構築に向けた取り組みを開始しました。5社がタッグを組むことで、さらなる資源循環の輪を拡げる挑戦を続けていきます。
また、三井化学株式会社、三菱ケミカル株式会社と共同でのグリーン基礎化学品の商用生産開始に向けて、バイオエタノールからエチレン、プロピレン等のグリーン基礎化学品を製造する技術「Revolefin」を用いた初期生産設備を当社水島製造所に設置する予定です。設備性能・運転・操作面に関する確認を経て、2034年度の商用生産開始を目指していきます。
当社グループでは複数の製品について、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を取得しています。当認証は、製品がバイオマス原料や再生原料等を使用して製造されていることを、サプライチェーンでのマスバランス方式管理の観点も含め、第三者機関が確認・認証します。当社グループは、顧客や社会からの期待に応じ、当認証取得製品を提供していきます。なお、プラスチックや循環経済に関する諸課題への対応は、同業他社を含むバリューチェーンの各社での共通的なテーマでもあることから、当社グループはクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)、循環経済パートナーシップ(J4CE)、サーキュラーパートナーズ(CPs)、一般社団法人日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟等のアライアンスや業界団体の活動にも参画し、課題への取り組みを他社と共に推進しています。
② 責任ある事業活動
■ 環境安全・品質保証活動
当社グループは、あらゆる事業活動において健康、保安防災、労働安全衛生、品質保証及び環境保全を経営の最重要課題と認識し、開発から廃棄に至る製品ライフサイクルのすべてにわたり配慮する環境安全・品質保証活動を実施しています。過去の事業活動において重大な事故が発生したことを真摯に受け止め、経営層・従業員一同、危機感を持って環境安全活動に取り組んでいます。品質保証においては、品質不正や法規制不遵守の発生を防ぐため、各拠点の品質保証活動の健全性を確認する点検の実施や、法規制対応のシステム導入、法規制対応教育を実施しています。また、全員参加の品質経営を実現するため、経営層向け品質経営セミナーの実施、品質担当役員が現場メンバーと双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティング、品質教育(製品やサービスに関わる従業員全員が品質リスクを理解し日々の業務を行うための教育)を国内外の各拠点で実施しています。環境安全・品質保証に関するリスクマネジメントの詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。
■ コンプライアンス
当社グループは、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底し、グループミッションに基づくグループバリュー(共通の価値観)である「誠実な行動」を実践するため、「グループ行動規範」を定め、浸透を図っています。具体的には、日常業務で起こり得る事例を題材に職場で討議し、グループ行動規範に照らして従業員がとるべき行動を確認する活動(Cs Talk)を継続しています。また、各種重要テーマについて、所管部門が必要に応じてeラーニング等を活用したコンプライアンス教育を実施しています。さらに、従業員のコンプライアンス意識調査を隔年で実施し、全体傾向の把握に加え、職場単位での課題の抽出・共有を行い、各職場の改善活動に反映しています。加えて、従業員及び取引先からの通報・相談窓口を設置し、法令違反や不正等の早期発見・是正に向けた取り組みを進めています。なお、通報・相談窓口は匿名での利用を含めて受け付け、通報者保護(不利益取扱いの禁止等)に配慮した運用を行っています。
経営層においては、社長を委員長としたリスク・コンプライアンス委員会を通じて、当社グループで発生した事案の共有、対応策の水平展開を行い、注意喚起と再発防止の徹底を図っています。
■ 人権の尊重
当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、自社のみならずバリューチェーン全体における様々な人権課題に対し主体的に責任を果たすことが、事業に関わる人びとの人権を守るとともに、社会からの信頼の向上、ひいては企業価値の向上につながると考え、人権尊重を重要課題として位置付けています。
国際人権章典(世界人権宣言並びに国際人権規約)、ILO(国際労働機関)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、国連グローバル・コンパクトの10原則等の人権に関する国際規範を支持するとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重の取り組みを推進しています。
当社グループでは、従来、人権に関するグループの考え方を「旭化成グループ行動規範」に明示し、従業員研修等を通じてグループ内への浸透を図っておりましたが、人権尊重の重要性を踏まえ、2022年に取締役会決定により「旭化成グループ人権方針」を制定しました。また、同方針に基づく取り組みを推進するため、社長を委員長とする人権専門委員会を設置し、年1回開催しています。2025年度には第4回委員会を開催し、世の中の動向、当社グループにおける人権尊重の取り組み状況や今後の計画等について、共有と議論を行いました。
当社グループは「旭化成グループ人権方針」のグループ内での普及啓発を継続するとともに、事業活動における人権への負の影響を排除するため、「人権リスク発現の予防」と「発現したリスクへの対処」の両面から取り組みを進めています。リスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。
■ ステークホルダーとの対話
当社グループは、お客様、株主・投資家の皆様、お取引先、地域の方々、国内外の一般市民、従業員など、多様なステークホルダーとの信頼関係の上に成り立っています。それぞれのご意見や期待をしっかりと受け止めて事業活動に反映していけるよう、様々なコミュニケーションの機会を設けています。
特に、国内外の株主・投資家の皆様に、当社の目指す姿や経営戦略、ガバナンス等の持続的な企業価値向上に向けた道筋をご理解いただくため、事業説明会での情報開示や、工場・事業所の見学の機会を設けています。2025年度は、経営説明会、決算説明会(年4回)に加え、ヘルスケア領域における成長投資となるドイツ医薬品開発企業Aicurisの買収に関する説明会のほか、現中期経営計画における利益成長のドライバーとなる重点成長事業に関する事業説明会を開催しました。また、トップマネジメントは説明会への登壇や面談、スモールミーティング等を通じ、中長期的な企業価値向上に向けたコミュニケーションを積極的に推進しています。資本効率の更なる向上など、対話を通じて示された株式市場の要望も踏まえながら、事業ポートフォリオ変革の加速や各種KPIの向上を図っています。
3 【事業等のリスク】
当社グループはヘルスケア、住宅、マテリアルの3つの領域にわたる多様な事業を有し、幅広い分野でグローバルに事業活動を展開しています。このような事業特性のもと、当社グループの経営や事業活動に影響を与える不確実性への対応力を高め機会の創出につなげるため、領域や事業ごとの特性を踏まえた活動とグループ横断的な活動を連携させ、グループ一体となったリスクマネジメント活動を展開しています。
なお、本項における将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものです。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループでは、リスクマネジメントの国際標準であるISO31000の考え方やプロセスに基づき、全社的リスクマネジメント体制を整備しています。取締役会の監督のもと、リスクマネジメント全体の責任者を社長が担い、リスク・コンプライアンス担当役員がこれを補佐しています。リスク・コンプライアンス担当役員は、社長の指示のもとリスクマネジメント活動を推進するとともに、個別のリスク対策について各部門長(スタッフ部門担当役員・事業部門長等)に対して指示・支援を行っています。
社長が委員長を務めるリスク・コンプライアンス委員会を設置し、グループ横断的なリスクマネジメント活動の協議及び情報共有等を行っています。同委員会における議論や諮問結果は、社長によるリスクマネジメントに関する判断や意思決定を支えています。また、リスク・コンプライアンス担当役員のもとにリスクマネジメントチームを設置しています。同チームは、各部門によるリスク対策の推進活動の支援とモニタリング、スタッフ部門と事業部門の組織間連携強化を推進しています。これらのリスクマネジメントの体制や活動の状況について、定期的に取締役会に報告を行い、取締役会はグループ全体のリスクマネジメントの有効性を評価したうえで、必要な指示・監督を行っています。
<リスクマネジメント体制>

(2) リスクマネジメントの活動・サイクル
当社グループでは、スタッフ部門によるグループ横断的な活動と各事業部門における活動を組み合わせたリスクマネジメントを実践しています。
各事業部門では、自らの事業特性や事業環境を踏まえ、リスクの洗い出し及び分析・評価を行うリスクアセスメントを実施しています。これらの取り組みを通じて、各事業の特性から生じ、事業経営や事業計画の達成に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを「事業重要リスク」として特定しています。また、特定した事業重要リスクについて、事業計画の中でリスク対策の推進計画を策定、対応状況を管理し自律的なリスクマネジメントを実施しています。
スタッフ部門は、事業部門における活動を踏まえつつ、グループ経営に重大な影響を及ぼす可能性があり、グループ全体または複数事業に関わるリスクを「グループ重大リスク」として整理しています。グループ重大リスクは取締役会の決議をもって決定され、スタッフ部門が主導して全社横断的にリスク対策を推進しています。
事業重要リスク及びグループ重大リスクの双方について、各リスクを取り巻く環境の変化や活動の進捗状況等を踏まえたマネジメントレビューが定期的に行われ、指示や改善がなされることで、継続的なリスクマネジメントのPDCAサイクルを運用しています。これらの活動を通じて、スタッフ部門と事業部門の役割分担を明確にしつつ、相互の情報共有や連携を図りながら、グループ全体のリスクマネジメントの実効性向上と高度化に取り組んでいます。
リスクマネジメントのPDCAサイクル(グループ重大リスクと事業重要リスク)

(3) 当社グループ全体に係るリスク
グループ重大リスクとして設定したリスクについて
① 国内外の生産拠点における事故発生リスク・環境安全に関わる法規制に関するリスク
当社グループは、国内外に広く生産拠点を展開しており、環境事故、保安事故、労働災害等の事故の発生や、環境安全に関わる法規制等の違反が発生した場合、事業活動の停止や社会的信頼の低下など、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、安全な操業の継続及び法規制遵守を、社会からの信頼、従業員及び地域社会の安全、環境への配慮といった価値を守るための最重要事項と位置付けています。この認識のもと、重篤な労働災害や保安事故の防止に向け、発生した事故の教訓を生かし、不安全行動による重篤災害撲滅を目指したLSA(ライフセービングアクション)活動の推進や、工場等の機械のリスクアセスメント実施における専門技術者の育成及び工場設備等の点検強化、各生産拠点におけるプロセス安全技術の維持を目的とした保安防災伝承活動の展開、防消火技術の向上等を進めています。
また、環境安全に関わる法規制等の遵守を徹底するため、関連法規制の動向を定期的に把握・更新するとともに、専門家等の第三者による確認を経た上で社内へ周知し、チェックシート等を活用して現場における遵守状況を確認できる仕組みを整備しています。これらに加え、人財育成を通じた安全文化の醸成を図り、今後も事故の防止及び法規制遵守の徹底に向けた取り組みの全社的な定着と高度化を進めていきます。
② 国内外の品質不正リスク(含 法規制・認証等に関するリスク)
製品の設計・検査の不備、不適切な顧客対応や報告が行われた場合や、品質保証に関わる法規制・規格等の遵守不備があった場合、リコール、当社ブランドに対する社会的信頼の喪失、及び製品の生産・流通の停止等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、領域ごとに様々な製品を提供しており、それぞれの製品の品質を確保することは、お客様をはじめ、全てのステークホルダーの方々の信頼をいただくために最重要と認識しています。品質不正の発生を防ぐため、各拠点の品質保証活動の健全性を確認する点検、経営層向け品質経営セミナー、現場従業員の品質意識向上を目的として品質担当役員が現場を訪問し双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティング、及び製品やサービスに関わる従業員全員が品質リスクを理解し日々の業務を行うための品質教育を、国内外の各拠点で実施しています。また、法規制等の遵守を徹底するために、関連法規等の内容を定期的に更新するとともに、適宜、専門家等の第三者による確認も経たうえで社内へ周知し、チェックシート等を活用し、現場従業員がその遵守状況を確認できる仕組みを構築・運用しています。当社グループにおいて様々な製品に使用している化学品の法規制等の管理を徹底するためのシステムの運用も実施しています。
③ 経済安全保障・グローバルサプライチェーンに関するリスク
当社グループは、事業ごとに原材料や部品、施工業者、物流経路、倉庫、販売先に至るまで、国内外で多様なサプライチェーンを構成しています。そのため、経済安全保障に関する世界各国の政策動向が事業運営やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があり、また、世界中で発生する自然災害、保安事故、人権問題、地政学的問題、経営破綻等による、取引先との取引回避や取引先の機能不全に起因してサプライチェーンが途絶する可能性があり、主なリスクとして以下のものを認識しています。
・ 経済制裁・輸出管理規制の強化等の経済安全保障リスクや地政学的問題による企業活動に関するリスク
当社グループは、製品の輸出や海外における現地生産等、幅広く海外で事業展開をしており、安定的な国際通商のメリットを享受しています。そのため、何らかの理由により二国間あるいは多国間の通商環境や地政学的情勢が変化することにより、海外の会社との取引や出資、その他事業活動に影響を受けるリスクがあります。特に、米中関係、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、イラン情勢等、近年国際関係の緊張が高まっており、これに伴って日本や諸外国において、経済安全保障の観点から経済制裁、輸出管理規制、外国直接投資規制を強化する動きが続いています。これらの規制に対応することにより、取引先との取引の停滞・中断、資金の移動の遅延・停止、事業遂行の遅延・不能等により、業績に影響を及ぼすなどのリスクがあります。地政学的問題や法規制の動向には常に注意を払っており、経営層及び事業部門・スタッフ部門の責任者や担当者への情報共有を通じてグループ全体の感度向上を図るとともに、対応部署の明確化を通じて社内体制強化の検討も進めています。また、適時に規制内容を理解することや関係当局に事前に相談することに加えて、経済制裁については外部の顧客スクリーニングシステム等を利用して慎重な取引審査を行うなどにより、適切な対応に努めています。
・ バリューチェーン上の人権課題に関するリスク
近年、紛争やマイノリティの弾圧、移民や外国人労働者の不当な扱い、様々なハラスメント(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント他)など、国内外において人権を脅かす事象が多発しています。当社グループの事業活動においても、バリューチェーン上における人権課題の発生、特に人権課題への不適切な対応に起因する取引停止、法令違反、当社グループに対する社会的信頼の喪失等は、企業価値に大きな影響を及ぼすリスクとなり得ます。そこで、当社グループは、人権に関する様々な負の影響を適切に防止・是正するため、「人権リスク発現の予防」と「発現したリスクへの対処」の両面に取り組んでいます。予防の観点では、外部のスクリーニングシステム等を活用した取引先のリスク把握や、人権リスクの分析による負の影響の防止・軽減に向けた取り組みを進めています。また、ハラスメントのない職場づくりに向けた施策の強化に加え、法制化されたカスタマーハラスメント防止のために講ずべき措置についても整備を進めています。リスク発生時の対応として、人権侵害やその可能性を従業員が認識した時に、迅速に経営層に情報が伝達されるよう報告ルートを制定し運用をしています。
今後も関係する部門が連携し、実効性のある人権尊重の取り組みを継続していきます。
・ 原料・資材の調達リスク
サプライチェーンが各国・地域の法規制の動向や突発事象などにより影響を受ける場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではサプライヤーの選定におけるリスク評価や監査の実施、サプライヤー及び販売先のモニタリングなどを通じてリスクを低減させることに取り組んでいるほか、外部調達を取り巻くリスク環境の変化についても継続的に把握・分析しています。これらを踏まえ、主要製品・事業における原材料の調達ルートの多様化や適正な水準の在庫の確保を通じて、安定操業に向けて取り組んでいます。また、強靭で持続可能なサプライチェーンを維持するための体系的かつ継続的なサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)の強化に向けて、グループを横断したリスクの洗い出し、分析・評価及び対策の推進に取り組んでいます。サプライチェーンに関連する各部門(製造、経営企画、営業、技術開発などの各部署)と連携しながら、実効性のあるリスク対策の実施に取り組んでおり、進捗状況を定期的にモニタリングし、継続的に見直しを行うことでSCRMを推進しています。
④ サイバーセキュリティ・技術情報管理に関するリスク
・ サイバーセキュリティ、通信インフラに関するリスク
昨今、サイバー攻撃の増加・巧妙化が進む中で、サイバーセキュリティ対策が不十分であった場合は、システム停止により事業継続が困難になる可能性があります。安心・安全・安定したIT基盤の運用は経営の大前提であり、当社グループは情報セキュリティ対策を重大な経営課題と認識し、サイバー攻撃の検知・対応ツールの強化、インシデント発生時の迅速で漏れのない情報フローの構築、事業継続・復旧体制の整備を推進するほか、eラーニングやメール訓練等による従業員のセキュリティ意識の向上施策を実施しています。引き続き、経営陣の関与のもとサイバーセキュリティ対策に関する継続的な議論を行い、グループ全体におけるグローバルでのセキュリティ対策の高度化及び従業員のセキュリティ意識向上に向けた施策を推進していきます。
・ 技術情報流出リスク
当社グループは、独自の技術情報やノウハウを競争力の源泉として事業を展開しており、サイバー攻撃や不正アクセス、従業員や取引先関係者による不適切な取扱い等により、技術情報が第三者に流出するリスクがあります。当該リスクが顕在化した場合には、競争優位性の低下や事業戦略の遂行への支障、顧客や取引先からの信頼低下、ブランド価値の毀損等を通じて、業績及び企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
このため、技術情報の区分・管理ルールの整備やアクセス制御の厳格化等の流出防止対策を講じるとともに、対応状況をグループ全体で把握・評価する一元的なモニタリング体制を構築しています。あわせて、従業員への教育・啓発活動を継続的に実施するとともに、システムを活用した機密情報へのアクセスや持ち出しの監視の高度化及び対象範囲の拡大を進め、管理体制の強化に取り組んでいます。
⑤ 自然災害やパンデミック、テロ、紛争に関するリスク
地震や風水害等の大規模な自然災害が発生した場合、従業員の負傷、製造拠点の建物や設備の被害、原材料や製品の物流途絶等により、事業活動が中断する可能性があります。各製造拠点では、リスク想定を踏まえた減災計画及び緊急時対応計画を策定し、継続的に訓練を実施しています。また、本社地区においては、大規模地震への備えとして対策本部体制を整備し具体的な活動を明確にするとともに、定期的な訓練を通じて実効性の確保に努めています。
感染症の世界的流行が再び発生した場合、従業員の健康被害や出社・移動制限等による人的リソースの不足、サプライチェーンの混乱等により、事業の継続に影響を与える可能性があります。この備えとして、新型コロナウイルス(COVID‑19)対応の教訓を踏まえた対応方針を整備するとともに、各拠点で防疫資材を備蓄しています。
海外における武力衝突やテロ等の有事が発生した場合、現地従業員や出張者の安全に加え、拠点の操業に影響を与える可能性があります。有事発生後の従業員の安全確保及び事業継続のために、有事の切迫度に応じた対応方針を定めるとともに、組織的な初動対応のための体制や役割分担を明確にしています。
これらのリスクに共通する対策として、災害や有事の発生時においても迅速な状況把握や意思決定が行えるよう、情報連絡体制の強化に取り組んでいます。具体的には、対策本部を中心とした情報収集・共有体制を整備するとともに、通常の通信手段が制約を受けた場合にも対応できるよう、衛星電話の整備等による通信手段の複線化を進めています。
下記の「M&Aに関するリスク」と「気候変動に関するリスク」については、当社の経営に重大な影響を及ぼすリスクとして取締役会でモニタリングしています。
① M&Aに関するリスク
当社グループは、事業ポートフォリオの進化にあたっては、成長投資と構造転換の両輪を回すことが重要と考え、事業投資、新規事業の創出や事業ポートフォリオの転換の手段として、国内外におけるM&Aを通じた事業展開を行っています。ZOLL Medical Corporation(2012年度)、Polypore International, Inc.(2015年度)、Sage Automotive Interiors, Inc.(2018年度)、Veloxis Pharmaceuticals A/S(2019年度)、Calliditas Therapeutics AB(2024年度)、Aicuris Anti-infective Cures AG(2026年度)などの大型買収や近年の「住宅」セグメントや「ヘルスケア」セグメントを中心とした買収などにより、のれん及び無形固定資産残高は増加傾向にあります。M&Aの結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価については、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどによって合理的に算定された価額を基礎として算定しており、事業計画等の不確実性を伴う仮定が反映されています。
そのため、事業計画等において初期に期待した投資効果が発現しなかった場合や関係会社の経営が悪化した場合、被買収企業との事業統合が遅延した場合など、のれんや無形固定資産の減損等により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、買収検討の対象企業のデューデリジェンス(詳細調査)を慎重に行い、買収後の事業統合の計画を入念に検証することで、リスクの低減に努めています。しかし、過去の大型買収が海外での新規市場や成長市場に関する案件であり、想定外の事業環境の変化への対応を誤ると、投資額の回収が困難となるリスクを抱えています。業界動向を見通すことが難しい事業については、より一層の精査をすることやリスクをより慎重に見積もることで対処していきます。
② 気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因として認識し、気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を行っています。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 [個別重要課題] (1)気候変動」の記載をご参照ください。
上記以外のリスクについて
上記に記載したリスク以外にも、当社グループの事業運営全体に係るリスクに対して日々の事業活動の中でリスク低減に努めており、主なリスク項目は以下のとおりです。
① 通商に関するリスク
当社グループは、原材料の購入や製品の輸出、海外における現地生産等、幅広く海外で事業を展開し、国際貿易や資金決済に関する二国間あるいは多国間の協定や枠組みのメリットを享受しています。これらの協定や各種枠組み等の変更や新規規制の導入などにより、関税の増加、通関の遅延・不能、資金決済の遅延・不能が生じ、代金回収や事業遂行の遅延・不能、業績悪化等が発生するリスクを負っています。当社グループでは、適時に規制内容を把握することや、関係当局に事前に相談し、対策を講じることによって、これらのリスクの低減に努めています。
米国の関税政策については、引き続き動向が流動的であるものの、米国に所在する当社グループの現地法人の原材料調達コストの上昇に繋がる懸念があります。コスト上昇分については、顧客との対話により売値への転嫁に努めるほか、必要に応じてサプライチェーンの変更などの検討を進めます。また、日本やその他の国に所在する当社グループから米国への輸出については、米国の顧客の関税負担増加により需要が減少するリスクがあります。そのため、グローバルに事業戦略を適宜見直していくほか、価格競争の影響を受けにくい高付加価値品の研究、開発を進めます。
また、グループ会社間の国際的な取引価格については、当社グループ税務方針に基づき、日本国政府及び相手国政府の移転価格税制を遵守していますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。そのため、重要性の高いグループ会社間取引については、事前確認制度の活用、あるいは、外部専門家の意見も参考にしながら、各国の移転価格税制を踏まえた独立企業間価格を設定しています。
② 事業競争力に関するリスク
当社グループは、「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の3つのセグメントにおいて、付加価値の高い製品・サービスを提供していますが、類似の製品や技術による競合企業のキャッチアップ、新たな競合企業の参入等によって競争環境が激化することや、デジタル技術や脱炭素化に貢献する技術等急速な技術革新による産業構造の変化、急激な需要構造・市場構造の変化などにより、当社グループの各事業の競争力を損なう可能性があります。当社グループでは、競合製品の競争力や産業構造の変化をタイムリーかつ的確に見通すことに努めるとともに、製品やサービスの絶え間ない差別化や模倣困難なビジネスモデルの構築、知的財産等による高い参入障壁を設けることにより、これらのリスクの低減に努めています。
③ 市況変動によるリスク
・ 原油・ナフサ価格変動リスク
当社グループは、原油やナフサを原料とした石油化学製品の製造・販売事業を展開しています。また、各原料市況並びに需給バランスから固有の市況を形成しており、その変動は当該事業や誘導品からなる当社グループの各事業に影響を及ぼします。特に、事業規模が大きいアクリロニトリル事業は市況の変動の影響が大きいため、販売価格のフォーミュラの見直し等、収益の安定化に努めています。
・ 為替変動リスク
当社グループは、輸出入及び外国間等の貿易取引において、外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動による影響を受けます。そのため、取引においては、先物為替予約等によるヘッジ策やCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の活用による、安定的かつ効率的な資金活用を目指しています。当社グループは、収益の多くが外貨建てであることに加え、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、当社グループの業績にマイナスのインパクトを与えます。当社の試算では、米ドル・円レートが1円変動すると連結営業利益に年間15億円の変動をもたらします。
(4) 各セグメントに係るリスク
「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の各セグメントでは、事業上の課題やリスクへの対策検討を実施するなかで事業重要リスクのPDCA管理も実施しています。各事業の課題やリスクに関する詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本項の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。これらの記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた一定の前提条件や見解に基づくものであり、「3 事業等のリスク」等に記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績はこれらの予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容
① 経営成績
Ⅰ 当社グループ全体
当社グループの当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日、以下、「当期」)における連結業績は、エッセンシャルケミカル事業の定期修理の影響や在庫受払差の影響等を受けた「マテリアル」は減益となりましたが、医薬事業の利益成長が寄与した「ヘルスケア」、国内住宅事業が堅調に推移した「住宅」は増益となったことから、売上高は3兆745億円で前連結会計年度(以下、「前期」)比372億円の増収となり、営業利益は2,312億円で前期比193億円の増益となりました。経常利益は2,304億円で持分法による投資利益の増加などにより前期比370億円の増益となりました。また、前期比で事業構造改善費用は増加しましたが、税金費用が減少したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,588億円で、238億円の増益となりました。その結果、EPS(1株当たり当期純利益)は116.97円と前期比19.03円の増加となりました。
資本効率について、当期のROICは5.9%で前期比0.4%の改善、ROEは8.0%で前期比0.7%の改善となりました。
財務健全性については、有利子負債の減少を受けて、D/Eレシオは0.46となりました。
〈当社グループの業績〉
Ⅱ セグメント別
ⅰ 「ヘルスケア」セグメント
売上高は6,641億円で前期比482億円の増収となり、営業利益は835億円で前期比194億円の増益となりました。
医薬事業は、主力製品の販売量増加や、2024年10月より連結を開始したスウェーデンの製薬会社Calliditas Therapeutics ABの新規連結効果等に伴い、増益となりました。ライフサイエンス事業は、「プラノバ™」の販売量が増加したものの、販管費の増加や血液浄化事業の譲渡影響等により、減益となりました。クリティカルケア事業は、「LifeVest®」の新規患者数の増加や除細動器の新製品上市の効果がありましたが、販管費の増加等により、減益となりました。
ⅱ 「住宅」セグメント
売上高は1兆774億円で前期比415億円の増収となり、営業利益は998億円で前期比39億円の増益となりました。
建築請負事業は、物件の大型化・高付加価値化による平均単価の上昇等により、増益となりました。不動産開発事業は、分譲マンションの販売戸数は減少したものの、物件の構成差や固定費削減により、増益となりました。賃貸管理・不動産流通事業は、管理戸数及び仲介件数の増加により、増益となりました。また、建材事業も、価格転嫁の進捗等により、増益となりました。
一方、海外住宅事業については、北米事業において住宅需要の落ち込みによる数量減少や価格対応の影響を受け、減益となりました。
ⅲ 「マテリアル」セグメント
売上高は1兆3,062億円で前期比625億円の減収となり、営業利益は683億円で前期比116億円の減益となりました。
エレクトロニクス事業は、AIサーバーやハイエンドスマホを中心とした半導体・電子機器関連事業の旺盛な需要を背景に、主力製品の販売が伸長し、増益となりました。
一方、エッセンシャルケミカル事業は、在庫受払差の影響や水島製造所における大規模な定期修理の実施により、減益となりました。カーインテリア事業は、欧州での販売が堅調に推移したものの、中国及び北米での販売量減少や固定費の増加等により、減益となりました。
エナジー&インフラ事業は、イオン交換膜法食塩電解事業における電解プラントの販売が増加した一方、セパレータ事業では鉛蓄電池用セパレータ事業の譲渡影響や、ハイポア事業における販管費増加及び経時的な価格対応の影響により、減益となりました。また、コンフォートライフ事業は、繊維事業の販売量減少等により、パフォーマンスケミカル事業は、市況下落による在庫受払差の影響及び定期修理の影響等により、それぞれ減益となりました。
Ⅲ 生産、受注及び販売の状況
ⅰ 生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産の状況については、「Ⅱ セグメント別」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
ⅱ 受注状況
当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているため、特記すべき受注生産はありません。
ⅲ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
② 財政状態
当期末の総資産は、為替の円安影響や「住宅」における棚卸資産の増加などにより、前期比1,227億円増加し、4兆1,379億円となりました。
流動資産は、現金及び預金が164億円減少したものの、棚卸資産が744億円、受取手形、売掛金及び契約資産が224億円増加したことなどから、前期比959億円増加し、1兆8,654億円となりました。
固定資産は、投資有価証券が281億円、繰延税金資産が153億円、無形固定資産が127億円減少したものの、有形固定資産が405億円、退職給付に係る資産が348億円増加したことなどから、前期比268億円増加し、2兆2,726億円となりました。
流動負債は、未払費用が162億円増加したものの、短期借入金が1,033億円、コマーシャル・ペーパーが870億円減少したことなどから、前期比1,715億円減少し、7,931億円となりました。
固定負債は、社債が300億円、退職給付に係る負債が136億円減少したものの、その他固定負債が386億円、長期借入金が204億円増加したことなどから、前期比425億円増加し、1兆1,792億円となりました。
有利子負債は、前期比1,899億円減少し、9,675億円となりました。
純資産は、配当金の支払544億円や自己株式の取得23億円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,588億円計上したことや為替換算調整勘定が1,244億円、退職給付に係る調整累計額が255億円増加したことなどから、前期末の1兆9,139億円から2,517億円増加し、2兆1,656億円になりました。
その結果、1株当たり純資産は前期比170.50円増加し1,539.66円となり、自己資本比率は前期末の46.3%から50.5%となりました。D/E レシオは前期末から0.16ポイント減少し0.46となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
Ⅰ キャッシュ・フローの状況
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは3,031億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1,069億円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は1,962億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは2,454億円の支出となり、これらに加え、現金及び現金同等物に係る換算差額による増加312億円などがありました。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べ180億円減少し、3,721億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加766億円、法人税等の支払488億円、投資有価証券売却益417億円などの支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,146億円、減価償却費1,626億円、のれん償却額337億円、前受金の増加286億円、減損損失167億円などの収入があったことから、3,031億円の収入(前期比16億円の収入の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入626億円、投資有価証券の売却による収入489億円、有形固定資産の売却による収入57億円などの収入があったものの、有形固定資産の取得による支出1,937億円、無形固定資産の取得による支出174億円、貸付けによる支出108億円などの支出があったことから、1,069億円の支出(前期比2,743億円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入831億円、非支配株主からの払込みによる収入180億円などの収入があったものの、短期借入金の減少1,068億円、コマーシャル・ペーパーの減少870億円、長期借入金の返済による支出639億円、配当金の支払544億円などの支出があったことから、2,454億円の支出(前期比3,899億円の支出の増加)となりました。
当社グループの連結キャッシュ・フローの推移
(単位:億円)
Ⅱ 流動性と資金調達の源泉
(資本の財源及び資金の流動性について)
2027年3月31日に終了する連結会計年度においては、各セグメントが安定的なキャッシュ・フローを創出することを見込んでいます。加えて、財務規律の強化や事業ポートフォリオ転換などを通じた収益体質の強化にも取り組み、更なるキャッシュの創出に継続的に努めています。
また、当社グループでは、D/Eレシオ0.7を目安に健全な財務体質を維持しつつ、これを背景に金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行など多様な調達手段により、安定的かつ低コストの資金調達を図ります。同時に資金の年度別返済の集中を避けることで借り換えリスクの低減も図っています。
これらの資金を、経営基盤の強化・変革、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略的な投資、及び株主の皆様への還元に活用していきます。
なお、当社グループでは、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とグローバル・ノーショナル・キャッシュ・プーリングを導入しており、国内外の金融子会社、海外現地法人などにおいて集中的な資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンスの考え方を基本としています。グローバル拡大への対応とグループ経営の深化の視点から、今後も連結ベースでの資金管理体制の更なる充実と資金効率化を図ります。
(2) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、棚卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
① 棚卸資産の評価
当社グループで保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により期末における回収可能価額が取得原価よりも下落している場合には、回収可能価額まで棚卸資産の評価を切り下げています。回収可能価額は、商品及び製品については正味売却価額に基づき、原材料等については再調達原価に基づいています。経営者は、棚卸資産の評価に用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、当社グループは、主に「マテリアル」セグメントを中心として市場価格の変動リスクに晒されており、将来、経営環境の悪化等により市場価格が下落した場合には棚卸資産の簿価を切り下げることになります。
② 企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価
当社グループは、企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価について、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの合理的に算定された価額を基礎として算定しています。
経営者は、無形固定資産の時価の見積りに用いられた、事業計画に含まれる将来の販売数量の見込みや割引率等についての主要な仮定について合理的であると判断しています。
③ 有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の減損
当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、減損損失の認識の判定を行っています。減損の存在が相当程度に確実と判断した場合、減損損失の測定を行い、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としています。使用価値は、将来の市場の成長度合い、収益と費用の予想、資産の予想使用期間、割引率等の前提条件に基づき将来キャッシュ・フローを見積もることにより算出しています。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価は合理的であると判断しています。ただし、予測不能な市場環境の悪化等により有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の評価に関する見積りの前提に重要な変化が生じた場合には、減損損失を計上する可能性があります。
④ 繰延税金資産の評価
当社グループは、繰延税金資産のうち、回収可能性に不確実性があり、将来において回収が見込まれない金額を評価性引当額として設定しています。繰延税金資産の回収可能性については、課税所得及びタックスプランニングの見積りにより計上していますが、特に課税所得の見積りには将来に関する予測や情報が含まれています。将来の予測や情報に基づき、繰延税金資産の一部又は全部が回収できない可能性が高いと判断した場合には、将来回収が可能と判断される額までを繰延税金資産に計上しています。経営者は、繰延税金資産の回収可能性の判断及び前提となる課税所得やタックスプランニングの見積りは適切であると判断しています。ただし、将来、経営環境の悪化等により、想定していた課税所得が見込まれなくなった場合は、評価性引当額を設定することにより繰延税金資産が取崩される可能性があります。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループは主として従業員の確定給付制度に基づく退職給付債務及び費用について、割引率、昇給率、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件を用いた数理計算により算出しています。割引率は測定日時点における、従業員の給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた長期国債利回りに基づき決定し、各前提条件については定期的に見直しを行っています。長期期待運用収益率については、過去の年金資産の運用実績及び将来見通しを基礎として決定しています。
経営者は、年金数理計算上用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、前提条件を変更した場合、あるいは前提条件と実際の数値に差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
5 【重要な契約等】
(1) 合弁会社株主間契約
(注) PTT Global Chemical Public Company Limitedと協議の結果、PTT Asahi Chemical Co., Ltd.が今後事業を継続することは困難との判断で一致し、本合弁事業を終了することで合意したため、2024年11月15日に事業撤退計画等を反映した修正契約を締結しました。
(2) 旭化成アドバンスと帝人フロンティアの経営統合について
当社は、当社の連結子会社である旭化成アドバンス㈱と、帝人株式会社(以下、「帝人」)の連結子会社である帝人フロンティア株式会社(以下、「帝人フロンティア」)について、帝人フロンティアを存続会社とする吸収合併を実施することを決定し、2026年10月1日(予定)を効力発生日として帝人フロンティアを当社及び帝人の共同出資による合弁会社(帝人80%、当社20%)とする基本契約を2025年12月1日付で締結しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しています。
(3) 鉛蓄電池用セパレータ「Daramic®」事業の譲渡について
当社は、当社の連結子会社であるPolypore International, LLC傘下で運営する鉛蓄電池用セパレータ「Daramic®」事業を、Kingswood Capital Management, L.P.が傘下に設立したDaramic Buyer LLC及びPolypore Buyer LLCに譲渡することを合意し、その手続きを2025年12月1日に完了しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しています。
(4) Aicuris Anti-infective Cures AGの株式の取得について
当社の連結子会社であるVeloxis Pharmaceuticals, Inc.は、ドイツの医薬品開発企業である Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式を取得することを合意し、その手続きを2026年4月17日に完了しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しています。
(5) Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式の取得に係る資金借入について
当社は、Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式の取得に係る所要資金調達のために、株式会社三井住友銀行等との間で、当座貸越契約を締結し、2026年4月14日付で、借入を実行しています。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しています。
6 【研究開発活動】
当社グループにおける研究開発活動は、各領域における研究・開発体制とコーポレート共通部門が経営基盤(事業、技術、人財)を 相互活用し、“旭化成だからこそ”のシナジーや非連続な価値の創出を目指すことを基本戦略としています。当社及び連結子会社の研究費、主たる研究開発活動の概要及び成果は以下のとおりです。
1 コーポレートの研究開発における基本方針
(1) コーポレート研究開発の機能
コーポレートの研究開発(コーポレートR&D)は、研究開発におけるコア技術の育成・獲得・深耕及びイノベーションによる新事業創出、さらには全社における技術基盤機能を通して旭化成グループの持続的な成長の実現に向けた原動力となることを目指しています。2025年度より、主にマテリアル領域の研究を担っている組織を「マテリアル新事業開発センター」として一括りにすることで、より事業貢献を意識した体制としました。一方で、研究·開発本部は、旭化成グループ全体視点に基づいたテーマに集中することで事業側との役割分担を再構築し、研究・開発テーマのポートフォリオ最適化を進めています。
(2) 戦略分野等
グループ全体の利益成長を牽引する「重点成長」事業(医薬、クリティカルケア、海外住宅、エレクトロニクス)とより中期的な視点での成長を目指す「戦略的育成」事業(ライフサイエンス、国内住宅、エナジー&インフラ)をコーポレートR&Dの戦略分野としてリソースを重点配分していきます。加えて、不確実な未来に向け、旭化成の多彩な技術ナレッジを起点として“旭化成だからこそ”のシナジーや非連続な価値を創出していくこともコーポレートR&Dの役割になります。研究開発を進めるにあたっては、オープンイノベーションを通じて共創による開発を進めるとともに社会実装を加速し、さらに、DX・AIや知的財産権のフル活用により無形資産の価値の最大化を図ります。これらの取り組みを通して、従来のモノ売り型の事業から、データ活用によるソリューション型の事業へと、研究・開発の段階から転換を加速していきます。
2 新事業創出に向けた研究開発の加速のための取り組み
(1) CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活動
当社グループは、2008年に日本国内でCVCを設立し、2011年から米国を拠点として、スタートアップ企業への投資を通して最先端技術・ビジネスを獲得し、新事業の創出を行ってきました。現在は、米国、ドイツ、中国、日本の拠点でグローバルに活動の幅を広げ、これまで50社を超えるスタートアップ企業に投資を行っています。3年間で6,000万米ドルの投資枠を設けて、1社当たり500万ドルまでの投資に関しては本社での決裁を不要とするなど、スピーディな意思決定や手続きができるような仕組みを運用しています。
2023年4月には、カーボンニュートラルに特化した「Care for Earth」投資枠を設定しました。水素、蓄エネルギー、カーボンマネジメント、バイオケミカルなどの環境分野の課題解決に取り組むアーリーステージのスタートアップ企業を対象に、2027年度までの5年間にグローバルで1億ドルの出資を実施していく予定です。この投資枠を使い、2023年12月にはアニオン交換型の水電解装置用の膜を開発するカナダのIonomr Innovations Inc.への出資参画を決定しました。
(2) オープンイノベーションによるミッシングパーツの取り込み
研究テーマの探索/研究開発/事業開発のそれぞれの段階で、アセットライト、高付加価値化、スピードアップの実現へ向けて産官学のパートナーと連携を進めています。外部のオープンイノベーションプラットフォームも積極的に活用しており、一例として、サステナブルな価値の提供を目指すオープンイノベーションプログラム「Asahi Kasei Value Co-Creation Table」を2022年度から継続的に実施するなど、従来の商流にとらわれない新たなパートナーとの共創を加速しています。
(3) 社内基盤の強化(事業開発視点を重視した独自のアジャイル型ステージゲート管理や、オープンイノベーション文化の醸成)
研究開発テーマのポートフォリオ管理や適切な資源配分を目的として、アジャイル型ステージゲート制度を導入しています。探索、研究、開発、事業開発、事業化準備の各ステージの要件や、各研究開発テーマのステージ上の位置付けを明確にし、研究開発テーマを次のステージに移行させる判断にあたっては、技術視点のみならず、顧客価値視点を重視し、ビジネスモデル、事業戦略、特許戦略、品質保証、製造、環境安全対応等、ステージごとに必要な審査を強化しています。さらに、審査プロセスを通じて、研究開発部門の内外のメンバーから多面的な助言を得ることや、各事業との連携を深め、既存事業との関係性の整理・明確化、パートナー連携の活用強化や出口戦略の多様化に取り組んでいます。
また、研究開発に関わる高度専門人材があふれ出る仕組みの構築と風土の醸成へ向けて、働き方やDE&I、キャリア支援、組織の支援や個の支援の各場面において、挑戦・成長を促して多様性を拡げるためのキャリア施策とマネジメント施策を進め、社内での対話を通じた共創・イノベーションを目指しています。
3 主な研究開発活動
(1) 当社グループ全体(コーポレート)
① 超イオン伝導性電解液技術のライセンス契約を締結
旭化成が開発した超イオン伝導性電解液技術に関するライセンス契約をドイツの電池メーカーEAS Batteries社(以下、EAS社)と締結しました。本技術は、EAS社が新たに開発したリン酸鉄を正極に用いた円筒型の超高出力リチウムイオン電池に採用され、2026年3月に販売開始される予定です。旭化成とEAS社は、両社の技術を融合し、ドイツ連邦教育研究省の「HEADLINE」プロジェクトの支援も受け、次世代電池の開発を進めてきました。両社は本技術を世界中の自動車メーカーや電池メーカーへサブライセンスする取り組みにも合意しており、モビリティ分野への展開も目指しています。
本取り組みは、旭化成が推進する無形資産を活用した新規事業創出の取り組み「TBC(Technology-value Business Creation)」に基づくものです。
② ウルトラワイドバンドギャップ半導体を活用した次世代高周波デバイスの開発
名古屋大学との共同研究により、ワイドバンドギャップ半導体として知られるシリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも広いバンドギャップを持つウルトラワイドバンドギャップ半導体である窒化アルミニウム(AlN)基板上にコヒーレント成長させたAlN/GaN/AlN 高電子移動度トランジスタ(HEMT)を実現し、従来のGaN HEMTと比べ2倍以上の耐圧性能、低抵抗化、そして電流コラプスの抑制を実証しました。本成果は、高周波デバイスの飛躍的な性能向上に直結するブレークスルーであり、次世代の通信やレーダーシステムにおける高周波・高出力デバイスへの展開が期待できます。
③ 膜・セパレーション技術の開発
当社グループのコア技術である相分離技術をベースに膜・セパレーション技術の研究開発を進めることにより、既存事業の強化に加えて、新たな事業展開を加速しています。
Ⅰ バイオプロセスFO(正浸透)膜
医薬品製造プロセスで使用されるバイオプロセスFO(正浸透)膜は、FOシステムとMD(膜蒸留)システムのハイブリッドにより、非加熱・非加圧で濃縮できるため医薬品の変性を防ぐとともに、凍結時間の短縮やエネルギー負荷の低減の実現を通じて医薬品製造プロセスを革新するものであり、既に複数の顧客候補と実証実験に取り組んでいます。
Ⅱ アニオン交換型の水電解装置用の膜
水電解にはアルカリ水電解型を含めていくつかの方式がありますが、性能・コストの両面で大幅な改善が期待される次世代膜として、アニオン交換型の水電解装置用の膜(Anion-Exchange Membranes、AEM)への展開にも取り組んでいます。2023年12月にCVCの「Care for Earth」投資枠で出資参画したカナダのIonomrが手掛けるアニオン交換型の水電解は、再生可能エネルギーを利用する際に特に求められる負荷変動対応で優れる他、希少金属を使わないことからコスト面でのポテンシャルも期待されています。今後、研究開発面での同社とのコラボレーションを進め、AEMに関する知見を蓄えるとともに、当社が保有する知見・技術を活用し、同社の膜の性能向上も支援していきます。
④ 森林由来J-クレジット創出支援システムの開発
当社発祥の地であり、多くの事業を展開する延岡市への地域貢献の一環として、2023年より、延岡市や延岡地区森林組合などと連携し、「森林由来J-クレジット推進協議会」において、延岡市の市有林を活用した森林クレジット創出に取り組んできました。森林クレジットの創出は作業負担の大きさや複雑さが課題とされており、そうした課題解決のため、当社はデータ管理や自動化のノウハウを活かし、森林クレジットの申請手続きを効率化するシステムを開発しました。本システムでは、都道府県、市町村、森林組合の持つ情報をデータベース化することで、上記の申請手続きを大幅に効率化し、従来は1.5~3カ月要していた作業を、約4~5日で完了できるようになりました。これにより、専門知識のない方でも短時間で森林クレジットの申請が可能になります。これまで課題となっていた申請作業の負担を軽減することで、森林クレジットの活用拡大が期待できます。森林クレジットの活用により、森林が資源として定量的に評価・価値化されることで、適切な森林管理が進み、CO₂吸収量の増大、環境保全や防災、地域経済の活性化が期待できます。
本システムの活用により、延岡市においてクレジット申請のための業務量を約90%削減することに成功し、低コストでの森林クレジット調達を実現しました。
⑤ 乳牛の乳房炎原因菌を迅速に検出する技術のライセンス契約の締結
当社独自の乳牛の乳房炎原因菌を検出する技術を開発し、技術系専門商社エア・ブラウン株式会社と日本及びアジア・中東地域を対象としたライセンス契約を締結しました。当社では、ヘルスケア領域での感染症診断をターゲットとして、細菌検出技術の研究を進めてきました。その中で、幅広い細菌種に対する抗体ラインナップ及びさまざまな検体に対応する検査キット化ノウハウを獲得しました。今回、これらの技術を応用し、このたび、酪農業界において症例数が多く経済的影響が大きい感染症である乳牛の乳房炎に着目して、主要原因菌である大腸菌群、ブドウ球菌、レンサ球菌を検出できる当社独自の検査技術を開発しました。本技術を用いることで、専門技術がなくても、酪農家自身が乳汁中の細菌を約1時間で簡単に検出することが可能になります。それにより、乳房炎罹患例に対して的確な治療・対処方針を迅速に策定することが可能となり、酪農家の経済的損失の減少が期待できます。
本取り組みは、旭化成が推進する無形資産を活用した新規事業創出の取り組み「TBC(Technology-value Business Creation)」に基づくものです。
⑥ ウルトラワイドギャップ半導体技術のスタートアップULTEC社の設立
2025年4月に旭化成発のスピンアウトベンチャーとなるULTEC(ウルテック)株式会社(以下、「ULTEC社」)を設立しました。ULTEC社は、窒化アルミニウム(AlN)を用いたウルトラワイドギャップ半導体技術を基盤に、深紫外線レーザーダイオード(UV-C LD)、遠紫外線LED、深紫外線センサ、高耐圧パワーデバイスなどの開発・事業化を進めるスタートアップです。このUV-C LD技術は、2025年6月、レーザー技術分野で世界的に権威のあるBerthold Leibinger Innovationspreis(ベルソルト・ライビンガー・イノベーション賞)にて第3位を受賞しました。ULTEC社は旭化成の持つ先進的な技術の新しい出口戦略の一環というミッションを担い、PoC(概念実証)と社外パートナーシップを通じ、UV-C LDの実用化とマーケットの拡大を目指します。
(2) 「ヘルスケア」セグメント
医薬事業では、自社オリジナル製品の研究開発で培った経験をもとに、免疫領域(SLE、移植等)、整形外科領域(骨、疼痛等)及び救急領域を中心に、有効な治療方法がない医療ニーズを解決することによって、「健康でいたい」と願う世界中の人びとのQOL(Quality of Life)向上を図ることを目指して、積極的な研究開発を行っています。創薬技術や創薬シーズ、創薬テーマについては、世界中の企業や大学とのコラボレーションを積極的に推進することによって、絶えざる革新を日々進めています。
ライフサイエンス事業では、治療の可能性を広げ、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供するために、グループ総力を挙げた研究開発に取り組んでいます。グループのコア技術である膜、フィルター、吸着材等による濾過・分離技術を、化学、機械工学、医薬分野での幅広い知見や保有技術と高度に融合させることで、血液製剤や生物学的製剤のウイルス安全性確保やプロセスエンジニアリングをはじめとしたライフサイエンス分野における技術をさらに発展させていきます。2024年10月には高い透水性を特徴とした次世代ウイルス除去フィルター「プラノバ™ FG1」を発売しました。さらには医薬品製造プロセスにおいて凍結乾燥前の原料液を非加熱・非加圧で濃縮し、大幅な製造工程の短縮を可能とする独自技術を用いたFO膜/MD膜の事業化を目指す取り組みも開始しました。
クリティカルケア事業では、革新的医療の提供に注力します。従来の心肺蘇生や心疾患領域における市場ポジションの継続的な強化に加えて、睡眠時無呼吸症領域に事業拡大していきます。Respicardia、Itamar、及びZOLLの「LifeVest®」が持つ強みと市場チャネルを統合することで、心疾患と関連があると言われる睡眠時無呼吸症に対して高度な診断・治療ソリューションを提供していきます。
(3) 「住宅」セグメント
住宅事業では、「ロングライフの実現」を支えるコア技術について、重点的な研究開発を続けています。シェルター技術については、安全性(耐震・制震技術、火災時の安全性向上技術)、耐久性(耐久性向上・評価技術、維持管理技術、リフォーム技術)に加えて、居住性(温熱・空気環境技術、遮音技術)、環境対応性(省エネルギー技術、低炭素化技術)の開発を行っています。教育・研究機関や企業との連携による研究開発、技術開発も進めており、2025年4月に旭化成ホームズ㈱が、学校法人麻布獣医学園と都市部における人とペットの共生を軸としたすまいづくり、環境づくり、コミュニティづくりを通しての地域・社会貢献と社会のウェルビーイングを目指すことを目的とした寄附講座を設置しました。また、2025年11月より当社、旭化成ホームズ㈱、積水化学工業株式会社、積水ハウス株式会社及び株式会社CFPの5社で、住宅の建築現場で発生する給水給湯管の施工端材を回収して再生製品として生まれ変わらせ、再び施工する資源循環スキーム構築に向けた取り組みを行っています。さらに、AIとデータサイエンス技術を活用して、お客様の暮らしを豊かにする多角的なサービスを提供するデジタルサービスプラットフォームの構築を目指した取り組みを行っています。2021年にはIoTを活用した宅配物の受け取りやセキュリティレベルを選択可能にした収納空間「スマートクローク・ゲートウェイ」の運用を開始しており、今後もさらに生成AIの開発を進め、住宅全体への展開を目指していきます。
建材事業では、軽量気泡コンクリート(ALC)、フェノールフォーム断熱材、杭基礎、鉄骨造構造資材の4つの事業分野において基盤技術の強化を推進しています。2026年度からは、「安全で快適なくらしを創造します」「独自の技術とパートナーシップで未来を支える新たな価値を提供します」という新たな企業理念・ビジョンを掲げています。
(4) 「マテリアル」セグメント
エナジー&インフラ事業のセパレータ事業では、高分子設計・合成、製膜加工や塗工などのコア技術を活かして、「省資源・省エネルギー・コストダウン」「環境負荷軽減」「再生可能エネルギーの普及」に向けた開発を推進しています。電気自動車等の環境対応車、電子機器、電動ツールや蓄電システム用途に展開するリチウムイオン電池用高機能セパレータ等の環境・エネルギー関連素材の展開に注力していきます。また、電池素材メーカーとして蓄積したデータをもとにした、電池の耐久性や寿命、航続距離を伸ばすソリューションの開発・展開も併せて検討していきます。
イオン交換膜事業では製造型リカーリングを推進しており、「メンテナンス最適化」「トラブルレス」「運転条件最適化・簡易化」の顧客課題をソリューション開発により解決するため、顧客とのデータ基盤の構築やシステムの構築に向けた取り組みを行い、ソリューション提案を推進しています。また、イオン交換膜法食塩電解事業で構築した事業基盤を、アルカリ水電解水素製造のビジネスへ展開しており、両事業が一体となって成長を目指していきます。大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer™」に加えて、新たに導入したコンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3」を駆使して、実証を強力に推進するとともに、2028年度には、クリーン水素製造用のアルカリ水電解システムと塩素・苛性ソーダ製造用のイオン交換膜法食塩電解プロセスの両方に対応した電解用枠・電解用膜が併産できる生産設備を稼働させる予定です。
カーインテリア事業の自動車内装材事業では、環境負荷低減に貢献する取り組みとして、スエード調人工皮革「Dinamica®」のリサイクル原料比率向上やモノマテリアル化などを通じたサステナビリティ強化など、リサイクル性の高い素材やバイオマス由来原料の積極的な活用を検討しています。
エレクトロニクス事業の電子材料事業では、微細化、高集積化、高速化を支える最先端半導体・実装プロセス革新に向け、感光性ポリイミド「パイメル™」や感光性ドライフィルム「サンフォート™」、プリント配線板用ガラスクロスなど先進・独自の技術による高付加価値製品の展開を進めています。また最先端パッケージの開発に向けて、データ駆動型の研究インフラを独自で構築し、実験・評価の自動化と実証スピードを飛躍的な向上を実現します。これまでに培った知財データとマテリアルズ・インフォマティクス(MI)も活用して、開発競争力の強化を図っています。
電子部品事業では、デジタル社会の進展に対応し、「音」「磁気」「ガス」のセンシング技術を主軸に、省エネ・健康・快適に繋がるソリューションを提供できる技術及び製品の開発を推進しています。豊富な技術資産と柔軟なエンジニア組織運営により、センサ技術、アナログ信号処理技術、アルゴリズム技術等を融合し、独自のソフトウェアを活かした高機能電子部品の開発に取り組んでいきます。特に電気自動車(EV)化に伴うパワー系のセンシングソリューション、またサウンドマネジメントソリューションのトレンドを的確に掴んだ、特徴のあるソリューション提案を進めています。
第3 【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
当社グループ(当社及び連結子会社)は、長期的に成長が期待できる製品分野における新規投資、能力拡大投資に重点を置くとともに、製品の信頼性向上やコストダウンを目的とした合理化、情報化、維持投資を行っています。
当連結会計年度のセグメントごとの設備投資額(有形、無形固定資産(のれん除く)検収ベース数値)は次のとおりです。
(注) 2025年4月1日に研究開発等の機能の一部を「マテリアル」へ再編したことに伴い、第1四半期連結会計期間より、従来「全社及びセグメント間取引消去」に含めていた一部の研究組織等を「マテリアル」に含めて表示しています。それに伴い、前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しています。
当連結会計年度は、「マテリアル」セグメントを中心に、競争優位事業の拡大投資及び改良・合理化投資等2,223億円の投資を行いました。
セグメントごとの主な投資内容は以下のとおりです。
2 【主要な設備の状況】
(1) 提出会社
2026年3月31日現在
(2) 国内子会社
2026年3月31日現在
(3) 在外子会社
2026年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額については、連結消去前の金額で表示しています。
2 帳簿価額「その他」は、工具、器具及び備品、使用権資産、建設仮勘定の合計です。
なお、表中の「リース資産」には有形固定資産のみ記載しています。
3 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。
3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設等
2026年3月31日現在において、当社グループが実施又は計画している2026年度の設備の新設、重要な拡充、改修等の状況は次のとおりです。
(注) 上記計画の所要資金は、グループ内資金により賄う予定です。
(2) 重要な設備の除却等
該当事項はありません。
第4 【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1) 【株式の総数等】
① 【株式の総数】
② 【発行済株式】
(2) 【新株予約権等の状況】
① 【ストックオプション制度の内容】
該当事項はありません。
② 【ライツプランの内容】
該当事項はありません。
③ 【その他の新株予約権等の状況】
該当事項はありません。
(3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当事項はありません。
(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】
(注) 2024年11月1日開催の取締役会決議により、2025年3月14日付で自己株式の一部の消却を行ったため、発行済株式総数は28,180,100株減少し、1,365,751,932株となっています。
(5) 【所有者別状況】
2026年3月31日現在
(注) 1 上記「その他の法人」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が8,000株(80単元)含まれています。
2 当社は2026年3月31日現在自己株式を6,116,443株保有していますが、このうち、6,116,400株(61,164単元)は「個人その他」の欄に、43株は「単元未満株式の状況」の欄にそれぞれ含めて記載しています。
(6) 【大株主の状況】
2026年3月31日現在
(注) 1 所有株式のうち、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の200,145千株、株式会社日本カストディ銀行の80,976千株並びにみずほ信託銀行株式会社の19,800千株は信託業務に係る株式です。
2 2019年4月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.3)において、日本生命保険相互会社並びにその共同保有者であるニッセイアセットマネジメント株式会社及び大樹生命保険株式会社が2019年4月15日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
3 2023年3月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.1)において、株式会社三菱UFJ銀行並びにその共同保有者である三菱UFJ信託銀行株式会社、MUFG Securities EMEA plc及び三菱UFJ国際投信株式会社が2023年2月27日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
4 2023年7月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.24)において、Capital Research and Management Company並びにその共同保有者であるキャピタル・インターナショナル株式会社、Capital International Inc.及びCapital Group Private Client Services, Inc.が2023年6月30日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
5 2025年1月10日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.1)において、株式会社みずほ銀行並びにその共同保有者であるみずほ証券 株式会社及びアセットマネジメントOne株式会社が2024年12月31日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
6 2025年9月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.9)において、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社並びにその共同保有者であるアモーヴァ・アセットマネジメント株式会社が2025年9月15日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
なお、日興アセットマネジメント株式会社は、2025年9月1日付でアモーヴァ・アセットマネジメント株式会社に社名変更しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
7 2025年10月3日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書(No.6)において、ブラックロック・ジャパン株式会社並びにその共同保有者であるBlackRock Advisers, LLC、BlackRock Financial Management, Inc.、BlackRock Investment Management (Australia) Limited、BlackRock (Netherlands) BV、BlackRock Fund Managers Limited、BlackRock Asset Management Canada Limited、BlackRock Asset Management Ireland Limited、BlackRock Fund Advisors、BlackRock Institutional Trust Company, N.A.、BlackRock Investment Management (UK) Limitedが2025年9月30日現在でそれぞれ以下のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書(変更報告書)に記載された変更後の内容>
8 NOMURA INTERNATIONAL PLC並びにその共同保有者である野村アセットマネジメント株式会社から、2026年3月19日付で関東財務局長に提出された大量保有報告書により、2026年3月13日現在でそれぞれ以下のとおり株式を保有している旨の報告を受けていますが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿の記載内容に基づいて記載しています。
<大量保有報告書に記載された内容>
9 「所有株式数(千株)」は、千株未満切り捨てで記載しています。
(7) 【議決権の状況】
① 【発行済株式】
2026年3月31日現在
(注) 上記「完全議決権株式(その他)」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が8,000株(議決権の数80個)及び取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式3,194,150株が含まれています。
② 【自己株式等】
2026年3月31日現在
(注) 1 取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式3,194,150株は、上記自己名義所有株式に含まれていません。
2 他人名義で所有している理由並びに名義人の氏名又は名称及び名義人の住所は次のとおりです。
(8) 【役員・従業員株式所有制度の内容】
当社は、当社の取締役(社外取締役を除く)及び当社執行役員並びに当社グループの事業会社における執行役員のうち、所定の職位を有する者(以下、併せて「取締役等」)を対象に、株式価値と取締役等の報酬との連動性を明確にし、取締役等が株価上昇によるメリットを享受するのみならず株価下落リスクをも負担し、それらを株主の皆様と共有することで、当社グループにおける持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献する意欲を高めることを目的として、株式報酬制度を導入しています。
① 株式報酬制度の概要
本制度は、当社が金員を拠出することにより設定する信託(以下、「本信託」)が当社株式を取得し、対象となる取締役等に対して当社取締役会で定める株式交付規程に従いポイントを毎期付与し、原則として取締役等の退任時に本信託を通じて累積ポイント数に応じた当社株式及び当社株式を時価で換算した金額相当の金銭が交付される株式報酬制度です。なお、本信託勘定内の当社株式に係る議決権は、一律に行使しないこととします。
② 取締役等に交付する株式の総数又は総額
2026年3月31日現在で、三井住友信託銀行株式会社(信託口)が3,194,150株を保有しています。
③ 本株式交付制度による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
取締役等を退任した者のうち、株式交付規程に定める受益者要件を充足する者。
2 【自己株式の取得等の状況】
(1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
(2) 【取締役会決議による取得の状況】
(注) 「当期間における取得自己株式」には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までに取得した株式数は含まれていません。
(3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
(注) 「当期間における取得自己株式」には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含まれていません。
(4) 【取得自己株式の処理状況及び保有状況】
(注) 1 自己株式数には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する株式数(3,194,150株)は含まれていません。
2 当期間における「その他(単元未満株式の売渡請求による売渡し)」には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の売渡しによる株式数は含まれていません。
3 当期間における「保有自己株式数」には、2026年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の売渡しによる株式数は含まれていません。
3 【配当政策】
当社の株主還元の基本的な考え方として、累進配当を特に重視した上で、還元水準の継続的向上を図っています。株主還元に関する基本方針は次の3点です。
① 中期的なフリー・キャッシュ・フローの見通しから、株主還元の水準を判断する。
② DOE3%を目安とした、中長期的な累進配当を目指す。
③ 自己株式取得は資本構成適正化に加え、投資案件やキャッシュ・フロー、株価の状況等を総合的に勘案して検討・実施する。
3つの方針の中でも、特に②の累進配当の方針を重視しており、その方針をフォローするため、DOEを指標とした上で、その水準として3%を目安に中長期的な累進配当を実現させていく予定です。2025年度は上記の方針から、1株当たり年間配当金として42円と4円増配します。2026年度以降も引き続き配当金維持・向上を予定しています。
株主還元を含めたキャピタルアロケーションについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等 <経営方針・経営戦略>●「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」の概要 ⅳ 財務・資本政策 ■ 資金の源泉と使途の枠組み」を併せてご参照ください。
内部留保については、「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の3領域において、M&Aを含む戦略的な投資や、新事業創出のための研究開発費など、将来の収益拡大の実現に必要な資金として充当していきます。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことにしており、剰余金の配当の決定機関は取締役会としています。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループミッションのもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、世界の人びとに新たな価値を提供し、社会的課題の解決を図っていくことをグループビジョン(目指す姿)としています。そのうえで、イノベーションを起こし、多様な事業の融合によりシナジーを生み出すことで、社会に貢献し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。
そのために、事業環境の変化に応じ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組みとして、当社にとって最適なコーポレート・ガバナンスの在り方を継続的に追求していきます。
② コーポレート・ガバナンス体制の概要
当社におけるコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりです。

Ⅰ 監督
取締役会は、取締役8名中4名(半数)が独立性を有する社外取締役で構成され、法令・定款に従い取締役会の決議事項とすることが定められている事項並びに当社及び当社グループに関する重要事項を決定し、取締役及び執行役員の業務執行を監督しています。
取締役会の下には、社外取締役を過半数の委員とする指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置し、当社にとって最適な取締役会の構成・規模、取締役・監査役候補の指名方針、社外役員に関する独立性判断基準、取締役の報酬方針・報酬制度、取締役の個人別金銭業績連動報酬の決定等の検討について社外取締役より助言を得ることとしています。
Ⅱ 監査
監査役、会計監査人、内部監査部門(監査部)による3つの監査により経営の適正性を担保しています。
ⅰ 監査役監査
監査役会は、監査役5名中3名(過半数)が独立性を有する社外監査役で構成され、各監査役が、監査役会が定めた監査方針のもと、取締役会への出席、業務状況の調査などを通じ、取締役の職務遂行の監査を行っています。監査役会の機能充実及び常勤監査役と社外監査役との円滑な連携・サポートを図るため、専任スタッフで構成される監査役室を設置しています。
ⅱ 会計監査
会社法及び金融商品取引法に基づく会計監査については、PwC Japan有限責任監査法人が監査を実施しています。
ⅲ 内部監査
監査部を設置し、監査計画に基づき内部監査を実施しています。グループスタッフ部門のそれぞれが行う内部監査の結果についても、監査部に情報が一元化され、内部監査の結果は取締役会に報告されています。
Ⅲ 業務執行
業務執行の迅速化と責任の明確化を図るために執行役員制度を導入し、意思決定・監督機能を担う取締役と業務執行機能を担う執行役員の役割を明確にしています。
グループ決裁権限規程において、経営計画に関する事項、投融資に関する事項、資金調達・資金管理に関する事項、組織及び規程に関する事項、研究開発及び生産技術に関する事項等についてきめ細かな決裁基準を設けて、取締役会から経営会議等に対して権限委譲しています。
Ⅳ 当該体制を採用する理由
当社は、監査役会設置会社の機関設計の体制の下で、社外取締役を過半数の委員とする任意の委員会を置き、役員人事及び役員報酬に関する助言を得ることにより、柔軟な運営のもと客観的で透明性の高い経営への監督を行うとともに、社内外の豊富な経験と幅広い見識を有する取締役で構成される取締役会が重要な経営上の意思決定について関与することで経営への監督の実効性を確保しています。また、社内事情に明るい常勤監査役と高い専門性をもった社外監査役で構成される監査役体制等により、経営の適法性・適正性を確保しています。当該体制によって、機動的・柔軟な経営判断、実効的な経営監督、適法・適正な経営を適切にバランスさせることで、当社のコーポレート・ガバナンスの最適化が図られていると考えています。
③ 取締役会・任意の委員会・監査役会の設置状況
2025年度における取締役会、任意の委員会及び監査役会の設置状況は次のとおりです。
(注) 当社は、経営の透明性・客観性をより高めるために、社外取締役を過半数の委員とする指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置し、当社にとって最適な取締役会の構成・規模、取締役・監査役候補の指名方針、社外役員に関する独立性判断基準、取締役の報酬方針・報酬制度、取締役の個人別金銭業績連動報酬の決定について社外取締役が積極的に参画し、助言を得ることとしています。
2025年度における取締役会、任意の委員会及び監査役会の個人別の出席状況は次のとおりです。
(注) 2025年6月25日の取締役退任までに取締役として出席した取締役会の回数を含めて算定しています。
④ 取締役会の実効性評価の概要
当社取締役会では、その実効性を毎事業年度で定期的に評価しています。2025年度の取締役会実効性評価(以下「今回評価」)の結果概要等は以下のとおりです。なお、当社は、取締役会実効性評価にあたり、客観的な視点も組み込んだ評価サイクルを継続していくため、定期的に第三者機関を活用することとしています。
Ⅰ 今回評価のプロセス
Ⅱ 評価結果の概要
ⅰ 当社取締役会は、取締役会の実効性が特に以下の点で十分に確保されていることを確認しました。
・2030年を見据えた事業ポートフォリオ変革(成長投資・構造転換)について議題化を進め、議論の質・量が充実した点、中長期視点での経営課題の議論が全体として深まった点を評価
・重要経営課題について資本市場とその他ステークホルダーの視点も適切に取り込み、掘り下げた議論を行った点や、ITセキュリティリスク等のリスク視点のモニタリングの議論の深化を評価
・運営面では、取締役会において、企業価値向上に資する厳しい意見が率直に交わされている点や、社外役員も発言しやすい、オープンで活発に議論できる環境を高く評価
ⅱ 一方で、当社取締役会は、以下の点についてなお課題があることを共有しました。
・持続的な企業価値向上のため、中長期的な将来戦略の議論により重点を置く必要性、領域経営の進化の議論をさらに充実する必要性、資本市場目線の議論について多面的な観点で検討を深め、議論に厚みを持たせる必要性を認識している。
・取締役会の議論の質的向上の観点では、オフサイトを有効活用し、中長期的な戦略テーマの議論を深め、また、社外役員の事業理解を一層促進する必要があると認識している。
・指名諮問委員会については社長執行役員のサクセッションプランの運営のさらなる高度化の検討の必要性を、報酬諮問委員会については、次期役員報酬制度の改定に向けた検討を進める必要性を認識している。
Ⅲ 取締役会実効性評価のPDCAサイクルと今後の取組み
⑤ 業務の適正を確保するための体制
当社は、取締役会において、会社法第362条及び会社法施行規則第100条に基づき、業務の適正を確保するための体制の整備について次のとおり決定し、運用しています。
Ⅰ 内部統制システム基本方針
多様な事業をもってグローバルに展開を進めている当社グループ(当社及び当社子会社)を取り巻く事業環境は激しく変化しており、新たなリスクや複雑化するリスクの影響は大きい。当社グループは、以下の基本方針に従って、内部統制システムを整備し、適正かつ効率的に業務を執行する体制を確立・維持する。
グループ経営管理(会社法施行規則第100条第1項第1号・第3号・第5号イ・ハ)
ⅰ 多様な事業を有する当社グループの適切な経営管理のため、適切な事業領域を定め、それぞれの事業の性質に応じて適切な権限委譲を図り、迅速かつ柔軟な意思決定ができる仕組みを確保する。一方で、グループ経営上の重要な事項の決裁について、社内規程において、決定機関又は決定権限者を明確に定め、これに基づき適切に意思決定を行う。
ⅱ 事業の多様化、拠点のグローバル化の進展の中で、法規制や社会的要請への対応の複雑化・高度化に適切に対応するためにグループ全社で遵守すべき共通の原則を定め、これに基づいたグループ経営管理を行う。
ⅲ グループ経営上の重要な情報の報告について、社内規程において報告先と報告事項を明確に定め、これに基づき適切に情報伝達を行う。このほか、社長執行役員は、業務執行状況、重要な経営課題、監査結果等、グループ経営上の重要な情報の把握に努める。
ⅳ 当社グループが持つ多様な無形資産を活用し、ビジネスモデルを変革させ価値創造を促進するため、デジタルデータの活用を積極的に推進し、経営の高度化及び事業の変革に繋げる。
ⅴ グループ経営上の意思決定及び情報伝達の記録・保存管理に関する社内規程を定め、これに基づき適切に情報の記録・保存管理を行う。
リスク管理及びコンプライアンス(会社法第362条第4項第6号、会社法施行規則第100条第1項第2号・第4号・第5号ロ・ニ)
ⅰ 取締役は、取締役会等を通じて、他の取締役の業務執行の監督を行い、監査役による適法性及び妥当性の観点からの職務執行の監査を受ける。
ⅱ 取締役社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を置くとともにリスク・コンプライアンス担当の執行役員を任命する。また、取締役会は当社グループ全体のコンプライアンスに関する遵守状況とリスク対策の進捗状況について報告を求め、これを監督する。
ⅲ リスク管理とコンプライアンスの推進を一元的に管理・運営を所掌する組織を置き、リスクに対する適切な管理が図れる体制を構築する。また、個別のリスク対応及びコンプライアンス施策にあたって適切な所管部場を置き、必要な社内規程の制定、教育・啓発を実施し、モニタリングを通じてその対策状況を確認し、必要に応じて改善を支援・主導させる。財務報告に係る内部統制に関する体制及び手続きを明確にし、これを統括する組織を置く。
ⅳ リスク管理とコンプライアンスの推進に関する基本方針及び企業倫理・コンプライアンスに関する行動基準を定め、これを当社及び当社グループの役員及び従業員に周知させる。
ⅴ コンプライアンスホットライン(内部通報制度)を導入し、グループに働く全ての人及びサプライヤーが利用できる仕組みとする。
ⅵ リスク管理とコンプライアンスの体制の運用について、モニタリング・内部監査を通じ、継続的に改善する。
監査役支援の体制(会社法施行規則第100条第3項第1号・第2号・第3号・第6号)
ⅰ 監査役の職務を補助する部署として監査役室を設置する。
ⅱ 監査役室所属の従業員に対する日常の指揮命令権は監査役に置き、取締役からは指揮命令を受けないものとし、監査役室所属の従業員の異動、人事考課などについては、監査役の事前承認を得なければならない。
ⅲ 監査役室所属の従業員は専任制とし、監査役による監査を実効的に行うために必要な人数及び必要な専門能力及び豊富な業務経験を有する人員を置く。
ⅳ 監査役の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、その費用を負担し、監査役の職務執行について生ずる費用等について、一定額の予算を設ける。
監査役への報告及び社内連携の体制(会社法施行規則第100条第3項第4号イ・ロ、第5号・第7号)
ⅰ 監査役は、その職務を遂行するために必要と判断するときはいつでも当社の取締役、執行役員及び従業員、当社グループ各社の取締役、執行役員及び従業員並びに監査役に報告を求めることができるものとする。
ⅱ 取締役、執行役員及び従業員並びにグループ各社の取締役、執行役員及び従業員並びに監査役は、監査役からの報告の求めのある場合に限らず、リスク管理・コンプライアンスに関する事項を含むグループ経営上の重要な情報をすみやかに監査役に報告する。
ⅲ 監査役への報告をした者(ホットライン通報者を含む)は、当該報告をしたことを理由として一切の不利な取扱いを受けないものとする。
ⅳ 監査役と社外取締役、会計監査人、内部監査部門それぞれとの間で定期的なミーティングの機会を設けるとともに、当社監査役と事業会社監査役間の意見交換を促進し、グループ全体の監査体制の実効性を高める。
反社会的勢力排除の方針
反社会的勢力と断固として闘い、いかなる利益供与、取引その他の関係を持たない。また、対応統括部署を置き、警察を含む外部専門機関との連携、反社会的勢力に関する情報の収集を行い、グループ内での周知・注意喚起を図る。
Ⅱ 内部統制システム運用状況の概要
当社は、上記の「内部統制システム基本方針」に則った体制を整備し適切に運用しております。本年度では、内部通報制度(コンプライアンスホットライン)の運用、Cs Talk(コンプライアンス職場討議)の継続実施を通じたコンプライアンス意識の醸成、保安防災や品質意識の向上の施策等、過年度からの各種施策のより一層の実効性を高める取組みのほか、以下の施策を実施しました。
ⅰ グループ重大リスクへの対応
全社的リスクマネジメント活動として、リスクマネジメントチームを組織し、事業部門のリスク認識・アセスメントを踏まえてリスクを識別・分類し、グループ横断的に必要な取組みを実行しています。特に本年度は、近年注目されるサイバーセキュリティ、経済安全保障、技術情報管理について重点的に対策を進めています。
ⅱ 内部統制の実効性向上に向けた施策及びグループ基本原則に基づく統制環境の整備
当社グループの事業が多様化し事業拠点がグローバル化する中で、グループ全体での内部統制推進活動マネジメントの強化や、組織横断での内部統制推進体制の整備、教育等の内部統制運用支援施策などの取組みを進めています。
また、世界各地域の法規制や社会的要請に適切に対応するために制定した「グループ基本原則」に準拠し、 グループ全体の統制環境の整備も継続的に進めています。
⑥ 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社の支配権の取得を目的とした当社株式の大量取得行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株式の大量取得であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量取得の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもあります。
当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当該大量取得行為が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれがないかどうか株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、また、当該大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていきます。
⑦ その他
Ⅰ 取締役の定数
当社は、取締役を12名以内にする旨を定款で定めています。
Ⅱ 取締役の選任方法
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めています。また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨も定款で定めています。
Ⅲ 責任限定契約の概要
当社は、取締役小堀秀毅、前田裕子、松田千恵子、山下良則及び小川啓之の5氏並びに監査役真柄琢哉、出口博基、望月明美、浦田晴之及び落合義和の5氏と当社との間で、会社法第427条第1項の規定により、会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約をそれぞれ締結しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、1,000万円と法令の定める最低限度額とのいずれか高い額となります。
Ⅳ 補償契約の概要
当社は、取締役及び監査役の全員との間で会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結しており、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償することとしています。
Ⅴ 役員等賠償責任保険契約の概要
当社は、取締役、監査役及び執行役員並びに主要な子会社の取締役、監査役及び執行役員を被保険者として、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しています。当該保険により被保険者が負担することになる賠償責任額、和解金、弁護士費用等を塡補することとしており、保険料は当社が全額負担しています。ただし、被保険者の犯罪行為や、法令に違反することを被保険者が認識しながら行った行為に関する当該被保険者自身の損害等は塡補の対象外とすることにより、被保険者の職務の執行の適正性が損なわれないようにするための措置を講じています。
Ⅵ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、機動的な配当を可能にするため、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定めることとする旨を定款で定めています。
Ⅶ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款で定めています。
(2) 【役員の状況】
① 役員一覧
男性10名 女性3名 (役員のうち女性の比率23.1%)
(注) 1 取締役 前田裕子、松田千恵子、山下良則及び小川啓之は、社外取締役です。
2 監査役 望月明美、浦田晴之及び落合義和は、社外監査役です。
3 2026年6月24日開催の定時株主総会終結の時から1年間
4 2023年6月27日開催の定時株主総会終結の時から4年間
5 2025年6月25日開催の定時株主総会終結の時から4年間
6 2026年6月24日開催の定時株主総会終結の時から4年間
7 当社では、業務執行の迅速化と責任の明確化を図るため、執行役員制度を導入しています。執行役員は47名で、うち3名が取締役を兼務しています。
② 社外役員に関する事項
当社の社外役員(社外取締役及び社外監査役、以下同じ)は、社外取締役4名、社外監査役3名です。
社外取締役は、経営者等としての豊富な経験と高い見識を活かして、当社の経営陣から独立した立場から経営判断が適切に行われていることを監督する機能を担い、社外監査役は、法律や財務・会計等に関する高い専門性と豊富な経験・知識に基づき監査する機能を担っています。それぞれの社外役員に関する事項は下記のとおりです。
なお、当社は、当社の定める「社外役員に関する独立性判断基準」(後掲)及び金融商品取引所の定める「独立役員」に関する独立性の基準に従い、候補者が現在もしくは過去において、当社の業務執行者、重要な取引先、重要な取引先の業務執行者等であるか(あったか)、又は当社から多額の金銭もしくはその他の財産を受け取った事実があるか(あったか)等の利害関係を調査し、それらの事実を総合的に勘案した上で、一般株主との利益相反の生ずるおそれの有無を判断しています。なお、当社は、社外役員全員について金融商品取引所に「独立役員」として届け出ています。
当社と社外役員との間に、人的関係、資本的関係又は取引関係等の面で重要な利害関係はありません。
※ご参考
Ⅰ 取締役・監査役候補指名の方針と手続き
取締役候補者の選出にあたっては、取締役に相応しい識見、能力等に優れた者を候補者としています。社内取締役については、担当領域における専門的知識、経験、能力等を備えていると考えられる者を候補者として選定しています。一方、社外取締役については、高い識見を踏まえた客観的な経営の監督を期待し、それに相応しい経営者、学識経験者、官公庁出身者等で、豊富な経験の持ち主を幅広く候補者としています。
監査役候補者の選出にあたっては、監査役に相応しい識見、能力等に優れた者を候補者としており、選出には監査役会の同意を得ることを必須としています。また、財務・会計に関する知見を有している者が1名以上になるよう配慮しています。
取締役及び監査役候補の指名に関する客観性と透明性をより一層高めるため、社外取締役を主たる委員とする指名諮問委員会を設置し、取締役会の構成・規模、役員の指名方針等についての検討に参画いただき、助言を得ることにしています。
Ⅱ 取締役及び監査役の経験分野・保有する専門性(スキル・マトリックス)
当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するため、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環の実現を追求しています。そして、不連続・不確実な経営環境のもと、成長投資と構造転換の両輪による事業ポートフォリオ変革を加速することが、当社グループにとって、とりわけ重要な経営課題と認識しています。
当社取締役会は、このような経営課題を踏まえ、中期経営計画をはじめとする経営戦略、事業ポートフォリオマネジメントと経営資源配分、サステナビリティ等、広範な事業を営む当社グループの経営の重要事項の監督や重要な意思決定を役割としています。この役割を遂行するにあたって、独立性・多様性の確保に加えて、豊富な経験や高度な専門性を取締役会全体として備える必要があります。
そこで、当社取締役会及び指名諮問委員会では、取締役及び監査役に必要な経験・専門性(スキル)を特定したうえで、その保有状況をスキル・マトリックスにより確認しています。以下の内容は、このようなプロセスを経て、2024年度に改定したものです。
(スキル・マトリックスの検討プロセス)

(構成比)


(注) 1 上記の一覧表は、各氏の主要なスキルを最大4つまで記載しております。各氏が保有する全てのスキルを表すものではありません。
2 「企業経営(上場企業の社長経験)」は、上記の一覧表に掲げる他のスキルの要素を含む、広範かつ多様な経験と位置づけています。
Ⅲ 社外役員に関する独立性判断基準
当社は、社外取締役及び社外監査役が独立性を有すると認定するにあたっては、以下のいずれにも該当することなく、かつ、公正中立的な立場で職務を果たしうることを確認します。
ⅰ 当社グループの業務執行者(業務執行取締役、執行役、執行役員、従業員等)又は過去10年間にこれに該当した者
ⅱ 当社グループを主要な取引先とする者(年間連結売上高の2%以上が当社グループである者)又はその業務執行者
ⅲ 当社グループの主要な取引先(当該取引先による当社グループへの支払いが当社の年間連結売上高の2%以上を占める場合、又は、当社連結総資産の2%以上の金銭の借入先)又はその業務執行者
ⅳ 当社からの役員報酬以外に、当社グループから個人として多額の金銭その他財産上の利益(年間1千万円以上)を得ている者
ⅴ 当社グループから多額の寄付・助成(年間1千万円以上)を受けている者又はその業務執行者
ⅵ 当社グループの主要株主(当社の総株主の議決権の10%以上を直接又は間接的に保有している者)又はその業務執行者
ⅶ 当社グループの役員・従業員をその役員に選任している法人の業務執行者
ⅷ 当社グループの会計監査人又はその所属者
ⅸ 過去3年間、上記ⅱからⅷのいずれかに該当した者
ⅹ 上記ⅰからⅷのいずれかに該当する者の近親者(配偶者、2親等内の親族及び生計を共にする者)
ただし、上記ⅰからⅲ、ⅴからⅶの「業務執行者」は「重要な業務執行者(業務執行取締役、執行役、執行役員等)」に読み替えるものとする。
xi 当社の社外取締役又は社外監査役としての在任期間が通算8年を超える者
社外取締役は、取締役会への出席及び工場・研究施設の見学や研究発表会等への参加の機会並びに監査役及び会計監査人との間で定期ミーティングを通じて、当社グループの現状と課題を把握し、必要に応じて取締役会において意見を表明しています。
(3) 【監査の状況】
① 内部監査及び監査役監査、会計監査の状況
Ⅰ 内部監査の状況
ⅰ 組織及び体制
社長直轄の組織として監査部(28名、2026年3月31日現在)を設置しています。
これに加え、海外事業の拡大への対応として、中国及び北米の地域統括会社内に内部監査拠点を設置し各地域での内部監査活動を推進しているほか、業務監査組織を持つ事業部門(マテリアル領域、事業会社等)及び関係会社や自主監査活動を行うスタッフ部門組織との間で個別に分担や連携の仕組みを設定するなど、効果的な内部監査体制の整備及び運用に努めています。
ⅱ 活動
当社内部監査基本規程に基づき年次監査計画を立案し、当社社長の承認を得て当社グループの内部監査を実施しています。本事業年度は、関係会社16社を含む26の事業部門組織を対象とした内部監査のほか、品質保証及び全社的課題を対象としたテーマ監査4件を実施しています。
内部監査はグループ内の事業部及び連結子会社を対象にリスクベースで実施され、個々の監査結果は対象組織及びその所管部門に報告されます。対象組織による改善計画の策定、実行に加え、改善結果についてのフォローアップ監査を一連のプロセスとして設定しており、所管部門及びスタッフ部門がこのプロセスを支援するとともに再発防止策を横展開することで、着実な改善の実施と内部統制の維持向上を図っています。当社監査部は、内部監査活動の品質確保を目的として、内部監査人協会(IIA)が定める「専門職的実施の国際フレームワーク(IPPF)」に準拠した内部監査を実施しており、本事業年度においては、組織体外の独立した外部評価者による外部品質評価を受審し、当社の内部監査活動がIPPFに適合していることが認められました。
また、当社内部統制管理規程に基づき、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価及び報告を監査部で実施しています。当事業年度は当社、連結子会社158社及び持分法適用会社9社を対象として全社的な内部統制及び決算・財務プロセスの評価を行い、当社グループの事業の中核をなす当社、事業会社、当社事業との関連性が高く一体的な運営をしている連結子会社1社、及び売上高や総資産等を考慮し比較的財務報告上のリスクが高いと思われる連結子会社及び持分法適用会社の43社を対象として業務プロセス及びIT統制の評価を行いました。
ⅲ 報告
内部監査及び財務報告に係る内部統制評価の計画及び結果は、社長、内部統制担当役員、リスク・コンプライアンス担当役員に加えて、当社の取締役会、監査役会に報告されます。また、事業部門(マテリアル領域、事業会社等)及びグループ内部統制所管部門(コンプライアンス所管部門、経理・財務部門、人事部門、IT部門、購買・物流部門、環境安全・品質保証部門等)と内部監査部門との年次トップミーティングをはじめとする連携活動の中でも報告され、各ライン間のコミュニケーションを継続的に推進し、各部門による内部統制推進に向けた自律的な取り組みを支援することでグループ全体の内部統制水準の向上に努めています。
Ⅱ 監査役監査の状況
ⅰ 監査役会の開催状況と活動内容
各監査役は、監査役会が定めた監査方針のもと、取締役会への出席、業務状況の調査などを通じ、取締役の職務遂行の監査を行っています。
当事業年度において当社は監査役会を月2~3回程度の頻度で開催しており、個々の監査役の出席状況については以下のとおりです。
<各監査役の当事業年度に開催した監査役会、取締役会の出席状況>
(注) 1 2025年6月25日付 で退任しています。
2 2025年6月25日付 で就任しています。
3 2025年6月25日の取締役退任までに取締役として出席した取締役会の回数を含めて算定しています。
(監査役会の活動)
当事業年度における監査役会の事項は、決議・同意事項37件、審議・協議事項74件、報告事項23件でした。主な内容は、以下のとおりです。
ⅱ 重点監査項目と監査活動状況
当事業年度において監査役会が定めた重点監査項目と監査のポイントは以下のとおりです。
上記重点監査項目に対する主な監査活動は以下のとおりです。
• 取締役会その他重要な会議に出席し、必要に応じて意見表明
• 取締役、ヘルスケア・住宅・マテリアル各領域担当役員、執行役員、重要な子会社の社長、グループ内部統制所管部門(IT部門、環境安全・品質保証部門、購買・物流部門等)に対する定期的なヒアリング
• 主にリスクベースの観点から重要と認識する製造拠点、海外拠点について直接確認
• 内部監査部門、会計監査人との三様監査連絡会の実施
• 監査上の主要な検討事項(KAM)の選定について、会計監査人の検討プロセスが適正であることを確認
<監査活動の概要>
(注) リスク・コンプライアンス委員会に出席
(監査役会の実効性評価)
当社の監査役会は、監査活動の実効性を継続的に向上させることを目的に、監査役会の実効性評価を実施しています。当事業年度において、監査役会の実効性について自己評価を実施するとともに、評価結果の検証、課題の抽出、翌事業年度の監査計画への反映等、PDCAサイクルを回し、実効性の更なる向上に努めています。

<評価方法>
記名式かつ自己評価による全18項目のアンケートに沿って、各監査役に対し5段階評価及びその理由について意見表明を求めました。
<実効性評価結果に基づいて実施した当事業年度の取り組み例>
<評価結果及び今後に向けての課題認識>
・ 監査役間でオープンかつ深度ある議論が行われ、監査役会全体としての実効性は確保されていると認識しています。
・ 海外拠点を含む当社グループ全体の内部統制システムの運用状況のモニタリングを充実させるため、三様監査等との連携を一層強化していきます。
Ⅲ 会計監査の状況
ⅰ 監査法人の名称
PwC Japan有限責任監査法人
ⅱ 業務を執行した公認会計士
当連結会計年度において監査業務を執行した公認会計士の氏名は以下のとおりです。
指定有限責任社員 業務執行社員:好田 健祐
指定有限責任社員 業務執行社員:五代 英紀
指定有限責任社員 業務執行社員:新田 將貴
ⅲ 監査業務に係る補助者の構成
監査業務に係る補助者の構成は、公認会計士28人、その他103人であり、監査法人の監査計画に基づき決定されています。
ⅳ 継続監査期間
1970年以降
上記の継続監査期間は、プライスウォーターハウスクーパース(又はプライスウォーターハウス)のネットワークに属し、従前に当社の監査を実施していた、旧中央青山監査法人、旧青山監査法人及びその前身である旧プライスウォーターハウス公認会計士共同事務所並びに旧プライスウォーターハウス会計事務所内の個人事務所の監査期間を含めて算定しています。
ⅴ 会計監査人との連携
三様監査(内部監査部門、監査役会、会計監査人)の相互連携については、内部監査部門、監査役会及び事業会社等の監査役が、定期的な連絡会等を通じて連携を強化し、当社グループとしての法令等の遵守及びリスク管理等に関する内部統制システムの有効性について確認しています。監査役会は、内部監査部門、会計監査人との間で監査計画の確認と意見交換を行うとともに、当社グループの期中レビュー並びに監査結果報告を受けています。また、監査上の主要な検討事項(KAM)についても意見交換を行い、確認しています。
② 会計監査人の選定方針と理由
当社の監査役会は、会計監査人の評価基準を定め、これに基づき会計監査人を評価した結果、当社の会計監査人として適切であると判断しています。
会計監査人が会社法第340条第1項の各号のいずれかに該当すると認められる場合、当社の監査役会は監査役全員の同意により会計監査人を解任します。
また、上記の場合のほか、会計監査人が職務を適正に遂行することが困難と認められる場合、監査役会は会計監査人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定し、取締役会は、当該決定に基づき、当該議案を株主総会に提出します。
③ 監査役会による会計監査人の評価
当社の監査役会が定める会計監査人の評価基準は、監査業務の品質管理の状況、外部機関による検査等の結果、監査チームの独立性及び専門性、報酬水準の妥当性、経営者、内部監査部門等とのコミュニケーションの状況、国内外の子会社への監査の状況並びに不正リスクに対する職業的懐疑心の発揮状況等を項目としています。
さらに、当社の監査役会は、会計監査人から定期的な報告を受けるなど、年間を通じて会計監査人が適正に職務を執行しているかを監視、検証しています。
④ 監査報酬の内容等
Ⅰ 監査公認会計士等に対する報酬の内容
監査公認会計士等が実施した非監査業務の内容は以下のとおりです。
(前連結会計年度)
各種アドバイザリー業務等
(当連結会計年度)
各種アドバイザリー業務等
Ⅱ 監査公認会計士等と同一のネットワーク(プライスウォーターハウスクーパース)に属する組織に対する報酬(Ⅰを除く)
監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織が実施した非監査業務の内容は以下のとおりです。
(前連結会計年度)
提出会社: 税務関連業務、各種アドバイザリー業務等
連結子会社:税務関連業務等
上記の他に、当社の非連結子会社が支払った又は支払うべき報酬があります。上記の金額に、当該非連結子会社に係る報酬を加えると、監査公認会計士等と同一のネットワークに属する者に対する、当連結会計年度の当社及び当社の子会社の監査証明業務に基づく報酬の額は819百万円、非監査業務に基づく報酬の額は121百万円になります。
(当連結会計年度)
提出会社: 税務関連業務等
連結子会社:税務関連業務等
上記の他に、当社の非連結子会社が支払った又は支払うべき報酬があります。上記の金額に、当該非連結子会社に係る報酬を加えると、監査公認会計士等と同一のネットワークに属する者に対する、当連結会計年度の当社及び当社の子会社の監査証明業務に基づく報酬の額は875百万円、非監査業務に基づく報酬の額は123百万円になります。
Ⅲ その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
(前連結会計年度)
該当事項はありません。
(当連結会計年度)
該当事項はありません。
Ⅳ 監査報酬の決定方針
該当はありませんが、監査日数等を勘案した上で決定しています。
Ⅴ 監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査役会は、会計監査人の監査計画の内容、会計監査の職務遂行状況及び報酬見積の算出根拠などが適切であるかどうかについて必要な検証を行ったうえ、相当であると判断し、会計監査人の報酬等の額について同意しました。
(4) 【役員の報酬等】
① 役員報酬等
Ⅰ 当事業年度における取締役及び監査役の報酬等の額
(注) 1 取締役の金銭報酬限度額は、年額10億円以内であり、うち社外取締役分は年額1億5,000万円以内です(2025年6月25日開催の第134期定時株主総会にて決議されました)。
2 監査役の金銭報酬の限度額は、年額1億8,000万円以内です(2022年6月24日開催の第131期定時株主総会にて決議されました)。
3 上記株式報酬の額は、翌事業年度における費用計上額で、当事業年度において費用計上されたものではありません。当社は、株式報酬を株式交付規程に基づくポイントの付与日に費用計上しており、当該付与日はポイントに係る目標達成の基準日(事業年度末日)の翌事業年度に置いています。当該株式報酬は社外取締役及び取締役会長を除く取締役のみを対象とし、3事業年度で4億5,000万円を上限としています。
4 2026年3月31日現在の役員数は、取締役9名(うち、社外取締役4名)、監査役5名(うち、社外監査役3名)です。
Ⅱ 提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等
(注) 1 連結報酬等の総額が1億円以上である者に限定して記載しています。
2 上記株式報酬の額は、翌事業年度における費用計上額で、当事業年度において費用計上されたものではありません。当社は、株式報酬を株式交付規程に基づくポイントの付与日に費用計上しており、当該付与日はポイントに係る目標達成の基準日(事業年度末日)の翌事業年度に置いています。
Ⅲ 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項
当社は取締役の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針を定めており、その内容は以下のとおりです。
また、監査役の報酬については、取締役から独立した立場で取締役の職務執行を監査するという役割に鑑み、業績連動報酬制度は採用せず、固定報酬で構成され、個別の報酬額は監査役の協議により決定しています。
上記方針は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を確保していくためのコーポレート・ガバナンスの仕組みの1つとして、報酬諮問委員会に諮問し、その答申内容を尊重して取締役会決議により決定しています。
当社取締役会は、基礎報酬及び株式報酬の内容を、社外取締役が過半数の委員として構成する報酬諮問委員会による審議結果を考慮したうえで決定しており、その決定の客観性・透明性は確保されているため、当該内容は上記方針に沿うものであると判断しています。また、金銭業績連動報酬の決定は、報酬諮問委員会の独立性・客観性・透明性の高いプロセスで行われており、当該内容は上記方針に沿うものであると判断しています。
役員の報酬等についての株主総会の決議に関する事項は以下のとおりです。
取締役報酬の決定に係るプロセスは以下のとおりです。
・ 取締役会にて報酬諮問委員会に個人別の取締役報酬の決定を委任する旨を決議しています。
・ 当該権限の内容は、業務執行取締役の金銭業績連動報酬について、取締役社長から提案された個人別の目標達成度の評価の合理性・適正性を確認し、これを取締役会で決定された計算式の枠組みに投入して個人別の金銭業績連動報酬の金額を決定するものです。なお、職位毎の固定額の基礎報酬の金額は取締役会で決定のうえ支給し、株式報酬については、取締役会で決定された株式交付規程に基づいてポイントを付与し、所定の条件成就時に当社株式を交付します。
・ 報酬諮問委員会に上記権限を委任した理由は、当社グループ全体の業績を俯瞰しつつ、独立性・客観性・透明性の高い立場から個人別の取締役報酬の決定を行うには報酬諮問委員会に委ねることが最も適しているためです。
・ 報酬諮問委員会の当該権限が適切に行使されることを確保するため、報酬諮問委員会は社外取締役を過半数の委員として構成し、取締役会に対して定期的に上記確認及び決定のプロセスを報告することとしています。
・ 報酬諮問委員会の委員の構成は以下のとおりです(提出日現在)。
当事業年度における取締役報酬のうち金銭業績連動報酬の内容は以下のとおりです。
・ 経営陣幹部として業績や経営戦略に紐づいたインセンティブの付与の観点から、投下資本効率を含む財務目標の達成度とサステナビリティの推進等の個人毎の目標を含む非財務目標の達成度の両面を組み合わせて設計しています。
・ グループ連結の営業利益、ROIC等の財務指標の達成度とともに、サステナビリティの推進を含む個別に設定する目標の達成度を踏まえ、総合的に判断して算出しています。
・ 基準とする財務指標は、事業成果に基づく客観的かつ明確な評価軸としての適性とともに、投下資本効率の向上の意識付けの観点から選択しています。
・個人別の金銭業績連動報酬額を算出するまでに要する計算式の概要は以下のとおりです。
[個人別の金銭業績連動報酬額を算出するまでに要する計算式]
評価によって算出した指数(※) × 職位別の基準額 = 個人別の金銭業績連動報酬額
※財務指標の達成度と非財務目標の達成度を総合考慮した指数
・ 金銭業績連動報酬額の算出に要する主な経営指標の直近の事業年度における目標値・基準値とその実績値は以下のとおりです。
※(営業利益-法人税等)÷期中平均投下資本
当事業年度における取締役報酬のうち株式報酬の内容は以下のとおりです。
・ 株価上昇によるメリットを享受するのみならず株価下落リスクをも負担し、株主視点を共有するべく、2017年6月28日開催の第126期定時株主総会決議に基づき、株式報酬制度を導入し、2022年6月24日開催の第131期定時株主総会決議に基づき同制度を改定しています。
・ 当社の設定した信託が当社株式を取得し、対象となる取締役に対して当社株式を交付する株式交付信託で、取締役会で定めた株式交付規程に基づき対象取締役に対して職位及び業績目標の達成度に応じてポイントを付与し(1事業年度当たり150,000ポイントが上限)、付与を受けたポイント数に応じて、取締役かつ当社グループの役員の退任時に当社株式が対象取締役に交付されます(交付される株式の数は、付与されたポイント数に1を乗じた数)。
・ 取締役会で定めた上記業績目標に係る2025年度の状況は以下のとおりです。
※1 従業員エンゲージメント調査における「活力」指標に関する設問への回答の平均が3.5以上(5段階評価)の好意的な回答をした回答者の全回答者に占める割合
※2 ダイバーシティに関する指標の目標値及び実績値の基準日は、事業年度末翌日
※3 当社の株主総利回り(TSR)の配当込みTOPIX成長率に比した割合(前年度最終月と当年度最終月の各日の終値平均値を使用)
(5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方
当社は、純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式に区分しています。
「純投資目的」とは専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合としていますが、当事業年度末時点での保有残高はありません。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
Ⅰ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
当社は、純粋な投資目的以外の目的で保有する株式(政策保有株式)の保有とその議決権行使に関して、以下を方針とします。
ⅰ 当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すため、事業・業務提携、資金調達、サプライチェーンの確保・拡充、取引関係の維持・強化等、事業戦略・経営戦略の一環として必要と判断する企業の株式を保有します。ただし、政策保有株式全体についての株価変動リスクや保有に伴うコスト、資本効率等を考慮し、保有量の縮減を継続的に進めます。
ⅱ 個別の政策保有株式については、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上の観点から、保有の意義、効果、経済合理性等について定性・定量両面での評価を毎年定期的に実施し、取締役会で検証します。定性的な評価においては、株式保有を通じて当該企業との取引や提携関係による便益・シナジー等のビジネスメリットが中長期的に得られているか、保有しない場合にどのようなデメリットがあるかといった視点で検証します。定量的な評価においては、株式保有によって得られる取引収益等、事業戦略・経営戦略上の利益をできるだけ定量化するとともに、配当収益も参考にしながら、資本コストを上回る経済効果が得られているかを中期的視点で総合的に検証します。なお、これらの検証の結果、保有の目的に合致しなくなったと判断される株式又は保有効果がコスト・リスクに見合わないと判断される株式については、当該企業の状況を勘案したうえで、売却等による縮減を進めます。
(非上場株式以外の株式については、当事業年度は10銘柄、46,980百万円、前事業年度は11銘柄、36,424百万円の売却を実行しました。)
ⅲ 政策保有株式の議決権の行使については、議案毎に当社及び投資先企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるか等を総合的に検討・判断し、行使します。
Ⅱ 銘柄数及び貸借対照表計上額
(当事業年度において株式数が増加した銘柄)
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)
Ⅲ 特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報
特定投資株式
(注) 1 保有株式の定量的な保有効果については、秘密保持等の観点から記載が困難です。保有の合理性については、Ⅰⅰⅱに記載のとおり当社取締役会で検証しています。
2 保有先企業は当社の株式を保有していませんが、同社子会社が当社の株式を保有しています。
5 【従業員の状況等】
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
① 連結会社の人材戦略
■ガバナンス
当社は1922年の創業以来、社会課題の解決に向けた事業展開により、事業ポートフォリオを絶えず変革して成長してきました。その基本となる考えは、「人は財産、すべては人から」です。人的資本経営は当社の中長期的な企業価値向上を支える重要な経営テーマと位置づけています。
経営戦略と人財戦略の連動を確保する仕組みとして、人事部門トップが経営会議メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを定期的に実施しています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の対話を通じて、事業課題を人事課題へと落とし込み、施策へ反映する体制を構築しています。さらには、HRBP(Human Resource Business Partner)が各事業部門に密着し、現場での実装を前提とした制度設計と運用を行うことで人事施策の実効性を高めています。
■戦略
1)人財戦略
当社は、従業員に求める行動指針として「A-Spirit」という言葉を掲げています。旭化成の「A」と、アニマルスピリットの「A」をかけたもので、野心的な意欲、健全な危機感、迅速果断、進取の気風の4つの要素から成り、変化の激しい環境下でも積極果敢に挑戦・成長し続ける人財であってほしいと伝えています。今後、大胆に事業ポートフォリオを転換していくためには、改めてA-Spiritを呼び起こし、積極果敢に変化し挑戦し続ける人財・組織が必要であると考えています。
そのために中期経営計画では、一人ひとりが成長・挑戦を自ら求めていく「終身成長」と多様性を活かしコラボレーションを推進する「共創力」を人財戦略の柱としています。加えて心身の健康、当社の強みである自由闊達なコミュニケーションをベースに、挑戦的風土を強化することで、従業員の働きがい向上と当社グループの持続的成長の両立を目指しています。
この柱に基づき、当社は以下3点を人的資本の重点課題と考え、各種施策を推進しています。
A) 自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環
「A-Spirit」や「終身成長」の実現には、一人ひとりが受動的ではなく、自らの意思に基づきキャリアを形成していく姿勢が不可欠です。事業ポートフォリオ転換や高付加価値事業の創出を進める中で、成長機会を主体的に捉え、変化に対応しながら挑戦を続ける人財の重要性は、今後一層高まります。社員の自律的なキャリア意識の向上は、新たな価値創出を促進し、組織全体の競争力強化と持続的成長につながります。更に組織の成長が多様な挑戦機会を生み、社員の一層の成長を促す好循環を創出していくことが大切だと考えています。
B) 個とチームの力を引き出すマネジメント力向上
個々の人財の強みや専門性を引き出し、チームとしての成果を最大化するとともに、挑戦を前向きに捉える風土を醸成することは、マネージャーの重要な役割です。当社には高い専門性や挑戦意欲を持つ人財が数多く在籍していますが、それぞれが安心して挑戦し、失敗から学びながら成長できる環境を整え、ビジネス上の成果を創出していくためには、マネジメント力のさらなる向上が課題と考えています。
C) 多様な人財の活躍
当社の強みは幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点を通じた無形資産であり、これらのポテンシャルを最大限に引き出し、価値創造に活かしていくことが重要です。国籍やジェンダーなど属性における多様化をこれまで以上に推し進めながら、質的に多様な人財がつながり合い、化学反応を起こすことで企業価値向上を実現していきます。
上記の他、事業環境や労働市場が変化する中で、事業活動の継続及び競争力の維持・強化のため、人財の安定的な確保を重要な経営課題と位置付けています。特に、事業ポートフォリオ転換に対応した計画的な人財の配置及び能力開発を進めることと、国内製造拠点における必要な人財の安定的な確保が重要と捉え、取り組みを進めていきます。
2)取り組み
A)自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環
●自律的なキャリア形成に向けた「CLAP」の活用、育成の取り組み
従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果創出を目指した取り組みを推進しています。1万超の社内外コンテンツを提供する学習プラットフォームCLAP(Co-Learning Adventure Place)を活用し、全従業員がいつでも学べるような環境を整備し、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。
具体的な取り組みとして、若手人財が主体的に学び続ける環境づくりを目的にラーニングコミュニティを展開しています。2023年度から新入社員を対象に導入した「新卒学部」は、同期とともに学び合う9か月間のコミュニティ活動として運用を改善しながら定着しており、若手社員のキャリア不安の軽減や、配属地区を超えた人のつながりの形成を促進しています。今後は若手先輩社員も巻き込んだコミュニティ活動への展開を検討しています。
また、中堅層及び新任管理職を対象に、社内公募方式による選択型の学習機会を充実させています。外部講師によるビジネス戦略やアカウンティング分野の学びに加え、社内の人財開発・キャリア開発の高度専門職が講師を務める「人を育てる・組織をつくる」コースの展開を開始し、事業領域を超えて学び合うコミュニティ型の学びを拡大しています。
さらに、採用から入社後の育成までを一体で捉えたオンボーディングの観点から、入社前の配属通知時に職場からの期待を伝える取り組みや、地域と連携した新入社員研修プログラムを実施するなど、入社初期における不安低減と早期活躍に向けた支援を強化しています。
●エンゲージメント向上「KSA(活力と成長アセスメント)」
当社は、個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めることを目指しています。毎年1回、全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織ごとの結果をラインマネージャーにフィードバックしています。
各組織が当事者意識を持ち、課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開してきました。さらに、外部の研究成果に準じた尺度を用いて職場の関係性の状態を判定し、その結果を各マネージャーへフィードバックするとともに、判定結果に応じて具体的なアクションの示唆を提供する活動を開始しています。健康経営に携わる産業保健スタッフとの連携もしながら職場の改善活動支援を強化しています。
KPIとしてモニタリングしている「成長につながる行動」は2025年度には3.76まで向上しました(2024年度3.73、2023年度3.72、2022年度3.71)。上司向け研修の展開により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2025年度73.6%と順調に推移しています。2025年度から「活力」指標の好意的回答者(5段階中3.5以上)の割合をKPIに加えており、2025年度は58.54%(前年度比+1.14pt)と目標値58.2%を上回っています。

●シニアの活躍推進
「終身成長」というコンセプトのもと、シニア人財が環境の変化に適応しながら挑戦と成長を続けることを支援しています。2023年度から定年を65歳に引き上げるとともに、60歳到達前の社員が自分のwill/can/mustを整理し、それに沿って職務をマッチングする仕組みを導入しており、定期的に見直しも行っています。また、50歳、55歳の節目でキャリア研修を実施し、自らのキャリアを振り返り、今後を考える機会を提供することで、マッチングの質を高めています。
B)個とチームの力を引き出すマネジメント力向上
●マネジメント力向上
マネジメント層の成長を通じて当社グループ全体の成長につなげるため、組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長一人ひとりに半年間の個別のコーチングと集合研修における受講者間でのグループコーチングの機会を設けています。
本プログラムでは、KSAを用いた自組織の課題分析や自己課題の整理を行い、改善に向けたアクションプランの策定と実行を支援しています。その結果、受講者の上司の91%が、部下である部長の行動や意識の変化を実感しており、ビジョン形成や組織づくり、組織を牽引する意識の共有、対話力や他者理解といったヒューマンスキルの向上が確認されています。
●経営人財育成
次世代経営人財育成プログラムとして、グループ内の各組織のリーダー層から、アセスメントや経営層との対話を通じてグループ役員(注)候補を毎年選定し、プール人財と位置づけています。リベラルアーツなどを取り入れたリーダー育成プログラムや異業種交流研修により、個々の強みの発揮を支援しています。
2025年度は、経営メンバーがプール人財へのメンタリングを担う仕組みを導入し、経営人財が組織の枠を超えて育成に関与することで、人が人を育てる社内人財育成基盤の強化を図りました。さらに、将来の登用期待が大きい人財を戦略的・優先的に配置することで、グループ全体最適の視点をもつ経営人財の育成を進めています。
これらの取り組みの結果、2025年度はグループ役員33ポジションに対して94名(事業部長35名・部長層59名)をプール人財としており、「グループ役員の後継準備率」は285%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員33名の約8割が本プログラムから選出されています。
(注) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には当社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。

C)多様な人財の活躍
急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を創出していくためには、人財の多様性を活かし、共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を競争優位の源泉と捉え、重要な経営課題の1つとして位置づけています。グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげる取り組みを進めています。
●ジェンダーバランスの実現
当社ではジェンダーバランスの実現をDE&I推進の重要な柱と位置づけています。多様な人財の活躍状況を測る指標として、管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率をKPIとしており、2030年度までに10%以上にするという目標を設定し、その達成度を役員報酬にも連動させています(2025年度実績:5.5%)。
目標達成に向けて、女性リーダーを継続的に輩出するためのパイプライン形成に取り組んでいます。女性管理職向けのリーダー育成プログラムやメンタープログラムに加え、管理職手前の層を対象とした女性向けキャリア研修を実施して育成を進めています。
また、固定的な性別役割分担を払拭し、ライフステージに左右されない働き方を実現するため、男性の育児休業取得を促進しています。育児休業を取得し家事・育児にも積極的に携わる男性社員を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」をイントラネットで展開するほか、本人及びパートナーを対象としたセミナー、上司や管理職を対象とした両立支援マネジメント研修など、現場での実践に力を入れています。
DE&Iをさらに推進するため、インクルーシブ・リーダーシップの開発や風土醸成にも取り組んでいます。一人ひとりの多様性を活かし組織力に繋げていくためには、各自のアンコンシャスバイアスを知りコントロールすることが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には課長職全員、2025年度には担当課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、多様な社員の活躍を支援できるマネジメント層の育成を図っています。また、従業員一人ひとりが、DE&Iを自分ごととして考え行動するきっかけづくりの場として、2025年度より社外有識者の講演や対話を通じてヒントを得る「DE&I Talks」を開催しています。
これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は2025年度には361名に増加しています。
また女性の執行役員は3名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2026年6月現在)。
●高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化
高度専門職制度は、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献が期待される人財に対して、ふさわしい処遇を行うとともに、社内外で通用する専門性の高い人財を育成・輩出する仕組みです。
各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで専門性に応じた役割定義を定めて任命しています。高度専門職を設置する専門領域は、事業方針や事業戦略の変化を踏まえて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針の有機的な連動を図っています。
さらに、高度専門職の活動が新事業創出及び事業強化にこれまで以上につながるよう、各専門領域における活動ロードマップの策定などの取り組みを強化しています。加えて、任命者が活動の紹介を行い、相互に交流する場である高度専門職発表会を毎年開催するなど、専門領域内外の連携を積極的に行う取り組みを進めています。
●グローバル人財の活躍推進とグループの一体感の醸成
当社グループは、海外売上高比率の上昇及び北米を中心とした事業拡大を踏まえ、グローバルに事業を牽引できる経営人財の育成と海外拠点における人財マネジメントの高度化を重要な経営課題と位置づけています。特に、M&Aによりグループに加わった各社には、それぞれ独自のブランドや企業文化が根付いていることから、旭化成グループとしての一体感やグループ意識の醸成、並びに「A Spirit」の浸透が重要であると認識しています。地域ごとの事業戦略や市場特性に応じた人事課題を整理し、コーポレート人事と各地域人事が連携して対応を進めています。
北米では、M&Aを含む成長投資が継続する中、現地経営におけるガバナンス確立、経営幹部へのグループ方針・価値観の浸透、次世代経営人財の計画的育成を重点的に推進しています。将来の経営・機能リーダー候補を対象とした育成プログラムを通じ、事業や会社の枠を超えたネットワーク形成やグループ経営への参画機会を提供しています。
また、日本側の次世代経営人財との交流施策や、北米幹部とコーポレート幹部による定期的な会議を実施し、グループ共通課題の共有と相互理解の促進を図っています。
加えて、海外従業員のエンゲージメント向上を目的に、オンボーディング施策、当社グループバリューを体現するグローバルイベントの開催、研修プログラムの現地展開、異文化理解研修等を実施し、海外人財の定着と中長期的な活躍を支援しています。
■指標と目標
当社では中期経営計画に連動した人財戦略の主要KPIとして「従業員エンゲージメント(成長行動指標)」「ラインポスト+高度専門職における女性比率」「従業員エンゲージメント(活力指標の好意的回答者比率)」を掲げ、モニタリングしています。このうち、「ラインポスト+高度専門職における女性比率」と「従業員エンゲージメント(活力指標の好意的回答者比率)」を役員報酬に連動させています。

(注) 1 国内の全従業員を対象に1年に1回実施する従業員エンゲージメントサーベイKSA(活力と成長アセスメント)の回答結果より算出。「成長に繋がる行動」指標は5段階評価における回答者の平均値。
2 管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率。各年、翌年度4月1日時点の数値。対象は旭化成㈱、旭化成エレクトロニクス㈱、旭化成ホームズ㈱、旭化成建材㈱、旭化成ファーマ㈱、旭化成ライフサイエンス㈱。
人財戦略及び具体策、人事関連の諸データに関しては、サステナビリティレポートや統合報告書にも記載がありますので、あわせて参照ください。
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/
https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/
② 連結会社の従業員等の給与等の額及び内容の決定に関する方針
■基本方針(注)
従業員の報酬は、現在担っている役割と、その役割に基づく貢献度に応じて適切に処遇することを基本方針とし、公平性・納得性及び透明性の確保に配慮した制度運用を行っています。従業員の処遇体系として役割等級制度を採用し、職務内容や責任の大きさ等を踏まえ役割の大きさに応じて役割等級を設定し、その等級をもとに基本的な処遇水準を決定しています。これにより、環境変化や事業戦略に応じた柔軟な人材配置を可能とするとともに、より大きな役割への挑戦や付加価値の創出を促す仕組みとしています。
評価は、担当業務における成果・達成度のみならず、成果に至るまでのプロセスや取り組みの姿勢も考慮し総合的に判断しています。上司との対話を通じて評価結果のフィードバックを行い、従業員一人ひとりの成長及び中長期的な能力発揮につなげることを目指しています。
報酬体系は、役割等級に基づく基本報酬と、会社業績及び個人の評価結果に基づく業績連動報酬(賞与等)により構成し、個人の貢献度向上のインセンティブとして位置づけています。会社業績及び個人評価の報酬への反映度合いについては、役割等級や職責に応じて適切に設定しています。
報酬の決定及び運用にあたっては、労働関係法令等を遵守するとともに、評価及び処遇の考え方や仕組みについて従業員に周知し、制度の適切な運用及び理解促進に努めています。
■新人事制度への移行(注)
変化の激しい事業環境において、一人ひとりの挑戦を促し組織全体で挑戦的風土を高めるため、2025年度より新しい人事制度へ移行しました。
本制度は、過去の積み重ねも重視してきた従来の考え方から転換し、「現在の成果・貢献・挑戦」により力点を置いて評価する、新たな公平性“Fair”と、互いの挑戦を支え合う開かれた組織風土を目指す“Open”を掲げています。その結果、挑戦や成果が、これまで以上に報酬として反映される仕組みへと進化しています。
等級制度では、小刻みの段階昇格や経験年数管理を廃止し、年齢に関わらず優秀な人財を抜擢できる仕組みとしています。これにより、若手人財の管理職登用も着実に進んでいます。
新人事制度の定着には、現場運用の安定とマネジメント行動の変容が不可欠であることから、各種マネジメント支援施策を展開してきました。導入初期には、各事業領域で人事制度活用をテーマにワークショップを実施し、制度の狙いや期待されるマネジメント像の共通理解を促進しました。加えて全部長・課長を対象としたマネジメント支援研修を通じ、挑戦と成長を促すマネジメントサイクルの定着を進めています。さらに、360度フィードバック「SELFee(SELF Reflection by Peer feedback)」を導入し、マネージャー自身の内省と行動変容を促すことで新人事制度で目指す挑戦的風土の一層の強化を進めていきます。
(注) 旭化成㈱、旭化成エレクトロニクス㈱、旭化成建材㈱、旭化成ホームズ㈱、旭化成ファーマ㈱、旭化成ライフサイエンス㈱の総合職の従業員を対象とする。
(2) 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。
(2) 提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。
2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。
3 平均年間給与の対前事業年度6%の増加は、従業員の処遇向上を目的とした継続的なベースアップに加え、業績拡大を反映した賞与の増額によるものです。
(3) 労働組合の状況
当社及び一部の関係会社には、旭化成グループ労働組合連合会が組織されており、UAゼンセン製造産業部門に加盟しています。
当連結会計年度中における労働組合との交渉事項は、賃金改定、労働協約改定等でありましたが、いずれも円満解決しました。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。男性育児休業取得率は、前年産まれた子供に対する育児休業取得等の影響で100%を超える場合があります。
3 旭化成及び5事業会社における男性の育児休業の平均取得日数は47.1日となっています。取得率100%、取得日数の長期化を目指し、管理職を含めた研修等の実施によるマインドセット及び風土改革、男性の育児休業取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知、男性育児休業取得者の事例収集・提供、情報発信に取り組んでいます。
4 労働条件や賃金制度における性別の差異はありません。「正規労働者」の男女賃金差異は、上位等級への登用実績の男女差による影響です。上位等級への登用において男女差が生じていることに対して課題認識をしており、登用基準運用の見直しを行うとともに、KPIを定めて各部門での取り組みを進め、課題の解消に取り組んでいます。「全労働者」の男女賃金差異は、人員構成の影響を受けています。正規雇用労働者とパート・有期労働者の比率が男女で異なっており、女性の方がパート・有期労働者の水準の影響を受けやすい人員構成となっている結果です。
5 2026年4月1日付で旭化成電子㈱と旭化成マイクロシステム㈱が合併し、旭化成エレクトロニクス製造㈱に社名を変更しています。
第5 【経理の状況】
1 連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について
(1) 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しています。
(2) 当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という)に基づいて作成しています。
また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しています。
2 監査証明について
当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の連結財務諸表及び事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の財務諸表について、PwC Japan有限責任監査法人による監査を受けています。
3 連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組について
当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組を行っています。具体的には、会計基準等の変更等について的確に対応することができる体制を整備するため、公益財団法人財務会計基準機構へ加入し、情報収集及びコミュニケーションを行うとともに、同財団法人等が主催する各種セミナー等に参加することにより、会計基準等の内容を適切に把握することに努めています。
1 【連結財務諸表等】
(1)【連結財務諸表】
①【連結貸借対照表】
②【連結損益計算書及び連結包括利益計算書】
【連結損益計算書】
【連結包括利益計算書】
③【連結株主資本等変動計算書】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
④【連結キャッシュ・フロー計算書】
【注記事項】
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
1 連結の範囲に関する事項
(1) 連結子会社の数 285社
主要な連結子会社名は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しているため、省略しています。
なお、当連結会計年度より、新たに設立した8社、連結財務諸表に与える影響が重要となってきた持分法を適用していない非連結子会社1社を連結子会社としています。
また、連結子会社の売却により21社、連結子会社の清算により5社、連結子会社間の合併により4社、当社による連結子会社の吸収合併により1社を連結子会社から除外し、株式売却に伴い2社を連結子会社から持分法適用の関連会社に変更しています。
(2) 主要な非連結子会社の名称等
主要な非連結子会社……旭化成ネットワークス㈱等
非連結子会社は、いずれも小規模であり、合計の総資産・売上高・当期純損益(持分相当額)及び利益剰余金(持分相当額)等は、いずれも連結財務諸表に重要な影響を及ぼしていないため連結の範囲から除外しています。
2 持分法の適用に関する事項
(1) 持分法適用の非連結子会社数 5社
主要な会社名……旭化成ネットワークス㈱等
(2) 持分法適用の関連会社数 31社
主要な会社名……旭有機材㈱等
なお、当連結会計年度より、株式売却に伴い2社を連結子会社から持分法適用の関連会社に変更しています。
(3) 持分法を適用していない非連結子会社(Asahi Kasei Innovation Partners, Inc.等)及び関連会社(南陽化成㈱等)は、当期純損益(持分相当額)及び利益剰余金(持分相当額)等が連結財務諸表に及ぼす影響が軽微であり、かつ全体としても重要性がないため、持分法の適用範囲から除外しています。
(4) 持分法適用会社のうち、決算日が連結決算日と異なる会社については、各社の事業年度に係る財務諸表を使用しています。
3 連結子会社の事業年度等に関する事項
在外子会社のうち、49社の決算日は12月31日です。連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日現在で仮決算を行った財務諸表を基礎としています。
4 会計方針に関する事項
(1) 重要な資産の評価基準及び評価方法
① 有価証券
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
時価法
(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は主として移動平均法により算定)
市場価格のない株式等
主として移動平均法による原価法
② デリバティブ
時価法
③ 棚卸資産
主として総平均法による原価法
ただし、販売用土地及び住宅については個別法による原価法
(連結貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
(2) 重要な減価償却資産の減価償却の方法
① 有形固定資産(リース資産を除く)
定額法
なお、主な耐用年数は以下のとおりです。
建物及び構築物 7~60年
機械装置及び運搬具 2~22年
② 無形固定資産(リース資産を除く)
ソフトウェア(自社利用)については、社内における利用可能期間(主として5年)に基づく定額法
その他の無形固定資産は主として定額法
③ リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法
(3) 重要な引当金の計上基準
① 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
② 株式給付引当金
株式交付規程に基づく取締役等への当社株式等の給付に備えるため、当連結会計年度末における株式給付債務の見込額に基づき計上しています。
③ 修繕引当金
設備の修繕に伴う費用の支出に備えるため、その見込額のうち当連結会計年度末において発生していると認められる額を計上しています。
④ 製品保証引当金
将来の製品保証費用の支出に備えるため、過去の補償費用発生実績に基づき計上しています。
⑤ 固定資産撤去費用引当金
固定資産の撤去工事に伴う費用の支出に備えるため、その見込額を計上しています。
(4) 退職給付に係る会計処理の方法
① 退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっています。
② 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
数理計算上の差異は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法によりそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理しています。
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により費用処理しています。
③ 小規模企業等における簡便法の採用
一部の連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しています。
(5) 重要な収益及び費用の計上基準
当社グループは、「ヘルスケア」セグメント、「住宅」セグメント、「マテリアル」セグメントの製品の販売、請負工事、サービスの提供等を主な事業としています。
製品の販売については、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、顧客に引き渡された時点で収益を認識しています。ただし、出荷時から製品の支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である国内販売については、出荷時点で収益を認識しています。
工事契約やサービスについては、一定の期間にわたり充足される履行義務の要件を満たす場合には、一定の期間にわたり収益を認識しています。また、工事契約の履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っています。
収益は顧客との契約において約束された対価から、返品、値引き及び割戻し等を控除した著しい減額が生じない可能性が高い範囲内の金額で算定しています。
なお、取引の対価は、履行義務を充足してから主として1年以内に受領しているため、重要な金融要素は含んでいません。
(6) 重要な外貨建の資産又は負債の本邦通貨への換算基準
外貨建金銭債権債務は、連結決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しています。なお、在外子会社等の資産及び負債は連結決算日の直物為替相場により、収益及び費用は期中平均相場により円貨に換算し、換算差額は純資産の部における為替換算調整勘定及び非支配株主持分に含めています。
(7) 重要なヘッジ会計の方法
① ヘッジ会計の方法
主として繰延ヘッジ処理を採用しています。
なお、金利スワップについては特例処理の要件を満たしている場合は特例処理を採用しています。
② ヘッジ手段とヘッジ対象
ヘッジ手段 ヘッジ対象
為替予約 外貨建金銭債権債務(予定取引を含む)
金利スワップ 支払利息
③ ヘッジ方針
当社及び一部の連結子会社においては、デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、為替レートの変動リスク及び金利変動リスクを回避することを目的としています。
④ ヘッジ有効性評価の方法
ヘッジ手段及びヘッジ対象に関する重要な条件が同一であり、かつ、ヘッジ開始時及びその後も継続して相場変動又はキャッシュ・フロー変動を完全に相殺するものと想定することができるため、ヘッジ有効性の判定は省略しています。
(8) のれんの償却方法及び償却期間
のれんの償却については、その効果の及ぶ合理的な期間で均等償却を行っています。ただし、重要性のないものについては一括償却しています。負ののれんについては、当該負ののれんが生じた連結会計年度の利益として処理しております。
(9) 連結キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲
手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
(10) その他連結財務諸表作成のための重要な事項
該当事項はありません。
(重要な会計上の見積り)
前連結会計年度(2025年3月31日)
1.マテリアルセグメントの固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、資産グループについて、営業活動から生ずる損益の継続的なマイナスや、使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化等の事象が生じているか、又は生じる見込みである場合には、減損の兆候を識別しています。
セパレータ事業や石油化学関連製品を扱う基盤マテリアル事業を含むマテリアルセグメントの業績は、リチウムイオン電池の主たる用途である電気自動車市場の成長遅延や石油化学製品の需給バランスの悪化等に起因して低迷しています。このような経営環境の中、マテリアルセグメントにおいて、継続的に営業損益がマイナスとなっている資産グループを構成する事業が存在しており、減損損失の認識の要否の判定をしています。
減損損失の認識の判定に用いる将来キャッシュ・フローは取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、将来の電気自動車市場の成長やシェアの獲得、石油化学製品の需給バランスの見通しに基づく、販売数量や販売価格、原料価格の見通し等の重要な仮定が含まれています。
減損損失の認識の判定に用いた仮定は、見積りの不確実性の程度が高く、前提とした状況が変化すれば、翌連結会計年度の連結財務諸表において、減損損失を認識する可能性があります。
2.Polypore International, LLCの固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
Polypore International, LLCの固定資産について、2023年3月期にのれん及びその他の無形固定資産を対象として、186,376百万円の減損損失を計上しました。
当連結会計年度において、Polypore International, LLCのリチウムイオン電池用乾式セパレータについて、乾式セパレータの高出力・高耐久性といった特長が活かせるハイブリッド車用途での販売を着実に伸ばしている一方、その他の環境対応車用途や三元系(NMC)正極を使用したエネルギー貯蔵システム(ESS)用途の販売低迷による低水準の稼働継続により、継続して営業損失が計上され、Polypore International, LLCの資産グループに減損の兆候を識別しています。減損損失の認識の要否を判定した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していません。
Polypore International, LLCの割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、環境対応車及びリン酸鉄リチウム(LFP)系の正極を使用したエネルギー貯蔵システム(ESS)向けリチウムイオン電池の需要獲得等の計画を考慮して見積られた将来の売上予測といった重要な仮定が含まれています。
これらの仮定に変動が生じた場合は、翌連結会計年度の連結財務諸表における減損の認識に影響を与える可能性があります。
3.Bionova Scientific, LLCの買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、のれんの減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定は、事業に関連する資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行います。
当連結会計年度において、主にバイオベンチャーへの資金流入の減少による需要の低迷等により、継続して営業損失が計上され、Bionova Scientific, LLCの資産グループに減損の兆候を識別していますが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していません。
Bionova Scientific, LLCの割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、Bionova Scientific, LLCの事業の成長性を考慮して、将来の顧客パイプラインの獲得、バイオ医薬品の開発製造の受託件数の増加及びプラスミド製造開始による売上高の増加等の重要な仮定が含まれています。
これらの仮定に変動が生じた場合は、翌連結会計年度の連結財務諸表における減損の認識に影響を与える可能性があります。
4.Calliditas Therapeutics ABの買収により取得した技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積り
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、企業結合の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価について、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの合理的に算定された価額を基礎として算定しています。当社グループは当連結会計年度に、現金167,810百万円を対価とした取引によりCalliditas Therapeutics AB を完全子会社化し、企業結合日時点において存在していた事実及び状況に基づき識別した技術関連資産の時価を超過収益法により算定し、技術関連資産166,242百万円を計上しています。
当買収の目的は、Calliditas Therapeutics ABが保有するIgA腎症治療薬、事業資産及び人財の活用によってポテンシャルを最大限に活かし、グローバルスペシャリティファーマとしての進化を加速することに加えて、米国での腎疾患及び自己免疫疾患における販売体制の拡充により米国市場でのプレゼンスを確立すること、グローバルスペシャリティファーマとしてのプラットフォームを活用し新たな医薬品や開発パイプラインの導入機会を拡充することにあります。当該技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積りにあたっては、将来キャッシュ・フローに含まれる競合品・後発品等参入リスクを踏まえた将来の販売数量及び技術関連資産に対する割引率の決定が重要な仮定として使用されており、仮定に含まれる見積りの不確実性が高い状況にあります。
当連結会計年度(2026年3月31日)
1.旭化成バッテリーセパレータ㈱の固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、資産グループについて、営業活動から生ずる損益の継続的なマイナスや、使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化等の事象が生じているか、又は生じる見込みである場合には、減損の兆候を識別しています。
当連結会計年度において、リチウムイオン電池の主たる用途である電気自動車市場の成長鈍化により、営業活動から生ずる損益が継続的にマイナスとなっていることから、旭化成バッテリーセパレータ㈱(以下、「旭化成バッテリーセパレータ」)の資産グループに減損の兆候を識別していますが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していません。
旭化成バッテリーセパレータの割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、将来の電気自動車市場及びエネルギー貯蔵システム向け電池市場の成長や当該市場成長による電池メーカー等からの受注獲得見通しに基づく、販売数量や販売価格、売上原価の見通し等の重要な仮定が含まれています。
これらの仮定に変動が生じた場合は、翌連結会計年度の連結財務諸表における減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
2.Polypore International, LLCの固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当連結会計年度において、Polypore International, LLC(以下、「Polypore社」)は鉛蓄電池用セパレータ「Daramic®」事業を譲渡しました。一方、リチウムイオン電池用乾式セパレータについては、乾式セパレータの高出力・高耐久性といった特長が活かせるハイブリッド車用途での販売を着実に伸ばしているものの、その他の環境対応車用途やエネルギー貯蔵システム(ESS)用途の販売低迷により、低水準の稼働が継続しています。この結果、営業活動から生ずる損益が継続的にマイナスとなっていることから、Polypore社の資産グループに減損の兆候を識別していますが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していません。
Polypore社の割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、ハイブリッド車用途、データセンター用途の無停電電源装置及びリン酸鉄リチウム(LFP)系の正極を使用したエネルギー貯蔵システム(ESS)向けリチウムイオン電池の需要獲得等の計画を考慮して見積られた将来の売上予測といった重要な仮定が含まれています。
これらの仮定に変動が生じた場合は、翌連結会計年度の連結財務諸表における減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
3.Bionova Scientific, LLCの買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、のれんの減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定は、事業に関連する資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行います。
当連結会計年度において、主にバイオベンチャーへの資金流入の減少による需要の低迷等により、営業活動から生ずる損益が継続的にマイナスとなっていることから、Bionova Scientific, LLC.(以下、「Bionova社」)の資産グループに減損の兆候を識別していますが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していません。
Bionova社の割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された当社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、Bionova社の事業の成長性を考慮して、将来の顧客パイプラインの獲得、バイオ医薬品の開発製造の受託件数の増加及びプラスミド製造開始による売上高の増加等の重要な仮定が含まれています。
これらの仮定に変動が生じた場合は、翌連結会計年度の連結財務諸表における減損損失の認識に影響を与える可能性があります。
(未適用の会計基準等)
・「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)
・「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号)
ほか、関連する企業会計基準、企業会計基準適用指針、実務対応報告及び移管指針の改正
(1) 概要
国際的な会計基準と同様に、借手のすべてのリースについて資産・負債を計上する等の取扱いを定めるものです。
(2) 適用予定日
2028年3月期の期首より適用予定です。
(3) 当該会計基準等の適用による影響
影響額は、当連結財務諸表の作成時において評価中です。
(表示方法の変更)
連結損益計算書関係
前連結会計年度において、独立掲記していた営業外費用の「為替差損」は、営業外費用の総額の100分の10以下となったため、当連結会計年度より「その他」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っています。この結果、前連結会計年度の連結損益計算書において、営業外費用の「為替差損」に表示していた5,624百万円を「その他」として組替えています。
(連結貸借対照表関係)
※1 非連結子会社及び関連会社に対するものは、次のとおりです。
※2 担保に供している資産及び担保付債務は、次のとおりです。
担保資産
担保付債務
上記のほか、前連結会計年度においては113百万円、当連結会計年度においては736百万円の現金及び預金を銀行保証債務の担保として差し入れています。また、前連結会計年度において53百万円、当連結会計年度において40百万円の投資有価証券を取引保証金として取引先に差し入れています。
※3 受取手形、売掛金及び契約資産のうち、顧客との契約から生じた債権及び契約資産の金額は、それぞれ以下のとおりです。
4 偶発債務
(1) 下記会社等の銀行借入等に対し、次の保証を行っています。
① 非連結子会社・関連会社
保証残高は、他社との共同保証による実質他社負担額も含めて記載しています。( )内の金額は実質他社負担額です。
② 上記会社以外
保証残高は、他社との共同保証による実質他社負担額も含めて記載しています。( )内の金額は実質他社負担額です。
(2) 住宅ローン利用による「ヘーベルハウス™」等の購入者のために金融機関に対し保証を行っています。
保証残高は前連結会計年度が42,331百万円(うち、実質他社負担額37百万円)、当連結会計年度が31,363百万円(うち、実質他社負担額-百万円)です。
(3) 訴訟
2017年11月28日に、三井不動産レジデンシャル株式会社は、当社子会社の旭化成建材㈱(以下、「旭化成建材」)が二次下請として施工した横浜市所在のマンション(以下、「本件マンション」)の杭工事において、一部不具合が懸念されること等により本件マンションの建て替え費用等を負担したとして、本件マンション施工会社である三井住友建設株式会社、一次下請会社である株式会社日立ハイテク及び旭化成建材の3社に対して損害賠償を請求する訴訟を東京地方裁判所に提起しました。また、当該訴訟に関連して、三井住友建設株式会社及び株式会社日立ハイテクが損害賠償責任を負担した場合の損害について、旭化成建材に対して請求するための訴訟を提起しました。
従来より旭化成建材は、三井不動産レジデンシャル株式会社、三井住友建設株式会社及び株式会社日立ハイテクの請求には根拠がないと考えており、引き続き訴訟においてその考えを主張していきます。
※5 有形固定資産の取得価額から国庫補助金等により減額されている圧縮記帳累計額は、次のとおりです。
※6 当社グループは、ナイロン原料を安定的に調達するため、原料メーカーとの間で長期購入契約を締結しています。当該契約に則り、その一部について前渡金を支払っています。
(連結損益計算書関係)
※1 顧客との契約から生じる収益
売上高については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益を区分して記載していません。顧客との契約から生じる収益の金額は、「収益認識関係」注記に記載しています。
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目の金額は、次のとおりです。
※3 一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、次のとおりです。
※4 期末棚卸高は収益性の低下に伴う簿価切下げ後の金額であり、以下の棚卸資産評価損(△は戻入益)が売上原価に含まれています。
※5 持分法による投資損益
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
持分法適用関連会社であるPTT Asahi Chemical Co., Ltd.において事業撤退に係る損失を計上したことなどに伴い、同社に対する持分法による投資損失9,877百万円を計上しています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
持分法適用関連会社であるPTT Asahi Chemical Co., Ltd.において事業撤退損失引当金戻入益を計上したことなどに伴い、同社に対する持分法による投資利益5,898百万円を計上しています。
※6 固定資産売却益の内容は、次のとおりです。
(表示方法の変更)
前連結会計年度において「その他」に含めていました「建物」は金額的重要性が増したため、当連結会計年度において独立掲記することとしています。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の「その他」に表示していた170百万円は「建物」2百万円及び「その他」168百万円として組み替えています。
※7 固定資産処分損の内容は機械装置等の廃棄・売却損等です。
機械装置等の廃棄・売却に関しては、設備一式について一括契約しているものがあります。
※8 減損損失
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
以下の資産について、減損損失を計上しています。
当社グループは、事業用資産については管理会計上の区分を基礎として製造工程、地域性、投資の意思決定単位等を加味してグルーピングを行っています。遊休資産については個別の資産単位ごとに把握しています。
エレクトロニクス材料製造設備、化学品原料製造設備、発泡樹脂製造設備及び電池材料製造設備(Pyeongtaek, Korea)については、収益性が低下したため、帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。回収可能価額は、使用価値等により測定しており、使用価値は将来キャッシュ・フローを10.0%~10.6%で割り引いて算定し、将来キャッシュ・フローがマイナスと見込まれる資産については、回収可能価額を零として評価しています。
また、電池材料製造設備(Kentucky, U.S.A.)については、サプライチェーンの効率化に伴い生産体制を見直し、一部製造ラインの廃棄を決定したため、電池材料製造設備(滋賀県守山市 他)、研究開発設備及び輸血用白血球除去フィルター製造設備については、将来の使用見込みがなくなったため、帳簿価額の全額を減額しました。
なお、その他のうち183百万円については、特別損失の「事業構造改善費用」に含めて表示しています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
以下の資産について、減損損失を計上しています。
(注) 汎用石化・樹脂資産グループに関連する設備には、エッセンシャルケミカル事業のうち石油化学製品の製造設備、及びパフォーマンスケミカル事業のうち合成樹脂及びその原料の製造設備などが含まれます。
当社グループは、事業用資産については管理会計上の区分を基礎として製造工程、地域性、投資の意思決定単位等を加味してグルーピングを行っています。遊休資産については個別の資産単位ごとに把握しています。
汎用石化・樹脂資産グループに関連する設備、合成繊維製造設備については、収益性が低下したため、帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。回収可能価額は、使用価値等により測定しており、使用価値は将来キャッシュ・フローを11.0%~14.0%で割り引いて算定し、将来キャッシュ・フローがマイナスと見込まれる資産については、回収可能価額を零として評価しています。
また、研究開発設備、樹脂原料製造設備、半導体製造設備、真贋判定機器製造設備、電池材料製造設備、コーティング剤製造設備、ナイロン原料製造設備及びアクリル樹脂製造設備については、将来の使用見込みがなくなったため、帳簿価額の全額を減額しました。
なお、その他のうち60百万円については、特別損失の「事業構造改善費用」に含めて表示しています。
※9 事業構造改善費用の内容は、次のとおりです。
(連結包括利益計算書関係)
※1 その他の包括利益に係る組替調整額並びに法人税等及び税効果額
(連結株主資本等変動計算書関係)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項
(注) 1 普通株式の発行済株式の株式数の減少は、取締役会決議に基づく自己株式の消却による減少28,180千株です。
2 普通株式の自己株式の株式数の増加28,189千株は、取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加28,180千株、単元未満株式の買取りによる増加9千株です。
3 普通株式の自己株式の株式数の減少28,268千株は、取締役会決議に基づく自己株式の消却による減少28,180千株、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する株式の処分による減少88千株、単元未満株式の売渡しによる減少0千株です。
4 当連結会計年度末の自己株式数には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式1,574千株が含まれています。
2 配当に関する事項
(1) 配当金支払額
(注) 1 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金30百万円が含まれています。
2 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金28百万円が含まれています。
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
(注) 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金31百万円が含まれています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項
(注) 1 普通株式の自己株式の株式数の増加1,834千株は、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する株式の取得による増加1,826千株、単元未満株式の買取りによる増加8千株です。
2 普通株式の自己株式の株式数の減少206千株は、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する株式の処分による減少205千株、単元未満株式の売渡しによる減少0千株です。
3 当連結会計年度末の自己株式数には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式3,194千株が含まれています。
2 配当に関する事項
(1) 配当金支払額
(注) 1 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金31百万円が含まれています。
2 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金27百万円が含まれています。
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
(注) 配当金の総額には、取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式に対する配当金70百万円が含まれています。
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
※1 現金及び現金同等物の期末残高と連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係
※2 持分及び株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産及び負債の主な内訳
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
持分の取得により新たにODC Construction, LLC及びその連結子会社5社を連結したことに伴う連結開始時の資産及び負債の内訳並びに同社持分の取得価額と同社取得のための支出(純額)との関係は次のとおりです。
株式の取得により新たにCalliditas Therapeutics AB及びその連結子会社5社を連結したことに伴う連結開始時の資産及び負債の内訳並びに同社株式の取得価額と同社取得のための支出(純額)との関係は次のとおりです。
※3 株式又は持分の売却により連結子会社でなくなった会社の資産及び負債の主な内訳
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
株式の売却等により、旭化成メディカル株式会社及びその連結子会社4社が連結子会社でなくなったことに伴う売却時の資産及び負債の内訳並びに株式の売却価額と売却による収入(純額)は次のとおりです。
株式の売却により、ナガセダイアグノスティクス株式会社が連結子会社でなくなったことに伴う売却時の資産及び負債の内訳並びに株式の売却価額と売却による収入(純額)は次のとおりです。
持分の売却により、Daramic, LLC及び連結子会社14社が連結子会社でなくなったことに伴う売却時の資産及び負債の内訳並びに持分の売却価額と売却による収入(純額)は次のとおりです。
上記以外の株式の売却により連結子会社でなくなったその他の会社の資産及び負債の金額は、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(リース取引関係)
1 所有権移転外ファイナンス・リース取引、IFRS第16号適用の在外子会社及びASC第842号適用の在外子会社における使用権資産
(借主側)
(1) リース資産の内容
① 有形固定資産
主として、使用権資産(建物・土地・車両運搬具)です。
なお、使用権資産は当連結会計年度の連結貸借対照表において「その他」に含めて表示しています。
② 無形固定資産
ソフトウェアです。
(2) リース資産の減価償却の方法
前述の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (2) 重要な減価償却資産の減価償却の方法 ③ リース資産」注記に記載のとおりです。
2 オペレーティング・リース取引
(借主側)
オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料
(単位:百万円)
(金融商品関係)
1 金融商品の状況に関する事項
(1) 金融商品に対する取組方針
当社グループは、主に設備投資計画から必要な長期資金については銀行借入、生命保険会社からの借入及び社債発行等で調達しています。余剰資金の一部は安全性の高い金融資産に限定して運用し、短期的な運転資金については銀行借入及びコマーシャル・ペーパー等で調達しています。デリバティブは主に為替及び金利の変動リスクに晒されている資産・負債に係るリスクを軽減することを目的として利用しており、投機目的の取引はありません。
(2) 金融商品の内容及びそのリスク並びにリスク管理体制
営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されています。当該リスクに関しては、当社グループの事業は多岐にわたっており、特定の顧客に営業債権が過度に集中することはありませんが、グループ各社において、取引先ごとの信用状況を把握、管理する体制にしています。
投資有価証券は、市場価格の変動リスクに晒されていますが、政策保有を目的とする取引先企業等の株式が主なものであり、定期的に時価を評価し、発行体の財務状況を把握しています。
営業債務である支払手形及び買掛金は、概ね1年以内の支払期日です。
変動金利の借入金は、金利の変動リスクに晒されていますが、このうち長期のものの一部については、支払利息の固定化を図るために、デリバティブ取引(金利スワップ取引)をヘッジ手段として利用しています。
営業債権及び営業債務には円貨建て以外のものがあり、為替の変動リスクに晒されています。当社グループは、為替の変動による影響を軽減するため、原則として実需の範囲内でデリバティブ取引(為替予約取引)によるヘッジを行っています。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針、ヘッジの有効性の評価方法等については、前述の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (7) 重要なヘッジ会計の方法」をご参照ください。
デリバティブ取引は、取引金融機関の信用リスクに晒されていますが、定期的なモニタリングにより、信用状況の検証をしています。また、当該取引に関する取引権限、取引手続、取引限度等を定めた社内規程に則り、執行・管理しています。
借入金は、流動性リスクに晒されていますが、当社は当社グループの資金計画から必要な手元資金水準を定め、適時、資金繰計画を作成・更新するとともに、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、当該リスクを管理しています。
(3) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することもあります。また、「2 金融商品の時価等に関する事項」におけるデリバティブ取引に関する契約額等については、その金額自体がデリバティブ取引に係る市場リスクを示すものではありません。
2 金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりです。
前連結会計年度(2025年3月31日)
(*1) 現金は注記を省略しており、預金、受取手形及び売掛金、支払手形及び買掛金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー及び未払法人税等は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから注記を省略しています。
(*2) 市場価格のない株式等は上表には含めていません。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(*3) 「(2) 長期貸付金」には、流動資産の「その他」に含めて表示している1年内回収予定の長期貸付金を含めています。
(*4) 「(4) 長期借入金」には、流動負債の「短期借入金」に含めて表示している1年内返済予定の長期借入金を含めています。
(*5) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については( )で示しています。
当連結会計年度(2026年3月31日)
(*1) 現金は注記を省略しており、預金、受取手形及び売掛金、支払手形及び買掛金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー及び未払法人税等は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから注記を省略しています。
(*2) 市場価格のない株式等は上表には含めていません。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(*3) 「(2) 長期貸付金」には、流動資産の「その他」に含めて表示している1年内回収予定の長期貸付金を含めています。
(*4) 「(4) 長期借入金」には、流動負債の「短期借入金」に含めて表示している1年内返済予定の長期借入金を含めています。
(*5) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については( )で示しています。
(注) 1 金銭債権及び満期がある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
2 社債、長期借入金、リース債務及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
3 金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
金融商品の時価を、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しています。
レベル1の時価:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類しています。
なお、現金は注記を省略しており、預金、受取手形及び売掛金、支払手形及び買掛金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー及び未払法人税等は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから下記分類には含めていません。
時価をもって連結貸借対照表計上額とする金融資産及び金融負債
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
時価をもって連結貸借対照表計上額としない金融資産及び金融負債
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
(注) 時価の算定に用いた評価技法とインプットの説明
(有価証券関係)
1 その他有価証券
前連結会計年度(2025年3月31日)
(注) 非上場株式(連結貸借対照表計上額82,905百万円)及び出資証券(連結貸借対照表計上額1,310百万円)は、市場価格のない株式等に該当するため、上表の「その他有価証券」には含めていません。
当連結会計年度(2026年3月31日)
(注) 非上場株式(連結貸借対照表計上額92,801百万円)及び出資証券(連結貸借対照表計上額1,261百万円)は、市場価格のない株式等に該当するため、上表の「その他有価証券」には含めていません。
2 連結会計年度中に売却したその他有価証券
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 上表の「その他有価証券」には、時価評価されていない株式が含まれています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注) 上表の「その他有価証券」には、時価評価されていない株式が含まれています。
3 減損処理を行った有価証券
前連結会計年度において、投資有価証券について2,286百万円(その他有価証券の株式2,226百万円、その他有価証券の転換社債等60百万円)減損処理を行っています。
当連結会計年度において、投資有価証券について3,335百万円(その他有価証券の株式3,262百万円、その他有価証券の転換社債等72百万円)減損処理を行っています。
(デリバティブ取引関係)
1 ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
通貨関連
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
2 ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
(1) 通貨関連
前連結会計年度(2025年3月31日)
当連結会計年度(2026年3月31日)
(2) 金利関連
前連結会計年度(2025年3月31日)
(注) 金利スワップの特例処理によるものは、ヘッジ対象とされている長期借入金と一体として処理されているため、その時価は、当該長期借入金の時価に含めて記載しています。
当連結会計年度(2026年3月31日)
(注) 金利スワップの特例処理によるものは、ヘッジ対象とされている長期借入金と一体として処理されているため、その時価は、当該長期借入金の時価に含めて記載しています。
(退職給付関係)
1 採用している退職給付制度の概要
当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として退職一時金制度、基金型確定給付企業年金制度、並びに確定拠出型の制度を採用又は併用しています。
従業員の退職等に際して、退職給付会計に準拠した数理計算による退職給付債務の対象とされない割増退職金を支払う場合があります。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり、簡便法を採用しています。
2 確定給付制度(簡便法を適用した制度を含む)
(1) 退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表
(単位:百万円)
(2) 年金資産の期首残高と期末残高の調整表
(単位:百万円)
(3) 退職給付債務及び年金資産の期末残高と連結貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び退職給付に係る資
産の調整表
(単位:百万円)
(4) 退職給付費用及びその内訳項目の金額
(単位:百万円)
(5) 退職給付に係る調整額
退職給付に係る調整額に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりです。
(単位:百万円)
(6) 退職給付に係る調整累計額
退職給付に係る調整累計額に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりです。
(単位:百万円)
(7) 年金資産に関する事項
① 年金資産の主な内訳
年金資産合計に対する主な分類ごとの比率は、次のとおりです。
(注) オルタナティブ投資は、主に不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンド等への投資です。
② 長期期待運用収益率の設定方法
年金資産の長期期待運用収益率を決定するため、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しています。
(8) 数理計算上の計算基礎に関する事項
主要な数理計算上の計算基礎
3 確定拠出制度
当社及び連結子会社の確定拠出制度への要拠出額は、前連結会計年度8,995百万円、当連結会計年度10,098百万円です。
(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
(注) 税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額
前連結会計年度(2025年3月31日)
(*1) 税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額です。
(*2) 税務上の繰越欠損金68,553百万円(法定実効税率を乗じた額)について、繰延税金資産35,120百万円を計上しています。これは将来の課税所得の見込みにより回収可能と判断したためです。
当連結会計年度(2026年3月31日)
(*3) 税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額です。
(*4) 税務上の繰越欠損金59,065百万円(法定実効税率を乗じた額)について、繰延税金資産19,669百万円を計上しています。これは将来の課税所得の見込みにより回収可能と判断したためです。
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社及び一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用しています。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っています。
(企業結合等関係)
1 連結子会社による優先出資受入れ及び株式譲渡等による血液浄化事業のアイエーホールディングス株式会社への譲渡
(1) 事業分離の概要
① 分離先企業の名称
アイエーホールディングス株式会社
② 分離した事業の内容
• ダイアライザー(人工腎臓)及び関連商品の開発・製造・販売
• 血液浄化(アフェレシス)商品の開発・製造・販売
③ 事業分離を行った主な理由
血液浄化事業は、透析・アフェレシス関連製品の開発・製造・販売において50年の歴史を持ち、日本国内、海外のユーザーより高い評価を受ける製品群を供給しています。高付加価値製品として、透析領域においてビタミンEを固定化したダイアライザーや、アフェレシス領域において難病治療に使用される血漿交換療法用のデバイス、そのほかにも、患者の自己血由来の自己フィブリン糊を自動調製するクリオシールシステム等を提供しています。加えて、血液浄化事業で培った豊富な経験とノウハウを生かし、集中治療領域において患者さまや医療従事者の方々に多様な価値を提供する製品・サービスにも近年新たに事業を展開しています。当社では、本事業の継続的な成長のために選択し得る戦略的オプションを幅広く検討してきましたが、インテグラル株式会社(以下、「インテグラル」)より本事業の成長に対する強い意志に基づいた積極的な投資の提案があり、新たなパートナーのもとで、独立し、専業化したうえで、よりいっそう成長投資を強化していくことが本事業にとって重要であると判断しました。
④ 事業分離日
2025年4月1日
⑤ その他取引の概要に関する事項
Ⅰ 当社の完全子会社として、旭化成ライフサイエンス㈱(以下、「旭化成ライフサイエンス」)を設立しました。
Ⅱ 旭化成メディカル㈱(以下、「旭化成メディカル」)のバイオプロセス事業等を吸収分割により旭化成ライフサイエンスに承継しました。
Ⅲ インテグラルは同社が設立し、その関連会社が運営するファンド(以下、インテグラル株式会社とあわせて「インテグラル」)が保有する特別目的会社であるアイエーホールディングス株式会社(以下、出資会社)を通じて旭化成メディカルに優先株式による出資を行い、当社は2025年4月1日に保有する旭化成メディカル株式の出資会社への譲渡等を行うことにより、旭化成メディカルの議決権保有割合を当社20%、出資会社80%としました。また、2027年4月頃をめどに残余株式の譲渡を実施し、出資会社の議決権保有割合を100%とします(出資会社の指定する者と共同での保有割合を100%とする場合を含む)。
(2) 実施した会計処理の概要
① 移転損益の金額
事業譲渡益 8,456百万円
② 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
③ 会計処理
移転したことにより受け取った対価と、移転した事業に係る株主資本相当額との差額を関係会社株式売却益として認識しています。
(3) 分離した事業が含まれていた報告セグメントの名称
ヘルスケア
2 連結子会社による会社分割及び株式の譲渡による診断薬事業などの長瀬産業への譲渡
(1) 事業分離の概要
① 分離先企業の名称
長瀬産業株式会社
② 分離した事業の内容
• 診断薬及び診断薬用酵素の製造、開発及び販売に関するすべての事業
• 大仁医薬工場(診断薬用酵素原料、及び「ブレディニン®」等の医薬品の原薬製造工場)
• 大仁統括センター(主に、診断薬事業及び大仁医薬工場を含む大仁地区全体のインフラ管理組織)
③ 事業分離を行った主な理由
当社グループでは、ヘルスケア領域において、医療機器などを扱うクリティカルケア事業の成長、医薬事業の継続的な拡大、バイオプロセス事業の発展による利益成長を目指しています。これらの大きな成長機会には継続的な集中投資が必要であり、将来の優先順位を決定するためにポートフォリオの見直しを行っています。その中で、旭化成ファーマ㈱(以下、「旭化成ファーマ」)は、診断薬事業(以下、「当該事業」)とのシナジーが発揮できる他社への譲渡、いわゆるベストオーナーの観点も含めた検討を慎重に行ってきました。その結果、当該事業は旭化成グループの傘下ではなく、バイオ関連事業の領域において高いプレゼンスや技術力を持ち、積極的な成長投資が可能な長瀬産業株式会社(以下、「長瀬産業」)の傘下で事業を運営することが最も適切であり、当該事業の成長を最大化できるとの結論に至りました。
④ 事業分離日
2025年7月1日
⑤ その他取引の概要に関する事項
2025年7月1日を効力発生日として、本件譲渡に関する権利義務、及び大仁地区の土地と施設を、会社分割等により旭化成ファーマが設立したナガセダイアグノスティックス㈱(以下、「ナガセダイアグノスティックス」)に承継させ、同日付で旭化成ファーマより長瀬産業に対しナガセダイアグノスティックスの全株式を譲渡しました。
(2) 実施した会計処理の概要
① 移転損益の金額
事業譲渡損 4,690百万円
② 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
③ 会計処理
移転したことにより受け取った対価と、移転した事業に係る株主資本相当額との差額を事業構造改善費用として認識しています。
(3) 分離した事業が含まれていた報告セグメントの名称
ヘルスケア
(4) 当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている分離した事業に係る損益の概算額
重要性が乏しいため、記載を省略しています。
3 連結子会社による鉛蓄電池用セパレータ「Daramic®」事業の譲渡
(1) 事業分離の概要
① 分離先企業の名称
Daramic Buyer LLC、Polypore Buyer LLC
② 分離した事業の内容
鉛蓄電池用セパレータ「Daramic®」(以下、「ダラミック」)の開発・製造・販売
③ 事業分離を行った主な理由
当社は2015年8月のPolypore International, LLC(以下、「Polypore社」)買収により、鉛蓄電池用セパレータ「ダラミック」とリチウムイオン電池用乾式セパレータ「Celgard®」を取得しました。「ダラミック」は車載用途や産業用途を中心に使用され、安定的な収益貢献が期待できる事業として、コストダウンをはじめとするグローバルでの製造拠点の強化等を進めてきました。しかし、セパレータ事業の中長期的な戦略を踏まえ、ベストオーナーの観点も含めて慎重に検討を重ねた結果、このたびの譲渡が最良であるとの結論に至りました。
④ 事業分離日
2025年12月1日
⑤ その他取引の概要に関する事項
受取対価を現金等の財産のみとする持分譲渡。
2025年12月1日を効力発生日として、Polypore社及びCelgard, LLCが保有するダラミック事業に関する全持分をKingswood Capital Management, L.P.が傘下に設立したDaramic Buyer LLC及びPolypore Buyer LLCに譲渡しました。
(2) 実施した会計処理の概要
① 移転損益の金額
事業譲渡損 7,166百万円
(注) 今後譲渡先と合意した価格調整を行うことから暫定的に算定された金額です。
② 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
③ 会計処理
移転したことにより受け取った対価と、移転した事業に係る株主資本相当額との差額を事業構造改善費用として認識しています。
(3) 分離した事業が含まれていた報告セグメントの名称
マテリアル
(4) 当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている分離した事業に係る損益の概算額
売上高 26,601百万円
営業利益 2,820百万円
(追加情報)
旭化成アドバンスと帝人フロンティアの経営統合
当社は、当社の連結子会社である旭化成アドバンス㈱(以下、「旭化成アドバンス」)と、帝人株式会社(以下、「帝人」)の連結子会社である帝人フロンティア株式会社(以下、「帝人フロンティア」)について、帝人フロンティアを存続会社とする吸収合併を実施することを決定し、2026年10月1日(予定)を効力発生日として帝人フロンティアを当社及び帝人の共同出資による合弁会社(帝人80%、当社20%)とする基本契約を2025年12月1日付で締結しました。
(1) 事業分離の概要
① 分離先企業の名称
帝人フロンティア株式会社
② 分離した事業の内容
繊維、化学品、建材分野での商品売買や製造・加工、各種サービスの提供など
③ 事業分離を行った主な理由
旭化成アドバンスは、旭化成グループの製品群を中心に、繊維、化学品、建材など幅広い商品を取り扱う商社として、2015年に設立されました。今後の持続的な事業拡大を検討する中で、旭化成アドバンス単独での成長を追求するのではなく、グローバルな調達力に強みを持つ商社機能と、高機能繊維の開発・製造を担うメーカー機能を併せ持ち、衣料繊維・産業資材などの幅広い分野で独自のソリューションを提供する帝人フロンティアのもとで運営することが最善の策であるという判断に至りました。
④ 事業分離日
2026年10月1日(予定)
⑤ その他取引の概要に関する事項
本統合に先立ち、当社の連結子会社である旭化成(中国)投資有限公司は、繊維製品の製造・販売を行っている杭州旭化成紡織有限公司の全持分を旭化成アドバンスに譲渡します。
(2) 分離した事業が含まれていた報告セグメントの名称
マテリアル
(収益認識関係)
1 顧客との契約から生じる収益を分解した情報
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
2 「住宅」セグメントにて、貸手のリースから生じる収益等の源泉から認識した収益142,453百万円を含めています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
2 「住宅」セグメントにて、貸手のリースから生じる収益等の源泉から認識した収益156,452百万円を含めています。
2 顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (5) 重要な収益及び費用の計上基準」注記に記載のとおりです。
3 顧客との契約に基づく履行義務の充足と当該契約から生じるキャッシュ・フローとの関係並びに当連結会計年度末において存在する顧客との契約から翌連結会計年度以降に認識すると見込まれる収益の金額及び時期に関する情報
(1) 契約資産及び契約負債の残高等
(単位:百万円)
契約資産は、主に請負工事に関する履行義務に係る当社グループの対価に関する権利であり、当該権利が無条件になった時点で債権に振り替えられます。また、契約負債は、主に請負工事に関して履行義務の充足の前に顧客から受領した前受金であり、履行義務の充足による収益の計上に伴い、取り崩されます。個々の契約により支払条件は異なるため、通常の支払期限はありません。
前連結会計年度において認識した収益のうち、期首の契約負債残高に含まれていたものは83,034百万円です。なお、前連結会計年度において契約資産及び契約負債の残高に重要な変動はありません。
当連結会計年度において認識した収益のうち、期首の契約負債残高に含まれていたものは104,264百万円です。なお、当連結会計年度において契約資産の残高に重要な変動はありません。契約負債については、セパレータを安定的に供給するため、顧客との間でキャパシティライト契約を締結しており、当該契約に則りその一部について前受金を受領したこと等により増加しています。
(2) 残存履行義務に配分した取引価格
残存履行義務に配分した取引価格の総額のうち、契約期間が1年超のものは主に「住宅」セグメントに関するものであり、以下の期間に収益の認識が見込まれています。なお、残存履行義務に配分した取引価格の注記にあたって実務上の便法を適用し、以下の注記の対象に含めていない当初に予想される契約期間が1年以内の契約が存在します。
(単位:百万円)
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、事業持株会社制を導入しており、事業持株会社である当社のもと、製品・サービス別の3つの事業領域を設け、各事業領域の事業持株会社及び事業会社は、取り扱う製品について国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。
2025年4月1日に研究開発等の機能の一部を「マテリアル」へ再編したことに伴い、第1四半期連結会計期間より、従来「全社費用等」に含めていた一部の研究組織等を「マテリアル」に含めて表示しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメント区分で記載しています。
各報告セグメントに属する主要な事業内容及び主要な製品は、次のとおりです。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、前述の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」注記における記載と同一です。報告セグメントの利益は、営業損益です。
セグメント間の内部売上高又は振替高は、主に第三者間取引価格もしくは原価に適正利益を加味した価格に基づいています。
また、当社は、グループ経営における共通機能の変化に応じて、共通費の応益負担を最適化するため、全社共通費の各報告セグメントへの配賦率を第1四半期連結会計期間から変更しています。当該変更により、従来の方法に比べて、「ヘルスケア」は975百万円、「住宅」は1,578百万円、「マテリアル」は3,844百万円それぞれセグメント利益が減少し、「全社費用等」のセグメント利益は6,397百万円増加しています。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
2 減価償却費には、のれんの償却額を含んでいません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
2 減価償却費には、のれんの償却額を含んでいません。
4 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 全社費用等の主な内容は、各報告セグメントに配分していない全社収益、基礎研究費及びグループ会社の経営モニタリング費用等です。
(単位:百万円)
(注) 全社資産の主な内容は、当社の資産(余剰運用資金<現金及び預金>、長期投資資金<投資有価証券等>及び土地等)です。
(単位:百万円)
(注) 1 調整額は全社資産及びセグメント間取引消去によるものです。
2 減価償却費には、のれんの償却額を含んでいません。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
「セグメント情報 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報」をご参照ください。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
(2) 有形固定資産
(単位:百万円)
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
「セグメント情報 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報」をご参照ください。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:百万円)
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
(2) 有形固定資産
(単位:百万円)
(表示方法の変更)
前連結会計年度において「その他」に含めていました「カナダ」は連結貸借対照表の有形固定資産合計の10%を上回ったため、当連結会計年度において独立掲記することとしています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の「その他」に表示していた154,232百万円は「カナダ」25,991百万円及び「その他」128,241百万円として組み替えています。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
なお、2010年4月1日前に行われた企業結合により発生した負ののれんの償却額及び未償却残高については、該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業等を含んでいます。
なお、2010年4月1日前に行われた企業結合により発生した負ののれんの償却額及び未償却残高については、該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当社の連結子会社であるZOLL Medical CorporationがVyaire Medical, Inc.の人工呼吸器事業を取得したことにより、「ヘルスケア」セグメントにおいて負ののれん発生益を2,218百万円計上しています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
【関連当事者情報】
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
該当事項はありません。
(1株当たり情報)
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2 1株当たり純資産額の算定上の基礎は、以下のとおりです。
5 取締役等向け株式交付信託に係る信託口が保有する当社株式は、1株当たり当期純利益金額の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含まれています(前連結会計年度1,599千株、当連結会計年度2,113千株)。
(重要な後発事象)
1 Aicuris Anti-infective Cures AGの株式の取得について
当社の連結子会社であるVeloxis Pharmaceuticals, Inc. (以下、「Veloxis」)は、ドイツの医薬品開発企業であるAicuris Anti-infective Cures AG(以下、「Aicuris」)の全株式を取得することを決定し、その手続きを2026年4月17日に完了しました。
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称 Aicuris Anti-infective Cures AG
事業の内容 医薬・医療関連製品の研究開発及び付随する事業
② 企業結合を行った主な理由
Aicurisの買収により、重症感染症に対する開発パイプラインを獲得します。これにより、既存重点領域である移植 ・免疫領域における感染合併症への対応力をいっそう強化します。移植後など免疫機能が低下した患者は、軽微な感染を契機に重症化しやすく、感染合併症は依然として臨床現場における重要な課題となっています。こうしたアンメットメディカルニーズに対し、当社の医薬事業におけるVeloxis(移植領域)及びCalliditas Therapeutics AB(腎臓領域)の戦略は高い親和性を有しています。今後は、米国の移植施設チャネルや腎領域ネットワークを含む確立された営業基盤と高度な研究開発力を活用し、Aicurisのパイプラインの開発及び商業化を加速していきます。これにより、同パイプラインの価値最大化を図るとともに、当社が目指す医薬事業の持続的な成長基盤の確立に向けて大きく前進します。
③ 企業結合日
2026年4月17日
④ 企業結合の法的形式
現金を対価とした株式の取得
⑤ 結合後企業の名称
Aicuris Anti-infective Cures AG
⑥ 取得した議決権比率
企業結合直前に所有していた議決権比率 0%
取得後の議決権比率 100%
⑦ 取得企業を決定するに至った主な根拠
当社の連結子会社による、現金を対価とした株式取得であるため。
(2) 被取得企業の取得原価及び対価の種類ごとの内訳
(3) 発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間
現時点では確定していません。
2 Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式の取得に係る資金借入について
当社は、Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式の取得に係る所要資金調達のために、株式会社三井住友銀行等との間で、当座貸越契約を締結し、2026年4月14日付で、以下のとおり借入を実行しています。
3 2030年度を目途とする水島製造所の一部誘導品事業の再構築
(1) 概要
当社は、2026年5月12日開催の取締役会において、以下の表に記載のとおり2030年度を目途として当社水島製造所の一部誘導品事業の再構築を進める方針について決議しました。
① 2030年度を目途に生産終了する製品
② 供給体制を再構築する製品
(2) 対象事業の売上高(2026年3月期実績)
116,174百万円(各事業の単体売上高合計であり、連結内部取引を含む)
(3) 一部誘導品事業の再構築が営業活動等へ及ぼす重要な影響
今回の構造転換に伴い、当該事業に携わる251名の従業員は当社内で再配置を予定しています。
設備については、生産終了後、速やかに撤去を進めていきます。設備の撤去関連費用等について、撤去の実施を2030年度以降に想定しており、今後の進捗に応じて計上する予定です。
4 杭工事に関する訴訟
2017年11月28日に三井不動産レジデンシャル株式会社より提訴されておりました損害賠償請求訴訟について、2026年6月17日に東京地方裁判所より、旭化成建材㈱に対して、1,396百万円及びこれに対する金利を(うち1,344百万円及びこれに対する金利は三井住友建設株式会社及び株式会社日立ハイテクと連帯して)原告に対して支払うことなどを命ずる判決がありました。
訴訟の発生経緯については「連結貸借対照表関係 4 偶発債務 (3) 訴訟」注記に記載しています。
⑤ 【連結附属明細表】
【社債明細表】
(注) 1 「当期末残高」欄の( )内は内書きで、1年内償還予定の金額です。
2 連結決算日後における償還予定額は以下のとおりです。
【借入金等明細表】
(注) 1 「平均利率」については、借入金等の期末残高に対する加重平均利率を記載しています。
2 長期借入金及びリース債務(1年以内に返済予定のものを除く)の連結決算日後における返済予定額は以下のとおりです。
【資産除去債務明細表】
当連結会計年度期首及び当連結会計年度末における資産除去債務の金額が、当連結会計年度期首及び当連結会計年度末における負債及び純資産の合計額の100分の1以下であるため、連結財務諸表規則第92条の2の規定により記載を省略しています。
(2) 【その他】
当連結会計年度における半期情報等
2 【財務諸表等】
(1)【財務諸表】
①【貸借対照表】
②【損益計算書】
③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
【注記事項】
(重要な会計方針)
1 資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券
子会社株式及び関連会社株式
移動平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は主として移動平均法により算定)
市場価格のない株式等
移動平均法による原価法
(2) デリバティブ
時価法
(3) 棚卸資産
主として総平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
2 固定資産の減価償却の方法
(1) 有形固定資産(リース資産を除く)
定額法
(2) 無形固定資産(リース資産を除く)
ソフトウェア(自社利用)については、社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法
その他の無形固定資産は定額法
(3) リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法
3 引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
(2) 株式給付引当金
株式交付規程に基づく取締役等への当社株式等の給付に備えるため、当事業年度末における株式給付債務の見込額に基づき計上しています。
(3) 修繕引当金
設備の修繕に伴う費用の支出に備えるため、その見込額のうち当事業年度末において発生していると認められる額を計上しています。
(4) 固定資産撤去費用引当金
固定資産の撤去工事に伴う費用の支出に備えるため、その見込額を計上しています。
(5) 債務保証損失引当金
債務保証等に係る損失に備えるため、被保証先の財政状態等を勘案し、損失負担見込額を計上しています。
(6) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しています。
① 退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっています。
② 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
数理計算上の差異は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法によりそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理しています。
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により費用処理しています。
(7) 関係会社事業損失引当金
関係会社の事業に係る損失に備えるため、当該会社の財政状態等を勘案し、損失負担見込額を計上しています。
4 収益及び費用の計上基準
当社は、製品の製造及び販売を主な事業としています。製品の販売については、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、顧客に引き渡された時点で収益を認識しています。ただし、出荷時から製品の支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である国内販売については、出荷時点で収益を認識しています。
収益は顧客との契約において約束された対価から、返品、値引き及び割戻し等を控除した著しい減額が生じない可能性が高い範囲内の金額で算定しています。
なお、製品の販売契約における対価は、製品に対する支配が顧客に移転した時点から概ね1年以内に回収しており、重要な金融要素は含んでいません。
5 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
(1) 外貨建の資産又は負債の本邦通貨への換算基準
外貨建金銭債権債務は、決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しています。
(2) 繰延資産の処理方法
開発費は、支出時に全額費用計上しています。
(3) ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理を採用しています。
なお、金利スワップについては、特例処理の要件を満たしている場合は特例処理を採用しています。
(4) 退職給付に係る会計処理
退職給付に係る未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の未処理額の会計処理の方法は、連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なっています。
(重要な会計上の見積り)
前事業年度(2025年3月31日)
マテリアルセグメントの固定資産に関する減損
(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社は、資産グループについて、営業活動から生ずる損益の継続的なマイナスや、使用範囲又は方法につ
いて回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化等の事象が生じているか、又は生じる
見込みである場合には、減損の兆候を識別しています。
石油化学関連製品を扱う基盤マテリアル事業を含む当社の業績は、石油化学製品の需給バランスの悪化等
に起因して低迷しています。このような経営環境の中、当社において、継続的に営業損益がマイナスとなっ
ている資産グループを構成する事業が存在しており、減損損失の認識の要否の判定をしています。
減損損失の認識の判定に用いる将来キャッシュ・フローは取締役会により承認された当社グループの中期
経営計画の前提となった数値を基礎としており、将来の石油化学製品の需給バランスの見通しに基づく、販
売数量や販売価格、原料価格の見通し等の重要な仮定が含まれています。
減損損失の認識の判定に用いた仮定は、見積りの不確実性の程度が高く、前提とした状況が変化すれば、
翌事業年度の財務諸表において、減損損失を認識する可能性があります。
当事業年度(2026年3月31日)
マテリアルセグメントの固定資産に関する減損
(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額
(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社は、資産グループについて、営業活動から生ずる損益の継続的なマイナスや、使用範囲又は方法につ
いて回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化等の事象が生じているか、又は生じる
見込みである場合には、減損の兆候を識別しています。
当社の業績は、石油化学関連製品を扱うケミカル事業を中心に、想定を下回る市況による交易条件の悪化
や販売量減少等により低迷しています。このような経営環境の中、当社において、継続的に営業損益がマイ
ナスとなっている資産グループを構成する一部の事業が存在しており、いくつかの資産グループにおいて、
減損の兆候を識別し、減損損失の認識の要否の判定をしています。その結果、汎用石化・樹脂グループに
ついては割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回ったため、当事業年度において
10,849百万円の減損損失を計上しています。
減損損失の認識の判定及び測定に用いる将来キャッシュ・フローは取締役会により承認された当社グループ
の中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、将来の石油化学製品の需給バランスの見通しに基づ
く、販売数量や販売価格、原料価格の見通し等の重要な仮定が含まれています。
減損損失の認識の判定及び測定に用いたこれらの仮定に変動が生じた場合には、翌事業年度の財務諸表に
おける減損損失の認識及び測定に影響を与える可能性があります。
(表示方法の変更)
損益計算書関係
前事業年度において、独立掲記していた営業外費用の「休止設備関連費用」は重要性が乏しくなったため、当事業年度より「その他」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組替えを行っています。この結果、前事業年度の損益計算書において、営業外費用の「休止設備関連費用」に表示していた1,479百万円を「その他」として組替えています。
(貸借対照表関係)
※1 関係会社に対する資産・負債
関係会社に対する金銭債権又は金銭債務の金額は、次のとおりです。
2 偶発債務
他の会社の銀行借入等に対し、次の保証を行っています。
※3 従業員賞与については、実際支給見積額により未払費用に計上しています。
※4 有形固定資産の取得価額から国庫補助金等により減額されている圧縮記帳累計額は、次のとおりです。
※5 当社は、ナイロン原料を安定的に調達するため、原料メーカーとの間で長期購入契約を締結しています。当該契約に則り、その一部について前渡金を支払っています。
(損益計算書関係)
※1 関係会社に関する事項
関係会社との営業取引及び営業取引以外の取引の取引高の総額は、次のとおりです。
なお、当社は、各関係会社に対して受託事務費用として、それぞれの費用項目の性質に応じて、各関係会社の利用割合等に基づき、その実費額(前事業年度合計29,874百万円、当事業年度合計37,997百万円)を配賦しています。
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額並びにおおよその割合は、次のとおりです。
※3 固定資産処分損の内容は機械装置等の廃棄・売却損等です。
機械装置等の廃棄・売却に関しては、設備一式について一括契約しているものがあります。
※4 関係会社貸倒引当金繰入額及び関係会社事業損失引当金繰入額
前事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
持分法適用関連会社であるPTT Asahi Chemical., Ltd.への貸付金に対して、関係会社貸倒引当金繰入額を計上しています。また、同社の事業撤退に係る当社損失負担見込額について関係会社事業損失引当金繰入額を計上しています。
当事業年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
持分法適用関連会社であるPTT Asahi Chemical., Ltd.への貸付金に対して、関係会社貸倒引当金戻入額を計上しています。また、同社の事業撤退に係る当社損失負担見込額について関係会社事業損失引当金戻入額を計上しています。
(有価証券関係)
子会社株式及び関連会社株式
前事業年度末 (2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 上記に含まれない市場価格のない株式等の貸借対照表計上額
(単位:百万円)
当事業年度末 (2026年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 上記に含まれない市場価格のない株式等の貸借対照表計上額
(単位:百万円)
(税効果会計関係)
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別内訳
(注) 前事業年度において独立掲記していた「繰延税金資産」の「関係会社事業損失引当金」は、重要性が乏しくなったため、当事業年度より「その他」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の注記の組替えを行っています。
この結果、前事業年度において、「関係会社事業損失引当金」に表示していた2,102百万円及び「その他」に表示していた4,094百万円は、「その他」6,196百万円として組替えています。
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、グループ通算制度を適用しています。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っています。
(収益認識関係)
1 顧客との契約から生じる収益を分解した情報
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)第80-26項の定めに従って注記を省略しています。
2 顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報
「(重要な会計方針)4 収益及び費用の計上基準」に記載のとおりです。
3 顧客との契約に基づく履行義務の充足と当該契約から生じるキャッシュ・フローとの関係並びに当事業年度末において存在する顧客との契約から翌事業年度以降に認識すると見込まれる収益の金額及び時期に関する情報
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)第80-26項の定めに従って注記を省略しています。
(重要な後発事象)
1 重要な資金の借入
当社は、Aicuris Anti-infective Cures AGの全株式の取得に係る所要資金調達のために、株式会社三井住友銀行等との間で、当座貸越契約を締結し、2026年4月14日付で、資金借入を実行しています。
なお、借入の詳細については、連結財務諸表の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
2 2030年度を目途とする水島製造所の一部誘導品事業の再構築
連結財務諸表の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しています。
④ 【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】
(単位:百万円)
(注) 1 「当期減少額」欄の( )内は内書きで、減損損失の計上額です。
2 「当期増加額」欄のうち、主な内容は、次のとおりです。
延岡地区水力発電所の改修、感光性樹脂材料「パイメル™」の新工場建設に関する費用等
【引当金明細表】
(単位:百万円)
(2) 【主な資産及び負債の内容】
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しています。
(3) 【その他】
該当事項はありません。
第6 【提出会社の株式事務の概要】
(注) 当社定款の定めにより、単元未満株主は、会社法第189条第2項各号に掲げる権利、会社法第166条第1項の規定による請求をする権利、株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利並びに単元未満株式の売渡請求をする権利以外の権利を有していません。
第7 【提出会社の参考情報】
1 【提出会社の親会社等の情報】
当社は、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。
2 【その他の参考情報】
当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しています。
(1) 有価証券報告書 (事業年度 自 2024年4月1日 2025年6月25日
及びその添付書類 (第134期) 至 2025年3月31日) 関東財務局長に提出
並びに確認書
(2) 内部統制報告書及びその添付書類 2025年6月25日
関東財務局長に提出
(3) 半期報告書 (第135期中 自 2025年4月1日 2025年11月13日
及び確認書 至 2025年9月30日) 関東財務局長に提出
(4) 臨時報告書
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号 2025年5月28日
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に 関東財務局長に提出
著しい影響を与える事象)に基づく臨時報告書です。
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2 2025年6月26日
(株主総会における議決権行使の結果)に基づく臨時報告書です。 関東財務局長に提出
(5) 発行登録書(普通社債)及びその添付書類 2026年4月23日
関東財務局長に提出
(6) 発行登録追補書類及びその添付書類 2026年5月28日
関東財務局長に提出
(7) 訂正発行登録書 2026年5月21日
関東財務局長に提出
(8) 自己株券買付状況報告書 2025年12月15日
2026年1月15日
2026年2月13日
2026年3月13日
2026年4月15日
2026年5月15日
2026年6月15日
関東財務局長に提出
第二部 【提出会社の保証会社等の情報】
該当事項はありません。